特許第6133585号(P6133585)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133585
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】EUVフォトレジスト封入
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20170515BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   H01L21/302 105A
   H01L21/30 570
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-267237(P2012-267237)
(22)【出願日】2012年12月6日
(65)【公開番号】特開2013-145874(P2013-145874A)
(43)【公開日】2013年7月25日
【審査請求日】2015年6月18日
(31)【優先権主張番号】11194789.1
(32)【優先日】2011年12月21日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】12150658.8
(32)【優先日】2012年1月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591060898
【氏名又は名称】アイメック
【氏名又は名称原語表記】IMEC
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】エフライン・アルタミラノ・サンチェス
【審査官】 齊田 寛史
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−523030(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0186405(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
極端紫外線フォトリソグラフィプロセスを実施するための方法(300)であって、
ハードマスクと、該ハードマスク上方に形成されたフォトレジスト突起部を有する極端紫外線(EUV)フォトレジスト層とを備えた基板を得る工程(310)と、
シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、ゲルマニウム酸化物、ゲルマニウム窒化物、ゲルマニウム酸窒化物、シリコンゲルマニウム酸化物、シリコンゲルマニウム窒化物、シリコンゲルマニウム酸窒化物層のうちの1つである封入層をフォトレジスト上で形成することにより、EUVフォトレジストのパターン層を封入する工程(320)であって、封入層は、四ハロゲン化ケイ素、四水素化ケイ素、四ハロゲン化ゲルマニウム、四水素化ゲルマニウム、四ハロゲン化シリコンゲルマニウム又は四水素化シリコンゲルマニウムの前駆体からなる群の1つである第1前駆体及び酸素前駆体を使用したEUVフォトレジストの弱化温度Tg未満の温度で形成する工程と、
その後、ハードマスクをパターニングするために基板をドライエッチングする工程(330)とを含む方法(300)。
【請求項2】
封入する工程(320)は、ドライエッチングと同じセットアップで実施する、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項3】
前記封入する工程を実施することにより、フォトレジスト突起部上で、フォトレジスト層(430)の他の位置での封入層(440)の厚さより充分大きい厚さを有する封入層(440)を形成する、請求項1又は2に記載の方法(300)。
【請求項4】
基板を得る工程は、基板の水素プラズマ前処理を実施する工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法(300)。
【請求項5】
水素プラズマ前処理を実施する工程は、前記ドライエッチングのために使用したチャンバと同じチャンバ内で水素プラズマ前処理を実施することを含む、請求項4に記載の方法(300)。
【請求項6】
EUVフォトレジストのパターン層を封入する工程(320)は、シリコン酸化物層である封入層を形成する工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法(300)。
【請求項7】
四ハロゲン化ケイ素、四水素化ケイ素、四ハロゲン化ゲルマニウム、四水素化ゲルマニウム、四ハロゲン化シリコンゲルマニウム又は四水素化シリコンゲルマニウムの前駆体からなる群の1つである第1前駆体及び酸素前駆体を使用して封入層を形成する工程は、プラズマ加工を実施することを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法(300)。
【請求項8】
前記ドライエッチングする工程は、フォトレジスト突起部が生じる位置ではハードマスク材料を実質的に維持しつつ、フォトレジスト突起部が生じない位置でハードマスク材料をエッチングすることを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法(300)。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の極端紫外線フォトリソグラフィプロセスを実施するための方法(300)を用いて、パターン層を製造する方法。
