(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記星形多角体形成工程では、周方向に一定の間隔を空けて配置され、径方向に移動する複数の爪を、前記中間体の径方向の外側から前記中間体に押し付けることによって、前記爪が押し付けられた位置に前記凹部を形成すると共に、前記爪同士の間の位置に前記凸部を形成して前記星形多角体を形成する、請求項1又は2に金属製多孔体の製造方法。
前記星形多角体形成工程では、前記中間体を周方向に移動させながら、前記中間体の外側に配置された第1歯車と、前記中間体の内側に配置された第2歯車とを噛み合わせることによって、前記第1歯車の歯山に対応する、前記中間体の位置に前記凹部を形成すると共に、前記第2歯車の歯山に対応する、前記中間体の位置に前記凸部を形成して前記星形多角体を形成する、請求項1又は2に記載の金属製多孔体の製造方法。
前記星形多角体形成工程では、複数の前記凸部と複数の前記凹部とを前記中間体の軸方向に対して斜めに傾けて前記星形多角体を形成する、請求項3又は4に記載の金属製多孔体の製造方法。
前記星形多角体形成工程によって形成された前記星形多角体を径方向の外側から内側に向けて押し付けることによって前記星形多角体を中心側に圧縮して圧縮星形多角体を形成する星形多角体圧縮工程を有し、
前記成型工程では、前記圧縮星形多角体が前記型に入れられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の金属製多孔体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明の技術的範囲は、以下の記載や図面のみに限定されるものではない。
【0032】
[金属製多孔体の製造方法の基本工程]
本発明に係る金属製多孔体1の製造方法は、
図1に示すように、準備工程S10と、星形多角体形成工程S20と、成型工程S40とを含んでいる。具体的に、金属製多孔体1の製造方法は、筒状の金網からなる中間体32を準備する準備工程S10と、径方向の外側に突出する複数の凸部61と径方向の内側に窪んだ複数の凹部62とを中間体32の周方向に交互に形成して星形多角体60を形成する星形多角体形成工程S20と、星形多角体60の内周側と外周側とを拘束する型80に星形多角体60を入れて、星形多角体60の軸方向の一方から星形多角体60を圧縮する成型工程S40と、を含んでいる。
【0033】
準備工程S10は、金属素線10を編み込んで筒状の金網を形成し、筒状の金網から内周部と外周部とを有する筒状の中間体32を形成する工程である。星形多角体形成工程S20は、径方向の外側に突出する複数の凹部62と、径方向の内側に窪んだ複数の凸部61とを周方向に交互に位置させて中間体32に形成して星形多角体60を形成する工程である。成型工程S40は、星形多角体60の内周側を拘束する芯材81と、星形多角体60の外周側を拘束する外周壁85とで構成された型80における、芯材81と外周壁85とで構成される空間に星形多角体60を入れて、星形多角体60の軸方向の一方から星形多角体60を圧縮する工程である。成型工程S40で用いる型80は、その軸方向の長さが異なる少なくとも2形態に変化可能に構成されている。
【0034】
成型工程S40は、軸方向の長さが長い形態の型80で星形多角体60を軸方向の一方から圧縮する第1プレス工程S41と、この第1プレス工程S41の後に、軸方向の長さが短い形態の型80で星形多角体60を軸方向の一方から、さらに圧縮する第2プレス工程S42と、を少なくとも有している。
【0035】
なお、準備工程S10は、金網連続体形成工程S11、分割工程S12及び中間体形成工程S13を含めることができる。金網連続体形成工程S11は、金属素線10を編み込むことによって軸方向に連なる筒状の金網連続体30を形成する工程である。分割工程S12は、金網連続体30を、その軸方向に一定の長さを有する複数の筒状金網体31に分ける工程である。中間体形成工程S13は、筒状金網体31の側壁部を軸方向に折り返して中間体32を形成する工程である。
【0036】
また、金属製多孔体1の製造方法は、必要に応じて、上述した星形多角体形成工程S20と成型工程S40との間に、星形多角体圧縮工程S30を設けることもできる。この星形多角体圧縮工程S30は、星形多角体形成工程S20によって形成された星形多角体60を径方向の外側から内側に向けて押し付けることによって星形多角体60を中心側に圧縮して圧縮星形多角体60を形成する工程である。この星形多角体圧縮工程S30を設けた場合、成型工程S40では、圧縮星形多角体60が型80に入れられる。
【0037】
以上の工程を有する本発明に係る金属製多孔体1の製造方法によれば、金属製多孔体1の軸方向及び径方向に流れる流体の流量を、金属製多孔体1の周方向において均等にすることができ、かつ、強度を高くすることができるという特有の効果を奏する。
【0038】
以下、本発明に係る金属製多孔体1の製造方法によって製造された金属製多孔体1について説明し、次いで、金属製多孔体1の製造方法の各工程の詳細を説明する。
【0039】
[金属製多孔体]
金属製多孔体1は、
図2示すように、円筒状をなし、径方向の中央に空洞を有している。すなわち、金属製多孔体1は、外周面2と、内周面3と、軸方向の両端部をなす一対の端面4,5と、を有している。
【0040】
この金属製多孔体1は、金属素線10が編み込まれてなる筒状の金網を加工して製造されている。具体的に、金属製多孔体1は、金属素線10が編み込まれ、内周面と外周面とを有する筒状の金網を加工し、径方向の外側に向けて突出する複数の凸部61と径方向の内側に向けて窪んだ複数の凹部62とを周方向の交互に形成して星形多角体60を形成し、この星形多角体60の内周側と外周側とを拘束しながら、星形多角体60をその軸方向に圧縮することによって円筒状に形成されている。また、円環状の金網は、半径方向に重なる複数の金網の層を備えている。
【0041】
(金属素線)
