(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エンジン,前記エンジンによって駆動される発電機本体,前記発電機本体で発生した交流を直流に変換するコンバータ,及び前記コンバータより出力された直流を所定の交流に変換して負荷へ供給するインバータを備え,前記負荷により消費される電力量を示す負荷値と,該負荷値が示す電力量に対応したエンジンの回転速度である目標回転速度との対応関係を予め求めておき,前記対応関係に基づいて,検出した負荷値に対応する前記目標回転速度を,前記エンジンの実測回転速度が到達すべき設定目標回転速度として設定し,前記エンジンの実測回転速度が前記設定目標回転速度になるよう,エンジンに対する燃料の供給量を制御する燃料供給量制御を行うエンジン駆動型インバータ発電機であって,
検出された前記負荷値が減少する場合に,予め設定した単位時間あたりの減少量である基準減少率で,変化前の負荷値に対応する目標回転速度から変化後の負荷値に対応する目標回転速度に前記設定目標回転速度を漸減させて成り,
前記基準減少率は,
前記負荷値の減少と同期して前記設定目標回転速度を低下させて前記燃料供給量制御を行った場合に前記エンジンの実測回転速度が前記設定目標回転速度に整定するまでに要する時間に対し,
前記基準減少率に従って前記設定目標回転速度の漸減が完了するまでに要する時間の方が長くなるように設定されていることを特徴とするエンジン駆動型インバータ発電機の制御方法。
エンジン,前記エンジンによって駆動される発電機本体,前記発電機本体で発生した交流を直流に変換するコンバータ,及び前記コンバータより出力された直流を所定の交流に変換して負荷へ供給するインバータを備え,
前記負荷により消費される電力量を示す負荷値と,該負荷値が示す電力量に対応したエンジンの回転速度である目標回転速度との対応関係を記憶した記憶手段と,
前記負荷値を検出する負荷値検出手段と,
前記記憶手段に記憶された前記対応関係に基づいて,前記負荷値検出手段が検出した負荷値に対応する前記目標回転速度を,前記エンジンの実測回転速度が到達すべき設定目標回転速度として設定し,前記エンジンの実測回転速度が前記設定目標回転速度になるよう,エンジンに対する燃料の供給量を制御する燃料供給量制御を行うエンジン制御装置を備えたエンジン駆動型インバータ発電機であって,
前記エンジン制御装置に,検出された負荷値が減少する場合に,予め設定した単位時間あたりの減少量である基準減少率で,変化前の負荷値に対応する目標回転速度から変化後の負荷値に対応する目標回転速度に前記設定目標回転速度を漸減させる減速制御手段を設け,
前記減速制御手段で使用する前記基準減少率が,
前記負荷値の減少に同期して前記設定目標回転速度を低下させて前記燃料供給量制御を行った場合に前記エンジンの実測回転速度が前記設定目標回転速度に整定するまでに要する時間に対し,
前記基準減少率に従って前記設定目標回転速度の漸減が完了するまでに要する時間の方が長くなるように予め設定されていることを特徴とするエンジン駆動型インバータ発電機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前掲の特許文献1に記載のインバータ式携帯用発電機では,
図6に示すようにインバータの出力電流(負荷電流)の変化と,この出力電流の変化に対してエンジンの燃費が最小となる回転速度(目標回転速度)との対応関係を予め求めておき,この対応関係に従って負荷電流の検出値に基づいて
対応する目標回転速度を
設定目標回転速度として設定し,回転速度検出器が検出するエンジンの回転速度が
設定目標回転速度に近付くようにスロットル弁開度を調整してエンジンに対する燃料の供給量を制御することで,燃費の向上を図ろうというものである。
【0008】
しかし,この例において,一例として
図6に示すように,負荷電流がA
1のときのエンジンの目標回転速度をNT
1,負荷電流がA
2のときのエンジンの目標回転速度をNT
2とし,
図7(A)に示すように時期T
1において発電機に接続され,且つ起動されていた負荷の1つを停止することにより,負荷電流がA
2からA
1に瞬時に低下したと仮定する。
【0009】
この場合,インバータ式携帯用発電機に設けた制御回路は,検出器が出力電流A
1を検出した検知信号を受信することにより
図6に示す対応関係に従い,
図7(B)に示すように時期T
1においてエンジンの
設定目標回転速
度を,負荷電流A
2に対応する目標回転速度NT
2から,負荷電流A
1に対応する目標回転速度NT
1まで一気に低下させる変更を行い,回転速度検出器によって実測されるエンジンの回転速度NA
2が新たに設定された
設定目標回転速度NT
1に近付くようにスロットル弁を制御して,
図7(C)に示すように,スロットル弁開度を調整してエンジンに対する燃料供給量を急減させる。
【0010】
このように,制御回路によってエンジンに対する燃料供給量が減少されることにより,
