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特許6133567ゲームシステム、ゲーム装置、ゲームプログラム、およびゲーム処理制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133567
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】ゲームシステム、ゲーム装置、ゲームプログラム、およびゲーム処理制御方法
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/54 20140101AFI20170515BHJP
   A63F 13/26 20140101ALI20170515BHJP
【FI】
   A63F13/54
   A63F13/26
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-231011(P2012-231011)
(22)【出願日】2012年10月18日
(65)【公開番号】特開2014-79516(P2014-79516A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233778
【氏名又は名称】任天堂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100130269
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 盛規
(72)【発明者】
【氏名】長田 潤也
【審査官】 柴田 和雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−139448(JP,A)
【文献】 特開2014−060690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00 − 13/98
A63F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム装置と、第1の表示部および第1の音声出力部を備える第1出力装置と、第2の表示部および第2の音声出力部を備える第2出力装置とを備えるゲームシステムであって、
前記ゲーム装置は、
前記第1の表示部へ表示させる第1の画像、および、前記第2の表示部へ表示させる第2の画像を生成する画像生成部と、
同一の音声データに基づいて、前記第1の音声出力部から出力させるための第1音声信号、および、当該第1音声信号に基づき出力される音声内容と実質的に同じ音声内容を前記第2の音声出力部から出力させるための第2音声信号を生成する音声生成部と、
前記第1音声信号を前記第1の音声出力部へ送信し、前記第2音声信号を前記第2の音声出力部へ送信する音声信号送信部とを備え、
前記第1出力装置は、前記第1の音声出力部としての所定のスピーカを有する、あるいは、当該所定のスピーカと接続可能なモニタ装置であり、
前記第2出力装置は、プレイヤが把持可能な大きさのハウジングを有しており、前記第2の音声出力部が当該ハウジングと一体的となるように備えられた装置であり、
前記音声信号送信部は、前記第1音声信号を前記第1音声部へ送信するタイミングを前記第2音声信号の第2音声部へ送信するタイミングよりも所定の時間だけ遅延させて当該第1音声信号を送信する、ゲームシステム。
【請求項2】
前記音声信号送信部は、前記同一の音声データに基づく同じ音声が前記第1の音声出力部および前記第2の音声出力部のそれぞれから出力されていることをプレイヤが認識でき、かつ、当該出力されている音声の内容をプレイヤが把握できるように、前記第1音声信号の送信タイミングを前記第2音声信号の送信タイミングから遅延させて当該第1音声信号を送信する、請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
前記音声信号送信部は、前記第1音声信号の送信タイミングを、前記第2音声信号の送信タイミングから20ms〜100msの範囲内のいずれかの値で遅延させて当該第1音声信号を前記第1の音声出力部に送信する、請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記画像生成部は、第1の仮想カメラに基づいた仮想空間の画像を第1の画像として生成し、第2の仮想カメラに基づいた前記仮想空間の画像を第2の画像として生成する、請求項1乃至のいずれかに記載のゲームシステム。
【請求項5】
前記第2出力装置はさらに、プレイヤの操作に基づいた操作データを生成する操作データ生成部を備え、