【請求項10】
パターン層を備えた半導体デバイス製造するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法(300)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極端紫外線リソグラフィの分野に関する。特に本発明は、フォトレジストの下方の層のマスクパターンの選択的エッチング中にEUV適合性フォトレジストを保護するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光リソグラフィは、248nm又は193nmを使用することが多い。193nmの液浸リソグラフィを用いて、集積回路(IC)の製造は、45nmノード、更には32nmノードに低下させることができる。しかし、サブ32nmハーフピッチノードでの印刷の場合、ダブルパターニングを使用しない限り、理論上の制限に起因して、193nmは充分でない可能性が高い。193nmの波長を使用する代わりに、極端紫外線リソグラフィ(EUVリソグラフィ)とも呼ばれ、10nmから14nm、通常13.5nmの波長を使用する、より進んだ技術が導入されている。この技術は、特に2nmから50nmの範囲の波長を使用する軟X線リソグラフィとしても既に知られていた。
【0003】
60nm未満のピッチでラインを印刷するために、過去数年にわたって極端紫外線リソグラフィ(EUVL)に多大な努力がなされてきた。EUVリソグラフィの最適化は、マスク、光照射技術、加工及び使用するフォトレジストの最適化を含んでいる。EUVプロセスのために選択されてきた特定のEUVフォトレジスト(PR)は、193(i)フォトレジスト(193液浸フォトレジスト)と比較して、異なるエッチング耐性及び厚さを有し、ドライエッチングについて新たな課題をもたらす。
【0004】
EUVリソグラフィの一つの欠点は、露光後に通常約50nmに減少するフォトレジスト高さである。図1は、スピンコート後(A)及び露光(B)後のリソグラフィスタックの厚さ(公称厚さ)の進展を示しており、大きいピッチで、193nmの液浸リソグラフィについての結果を示し、小さいピッチで、現在使用されている典型的なEUVリソグラフィプロセスについての結果を示す。193nmの液浸リソグラフィでのスタックの場合、その厚さはBARC(底面反射防止コーティング)の厚さとフォトレジストの厚さによって決定される。一方、EUVリソグラフィの場合、スタックの厚さは、基層(under layer)(UL)の厚さとフォトレジストの厚さをベースとして決定される。図2に、EUVリソグラフィプロセスで使用する典型的なスタックの例を模式的に示す。通常、スタックは、埋め込み酸化膜層(BOX)を有するシリコンオンインシュレータ(SOI)ウエハ102と、結晶シリコン層(C−Si)104と、一組の2つのハードマスク層106,108と、基層(UL)110と、EUVフォトレジスト層112とを備える。
【0005】
図1では、デバイスピッチを低下させるにつれ、プロセス中又はプロセス後に下位層(underlying layer)を保護するために残されたフォトレジスト厚さの量であるフォトレジスト量(budget)が、大幅に低下するのを観察できる。
【0006】
フォトレジスト高さの減少は、特に、フォトレジストを費やす水素プラズマ前処理(PPT)の利用によっても生じうる。それにもかかわらず、かかるプラズマ前処理は、リソグラフィ加工したデバイスについてのライン幅粗さ(LWR)を大きく向上させるために興味深く、それゆえ利用することが好ましい。
【0007】
フォトレジストの減少の別の原因は、例えばドライエッチングを通じて得られるハードマスク開口部に対する必要性である。使用するイオン衝撃及びVUVフォトンは、フォトレジストを劣化させ、その結果として最終的に得られるライン幅粗さも悪化させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
フォトレジスト高さの大幅な低下に起因して、通常、更なるエッチング工程についての狭すぎるプロセスウインドウが作成される。より小さいデバイスピッチへのニーズに従って、フォトレジストエッチング耐性を改善するためのニーズが存在するが、興味ある最小ピッチに関しては、フォトレジストエッチング耐性は好適なリソグラッフィプロセスを提供するには低すぎる。それゆえ、小ピッチを加工する必要がある場合には、EUVフォトレジスト高さ及びエッチング耐性がとても低いことを考慮すると、EUVリソグラフィプロセスを改善する余地がある。
【0009】
本発明の実施形態の目的は、極端紫外線(EUV)リソグラフィを使用して印刷した高密度パターン上でドライエッチング加工を適用するのを可能にするための、良好な方法及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る実施形態の利点は、ハードマスクをパターニングするためのエッチング加工中にフォトレジスト(PR)の劣化を制限、低減、更には回避できることである。