図7(D)に示すように時間T
0から時間T
1に至るまで回転速度NA
2で運転されていたエンジンは,負荷が急減した時期T
1から,エンジンの特性等によって決まる所定の時間(T
1−T
3)をかけて,やがて
設定目標回転速度NT
1に対応する回転速度NA
1に落ち着き(整定し),エンジンに対する燃料供給量も,略一定量F
1で安定する。
【0011】
しかし,このようにエンジンが回転速度NA
2の状態から回転速度NA
1に落ち着く迄の間,制御回路は,回転速度NA
2で運転されていたエンジンの回転速度を急激に
設定目標回転速度NT
1に低下させるために,検出された回転速度と
設定目標回転速度NT
1との差が零になるように、スロットル弁開度を急激に変化させるため,
図7(C)に示すようにエンジンに対する燃料供給量は,負荷電流A
1の検出からごく短い時間の間に,新たな
設定目標回転速度NT
1で安定して運転されているエンジンに対する燃料供給量F
1を下回る量まで急激に減少させられる。
【0012】
そのため,回転速度の急減が行われている途中にあるエンジンは,同じ回転速度であっても一定の回転速度で安定して運転されているエンジンに比較して与えられているエネルギー量(燃料供給量)の時間に対する変化率が負となっている。
【0013】
このことから,負荷電流の急減に伴ってエンジンの回転速度を急減させている減速制御中に,停止させた負荷を再投入・再起動する等して,負荷電流の急激な再上昇,例えばA
2への再上昇があった場合,これに対応して
設定目標回転速度を再度NT
2に変更し,エンジンの回転速度をNA
2まで再度急上昇させようとしても,エンジンは回転速度の急激な上昇指示に追従できずにストールしてしまったり,また,ストールを免れたとしても,負荷側で必要とする電力を供給することができず,起動中の負荷の停止や,投入した負荷の起動に失敗するといった動作不良を起こすという問題が生じていた。
【0014】
特に,このようなエンジンの回転速度制御において,急激な負荷変更に伴ってエンジンの回転速度を急激に,且つ大幅に低減させる制御を行う場合には,
図7(D)に示すようにエンジンの回転速度の低下が,新たに設定した
設定目標回転速度NT
1に対応する回転速度NA
1で止まらずに,これを下回って一時的に瞬間最低速度NAminまで低下してしまう,所謂「アンダーシュート」と呼ばれる現象が生じることから,このようにアンダーシュートが生じている時(例えばT
1からT
2間の減速時)に,前述したように負荷電流が再度急上昇した場合には,エンジンは,より一層このような変化に追従して回転速度を変化することが難しくなる。
【0015】
そこで本発明は,上記従来技術における欠点を解消するためになされたものであり,エンジン駆動型インバータ発電機において,前述したように,エンジン駆動型インバータ発電機に接続されている総負荷の大きさを表す負荷値(例えば負荷電流値や消費電力値等)が急減から急増に転じる激しい変化を示した場合であっても,エンジンの回転速度をこれに追従して俊敏に変化させることができ,その結果,エンジンのストールを防止でき,また,負荷値の変化に対応した電力供給量で出力を行うことができるようになることで,運転中の負荷が意図せずに停止したり,また,投入した負荷の起動に失敗する等といった動作不良の発生を好適に防止することのできるエンジン駆動型インバータ発電機の制御方法,及び前記制御方法を実現するエンジン駆動型インバータ発電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく,本願発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
【0017】
上記目的を達成するために,本発明のエンジン駆動型インバータ発電機1の制御方法は,
エンジン21,前記エンジン21によって駆動される発電機本体22,前記発電機本体22で発生した交流を直流に変換するコンバータ31,及び前記コンバータ31より出力された直流を所定の交流に変換して負荷へ供給するインバータ32を備え
た,前記負荷により消費される電力量を示す負荷値と,
該負荷値が示す電力量に対応したエンジン21の回転速度
である目標回転速度との対応関係を予め求めておき,前記対応関係に基づいて,検出した負荷値に対応する
前記目標回転速度を
,前記エンジンの実測回転速度が到達すべき設定目標回転速度として設定し,前記エンジン21の実測回転速度
が前記
設定目標回転速度になるよう,エンジン21に対する燃料の供給量を制御する
燃料供給量制御を行うエンジン駆動型インバータ発電機であって,
検出された前記負荷値が減少する場合に,予め設定した単位時間ΔT
bあたり
の減少量ΔNT
dである基準減少率(ΔNT
d/ΔT
b)で,変化前の負荷値L
2に対応する目標回転速度NT
2から変化後の負荷値L
1に対応する目標回転速度NT
1に
前記設定目標回転速度を漸減させて成り,
前記基準減少率(ΔNT
d/ΔT
b)は,