前記ゲーム装置は、前記操作データに基づいてゲーム処理を行うゲーム処理部をさらに備える、請求項1乃至のいずれかに記載のゲームシステム。
【請求項6】
第1の表示部および第1の音声出力部を備える第1出力装置と、第2の表示部および第2の音声出力部を備える第2出力装置とに映像音声信号を出力可能なゲーム装置であって、
前記第1の表示部へ表示させる第1の画像、および、前記第2の表示部へ表示させる第2の画像を生成する画像生成部と、
同一の音声データに基づいて、前記第1の音声出力部から出力させるための第1音声信号、および、当該第1音声信号に基づき出力される音声内容と実質的に同じ音声内容を前記第2の音声出力部から出力させるための第2音声信号を生成する音声生成部と、
前記第1音声信号を前記第1の音声出力部へ送信し、前記第2音声信号を前記第2の音声出力部へ送信する音声信号送信部とを備え、
前記第1出力装置は、前記第1の音声出力部としての所定のスピーカを有する、あるいは、当該所定のスピーカと接続可能なモニタ装置であり、
前記第2出力装置は、プレイヤが把持可能な大きさのハウジングを有しており、前記第2の音声出力部が当該ハウジングと一体的となるように備えられた装置であり、
前記音声信号送信部は、前記第1音声信号を前記第1音声部へ送信するタイミングを前記第2音声信号の第2音声部へ送信するタイミングよりも所定の時間だけ遅延させて当該第1音声信号を送信する、ゲーム装置。
【請求項7】
ゲーム装置と、第1の表示部および第1の音声出力部を備える第1出力装置と、第2の表示部および第2の音声出力部を備える第2出力装置とを備えるゲームシステムのコンピュータにおいて実行されるゲームプログラムであって、
前記第1の表示部へ表示させる第1の画像、および、前記第2の表示部へ表示させる第2の画像を生成する画像生成手段と、
同一の音声データに基づいて、前記第1の音声出力部から出力させるための第1音声信号。および、当該第1音声信号に基づき出力される音声内容と実質的に同じ音声内容を前記第2の音声出力部から出力させるための第2音声信号を生成する音声生成手段と、
前記第1音声信号を前記第1の音声出力部へ送信し、前記第2音声信号を前記第2の音声出力部へ送信する音声信号送信手段として前記コンピュータを機能させ、
前記第1出力装置は、前記第1の音声出力部としての所定のスピーカを有する、あるいは、当該所定のスピーカと接続可能なモニタ装置であり、
前記第2出力装置は、プレイヤが把持可能な大きさのハウジングを有しており、前記第2の音声出力部が当該ハウジングと一体的となるように備えられた装置であり、
前記音声信号送信手段は、前記第1音声信号を前記第1音声部へ送信するタイミングを前記第2音声信号の第2音声部へ送信するタイミングよりも所定の時間だけ遅延させて当該第1音声信号を送信する、ゲームプログラム。
【請求項8】
ゲーム装置と、第1の表示部および第1の音声出力部を備える第1出力装置と、第2の表示部および第2の音声出力部を備える第2出力装置とを備えるゲームシステムを制御するためのゲーム処理制御方法であって、
前記第1の表示部へ表示させる第1の画像、および、前記第2の表示部へ表示させる第2の画像を生成する画像生成ステップと、
同一の音声データに基づいて、前記第1の音声出力部へ出力するための第1音声信号、および、当該第1音声信号に基づき出力される音声内容と実質的に同じ音声内容を前記第2の音声出力部へ出力するための第2音声信号を生成する音声生成ステップと、
前記第1音声信号を前記第1の音声出力部へ送信し、前記第2音声信号を前記第2の音声出力部へ送信する音声信号送信ステップとを備え、
前記第1出力装置は、前記第1の音声出力部としての所定のスピーカを有する、あるいは、当該所定のスピーカと接続可能なモニタ装置であり、
前記第2出力装置は、プレイヤが把持可能な大きさのハウジングを有しており、前記第2の音声出力部が当該ハウジングと一体的となるように備えられた装置であり、
前記音声信号送信ステップでは、前記第1音声信号を前記第1音声部へ送信するタイミングを前記第2音声信号の第2音声部へ送信するタイミングよりも所定の時間だけ遅延させて当該第1音声信号を送信する、ゲーム処理制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームシステム、ゲーム装置、ゲームプログラム、およびゲーム処理制御方法に関し、より特定的には、異なる複数の音声出力装置を用いたゲームシステム、ゲーム装置、ゲームプログラム、およびゲーム処理制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的なテレビ装置(第1の映像出力装置)と、これとは別の、映像出力可能な表示部を備えたコントローラ(第2の映像出力装置)とを併用するゲームシステムについて知られている。