【0011】
本発明に係る実施形態の利点は、EUVリソグラフィプロセス中のハードマスクのドライエッチング中に、EUVフォトレジストを保護でき、それゆえ低いライン幅粗さ(LWR)を維持できることである。
【0012】
本発明に係る実施形態の利点は、EUVフォトレジストに対して高いエッチング耐性を提供し、かつ、高層の(taller)パターンを提供することになる、つまり封入層が機構(feature)間より機構上で厚くなるような強度の高い、即ちドライエッチングに対する耐性が高い材料を用いた封入を提供できることである。
【0013】
本発明に係る実施形態の利点は、低温、即ちフォトレジストの機械的安定性が危うくなり始める温度であるガラス転移温度Tより充分に低い温度で、EUVフォトレジストの封入を可能にする方法及びシステムが得られることである。
【0014】
本発明に係る実施形態の利点は、封入に続くドライエッチング加工と同じセットアップでそれを実施できるように、インサイチュ(in situ)の方法を使用したEUVフォトレジストの封入を可能にするための方法及びシステムが得られることである。これは、汚染を低下させ、簡易なプロセスを可能にする。ハードマスクエッチングだけでなく、同じセットアップで、即ち同じエッチングチャンバで任意のプラズマ前処理を実施することもできる。
【0015】
上記目的は、本発明に係る方法及びデバイスによって達成される。
【0016】
本発明は、極端紫外線フォトリソグラフィプロセスを実施するための方法であって、ハードマスクと、そのハードマスク上方に形成されたフォトレジスト突起部を有する極端紫外線(EUV)フォトレジスト層とを備えた基板を得る工程と、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、ゲルマニウム酸化物、ゲルマニウム窒化物、ゲルマニウム酸窒化物、シリコンゲルマニウム酸化物、シリコンゲルマニウム窒化物又はシリコンゲルマニウム酸窒化物のうちの1つである封入層をフォトレジスト上で形成することにより、EUVフォトレジストのパターン層を封入する工程であって、封入層は、四ハロゲン化ケイ素(tetrahalogenide)、四水素化ケイ素、四ハロゲン化ゲルマニウム、四水素化ゲルマニウム、四ハロゲン化シリコンゲルマニウム又は四水素化シリコンゲルマニウムの前駆体からなる群の1つである第1前駆体及び酸素前駆体を使用したEUVフォトレジストの弱化(weakening)温度Tg未満の温度で形成する工程と、その後、ハードマスクをパターニングするために基板をドライエッチングする工程とを含む方法に関することがある。
本発明に係る実施形態の利点は、低温、即ちEUVフォトレジストの弱化温度より低い温度で封入層を形成することができ、これにより堆積時にそれの機械的安定性を維持できることである。
【0017】
封入する工程は、ドライエッチングと同じセットアップで実施できる。本発明に係る実施形態の利点は、ドライエッチングと同じセットアップでプロセスを実施でき、これにより加工の複雑性が軽減することである。
【0018】
前記封入する工程を実施することにより、フォトレジスト突起部上でフォトレジスト層の他の位置での封入層の厚さより充分大きい厚さを有する封入層を形成できる。
【0019】
基板を得る工程は、基板の水素プラズマ前処理を実施する工程を含んでもよい、
【0020】
水素プラズマ前処理を実施する工程は、前記ドライエッチングのために使用したのと同じチャンバ内で水素プラズマ前処理を実施することを含んでもよい。
【0021】
このとき、EUVフォトレジストのパターン層を封入する工程は、シリコン酸化物層である封入層を形成する工程を含んでもよい。
【0022】
このとき、四ハロゲン化ケイ素、四水素化ケイ素、四ハロゲン化ゲルマニウム、四水素化ゲルマニウム、四ハロゲン化シリコンゲルマニウム又は四水素化シリコンゲルマニウムの前駆体からなる群の1つである第1前駆体及び酸素前駆体を使用して封入層を形成する工程は、プラズマ加工を実施することを含んでもよい。
【0023】
ドライエッチングする工程は、フォトレジスト突起部が生じる位置ではハードマスク材料を実質的に維持しつつ、フォトレジスト突起部が生じない位置でハードマスク材料をエッチングする工程を含んでもよい。
【0024】
本発明はまた、ハードマスクを準備するための中間的構造であって、少なくとも1つのハードマスク層と、フォトレジスト機構を有するEUVフォトレジストのレジスト層と、EUVフォトレジスト層及びその突起部を封入するための封入層とを備え、フォトレジスト突起部上での封入層の厚さは、フォトレジスト層上の他の位置での封入層の厚さより大きい、例えば充分に大きいような中間的構造にも関する。
【0025】
本発明はまた、上記の方法を用いたEUVリソグラフィを使用して得られるパターン層を備えた半導体デバイスにも関する。
【0026】
本発明はまた、パターン層を備えた半導体デバイスの製造についての上記方法の使用にも関する。
【0027】
本発明の特定の且つ好ましい態様は、添付する独立請求項及び従属請求項において詳説している。従属請求項からの特徴は、独立請求項の特徴及び他の従属請求項の特徴と、適切に且つ単に請求項に明記されただけでないものとして組み合わせてもよい。