金属素線10は、例えば、ステンレス鋼又は軟鋼からなる線材が使用されている。ステンレス鋼の線材としては、例えば、JIS(Japanese Industrial Standards)規格のSUS304又はSUS316等からなる線材を挙げることができる。軟鋼線材としては、例えば、JIS規格のSWRM6、SWRCH6A等からなる線材を挙げることができる。金属素線10として軟鋼線材を用いる場合、銅、銅合金、亜鉛又はニッケルその他のめっきを施したものを用いることができる。ただし、金属線は上記の材料の他に、チタン、ニッケル又はアルミニウムその他の材料を用いることもできる。金属製多孔体1は、こうした材質の素線によって構成さているので、耐熱性、耐薬品性及び耐食性を備えている。
【0042】
金属素線10は、その断面形状が円形の線材である。金属素線10の直径は、0.01mm以上、3mm以下である。ただし、金属素線10は、圧延されて、断面形状が楕円形又は略楕円形に形成された線材を用いてもよい。
【0043】
(金属製多孔体)
金属製多孔体1は、上記の金属素線10からなる筒状の金網を加工することによって、空隙率が20%以上、90%以下であり、密度が7.75g/cm
3以上、8.06g/cm
3以下のステンレス鋼を用いた場合、嵩密度が0.5g/cm
3以上、6.5g/cm
3以下である。なお、「空隙率」とは、[(材料比重-製品密度)/材料比重]×100によって表すことができる製品の全容積に対する隙間の容積の割合のことであり、「嵩密度」とは、単位体積の質量=製品重量/製品体積によって表すことができる、製品の重量を製品の体積で除した単位体積あたりの質量のことである。
【0044】
以上の金属製多孔体1は、流体に含まれる不純物を捕捉したり濾過したりするフィルター、流体の温度を下げる冷却部材、爆発音を吸収する消音部材、構造物を構成している部材同士の間に挟み込んで用いるスペーサ等に用いることができる。具体的に、金属製多孔体1は、エアバッグのインフレータ用フィルターとして利用することができる。金属製多孔体1をエアバッグのインフレータ用フィルターとして利用した場合、金属製多孔体1は、エアバッグが作動したときに生じる不純物を捕捉したり濾過したりする。また、金属製多孔体1は、エアバッグが作動したときの爆発音を消音する消音フィルターとして機能させたり、衝撃を吸収する衝撃吸収フィルターや防爆フィルターとして機能させたりすることができる。こうした、金属製多孔体1は、火薬を習慣的に燃焼させてガスを発生させるインフレータとは異なるシステムに用いることができる。
【0045】
金属製多孔体1は、さらに、熱交換システムに用いることができる。すなわち、熱交換システムに用いられる熱交換媒体の通路に金属製多孔体1を組み込むことによって、金属製多孔体1は、再生器として機能させることができる。この場合、熱交換システムの高温側と低温側との間に配置された金属製多孔体1は、その周方向で熱を均等に伝えることによって、高い熱伝導率で熱を伝えることができる。
【0046】
金属製多孔体1は、以上のように、高い負荷が作用する場所、衝撃的な負荷が作用する場所、温度が高い場所、及び温度変化が激しい場所等で用いることができる。
【0047】
[金属製多孔体の製造方法]
上述したように、金属製多孔体1の製造方法は、
図1に示すように、準備工程S10と、星形多角体形成工程S20と、成型工程S40とを含んでいる。また、金属製多孔体1の製造方法は、必要に応じて、上述した星形多角体圧縮工程S30を星形多角体形成工程S20と成型工程S40との間に設けることもできる。
【0048】
〈準備工程〉
準備工程S10は、金属素線10を編み込んで筒状の金網を形成し、筒状の金網から内周部と外周部とを有する筒状の中間体32を形成する工程である。この準備工程S10は、
図1に示すように、金網連続体形成工程S11、分割工程S12及び中間体形成工程S13を含めることができる。
【0049】
(金網連続体形成工程)
金網連続体形成工程S11は、金属素線10を編み込むことによって軸方向に連なる筒状の金網連続体30を形成する工程である。この金網連続体形成工程S11は、
図3に示すように、金属素線10を編み機20に送り出し、送り出された金属素線10を編み機20で編み込むことによって筒状の金網連続体30を形成している。なお、
図3は、説明を容易にするために、編み機20を模式的に示している。
【0050】
編み機20は、金属素線10を編み込むための本体部21と、送り出された金属素線10を本体部21に案内するための案内針22とを備えている。本体部21は、径方向の中央に穴を有している。金網連続体30は、本体部21に設けられた穴から送り出される。
【0051】
金網連続体30は、円筒状をなしている。また、金網連続体30は、その軸方向に連続している。なお、編み方は特に限定されない。
図3に示す例は、A部を拡大して図示するように、素線をメリヤス編みして金網連続体30を形成している。
【0052】
(分割工程)
分割工程S12は、
図3に示すよう、編み機20から送り出された金網連続体30を、その軸方向に一定の長さを有する複数の筒状金網体31に分ける工程である。この分割工程S12によって形成される筒状金網体31は、
図4に示すように、筒状をなしている。筒状金網体31の内部は空洞である。金網連続体30から筒状金網体31に分ける方法は、特に限定がない。分ける方法としては、編み機20から送り出された金網連続体30を所定の長さ毎に、刃物で切断して筒状金網体31を形成する方法を一例として挙げることができる。なお、筒状金網体31は、金属素線10が編み込まれることによって構成されている。編み方は、上述したように、特に限定はない。
図4に例示した筒状金網体31は、A部を拡大して図示したように、素線をメリヤス編みして構成されている。
【0053】
(中間体形成工程)
中間体形成工程S13は、
図5に示すように、筒状金網体31の側壁部31aを軸方向に折り返して、中間体32を形成する工程である。なお、
図5は、中間体形成工程S13を模式的に示している。この中間体形成工程S13では、
図5(A)から