このようなゲームシステムでは、例えば、第1のゲーム映像をテレビ装置に表示し、この第1のゲーム映像とは異なる第2のゲーム映像をコントローラの表示部に表示したりすることで、新しい遊びを提案していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−135337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記提案は、主にどのような映像を表示し、また、これらをゲーム処理との関係でどのように連携させて表示するかを主眼としたものであった。そのため、音声に関する処理に関しては特に言及や提案をするものではなかった。
【0005】
それ故に、本発明の目的は、物理的に異なる音声出力装置を用いた新たな遊びをプレイヤに提供可能なゲームシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、例えば以下のような構成により達成される。
【0007】
構成例の一例は、ゲーム装置と、第1の表示部および第1の音声出力部を備える第1出力装置と、第2の表示部および第2の音声出力部を備える第2出力装置とを備えるゲームシステムである。ゲーム装置は、画像生成部と、音声生成部と、音声信号送信部とを備える。画像生成部は、第1の表示部へ表示させる第1の画像、および、第2の表示部へ表示させる第2の画像を生成する。音声生成部は、同一の音声データに基づいて、第1の音声出力部から出力させるための第1音声信号および第2の音声出力部から出力させるための第2音声信号を生成する。音声信号送信部は、第1音声信号を第1の音声出力部へ送信し、第2音声信号を第2の音声出力部へ送信する。そして、音声信号送信部は、第1音声信号を第1音声部へ送信するタイミングを第2音声信号の第2音声部へ送信するタイミングよりも所定の時間だけ遅延させて当該第1音声信号を送信する。
【0008】
上記構成例によれば、例えば、プレイヤに第2出力装置を注視させておきたいような状況下で、第1出力装置への視線誘導が発生することを防ぎ、第2出力装置をプレイヤが注視している状態を維持させることができる。
【0009】
他の構成例として、第1出力装置は、第1の音声出力部としての所定のスピーカを有する、あるいは、当該所定のスピーカと接続可能なモニタ装置であり、また、第2出力装置は、プレイヤが把持可能な大きさのハウジングを有しており、第2の音声出力部が当該ハウジングと一体的となるように備えられた装置であってもよい。
【0010】
他の構成例として、音声信号送信部は、同一の音声データに基づく同じ音声が第1の音声出力部および第2の音声出力部のそれぞれから出力されていることをプレイヤが認識でき、かつ、当該出力されている音声の内容をプレイヤが把握できるように、第1音声信号の送信タイミングを第2音声信号の出力タイミングから遅延させて当該第1音声信号を出力してもよい。
【0011】
他の構成例として、音声信号送信部は、第1音声信号の送信タイミングを、第2音声信号の送信タイミングから20ms〜100msの範囲内のいずれかの値で遅延させて当該第1音声信号を第1の音声出力部に送信してもよい。
【0012】
更に他の構成例として、画像生成部は、第1の仮想カメラに基づいた仮想空間の画像を第1の画像として生成し、第2の仮想カメラに基づいた仮想空間の画像を第2の画像として生成してもよい。
【0013】
更に他の構成例として、第2出力装置は、プレイヤの操作に基づいた操作データを生成する操作データ生成部をさらに備えていてもよい。また、ゲーム装置は、操作データに基づいてゲーム処理を行うゲーム処理部をさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、プレイヤの注意を第2出力装置のほうに引きつけておきたい場合に、第1出力装置への視線誘導を防ぎ、プレイヤの注意が第2出力装置のほうに向いている状態を維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るゲームシステム1の一例を示す外観図
図2図1のゲーム装置本体5の一例を示す機能ブロック図
図3図1の端末装置6の外観構成の一例を示す図
図4】端末装置6の内部構成の一例を示すブロック図
図5】ゲーム音声の出力状態の一例を示す模式図
図6】本実施形態におけるゲーム音声の出力状態の一例を示す模式図
図7】メモリ12のメモリマップ
図8】端末操作データ83の構成の一例
図9】ゲーム処理プログラム81に基づくゲーム処理の流れを示すフローチャート
図10】端末装置6の制御処理の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照して、本発明の一実施形態に係るゲームシステムについて説明する。
