(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
これらのコンプレッサは、コンプレッサのハウジングに配置されているプリント回路基板内に組み込まれたマイクロプロセッサにより制御される。
このプリント回路基板は、通常、次の3つの部分を備えている。
‐接地電極が第1電圧源上に配置された第1電子部品を有する第1部分、
‐接地電極が第2電圧源上に配置された第2電子部品を有する第2部分、及び
−第1及び第2部分の間に挿入され、ポテンシャル障壁を形成する第3部分。
【0003】
この基板においては、マイクロコントローラが、第2部分に組み込まれ、第1部分及び第2部分を接続するスイッチモード電源回路を介して、第1電圧源により電力供給がなされるようになっている。スイッチモード電源回路を切り換える指令は、マイクロコントローラにより与えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
典型的には、このマイクロコントローラは、車両のCANバスから、電源を停止する指令を含むデータ信号を受け取る。又、マイクロコントローラは、APC又は「ウェイクアップ」信号と称される第2の信号を受け取る。第2の信号は、出力上昇/起動、又は電源の始動の指令を含んでいる。この第2の信号は、第1の信号とは独立して送信される。
【0005】
信頼性のために、マイクロコントローラは、プリント回路基板に損害を引き起こし得る停止、及び始動信号間の食い違いを防止するように、このAPC信号を監視しなければならない。
【0006】
第2の信号は、ポテンシャル障壁上に配置された絶縁部品を通して、第1部分から第2部分に向けて送信される。通常、使用される絶縁部品は、光結合素子である。
【0007】
しかしながら、光結合素子の使用には、いくつかの欠点がある。
具体的に、自動車への利用における光結合素子の使用は、自動車セクターのために適していないこの部品の信頼性の問題から、容易ではない。更に、部品の追加は、体積及び重量の追加を伴ってしまう。
更に、光結合素子は、高価であり、耐用年数も限られている。
【0008】
本発明は、このような状況を改善することを目的とする。
したがって、本発明の目的は、絶縁部品の使用を避けることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
まず、本発明は、
‐接地電極が第1電圧源上に配置された第1電子部品を有する第1部分と、
‐接地電極が第2電圧源上に配置された第2電子部品を有する第2部分と、
‐1つの入力が第1部分に接続され、少なくとも1つの出力が第2部分に接続されたスイッチモード電源回路
とを備えるプリント回路基板において、
第1部分と第2部分の間で送信される、少なくとも2つの異なる値を有し得るデータ値に基づいて、スイッチモード電源回路のスイッチング周波数を変更する変更手段を更に備えていることを特徴としている。
【0010】
例えば、第1電圧源は、第2電圧源の電圧よりも小さな低電圧を供給する。ある実施例では、第1電圧源は低電圧であり、第2電圧源は高電圧である。本出願においては、低電圧は、60Vより小さな電圧を意味し、高電圧は、60Vより大きな電圧を意味する。
【0011】
したがって、本発明によれば、電源回路のスイッチング周波数を変更することにより、データ信号を、絶縁部品を通すことなく、送ることができる。
【0012】
基板は、スイッチモード電源回路の出力に、スイッチング周波数を計測する手段を備えていると有利である。
【0013】
計測手段は、出力に接続された整合回路を備えていることが望ましい。
【0014】
基板は、計測されたスイッチング周波数に基づいて、データの値を決定する手段を備えていると有利である。
【0015】
データの値を決定する手段は、マイクロコントローラを備えていることが望ましい。
【0016】
スイッチモード電源回路は、1次コイルが入力に接続され且つ2次コイルが出力に接続された変圧器を備えていることが好ましい。
【0017】
望ましい特徴によれば、変更手段は、第1抵抗とキャパシタを備えている。データの異なる値の各々は、スイッチング周波数の異なる範囲に対応しているのが好ましい。
【0018】
第1実施形態によれば、データ信号は、論理信号であり、スイッチング周波数の異なる範囲の数は、2に等しい。
一例として、データ信号は、APC(「コンタクト後」)信号である。
【0019】
