(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0004】
与信業務における電子稟議書を更新する方法であって、前記方法は、
第1の担当者が入力した稟議内容データを受信するステップと、
前記受信した稟議内容データに基づいて、稟議データを作成するステップと、
前記第1の担当者からの第1の回付指示を受信するステップと、
前記第1の回付指示に応答して、前記稟議データを第2の担当者に回付するステップと、
前記第2の担当者からの第2の回付指示を受信するステップと、
前記第2の回付指示に応答して、前記稟議データを承認し、第3の担当者に回付するステップと、
前記第3の担当者からの第3の回付指示を受信するステップと、
前記第3の回付指示に応答して、前記稟議データを決裁し、前記第2の担当者に回付するステップと、
前記稟議データの第1の更新データを受信するステップと、
前記第1の更新データに基づいて、前記稟議データを更新するステップと
を備えたことを特徴とする。
【0005】
また、前段落に記載の発明は、
前記第2の担当者が入力した契約内容データを受信するステップと、
前記受信した契約内容データに基づいて、契約データを作成するステップと、
前記第2の担当者からの第4の回付指示を受信するステップと、
前記第4の回付指示に応答して、前記契約データを第4の担当者に回付するステップと、
前記第4の担当者からの第5の回付指示を受信するステップと、
前記第5の回付指示に応答して、前記契約データの決裁し、第5の担当者に回付するステップと、
前記第5の担当者からの実行指示を受信するステップと、
前記実行指示に応答して、前記契約データに基づいて、貸付処理を実行するステップと、
前記契約データの第2の更新データを受信するステップと、
前記第2の更新データに基づいて、前記契約データを更新するステップと
をさらに備えたことを特徴とする。
【0006】
さらに、前2段落に記載の発明は、
前記第1乃至5の回付指示のうちのいずれか1つ、または前記実行指示に応答して、稟議承認および貸付実行状況を示すステータスデータを更新するステップと、
前記ステータスデータに基づいて、前記稟議データまたは前記契約データの更新可否を判定するステップと、
前記ステータスデータに基づいて、前記稟議データまたは前記契約データを更新可能な担当者を判定するステップと
をさらに備えたことを特徴とする。
【0007】
以上説明したように、本発明により、決裁前であっても融資関係当事者の信用データが更新された場合は、稟議書に反映することができ、最新の信用データに基づいて決裁、延いては貸付実行することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態に係る電子稟議システムの概要を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム構成を示す図である。
図1において、データセンタなどに設置された金融機関サーバ101は、ネットワーク102(例えば、インターネット)を介して、顧客端末103a、・・・、103n(以下、まとめて「顧客端末103」という)、および金融機関端末104a、・・・、104n(以下、まとめて「金融機関端末104」という)と通信を行なうように構成されている。なお、
図1において、金融機関サーバ101を単一のサーバとして示しているが、複数のサーバによる分散システムとして構成することも可能である。
【0010】
顧客端末103は、顧客が利用するための端末である。本発明において顧客とは、融資契約に係る利用顧客などである。利用顧客は、顧客端末103を用いて、金融機関サーバ101にアクセスし、例えば、専用サイトを介して、借入申込を行なうことができる。また、利用顧客は、顧客端末103を用いて、フロント部署が作成した融資に関する提案データを参照しながら、融資契約に基づく借入申込を行なうこともできる。さらに、利用顧客は、顧客端末103を用いて、フロントミドル部署が作成した契約データを参照しながら、融資契約を締結することができる。
【0011】
金融機関端末104は、融資取引サービスを行なう金融機関における各支店の担当者が利用するための端末である。利用顧客からの借入申込を受け、金融機関担当者は、金融機関端末104を用いて、利用顧客に対して融資に関する提案データを作成し、折衝することができる。また、金融機関担当者は、金融機関端末104を用いて、金融機関サーバ101にアクセスし、稟議書(稟議データ)を作成、確認(承認)、および決裁することができる。さらに、信用データの更新があった場合、金融機関担当者は、金融機関端末104を用いて、承認済みの稟議データを更新することができる。そして、金融機関担当者は、金融機関端末104を用いて、金融機関サーバ101を介して融資契約に基づく貸付処理を実行することができる。