【0017】
図1において、ゲームシステム1は、表示手段の一例である家庭用テレビジョン受像機(以下、モニタと記載する)2と、モニタ2に接続コードを介して接続する据置型のゲーム装置3とから構成される。モニタ2は、スピーカ2aを備える。また、ゲーム装置3は、ゲーム装置本体5と、端末装置6とを含む。
【0018】
モニタ2は、ゲーム装置本体5から出力されるゲーム画像を表示する。モニタ2はスピーカ2aを有しており、スピーカ2aは、ゲーム装置本体5から出力されるゲーム音声を出力する。なお、この例ではモニタ2がスピーカ2aを有する例を示したが、他の実施例では、モニタ2に(アンプ等を経由して)別途外部のスピーカを接続するような形態であってもよい。
【0019】
ゲーム装置本体5は、当該ゲーム装置本体5で読み取り可能な光ディスクに記憶されたゲームプログラム等に基づいてゲーム処理等を実行する。
【0020】
端末装置6は、ユーザが把持可能な入力装置である。ユーザは端末装置6を手に持って動かしたり、あるいは、端末装置6を自由な位置に配置したりして使用することが可能である。端末装置6は、表示手段であるLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)21、スピーカ23、後述するヘッドホン端子、および入力手段(アナログスティックや押下型のボタン、タッチパネル等)等を備える。端末装置6とゲーム装置本体5とは無線(有線であってもよい)によって通信可能である。端末装置6は、ゲーム装置本体5で生成された画像(例えばゲーム画像)のデータをゲーム装置本体5から受信し、当該データが示す画像をLCD61に表示する。また、端末装置6は、ゲーム装置本体5で生成された音声(例えばゲームの効果音やBGM)のデータをゲーム装置本体5から受信し、当該データが示す音声をスピーカ23から出力する。また、端末装置6は、ゲーム装置本体5へ、自機に対して行われた操作の内容を表す操作データを送信する。
【0021】
図2は、ゲーム装置本体5のブロック図である。図2において、ゲーム装置本体5は、情報処理装置の一例である。本実施形態においては、ゲーム装置本体5はCPU(制御部)11およびメモリ12、システムLSI13、無線通信部14およびAV−IC(Audio Video−Integrated Circuit)15等を有する。
【0022】
CPU11は、メモリ12やシステムLSI13等を用いて所定の情報処理プログラムを実行する。これにより、ゲーム装置3における各種機能(例えば、ゲーム処理)が実現される。
【0023】
システムLSI13には、GPU(Graphics Processor Unit)16、DSP(Digital Signal Processor)17、入出力プロセッサ18、等が含まれる。
【0024】
GPU16は、CPU11からのグラフィクスコマンド(作画命令)に従って画像を生成する。なお、本実施形態においては、ゲーム装置本体5は、モニタ2に表示するゲーム画像と、端末装置6に表示するゲーム画像との両方を生成することがある。以下では、モニタ2に表示されるゲーム画像を「モニタ用ゲーム画像」と呼び、端末装置6に表示されるゲーム画像を「端末用ゲーム画像」と呼ぶことがある。
【0025】
DSP17は、オーディオプロセッサとして機能し、メモリ12に記憶されるサウンドデータや音波形(音色)データを用いて、音声データを生成する。なお、本実施形態においては、ゲーム音声についてもゲーム画像と同様、モニタ2のスピーカ2aから出力するゲーム音声と、端末装置6のスピーカ23から出力するゲーム音声との両方が生成されることがある。以下では、モニタ2から出力されるゲーム音声を「モニタ用ゲーム音声」と呼び、端末装置6から出力されるゲーム音声を「端末用ゲーム音声」と呼ぶことがある。
【0026】
入出力プロセッサ18は、無線通信部14を介して、端末装置6との間でデータの送受信を実行したりする。本実施形態では、入出力プロセッサ18は、GPU16が生成したゲーム画像(端末用ゲーム画像)、および、DSP17が生成したゲーム音声(端末用ゲーム音声)のデータを、無線通信部14を経由して端末装置6に送信する。この際、端末用ゲーム画像については、表示画像の遅延が生じないように圧縮して送信するようにしても良い。また、入出力プロセッサ18は、上記無線通信部14を介して、端末装置6から送信される操作データ等を受信し、メモリ12のバッファ領域に記憶(一時記憶)する。
【0027】