望ましくは、変更手段は、第1抵抗に対して並列接続されたMOSトランジスタ及び第2抵抗を備え、MOSトランジスタのゲートは、データ信号に接続されている。
【0020】
第2実施形態によれば、データ信号は、Nビットでエンコードされたデジタル信号であり、スイッチング周波数の異なる範囲の数は、2
Nに等しい。
【0021】
第3実施形態によれば、データ信号は、アナログ信号である。
【0022】
スイッチング周波数を計測する手段は、2次コイル電圧を計測する手段を備えているのが好ましい。
【0023】
また、本発明は、プリント回路基板のデータを通信する方法において、前記プリント回路基板は、
‐接地電極が第1電圧源(14)上に配置された第1電子部品を有する第1部分と、
‐接地電極が第2電圧源上に配置された第2電子部品を有する第2部分と、
‐1つの入力が前記第1部分に接続され、少なくとも1つの出力が前記第2部分に接続されたスイッチモード電源回路とを備え、
かつ前記第1の部分と前記第2の部分の間で送信される、少なくとも2つの異なる値を取り得るデータ値に基づいて、前記スイッチモード電源回路のスイッチング周波数を変更するステップを備える方法に関する。
【0024】
さらに本発明は、本発明によるプリント回路基板を備えるコンプレッサのハウジングにも関する。
【0025】
本発明の他の特徴、詳細及び利点は、図面を参照して行う以下の詳細な説明を読むことにより、更に明らかになると思う。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明が適用可能な自動車用空気調節装置のコンプレッサ2を示している。
コンプレッサ2は、第1ハウジング4と第2ハウジング6を備えている。
【0028】
第1ハウジング4は、電気的に駆動される圧縮機構8を備えている。
又、第1ハウジング4は、圧縮機構8を駆動するための電気モータ10を備えている。
【0029】
第2ハウジング6は、通常、アルミニウムで形成され、圧縮機構8を制御するためのPCBと称されるプリント回路基板12を備えている。このPCBは、電気モータ10に対する電力供給及び制御を行うインバータを構成している。
【0030】
PCB12は、それぞれ低電圧電源14及び高電圧電源16により、低電圧及び高電圧での電力供給がなされ得るものである。
【0031】
低電圧とは、60Vより低い電圧、典型的には12Vと等しい電圧を意味し、高電圧とは、60Vより高い電圧、典型的には305Vと等しい電圧を意味する。低電圧は、車両の保護された回路網で利用可能な電圧に相当する一方、高電圧は、車両の動きを駆動する役割を負う電気モータに対しても、電力も供給する電源から得られるものである。
【0032】
図2は、本発明の望ましい実施形態によるプリント回路基板12の詳細な構造を示している。
基板12は、3つの独立の部分を備えている。
【0033】
基板12の第1部分20は、低電圧電源14により低電圧での電力供給がなされる第1電子部品22を支持している。
【0034】
基板12の第2部分24は、高電圧電源16により高電圧での電力供給がなされ得る第2電子部品26を支持している。
【0035】
第3部分28は、第1部分20と第2部分24の間に介在されており、2つの部分20、24間のポテンシャル障壁を形成している。例えば、この第3部分28は、電気回路を備えておらず、望ましくは、4.5mmの最小幅を有している。
【0036】
又、第2部分24は、スイッチモード電源回路34を介して、第1部分20からデータ信号32を受け取り得るマイクロコントローラ30を備えている。スイッチモード電源回路34は、1つの入力が第1部分20に接続されており、1つの出力が第2部分24に接続されている。
【0037】
又、第1部分は、データ信号32に基づいて、電源回路34のスイッチング周波数を変える変更手段36を備えている。
【0038】
更に、第2部分は、スイッチモード電源回路34の出力をマイクロコントローラ30の入力に整合させるように設計されたインピーダンス整合回路38を備えている。
【0039】
図3は、本発明の望ましい実施形態によるスイッチモード電源回路34の構造を示している。
【0040】
この望ましい実施形態において、スイッチモード電源回路34は、互いに接続された第1のインダクタ42と第2のインダクタ44を有する変圧器40を備えているフライバック・コンバータである。
【0041】
値L1を有し、N1に等しい巻き数を有する第1のインダクタ42は、変圧器40の1次コイルを構成し、プリント回路基板12の第1部分20に接続されている。