前記負荷値の減少と同期して前記
設定目標回転速度
を低下
させて前記燃料供給量制御を行った場合に前記エンジンの
実測回転速度が
前記設定目標回転速度に整定
するまでに要する時間
(T1−T3)に
対し,
前記基準減少率に従って前記目標回転速度の
漸減が完了する
までに要する時間(T1−T4)の方が長くなるように設定されていることを特徴とする(請求項1)。
【0018】
前記構成のエンジン駆動型インバータ発電機1の制御方法において,前述した
設定目標回転速度の漸減は,前記
設定目標回転速度の減少開始時点T
1から経過時間の増加に応じて線形に減少させるものとしても良い(請求項2:
図2,3参照)。
【0019】
又は,このような線形での漸減に代えて,前記
設定目標回転速度を複数回に分けて段階的に低下させることにより行うものとしても良い(請求項3:
図4,5参照)。
【0020】
このように,
設定目標回転速度の漸減を段階的に行う場合には,
設定目標回転速度の段階的な低下を,1回当たり1sec以下の時間隔tで行うようにすることが好ましい(請求項4)。
【0021】
また,同様に
設定目標回転速度の漸減を段階的に行う場合,前記エンジン21がアンダーシュートを生じない
設定目標回転速度の瞬間減少量を予め求めておき,
1回あたりの
設定目標回転速度の減少量ΔNT
d(
図5参照)を,前記瞬間減少量以下の値に設定することが好ましく(請求項5),より好ましくは,1回あたりの
設定目標回転速度の減少量ΔNT
dを100min
-1以下とする(請求項6)。
【0022】
更に,このようにして
設定目標回転速度を段階的に減少させる構成とした場合,
設定目標回転速度を1回低下する毎に,該低下後の
設定目標回転速度に対応する回転速度でエンジン21の回転速度を所定時間t
h保持するようにすることが好ましい(請求項7)。
【0023】
また,上記制御方法を実現する本発明のエンジン駆動型インバータ発電機1は,エンジン21,前記エンジン21によって駆動される発電機本体22,前記発電機本体22で発生した交流を直流に変換するコンバータ31,及び前記コンバータ31より出力された直流を所定の交流に変換して負荷へ供給するインバータ32を備
え,
前記負荷により消費される電力量を示す負荷値と,
該負荷値が示す電力量に対応したエンジンの回転速度
である目標回転速度との対応関係(回転速度対応テーブル81)を記憶した記憶手段(図示せず)と,
前記負荷値を検出する負荷値検出手段(実施形態において制御ユニット33)と,
前記記憶手段に記憶された前記対応関係に基づいて,前記負荷値検出手段(実施形態において制御ユニット33)が検出した負荷値に対応する
前記目標回転速度を
,前記エンジンの実測回転速度が到達すべき設定目標回転速度として設定し,前記エンジン21の実測回転速度
が前記
設定目標回転速度になるよう,エンジン21に対する燃料の供給量を制御する
燃料供給量制御を行うエンジン制御装置(実施形態においてコントローラ8,ECU26,電子ガバナ24,回転速度センサ25が全体で「エンジン制御装置」を構成)を
備えたエンジン駆動型インバータ発電機であって,
検出された負荷値が減少する場合に、予め設定した単位時間ΔT
bあたり
の減少量ΔNT
dである基準減少率(ΔNT
d/ΔT
b)で,変化前の負荷値L
2に対応する目標回転速度NT
2から変化後の負荷値L
1に対応する目標回転速度NT
1に
前記設定目標回転速度を漸減させる減速制御手段82を設け,
前記減速制御手段82
で使用する前記基準減少率(ΔNTd/ΔTb)が,
前記負荷値の減少に同期して前記
設定目標回転速度
を低下
させて前記燃料供給量制御を行った場合に前記エンジン21の
実測回転速度が
前記設定目標回転速度に整定
するまでに要する時間
(T1−T3)に
対し,
前記基準減少率に従って前記設定目標回転速度の
漸減が完了する
までに要する時間(T1−T4)の方が長くなるように予め設定され
ていることを特徴とする(請求項8)。
【0024】
また,前記減速制御手段82は,前記
設定目標回転速度の漸減を,前記
設定目標回転速度の減少開始時期T
1からの経過時間の増加に応じて線形に減少させる制御を行うよう構成しても良く(請求項9),又は,この構成に代え,前記
設定目標回転速度を複数回に分けて段階的に低下させるように構成しても良い(請求項10)。
【0025】
この場合,前記減速制御手段82は,前記
設定目標回転速度の低下を,1回当たり1sec以下の時間隔tで行うようにすることができ(請求項11),また,前記減速制御手段が,1回あたりの
設定目標回転速度の減少量ΔNT
dを,前記エンジンがアンダーシュートを生じない回転速度の瞬間減少量以下として行うことができ(請求項12),更に好ましくは,1回あたりの
設定目標回転速度の減少量ΔNT
dを,100min
-1以下で行うように構成することができる(請求項13)。
【0026】
なお,前記減速制御手段82が,このように段階的に
設定目標回転速度の減少を行う場合,前記