また、ゲーム装置本体5において生成される画像および音声のうち、モニタ2に出力される画像データおよび音声データは、AV−IC15によって読み出される。AV−IC15は、図示しないAVコネクタを介して、読み出した画像データをモニタ2に出力するとともに、読み出した音声データをモニタ2に内蔵されるスピーカ2aに出力する。これによって、モニタ2に画像が表示されるとともにスピーカ2aから音声が出力される。
【0028】
図3は、端末装置6の外観構成の一例を示す図である。図3に示すように、端末装置6は略板状のハウジング20を備える。ハウジング20は、ユーザが両手または片手で把持可能な大きさ(形状)である。また、端末装置6は、表示部の一例であるLCD21を備える。LCD21には、上記端末用ゲーム画像が表示される。
【0029】
また、端末装置6は、スピーカ23を備える。スピーカ23からは、上記端末用ゲーム音声が出力される。
【0030】
また、端末装置6はタッチパネル22を備える。タッチパネル22は、ハウジング20に設けられる所定の入力面(表示部の画面)に対して入力された位置を検出する位置検出部の一例である。さらに、端末装置6は、操作部(図4に示す操作部31)として、アナログスティック25、十字キー26、およびボタン27等を備える。
【0031】
図4は、端末装置6の電気的な構成を示すブロック図である。図4に示すように、端末装置6は、上述のLCD21、タッチパネル22、スピーカ23、および操作部31を備える。また、端末装置6の姿勢を検出するためのモーションセンサ32(例えば加速度センサやジャイロセンサ)も備える。
【0032】
また、端末装置6は、ゲーム装置本体5との無線通信が可能な無線通信部34を備える。本実施形態においては、端末装置6とゲーム装置本体5との間では無線通信が行われるが、他の実施形態においては有線で通信が行われてもよい。
【0033】
また、端末装置6は、端末装置6における動作を制御する制御部33を備える。具体的には、制御部33は、各入力部(タッチパネル22、操作部31、モーションセンサ32)からの出力データを受け取り、操作データとして無線通信部34を介してゲーム装置本体5へ送信する。また、制御部33は、ゲーム装置本体5からの端末用ゲーム画像が無線通信部34において受信されると、必要に応じて適宜の処理(例えば、画像データが圧縮されている場合には伸張処理)を行い、ゲーム装置本体5からの画像をLCD21に表示させる。更に、ゲーム装置本体5からの端末用ゲーム音声が無線通信部34において受信されると、制御部33は、スピーカ23に当該端末用ゲーム音声を出力する。
【0034】
次に、図5および図6を参照して、本実施形態のシステムにおいて実行される処理の概要を説明する。
【0035】
本実施形態では、情報処理の一例として次のようなゲーム処理を想定する。このゲーム処理で実現されるゲームは、多人数プレイが可能なゲームである。例えば、4人同時プレイが可能なミニゲームを集めたパーティーゲームである。そして、このゲームのプレイに際して、4人の内、1人のプレイヤだけが端末装置6をコントローラとして利用する。その他の3人のプレイヤは、端末装置6とは別のコントローラ(図示せず)を用いてプレイする。この別のコントローラは、操作ボタンは備えているが、端末装置6のような画面(LCD)やタッチパネル22は備えていないコントローラである。
【0036】
上記のようなゲームにおいて、例えば、所定のミニゲームのプレイを開始するのに先立って、そのミニゲームのルールや操作方法等の説明をプレイヤに提示する状況を想定する。この説明は、本実施例では、画面での文字表示および、その文字を読み上げる音声とで提示される。特に、端末装置6を使うプレイヤと、それ以外の3人のプレイヤとではゲームにおける役割や操作方法が異なるようなゲームを想定する。例えば、端末装置6を使うプレイヤが仮想空間内を隠れながら逃げ回り、他の3人のプレイヤがこれを追いかけて捕まえるようなゲームである。この場合、端末装置6を使うプレイヤは主に端末装置6のLCD21を見てプレイし、他の3人のプレイヤはモニタ2の画面を見ながらプレイするようなスタイルとなる。
【0037】
本実施形態では、上記のようなミニゲームを説明する場合、例えばゲームのルールの説明はプレイヤ全員に共通の内容を提示する。その一方で、具体的な操作方法の説明に関しては、端末装置6のプレイヤに対する説明内容と、その他の3人のプレイヤに対する説明内容とで異なる内容を提示する。共通の説明内容については、モニタ2の画面に文字として表示されると共に、スピーカ2aから音声(モニタ用ゲーム音声)による説明が出力される。また、端末装置6のLCD21にも同じ説明が表示され、スピーカ23からも同じ内容の音声(端末用ゲーム音声)が出力されるものとする。また、端末装置6のプレイヤのみに提示する説明内容については、LCD21およびスピーカ23からのみ出力される。その他の3人のプレイヤに対する説明内容は、モニタ2の画面およびスピーカ2aから出力される。換言すれば、端末装置6を使うプレイヤは、基本的にはLCD21さえ見ていれば、当該ミニゲームのルールや操作方法等は把握できることになる(つまり、モニタ2は見る必要はない)。