【0012】
金融機関サーバ101は、顧客端末103を介して利用顧客からの借入申込を受けることができ、その旨を金融機関端末104に示すことができる。また、金融機関サーバ101は、金融機関端末104から作成および更新された稟議データ、契約データ、および調査カードデータ(信用データを含む顧客マスタデータ)を受信し、記憶装置に記憶することができる。なお、調査カードデータの基となる信用データは他システムによって収集される場合もあり、金融機関サーバ101は他システムから当該信用データを受信し、調査カードデータとして記憶装置に記憶することもできる。さらに、金融機関サーバ101は、金融機関端末104から貸付実行の指示を受け、貸付処理を実行することができる。
【0013】
次に、金融機関サーバ101の構成を詳細に説明する。なお、
図1では、単一のコンピュータシステムを想定し、必要な機能構成だけを示している。
【0014】
金融機関サーバ101は、CPU110に、システムバス115を介してRAM111、入力装置112、出力装置113、通信制御装置114、および不揮発性記憶媒体(ROMやHDDなど)で構成される記憶装置116が接続された構成を有する。記憶装置116は、電子稟議システムの各機能を奏するためのソフトウェアプログラムを格納するプログラム格納領域と、当該ソフトウェアプログラムで取り扱うデータを格納するデータ格納領域とを備えている。以下に説明するプログラム格納領域の各手段は、実際は独立したソフトウェアプログラム、そのルーチンやコンポーネントなどであり、CPU110によって記憶装置116から呼び出されRAM111のワークエリアに展開されて、データベースなどを適宜参照しながら順次実行されることで、各機能を奏するものである。
【0015】
次に、記憶装置116におけるプログラム格納領域に格納されているソフトウェアプログラムは、本発明に関連するものだけを列挙すると、データ送受信手段120、稟議データ作成手段121、コントロールカードデータ作成手段122、契約データ作成手段123、貸付実行手段124、および調査カードデータ作成手段125を備えている。これらの手段は、CPU110によって実行される。
【0016】
データ送受信手段120は、ネットワーク102を介して、顧客端末103および金融機関端末104とデータのやり取りを行う。
【0017】
稟議データ作成手段121は、金融機関端末104を介して入力された稟議書に関するデータに基づいて、稟議データを作成し、稟議データ記憶部130に格納する。また、稟議データ作成手段121は、金融機関端末104からの要求に応じて稟議データ記憶部130に格納された稟議データを検索し、金融機関端末104を介した稟議書の更新要求に応じて、稟議データ記憶部130の該当データを更新する。さらに、稟議データ作成手段121は、金融機関端末104を介した稟議書の承認や決裁などの要求に応じて、稟議データ記憶部130の対応する稟議データを更新する。
【0018】
コントロールカードデータ作成手段122は、稟議データの作成と同タイミングで、稟議状況などを管理するためのコントロールカードデータを作成し、コントロールカードデータ記憶部131に格納する。また、コントロールカードデータ作成手段122は、金融機関端末104を介した稟議書の承認や決裁などの要求に応じて、コントロールカードデータ記憶部131の対応するコントロールカードデータを更新する。
【0019】
契約データ作成手段123は、金融機関端末104を介して入力された契約書に関するデータに基づいて、契約データ(図示せず)を作成し、記憶部に格納する。また、契約データ作成手段123は、金融機関端末104からの要求に応じて記憶部に格納された契約データを検索し、金融機関端末104を介した契約書の更新要求に応じて、記憶部に格納された該当データを更新する。
【0020】
貸付実行手段124は、金融機関端末104からの要求に応じて、稟議データおよび契約データなどに基づいて、利用顧客からの申込内容に対する貸付処理を実行する。
【0021】
調査カードデータ作成手段125は、金融機関端末104を介して入力された、または他システムから連携された信用データを含む顧客マスタデータに基づいて、調査カードデータを作成し、調査カードデータ記憶部133に格納する。また、調査カードデータ作成手段125は、金融機関端末104を介した、または他システムから連携された更新データに基づいて、調査カードデータ記憶部133に格納された調査カードデータを更新する。