設定目標回転速度の1回の低下毎に,該低下後の
設定目標回転速度に対応する回転速度でエンジン21の回転速度を所定時間t
h保持するようにすることができる(請求項14)。
【発明の効果】
【0027】
以上説明した本発明の構成により,本発明のエンジン駆動型インバータ発電機1によれば,以下の顕著な効果を得ることができた。
【0028】
検出された負荷値が,例えば負荷の一部又は全部の停止等によって,急激な減少を示した場合には,予め設定した単位時間ΔT
bあたり
の減少量ΔNT
dである基準減少率(ΔNT
d/ΔT
b)で,変化前の負荷値L
2に対応する
目標回転速度NT
2から変化後の負荷値L
1に対応する
目標回転速度NT
1に
設定目標回転速度を漸減させたことにより,従来技術として説明したように,元の目標回転速度NT
2から,新たな目標回転速度NT
1に,
設定目標回転速度を瞬時に変更する場合(
図7参照)のように,エンジンに対する燃料供給量が急激に減少し,又は,エンジンに対する燃料の供給が一時的に停止することが無くなった。
【0029】
その結果,エンジンの駆動エネルギーが急激に低下することや,前述した「アンダーシュート」の発生を防止できることから,エンジンの回転速度を低下させる制御が行われている最中に,再度負荷値が急上昇するといったように,負荷値が急激に変化する場合であっても,この負荷値の急変にエンジンの回転速度変化を俊敏に追従させることができ,その結果,エンジンのストールの発生,負荷側で要求する電力が供給できないこと(出力電力不足)による起動中の負荷の停止や,投入された負荷が起動に失敗する等といった動作不良の発生を好適に防止することができた。
【0030】
このような
設定目標回転速度の漸減を行う際の基準減少率(ΔNT
d/ΔT
b)は,
前記負荷値の減少と同期して前記
設定目標回転速度
をΔNT
dに低下
させて前記燃料供給量制御を行った場合に前記エンジン21の
実測回転速度が
前記設定目標回転速度ΔNTdに整定
するまでに要する時間
(T1−T3)に対し,回転速度の低下指示
,すなわち前記基準減少率に従って前記設定目標回転速度の漸減が完了する
までに要する時間(T1−T4)の方が長くなるように予め設定されていることで,エンジン21に無理な減速を行わせることがなくなり,アンダーシュートの発生をより確実に防止することができ,その結果,前述したエンジンのストール,起動中の負荷の停止,投入した負荷の起動失敗等の動作不良が発生することをより確実に防止することができた。
【0031】
なお,このようなエンジンの
設定目標回転速度の漸減は,これを時間の経過と共に線形に減少させて行うこともできるが,複数回に分けて段階的に行う構成では,アンダーシュートの発生をより確実に防止できると共に,このようなエンジンの回転速度を低下させる制御中に再度負荷値が急激に上昇した場合であっても,回転速度の上昇に俊敏に対応することができた。
【0032】
すなわち,エンジンの回転速度は,これを線形に連続して低下させる場合,回転速度を低下させる状態を維持しようとする,慣性的な作用が働き,このようにして連続して回転速度を低下するエンジンの回転速度を所定値で安定させ,又は,再度上昇させようとする場合,前述した慣性的な作用を断って,これとは逆の動作をさせる必要があるため,直ちには回転速度の低下が止まらずに,前述したアンダーシュートが生じ易くなると共に,同じ回転速度で運転されているエンジンの回転速度を上昇させる場合であっても,該回転速度で安定した状態で運転されているエンジンの回転速度を上昇させる場合に比較して,回転速度を低下させている最中のエンジンの回転速度を上昇させる場合の方が,より多くのエネルギー(燃料)の供給を必要とする。
【0033】
これに対し,前述したように
設定目標回転速度の漸減を段階的に行う構成では,1回の段階毎に回転速度が変化するため,エンジンの回転速度の低下における「連続性」が断たれ,前述した慣性的な作用が生じ難くなっている結果,前述したアンダーシュートの発生防止や,回転速度の再上昇に際して供給するエネルギー量の低減を図ることができるものとなっている。
【0034】
特に,前記
設定目標回転速度の1回の低下毎に,該低下後の
設定目標回転速度に対応する回転速度でエンジン21の回転速度を所定時間t
h保持する構成とした場合には,保持時間中,エンジン21の回転速度が安定するため,回転速度の低下運動の連続性を確実に分断することができ,上記効果をより一層助長させることができた。
【0035】
このような
設定目標回転速度の低下を,1sec以下の時間隔毎,1回あたり100min
-1以下で行うことにより,減速に際して生じるエンジン音が連続して聞こえるため,聴感としての「うるささ」を低減することができた。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に,添付図面を参照しながら本発明のエンジン駆動型インバータ発電機と,このエンジン駆動型インバータ発電機において行われる制御方法について説明する。