図5(D)に示すように、筒状金網体31の軸方向の一端から、側壁部31aを軸方向に一定の長さごとに外側に複数回折り返すことによって、
図5(E)に示す中間体32を形成している。ただし、中間体32は、筒状金網体31の軸方向の一端から、筒状金網体31の側壁部31aを外側に丸ませて形成することもできる。この中間体形成工程S13によって形成された中間体32は、
図5(E)に示すように、円環状の金網であり、外周部33と内周部34とを有している。また、円環状の金網である中間体32は、半径方向に重なる複数の金網の層を備えている。
【0054】
〈星形多角体形成工程〉
次に、
図6から
図12を参照して星形多角体60を形成する星形多角体形成工程S20について説明する。
【0055】
星形多角体形成工程S20は、径方向の外側に突出する複数の凸部61と、径方向の内側に窪んだ複数の凹部62とを、周方向に交互に位置させて中間体32に形成して星形多角体60を形成する工程である。この星形多角体形成工程S20は、
図6に示す装置40を用いて星形多角体60を形成する第1タイプと、
図12に示す装置50を用いて星形多角体60を形成する第2タイプとがある。
【0056】
第1タイプの星形多角体形成工程S20は、
図6に示すように、周方向に一定の間隔を空けて配置され、径方向に移動する複数の爪42を、中間体32の径方向の外側からこの中間体32に押し付けることによって星形多角体60を形成する。例えば、6個の凸部61と6個の凹部62を有する星形多角体60(
図7参照)を形成する場合、星形多角体形成工程S20は、6個の爪42を備えた装置40(以下、単に「装置40」という。)を用いて実施される。この装置40は、例えば、ベース41と、ベース41上に配置された6個の爪42と、ベース41上に配置された受け部45とを有している。
【0057】
ベース41は、円盤状をなしている。このベース41は、星形多角体60として形成される中間体32が載せられる部材である。
【0058】
6個の爪42は、ベース41上で周方向に均等に配置されている。各爪42は、その長手方向が径方向に向いてそれぞれ配されている。各爪42は、その長手方向の一端側に先細り形状の押し当て部43をそれぞれ有している。各爪42は、押し当て部43を径方向の内側に向けてそれぞれ配置されている。
【0059】
受け部45は、爪42によって押し付けられた中間体32を、中間体32の内側で受ける部位である。受け部45は、ベース41の中心に配置されている。この受け部45は、リング部46と、リング部46から径方向の外側に延びる仕切部47とを少なくとも備えている。仕切部47は、周方向の6箇所に設けられている。各仕切部47同士の周方向の間隔は一定である。
【0060】
6個の爪42は、周方向において、受け部45の仕切部47と仕切部47との間に位置している。各爪42が径方向の内側に移動したときに、各爪42の押し当て部43は、受け部の仕切部47と仕切部47との間に挿入される。
【0061】
この装置40は、星形多角体60を以下のように形成する。はじめに、
図6(A)に示すように、装置40において、6個の爪42は径方向の外側に移動されている。中間体32は、各爪42に設けられた押し当て部43と受け部45との間にセットされる。中間体32が装置40にセットされた後、各爪42を径方向の内側に移動させ、押し当て部43を中間体32の外周部に突き当てて、
図6(B)に示すように、中間体32を径方向の外側から内側に向けて押し付ける。
【0062】
装置40は、6個の爪42を中間体32に押し付けることによって、中間体32の周方向の6箇所に、径方向の外側から内側に向かって窪む凹部62を形成する。一方、装置40は、爪42が押し付けられた部分同士の間の部分を、径方向の外側に向かって突出する凸部61として形成する。その結果、装置40は、
図7に示す、星形多角体60を形成する。
【0063】
図7は星形多角体60の一例を示している。この星形多角体60は、径方向の外側に突出する凸部61を周方向の6箇所に備えている。また、星形多角体60は、径方向の内側に窪んだ凹部62を凸部61同士の間に備えている。この凹部62は、上述したように、爪42部が備える押し当て部43が押し付けられることによって形成された部位である。
【0064】
なお、星形多角体形成工程S20で形成される星形多角体60は、6個の凸部61と6個の凹部62を有する形状には限定されない。凸部61の数と凹部62の数は、5個以下であってもよいし、7個以上であってもよい。その場合、装置に設ける爪42の数は、形成される星形多角体60の凹部62の数と凸部61の数とに一致される。例えば、凹部62の数及び凸部61の数が8この星形多角体60を形成する場合、8個の爪42が装置に設けられる。
【0065】
第1タイプの星形多角体形成工程S20では、爪42が押し付けられた複数の部分に、径方向の内側に窪んだ凹部62を形成し、爪42が押し付けられた部分の間の複数の部分に径方向の外側に突出する凸部61を形成することができる。そのため、複数の爪42を一度に中間体32に押し付けることで星形多角体60を効率よく形成することができる。
【0066】
第1タイプの星形多角体形成工程S20では、
図8示す装置140(以下、「装置140」という。)を利用して、中間体32から
図10に示す星形多角体160を形成してもよい。
【0067】
装置140は、例えば、ベース141と、ベース141上に配置された6個の爪142と、ベース141上に配置された受け部145とを有している。ベース41は、例えば、円盤状をなしている。このベース141は、星形多角体160として形成される中間体32が載せられる部材である。6個の爪142は、その長手方向がベースの径方向に向いて、ベース141上で周方向に均等に配置されている。各爪142は、その長手方向の一端側に平板状の押し当て部143をそれぞれ有し、この押し当て部143を径方向の内側に向けている。
【0068】
押し当て部143は、
