(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133590
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】サンプリング方法、サンプリング装置及びサンプリングシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 1/04 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
G01N1/04 C
G01N1/04 E
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-276477(P2012-276477)
(22)【出願日】2012年12月19日
(65)【公開番号】特開2014-119410(P2014-119410A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】500483219
【氏名又は名称】パンパシフィック・カッパー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110722
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 誠一
(72)【発明者】
【氏名】日野 譲
(72)【発明者】
【氏名】土江 康弘
(72)【発明者】
【氏名】吉田 恵
(72)【発明者】
【氏名】市本 正志
(72)【発明者】
【氏名】中門 研太
【審査官】
後藤 大思
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−173934(JP,A)
【文献】
特開平05−010860(JP,A)
【文献】
特開2002−214087(JP,A)
【文献】
特開昭54−031793(JP,A)
【文献】
特開昭51−130292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00−1/44
G01N 5/04
C22B 1/00−61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置によって搬送される粒状又は粉状の原料から所定量のサンプルをサンプリングするサンプリング方法において、
前記搬送装置を複数並列して配置し、1又は複数の搬送装置を一旦停止させて前記搬送装置に設けられた秤量器によって搬送中の前記原料の重量の測定を行い、搬送再開後に前記搬送装置の落ち口で直ちに所定量のサンプルを1次サンプリング装置によってサンプリング(以下、「1次サンプリング」という。)すると共に、前記搬送装置に設けられた前記秤量器による前記原料の重量の測定が行われている間に、少なくとも1つ以上の他の搬送装置において1次サンプリングによって採取されたサンプル(以下、「1次サンプル」という。)からさらに2次サンプリング装置によってサンプリング(以下、「2次サンプリング」という。)したサンプル(以下、「2次サンプル」という。)の重量を前記2次サンプリング装置の近傍に配置した秤量器によって計量が行われるようにすることで前記原料の搬送を止めることなく、且つ、前記原料の湿量の測定を短時間で行うようにしたことを特徴とするサンプリング方法。
【請求項2】
請求項1に記載のサンプリング方法において、
前記2次サンプリングは、パイプ式試料採取器によって行うことを特徴とするサンプリング方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のサンプリング方法において、
前記1次サンプリングによってサンプリングした前記1次サンプルは一旦仮受けホッパに移載してから2次サンプリングを行うことを特徴とするサンプリング方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のサンプリング方法において、
前記2次サンプリングによって取得する2次サンプルの量は前記1次サンプリングによって取得した1次サンプルの量の1/100〜1/300であることを特徴とするサンプリング方法。
【請求項5】
搬送装置によって搬送される粒状又は粉状の原料から所定量のサンプルをサンプリングするサンプリング装置において、
粒状又は粉状の原料を搬送する複数並列配置された搬送装置であって、当該搬送装置上に載せられた前記原料の重量を計測する計量装置を備えた搬送装置と、
前記搬送装置の落ち口に設けられ、当該搬送装置の全幅方向に移動させながら搬送中の前記原料から所定量の1次サンプルをサンプリングする1次サンプリング装置と、
前記1次サンプリング装置によってサンプリングされた1次サンプルからさらに2次サンプルをサンプリングする2次サンプリング装置と、
前記2次サンプリング装置の近傍に配置され、前記2次サンプリング装置によってサンプリングされた2次サンプルの重量を測定する秤量器と、
を備え、
複数の前記搬送装置のうち1又は複数の搬送装置を一旦停止させた状態で前記搬送装置に設けられた秤量器によって搬送中の前記原料の重量の測定を行い、搬送再開後に前記1次サンプリング装置によって前記搬送装置の落ち口で直ちに所定量のサンプルを1次サンプリングすると共に、前記搬送装置に設けられた前記秤量器による前記原料の重量の測定が行われている間に、少なくとも1つ以上の他の搬送装置において1次サンプリングによって採取された1次サンプルからさらに2次サンプリング装置によって2次サンプリングした2次サンプルの重量を当該2次サンプリング装置の近傍に配置した秤量器によって計量を行うように構成され、これにより前記原料の搬送を止めることなく、且つ、前記原料の湿量の測定が短時間で行われるようにしたことを特徴とするサンプリング装置。
【請求項6】
請求項5に記載のサンプリング装置において、
前記2次サンプリング装置は、パイプ式試料採取器であることを特徴とするサンプリング装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のサンプリング装置において、