【0038】
ここで、上記共通の説明内容については、モニタ2のスピーカ2aと端末装置6のスピーカ23との双方から出力されることになる。このとき、双方の音声の出力タイミングが全く同じタイミングで出力されると、端末装置6のプレイヤからすると、どちらのスピーカから出力されているのか把握しづらいという状態になる。図5は、このような状況を模式的に示した図である。タイミングT1において双方のスピーカから同時に所定の説明音声の出力が開始されると、一つの音声にミックスされてプレイヤに聞こえてしまう。その結果、プレイヤが、モニタ2のスピーカ2aからのみ音声出力されていると認識してしまい、それまでLCD21を注視していたプレイヤの視線がモニタ2に移動されてしまう場合がある。つまり、LCD21をプレイヤに注視させておくことが好ましい状況であるにもかかわらず、上記のような同じタイミングで異なるスピーカから音声出力されることで、モニタ2に視線誘導されてしまう可能性がある(一般的には端末装置6のLCD21よりもモニタ2のほうが大きな画面であるため、無意識にそちらに目がいってしまう)。その結果、例えば、その後、端末装置6固有の操作方法等のLCD21にのみ表示される情報が表示されたとき、これをプレイヤが見逃したり聞き逃したりしてしまうというおそれがある。
【0039】
そこで、本実施形態では、上記のようにモニタ2のスピーカ2aと端末装置6のスピーカ23の双方から音声を出力する場合に、モニタ側の音声を意図的に少しだけ遅延させて出力するような処理を行う。図6は、このような処理を模式的に示した図である。図6において、端末用ゲーム音声はタイミングT1で出力が開始され、モニタ用ゲーム音声はタイミングT2から出力が開始されている。このように、端末装置2のスピーカ23からの音声出力内容をプレイヤが認識したであろうタイミングで、モニタ2のスピーカ2aからも同じ音声を出力する。これにより、それぞれのスピーカから同じ内容の音声が出力されているということをプレイヤに認識させることができる。その結果、上記のようなモニタ2への視線誘導を防ぐことができ、端末装置6を使うプレイヤの視線がLCD21に向いたままの状態を維持させることができる。
【0040】
ところで、上記のように、本実施形態では、モニタ側の音声出力を意図的に遅延させる処理を行うが、この遅延があまり大きすぎると、音のズレが気になってしまう等で、逆にプレイヤにとって聞き取りにくくなってしまうこともあり得る。そのため、この遅延させるタイミングは、プレイヤが音声を聞き取りにくくならない程度の遅延であって、かつ、端末装置6とモニタとで同じ音声が出力されていることが瞬間的に認識できる程度の僅かな遅延に収めることが好ましい。
【0041】
このような遅延させる幅としては、実験の結果、1フレームの描画時間を1/60秒(約16.66ms)と考えた場合(以下の説明でも、この前提で説明する)、20ms〜100msの範囲内の遅延であれば、聞き取りにくくならない程度で、両スピーカから別々に同じ音声が出力されていることが認識できた。なお、これは、モニタ2自体の性能に基づく遅延幅をも考慮した値でもある。モニタ2自体の映像音声に関する処理性能によっては、特に意図的な遅延処理を加えずとも、もともと遅延気味に音声が出力される場合があり得る。この遅延は、一般的には、2〜4フレーム程度の遅延であることが多い。そのため、このようなモニタの性能によるもともとの遅延も考慮して実験した結果、20ms〜100msの範囲内の遅延であれば、好適な結果が得られた。これ以上遅れると、モニタ性能によるもともとの遅延も合わさって更に遅延してしまい、例えば1秒の遅延となると、聞き取りにくい状態となった。また逆に、これよりも短いと、両スピーカから別々に同じ音声が出力されていることが認識できない状態となった。
【0042】
そして、本実施形態では、上記の遅延の範囲内でも特に好適な例として、1フレームの描画を1/60秒とした場合、1/15秒(4フレーム分、約66.66ms)だけモニタ2側の音声出力を遅延させる例を説明する。
【0043】
次に、図7図10を参照して、上記のようなゲーム処理を実現するためのシステム1の動作について詳細に説明する。
【0044】
図7は、上記ゲーム処理を実行するときにゲーム装置本体5のメモリ12に記憶される各種データの一例を示している。
【0045】
ゲーム処理プログラム81は、ゲーム装置本体5のCPU11に、上記ゲームを実現するためのゲーム処理を実行させるためのプログラムである。ゲーム処理プログラム81は、例えば、光ディスクからメモリ12にロードされる。