【0042】
値L2を有し、N2に等しい巻き数を有する第2のインダクタ44は、変圧器40の2次コイルを構成し、プリント回路基板12の第2部分24に接続されている。
【0043】
ガルバニック絶縁要素46が、1次コイル42と2次コイル44を分離している。
【0044】
1次コイル42は、例えばMOSFETトランジスタを備えるスイッチ48を介して、低電圧電源14により電力供給がなされる。
【0045】
2次コイル44は、ダイオード50に接続されており、ダイオード50は、キャパシタ52に接続されている。キャパシタ52は、インピーダンス整合回路38及びマイクロコントローラ30を含む負荷54と並列に接続されている。
【0046】
スイッチモード電源回路34の作動を、
図4の曲線60、62、64、66を参照して詳細に説明する。
図4の曲線60、62、64、66は、それぞれ、時間の関数としての、1次電流I
42、2次電流I
44、1次電圧V
42、及び負荷電圧V
54の変化を示している。
【0047】
スイッチモード電源回路34は、スイッチング期間Tにわたり、α=t
ON/Tに等しい負荷サイクルにしたがって作動する。ここで、t
ONは、スイッチ48が作動する期間を表している。
【0048】
負荷電圧V
54は、一定であり、V
0=(N2/N1)(α/(1−α))E
DCに等しい。ここで、E
DCは、低電圧電源14により供給される電圧、αは、電源回路の負荷サイクル、N1は、1次コイル42の巻き数、N2は、2次コイル44の巻き数である。
【0049】
オン状態において、0からt
ONに至る時間tの間、スイッチ48は閉じている。変圧器40の1次コイル42は、電源14に直接接続されており、1次コイルの電圧V
42は、電源14により生成された電圧E
DCと等しくなっている。その結果、変圧器40内の磁束が増大する。よって、1次コイル42の電流I
42は、関係I
42=(E
DC/L1)tにしたがって増大する。ここで、tは時間、E
DCは、低電圧電源15により供給される電圧、L1は、1次コイル42のインダクタンス値である。
【0050】
オン状態の最後に、I
42は、その最大値I
P=(E
DC/L1)t
ONに達する。ここで、t
ONは、スイッチ48が作動している時間、E
DCは、低電圧電源により供給される電圧、L1は、1次コイル42のインダクタンス値である。
【0051】
更に、I
Pは、2次コイルに接続された部品の電力Pの関数であり、関係
【数1】
に従うものである。ここで、F
dは、コンバータのスイッチング周波数である。したがって、電力Pから時間t
ONを決定することも可能である。
【0052】
図示しない一実施形態によれば、変圧器は、2つの2次コイルを備えている。電力Pは、本実施形態では、第2部分のアースに接続された2次コイルと結合された第1部分のアースに接続された2次コイルにより得られ、マイクロプロセッサに電力を供給する。
【0053】
スイッチング周波数F
dが変更されたとき、スイッチモード電源回路は、その切り替え機能の実行を継続することに注目すべきである。具体的には、周波数F
dが増大すると、電流I
Pは減少し、周波数F
dが減少すると、電流I
Pは増大する。よって、2次コイル44に送られるエネルギーは、一定に保たれる。
【0054】
図3に戻ると、オン状態において、2次コイル44の端子電圧は低であり、よって、2次コイル44の電流I
44が零となるようにダイオード50がブロックされる。負荷54により要求されるエネルギーを供給するのは、キャパシタ52である。
【0055】
オン状態の最後、時間t
ONにおいて、スイッチ48が開き、1次コイル電流I
42が、流れ続けることが妨げられる。変圧器40に蓄積されたエネルギーの保存は、変圧器40の2次コイル電流I
44の発生を引き起こし、その初期値は、I
P×N1/N2と等しい。電流I
44は、関係I
44=I
P×N1/N2−(V
0/L2)(t−t
ON)と等しい。I
44は、t=t
2において零になる。
【0056】
t
ONとt
2の間、1次コイルの電圧V
42は、関係V
42=−(N1/N2)V
0により与えられ、t
2とTの間では零となる。
【0057】
したがって、期間中、スイッチモード電源回路は、次の3つの異なるモードで作動する。0からt
ONに至る時間の間の第1モードM1、t
ONからt
2に至る時間の間の第2モードM2、及びt
2からTに至る時間の間の第3モードM3。
【0058】