【0028】
本発明の実施形態により、パターニングされたコンポーネント、構造、回路及びデバイスの良好な製造を可能にする、改良されたパターニングシステム及び方法が得られる。
【0029】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下で説明する実施形態から明らかとなり、それを参照して明瞭となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】さまざまなピッチで必要とされる、スピンコート後及び露光後のリソグラフィスタックの厚さ(公称厚さ)の進展を示しており、本発明の実施形態により解決するフォトレジスト層の厚さの問題を示している。
図2】先行技術によるEUVリソグラフィ加工で使用できる例示的なリソグラフィスタックを示す。
図3】本発明の一実施形態に係る、EUVフォトレジストの封入層の提供を含むリソグラフィプロセスにおける支援のための方法を示す。
図4】本発明の一実施形態に係る、ハードマスクを形成するための中間的構造の概略図を示す。
図5】本発明の一実施形態に係る、エッチングチャンバ内で実施する堆積技術を使用して設けた封入層を表すTEM断面像を示す。
図6】本発明の一実施形態に係る、EUVフォトレジスト上の封入層の詳細なTEM断面像の他の例を示す。
図7】本発明の一実施形態に係る封入層を使用した場合の、さまざまな堆積工程及びエッチング加工工程中のライン幅粗さ及びラインエッジ粗さを示す。
図8】本発明の一実施形態に係る封入層を使用した場合の、さまざまな堆積工程及びエッチング加工工程中のライン幅粗さについてのパワースペクトル密度を示す。
図9】封入層を有しないハードマスク(左側)と封入層を有するハードマスク(右側)とのエッチング後のフォトレジストプロファイルの比較を示しており、本発明に係る実施形態の利点を示している。
【0031】
図面は、概略的かつ非限定的である。説明目的のために、図面ではいくつかのエレメントの大きさは誇張され、また、スケール通り描かれていないことがある。
【0032】
請求項における任意の参照符号は、技術的範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0033】
特定の実施形態について特定の図面を参照しつつ本発明について説明することになるが、本発明はこれに限定されず、請求項によってのみ限定される。図面は概略的かつ非限定的である。説明目的のために、図面ではいくつかのエレメントの大きさが誇張され、また、スケール通り描かれていないことがある。寸法及び相対寸法は、本発明の実施化のための実際の縮小と必ずしも対応していない。
【0034】
また、説明及び請求項での用語「第1」「第2」などは、類似のエレメントを区別するために使用しており、必ずしもシーケンスを時間的、空間的に、序列で、又は他のどの様式で表したものでもない。こうして用いた用語は、好適な状況下で交換可能であり、本明細書で説明した本発明の実施形態は、本明細書で説明、図示したものとは別のシーケンスで動作可能であると理解すべきである。
【0035】
さらに、説明及び請求項での用語「上(top)」「下(under)」などは、説明目的で使用しており、必ずしも相対的な位置を記述するためのものでない。こうして用いた用語は、好適な状況下で交換可能であって、本明細書で説明した本発明の実施形態が、本明細書で説明又は図示した以外の向きで動作可能であると理解すべきである。
【0036】
請求項で使用する用語「備える、有する、含む(comprising)」は、それ以降に列挙された手段に限定されると解釈すべきでなく、他のエレメント又は工程を除外しない。記述した特徴、整数、工程又はコンポーネントの存在を、参照したように特定するよう解釈する必要があるが、1つ以上の他の特徴、整数、工程又はコンポーネント、或いはこれらのグループの存在又は追加を除外しない。したがって、「手段AとBとを備えるデバイス」という表現の範囲は、コンポーネントAとBだけからなるデバイスに限定すべきでない。本発明に関して、AとBが関連するデバイスのコンポーネントであることを意味するに過ぎない。
【0037】
この明細書を通じて「一実施形態(one embodiment又はan embodiment)」が意味するのは、当該実施形態と関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が、本発明の少なくとも一つの実施形態に含まれるということである。したがって、この明細書を通じてさまざまな場所で現れるフレーズ「一実施形態で」は、必ずしもすべてが同じ実施形態を参照するわけではないが、参照してもよい。さらに、特定の特徴、構造又は特性は、この開示から当業者にとって明らかなように、1つ以上の実施形態において、好適な方法で組み合わせることができる。
【0038】
同様に、本発明の例示的な実施形態の説明において、本発明の種々の特徴は、開示を簡素化し、1つ以上の種々の発明の態様の理解を支援する目的で、時には単一の実施形態、図面、又はその説明の中に一緒にグループ化されることを認識するべきである。しかし、この開示の方法は、請求項に記載の発明が、各請求項に明確に記載されたものより多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈すべきではない。むしろ、以下の請求項が示すように、発明の態様は、先に開示された単一の実施形態のすべての特徴より少なくなる。したがって、詳細な説明に続く請求項は、詳細な説明中に明確に包含され、各請求項は、この発明の別々の実施形態としてそれ自身で成立する。
