特許第6133535号(P6133535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6133535触覚フィードバックを有する電気外科用密封器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133535
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】触覚フィードバックを有する電気外科用密封器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   A61B18/12
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2011-267623(P2011-267623)
(22)【出願日】2011年12月7日
(65)【公開番号】特開2012-120841(P2012-120841A)
(43)【公開日】2012年6月28日
【審査請求日】2014年11月25日
(31)【優先権主張番号】12/962,462
(32)【優先日】2010年12月7日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500390995
【氏名又は名称】イマージョン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】IMMERSION CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】アリ モダーレス
(72)【発明者】
【氏名】ペドロ グレゴリオ
(72)【発明者】
【氏名】シェリル シメク
【審査官】 近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/008663(WO,A1)
【文献】 特表2005−536278(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/042786(WO,A2)
【文献】 特開2009−247887(JP,A)
【文献】 特開2005−021703(JP,A)
【文献】 特開2008−036441(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/083060(WO,A1)
【文献】 特表2012−505046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00 − 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトを介してハンドルに接続されている体内組織密封機構を備える遠位部を含む、体内組織を密封するように構成された電気外科用器具と、
前記電気外科用器具に連結されているセンサーであって、体内組織特性を監視するように構成されている、センサーと、
該センサーに電気的に接続されている制御システムであって、前記センサーから受け取った信号からセンサー情報を計算し、該センサー情報を処理して信号コマンドにするように構成されている、制御システムと、
前記ハンドルに連結されているとともに前記制御システムに電気的に接続されている1つ又は複数の触覚アクチュエーターを含むフィードバックシステムであって、前記制御システムは前記信号コマンドを該フィードバックシステムに伝達するように構成され、該フィードバックシステムは前記信号コマンドを用いて前記センサー情報に関する触覚フィードバックを前記ハンドルに生成するように構成されている、フィードバックシステムと、
前記器具の前記遠位部に展開可能な切開要素、及び該切開要素に連結されている変位センサーであって、前記フィードバックシステムによって生成される前記触覚フィードバックは、前記体内組織が前記切開要素によって切開される準備完了状態にあるかどうか、又は前記切開要素の切開速度が適切かどうかをユーザーに知らせるように構成されている、切開要素及び変位センサーと、
前記展開可能な切開要素に連結されているトリガーであって、前記1つ又は複数の触覚アクチュエーターは、前記触覚フィードバックとして動きに対する可変抵抗を可能にするように前記トリガーに連結されている運動感覚アクチュエーターを含む、トリガーと、
を備える、外科用器具システム。
【請求項2】
前記センサーは電気的な体内組織特性を監視するように構成されており、前記フィードバックシステムによって生成される前記触覚フィードバックは体内組織が完全に密封されたことをユーザーに知らせる、請求項1に記載の外科用器具システム。
【請求項3】
前記センサーは、前記電気外科用器具の前記遠位部に連結されているインピーダンスセンサーである、請求項2に記載の外科用器具システム。
【請求項4】
前記センサーは、前記ハンドルに連結されている第1の力センサーと、前記器具の前記遠位部に連結されている2つの対向するジョー部材に連結されている第2の変位センサーとを含み、前記フィードバックシステムによって生成された前記触覚フィードバックは、前記器具の前記遠位部に連結されている前記2つの対向するジョー部材内に位置する体内組織の厚さをユーザーに知らせる、請求項1に記載の外科用器具システム。
【請求項5】
前記体内組織は血管であり、前記センサーは、前記器具の前記遠位部に連結されており、圧力センサー及び変位センサーからなる群から選択され、前記フィードバックシステムによって生成された前記触覚フィードバックは、前記器具の前記遠位部に連結されている2つの対向するジョー部材内に前記血管が部分的にしか位置していないことをユーザーに知らせる、請求項1に記載の外科用器具システム。
【請求項6】
前記センサーは、前記器具の前記遠位部に連結されており、圧力センサー及び変位センサーからなる群から選択され、前記フィードバックシステムは、血管による拍動がないことを検出することによって前記体内組織が完全に密封されたことをユーザーに知らせる触覚フィードバックを生成するように構成されている、請求項1に記載の外科用器具システム。
【請求項7】
前記フィードバックシステムはまた、前記電気外科用器具に電気的に連結されている電源の動作状態についてユーザーに知らせる触覚フィードバックを生成するように構成されている、請求項1に記載の外科用器具システム。
【請求項8】
前記フィードバックシステムは、少なくとも振動フィードバック又は運動感覚フィードバックを含む触覚フィードバックを生成するように構成されている、請求項1に記載の外科用器具システム。
【請求項9】
前記触覚フィードバックを生成する前記信号コマンドはユーザーの経験レベルに応じて決まる、請求項1に記載の外科用器具システム。
【請求項10】
前記制御システムは、訓練モード及び熟練モードを含み、前記訓練モードにおける前記触覚フィードバックを生成する前記信号コマンドは、前記熟練モードにおける前記触覚フィードバックを生成する前記信号コマンドとは異なる、請求項9に記載の外科用器具システム。
【請求項11】
前記訓練モードにおいて、前記変位センサーからの測定値が、前記切開要素が切開位置にあることを示した際に、前記運動感覚アクチュエーターは、前記センサーによって測定されたインピーダンス値が第1の所定の値未満の場合には前記トリガーに最大抵抗を与え、該インピーダンス値が第2の所定の値より大きい場合には前記トリガーにゼロ抵抗を与え、該インピーダンス値が前記第1の所定の値と前記第2の所定の値の間にある場合には前記トリガーに、連続的に又は段階的に次第に減少する抵抗を与えるように構成されている、請求項10に記載の外科用器具システム。
【請求項12】
前記熟練モードにおいては、前記変位センサーからの測定値が、前記切開要素が前記切開位置にあることを示した際に、前記運動感覚アクチュエーターは、前記インピーダンス値が前記第2の所定の値未満の場合には切開部分のストローク開始時点で前記トリガーにおいて比較的小さな滞留を与え、前記インピーダンス値が前記第2の所定の値より大きい場合には前記トリガーにゼロ抵抗を与えるように構成されている、請求項11に記載の外科用器具システム。