【0022】
記憶装置116におけるデータ格納領域は、本発明に関連するものだけを列挙すると、稟議データ記憶部130、コントロールカードデータ記憶部131、担当者データ記憶部132、調査カードデータ記憶部133を備える。いずれも、記憶装置116内に確保された一定の記憶領域である。
【0023】
稟議データ記憶部130は、融資取引における稟議書に係るデータを格納する。
図2は、本発明の一実施形態に係る稟議データ記憶部130に格納されたデータを示す図である。
図2における稟議データは、稟議書を一意に示す「稟議番号」、稟議のバージョンを示す「枝番」、稟議データを作成した主管店を一意に示す「担当支店コード」、稟議データの作成者(フロント部署担当者)を一意に示す「担当者コード」、稟議データの承認者(フロントミドル部署担当者)を一意に示す「承認者コード」、稟議データの決裁者(審査部担当者)を一意に示す「決裁者コード」、金融機関の取引先の勘定店を一意に識別させる「勘定店番号」、取引先の管理店を一意に識別させる「管理店番号」、取引先の口座番号を示す「口座番号」、取引先を一意に示す「取引先ID」(調査カードデータ(
図5)と紐付けられる)、稟議金額を示す「稟議金額」、貸付の実行予定日を示す「実行予定日」、稟議の取り扱い期限を示す「取扱期限」、電子稟議書ファイルを格納するための、または格納先を示す「稟議書ファイル」、年利区分を示す「年利区分」、およびその他の条件の有無を示す「その他条件有無」を格納する。
図2における稟議データのレコードは、「稟議番号」と「枝番」とで一意に示される。例えば、稟議データを更新登録すると、「枝番」が、シーケンシャルに増えていく形で登録される。そのため、同一の稟議データ(「稟議番号」が同一)を検索する場合は、「枝番」が最も多いデータを最新版の稟議データとして取得することができる。「年利区分」は、貸付に対する年利ベースを示す数値(1:365日ベース、2:360日ベース)を設定することができる。「その他条件有無」は、本データの条件以外の条件の有無を示す数値(0:その他条件無し、1:その他条件有り)を設定することができる。例えば、「1:その他条件有り」の場合は、本データ以外の別の条件データを参照することもできる。
【0024】
コントロールカードデータ記憶部131は、与信業務における稟議および貸付状況を管理するためのデータを格納する。一実施形態において、本データは、稟議データ記憶部130に格納される稟議データが作成するタイミングで併せて作成される。
図3は、本発明の一実施形態に係るコントロールカードデータ記憶部131に格納されたデータを示す図である。
図3におけるコントロールカードデータは、コントロールカードを一意に示す「CC番号」、稟議書を一意に示す「稟議番号」(稟議データ(
図2)と紐付けられる)、契約書(契約データ)を一意に示す「契約番号」(契約データと紐付けられるため、契約書未作成の場合は空データなどが設定される)、ミドルバック/バック部署のある支店を一意に示す「MB/B支店コード」、決裁済み稟議書および契約書のチェックを行う担当者(ミドルバック部署担当者)を一意に示す「MB担当者コード」、貸付実行を行う担当者(バック部署担当者)を一意に示す「B担当者コード」、稟議承認および貸付実行状況を示す「ステータスID」契約書の署名前に確認すべき貸付条件が充足されたか否かを示す「署名前条件充足」、契約書のチェック状況を示す「契約書チェック」、契約書の署名状況を示す「署名」、および貸付実行後に確認すべき貸付条件が充足されたか否かを示す「貸付後条件充足」を格納する。「ステータスID」には、稟議承認状況などを示す数値(例えば、0:稟議作成中、1:稟議承認待ち、2:稟議承認済、3:稟議決裁済、4:契約チェック待ち、5:契約チェック済、6:貸付実行済)を設定することができる。「署名前条件充足」および「貸付後条件充足」には、各々における貸付条件の充足状況を示す数値(例えば、0:Incomplete(未充足)、1:Complete(充足))を設定することができる。また、「契約書チェック」には、契約書のチェック状況を示す数値(例えば、0:未チェック、1:チェック中(修正中)、2:チェック済)を設定することができる。
【0025】
担当者データ記憶部132は、金融機関における担当者に係るデータを格納する。
図4は、本発明の一実施形態に係る担当者データ記憶部132に格納されたデータを示す図である。
