特許第6133548号(P6133548)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133548
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/12 20060101AFI20170515BHJP
   H01H 21/00 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   H05K7/12 T
   H01H21/00 330K
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-92503(P2012-92503)
(22)【出願日】2012年4月13日
(65)【公開番号】特開2013-222774(P2013-222774A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2015年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 幸人
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−235970(JP,A)
【文献】 特開2000−353454(JP,A)
【文献】 特開平10−154442(JP,A)
【文献】 実開昭54−171774(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/12
H01H 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被支持部と、前記被支持部から第1の方向に延伸し且つ電子機器の外面において露出している弾性変形可能な片持ち梁状の第1延伸部と、前記被支持部から前記第1の方向とは反対方向に伸びており且つ電子機器の外面において露出している弾性変形可能な片持ち梁状の第2延伸部と、を有する操作部材と、
前記第1延伸部に設けられるユーザが押すための被押圧部であって、前記被支持部から前記第1の方向に離れて位置し、前記第1の方向に対して交差する方向である第2の方向に押されたときに前記第1延伸部の弾性力により初期位置に向けて付勢される第1被押圧部と、
前記第2延伸部に設けられるユーザが押すための被押圧部であって、前記被支持部から前記第1の方向とは反対方向に離れて位置し、前記第2の方向に押されたときに前記第2延伸部の弾性力により初期位置に向けて付勢される第2被押圧部と、
前記第1被押圧部によって押されて電子機器に対して予め規定された動きをさせる、前記第1被押圧部に対して前記第2の方向に位置する第1の部材と、
前記第2被押圧部によって押されて電子機器に対して予め規定された動きをさせる、前記第2被押圧部に対して前記第2の方向に位置する第2の部材と、
前記第1延伸部における前記第1被押圧部よりも前記被支持部側の部分に当たって前記第2の方向とは反対方向への前記第1延伸部の動きを規制する第1ストッパ部と、を備える
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記第2延伸部における前記第2被押圧部よりも前記被支持部側の部分に当たって前記第2の方向とは反対方向へ前記第2延伸部の動きを規制する第2ストッパ部をさらに備える
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子機器において、
前記第1延伸部から前記第2の方向に突出している突出部と、
前記第1の方向と前記第2の方向の双方に交差する方向を第3の方向としたとき、前記第1延伸部から突出している前記突出部が嵌まり前記第1の方向と前記第3の方向への前記第1延伸部の動きを規制する穴と、をさらに備える
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の電子機器において、
前記第2延伸部から前記第2の方向に突出している突出部と、
前記第1の方向と前記第2の方向の双方に交差する方向を第3の方向としたとき、前記第2延伸部から突出している前記突出部が嵌まり前記第1の方向と前記第3の方向への前記第2延伸部の動きを規制する穴と、をさらに備える
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の電子機器において、