【請求項13】
前記第1の所定の値は100オームであり、前記第2の所定の値は450オームである、請求項12に記載の外科用器具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、体内組織を処置する外科用器具であって、体内組織の処置に関する情報を処理し、統合された1つ又は複数のフィードバックモードでユーザーに、該器具のハンドルに表示する、外科用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
外科医が内臓器官にアクセスするために患者の皮膚に比較的大きな切開部を切り込む開腹手術とは対照的に、低侵襲性外科処置は、比較的小さな切開部を作り、次いでこの切開部を通じて器具を挿入して器官にアクセスすることによって行われる。通常、低侵襲性手術は結果として、入院期間がより短く、治療要件が減り、痛みがより少なく、傷跡がより小さく、かつ、合併症がより少ない。
【0003】
小さな切開部を伴う低侵襲性外科処置は、開腹手術よりも多くの利点を有しているが、依然として外科医に課題をもたらす可能性がある。例えば、外科医は典型的には、患者の内臓器官を見て器具の動き及び操作がどの程度それらの器官に作用しているかを確かめるために、切開部を通じて導入される小型カメラに頼らねばならない。このカメラは画像をビジュアルディスプレイへ送信し、外科医が内臓器官及び体内組織を見ること、並びにそれらの器官及び体内組織に対する他の低侵襲器具の作用を確かめることを可能にするものである。このように、外科医は、腹腔鏡手術、切開、焼灼、内視鏡検査、遠隔手術等を行うことができる。
【0004】
しかしながら、開腹手術と比較して、低侵襲性手術は、視覚及び触角による知覚に限界があり、このタイプの手術に固有の課題をもたらす。開腹手術及び低侵襲性手術の双方に関連する主要な懸念事項の1つは、力の不適切な使用又はエネルギー/熱の過剰な印加が場合によって引き起こす体内組織損傷の可能性である。例えば、電気外科用器具は高周波電流により体内組織を刺激することによって動作する。電流の周波数が器具の作用を制御し、この作用には密封/凝固及び/又は切除が含まれ得る。開腹手術及び低侵襲性手術の双方では、密封される体内組織は体内組織密封器具のジョー内でクランプされるが、ユーザーには見えず、そのため、電気外科終点に達したときを、すなわち、クランプされた体内組織が完全に密封されたときを判断する際、直接可視化が有用ではない。外科医は、体内組織を封止、切除するときを、又は他の変化が体内組織内に生じたときを判断するのに経験及び間接的な視覚化に頼らねばならない。上記に基づき、改善された低侵襲性外科用器具が必要とされており、特に、外科処置に関する改善されたフィードバックを有する低侵襲性外科用器具が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様によれば、外科用器具システムが提供される。外科用器具システムは、体内組織を密封するように構成された電気外科用器具と、該電気外科用器具に連結されているセンサーと、該センサーに電気的に接続されている制御システムと、ハンドルに連結されているとともに制御システムに電気的に接続されている1つ又は複数の触覚アクチュエーターを備えるフィードバックシステムとを含む。電気外科用器具は、シャフトを介してハンドルに接続されている体内組織密封機構を備える遠位部を含む。センサーは体内組織特性を監視するように構成されている。制御システムは、センサーから受け取った信号からのセンサー情報を計算し、そのセンサー情報を処理して信号コマンドにする。制御システムは信号コマンドをフィードバックシステムに伝達し、フィードバックシステムがこの信号コマンドを用いてセンサー情報に関する触覚フィードバックをハンドルに生成する。
【0006】
本発明の別の態様によれば、体内組織密封外科処置中にフィードバックをユーザーに与える方法が提供される。この方法は、電気外科用器具の遠位部に取り付けられている少なくとも1つのセンサーを介して体内組織密封外科処置中に体内組織特性を監視するステップと、センサー情報を処理するステップと、触覚フィードバックを電気外科用器具のハンドルに伝達するステップであって、触覚フィードバックはセンサー情報に関する、伝達するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態による、腹腔鏡外科用器具を含む外科用器具システム及び外部制御システムの側面図である。
図1A図1の腹腔鏡外科用器具の遠位端の拡大図である。
図2図1の外科用器具システムのブロック図である。
図3】体内組織密封サイクルの完了に関する触覚効果がユーザーに伝達される、本発明の一実施形態による外科用器具システムのブロック図である。
図4】切開待機に関する触覚効果がユーザーに伝達される、本発明の一実施形態による外科用器具システムのブロック図である。
図5】外科用器具のジョー内の体内組織の量又は厚さに関する触覚効果がユーザーに伝達される、本発明の一実施形態による外科用器具システムのブロック図である。
図6】外科用器具のジョー内の血管感知に関する触覚効果がユーザーに伝達される、本発明の一実施形態による外科用器具システムのブロック図である。
図7】エネルギー印加の状態に関する触覚効果がユーザーに伝達される、本発明の一実施形態による外科用器具システムのブロック図である。
図8】本発明の一実施形態による、触覚フィードバック機構及び聴覚フィードバック機構を有する外科用器具システムの側面図である。
図9】本発明の別の実施形態による、触覚フィードバック機構、聴覚フィードバック機構及び視覚フィードバック機構を有する外科用器具システムの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の上記の特徴及び利点並びに他の特徴及び利点は、添付の図面に示されているような本発明の実施形態の以下の説明から明らかとなるであろう。本明細書に組み込まれているとともに本明細書の一部をなす添付の図面は更に、本発明の原理を説明するとともに関連技術の当業者が本発明を作製及び利用することを可能にする役割を果たす。図面は一定の縮尺ではない。
【0009】
ここで、本発明の具体的な実施形態を、図を参照しながら説明し、図中、同様の参照符号は同一であるか又は機能上同様の要素を示す。用語「遠位」及び「近位」は以下の記載において、処置を行う臨床医に対する位置又は方向に対して用いられる。「遠位」又は「遠位方向に」は、臨床医から遠い位置又は臨床医から離れた方向にある位置を指す。「近位」及び「近位方向に」は、臨床医に近い位置又は臨床医に向かう方向にある位置を指す。
【0010】
以下の詳細な説明は本質的に例示にすぎず、本発明又は本発明の用途及び使用を限定することを意図しない。さらに、前掲の技術分野、背景、概説又は以下の詳細な説明において提示されている、明示又は示唆されたいかなる理論によっても束縛する意図はない。
【0011】
本発明の実施形態は、体内組織を密閉及び離断する腹腔鏡外科用器具100と、器具100に電気外科エネルギーを供給する制御システム112と、関連フィードバックを少なくとも触覚効果の形態でユーザーに生成する、器具100に一体化した触覚フィードバックシステム120とを含む、外科用器具システム101に関する。より詳細に本明細書に説明するように、フィードバックシステム120が与える触覚フィードバックは、限定はしないが、器具100のジョー内に位置する体内組織が完全に密閉されたとき、体内組織が切開される準備完了状態にあるとき、切開率又は速度、器具100のジョー内に位置する体内組織の量、及び血管が器具100のジョー内に位置しているかどうかといった体内組織特性を器具のユーザーに警報する。加えて、より詳細に本明細書で説明するように、フィードバックシステム120が与える触覚フィードバックは、限定はしないが、エネルギー印加の有無等、器具100の動作状態に関する情報をユーザーに供給することができる。
【0012】