図4における担当者データは、担当者を一意に示す「担当者コード」(稟議データ(
図2)およびコントロールカードデータ(
図3)における各担当者コードと紐付けられる)、担当者の氏名を示す「担当者名」、担当者の所属する支店を一意に示す「所属支店コード」、および担当者の役割を示す「ロール」を格納する。「ロール」には、担当者の役割を示す数値(例えば、0:その他、1:フロント、2:フロントミドル、3:ミドルバック、4:バック、5:審査部)を設定することができる。
【0026】
調査カードデータ記憶部133は、信用データを含む顧客マスタデータを格納する。
図5は、本発明の一実施形態に係る調査カードデータ記憶部133に格納されたデータを示す図である。
図5における調査カードデータは、取引先(顧客)を一意に示す「取引先ID」、取引先の名称を示す「取引先名」、取引先の本店住所を示す「本店所在地」、取引先の設立年月日を示す「設立年月日」、取引先の従業員数を示す「従業員数」、取引先の業種を示す「業種」、取引先の役員構成を示す「役員構成」、取引先の株主構成を示す「株主構成」、取引先の決算内容を示す「決算内容」、取引先の取引状況を示す「取引状況」、取引先の株式状況(上場・非上場の別、上場マーケット、株価など)を示す「株式状況」、格付機関などにより付与された取引先の信用に関する評価結果である格付を示す「格付」、および取引先のグループ関係を示す「グループ関係」を格納する。なお、「役員構成」以下のデータ項目は、内容によって複数項目や複数レコード、または別データテーブルによって管理することもできる。なお、調査カードデータは、当該データに基づいて稟議書作成や貸付実行を行うため、予め登録されていることを前提としている。
【0027】
次に、
図6、7Aおよび7B(以下、
図7Aおよび7Bをまとめて
図7という)のフロー図、ならびに
図2−5のデータを参照して、本発明の一実施形態に係るシステムを用いた貸付実行処理を流れに沿って説明する。
図6は、グローバル企業向けの貸付実行業務の一例を示すフロー図である。
図6では、A国に本社を置くX社が、B国にある自社工場に対して融資を受けたい場合を想定している。X社本社の担当者が、A国の金融機関a支店に対して融資申し込みを行う。これは、来店、電話、または専用サイトなどを介して行われる。a支店のフロント部署の担当者は、融資申し込みおよびX社に係る調査カードデータ(
図5)に基づいて、X社と折衝を行い、稟議書(稟議データ)を作成する。次に、作成された稟議書は、フロントミドル部署に回付され、当該部署の担当者によって稟議内容のチェックが行われる。フロントミドル部署によるチェックで問題なければ、稟議書は承認され、C国にある金融機関の審査部に回付される。審査部の担当者は、融資予定先の顧客が与信条件を充足しているかなどの判断(与信判断)を行い、充足している場合、稟議書の決裁を行う。決裁された稟議書は、再度、フロントミドル部署に回付される。フロントミドル部署の担当者は、稟議書の決裁に対して、顧客との融資契約のための契約書(契約データ)を作成する。作成された契約書は、顧客に提示され、署名される。次に、フロントミドル部署から、署名済みの契約書および決裁済みの稟議書が、B国の金融機関b支店に回付される。b支店のミドルバック部署の担当者は契約書および稟議書をチェックする。チェックした結果、問題なければ、b支店のバック部署の担当者により、契約書に基づいてX社の工場に対して貸付実行される。上記一連の与信業務、または当該与信業務の一部は、システムを介して行われる。
【0028】
図7は、本発明の一実施形態に係るシステムを用いた貸付実行処理を示すフローチャートである。まず、ステップ101において、データ送受信手段120は、利用顧客から顧客端末103を介して借入申込の旨を受信する。これは、例えば、利用顧客が顧客端末103を用いて専用サイトにアクセスし、申込内容を入力後、申込ボタンを押下することにより行われる。
【0029】
顧客端末103からの借入申込を受け、フロント部署の担当者は金融機関端末104を用いて、稟議書を作成する(ステップ102)。これも、専用サイトにアクセスすることにより行われ、担当者により入力された稟議内容(入力データ)に基づいて、稟議データ作成手段121が稟議データ(
図2)を作成し、稟議データ記憶部130に格納する。また、稟議データが作成されると、コントロールカードデータ作成手段122は、コントロールカードデータ(
図3)を作成し、コントロールカードデータ記憶部131に格納する。この際、当該稟議データを一意に識別させるための「稟議番号」がコントロールカードデータ(