図9に示すように、垂直方向に対して斜めに傾けられている。なお、垂直方向は、中間体32の軸方向及び星形多角体160の軸方向に一致している。押し当て部143の垂直方向に対する傾斜角θは、5度以上、85度以下の範囲内で、中間体32の軸方向の長さに応じて適宜に設定するとよい。すなわち、星形多角体160が形成された際、軸方向のある領域では、凹部162が存在する周方向の部分に、軸方向の他の領域では、凸部161が存在する形態になるように、この傾斜角θは設定される。
【0069】
受け部145は、ベース141の中心に配置されており、爪142によって押し付けられた中間体32を、中間体32の内側で受ける部位である。受け部145の構造は、
図6に示した装置40の受け部45とほぼ同様であり、リング部146と、リング部146から径方向の外側に延びる仕切部147とを少なくとも備えている。
【0070】
この装置140は、中間体32の径方向の外側から押し当て部143を中間体32の外周部に突き当て、中間体32を径方向の外側から内側に向けて押し付けることによって、
図10に示す星形多角体を形成する。具体的には、装置140は、爪142の押し当て部143が押し付けられた位置に凹部162を形成すると共に、爪142の押し当て部143同士の間の位置に凸部161を形成して星形多角体160を形成する。
【0071】
図10は、装置140により形成された星形多角体160の一例を示している。この星形多角体160は、径方向の外側に突出する凸部161を周方向の6箇所に備えている。また、星形多角体160は、径方向の内側に窪んだ凹部162を凸部161同士の間に備えている。
【0072】
各凸部161及び各凹部162は、星形多角体160の軸方向に対して斜めに傾けられている。そのため、軸方向のある領域では、凹部162が存在する周方向の部分に、軸方向の他の領域では、凸部161が存在する。その結果、星形多角体160を平面視したとき、周方向の密度が均等になる。その結果、星形多角体160から形成された金属製多孔体1は、この金属製多孔体1の内部を流れる流体の圧力損失を周方向で均等にすることができると共に、強度を周方向で均等にすることができる。
【0073】
以上、斜めに傾けられた押し当て部143を有する爪142を用いて星形多角体160を形成する場合について説明した。ただし、軸方向に対して凸部161及び凹部162が斜めに傾けられた星形多角体160は、まず、
図6に示す装置40を用いて
図7に示す星形多角体60を形成し、次いで、星形多角体60を周方向に捩ることによって形成してもよい。
【0074】
第2タイプの星形多角体形成工程S20は、
図11に示すように、中間体32を周方向に移動させながら、中間体32の外側に配置された第1歯車51と、中間体32の内側に配置された第2歯車52とを噛み合わせることによって、星形多角体60を形成する。
【0075】
第2タイプの星形多角体形成工程S20に用いられる装置50(以下、単に「装置50」という。)は、
図11に示すように、2つの歯車51,52を備えている。なお、
図11は、装置50の一例を模式的に示している。
図11に示す装置50は、刃先円の直径が相対的に大きい第1歯車51と、刃先円の直径が相対的に小さい第2歯車52とを備えている。第1歯車51は、中間体32の外側に配置され、第2歯車52は、中間体32の内側に配置される。
【0076】
この装置50は、第1歯車51と第2歯車52との間の距離を長くしたり短くしたりすることができるように構成されている。ただし、第1歯車51と第2歯車52との距離を最も短くした場合でも、第1歯車51の歯と第2歯車52の歯とが接触せずに、一定の隙間が両者の間に形成される。すなわち、第1歯車51の歯が第2歯車52の歯と歯との間に位置するときに、第1歯車51の歯先と第2歯車52の歯元との間に一定の隙間が形成される。また、第1歯車51の歯面と第2歯車52の歯面との間にも一定の隙間が形成される。同様に、第2歯車52の歯が第1車の歯と歯との間に位置するときに、第2歯車52の歯先と第1歯車51の歯元との間に一定の隙間が形成されると共に、第1歯車51の歯面と第2歯車52の歯面との間にも一定の隙間が形成される。
【0077】
第2タイプの星形多角体形成工程S20では、星形多角体60が装置50によって次のように形成される。
【0078】
まず、第1歯車51と第2歯車52との距離が離された状態(図示せず)で、中間体32が第1歯車51と第2歯車52との間にセットされる。その際、第2歯車52は中間体32の内側に位置される。
【0079】
次いで、第1歯車51と第2歯車52とを接近させ、中間体32を第1歯車51と第2歯車52とで挟み込む。中間体32が第1歯車51と第2歯車52とで挟み込まれることによって、中間体32の側壁部は、第1歯車51の歯先によって第2歯車52の歯元に向けて押し付けられると共に、第2歯車52の歯先によって第1歯車51の歯元に向けて押し付けられる。そのため、中間体32は、
図11に示すように、中間体32の径方向の外側に向けて突出する凸部61と径方向の内側に向けて窪む凹部62とが形成される。
【0080】
その後、第1歯車51と第2歯車52とを回転させて、中間体32を周方向に移動させる。装置50において、第1歯車51と第2歯車52とが中間体32を挟み込んでいるため、第1歯車51及び第2歯車52は、その回転に伴って、中間体32を周方向に移動させ、凸部61と凹部62とを中間体32の周方向の全域にわたり交互に形成する。具体的には、第1歯車51の歯山に対応する、中間体の位置に凹部62を形成すると共に、第2歯車52の歯山に対応する、中間体の位置に凸部61を形成して星形多角体60を形成する。なお、
図11に示す装置50で形成された星形多角体60は、
図7に示すように、径方向の外側に突出する凸部61と内側に窪んだ凹部62とが、周方向の6箇所にそれぞれ形成される。
【0081】
第2タイプの星形多角体形成工程S20では、二つの歯車51,52を噛み合わせるだけで星形多角体60を形成することできる。そのため、星形多角体60を簡素な装置で形成できる。また、歯の数が異なる歯車に交換するだけで、凹部62及び凸部61の数が異なる星形多角体60を形成することができる。
【0082】
第2タイプの星形多角体形成工程S20では、