【0038】
〔発電機の構成〕
(1)全体構成
図1において,符号1は,本発明のエンジン駆動型発電機であり,このエンジン駆動型発電機1は,エンジン21,及び前記エンジン21によって駆動される発電機本体22を有する発電部2,この発電部2で発生した交流を直流に変換するコンバータ31,前記コンバータ31からの直流を所定周波数の交流に変換して出力するインバータ32を有する電力変換部3,前記電力変換部3の出力波形を改善する波形整形部4を備え,この波形整形部4で整形された交流出力を,ブレーカ5等を介して接続された出力端子台6より取り出すことができるようになっている。
【0039】
また,エンジン駆動型インバータ発電機1には,電力変換部3に設けられた制御ユニット33等からの検出信号に基づいて,発電部2や電力変換部3の動作を制御するコントローラ8が設けられている。
【0040】
(2)発電部
発電部2は,エンジン21と,このエンジンによって駆動される発電機本体22と,エンジンの回転速度を制御するエンジンコントロールユニット(ECU)26とを備え,エンジン21の出力軸に発電機本体22の回転軸が連結され,エンジン21と発電機本体22とが同期して回転する。
【0041】
本実施形態において発電機本体22は,永久磁石式発電機であり,前述したエンジン21によって駆動されることで,回転速度に応じた周波数の三相交流を発電し出力する。
【0042】
エンジン21には,電気信号によって燃焼室に対する燃料の噴射量を調整する電子ガバナ24と,回転速度を検出する回転速度センサ25を設けている。
【0043】
エンジンコントロールユニット(ECU)26は,エンジン21の電気的な制御を総合的に行うための電子制御装置であり,エンジン21に設けた電子ガバナ24に対して制御信号を送信することで,燃料の噴射量や噴射タイミング等を制御できるようになっており,回転速度センサ25で検出したエンジン21の回転速度(実測回転速度)と,後述するコントローラ8から出力された回転速度(
設定目標回転速度)との偏差が0になるよう電子ガバナ24に対して燃料の噴射量(又は燃料の増減量)を指示する燃料制御信号を送信する。
【0044】
従って,
図1に示す実施形態にあっては,後述するコントローラ8,該コントローラ8によって制御されるECU26,及び,ECU26によって制御される電子ガバナ24,及びECU26にエンジン21の回転速度をフィードバックする回転速度センサ25によって,エンジンの回転速度制御を行う,請求項に記載の「エンジン制御装置」が構成されている。
【0045】
なお,本実施形態において前記回転速度センサ25はエンジン21の所定回転角度毎に回転パルス信号を発信するものであって,ECU26ではこの回転パルス信号に基づいて実測回転速度を算出する。
【0046】
(3)電力変換部
電力変換部3は,発電機本体22より出力された三相交流を直流に変換するコンバータ31と,このコンバータ31から出力された直流を所定の三相交流に変換するインバータ32と,前記コンバータ31及びインバータ32を制御する制御ユニット33と,前記コンバータに入力する三相交流の電流値を検出する電流検出手段34と,インバータから出力された三相交流の電流値を検出する電流検出手段35とを備える。
【0047】
発電機本体22より出力された三相交流は,電力変換部3に設けたコンバータ31に入力され,直流に整流された後,出力される。
【0048】
このコンバータ31によって三相交流から変換された直流は,その後,同じく電力変換部3に設けられているインバータ32に入力され,設定された所定の周波数,出力電圧値となるようインバータ32に内蔵された複数のトランジスタによって三相交流に変換された後、正弦波に変調するフィルタを通して出力される。
【0049】
コンバータ31やインバータ32は電子制御装置である制御ユニット33によって制御されている。
【0050】
制御ユニット33は,インバータ32から出力された三相交流各相の電流値から算出した消費電力を,エンジン駆動型インバータ発電機1に対し接続されているコントローラ8へ出力する。
【0051】
従って本実施形態では,制御ユニット33が負荷値を検出する負荷値検出手段を実現するものとなっているが,負荷値検出手段は,エンジン駆動型インバータ発電機1に接続された負荷(総負荷)の大きさの変化,すなわち消費電力の変化を電気信号として取り出すことができるものであれば如何なるものであっても良く,インバータ32の出力電流を検出する電流検出手段35,波形整形部4から出力された三相交流の各相間の線間電圧値を監視する,コントローラ8に設けられた電圧監視手段83等で得た負荷値の変化に基づいて,本発明の方法による制御を行うようにしても良い。
【0052】
エンジン21の回転速度センサ25から発信される回転パルス信号は,制御ユニット33でエンジンの回転速度(実測回転速度)を生成し,コントローラ8へ出力してもよい。
【0053】