図1図1A及び図2は、外科用器具又は装置100と制御システム112とを含む一実施形態の例示的な外科用器具システム101を示す。1つの実施形態では、外科用器具100は、トロカール又は他の低侵襲性アクセスポートを通して挿入されるように構成されている腹腔鏡器具である。別の実施形態(不図示)では、外科用器具100は開腹医療用体内組織密封処置に適合された外科用装置である。外科用器具100は、ハンドル102と、シャフト104と、ジョー部材108、109を有する遠位部106とを備える。ジョー部材108、109は、対向面108A、109Aをそれぞれ含み、それらの対向面は互いに向かって閉じるように構成されており、それらの間で体内組織をクランプ又は把持する。ジョー部材108、109は、ジョー部材108、109によって前進するにつれて展開可能な切開要素119を受け入れる、内部にそれぞれ形成されているチャネル(図1には示さず)を含む。例示目的のためだけに、切開要素119が、開いたジョー部材108、109内に部分的に展開されているものとして図1に示されている。当業者によって理解されるように、動作時、切開要素119は、ジョー部材108、109が互いに向かって閉じられてそれらの内部に体内組織をクランプしたときだけ、前進/展開する。シャフト104は、ハンドル102を遠位部106に接続するように、また、ハンドル102の機械的作用及び電気的作用を遠位部106に伝達するように設計されている。より詳細には、ハンドル102の動作は、ハンドル102から遠位部106まで延在する内部機械的コネクター(不図示)を通じてジョー部材108、109を開閉する。器具100が腹腔鏡器具である、図1の実施形態の幾つかの例によれば、シャフト104は長さが約20cm乃至30cmとすることができ、遠位部106は長さが約10mm乃至15mmとすることができる。加えて、シャフト104は典型的には直径が5mmであるが、直径が3mm、10mm及び12mmである器具も一般的に用いられる。ハンドル102を操作することによって、術者は遠位部106を患者の腹部に挿入することができ、ジョー部材108、109を制御することができる。1つの実施形態では、ハンドル102は、ジョー部材108、109を回転させて体内組織を把持及びクランプする位置にする回転可能なノブ103を備えることができる。体内組織がジョー部材間に位置決めされた後、ジョー部材108、109は互いに向かって閉じられて間で体内組織をクランプし、このクランプされた体内組織を密封するように電気外科エネルギーが制御システム112を介して印加される。クランプされた体内組織の凝固が生じた後、切開要素119は、クランプされた体内組織を切開するように前進することができる。1つの実施形態では、ハンドル102は、切開部材119を前進させる展開可能なトリガー121と、それによって電気外科エネルギーを印加する選択可能なオン−オフスイッチ123とを備えることができる。外科用器具100は例えば、Ethicon Endo-Surgery社製のENSEAL TRIO装置、又は体内組織を密封及び離断するのに適した他の腹腔鏡器具とすることができる。
【0013】
より詳細には、クランプされた体内組織を密封するために、ジョー部材108、109は、表面108A、109Aのそれぞれ一部に双極電極110、111をそれぞれ含む。1つの実施形態では、電極110、111は、体内組織が薄い場合に互いに接触しないように互いからずれている。制御システム112は、ジョー部材108、109間に位置する体内組織を密封するか又は凝固させるために電気外科エネルギーを電極110、111に供給する。1つの実施形態では、電極110、111は高周波(RF)電極であり、制御システム112は高周波(RF)発生器を含み、電極110、111はRFエネルギーを制御システム112から体内組織に印加する。しかしながら、電気エネルギー、超音波エネルギー、低温切除エネルギー等を含む、体内組織を加熱又は切除する他のタイプのエネルギーを制御システム112が発生させることができることは当業者によって理解されるはずであり、また、各場合では、電極110、111はそのタイプのエネルギーを体内組織に印加するのに適した対応する構成部材である。さらに、制御システム112は、代替的なタイプのエネルギーとともに用いられる場合、適した体内組織特性、システム特性、及び/又は動作特性を監視して、治療処置が完了したときを示すことができる。
【0014】
図示のように、外科用器具100は双極器具であり、制御システム112と、電極110及び111と、電極110及び111間に延びる体内組織との間に完全な電気回路が形成される。しかしながら、当業者には明らかであるように、外科用器具100は該器具の遠位部に1つ又は複数の電極と患者の身体(不図示)の外に位置決め可能な参照電極(すなわち、皮膚パッチ電極又は接地板)とを含む単極器具とすることができる。単極性の実施形態では、電流及び/又は電圧が制御システム112から器具の遠位部の電極を通って患者の外部の接地板又は参照電極に流れ込む。器具の遠位部に複数の電極が位置している場合、同じ電流及び/又は電圧が各電極を通って患者の外部の接地板又は参照電極に流れ込む。
【0015】
電極110、111は、シャフト104の少なくとも1つの内腔(不図示)を通って延びる2本の導電性リード線113、115をそれぞれ介して制御システム112に電気的に接続されている。電極110、111は任意の適した手段によって2本の導電性リード線の遠位端に固定取付けされることができる。例えば、電極は、溶接、はんだ付け、導電性接着剤の使用、該電極間への接続要素の追加、又は別の機械的方法により、取着することができる。2本のリード線113、115がシャフト104を通って延びて示されているが、当業者には、双極電極が器具100の遠位部106に一体化されている器具の場合にしか、2本のリード線が必要とされないことが理解されるであろう。逆に、単極器具では、外部リード線又はアース線を患者の外部の接地板又は参照電極に接続しつつ、制御システム112を1つ又は複数の電極に接続するようにシャフト104を通って延在する必要があるのは1本のリード線だけである。
【0016】
図2は、外科用器具システム101の主要な構成部材間の関係を更に示す、外科用器具システム101のブロック図である。制御システム112は、器具100が体内組織密封処置を行うことを可能にする電力を供給し、触覚効果をユーザーに与えるために器具100の遠位端106及び器具100のハンドル102の双方とやりとりも行う。より詳細には、制御システム112は、電源114と、より詳細に本明細書で説明するように器具100の1つ又は複数のセンサー140から測定値を受け取るプロセッサ116と、プロセッサ116からのセンサー情報を処理して触覚フィードバック信号又はコマンドにするように構成されたコントローラー又は触覚マッピングロジック118とを含む。1つの実施形態では、電源114と、プロセッサ116と、触覚マッピングロジック118とが組み合わせられて一体型の外部構成部材となり、この外部構成部材は、外科用器具100とは分離され、内部ワイヤー又は外部ワイヤーを介して電極110、111及び触覚フィードバックシステム120に電気的に接続されている。別の言い方をすれば、制御システム112の構成部材は全て、同じ外部器械ユニット内にあるものとすることができる。しかしながら、別の実施形態では、電源114、プロセッサ116及び/又は触覚マッピングロジック118は一緒に電気的に接続されている別個の外部構成部材とすることができる。更に別の実施形態では、電源114、プロセッサ116及び触覚マッピングロジック118のうち1つ又は複数は外科用器具100のハンドル102内に又はハンドル102上に取り付けることができ、内部ワイヤーのみを介して電極110、111及び触覚フィードバックシステム120に電気的に接続することができる。
【0017】