図12に示すように、中間体32を周方向に移動させながら、2つのはすば歯車151,152を噛み合わせることによって、星形多角体160を形成してもよい。
【0083】
この星形多角体形成工程S20に用いられる装置150(以下、単に「装置150」という。)は、
図12に示すように、2つの歯車151,152を備えている。2つの歯車151,152は、歯山が各歯車の周方向に対して斜めに傾いたはすば歯車である。
図12に示す装置150は、刃先円の直径が相対的に大きい第1歯車151と、刃先円の直径が相対的に小さい第2歯車152とを備えている。第1歯車151は、図示しない中間体の外側に配置され、第2歯車152は、図示しない中間体の内側に配置される。
【0084】
装置150は、中間体を第1歯車151と第2歯車152との間に挟み込ませ、第1歯車151及び第2歯車152を回転させることによって、図示しない中間体を周方向に移動させ、斜めに傾けられた凸部161及び凹部162を有する星形多角体160を形成する(
図10参照)。具体的には、第1歯車151の歯山に対応する、中間体の位置に凹部162を形成すると共に、第2歯車152の歯山に対応する、中間体の位置に凸部161を形成して星形多角体160を形成する。
【0085】
なお、第2タイプの星形多角体形成工程S20によって形多角体160を形成する場合、まず、
図11に示す装置50を用いて
図7に示す星形多角体60を形成し、次いで星形多角体60を周方向に捩ることによって形成してもよい。
【0086】
〈星形多角体圧縮工程〉
次に、
図13を参照して、星形多角体圧縮工程S30について説明する。なお、星形多角体圧縮工程S30は、必要に応じて設けられる工程であり、必須の工程ではない。
【0087】
星形多角体圧縮工程S30は、星形多角体形成工程S20によって形成された星形多角体60を径方向の外側から内側に向けて圧縮することによって圧縮星形多角体60,160を形成する。この星形多角体圧縮工程S30では、例えば、
図13に示す装置70(以下、単に「装置70」という。)が用いられる。以下では、圧縮星形多角体60を形成する場合を例にして説明する。
【0088】
この装置70は、円形のベース75と、ベース75上に配置された4本のアーム71とを備えている。各アーム71は、その長手方向がベース75の中心側から径方向の外側に延びる方向に向いてそれぞれ配置されている。4本のアーム71のうち、2本のアーム71は、ベース75の直径をなす線L1上に配されていて、ベース75の中心に対して対称をなしている。残りの2本のアーム71は、直径をなす線L1に対して直交する線L2上に配置されている。この2本のアーム71もベース75の中心に対して対称をなしている。
【0089】
各アーム71の長手方向の一端は、押し当て面72を有している。押し当て面72は、円弧状にそれぞれ窪んでいる。この押し当て面72は、星形多角体60の外周面に押し当てる部分である。各アーム71は、この押し当て面72をベース75の中心に向けてそれぞれ配置されている。そして、4本のアーム71は径方向に移動するように構成されている。
【0090】
この星形多角体圧縮工程S30では、
図13に示すように、星形多角体60がベース75の中心にセットされ、4本のアーム71をベース75の中心に向けて移動して、押し当て面72を星形多角体60の外周部に押し付けることによって、星形多角体60を径方向の内側に圧縮する。圧縮星形多角体60は、星形多角体60がアーム71によって径方向の内側に圧縮されることによって形成される。
【0091】
この星形多角体形成工程S20は、中間体32の内部に存在する空間を均等に分布させることができる。そのため、完成された金属製多孔体1の内部に存在する空間を周方向に均等にすることができる。また、この工程は、中間体32を構成する金網を塑性変形させている。そのため、強度を高めることができる。
【0092】
〈成型工程〉
成型工程S40では、星形多角体60,160(圧縮星形多角体60,160を含む。)の内周側を拘束する芯材81と、星形多角体60,160の外周側を拘束する外周壁85とで構成された型80が用いられる。成型工程S40は、芯材81と外周壁85との間の空間に星形多角体60,160を入れ、星形多角体60,160の軸方向の一方から星形多角体60,160を圧縮することによって、
図2に示す金属製多孔体1を成型する工程である。以下では、星形多角体60を成型する場合を例に説明する。
【0093】
成型工程S40に用いられる型80は、
図14に示すように、その軸方向の長さが異なる少なくとも2形態に変化可能に構成されている。そして、成型工程S40は、軸方向の長さが長い形態の型80で星形多角体60を軸方向の一方から圧縮する第1プレス工程S41と、第1プレス工程S41の後に、軸方向の長さが短い形態の型80で星形多角体60を軸方向の一方から星形多角体60を、さらに圧縮する第2プレス工程S42とを少なくとも有している(
図1参照)。
【0094】
(型の構成)
型80は、
図14に示すように、芯材81と外周壁85とを備えている。この型80は、芯材81と外周壁85との間に、成型される星形多角体60が入れられる空間を有している。型80の長手方向の一端80a側は、開かれており、型80の長手方向の他端80b側はブロック90等によって閉じられている。この成型工程S40では、図示しないアクチュエータが型80の長手方向における一端80a側のみに設けられる。成型工程S40では、一端80a側のみに設けられたアクチュエータが型80内の星形多角体60をプレスして金属製多孔体1を形成する。
【0095】
型80を構成する芯材81は、軸方向の長さが長い形態と、軸方向の長さが短い形態との2形態に変化させることができるように構成されている。具体的に、芯材81は、芯材本体部82と、型80の長手方向の長さを変化させるための芯材調整部83とから構成されている。長い形態の芯材81は、
図14(A)及び
図14(B)に示すように、芯材本体部82と芯材調整部83とが型80の長手方向につなげられた形態である。短い形態の芯材81は、
図14(C)及び