(4)波形整形部
電力変換部3より出力された所定周波数の三相交流は,その後,波形整形部4を介して波形整形が行われ,出力端子台6に接続された負荷に対して出力される。
【0054】
(5)コントローラ
前述の制御ユニット33から出力された負荷側の消費電力(負荷値)やエンジン21の回転速度,波形整形部4から出力された三相交流の各相間の線間電圧値は,いずれもマイクロコントローラ等によって構成されたコントローラ8に入力される。
【0055】
このコントローラ8は,メモリ内に格納されたプログラムに従い,制御ユニット33から送信された消費電力や回転速度,波形整形部4から出力され,電圧監視手段83で検知された三相交流の各相間の線間電圧値に基づいて,ECU26,及び制御ユニット33に対し,エンジン21の制御,コンバータ31やインバータ32の制御を指令する信号を送信する。
【0056】
コントローラ8の記憶手段には,負荷側の消費電力とエンジン21の
目標回転速度との対応関係を示す回転速度対応テーブル81が設けられており,負荷値検出手段である制御ユニット33が求めた消費電力(負荷値)に基づいて,前述の回転速度対応テーブル81を参照してエンジン21の論理回転速度
(目標回転速度)を求め,この論理回転速度を
設定目標回転速度として,回転速度センサ25によって実測されるエンジンの回転速度が,この
設定目標回転速度に近付くようにエンジンに対する燃料供給量を制御するようECU26に対する指令信号を出力する。
【0057】
回転速度対応テーブル81は,エンジン21の燃費曲線に基づき,検知した負荷側の消費電力と,負荷側の消費電力を発生するに必要なエンジン21の出力に対し,生じ得る負荷変動に対応し得る所定の余裕値を加えた出力を発生させるために最も少ない燃料消費量となるエンジン21の
目標回転速度との関係が設定されており,設定されたアイドル回転速度,及び最高回転速度間で,消費電力が低い又は0の場合には,アイドル回転速度が
設定目標回転速度として設定され,その後,本実施形態では消費電力が増加するにつれて
設定目標回転速度を直線的に増加し,最高回転速度にてクランプするように設定される。
【0058】
本実施形態では,消費電力と
目標回転速度の対応関係を回転速度対応テーブル81としてコントローラ8に記憶しているが,これに代えて,消費電力と
目標回転速度との対応関係を計算式とし,この計算式をコントローラ8に記憶しておいてもよい。
【0059】
また,本実施形態では消費電力を負荷値として検出しているが,これに代えて負荷電流値を負荷値として検知する場合には,
図6に示したように電流値と
目標回転速度の対応関係を回転速度対応テーブル又は計算式としてコントローラ8に記憶しておくものとしてもよい。
【0060】
前述した負荷変動に対応し得る所定の余裕値は,負荷側の消費電力に対して一定の値であってもよく,また,所定の余裕値を,負荷側の消費電力が小さいときには大きくし,負荷側の消費電力が大きいときには小さくするようにしてもよい。
【0061】
このように構成されたコントローラ8は,更にプログラムの実行により,負荷値検出手段によって検出された負荷値の減少が確認された場合,予め設定した単位時間ΔT
bあたり
の減少量ΔNT
dである基準減少率(ΔNT
d/ΔT
b)で変化前の負荷値L
2に対応する目標回転速度NT
2から変化後の負荷値L
1に対応する目標回転速度NT
1に
設定目標回転速度を漸減させる,減速制御手段82を実現することができるように構成されている。
【0062】
なお,この減速制御手段82によってECU26に対し指令される
設定目標回転速度の内容については,後述の動作説明にて詳述する。
【0063】
(6)スタータスイッチ
なお,
図1中の符号76はエンジン駆動型インバータ発電機1の始動・停止を行うためのスタータスイッチであり,このスタータスイッチ76の操作によって,エンジン21や,コントローラ8,制御ユニット33,その他の電装品に対する通電を断った「停止」位置,エンジン21や電装品に対する通電を開始してエンジン21を運転可能な状態とする「運転」位置,及び,エンジン21に設けた図示せざるセルモータに対する通電を行い,エンジン21を始動させる「始動」位置間で,スイッチの切替を行うことができるようになっており,本実施形態にあっては,このスタータスイッチとして,鍵の差し込みにより前記各位置間の切り替えが可能となるスイッチを使用している。
【0064】
なお,図示の実施形態にあっては,単一のスイッチで,停止,運転,始動の3位置を切り替え可能としているが,例えば「停止」と「運転」位置間の切替を行うスイッチ(例えば切替スイッチ)と,セルモータの始動を行うスイッチ(例えばモメンタリスイッチ)を別個に設ける等しても良い。
【0065】
〔動作説明〕
以上のように構成された本発明のエンジン駆動型インバータ発電機1の動作を説明する。
【0066】
(1)一般的な動作