前記操作部材に対して前記第2の方向に位置し且つ前記穴が形成されている壁部をさらに有している
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項5に記載の電子機器において、
前記ストッパ部は、前記操作部材の前記被支持部に対応する部分には形成されていない
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項1に記載の電子機器において、
前記第1ストッパ部は、前記第1の方向と前記第2の方向の双方に交差する方向を上下方向としたとき、前記第1延伸部における前記第1被押圧部よりも前記被支持部側に位置し且つ前記第1延伸部の下面に形成されている被ストッパ部に当たって、前記第2の方向とは反対方向への前記第1延伸部の動きを規制する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項2に記載の電子機器において、
前記第2ストッパ部は、前記第1の方向と前記第2の方向の双方に交差する方向を上下方向としたとき、前記第2延伸部における前記第2被押圧部よりも前記被支持部側に位置し且つ前記第2延伸部の下面に形成されている被ストッパ部に当たって、前記第2の方向とは反対方向への前記第2延伸部の動きを規制する
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器を操作するための操作部材に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に例示されるように、従来、ユーザによって操作される操作部材として、電源ボタンと光ディスクを取り出すためのイジェクトボタンとを備える電子機器が利用されている。ボタンの裏側には、ボタンによって押されてオン/オフ状態が切り換えられるスイッチが配置されている。また、ボタンの裏側には、ボタンを初期位置に向けて付勢するばねやゴムなどの弾性部材が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0254102号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構造はボタンの裏側に弾性部材を必要とするので、構造を簡素化しにくいという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、操作部材周りの構造を簡素化できる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子機器は、被支持部と前記被支持部から第1の方向に延伸し且つ弾性変形可能な片持ち梁状の延伸部とを有する操作部材と、前記延伸部に設けられるユーザが押すための被押圧部であって、前記被支持部から離れた位置に位置し、前記第1の方向に対して交差する方向である第2の方向に押されたときに前記延伸部の弾性力により初期位置に向けて付勢される被押圧部と、前記被押圧部によって押されて電子機器に対して予め規定された動きをさせる、前記被押圧部に対して第2の方向に位置する部材と、を備える。
【0007】
本発明によれば、操作部材周りの構造を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る電子機器の斜視図である。
図2】電子機器の要部を示す分解斜視図である。
図3】電子機器の要部を示す分解斜視図であり、この図では操作バーは下ハウジングから取り外されている。
図4】操作バーの後側を示す斜視図である。
図5】操作バーの下側を示す斜視図である。
図6】操作バーが下ハウジングに取り付けられた状態を示す平面図である。
図7図6に示すVII−VII線を切断面とする操作バーの断面図である。
図8図6に示すVIII−VIII線での断面図である。
図9】操作バーの取り付け工程を説明するための図である。
図10】操作バーの取り付け工程を説明するための図である。
図11】操作バーの取り付け工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態に係る電子機器1の斜視図である。図2は電子機器1の要部を示す分解斜視図である。以下の説明においては、これらの図に示すX1及びX2をそれぞれ左方向及び右方向とし、Y1及びY2をそれぞれ前方及び後方とし、Z1及びZ2をそれぞれ上方及び下方とする。
【0010】