図14(D)に示すように、芯材調整部83が芯材81から取り外された形態である。
【0096】
型80を構成する外周壁85は、芯材81と同様に、軸方向の長さが長い形態と、軸方向の長さが短い形態との2形態に変化させることができるように構成されている。外周壁85は、外周壁本体部86と外周壁調整部87とにより構成されている。長い形態の外周壁85は、
図14(A)及び
図14(B)に示すように、外周壁本体部86と外周壁調整部87とが型80の長手方向につなげられた形態である。短い形態の外周壁85は、
図14(C)及び
図14(D)に示すように、外周壁調整部87が外周壁85から取り外された形態である。
【0097】
(成型工程の詳細)
成型工程S40の詳細について、
図14を参照して説明する。この成型工程S40では、まず、
図14(A)及び
図14(B)に示す第1プレス工程S41が行われ、次いで、
図14(C)及び
図14(D)に示す第2プレス工程S42が行われる。
【0098】
第1プレス工程S41では、まず、
図14(A)に示すように、芯材本体部82と芯材調整部83とが軸方向につなげられると共に、外周壁本体部86と外周壁調整部87とが軸方向につなげられ、長い形態の型80が形成される。また、型80の軸方向の一端80a側が開かれた状態にされる一方で、型80の軸方向の他端80bがブロック90で閉じられる。第1補助部材101、星形多角体60、及び第2補助部材102が、その順番にこの形態の型80の内部に挿入される。すなわち、型80の他端80b側かみて、第1補助部材101、星形多角体60、及び第2補助部材102がその順番に型80の内部に配置される。
【0099】
次いで、図示しないアクチュエータが、型80の軸方向の一端80a側から型80の内部の第1補助部材101、星形多角体60、及び第2補助部材102をブロック90に向けて押すことによって、星形多角体60をプレスする。
【0100】
次いで、
図14(B)に示すように、第3補助部材103が型80の軸方向の一端80a側から型80の内部に挿入され、第2補助部材102の上に配置される。次いで、型80の軸方向の一端80a側から図示しないアクチュエータが、型80の内部の第1補助部材101、星形多角体60、第2補助部材102及び第3補助部材103をブロック90に向けて押すことによって、星形多角体60をさらにプレスする。
【0101】
次に、第2プレス工程S42が行われる。第2プレス工程S42では、まず、
図14(C)に示すように、型80から芯材調整部83及び外周壁調整部87が取り外される。そのため、型80は、芯材本体部82と外周壁本体部86とからなる短い形態になる。型80から芯材調整部83及び外周壁調整部87が取り外された状態では、ブロック90が配置された型80の軸方向の他端80b側において、第1補助部材101が型80から突出した状態になる。
【0102】
また、
図14(C)に示すように、型80の軸方向の一端80a側には、押し付け用ジグ104が被せられる。この押し付け用ジグ104の周辺の下端面は、型80の一端80a側の端面に突き当てられ、押し付け用ジグ104の中央は、芯材81の先端が内部に挿入させる。
【0103】
次いで、
図14(D)に示すように、図示しないアクチュエータが、型80の軸方向の一端80a側から押し付け用ジグ104の上から型80をブロック90に向けて押し付ける。型80がブロック90に向けて押し付けられることによって、星形多角体60がプレスされる。
【0104】
星形多角体60がこの成型工程で上記のようにプレスされた場合、その外周面が外周壁85に拘束され、外周面は外周壁85の内面に沿って円形に形成される。また、内周面が芯材81に拘束され、内周面は円形に形成される。その結果、星形多角体60は、
図2に示した円筒状の金属製多孔体1に成型される。
【0105】
この成型工程S40では、上述したように、型80が本体部82,86と調整部83,87とで構成されているので、調整部83,87を型80から取り外すことによって、型80の軸方向の長さが変化される。そのため、第1プレス工程S41及び第2プレス工程S42の両方の工程において、型80の軸方向の一方のみから星形多角体60をプレスすることによって、星形多角体60を型80の軸方向の両方からプレスすることと同等の圧縮作用を星形多角体60に与えることができる。すなわち、プレスするためのアクチュエータを型80の軸方向の一方側にのみ設けるだけで、型80の軸方向の両方にプレスするためのアクチュエータを設けた場合と同様の作用を得ることができる。
【0106】
以上、軸方向の長さが2形態に変化可能な型80を用いて成型工程S40を行う場合を例に説明した。しかしながら、軸方向の長さが3形態以上に変化可能な型を用いて成型工程S40を行うこともできる。
【0107】
なお、この成型工程S40が終了した後、金属製多孔体1は、洗浄工程等を経て完成される。
【0108】
以上の工程を含む金属製多孔体1の製造方法で製造された金属製多孔体1は、高い強度を有する。また、金属製多孔体1の内部に存在する空隙が周方向に均等に分布される。そのため、流体が軸方向及び径方向に流れる際、流体は金属製多孔体1の周方向にて均等に流れる。
【実施例】
【0109】
以下、本発明に係る金属製多孔体1の製造方法で製造された金属製多孔体1の詳細を実施例に基づいて具体的に説明する。
【0110】
本発明に係る金属製多孔体1の製造方法によって製作した金属製多孔体1と従来から使用されている金属製多孔体について、圧力損失の確認テスト及び圧縮強度の確認テストを行い、両者の比較を行った。なお、従来から使用されている金属製多孔体は、本発明の金属製多孔体1の製造方法の途中で形成される中間体をそのままプレスして完成させた金属製多孔体をいう。すなわち、従来から使用されている金属製多孔体は、星形多角体形成工程を経ないで完成したものである。
【0111】
[実施例1]
実施例1は、直径が0.36mmの白なまし鉄線の金属素線10を金網連続体形成工程、分割工程、中間体形成工程、星形多角体形成工程、及び成型工程を経て製作された金属製多孔体である。金網連続体形成工程では、金属素線10をメリヤス編みして金網連続体を形成した。金属製多孔体の軸方向の長さは10mmである。