図5は、データ信号が値0及び1のみを取り得る論理信号、例えばAPC信号であるとき、スイッチング周波数の変更手段36を詳細に示す。変更手段36は、スイッチモード電源回路34の発振器のスイッチング周波数を変更する。この発振器は、図示していないが、
図5の点A、B及びOに接続される。
【0059】
変更手段36は、キャパシタC 72に直列に接続された第1抵抗R1 70を備えている。
【0060】
MOSトランジスタ74と、トランジスタ74と直列な第2抵抗R2 76は、抵抗70に並列に接続されている。
【0061】
データ信号32の入力は、発振器の時定数を変更する効果を有するトランジスタ74の切り換えのために、MOSトランジスタ74のゲート77に接続されている。電源回路34のスイッチング周波数も変更される。
【0062】
トランジスタ74のドレイン78は、例えば5Vに等しい電圧V
refに接続されている。
【0063】
2つの時定数は、2つの異なるスイッチング周波数に帰結するR1*Cと(R1*R2/(R1+R2))*Cである。
【0064】
一例として、C=1nF、R1=15.4kΩ、及びR2=59kΩとすれば、結果として得られる2つの周波数は、F1=53kHz及びF2=66kHzである。例えば、周波数F1は、1に等しいAPC信号の値に対応し、周波数F2は、0に等しいAPC信号の値に対応する。
【0065】
部品及び温度の誤差に依存して、スイッチング周波数F1及びF2は、わずかに変化する。
再び上述の例によれば、F1は、48kHz〜60kHzであり、F2は、60kHz〜75kHzである。
【0066】
スイッチング周波数F1及びF2は、変圧器40の2次コイル44の電圧の計測により、電源回路34の出力において計測される。
【0067】
その後、マイクロコントローラ30は、スイッチング周波数から、APC信号の値を決定する。
【0068】
インピーダンス整合回路38は、電源回路のスイッチング周波数を計測するために、フィルターをかけ、電源回路34の出力をマイクロコントローラ30の入力に整合させることができる。
【0069】
インピーダンス整合回路38の構造は、
図6に詳細に示されている。
インピーダンス整合回路38は、
‐キャパシタ82に対して直列に接続された抵抗80と、
‐抵抗80とキャパシタ82の組み合わせ回路に対して直列に接続された抵抗86と
を備えている。
【0070】
抵抗86の端子において計測される出力電圧V
Sに基づいて、マイクロコントローラ30は、データ信号の値を決定する。
【0071】
望ましくは、整合回路38は、出力電圧V
Sをマイクロコントローラ30の入力として受け入れられ得る値に制限するために、抵抗89及びキャパシタ82の組み合わせ回路に対して並列に接続されたダイオード88を更に備えている。
【0072】
他の実施形態も考えられ得ることができる。
データ信号がNビットのデータ信号である場合には、変更手段は、
図5の点A及びBの間に並列接続された幾つかの回路を備えている。各回路は、直列接続されたトランジスタ74と抵抗76から形成されている。並列接続された回路の数は、送信されるべきデータ信号のビット数の関数となる。例えば、N個の並列な回路を用いることにより、2
Nビットのデータ信号を送信可能である。
【0073】
データ信号がアナログである場合には、発振器は、可変抵抗を形成する回路、例えばカレントミラー回路を備える。アナログ信号は、例えば、第1部分側で計測され、処理のために、第2部分内のマイクロコントローラ30に送られる温度情報のデータ項目に相当する。1つの特定の実施例において、アナログ信号は、スイッチング周波数に対して、非常にゆっくりと変化し得る。これは、データ信号32の値が、それぞれの異なる周波数に対応することを保証する。
【0074】
当然、他の実施形態も考えられ得る。
したがって、スイッチング周波数を変更することにより、データ信号を、絶縁部品を通過することなく送信するという本発明の原理は、2つの電源に接続されていないアースに対して、及び/又は、1つの部分が主アースに接続され、かつ他の部分が2次アースに接続された、互いに接続されていない幾つかの回路部分の間に接続された2つの回路部分の間でデータを転送する必要がある全ての場合において適用しうるものである。
【0075】
本発明による基板を、スイッチモード電源がフライバックコンバータである例において説明してきた。しかしながら、本発明による基板は、他の種類のスイッチモード電源を含み得るものである。