電子機器1はハウジング20を含んでいる。ハウジング20は、図2に示すように、電子機器1が備える回路基板(不図示)などの上側を覆う上ハウジング21と、回路基板などの下側に配置される下ハウジング22とを含んでいる。上ハウジング21と下ハウジング22は上下方向において組み合わされて、ハウジング20を構成する。
【0011】
この例の電子機器1は、図1に示すように、上部1Aと下部1Bとを有している。上部1Aは略楕円柱であり、その軸線は左右方向に沿っている。電子機器1は、後において詳説する、左右方向に細長い操作バー40を有している(図2参照)。操作バー40は電子機器1の最前部に配置されている。具体的には、操作バー40は、楕円柱状の上部1Aの最前部に位置し、側面視では楕円の長軸Aの端部に位置している。操作バー40をこのような位置に配置することにより、ユーザは容易に操作バー40(後述する被押圧部43A,43B)を押すことができる。すなわち、ユーザが被押圧部43A,43Bを押すときに、指が電子機器1の他の部分に触れ難くなる。この例では、電子機器1の上部1Aの外形(すなわち楕円柱)に合わせて、上ハウジング21と下ハウジング22は前方に向かって互いに接近するように湾曲している。操作バー40は上ハウジング21の前縁と下ハウジング22の前縁との間に配置されている。
【0012】
電子機器1は、上ハウジング21上に配置され電子機器1の上面を構成するカバー11を有している(図1参照)。電子機器1は、光ディスクなどの記録メディアに格納されたプログラムを実行したり、記録メディアに格納された動画像や音声を再生するエンタテインメント装置である。上ハウジング21には記録メディアを配置するための凹部であるメディア収容部が形成されており、カバー11はメディア収容部21aを覆っている。この例のカバー11は左右方向にスライド可能なカバーであり、メディア収容部21aを覆う閉位置(図1(a)に示す位置)と、メディア収容部21aを露出させる開位置との間で移動できる。
【0013】
図2に示すように、電子機器1は、ハウジング20の内側に、作動部材3を有している。作動部材3は、例えば、カバー11を動かす機構(不図示)を通してカバー11と繋がっている。カバー11は作動部材3に連動して閉位置から開位置に移動する。作動部材3は操作バー40の後側に配置されている。作動部材3は操作バー40により後方に押され、その結果、カバー11は閉位置から開位置に移動する。
【0014】
図3は電子機器1の要部を示す分解斜視図であり、この図では操作バー40及び後述する回路基板4は下ハウジング22から取り外されている。図4及び図5は操作バー40の斜視図であり、図4は操作バー40の後側を示し、図5は操作バー40の下側を示している。図6は操作バー40が下ハウジング22に取り付けられた状態を示す平面図である。図7図6に示すVII−VII線での断面図であり、図8図6に示すVIII−VIII線での断面図である。
【0015】
図3に示すように、操作バー40は被支持部41と、被支持部41から延伸する第1延伸部42Aを有している。第1延伸部42Aは片持ち梁状である。すなわち、第1延伸部42Aの一方の端部(この例では被支持部41)は固定端であり、他方の端部は自由端である。第1延伸部42Aは被支持部41を固定点として弾性変形可能である。すなわち、被支持部41を固定点として弾性的に湾曲可能である。この例では、第1延伸部42Aは被支持部41から右方向に直線的に延伸し、後方に湾曲可能となっている。
【0016】
第1延伸部42Aは、被支持部41から離れた位置に、ユーザが押すための第1被押圧部43Aを有している。第1被押圧部43Aは、第1延伸部42Aの延伸方向に対して交差する方向、より具体的には直交する方向に押される。この例では、第1被押圧部43Aは第1延伸部42Aの右端部に位置し、ユーザによって後方に押される。第1被押圧部43Aが押されたときに第1延伸部42Aは湾曲し、第1被押圧部43Aは第1延伸部42Aの弾性力により初期位置(押される前の位置)に付勢される。ユーザが第1被押圧部43Aの押圧を解除すると、第1延伸部42Aは直線形状に復帰し、第1被押圧部43Aは初期位置に戻る。なお、操作バー40は例えばプラスチックなどの樹脂により一体的に成型されている。
【0017】