【0112】
[実施例2]
実施例2は、直径が0.70mmの白なまし鉄線の金属素線10を、実施例1と同様の製造方法で製作した金属製多孔体である。金属製多孔体の軸方向の長さは10mmである。
【0113】
[比較例1]
比較例1は、実施例1と同じ金属素線1を金網連続体形成工程、分割工程、中間体形成工程、及び成型工程を経て製作された金属製多孔体である。金網連続体形成工程では、金属素線10をメリヤス編みして金網連続体を形成した。金属製多孔体の軸方向の長さは10mmである。
【0114】
[比較例2]
比較例2は、直径が0.70mmの白なまし鉄線の金属素線10を、比較例1と同様の製造方法で製作した金属製多孔体である。金属製多孔体の軸方向の長さは10mmである。
【0115】
[圧力損失の確認テスト]
圧力損失の確認テストは、テストサンプルの径方向に流体を流した場合と、テストサンプルの軸方向に流体を流した場合とについて行った。
【0116】
〈径方向の圧力損失の確認テスト〉
径方向の確認テストは、テストサンプルの内周側から外周側にエアを流し、圧力損失を測定した。確認テストは、流量が50リットル/分、70リットル/分及び100リットル/分のエアを流して行った。また、確認テストは、
図15に示すように、テストサンプルの周方向を4つの領域I,II,III,IVに分けて、各領域I,II,III,IVについて圧力損失を測定した。具体的には、金属製多孔体の軸方向の両側の端面を塞ぐと共に、周方向の1/4の部分を欠いたリング状のジグ110をテストサンプルの外周にはめ込み、ジグ110を周方向に1/4周ずつ回転させて行った。なお、確認テストは、実施例及び比較例ともに2個ずつ行った。
【0117】
評価は、各テストサンプルの4箇所の測定結果の平均値を算出し、平均値に対して最大で何%ばらついているかを求めて行った。なお、ここでいう最大のばらつきとは、平均値に対してプラス側にばらついた最大の値と、平均値に対してマイナス側にばらついた最大の値のうち、平均値との差が大きい方の値を意味する。
【0118】
(テスト結果)
表1は、確認テストのテスト結果を示した表である。
【0119】
【表1】
【0120】
実施例1の第1サンプルは、表1に示すように、平均値に対するばらつきが、流量が50リットル/分のときに7.3%、70リットル/分のときに7.8%、100リットル/分のときに6.5%であった。また、実施例1の第2サンプルは、平均値に対するばらつきが、流量が50リットル/分のときに17.1%、70リットル/分のときに16.8%、100リットル/分のときに18.1%であった。第1サンプルと第2サンプルとの平均は、流量が50リットル/分のときに12.2%、70リットル/分のときに12.3%、100リットル/分のときに12.3%である。
【0121】
実施例2の第1サンプルは、表1に示すように、平均値に対するばらつきが、流量が50リットル/分のときに14.6%、70リットル/分のときに12.0%、100リットル/分のときに11.6%であった。また、実施例2の第2サンプルは、平均値に対するばらつきが、流量が50リットル/分のときに7.2%、70リットル/分のときに8.8%、100リットル/分のときに11.0%であった。第1サンプルと第2サンプルとの平均は、流量が50リットル/分のときに10.9%、70リットル/分のときに10.4%、100リットル/分のときに11.3%である。
【0122】
一方、比較例1の第1サンプルは、平均値に対するばらつきが、流量が50リットル/分のときに37.5%、70リットル/分のときに38.1%、100リットル/分のときに33.8%であった。また、比較例1の第2サンプルは、平均値に対するばらつきが、流量が50リットル/分のときに27.0%、70リットル/分のときに27.2%、100リットル/分のときに26.8%であった。第1サンプルと第2サンプルとの平均は、流量が50リットル/分のときに32.2%、70リットル/分のときに32.6%、100リットル/分のときに30.3%である。
【0123】
比較例2の第1サンプルは、平均値に対するばらつきが、流量が50リットル/分のときに38.3%、70リットル/分のときに34.3%、100リットル/分のときに34.5%であった。また、比較例2の第2サンプルは、平均値に対するばらつきが、流量が50リットル/分のときに22.0%、70リットル/分のときに26.1%、100リットル/分のときに27.8%であった。第1サンプルと第2サンプルとの平均は、流量が50リットル/分のときに30.1%、70リットル/分のときに30.2%、100リットル/分のときに31.2%である。
【0124】
以上のテスト結果から分かるように、本発明の金属製多孔体1の製造方法で製作した金属製多孔体1は、従来の金属製多孔体よりも、流体が径方向に流れる場合の圧力損失が、周方向においてばらつきが小さい。
【0125】
〈軸方向の圧力損失の確認テスト〉
軸方向の確認テストは、テストサンプルの軸方向の一方の端面から他方の端面にエアを流し、圧力損失を測定した。確認テストは、流量が50リットル/分、70リットル/分及び100リットル/分のエアを流して行った。また、確認テストは、
図16に示すように、テストサンプルの周方向を4つの領域I,II,III,IVに分けて、各領域I,II,III,IVについて圧力損失を測定した。具体的には、金属製多孔体の外周面と内周面とを塞ぐと共に、周方向の1/4の部分を欠いたリング状のジグ120で軸方向の両端面について周方向の3/4の部分を塞ぎ、周方向に1/4周ずつ回転させて行った。なお、確認テストは、実施例及び比較例ともに2個ずつ行った。
【0126】
評価は、各テストサンプルの4箇所の測定結果の平均値を算出し、平均値に対して最大で何%ばらついているかを求めて行った。なお、ここでいう最大のばらつきとは、平均値に対してプラス側にばらついた最大の値と、平均値に対してマイナス側にばらついた最大の値のうち、平均値との差が大きい方の値を意味する。