【0046】
処理用データ82は、CPU11において実行されるゲーム処理において用いられるデータである。処理用データ82は、端末操作データ83、端末送信用データ84、ゲーム画像データ85、ゲーム音声データ86等を含む。
【0047】
端末操作データ83は、端末装置6から周期的に送信される操作データである。図8は、端末操作データ83の構成の一例を示す図である。端末操作データ83には、操作ボタンデータ91、タッチ位置データ92等が含まれる。操作ボタンデータ91は、操作部31(アナログスティック25、十字キー26、およびボタン27)に対する入力状態を示すデータである。また、モーションセンサ32に対する入力内容も操作ボタンデータ91に含まれる。タッチ位置データ92は、タッチパネル22の入力面において入力が行われた位置(タッチ位置)を示すデータである。
【0048】
端末送信用データ84は、端末装置6へ周期的に送信するデータである。端末送信用データ84には、上記端末用ゲーム画像や端末用ゲーム音声が含まれる。
【0049】
ゲーム画像データ85は、上記端末用ゲーム画像およびモニタ用ゲーム画像の素になるデータである。例えば、仮想ゲーム空間内に出現する各種3Dオブジェクトのデータ等が含まれている。
【0050】
ゲーム音声データ86は、上記端末用ゲーム音声およびモニタ用ゲーム音声の素になるデータである。ゲーム音声データ86には、上述したようなミニゲームの説明用の音声等
が含まれる。
【0051】
次に、図9のフローチャートを参照し、ゲーム処理プログラム81に基づいてゲーム装置本体5のCPU11によって実行されるゲーム処理の流れを説明する。
【0052】
ゲーム処理プログラム81の実行が開始されると、所定の初期化処理が行われた後、図8のステップS1において、CPU11は、端末操作データ83の取得を行う。
【0053】
次に、ステップS2において、CPU11は、端末操作データ83で示される操作内容(主に操作ボタンデータ91やタッチ位置データ92で示される操作内容)に基づき、所定のゲーム処理を実行する。例えば、プレイヤキャラクタ等の各種キャラクタやオブジェクトを移動させる処理や、当たり判定処理や点数加算処理等が行われる。
【0054】
次に、ステップS3において、CPU11は、上記ゲーム処理の結果が反映されたゲーム画像を生成する処理を実行する。例えば、上記操作内容に基づいてプレイヤキャラクタが移動した後の仮想ゲーム空間を仮想カメラで撮影することでゲーム画像が生成される。また、このとき、CPU11は、ゲーム内容に応じて、適宜、モニタ用ゲーム画像と端末用ゲーム画像の2つの画像を生成する。具体的には、2つの仮想カメラを用いることでそれぞれの画像が生成される。
【0055】
次に、ステップS4において、CPU11は、ゲーム音声を再生する処理を実行する。すなわち、CPU11は、ゲーム処理の内容(ゲームの進行具合等)に応じて適宜ゲーム音声データ86をメモリ12から読み出し、再生する。例えば、上記のような各プレイヤに共通するようなゲーム内容の説明音声が再生される。
【0056】
次に、ステップS5で、上記再生された音声を示すデータを端末用ゲーム音声として端末用送信データ84に格納する。また、上記ステップS3で生成された端末用ゲーム画像も端末用送信データ84に格納する。そして、CPU11は、当該、端末用送信データ84を端末装置6に送信する。その結果、原音としての端末用ゲーム音声が端末装置6に送られ、当該音声(を示す音声信号)が端末装置6のスピーカ23から出力されることになる。なお、ここでは、端末装置6自体の性能による音声出力の遅延は実質的に無いものとして説明する。当該端末装置6はゲーム装置本体3用として製造されており、このような遅延(レイテンシー)がないように、その性能のチューニングが行われているからである。
【0057】
次に、ステップS6において、CPU11は、上記ステップS3で生成されたモニタ用ゲーム画像をモニタ2に出力する。
【0058】
次に、ステップS7において、CPU11は、上記端末用ゲーム音声の送信から所定時間だけ遅延させて、モニタ用ゲーム音声のモニタ2への出力を行う。本実施例では、上記端末用ゲーム音声の送信から1/15秒だけ遅延させて出力する。この処理内容については、意図的に遅延させることができればどのような処理でもよいが、例えば、ステップS7において1/15秒だけ待つウェイト処理を行ってからモニタ用ゲーム音声を出力させてもよい。また、あるいは、図9の処理ループが1/60秒単位で繰り返されるとした場合、例えばステップS4で再生された音声をバッファに貯めておき、ステップS7の処理では、4フレーム前に上記ステップS4で再生された音声を送信するようにしても良い。つまり、ステップS7では、常に4フレーム前の音声がモニタ用ゲーム音声として出力されるようにしてもよい。