第1被押圧部43Aの後側には、第1被押圧部43Aによって押されて電子機器1に対して予め規定された動きをさせる部材が配置される。この例では、図2に示すように、第1被押圧部43Aの後側には回路基板4が配置されている。回路基板4は、その前面が第1被押圧部43Aに向くように配置されている。回路基板4の前面にはスイッチ(具体的にはタクトスイッチ)4aが実装されている(図3参照)。スイッチ4aは、例えば電子機器1の電源をオン/オフするスイッチである。スイッチ4aは操作バー40によって押され、電子機器1の電源をオン/オフする。
【0018】
第1被押圧部43Aと回路基板4との間にはクリアランスが設けられている。この例では、図4に示すように、第1被押圧部43Aは、その後側に、後方に突出する大凸部43aを有している。大凸部43aの端面には、スイッチ4aよりも小さな小凸部43bを有している。小凸部43bとスイッチ4aとの間にクリアランスが設けられている。したがって、ユーザが第1被押圧部43Aを押すとき、最初は第1延伸部42Aの弾性力のみに起因する反力が発生する。その後、小凸部43bがスイッチ4aにあたったとき、ユーザは、第1延伸部42Aの弾性力と、スイッチ4aが有する弾性力の双方に起因する反力を受ける。このように反力の大きさが変化するため、適切な量だけ第1被押圧部43Aが押されたことがユーザによって認識され易くなる。なお、第1被押圧部43Aと回路基板4との間には、第1被押圧部43Aを初期位置に戻すためのばねやゴムなど、第1延伸部42Aとは別の弾性体は設けられていない。
【0019】
図3に示すように、回路基板4の前面にはさらにLED(Light Emitting Diode)4bが実装されている。LED4bは電子機器1の動作状態を示すインジケータであり、この例では電子機器1の電源のオン/オフ状態を示す。図4に示すように、第1被押圧部43Aには、LED4bの光を電子機器1の前側から見えるようにするための導光路43cが形成されている。この例の導光路43cはLED4bに向かって開いた凹部である。図7に示すように、導光路43cには、光透過性を有する材料、例えば透明或いは白濁した樹脂からなる導光部材44が嵌められ、導光部材44の後面はLED4bに対向している。導光部材44の前部44aは略柱状であり、導光路43cの前部43dに嵌められている。この例の操作バー40は二色成型により成型され、その前部40A(図3及び図7差参照)は光透過性を有する材料で成型され、その後部40Bは光透過性を有していない材料で成型されている。導光路43cの前部43dは操作バー40の前部40Aに位置している。そのため、ユーザは、導光部材44に進入したLED4bの光を、操作バー40の前部40Aを通して見ることができる。なお、導光路43cは第1被押圧部43Aを貫通する穴でもよい。
【0020】
図3に示すように、操作バー40は被支持部41から延伸する第2延伸部42Bをさらに有している。第2延伸部42Bも、第1延伸部42Aと同様に、片持ち梁状であり、弾性変形可能である。すなわち、第2延伸部42Bは被支持部41を固定点として弾性的に後方に湾曲可能である。第2延伸部42Bは、第1延伸部42Aとは反対方向に延伸している。この例では、第2延伸部42Bは左方向に直線的に延伸している。
【0021】
第2延伸部42Bは、被支持部41から離れた位置に、ユーザが押すための第2被押圧部43Bを有している。この例では、第2被押圧部43Bは第2延伸部42Bの左端部に位置し、ユーザによって後方に押される。第2被押圧部43Bが押されたときに第2延伸部42Bは湾曲し、第2被押圧部43Bは第2延伸部42Bの弾性力により初期位置に向けて付勢される。
【0022】
第2被押圧部43Bの後側には、第2被押圧部43Bによって押されて、電子機器1に対して予め規定された動きをさせる部材が配置されている。この例では、図2に示すように、第2被押圧部43Bの後側には、カバー11を開くための上述した作動部材3が配置されている。作動部材3は第2被押圧部43Bによって後方に押され、その結果、カバー11は閉位置から開位置に移動する。なお、第2被押圧部43Bと作動部材3との間にも、第2被押圧部43Bを初期位置に戻すためのばねやゴムなど、操作バー40とは別の弾性体は設けられていない。
【0023】
上述したように、操作バー40は電子機器1の最前部に配置されており、操作バー40の前面の全体は電子機器1の外面において露出している。すなわち、被支持部41、延伸部42A,42B、及び被押圧部43A,43Bは電子機器1の外面において露出し、電子機器1の外観を装飾する部材としても機能している。
【0024】