【0039】
さらに、本明細書で説明したいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの特徴は含むが、他の特徴は含まない。一方、当業者が理解することになるように、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の技術的範囲内であり、異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、以下の請求の範囲において、請求項記載の実施形態のいずれもが、任意の組み合わせで使用可能である。
【0040】
本明細書でされる説明において、多くの具体的詳細が明記される。しかしながら、本発明の実施形態はこれらの具体的詳細なしに実践してもよいことが理解される。他の例において、周知の方法、構造及び技術は、この説明の理解を不明瞭にしないために、詳細には示されていない。
【0041】
本発明に係る実施形態において、シリコン酸化物ライクの材料又は封入層について述べる場合、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸化窒化物のようなシリコンベースの層、又は/及びゲルマニウム酸化物、ゲルマニウム窒化物、ゲルマニウム酸化窒化物のようなゲルマニウムベースの層、又は/及びシリコンゲルマニウム酸化物、シリコンゲルマニウム窒化物、シリコンゲルマニウム酸化窒化物のようなシリコンゲルマニウムベースの層、を指す。特別の可能性として、シリコン、酸素又は窒素の間の任意の化学量論比でのシリコン酸化物、シリコン窒化物又はシリコン酸化窒化物(Si / Si)がある。Si前駆体(例えばSiCl)とO又はNとの間の比を変化させ、これにより変化したシリコン酸化物/窒化物の化学量論を得ることができる。
【0042】
本発明に係る実施形態において、ハードマスクについて述べる場合、エッチングマスクとして使用する材料を指す。SOIウエハを使用する場合のハードマスクの一例では、SOIウエハ上にある2つの化学気相成長(CVD)層を、下から上まで以下のように使用する。40nmのアモルファスカーボン層(ACL)をボトムハードマスクとして使用した。15nmのシリコンオキシカーバイド(SiOC)をトップハードマスクとして使用した。トップハードマスクは、強度の高い材料であり、ボトムハードマスクのようなカーボンベースの材料のパターニングについて、広いプロセスウインドウを提供する。通常、これら2つのハードマスク層の組み合わせは、約300nmの高さを有するシリコン機構をパターニングするための充分なトポグラフィを提供できる。それゆえ、一旦PRパターンがトップハードマスクに転写されると、PR厚さは無関係である。
【0043】
本発明に係る実施形態では、フォトレジスト層のフォトレジスト突起部について述べる場合、フォトレジスト層下方の層を覆うことを意図したフォトレジスト機構又はパターンであって、層のこの部分(即ち、フォトレジスト機構又はパターンの下方の部分)が後の工程でエッチングされないようにしたフォトレジスト機構又はパターンを指すことがある。
【0044】
本発明に係る実施形態では、封入材料、封入層及び/又は封入について述べる場合、連続するプロセスの少なくとも一部の途中で下位層を保護するように、即ち連続するプロセスの少なくとも一部の途中で下位層への直接の影響を妨げるように下位層を覆う材料及び/又は動作を指す。
【0045】
第1の態様において、本発明は、極端紫外線フォトリソグラフィプロセスを実施する、或いは支援するための方法に関する。この方法はまた、ハードマスクを作成する、或いは支援するための方法と呼ぶこともできる。極端紫外線フォトリソグラフィプロセスは、2nmから50nmの範囲内の波長を有する放射線、より好都合には10nmから14nmの範囲内の波長を有する放射線を使用する場合を指す。この方法は、リソグラフィ加工全体、又はパターニングされたハードマスクの形成のみ、したがってリソグラフィ加工全体の一部をカバーできる。本発明の実施形態によれば、方法は、ハードマスク材料と、そのハードマスク材料上方に形成された極端紫外線(EUV)フォトレジストとを備えた基板を得る工程と、例えばシリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、ゲルマニウム酸化物、ゲルマニウム窒化物、ゲルマニウム酸窒化物、シリコンゲルマニウム酸化物、シリコンゲルマニウム窒化物又はシリコンゲルマニウム酸窒化物のうちの1つである封入層をフォトレジスト上で形成することにより、EUVフォトレジストのパターン層を封入する工程と、ハードマスクをパターニングするために基板をドライエッチングする工程とを含む。封入層は、四ハロゲン化ケイ素、四水素化ケイ素、四ハロゲン化ゲルマニウム、四水素化ゲルマニウム、四ハロゲン化シリコンゲルマニウム又は四水素化シリコンゲルマニウムの前駆体からなる群の1つである第1前駆体及び酸素前駆体を使用することによりEUVフォトレジストの弱化温度Tg未満の温度で形成する。