電源114は、体内組織を密封する/凝固させるのに十分な任意の適した電力レベル及び周波数の交流を発生させる。1つの実施形態では、電源114は、Ethicon社(オハイオ州シンシナティ所在)又はCovidien社(マサチューセッツ州マンスフィールド所在)製の、双方とも50W乃至200Wの最大出力の高出力電力を供給することが可能であるRF電力発生器とすることができる。例えば、電源114は凝固用におよそ450kHzで100Wを生成することができるが、その周波数及び電力は、処置中に体内組織特異性等を考慮するように変えることができる。上述したように、リード線113、115は、RF電極110、111にRF電力を供給するために電源114及びRF電極110、111を電気的に接続する。
【0018】
より詳細に本明細書で説明するように、センサー140は、所望の触覚効果に応じて、インピーダンスセンサー、力センサー、変位センサー及び/又は圧力センサーのうちの1つ又は複数を含むことができる。プロセッサ116は、1つ又は複数のリード線又は他の伝達媒体(不図示)を介してセンサー140に電気的に接続されている。器具の動作中、プロセッサ116は、触覚マッピングロジック118に正しい形式の入力を供給するために、センサー140からデータ又は測定値を受け取り、それに従って必要に応じてセンサーのデータ/測定値を処理又は分析する。プロセッサ116は、マイクロプロセッサ等の論理リソースを含むことができ、センサー140からのデータ/測定値を分析及び格納するのに必要とされる他の特定のセンサー依存構成部材を更に含むことができる。
【0019】
プロセッサ116は、器具100の1つ又は複数のセンサーから導出された情報を触覚マッピングロジック118に出力し、この触覚マッピングロジック118が特定のアルゴリズム及び術者の選定に従って情報を更に処理する。より具体的には、触覚マッピングロジック118は、器具のセンサーから導出された、感知/計算された値を、触覚フィードバック信号又はコマンドにマッピングするように構成されている。マッピングは、ファンクションテーブル若しくはルックアップテーブルを含むことができるか、又は、より複雑なアルゴリズム、必要であれば有限状態機械を含むことができる。触覚マッピングロジック118は、どの触覚効果が果たされるべきか、かつ感知/計算された値に応じてその効果を果たす順番を決定する。触覚マッピングロジック118は、汎用又は特定用途の処理装置又はマイクロコントローラーとすることができる。1つの実施形態では、触覚マッピングロジック118はデータ及び/又は命令を格納するメモリーデバイス(不図示)と関連付けることができる。メモリーデバイスは、任意のタイプの格納デバイス又はランダムアクセスメモリ(RAM)若しくはリードオンリーメモリ(ROM)等のコンピューター可読媒体とすることができる。メモリーデバイスは、触覚マッピングロジック118が実行する論理命令、コマンド及び/又はコードを格納する。メモリーデバイスはまた、制御システム112の内部に位置することもできるか、又は内部メモリー及び外部メモリーの任意の組合せとすることもできる。別の実施形態では、論理命令、コマンド及び/又はコードはハードウェア内で実装することができ、離散論理回路部、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等、又はそれらの任意の組み合わせを用いて、触覚マッピングロジック118内に組み込むことができる。更に別の実施形態では、論理命令、コマンド及び/又はコードは、触覚マッピングロジック118内のハードウェアと、メモリー内に格納されたソフトウェア/ファームウェアとの双方で実装することができる。そのような機能に関する記載は、プロセッサ116とは別に説明されるが、例示目的のためにすぎず、同じ器械をプロセッサ116及び触覚マッピングロジック118として用いることができることが当業者によって理解されるはずである。
【0020】
触覚マッピングロジック118は、処置を行う際に術者にフィードバック情報を与えるように、器具100のハンドル102に連結されている触覚フィードバックシステム120に制御信号を出力する。制御信号は、触覚マッピングロジック118を触覚フィードバックシステム120に電気的に接続する第3のリード線又はテザー117(図1を参照)を介して伝達される。第4のリード線(不図示)も制御システム112とハンドル102との間に設けて、ハンドル102内に位置する低電圧アクチュエーター回路用の(より詳細に本明細書で説明する)分離アース線を与えることもできる。
【0021】
触覚フィードバックシステム120は少なくともアクチュエーター駆動回路122(図2に示す)を含み、このアクチュエーター駆動回路122は、術者に触覚フィードバックを与えるように触覚アクチュエーター124(同様に図2に示す)に連結されている。フィードバックを術者に与えるために、触覚フィードバックシステム120が制御システム112に電気的に接続されている。1つの実施形態では、コマンドを触覚マッピングロジック118から触覚アクチュエーター124に伝達するために、制御システム112がモーター電圧をリード線又はテザー117に沿って器具100のハンドル102に供給する。より詳細に本明細書で説明するように、触覚アクチュエーター124として、所望の触覚効果を与える、器具100に連結されている摩擦ブレーキ又は動的モーターが挙げられるがこれらに限定されないもののような任意の適した器械を用いる1つ又は複数の振動触知アクチュエーター又は運動感覚アクチュエーターを挙げることができるがこれらに限定されない。したがって、触覚マッピングロジック118は制御信号を駆動回路122に出力し、この駆動回路122は、所望の触覚効果を生じさせるのに必要とされる電流及び電圧を触覚アクチュエーター124に供給するのに用いられる電子構成部材及び回路部を含む。上述したように、第4のリード線(不図示)も制御システム112とハンドル102との間に設けてハンドル102内の駆動回路122用の分離アース線を提供することもでき、そのため、触覚マッピングロジック118が、2つの導体を有する分離DC電圧線を介して触覚フィードバックシステム120と連通する。
【0022】
振動触知フィードバック、運動感覚フィードバック、ハンドルの変形、並びに/又はテクスチャー及び熱等の他のタイプの触覚フィードバックを含む触覚フィードバックを生成してユーザーに与えることができる。触覚アクチュエーター124は、電磁モーター、偏心質量体がモーターによって動く偏心回転質量体(Eccentric Rotating Mass:ERM)アクチュエーター、ばねに取着された質量体が前後に駆動されるリニア共振アクチュエーター(Linear Resonant Actuator:LRA)、形状記憶合金、信号に応答して変形する電気活性ポリマー、剛性を変える機構、振動触知アクチュエーター、慣性アクチュエーター、圧電アクチュエーター又は他の適したタイプの作動デバイスを含むことができる。1つの実施形態では、触覚アクチュエーター124は慣性アクチュエーターとして実装されて術者に振動触知フィードバックを与えることができる。別の実施形態では、運動感覚触覚フィードバックは例えば、ハンドル102の剛性/減衰を変えるソレノイド、ハンドル102のサイズを変更する小型のエアーバッグ、又は形状変更材料を用いることができる。本明細書における使用に適した駆動回路及び触覚アクチュエーターの詳細な説明は、2007年9月28日に出願された米国特許出願第11/862,639号(代理人整理番号IMM274)(その全体は参照により本明細書に援用される)において見い出すことができる。
【0023】
1つの実施形態では、触覚アクチュエーター124は、触覚フィードバックのためにハンドル102に振動を発生させる振動触知デバイスである。例えば、1つの実施形態では、ハンドル102全体にわたって高帯域幅振動触知フィードバックを与えるために、ハンドル内の、外科医の手の親指及びそれ以外の指に対応する幾つかの場所に、1つ又は複数の振動触知アクチュエーターを組み込むことができる。100Hz乃至250Hzからの2.5Gよりも大きい応答とともに、共振における4G乃至5Gの目標加速度が望ましい。1つの実施形態では、触覚アクチュエーター124の作動に関する移動質量構成部材は全て、器具100の内部にある。