【0059】
なお、上記では、モニタ用ゲーム画像については特に遅延させずにモニタ用ゲーム音声のみ遅延させる例を示したが、これに限らず、モニタ用ゲーム画像についても4フレーム分遅らせて出力するようにしてもよい。つまり、モニタ用ゲーム音声およびモニタ用ゲーム画像は同期出力するようにしてもよい。換言すれば、モニタ2へのゲーム画像および音声の出力タイミングを端末装置6へのゲーム画像および音声の出力タイミングより4フレーム分遅延させるような処理としてもよい。
【0060】
次に、ステップS8で、CPU11は、ゲーム処理を終了するための所定の条件が満たされたか否かを判定する。その結果、所定の条件が満たされていないときは(ステップS8でNO)、上記ステップS1に戻り、上述の処理を繰り返す。所定の条件が満たされたときは(ステップS8でYES)、CPU11は当該ゲーム処理を終了する。
【0061】
次に、図10のフローチャートを参照して、端末装置6の制御部33が実行する制御処理の流れを説明する。まず、ステップS41において、制御部33は、ゲーム装置本体5から送信された端末送信用データ84を受信する。
【0062】
次に、ステップS42において、制御部33は、上記受信した端末送信用データ84に含まれている端末用ゲーム画像をLCD21に出力する。
【0063】
次に、ステップS43において、制御部33は、上記受信した端末送信用データ84に含まれている端末用ゲーム音声のデータに基づく音声信号をスピーカ23に出力する。
【0064】
次に、ステップS44において、制御部33は、操作部31やモーションセンサ32、タッチパネル22に対する入力(操作内容)を検出し、操作ボタンデータ91およびタッチ位置データ92を生成する。
【0065】
次に、ステップS45において、制御部33は、上記ステップS44で生成した操作ボタンデータ91およびタッチ位置データ92を含む端末操作データ83を生成し、ゲーム装置本体5に送信する。
【0066】
次に、ステップS46において、制御部33は、端末装置6の制御処理を終了するための所定の条件が満たされたか否かを判定する(例えば、電源オフ操作が行われたか否か等)。その結果、所定の条件が満たされていないときは(ステップS46でNO)、上記ステップS41に戻り、上述の処理を繰り返す。所定の条件が満たされたときは(ステップS46でYES)、制御部33は当該端末装置6の制御処理を終了する。
【0067】
このように、本実施形態では、同じ音声を端末装置6とモニタ2のスピーカの双方で出力する際に、意図的にモニタ側ゲーム音声の出力を端末側ゲーム音声の出力より僅かに遅延させる。これにより、プレイヤが端末装置6のLCD21を注視している状態を維持させたいような場合に、このような状態を維持させることが可能となる。
【0068】
なお、上記のような遅延出力の対象とするモニタ用ゲーム音声について、ゲーム中の全てのモニタ用ゲーム音声を遅延出力させてもよいし、特定のシーンにおけるモニタ用ゲーム音声のみを遅延出力させるようにしても良い。例えば、上述したようなゲーム内容の説明用の音声に関して、全プレイヤ向けの共通の説明音声(つまり、モニタ2と端末装置6側とで同じ音声が出力される場合)を出力するときは上記のような遅延処理を行い、モニタ2と端末装置6側とで異なる内容の音声が出力される場合は、上記のような遅延処理は行わないようにしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態においては、モニタ用ゲーム音声を遅延させて出力させるための一連の処理が単一の装置(ゲーム装置本体5)において実行される場合を説明したが、他の実施形態においては、上記一連の処理が複数の情報処理装置からなる情報処理システムにおいて実行されてもよい。例えば、ゲーム装置本体5と、当該ゲーム装置本体5とネットワークを介して通信可能なサーバ側装置とを含む情報処理システムにおいて、上記一連の処理のうちの一部の処理がサーバ側装置によって実行されてもよい。また、上記情報処理システムにおいて、サーバ側のシステムは、複数の情報処理装置によって構成され、サーバ側で実行するべき処理を複数の情報処理装置が分担して実行してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…ゲームシステム
2…モニタ
2a…スピーカ
3…ゲーム装置
5…ゲーム装置本体
6…端末装置
20…ハウジング
21…LCD
23…スピーカ
図1
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図10