【0046】
例として、本発明はこれに限定されることはないが、図3に示す、リソグラフィプロセスにおける支援のための例示的な方法300を参照して、本発明の実施形態に係る標準工程及び任意工程についてさらに説明する。
【0047】
例示的な方法300は、ハードマスク材料と、そのハードマスク材料上方で形成された極端紫外線(EUV)フォトレジストのパターン層と含む基板を得る工程310を含む。通常、基板上にはさまざまな材料を設けることができる。用語「基板」は、任意の下位の材料、又は、使用できる或いは上にデバイスを形成できる材料を含んでもよい。他の代替の実施形態において、この「基板」は、例えばシリコン、ガリウム砒素(GaAs)、ガリウム砒素リン(GaAsP)、リン化インジウム(InP)、ゲルマニウム(Ge)又はシリコンゲルマニウム(SiGe)基板のような基板を含んでもよい。「基板」は、例えば半導体基板部分に加えて、SiO又はSiのような絶縁層を含んでもよい。したがって、基板という用語はまた、シリコンオングラス基板、シリコンオンサファイア基板も含む。したがって、用語「基板」は、興味ある層又は部分の下位に存在する層のためのエレメントを一般に規定するために使用する。特定の一実施形態では、基板は、埋め込み酸化膜層とその上の結晶シリコン層とを有するシリコンオンインシュレータウエハである。
【0048】
ハードマスク材料は、パターニング後にハードマスクを形成することになる材料の1つ以上の層を含んでもよい。使用できるハードマスク材料は、多層構造でもよく、例えばカーボンベースの材料、シリコン酸化物、シリコン窒化物、タングステン、チタン、酸化チタン、窒化チタンなどで作成してもよい。
【0049】
使用できるEUVフォトレジストのいくつかの例は、分子性ガラスフォトレジスト、化学増幅型レジストなどである。使用できるEUVフォトレジストのいくつかの例は、SEVR−59とSEVR−140であるが本発明の実施形態はこれに限定されない。レジストは、ポジ型又はネガ型レジストが可能である。フォトレジスト層をパターニングするための通常の工程は、例えばスピンコート、ソフトベーク、露光、露光後のベーク、現像、及びハードベークによって、レジスト材料のコーティングを設けることを含んでもよい。フォトレジスト材料をパターニングするための他の工程が含まれてもよい。本工程で示したような層のスタックを得ることは、既製品のようなスタックを得ることを含んでもよく、或いは上記の堆積プロセス及びパターニングプロセスの一部又は全部を含んでもよい。
【0050】
EUVフォトレジストの下方には、通常は基層(UL)を設けることができる。ULは、例えばEUVリソグラフィに対する感光性がないカーボンベースの材料でもよい。この層の堆積の一方法は、スピンコートによる。基層、即ちフォトレジストの下方の層は、例えばフォトレジスト層の付着を目的として設けることができる。
【0051】
基板を得る工程310はまた、プラズマ前処理、例えば水素Hプラズマ前処理を実施することを含んでもよい。通常、このような水素プラズマ前処理は、後のプロセスにも使用されるドライエッチングチャンバ内で実施することができる。プラズマ前処理は、システムのライン幅粗さを改善することを意図している。
【0052】
例として、本発明の実施形態はこれに限られないが、中間的構造の例は、例えば異なるサブ層404,406を含む基板402と、例えば異なる層412,414を含むハードマスク410と、基層420と、EUVフォトレジスト層430とを含んでもよい。本発明の実施形態によれば、本発明の一実施形態に係る構造はまた、レジスト機構上でより厚く、レジスト機構の間でより低いような封入層を含む。この封入層440は図4にも示している。封入層440を得る工程について以下で説明する。
【0053】
方法は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、ゲルマニウム酸化物、ゲルマニウム窒化物、ゲルマニウム酸窒化物、シリコンゲルマニウム酸化物、シリコンゲルマニウム窒化物又はシリコンゲルマニウム酸窒化物層の1つである封入層をフォトレジスト上で形成することによりEUVフォトレジストのパターン層を封入する工程320をさらに含む。通常、この層は、硬度、又は、下位のフォトレジストのエッチングに対する耐性より充分に大きいエッチング耐性を有する。覆われていないフォトレジストの相対硬度は、0.4GPaから0.6GPaであり、例えば約0.45GPaである。フォトレジストの相対硬度について述べるとき、この例ではシリコン上のフォトレジストを参照する。これは、フォトレジストが薄く基板硬度の影響を除外できないため、基板硬度もまた重要であるという事実に起因する。封入層で覆われたフォトレジストは、覆われていないフォトレジストより約75%硬度が高い。
【0054】