【0024】
別の実施形態では、触覚アクチュエーター124は、触覚フィードバックのための、ハンドル102での動き、ロックアウト、バリヤー及び滞留表示に対する可変抵抗を可能にする摩擦ブレーキ又はモーター等の運動感覚デバイスである。例えば、1つの実施形態では、切開要素119用のトリガー121には、運動感覚触覚効果を可能にする運動感覚作動手段が備わっていることができる。加えて、1つ又は複数の運動感覚アクチュエーターを、ハンドル102のグラスパー部分全体に対する動きの抵抗を与えるように、ハンドル内の、外科医の手の親指及びそれ以外の指に対応する幾つかの場所に組み込むことができる。運動感覚アクチュエーターは、少なくとも著しく阻止する動きが可能でなければならない。例えば、一実施形態では、運動感覚アクチュエーターは、効果的な阻止力を示すために、印加された最大力の20%乃至30%の抵抗を有することができる。別の実施形態では、運動感覚アクチュエーターは、「ロックアウト」モードを伝達するようにユーザーの動きを全て阻止することが可能であるものとすることができる。
【0025】
前述したように、このタイプの器具センサー及びプロセッサ116の動作は所望の触覚効果に応じて決まる。1つの実施形態では、センサーはインピーダンスセンサーであり、プロセッサは、器具100のジョー108、109間でクランプされた体内組織のインピーダンスを連続測定して体内組織密封サイクル又は処置の完了時の表示を行う。具体的には、電気外科エネルギーは、体内組織の基本構造を損ねないままで処置部位の細胞を密封することを目的とする。ユーザーは十分に密封しないうちに体内組織を切開すべきではないため、密封サイクルの完了時をユーザーが知ることが不可欠である。幾つかの密封器具は、密封サイクルが終了しているとみなされる所定の時間量(すなわち15秒)の終わりの所定の可聴警報を含むが、可聴警報は他の可聴警報と混同しやすく、騒々しい手術室環境では聴こえない可能性がある。加えて、使用時間だけでは、密封の質の良好な表示にならない。リアルタイムのインピーダンス測定により、ユーザーが凝固処置の完了度、すなわち体内組織密封の程度を測ることが可能となる。密封された体内組織は電気信号を阻止し、このことは体内組織のインピーダンスを同時に監視することによって正確に示すことができる。したがって、インピーダンスは、体内組織密封の完了時を示すように監視されることができ、触覚効果が器具のハンドルに与えられて、密封サイクルが完了したことをユーザーに警報することができる。
【0026】
より詳細には、図3に示すように、外科用器具300は体内組織インピーダンスを測定することが可能な第2の一対の電極340A及び340Bを含み、制御システムは密封サイクルプロセッサ316を含む。電極340A、340Bは、電極110、111にそれぞれ隣接して、ジョー部材108、109の対向面108A、109Aに位置することができる。電極340Aはリード線(不図示)を介して電源114に電気的に接続され、電極340Bはリード線(不図示)を介して密封サイクルプロセッサ316に電気的に接続されている。リアルタイムで標的体内組織のインピーダンスを連続測定するために、電源114及び密封サイクルプロセッサ316が協働する。電源114は、1kHz乃至500kHzの範囲の害のない交流、又は、インピーダンスの測定を可能にする生体電気インピーダンスの当業者に既知の他の適した周波数を生成することが可能である。例えば、50kHzで2マイクロアンペアの電流を用いることができる。電流が流れている間、密封サイクルプロセッサ316が電極340A、340B間の対応する抵抗を測定する。次いで、密封サイクルプロセッサ316はその抵抗をインピーダンス測定値に算術変換する。インピーダンスを測定するために、密封サイクルプロセッサ316は、マイクロプロセッサ、電圧−電流変換回路、増幅回路、A/D変換回路及びインピーダンス算術演算部等、論理リソースを含むことができる。十分な体内組織密封を判定するために、密封サイクルプロセッサ316は、電流、電圧、電力、インピーダンス及びこれらのパラメーターの変化率を含む、種々のパラメーターを記録及び/又は計算することができる。本明細書では第2の対の電極340A、340Bを介してインピーダンスを測定するものと記載されているが、インピーダンスが電極110、111間で交互に監視されることで第2の対の電極の必要性を排除するように器具100の構成を調整することができることが当業者には理解されるであろう。
【0027】
インピーダンス又は他の測定/計算されたシステムパラメーターが体内組織密封の完了を示すと、触覚フィードバックシステム120が触覚効果をユーザーに与える。体内組織密封サイクルの完了は、ユーザーが外科手術を進めることを可能にするようにユーザーに表示される必要がある。1つの実施形態では、触覚効果は、体内組織密封サイクルの完了を示すのに振動触知警報等の信号触覚警報とすることができる。別の実施形態では、触覚効果は、体内組織インピーダンスが体内組織密封サイクルの完了に近づくにつれ、一連の漸増する振幅による振動触知フィードバック、及び/又はハンドル102のトリガー121における運動感覚バリヤー若しくは抵抗等、ライブインピーダンス値に基づく連続フィードバックを含むことができる。触角効果は、警報及び連続フィードバックの双方を含むことができ、振動触知効果及び運動感覚効果の双方を含むことが当業者には理解されるであろう。
【0028】
処置部位の又は処置部位に隣接するインピーダンスを監視すること及び処置の完了性を判定することは、どの判定基準に従っても判定することができる。例えば、十分な体内組織密封を、電気インピーダンスの特定の値(すなわち、インピーダンスが450オームに達すると体内組織が密封されたとみなされる)の検出を介して、又は、所望の時間期間にわたって若しくは規定回数の連続したインピーダンス測定にわたって比較的一定である一連のインピーダンス測定値の検出を介して、判定することができる。1つの実施形態では、完了した体内組織密封は、10オームのインピーダンス変化に関連付けることができる。ルックアップテーブル又はファンクションテーブルを用いて、感知/計算されたインピーダンス値を触覚フィードバック信号又はコマンドにマッピングすることで、体内組織密封が行われるにつれて漸増するフィードバックを外科医に与えることができる。他のルックアップ機能も可能であり、ユーザーによって選択可能であるものとすることができる。別の実施形態では、完全な体内組織密封は、インピーダンス、インピーダンス変化、電流、電圧、電力等のような種々の観測量の関数とすることができるか、又は体内組織モデルの出力からマッピングすることができる。
【0029】
1つの実施形態では、体内組織を密封するためのエネルギーの印加は、密封サイクルの終わりであるとみなされる所定の時間期間続く。例えば、エネルギーの印加は、15秒の密封サイクルの間行うことができる。インピーダンス情報が密封の完了を示さない場合、所定時間期間の終了時に負の価の振動触知警報を与えることができ、インピーダンス情報が密封の完了を示す場合、所定時間期間の終了時に正の価の振動触知警報を与えることができる。したがって、ユーザーは、体内組織を完全に密封するために標的部位に更なる密封サイクルを課す必要があるかどうかを決定する際に触覚警報を用いることができる。
【0030】
また別の実施形態では、触覚マッピングロジック118は、コマンド信号を電源114に出力することができる。例えば、体内組織のインピーダンスが体内組織密封の完了を示すと、触覚マッピングロジック118がコマンド信号を出力して電源114をシャットダウンし、それによって、体内組織への更なるエネルギーの送達を防ぐとともに器具100の挙動を制御することができる。
【0031】