図2に示すように、第1被押圧部43Aは電子機器1の端部(この例では右端部)に位置している。第2被押圧部43Bは電子機器1の上部1Aの左右方向の略中央部に位置している。すなわち、操作バー40は、左右方向における上部1Aの概ね半分長さを有し、上部1Aの最前部の右半分に配置されている。図1に示すように、上部1Aの最前部の左半分には装飾バー5が配置され、装飾バー5と操作バー40は共通の直線上で並んでいる。これにより、電子機器1の最前部のデザインの統一性を図ることができている。
【0025】
この例の第1延伸部42Aと第2延伸部42Bは、互いに異なる長さを有している。第1延伸部42Aと第2延伸部42Bの長さをそれぞれ調整することで、第1被押圧部43Aを押すのに要する力と第2被押圧部43Bを押すのに要する力と調整できる。この例では、第2延伸部42Bは第1延伸部42Aに比して長い。換言すると、被支持部41から第1被押圧部43Aまでの距離は、被支持部41から第2被押圧部43Bまでの距離より大きい。そのため、第2被押圧部43Bは、第1被押圧部43Aに比して、小さな力で押すことができる。
【0026】
操作バー40は、上述したように、上ハウジング21の前縁と下ハウジング22の前縁との間に配置されている。図3及び図8に示すように、下ハウジング22は、その前縁に、ストッパ部25を有している。ストッパ部25は第1延伸部42Aと第2延伸部42Bに沿って形成され、それらの前方への動きを規制している。この例のストッパ部25は上方に突出する凸部である。一方、延伸部42A,42Bのそれぞれは被ストッパ部45を有している(図5及び図8参照)。被ストッパ部45は、操作バー40の下面から突出するとともに延伸部42A,42Bに沿って伸びる凸部であり、ストッパ部25の後側に位置している(図8参照)。被押圧部43A,43Bが初期位置にあるとき、すなわち延伸部42A,42Bが湾曲していないとき、ストッパ部25は被ストッパ部45に接している。ストッパ部25は、第1被押圧部43Aが押されたときに操作バー40に作用するモーメントにより第2延伸部42Bが前方に動くのを抑える。同様に、ストッパ部25は、第2被押圧部43Bが押されたときに第1延伸部42Aが前方に動くのを抑える。すなわち、ストッパ部25は、被支持部41に対して一方側に位置する延伸部の被押圧部が押されたときに、他方側に位置する延伸部の動きを規制する。なお、後において説明する操作バー40の取り付け作業を容易にするために、被ストッパ部45とストッパ部25の少なくとも一方は、被支持部41に対応する部分には形成されていない。この例では、被ストッパ部45は被支持部41には形成されていない(図5参照)。
【0027】
図3に示すように、下ハウジング22は、延伸部42A,42Bの後側に位置し延伸部42A,42Bに沿って形成された壁部26a,26bを有している。延伸部42A,42Bは、壁部26a,26bによって、上下方向及び左右方向の動きが規制されている。この例では、延伸部42A,42Bのそれぞれは、その後面から突出する複数(この例では2つ)の突出部42cを有している。壁部26a,26bには突出部42cに対応したサイズの穴26cが形成され、各突出部42cは穴26cに嵌っている。壁部26a,26bは、それぞれ延伸部42A,42Bから後方に離れて位置している。これにより、延伸部42A,42Bの後方への弾性変形を許容し、それらの上下方向及び左右方向の動きを規制できている。
【0028】
図3に示すように、下ハウジング22は、上方に突出し且つ左右方向(延伸部42A,42Bの延伸方向)において間隔を空けて配置された複数(この例では5つ)のリブ26dを有している。この例のリブ26dは壁部26a,26bの前面に位置している。リブ26dは延伸部42A,42Bの下側に位置し、それらを支持している。延伸部42A,42Bの下面はリブ26d以外の部分には接していない。これにより、延伸部42A,42Bの下面と下ハウジング22との接触面積が低減され、延伸部42A,42Bが後方に湾曲し易くなっている。
【0029】
図3に示すように、下ハウジング22は、被支持部41の後側に位置する2つの支持壁部23a,23bを有している。この例の支持壁部23a,23bはそれぞれ壁部26a,26bに繋がっている。支持壁部23a,23bは被支持部41の後面に接し、被支持部41の後方への動きを規制している。これにより、延伸部42A,42Bが湾曲するとき、被支持部41は固定点として機能する。
【0030】