通常、封入層は、異方的な厚さを誘導する方法を使用して堆積できる。好都合なことに、堆積した封入層の厚さは、フォトレジスト機構の間でよりもこれらの機構上で大きい。本発明の実施形態によれば、フォトレジスト機構上で、少なくとも10%、好都合には少なくとも25%、より好都合には少なくとも50%、さらに好都合には少なくとも75%、さらに好都合には少なくとも100%大きい。本発明に係る実施形態の利点は、上記方法を使用した封入工程がナノローディング効果、即ち堆積した封入層はフォトレジスト層間よりもフォトレジスト層上で大きいという事実、をもたらすことである。これは、後のパターニング工程でのドライエッチングプロセスウインドウを広げることを可能にする。堆積厚さは、例として、3nmと20nmの間、例えば4nmと10nmの間、例えば5nmと7nmの間とすることができる。
【0055】
上記封入層は、四ハロゲン化ケイ素、四水素化ケイ素、四ハロゲン化ゲルマニウム、四水素化ゲルマニウム、四ハロゲン化シリコンゲルマニウム又は四水素化シリコンゲルマニウムの前駆体からなる群の1つである第1前駆体及び第2酸素前駆体を使用した堆積技術を使用して得られる。さらに、堆積技術は、EUVフォトレジストの弱化温度Tg未満の温度で封入層の形成を可能にするという利点を有する。いくつかの実施形態では、温度を90度未満、例えば75度未満に維持できる。
【0056】
本発明に係る実施形態の利点は、例えば基層のエッチング中にライン幅粗さを維持できること、また、ハードマスクのエッチング中にフォトレジストプロファイルを維持できる、或いは少しの影響しか受けないことである。
【0057】
方法はまた、ハードマスクをパターニングするために基板のドライエッチングを実施する工程330を含む。いくつかの実施形態では、好都合なことに、かかるドライエッチングを封入層の堆積と同じプロセスルームで実施できる。これにより、汚染を低減するのを支援することができ、及び/又は、効率的なリソグラフィプロセスをもたらすことができる。通常、ドライエッチングする工程330は、基層を開口、即ち基層にフォトレジストパターンを転写してハードマスク層を開口し、即ちハードマスク層にフォトレジスト層を転写する工程を含むことができる。
【0058】
方法はまた、ハードマスクの下方の興味ある層をパターニングする工程340を含んでもよい。使用可能な特定のエッチングは、パターニングされる材料の種類に依存する。本発明の少なくともいくつかの実施形態の利点は、このパターニングを上記工程で使用するのと同じエッチングチャンバで使用することも可能なことである。例えばハードマスクの除去のような、リソグラフィプロセスに典型的な更なる工程も実施することができる。
【0059】
本発明の実施形態の利点は、封入が、基層及びハードマスクのパターニング中の早期の劣化に対するフォトレジストの保護を提供することである。
【0060】
一態様において、本発明はまた、少なくとも1つのハードマスク層と、フォトレジスト機構を有するEUVフォトレジストのレジスト層と、フォトレジスト突起部を封入するための封入層とを備え、フォトレジスト突起部上での封入層の厚さは、フォトレジスト層上の他の位置での封入層の厚さより大きい、例えば充分に大きいような、ハードマスクをパターニングするための中間的構造に関する。かかる層は、上記方法を用いて得られ、又は上記方法の1つ以上の方法の工程によって誘導される中間層について説明した、1つ、複数又はすべての特徴をさらに有してもよい。
【0061】
別の態様において、本発明はまた、第1の態様に係る方法を使用して得られるパターン層を備えた半導体デバイス、及び/又は、パターン層を備えた半導体デバイスを製造するための第1の態様に係る方法の使用に関する。
【0062】
例として、本発明の実施形態はこれに限定されないが、本発明の少なくともいくつかの実施形態の特徴と利点を説明すべく、実験結果についてさらに説明することになる。
【0063】
以下で説明する結果は、例えば、32nmのライン/間隔を有し、EUVリソグラフィを使用して露光したセミコンダクタオンインシュレータ材料上のパターニングフィンに関する。基板は、300nmのシリコンオンインシュレータウエハであった。EUVリソグラフィについては、13.4nmのEUV放射線源を有し、開口数0.25nmであるリソグラフィシステムを使用した。ドライエッチングは、トランス結合プラズマTCP(商標)リアクタである、Lam Research社のKiyo 3X reactorで実施した。
【0064】
次の実験の説明において、我々は全パターニングフローからのプロセス工程、即ち本発明の実施形態に係る方法及びシステムの特徴と利点が重要な役割を果たす工程の数に注目することになる。通常、リソグラフィプロセス中の一点で、パターニングされたEUVフォトレジスト層が得られ、対応するパターンは、本実施例ではシリコンオンインシュレータ材料であるハードマスク内で転写する必要がある。かかる転写はドライエッチングプロセスを使用して行うことができる。パターンの転写プロセスにおいては、本発明の実施形態の特徴と利点が特に役割を果たす。したがって、リソグラフィプロセス中に適用される他の多くのプロセス工程は、本明細書では説明しないが、当業者に知られている。
【0065】