図4に示す別の実施形態では、インピーダンス測定値を用いて、切開待機及び/又は速度に関するフィードバックを与えることができる。腹腔鏡密封器具は、密封プロセス中に切開要素の前進を制御することを術者に依存することができる。切開要素119は、切除を行うことに加え、ブレードの前進が器具のジョー間にクランプされた体内組織に加えられる加圧力を制御するため、処置の密封部分に重要な役割も果たす。特に厚い体内組織及び/又は血管の場合に完全な密封を達成する上で、十分な圧迫が重要である。したがって、ユーザーは多くの場合、体内組織を密封するために最大圧迫を達成するように体内組織の間近に切開要素を前進させることを望むが、体内組織が十分に密封されるまで切開要素を体内組織に前進させることを遅らせることを望む。切開待機プロセッサ416がインピーダンス又は他の電気パラメーターの計算値を出し、これらの計算値を用いて、切開のための体内組織の待機及び切開の適切な率又は速度に関するガイダンスをユーザーに与えることができる。十分な体内組織密封を確実にするには、切開要素の前進を制限又は制御することが重要であり、したがって、適切な切開速度に関するフィードバックが有用である。図4に示すように、この実施形態では、器具400が、インピーダンスを監視する第2の対の電極340A及び340Bと、切開要素119の変位を測定することが可能な変位センサー440と、切開待機プロセッサ416とを含む。変位センサー440は、切開要素119の位置に関する情報を提供するように切開要素119に連結され、電極340A、340B及び変位センサー440は全て、1つ又は複数のリード線(不図示)を介して切開待機プロセッサ416に電気的に接続されている。ジョーの変位は、ジョー部材のヒンジの電位差計又は他の適した位置エンコーダーにより測定することができる。変位センサー440は、切開要素119がその更なる前進により体内組織を切開することになるように体内組織の間近に位置しているときに関する、すなわち、切開要素119が切開位置にあるときに関する情報をプロセッサ416に与えるように切開要素119の位置を連続的に監視する。切開待機プロセッサ416も、電極340A、340Bからのインピーダンス測定値を連続的に受け取り、プロセッサ316に関して上述したようにインピーダンスを計算する。
【0032】
センサー440からの変位測定値及び電極340A、340Bからのインピーダンス測定値に基づき、切開待機フィードバック及び/又は切開速度フィードバックをユーザーに与えることができる。切開フィードバックは、器具の経験の度合いが様々であるユーザーの必要性に対処するために、訓練モード及び熟練モード等の種々のモードで与えることができる。訓練モードでは、触覚効果は、尚早及び/又は速すぎる切開を防ぐために、ライブインピーダンス値に基づいた、ハンドル102のトリガー121への連続したアクティブな抵抗フィードバックを含むことができる。例えば、変位センサー440からの測定値が、切開要素119が切開位置にあることを示した後、100オーム未満のインピーダンス値の間に最大抵抗が与えられることになり、450オームよりも大きいインピーダンス値の場合にはゼロ抵抗が与えられることになる。インピーダンス値が100オーム乃至450オームの間、トリガー121における抵抗は最大からゼロまで連続的に又は段階的に次第に減少することになる。熟練モードでは、触覚効果は、切開要素119が切開位置にあってインピーダンスが450オーム未満であることを変位センサー440からの測定値が示す場合に、切開部分のストローク開始時点でハンドル102のトリガー121において比較的小さな滞留を含むことができる。加えて、熟練モードは、100オーム乃至450オームのインピーダンス値について一連の漸増する振幅による連続した振動触知フィードバックを含むことができる。別の実施形態では、滞留の振幅は、体内組織インピーダンスの関数であり、そのため、体内組織が低インピーダンス状態にある場合は粗いテクスチャー又は一連のバリヤーが存在し、体内組織インピーダンスが上昇するにつれて漸次に減少する。このフィードバックは連続時間で又は切開要素が動いている間だけ表示することができる。
【0033】
切開待機及び/又は切開率に関する触覚効果に加えて、切開されている体内組織のタイプに関する触覚フィードバックも切開処置中に与えることができる。例えば、パッシブな運動感覚抵抗を、トリガー121及び/又はハンドル102の、外科医の手の親指及びそれ以外の指に対応する幾つかの場所に与えることができる。切開要素119が動いている間の運動感覚抵抗は、感知された体内組織特性の関数とすることができる。例えば、運動感覚抵抗は、切開されている体内組織の剛性に従って様々とすることができ、この剛性はひずみゲージ又は器具の遠位先端における他の適したセンサーを介して感知することができる。剛性等の体内組織特性を監視すること及びそれに関する触覚効果を与えることのより詳細な記載は、2007年12月13日に出願された米国特許出願第11/955,563号(代理人整理番号IMM273)(その全体は参照により本明細書に援用される)に見い出すことができる。
【0034】
図5に示す別の実施形態では、触覚フィードバックシステム120は、器具100のジョー内に位置する体内組織の量を該器具のユーザーに警報で知らせて、密封される体内組織が多すぎる場合にユーザーに警報する。密封器具は典型的に、最大の体内組織厚及び/又は血管厚で評価され、ユーザーには、ジョー部材108、109内にクランプされた体内組織の量がこの制限値を超えたときに警報するべきである。加えて、ジョー内における体内組織の量が密封の質に影響を及ぼす。器具500は、少なくとも、器具500のハンドル102に連結されている力センサー540Aと、制御システム内に体内組織量プロセッサ516とを備える。力センサー540Aは、箔ひずみゲージ、圧電ひずみゲージ、力感知抵抗器、圧力変換器又は他の適したセンサー等、器具500のグラスパーハンドルを閉じるためにユーザーが加えた力を測定することが可能な任意のタイプの力センサーとすることができる。力センサー540Aに用いることができる例示的な製品として、Tekscan社の力感知抵抗器及びOmega社の箔ひずみゲージが挙げられる。器具500は、該器具の遠位端に連結されている、ジョー部材間のスペースを監視する変位センサー540Bも備えることができる。ジョーの変位は、ジョー部材のヒンジ又は器具のシャフトにおける電位差計又は他の適した位置エンコーダーにより測定することができる。ジョー部材がほぼ閉じているときの高い力信号が、ジョー部材が閉じ始めたばかりのときの高い力信号よりも著しく低いため、変位センサー540Bを用いて力センサー540Aからの信号を相補することができる。したがって、1つの実施形態では、力センサー540A及び変位センサー540Bをともに用いて、過剰な量の体内組織がジョー部材内にあるときを判定する。体内組織量プロセッサ516は、力センサー540A及び(存在する場合は)変位センサー540Bから受け取った力測定値を連続的に監視し、それらの力測定値から、器具500のジョー内にある体内組織の量を計算/評価する。1つの実施形態では、体内組織厚の最良の指標、したがって、体内組織量プロセッサ516によって監視されたパラメーターは、ジョーのギャップ変位に対する力の変化率である。加えて、1つの実施形態では、プロセッサ516によって行われた計算が器具によって把持されている体内組織のレベル/タイプと一致するように、ユーザーが力状態(すなわち、高、中、低)をグラフィックユーザーインターフェースに入力することができる。
【0035】