図3に示すように、操作バー40は、被支持部41から後方に延びる取付部41aを有している。支持壁部23a,23bは間隔を空けて配置され、取付部41aは支持壁部23a,23bの間に配置されている(図2参照)。これにより、被支持部41の左右方向での動きが抑えられている。
【0031】
図2に示すように、支持壁部23aはその側面が左右方向に向くように配置され、被支持部41は支持壁部23aの前縁に当っている。支持壁部23bは支持壁部23aと対向する第1壁部23cを有し、被支持部41は第1壁部23cの前縁に当っている。これにより、被支持部41から受ける力に対する支持壁部23a,23bの強度を増すことができる。支持壁部23bは平面視で略L字状であり、第1壁部23cに対して屈曲した第2壁部23dを有している。第2壁部23dの後側には当該第2壁部23dを補強するためのリブ23eが形成されている。
【0032】
下ハウジング22は、図3に示すように、保持部24a,24bを有している。保持部24a,24bはそれぞれ支持壁部23a,23bの後側に形成され、取付部41aの端部を保持している。これにより、被押圧部43A,43Bの一方が押されたときに、操作バー40の回転を抑えることが可能となる。この例では、保持部24a,24bは左右方向において対向し、取付部41aを挟んでいる。また、保持部24a,24bのそれぞれは、取付部41aの縁を上下方向において挟んでいる。詳細には、保持部24a,24bのそれぞれには、取付部41aの上側に位置する上凸部24cと、取付部41aの下側に位置する下凸部24dとが形成されている。上凸部24cと下凸部24dは取付部41aの縁を挟んでいる。
【0033】
図9乃至図11は操作バー40の下ハウジング22への取り付け工程を説明するための図である。これらの図において、(a)は、取り付け過程における図6のa−a線での断面図であり、(b)は図6のb−b線での断面図であり、(c)は図6のc−c線での断面図である。
【0034】
まず、図9に示すように、操作バー40を支持壁部23a,23b及び壁部26a,26bに対して斜めに配置する。このとき、同図(c)に示すように、突出部42cを壁部26a,26bに形成された穴26cの位置に合わせる。また、同図(b)に示すように、操作バー40の取付部41aを、下ハウジング22の保持部24a,24bに形成された下凸部24dよりも下側に配置する。
【0035】
次に、操作バー40の延伸部42A,42Bを後方に湾曲させる。すなわち操作バー40を弓状に湾曲させる。それと同時に、被支持部41を支持壁部23a,23bに突き当てた状態で、操作バー40を回転させて水平姿勢に配置する。その結果、図10(a)に示すように、被支持部41の後面は支持壁部23a,23bに当る。また、操作バー40が弓状に湾曲しているので、図10(c)に示すように、突出部42cは壁部26a,26bの穴26cに嵌り、延伸部42A,42Bの後縁は、延伸部42A,42Bの通常位置よりも壁部26a,26bに近づく。上述したように、延伸部42A,42Bの下面には被ストッパ部45が形成され、下ハウジング22の前縁にはストッパ部25が形成されている。しかしながら、操作バー40を回転させる過程では操作バー40を湾曲させているので、被ストッパ部45とストッパ部25との干渉を避けることができる。また、被ストッパ部45は被支持部41には形成されていない。そのため、操作バー40を回転させる過程で、被支持部41とストッパ部25は干渉しない。なお、図10(b)に示すように、操作バー40を水平姿勢に配置することにより、取付部41aは下凸部24dを乗り越え、上凸部24cと下凸部24dとの間に挟まれる。また、取付部41aの後端に形成された凸部41bは、保持部24a,24bの上凸部24cに引っ掛かる。下凸部24dには、取付部41aが下凸部24dを乗り越えることができるように、斜め下方に向いた斜面が形成されている。
【0036】
最後に、操作バー40を湾曲させた状態から復帰させる。すなわち、操作バー40を直線形状に戻す。これにより、図11(c)に示すように、被ストッパ部45はストッパ部25に当る。
【0037】