図3)に設定される。これにより、稟議データ(
図2)とコントロールカードデータ(
図3)との紐付けが行われる。また、コントロールカードデータの作成時は、当該データの「ステータスID」には、「0:稟議作成中」が設定される。なお、「ステータスID」が「0:稟議作成中」の場合、作成した担当者のみが稟議データを更新できるように、稟議データ(
図2)の「担当者コード」を用いて制御することもできる。これは、例えば、各担当者が専用サイトにログインするように制御し、ログイン担当者に対応する担当者コードか否かを判定し、対応する場合にのみ稟議データを更新可能、対応しない場合は参照のみ、などと制御することができる。なお、この「ステータスID」を用いた更新者の制御は、この後の各ステータスにおいても同様のことが言え、各ステータスによって更新できる担当者を制御することができる。
【0030】
次に、データ送受信手段120はフロント部署の担当者から金融機関端末104を介した稟議データの回付指示を受信し、ステップ102で作成した稟議データをフロントミドル部署に回付する(ステップ103)。これは、例えば、コントロールカードデータ作成手段122が、コントロールカードデータ(
図3)の「ステータスID」を「1:稟議承認待ち」、稟議データ(
図2)の「承認者コード」を回付先の担当者コード(
図4の担当者データより)に更新することにより行われる。なお、回付先の担当者コードは、金融機関端末104を介して、フロント部署の担当者が指定することもできるし、予め回付ルートをデータとして保持しておいて、当該データに従って設定することもできる。
【0031】
稟議データがフロントミドル部署に回付されると、フロントミドル部署の担当者は、稟議内容のチェックを行う(ステップ104)。当該チェックにより問題ない場合、稟議書は承認され、ステップ104のYesルートに進み、データ送受信手段120はフロントミドル部署の担当者から金融機関端末104を介した稟議データの回付指示を受信し、承認した稟議データを審査部に回付する(ステップ106)。これは、例えば、コントロールカードデータ作成手段122が、コントロールカードデータ(
図3)の「ステータスID」を「2:稟議承認済」、稟議データ(
図2)の「決裁者コード」を回付先の担当者コード(
図4の担当者データより)に更新することにより行われる。なお、ステップ103同様、回付先の担当者コードは、金融機関端末104を介して、フロントミドル部署の担当者が指定することもできるし、予め回付ルートをデータとして保持しておいて、当該データに従って設定することもできる。
【0032】
一方、稟議内容のチェックに問題ある場合は、ステップ104のNoルートに進み、フロント部署またはフロントミドル部署の担当者は、金融機関端末104を介して稟議データを修正することができる(ステップ105)。修正された稟議データは、稟議データ作成手段121が稟議データ記憶部130に反映する。
【0033】
稟議データが審査部に回付されると、審査部の担当者は、調査カードデータ(
図5)における信用データが稟議書作成時と比較して更新されているか否かの判断を行う(ステップ107)。信用データが更新されている場合、ステップ107のYesルートに進み、フロント部署またはフロントミドル部署の担当者は、金融機関端末104を介して稟議データを更新することができる(ステップ108)。更新された稟議データは、稟議データ作成手段121が稟議データ記憶部130に反映する。
【0034】
一方、信用データが更新されていない場合、ステップ107のNoルートに進み、審査部の担当者は、融資関係当事者が与信条件を充足しているかなどの判断(与信判断)を行う(ステップ109)。与信条件を充足していない場合、貸付実行は不可と判断され、ステップ109のNoルートに進み、本処理は終了する。
【0035】
一方、与信条件を充足している場合、稟議書は決裁され、ステップ109のYesルートに進み、データ送受信手段120は審査部の担当者から金融機関端末104を介した稟議データの回付指示を受信し、決裁した稟議データをフロントミドル部署に回付する(ステップ110)。これは、例えば、コントロールカードデータ作成手段122が、コントロールカードデータ(
図3)の「ステータスID」を「3:稟議決裁済」、「稟議書決裁」を「1:決裁済」に更新することにより行われる。なお、「ステータスID」または「稟議書決裁」を用いて、例えば、決裁済の稟議データ(
図2)は更新できないように制御することもできる。
【0036】