センサー540からの力測定値に基づき、体内組織量/体内組織厚のフィードバックをユーザーに与えることができる。力測定値が幾つかの閾値を通過するときに触覚フィードバックがユーザーに与えられることになる。例えば、多すぎる体内組織がジョー内に存在している可能性があることをユーザーに警告するために、フィードバックは、力測定値が閾値を通過するときの、漸増する振幅の振動触知警報、及び/又は力測定値が閾値を通過するときの、ハンドル102のグラスパーに対して漸増する大きさの運動感覚フィードバックを含むことができる。別の実施形態では、デバイス内における体内組織の量がデバイス規格範囲外である場合に、負の価の振動触知警報を与えることができ、デバイス内における体内組織の量がデバイス規格範囲内である場合に、正の価の振動触知警報を与えることができる。加えて、器具の経験の度合いが様々であるユーザーの必要性に対処するために、触覚フィードバックを訓練モード及び熟練モード等の種々のモードで与えることができる。訓練モードすなわち初心者モードにおいて力がその時点での最大の力(すなわち、4500mNm)を超える場合、触覚効果は、体内組織の切開を防ぐようにトリガー121に、かつ/又はユーザーが体内組織を完全にクランプすることを防ぐようにハンドル102のグラスパーに、運動感覚ロックを含むことができる。加えて、パルス振動触知警報又はエラーをユーザーに伝達することができる。熟練モードにおいて力がその時点での最大の力(すなわち、4500mNm)を超える場合、触覚効果は、ユーザーが切開を開始する場合に負の価の振動触知警報を、かつ/又はトリガー121に高振幅運動感覚バリヤーを含むことができる。
【0036】
更に別の実施形態では、触覚フィードバックシステム120は、外科用器具のジョー内に位置する血管組織の向きを器具のユーザーに警報する。ユーザーは、ジョー内に閾値直径を上回る血管構造が存在するかどうかを知らされ、より重要なことには、ジョー内に完全にあるわけではないか又はジョー内に十分に向いていない血管組織が存在するかどうかを知らされる。器具600は、器具の遠位端106に連結されている1つ又は複数の圧力センサー640A及び1つ又は複数の変位センサー640Bと、制御システム内に血管感知プロセッサ616とを備える。ジョーの変位は、ジョー部材のヒンジにおける電位差計又は他の適した位置エンコーダーにより測定することができる。圧力感知は、Pressure Profile Systems社製の容量性圧力センサーアレイのような容量性圧力センサーアレイにより最も効果的に達成される。1つの実施形態では、ジョー部材の圧力及び変位を感知するためにマイクロセンサーのアレイが器具の遠位端106に連結されている。血管感知プロセッサ616が、センサー640A、640Bそれぞれから受け取った圧力測定値及び変位測定値を連続的に監視し、圧力/拍動データを解釈して血管がデバイスの遠位端を越えて延びているかどうかを判定する。本明細書における使用に適した低侵襲性器具により血管を検出する、適している可能性があるセンサー及び方法の詳細な説明は、2009年1月15日に出願された米国特許出願公開第2010/0179423号、2008年12月3日に出願された米国特許出願公開第2010/0137845号、2008年12月12日に出願された米国特許出願公開第2010/0152586号、2009年1月15日に出願された米国特許出願公開第2010/0179587号(これらのそれぞれはその全体が参照により本明細書に援用される)に見い出すことができる。血管感知のための触覚フィードバックは、振動触知効果及び運動感覚効果の双方を含むことができる。例えば、血管が部分的にしか器具600のジョー内にないことをユーザーに警告するには、触覚効果は、体内組織の切開を防ぐようにトリガー121に、かつ/又はユーザーが体内組織を完全にクランプするか又は切開要素に係合させることを防ぐようにハンドル102のグラスパーに、運動感覚ロックを含むことができる。加えて、パルス振動触知警報又はエラーをユーザーに伝達することができる。
【0037】
別の実施形態では、圧力センサー640A、変位センサー640B及び血管感知プロセッサ616を用いて、密封プロセスが外科用器具のジョー内に位置する体内組織を支障なく密封したかどうかを器具のユーザーに警報することもできる。ユーザーはクランプした体内組織を十分な密封前に外科用器具のジョーから解放するべきではないため、体内組織が電気外科プロセスによって密封されているかどうかをユーザーが知ることが不可欠である。十分な密封の検出により、不十分に密封された血管のクランプを緩める場合に生じる可能性のある破局的出血を防ぐことができる。より詳細には、血管感知プロセッサ616は、圧力センサー640A及び変位センサー640Bからの測定信号を用いて、クランプした体内組織を解放する前に密封の両側に血管拍動性すなわち開放性の管腔が依然として存在しているかどうかを判定することができる。電気外科プロセスの完了後に体内組織が密封されている場合、血管を通る血液の流れ/拍動はない。密封の完全度の触覚フィードバックは、振動触知効果及び運動感覚効果の双方を含むことができる。例えば、体内組織が完全には密封されていないことをユーザーに警告するには、触覚効果は、体内組織の切開を防ぐようにトリガー121に運動感覚ロックアウト又は高振幅バリヤーを含むことができる。別の実施形態では、体内組織が完全には密封されていない場合に負の価の振動触知警報を与えることができる。
【0038】
触覚フィードバックがユーザーにとって有用である別の場として、制御システム112及び/又は器具100の種々の動作状況が挙げられる。図7に示す別の実施形態の外科用器具700では、触覚フィードバックシステム120は、電源114の動作状態に関する、すなわち電気外科エネルギーが器具を通じて印加されているときを示す情報をユーザーに供給する。本明細書において記載されている密封器具のような密封器具とともに使用する発電機は、電気外科エネルギーが密封器具において活性化したときに少なくとも可聴警報を与える必要がある。しかしながら、騒々しい手術室環境では、可聴指標はユーザーに必ずしもはっきりと伝達されるとは限らない。この実施形態では、エネルギー状態プロセッサ716がその動作状態を監視することを可能にするように、電気外科エネルギーを印加するスイッチ123が備わっている。エネルギーが使用可能になり、スイッチ123が「オン」位置にあるとき、ユーザーは、器具700に流れるエネルギーが存在することを示す僅かな変圧式の振動唸音又は振動感覚のような触覚効果を感じる。加えて、エネルギーが使用可能になったときにユーザーによって運動感覚機械的滞留を感じることができる。切開中にエネルギーが停止した場合にパルス振動触知警報又はエラーをユーザーに伝達することができる。加えて、振動触知警報を、発電機が与える聴覚警報とともに用いることができ、15秒等の所定時間量が近づき、かつ/又はその時間量に達したときに、より高い振幅又は周波数の別個の振動触知警報を用いることができる。この所定時間量は、完全な体内組織密封が行われるのに必要とされる平均時間又は評価時間に相当することができる。
【0039】
上述の実施形態は、監視されるとともに触覚効果の形態でユーザーに伝達されることができる種々の状況に関する。インピーダンス監視、切開待機、体内組織量、血管感知及びエネルギー状態についての触覚効果はそれぞれ、本明細書において別々に記載されているが、外科用密封器具は上述の実施形態の任意の組み合わせを組み込むことができることが当業者には理解されるであろう。特に、触覚フィードバックは、空間的な触覚テクスチャー又は組み合わさった運動感覚/振動触知刺激の形態の信号の組み合わせを含むことができる。加えて、上述の実施形態の1つ又は複数を含む外科用密封器具の単一プロセッサを、種々のセンサーデバイスからの入力/測定値を受け取ってそれに関して所要のタスク又は計算を行うように構成することができる。
【0040】
本明細書において記載されるように、パルス振動触知警報又はエラーを種々の状況において用いて器具100の不適正な使用を示すことができる。振動触知エラー警報を用いて、本明細書において記載されているような感知された不適正な使用、又は、時間期間若しくは一連のステップ等の他のプログラム可能な不適正な使用を含む、器具100の使用についての適正な命令全てに従うことを確実にすることができる。1つの実施形態では、振動触知エラーの触覚効果はエラー状態全てについて同じであるものとすることができるが、特定のエラー状態に関するより多くの情報をユーザーに提供する後続の触覚効果、可聴効果又は視覚効果を含むことができる。これらの後続の効果は、種々の状況を示すのにユーザーにより識別可能なエンベロープを有する更なる触覚パルスを含むことができる。代替的に、エラー効果は状況の深刻性に応じて異なる時間的間隔で表示することができる。別の実施形態では、正の価の警報又は負の価の警報は、警報状況に続く一定の継続時間果たされることができ、状況によっては、メスがその静止位置に戻った時間を経過しても続く場合もある。