以上説明したように、操作バー40は被支持部41と、被支持部41から延伸し且つ弾性変形可能な片持ち梁状の延伸部42A,42Bとを有している。延伸部42A,42Bは、ユーザが押すための被押圧部43A,43Bを有している。第1被押圧部43Aは、第1延伸部42Aにおける被支持部41から離れた位置に位置し、第1被押圧部43Aが後方に押されたときに第1延伸部42Aの弾性力により初期位置に向けて付勢される。第2被押圧部43Bは、第2延伸部42Bにおける被支持部41から離れた位置に位置し、第2被押圧部43Bが後方に押されたときに第2延伸部42Bの弾性力により初期位置に向けて付勢される。第1被押圧部43Aの後側には、第1被押圧部43Aによって押されて電子機器1に対して予め規定された動きをさせる回路基板4が配置され、第2被押圧部43Bの後側には、第2被押圧部43Bによって押されて電子機器1に対して予め規定された動きをさせる作動部材3が配置されている。この構造によれば、第1被押圧部43A,43Bを前方に戻すためのばねなどの部材が必要とされないため、電子機器1の構造を簡素化できる。
【0038】
延伸部42A,42Bと被支持部41は電子機器1の外面において露出している。これによれば、操作バー40を電子機器1の外観を装飾する部材として利用でき、デザインの自由度を増すことができる。
【0039】
また、操作バー40は2つの延伸部42A,42Bを含み、且つ、2つの被押圧部43A,43Bを含んでいる。これによれば、さらに部品数を低減できる。
【0040】
2つの延伸部42A,42Bは被支持部41から互いに反対方向に延びている。電子機器1は、2つの延伸部42A,42Bに沿って形成され、これらの前方への動きを規制するストッパ部25を有している。これによれば、第1被押圧部43Aを押した時に操作バー40が受けるモーメントにより、第2延伸部42Bが前方に動くことを抑えることができる。また、第2被押圧部43Bを押した時に操作バー40が受けるモーメントにより、第1延伸部42Aが前方に動くことを抑えることができる。
【0041】
延伸部42A,42Bは後方に突出する突出部42cを有している。延伸部42A,42Bの後方には、突出部42cが嵌る穴26cが形成され、且つ延伸部42A,42Bから離れて位置する壁部26a,26が配置されている。これによれば、延伸部42A,42Bの後方への弾性変形を許容しながら、それらの上下方向及び左右方向の動きを規制できる。
【0042】
被支持部41の後側には、被支持部41の後方への動きを規制する支持壁部23a,23bが形成されている。操作バー40は、延伸部42A,42Bから下方に突出する被ストッパ部45を有している。被ストッパ部45の前側には、延伸部42A,42Bの前方への動きを規制するストッパ部25が形成されている。被ストッパ部45は被支持部41には形成されていない。この構造によれば、図9乃至図11を参照して説明したように、操作バー40を湾曲させながら回転させることで、操作バー40を下ハウジング22に取り付けることができる。
【0043】
なお、本発明は以上説明した電子機器1に限られず、種々の変更が可能である。
【0044】
例えば、操作バー40は第1延伸部42Aと第2延伸部42Bのいずれか一方だけを有してもよい。
【0045】
また、第2延伸部42Bは第1延伸部42Aに対して斜めの方向に延びてもよい。
【0046】
また、操作バー40は上ハウジング21に取り付けられてもよい。
【0047】
また、被ストッパ部45である凸部は延伸部42A,42Bだけでなく、被支持部41にも形成されもよい。この場合、延伸部42A,42Bに対応する部分にのみストッパ部25が形成され、被支持部41に対応する部分にストッパ部25が形成されなくてもよい。
【0048】
また、操作バー40の下ハウジング22へ取付構造は適宜変更されてよい。例えば、螺子を利用して操作バー40の被支持部41は下ハウジング22に取り付けられてもよい。
【0049】
また、操作バー40は電子機器1の最前部でなく、他の部分の設けられてもよい。
【0050】
また、操作バー40は、被支持部41が電子機器1の外面において露出しないように形成されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 電子機器、3 作動部材、4 回路基板、4a スイッチ、5 装飾バー、11 カバー、20ハウジング、21 上ハウジング、21a ディスク収容部、22 下ハウジング、23a,23b 支持壁部、23c 壁部、24a,24b 保持部、25 ストッパ部、26a,26b 壁部、40 操作バー、41 被支持部、41a 取付部、42A,42B 延伸部、43A,43B 被押圧部、43a スイッチ、43c 導光路、43e 保持部、44 導光部材、45 被ストッパ部。
図1
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図11