稟議データが審査部からフロントミドル部署に回付されると、フロントミドル部署の担当者は、契約書を作成する(ステップ111)。これも、専用サイトにアクセスすることにより行うことができ、担当者により入力された契約内容(入力データ)に基づいて、契約データ作成手段123が契約データを作成する。この際、コントロールカードデータ作成手段122は、当該契約データを一意に識別させるための「契約番号」をコントロールカードデータ(
図3)に設定する。これにより、契約データとコントロールカードデータ(
図3)との紐付けが行われる。また、契約書の作成には、顧客による署名も含まれる。顧客による署名は、顧客が顧客端末103を用いて、専用サイトを介して署名することもできる。
【0037】
次に、データ送受信手段120はフロント部署の担当者から金融機関端末104を介した契約データの回付指示を受信し、ステップ111で作成した契約データをミドルバック部署に回付する(ステップ112)。これは、例えば、コントロールカードデータ作成手段122が、コントロールカードデータ(
図3)の「ステータスID」を「4:契約チェック待ち」、「M/B支店コード」および「MB担当者コード」を回付先の支店コードおよび担当者コード(
図4の担当者データより)に更新することにより行われる。なお、回付先の担当者コードは、金融機関端末104を介して、フロントミドル部署の担当者が指定することもできるし、予め回付ルートをデータとして保持しておいて、当該データに従って設定することもできる。
【0038】
契約データがミドルバック部署に回付されると、ミドルバック部署の担当者は、契約書および稟議書のチェックを行う(ステップ113)。契約書などに不備がある場合、ステップ113のNoルートに進み、フロント部署またはフロントミドル部署の担当者は、金融機関端末104を介して稟議データおよび契約データを修正することができる(ステップ114)。この際、コントロールカードデータ作成手段122が、コントロールカードデータ(
図3)の「契約書チェック」を「1:チェック中(修正中)」に更新することにより、例えば、この後の貸付処理が実行されないように制御することができる。
【0039】
一方、契約書などに不備がない場合、ステップ113のYesルートに進み、データ送受信手段120はミドルバック部署の担当者から金融機関端末104を介した契約データの回付指示を受信し、チェックした契約データをバック部署に回付する(ステップ115)。これは、例えば、コントロールカードデータ作成手段122が、コントロールカードデータ(
図3)の「ステータスID」を「5:契約チェック済」、「契約書チェック」を「2:チェック済」に更新することにより行われる。なお、「ステータスID」を用いて、例えば、契約チェック済の契約データは更新できないように制御することもできる。同様に、稟議データ(
図2)の更新可否も制御することができる(例えば、契約チェック済の場合は稟議データも更新できないように制御することができる)。
【0040】
契約データがバック部署に回付されると、バック部署の担当者は、金融機関端末104を用いて、契約書に基づいて貸付処理を実行する(ステップ116)。これも、専用サイトにアクセスすることにより行うことができる。ステップ116の後、本処理は終了する。
【0041】
また、
図7のフロー図におけるステップ104や107のチェックを介さなくとも、フロント部署またはフロントミドル部署の担当者が自発的に信用データ(調査カードデータ(
図5))および/または稟議データ(
図2)を更新することもできる。
【0042】
以上より、本発明により、決裁前であっても融資関係当事者の信用データが更新された場合は、稟議書に反映することができ、最新の信用データに基づいて決裁、延いては貸付実行することができる。
近年、海外におけるビジネス規模の拡大に伴い、一国に留まらず複数の国に拠点を持つグローバル企業が増加している。各企業は、自国で借入申込を行い、金融機関の各国支店を通して、他国で融資を受けることもできるようになった。特に国を跨いだ融資を行う場合、稟議書は、複数国、複数支店、および複数の部門を回付されることになる。そのため、稟議書が回付されている間に、融資関係当事者の信用データが更新される場合がある。そのため、最新の信用データに基づいて稟議書の決裁、延いては貸付実行することができる方法およびシステムが求められている。決裁前であっても融資関係当事者の信用データが更新された場合は、稟議書に反映することができ、最新の信用データに基づいて稟議書の決裁、延いては貸付実行することができる方法およびシステムを提供する。