【0127】
(テスト結果)
表2は、確認テストのテスト結果を示した表である。
【0128】
【表2】
【0129】
実施例1の第1サンプルは、表2に示すように、平均値に対するばらつきが、流量が50リットル/分のときに11.9%、70リットル/分のときに16.3%、100リットル/分のときに14.9%であった。また、実施例1の第2サンプルは、平均値に対するばらつきが、流量が50リットル/分のときに13.9%、70リットル/分のときに8.0%、100リットル/分のときに7.6%であった。第1サンプルと第2サンプルとの平均は、流量が50リットル/分のときに12.9%、70リットル/分のときに12.2%、100リットル/分のときに11.2%である。
【0130】
実施例2の第1サンプルは、表2に示すように、平均値に対するばらつきが、流量が50リットル/分のときに11.5%、70リットル/分のときに16.5%、100リットル/分のときに13.4%であった。また、実施例2の第2サンプルは、平均値に対するばらつきが、流量が50リットル/分のときに20.8%、70リットル/分のときに8.9%、100リットル/分のときに8.8%であった。第1サンプルと第2サンプルとの平均は、流量が50リットル/分のときに16.2%、70リットル/分のときに12.7%、100リットル/分のときに11.1%である。
【0131】
一方、比較例1の第1サンプルは、平均値に対するばらつきが、流量が50リットル/分のときに37.4%、70リットル/分のときに37.4%、100リットル/分のときに35.9%であった。また、比較例1の第2サンプルは、平均値に対するばらつきが、流量が50リットル/分のときに26.7%、70リットル/分のときに27.3%、100リットル/分のときに26.3%であった。第1サンプルと第2サンプルとの平均は、流量が50リットル/分のときに32.1%、70リットル/分のときに32.4%、100リットル/分のときに31.1%である。
【0132】
比較例2の第1サンプルは、平均値に対するばらつきが、流量が50リットル/分のときに44.9%、70リットル/分のときに42.5%、100リットル/分のときに52.0%であった。また、比較例2の第2サンプルは、平均値に対するばらつきが、流量が50リットル/分のときに23.1%、70リットル/分のときに26.6%、100リットル/分のときに28.5%であった。第1サンプルと第2サンプルとの平均は、流量が50リットル/分のときに34.0%、70リットル/分のときに34.6%、100リットル/分のときに40.3%である。
【0133】
以上のテスト結果に示されているように、本発明の金属製多孔体1の製造方法で製作した金属製多孔体1は、従来の金属製多孔体よりも、流体が軸方向に流れる場合の圧力損失が、周方向においてばらつきが小さい。
【0134】
[圧縮強度の確認テスト]
圧縮強度の確認テストは、テンシロン万能試験機(株式会社エー・アンド・デイ社製RTG−1310)を用いてテストサンプルを軸方向に圧縮し、圧縮荷重と変位との関係を測定した。確認テストは、テストサンプルを圧縮する速度を5mm/分とし、荷重限界を5000ニュートンとして行った。なお、確認テストは、実施例1,2及び比較例1,2のいずれについても1つずつ行った。
【0135】
(テスト結果)
図17に示すグラフは、実施例1と比較例1とのテスト結果を示している。このグラフの横軸は変位を表し、グラフの縦軸は圧縮荷重を表している。また、実線は、実施例1を表し、破線は、比較例1を表している。
【0136】
実施例1は、
図17のグラフの実線に示すように、荷重が1000ニュートンのときでも、変位が0.5mmよりも小さく、荷重が2000ニュートンのときに、変位が約0.5mmになっている。そして、荷重が5000ニュートンのときに、変位が約0.82mmである。
【0137】
一方、比較例1は、
図17のグラフの破線に示すように、実施例1のグラフよりも全体的に右側にシフトしている。具体的には、荷重が1000ニュートンのときに、変位が既に約0.5mmに達している。また、荷重が5000ニュートンのときに、変位が約0.94mmである。
【0138】
図18に示すグラフは、実施例2と比較例2とのテスト結果を示している。このグラフの横軸は変位を表し、グラフの縦軸は圧縮荷重を表している。また、実線は、実施例2を表し、破線は、比較例2を表している。
【0139】
実施例2は、
図18のグラフの実線に示すように、荷重が1000ニュートンのときでも、変位が0.5mmよりも小さく、荷重が2000ニュートンのときに、変位が約0.5mmになっている。そして、荷重が5000ニュートンのときに、変位が約0.80mmである。
【0140】
一方、比較例2は、
図18のグラフの破線に示すように、実施例2のグラフよりも全体的に右側にシフトしている。具体的には、荷重が1000ニュートンのときに、変位が既に約0.5mmに達している。また、荷重が5000ニュートンのときに、変位が約0.94mmである。
【0141】
以上のテスト結果に示されているように、本発明に係る金属製多孔体1の製造方法で製作した金属製多孔体1と、従来の金属製多孔体とを同じ条件で圧縮した場合、本発明の金属製多孔体1の製造方法で製作した金属製多孔体1は、従来の金属製多孔体よりも変形量が小さく、強度が高い。
【0142】
また、本発明に係る金属製多孔体の製造方法で製造した金属製多孔体1及び従来の製造方法で製造した金属製多孔体を切断し、断面を顕微鏡で拡大して詳細に調査することによって両者の差異を検討した。本願の出願時点では、金属製多孔体の内部構造を調査する場合、過大な経済的支出を伴わず、過大な時間を費やさないで調査する方法としては、金属製多孔体を切断し、断面を顕微鏡で拡大して調査することが実際的な方法である。
【0143】
金属製多孔体を切断し、断面を顕微鏡で拡大して調査した結果、本願発明に係る製造方法で製造した金属製多孔体の内部構造と従来の製造方法で製造した金属製多孔体の内部構造の差異を確認することができなかった。