特定の実験では、基層ULのスタック上のパターニングされたEUVフォトレジスト層、シリコンオキシカーバイド層である2つのハードマスク層、及びアモルファスカーボン層ACL層、並びに下位の基板であって更なる基板上にシリコンを有する基板が、EUVフォトレジスト層に存在するパターンをC−Si層に転写することを意図して得られる。基板は、145nmの埋め込みSiO膜(BOX)と60nm、40nm又は30nmの厚さ(100)の結晶シリコンを有する300nmのシリコンオンインシュレータ(SOI)ウエハであった。構造は、以下で説明するスタックを使用して(110)方向にパターニングした。ACL層は、SOIウエハ上での化学気相蒸着によって得られた。得られた層は厚さ40nmであった。シリコンオキシカーバイド層もまた、(ACL層上での)化学気相蒸着を用いて得られ、15nmの厚さが堆積した。リソグラフィスタック(半導体層上に堆積した)は、20nmの基層(UL)と公称厚さ60nmのフォトレジストからなっていた。EUVフォトレジストのリソグラフィプロセスは、ACT12(TEL)に接続されたASML社のAlfa Demo Tool(ADT)で実施した。封入層のようなシリコン酸化物の堆積は、Lam Research社のKiyo C2300 reactorで実施した。これは、プラズマ電力と基板バイアスとを別個に制御することを可能にするトランス結合プラズマ(TCP(商標))リアクタである。プラズマ条件は、ベース圧力が8mTorr、電力が300W、電圧が0V、トランス結合した容量のチューニングパラメータが0.5であった。さらに、使用した中央の位置、及び5単位のSiCl、20単位Oのシリコン酸化物ライクの層を形成するために使用した。静電チャックの温度は50℃であった。
【0066】
さまざまな基板上でXPS分析を実施して、EUV PR上に堆積した封入層の組成を決定した。これらの分析によれば、封入層の組成はSiO1.7であった。換言すると、シリコン酸化物ライクの層を形成した。
【0067】
透過型電子顕微鏡を用いた堆積層の分析も行った。TEM断面像を図5に示す。これは、EUVフォトレジスト層材料で作成された機構のコアと、コアを包囲する、エッチングチャンバ内に堆積したSiOライクの層とを示している。堆積層は、フォトレジスト機構上で、当該機構間でよりも厚く、好都合なことに上記のドライエッチングプロセスウインドウの開きをもたらすことがわかる。
【0068】
図6は、EUVフォトレジスト層上の封入層の高精細の透過型電子顕微鏡写真を示す。この例では、封入層はパターンの高さを増加させる(即ち、機構間で機構上よりも厚い封入を提供する)。最大で、封入層は厚さ7nmであり、これは機構間では充分に小さい。この実施例では、機構間の封入部は約2nmから3nmの厚さである。この機構の高さの上昇は、更なるエッチング工程に対する更なるプロセスウインドウを提供する。
【0069】
封入層の使用の好都合な効果をさらに説明するために、エッチングプロセスにおけるさまざまな段階で、パターンの劣化、フォトレジストの劣化及びライン幅粗さの悪化に対する影響を監視した。
【0070】
第1の実験では、上記で得られる構造を使用し、プラズマ前処理、即ち水素Hプラズマ前処理を、フォトレジストを有する構造上で25秒間実施した。その後、上述の堆積条件を15秒間使用してフォトレジスト封入層を付加した。その後、六フッ化硫黄SFのドライエッチングを7秒間使用して、基層を開口した。封入層を使用しない条件との比較を行った。水素Hプラズマ前処理に起因して得られる改善したライン幅粗さが、封入層を設けた後、及び基層のエッチングの後に維持されることがわかった。
【0071】
これは、例えば、それぞれライン幅粗さとラインエッジ粗さを(nmで)異なる時点でのライン幅粗さのパワースペクトル密度で表す図7及び図8に示している。図7は、フォトレジスト露光後、プラズマ前処理後、基層のアンダーエッチング後のライン幅粗さ(LWR)とラインエッジ粗さ(LER)を示す。基層のエッチング後、ライン幅粗さとラインエッジ粗さの両方が、依然としてプラズマ前処理前よりも充分に大きいことが判る。同様に、図8のパワースペクトル密度のシフトに見られる、水素プラズマ前処理によって誘導された改善は、封入プロセス及び基層のアンダーエッチング後に維持される。
【0072】
第2の実験では、上記で得られた構造を使用して、先に示したエッチング工程を実施し、さらにジフルオロメタンCH/六フッ化硫黄SFのエッチングを使用したエッチングによってシリコンオキシカーバイド層を開口した。図9は、このエッチング工程の後、封入層を有する構造と有しない構造の比較を示す。左側では、封入層が存在しない場合について、走査型電子顕微鏡の断面像及び上方からの(elevated)SEM像を示している。一方、右側では、封入層が存在する場合について、走査型電子顕微鏡の断面像及び上方からのSEM像を示している。封止層を使用した場合に、より良好なエッチングの選択制と、より良好なプロファイルコントロールが存在することがわかる。これはそれぞれ、ライン幅粗さとラインエッジ粗さについても(nmで)シリコンオキシカーバイド層のエッチング後のライン幅粗さのパワースペクトル密度で表す図7及び図8からも得られる。シリコンオキシカーバイド層のエッチング後であっても、改善したライン幅粗さとラインエッジ粗さが維持されることが判る。
【0073】
上記実験は、封入層の使用が、ハードマスクのエッチング中のフォトレジストプロファイル、及びライン幅粗さを保存するのを可能にすることを示しており、したがって本発明に係る実施形態の利点を示している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9