【0041】
例えば、図8を参照すると、術者のための2つのタイプ又はモードのフィードバックを組み込んでいる実施形態が示されている。具体的には、触覚フィードバックシステム820が、触覚アクチュエーター124及び聴覚デバイス又はスピーカー826を介して、触覚フィードバック及び聴覚フィードバックの双方を与える。触覚アクチュエーター124及び聴覚デバイス826であるこれらのフィードバック機構のうちのどの機構を動作可能にし、そのそれぞれの出力を供給するようにそれらをいかに制御するのかに従って、触覚マッピングロジック118は、処理した情報を触覚アクチュエーター124及び聴覚デバイス826の一方又は双方に伝達する。1つの実施形態では、術者が外科手術を行うときにフィードバックを術者に連続的に与えることができる。別の実施形態では、特定の条件が満たされたたときを術者に知らせるか又は警告する警報としてフィードバックを術者に与えることができる。さらに、或るタイプのフィードバック(すなわち触覚又は聴覚)を、別のタイプのフィードバックを警報として与えながら連続的に与えることができる。加えて、触覚フィードバック警報は連続した触覚フィードバックを増大させることができる。1つの実施形態では、刺激のない可聴フィードバックを通常の手術を示すのに用いることができ、触知フィードバック/触覚フィードバックを、特定の状況又は状態が存在している場合にユーザーに示す警報又は警告として用いることができ、ビープ及びフラッシュライト等の可聴フィードバック及び/又は視覚フィードバックを、深刻な状況又は状態が存在している場合にユーザーに示す警報として用いることができる。
【0042】
図9を参照すると、術者のための3つのタイプ又はモードのフィードバックを組み込んでいる実施形態が示されている。具体的には、触覚フィードバックシステム920は、触覚アクチュエーター124、聴覚デバイス又はスピーカー826及び視覚ディスプレイ928をそれぞれ介して、触覚フィードバック、聴覚フィードバック及び視覚フィードバックを与える。触覚アクチュエーター124、聴覚デバイス826及び視覚ディスプレイ928であるこれらのフィードバック機構のうちのどの機構を動作可能にし、そのそれぞれの出力を供給するようにそれらをいかに制御するのかに従って、触覚マッピングロジック118は、処理した情報を触覚アクチュエーター124、聴覚デバイス826及び視覚ディスプレイ928の1つ又は複数に伝達する。この実施形態では、視覚ディスプレイ928は、ハンドル102の後方領域の液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)スクリーンである。別の実施形態では、視覚ディスプレイ928は、視覚フィードバックが常にユーザーの視線内にあるように、腹腔鏡のカメラモニターディスプレイに組み込むことができる。視覚ディスプレイ928を用いて、インピーダンス情報及び/又はRF電源114の動作状態を表示することができる。1つの実施形態では、超音波トランスデューサー(不図示)を器具100の遠位部106に連結することができ、視覚ディスプレイ928は、必要に応じて外科医が器具を位置付けするのを支援するために超音波画像情報を示すように構成することができる。視覚ディスプレイ928はタッチスクリーンを含むことができ、タッチスクリーン928は、術者に情報を提示するように構成することができ、また、術者が該タッチスクリーンの特定の部分を押したときを感知するようにも構成することができる。このようにして、タッチスクリーンは、グラフィック提示能力を有するタッチ可能なユーザーインターフェースとして作用することができる。視覚ディスプレイ928は、外科医が種々のフィードバックプロファイルを選択し、センサー挙動を調整し、補足情報を変更するといったことを可能にするグラフィカルユーザーデバイスを含むことができる。
【0043】
図9の実施形態によれば、外科用器具900のハンドル部分902は1つ又は複数のボタン932を更に含むことができる。ボタン932は、術者に与えられるフィードバックの性質を術者が制御することを可能にする任意の適した機構を用いて構成することができる。ボタン932は、特定のレベル、強度若しくは振幅を調整することを可能にするか、又は術者に提示される出力に関して特定の選択を行うことを可能にするデバイスを含むことができる。幾つかの実施形態では、ボタン932は、モーメンタリートグルスイッチ等のスイッチとして構成することができ、センサーの情報がマッピングされるか又は各出力デバイスに提供される種々のやり方を術者が選択することを可能にする。ボタン932は、ロッカースイッチ又は一次元制御面として実装されることができる。ボタン932の一機能によれば、術者は、感知された信号に基づいて出力信号をそれぞれの出力デバイスに供給するかどうかを制御することによって1つ又は複数の出力機構を動作可能又は動作不能にすることができる。ボタン932の別の機能は、1つ又は複数の出力機構を動作可能にする能力を含む。これに関して、術者は、フィードバックを視覚式に提示し、聴覚式に提示し、かつ/又は触覚式に提示するのか、また、いかに提示するのかを制御することができる。外科医の好みに合わせたフィードバックにより、器具がフィードバックを与えることでより良好な手術及び作業のために術者の経験を補うことができる。
【0044】
本発明の実施形態は、術者が操作することができる任意のタイプの器具に関することは当業者には明らかであろう。より具体的には、本開示に記載されている器具は、器具の遠位部を機械的に制御するハンドル部分を含む。本発明の実施形態によれば、外科用器具に位置する1つ又は複数のセンサー及び触覚フィードバックシステムは器具の動作状態に関する関連情報を抽出するように共同で機能することができ、この情報は後に、触覚フィードバック、聴覚フィードバック及び/又は視覚フィードバックとして術者に伝達される。開示されている実施形態は腹腔鏡外科用器具であるが、器具先端におけるセンサーから検出された情報をカテーテルハンドルに伝達し戻すことができる血管カテーテル法又は他のカテーテル法におけるような非腹腔鏡手術に他の実施形態を用いることができる。さらに、内視鏡検査処置の場合、可撓性の内視鏡におけるセンサーから検出された情報を内視鏡ハンドルに伝達し戻すことができる。例えば、遠隔地の医師が定期的な外診を行い、かつ/又は開腹手術器具を用いるために、遠隔手術又は遠隔提示に他の実施形態を用いることができる。別の実施形態は、術者が直接の触覚フィードバックを有することを可能にするように、Intuitive Surgical社のda Vinci(登録商標)Surgical System等のロボット利用外科用システムにこのタイプのフィードバックを含めることである。
【0045】
本発明による種々の実施形態を上述してきたが、それらの実施形態は説明及び例示としてのみ提示しているのであって限定でないことを理解されたい。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本発明において形態及び詳細の種々の変更を行うことができることは、関連技術の当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれかによって限定すべきではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によってのみ規定されるべきである。本明細書において論じた各実施形態の各特徴及び本明細書に引用した各参照文献の各特徴は、任意の他の実施形態の特徴と組み合わせて用いることができることも理解されるであろう。本明細書において論じた特許及び刊行物は全て、それらの全体が本明細書に参照により援用される。
図1
図1A
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9