スタータスイッチ76を,「運転」位置から「始動」位置に移動すると,エンジン21に設けた図示せざるセルモータに対する通電が行われ,セルモータの回転によってエンジン21が始動すると共に,エンジン21の始動後,スタータスイッチ76を,「運転」の位置に戻して,運転を継続させる。
【0067】
本実施形態にあっては,エンジンの回転速度が所定の回転速度(一例として1200min
-1)に達すると,コントローラ8が制御ユニット33に対し出力開始信号(PON信号)を出力し,このPON信号を受信した制御ユニット33は,インバータ32のゲートをONにして,インバータからの出力が開始可能な状態となる。
【0068】
負荷の接続によって,負荷値検出手段(本実施形態では制御ユニット33)によって検出される負荷値(消費電力)が上昇すると,これを受信したコントローラ8は,記憶手段に記憶されている回転速度対応テーブル81に規定する対応関係に従い,制御ユニット33より受信した負荷値に基づき,この負荷値に対応した
目標回転速度を
設定目標回転速度としたエンジンの回転速度制御をECU26に実行させる。
【0069】
(2)負荷減少時における制御
以上のように構成された従来のエンジン駆動型インバータ発電機において,前述した回転速度対応テーブル81に規定された対応関係のみに基づいて
設定目標回転速度の設定を行った場合,
図7を参照した説明のように,負荷値が時期T
1において瞬時にA
2からA
1に減少した場合,
設定目標回転速度の設定もT
1で瞬時にNT
2からNT
1に減少させる制御が行われていた。
【0070】
これに対し,本願発明では,単位時間ΔT
bあたり
の減少量ΔNT
dを,基準減少率(ΔNT
d/ΔT
b)として予め規定しておき,
設定目標回転速度の減少時,この基準減少率によって決まる所定の時間(
図2中の時間T
b)をかけて
設定目標回転速度をNT
2からNT
1まで漸減するようにしている。
【0071】
なお,
図2に示す例では,負荷値が時期T
1において瞬時にL
2からL
1迄,減少量L
d低下した場合を例に示しているが,この負荷値の変化は,
図2に示したようにT
1において瞬時に低下する場合のみならず,
図3(A)に示すように所定の時間をかけて負荷値が低減した場合であっても本発明の方法による制御の対象となる。
【0072】
一例として,本実施形態にあっては,前述した単位時間ΔT
bを,減少量ΔNT
dで
設定目標回転速度
を瞬時に低下
させると共に,この設定目標回転速度にエンジンの回転速度を近付ける燃料供給量制御を行った場合に
,前記エンジン21の回転速度が
設定目標回転速度に整定
するまでに要する時間を例えば実験的に,又は,エンジンの諸元等として提供されているデータに基づいて求め,この時間以上の時間として,単位時間ΔT
bを設定した。
【0073】
そして,このように負荷値が減少する変化を示した場合,前述した基準減少率で
設定目標回転速度を変化前の負荷値L
2に対応する
目標回転速度NT
2から変化後の負荷値L
1に対応する
目標回転速度NT
1に時間T
bをかけて漸減させることで,エンジンに対する燃料供給量についても
図2(C)に示すように漸減されることとなり,
図7を参照して説明した従来のエンジン駆動型インバータ発電機のように,エンジンに対する燃料供給量が急速に減少し,又は,エンジンに対する燃料の供給が一時的に停止することがなく,従って,エンジンが持つエネルギーも急減せずに,前記基準低減率として設定した傾きに対応した緩やかな減少が行われる。
【0074】
その結果,
図7を参照して説明した従来の制御方法では,例えばエンジン21の回転速度を減速させている制御中に,時期T
2で再度,負荷値がA
2迄上昇した場合には,アンダーシュートによってNminまで回転速度が低下している,燃料の供給が絶たれた状態のエンジン21に対し,急激に大きな負荷が加わることでエンジン21がストールしたり,また,仮にストールを免れたとしても,急増した負荷値(負荷側の消費電力)に追従して発電機本体22の回転速度を上昇させることができずに,供給電力に不足が生じ,起動中の負荷を停止させてしまったり,投入した負荷の起動に失敗する等といった動作不良が生じていた。
【0075】
しかし,本願発明の方法では,エンジンの回転速度を低下させる制御が行われている時に,一例として
図2中の時期T
2で再度負荷値がL
2にまで急増したとしても,エンジンの回転速度は,NA
mにあると共に,この回転速度に見合った供給量F
mで燃料の供給が行われていることから,このような負荷値の急増が生じた場合であっても,エンジン21のストールや,起動中の負荷の停止,投入した負荷の起動失敗等の動作不良が生じることを好適に防止することができた。
【0076】
なお,エンジン21の回転速度は,これを急激に低下させる制御を行った場合,回転速度の低下を維持しようとする慣性的な作用が働き,回転速度の低下を目標回転速度で停止させようとしても,回転速度の低下が継続される結果,目標回転速度NT
1に対応する回転速度NA
1を大きく下回って最低回転速度NAminまでエンジンの回転速度が低下する「アンダーシュート」が生じることも既に説明した(
図7参照)。
【0077】
これに対し,前述したように本願の方法では,所定の時間をかけて目標回転速度を漸減したこと,特に,目標回転速度を前述した整定
するまでに要する時間以上の時間をかけて漸減したことにより,エンジンが回転速度の低下を継続しようとする作用を抑制しつつ,エンジンの回転速度を低下させているために,前述したアンダーシュートの発生を好適に防止することができ,エンジンの回転速度の減速制御中に,再度負荷値が急激に上昇してエンジンの回転速度を上昇させる必要が生じた場合であっても,このようなエンジンの回転速度の再上昇を俊敏に行うことができるものとなっている。
【0078】
以上,
図2,3を参照して説明した本発明の構成にあっては,負荷値が減少したときの
設定目標回転速度の減少を,時間の経過と共に線形に減少させる制御を行うものとして説明したが,この
設定目標回転速度の減少は,
図4及び
図5に示すようにこれを段階的に行うものとしても良い。
【0079】
この場合においても,
図2及び
図3を参照して説明したと同様,低下前の負荷値L
2に対応する目標回転速度N
2から,低下後の負荷値L
1に対応する目標回転速度N
1迄,
設定目標回転速度の低下に要するトータルの時間T
bを,同様に,減少量ΔNT
dで
設定目標回転速度
を負荷の減少に同期して減少
させてエンジンの回転速度がこの設定目標回転速度となるように燃料供給量制御をした場合にエンジン21の回転速度が
設定目標回転速度に整定するまでに必要とする時間以上の時間として設定することが望ましい。
【0080】
そして,この時間T
bの間,一定の時間隔t毎に一定値nt
dずつ
設定目標回転速度を低減させ,この作業の連続によって,時間T
bをかけて低下量NT
dで
設定目標回転速度を低下させる。
【0081】
このように分割された個々の時間隔tは,一例として1sec以下,好ましくは300msec以下とすることができ,1回当たりの
設定目標回転速度の減少値nt
dは,前述したアンダーシュートが生じる最小の減速量を予め試験的に求めておき,1回当たりの減速量nt
dをこれよりも小さな値として設定することが好ましく,より好ましくは,1回当たりの
設定目標回転速度の減少値nt
dを,100min
-1以下,更に好ましくは30min
-1以下とする。
【0082】
このように,1回当たりの時間隔tを1sec以下,好ましくは300msec以下,1回当たりの
設定目標回転速度の減速量nt
dを100min
-1以下,好ましくは30min
-1以下とすることで,回転速度を低減させる際のエンジン音が連続して聞き取れることで,聴感としての「うるささ」が低減される。
【0083】
更に,本実施形態にあっては,1回の
設定目標回転速度の減速毎に,エンジン21の回転速度を,この
設定目標回転速度に対応する回転速度で一定の保持時間t
h保持することで,
設定目標回転速度を段階的に低減させた。
【0084】
従って,
図5(A)に示す
設定目標回転速度の変化において,各時間隔tは,1回あたりの
設定目標回転速度の減少量nt
dに対しエンジンの回転速度を減少させるために必要な時間t
s(時間t
sは減少量nt
dの瞬時の低下に対するエンジン21の回転速度が整定するまでに要する時間に設定することができるが,これに限定されない。)と,保持時間t
hの和となり,
図5(A)に示すように目標回転速度を変化させると,エンジンの回転速度は,
図5(B)に示すように変化する。
【0085】
すなわち,各回毎に
設定目標回転速度を減速量nt
dずつ低下させると,このnt
dの低下に必要な時間t
sをかけて,エンジン21の回転速度がnt
d低下した後,保持時間t
hの間,低減後の回転速度に維持され,この作業を繰り返して回転速度NA
1迄回転速度を低減する。
【0086】
なお,エンジン21の回転速度を急激に低下させようとする場合,エンジン21には,回転速度を低下させる作用を維持しようとする慣性的な作用が働く点については前述した通りであるが,本実施形態で説明したように,エンジンの回転速度を段階的に低減させていくと共に,低減後の回転速度を一定時間保持することにより,各段階毎に,回転速度の低下作用の連続性が断たれるようにしている。
【0087】
その結果,連続して回転速度を低下させているエンジンの回転速度を再上昇させる場合に比較して,各段階毎でエンジンの回転が安定的に保持されている状態にあるエンジンの回転速度を再上昇させる場合の方が,回転速度の再上昇のためにエンジンに与えるエネルギーが少なくて済み,急激な負荷値の減少に続いて急激な負荷値の上昇があった場合のように,負荷値が急激な変化を示した場合であっても,エンジンの回転速度がこの変化に俊敏に追従して,エンジンがストールしたり,また,出力電力量が一時的に減少して,負荷の起動に失敗したり,又は,起動中の負荷を停止させてしまう等の動作不良の発生を好適に防止することができた。