前記1次サンプリング装置によってサンプリングされた1次サンプルを移載する仮受けホッパを備えていることを特徴とするサンプリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプリング方法、サンプリング装置及びサンプリングシステムに関し、さらに詳しくは、母集団の特性を的確に把握するためにサンプリングからサンプルの性状の計測をまでを短時間に行うサンプリング方法、サンプリング装置及びサンプリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
銅製錬自熔炉に装入する銅精鉱は、受け入れ段階では一般的に水分を約10%程度含有している。そのため、銅精鉱の取引においては銅精鉱の受入後、湿量と乾量からその水分率を算出し、受け入れた重量に対する銅分に基づいてその費用を支払っている。また、受け入れ段階の重量はホッパに受けて秤量する方法や、ベルトコンベア下に秤量機を設置して秤量する方法が用いられている。
【0003】
受け入れ後の銅精鉱は、搬送途中でサンプリングされて重量(湿量)測定が行われ、さらに乾燥を行ってその水分率が測定されるが、サンプリングから湿量測定までの時間が長いと、精鉱中の水分が自然蒸発し、実際に受け入れたときよりも水分が低下してしまう。そのため、自然蒸発した水分が鉱石分としてカウントされてしまうことになるので取引上の損失につながる。また、搬送されてくる銅精鉱を万遍なく採取できなければスポット的に水分の低い部分をサンプリングしてしまう可能性もある。ここで、サンプルを採取する方法としては、カッタ式サンプラやパイプ式試料採取器による採取方法等が一般的に用いられている(JIS M 8083)。
【0004】
例えば、特許文献1に開示された銅精鉱等の粉粒体中の含水量の分析方法は、粉粒体を積載した車両の積載重量を車両計量器で測定して粉粒体の湿重量を求め、積載重量の測定後20秒以内に車両に積載された粉粒体から含水率分析のための試料を採取し、この試料から分析した粉粒体の含水率と湿重量とから粉粒体の含水量を求めることを特徴とするものである。
【0005】
また、特許文献2に開示された採取試料の調整方法及び調整装置は、試料を採取して保管容器に収容した後、容器内に収容した採取試料の水分率を測定するに当たり、採取試料を収容した保管容器を回転させて容器内面に結露した水分を採取試料中に戻して均一化させることを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2785574号公報
【特許文献2】特許第2885457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、銅精鉱をベルトコンベア上で秤量する場合において、正確な重量を秤量するためにはベルトコンベアを一旦停止させた状態で秤量しなければならず、その間は銅精鉱の搬送ができなくなるためその分だけ搬送作業に時間がかかるという問題があった。
【0008】
また、搬送途中の銅精鉱からサンプリングを行う場合、異なる部位から複数回に分けてサンプリングしたものを一旦ホッパに受け入れた後で秤量しようとすると、ホッパ内に精鉱が居着いてしまい測定誤差を生じるという問題があった。
【0009】
さらに、カッタ式サンプラによるサンプリングの場合、採取したサンプルを一旦受ホッパに貯えてから重量(湿量)の測定を行うため、採取から測定までの間に水分が蒸発し、自然蒸発した水分が鉱石分としてカウントされてしまい損失につながる可能性があった。また、短時間で乾量の計測をするためにはサンプル量はできるだけ少ない方がよい。
【0010】
また、パイプ式試料採取器方式のみでサンプリングを行った場合、スポット的にしかサンプルを採取できないため測定結果に誤差が生じる可能性があった。
【0011】
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、母集団たる銅精鉱等の搬送作業を妨げることなく母集団の性状、例えば重量(湿量)計測、を行うことが可能なサンプリング方法、サンプリング装置及びサンプリングシステムを提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、JISの規定を遵守しつつ、母集団たる銅精鉱等から偏りなくサンプリングすることができ、しかもサンプル重量の計量までの時間を短縮して母集団の特性を的確に把握することが可能なサンプリング方法、サンプリング装置及びサンプリングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、搬送装置によって搬送される粒状又は粉状の原料から所定量のサンプルをサンプリングするサンプリング方法において、前記搬送装置を複数並列して配置し、1又は複数の搬送装置
を一旦停止させて前記搬送装置に設けられた秤量器によって搬送中の前記原料の重量の測定を
行い、搬送再開後に前記搬送装置の落ち口で直ちに所定量のサンプルを1次サンプリング装置によってサンプリング(以下、「1次サンプリング」という。)すると共に、前記搬送装置に設けられた前記秤量器による前記原料の重量の測定が行われている間に、少なくとも1つ以上の他の搬送装置において1次サンプリング
によって採取されたサンプル(以下、「1次サンプル」という。)から
さらに2次サンプリング装置によってサンプリング(以下、「2次サンプリング」という。)した
サンプル(以下、「2次サンプル」という。)の重量を前記2次サンプリング装置の近傍に配置した秤量器によって計量が行われるようにすることで前記原料の搬送を止めることなく、且つ、前記原料の湿量の測定を短時間で行うようにしたことを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するため請求項
2に記載の発明は、請求項
1に記載のサンプリング方法において、前記2次サンプリングは、パイプ式試料採取器によって行うことを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するため請求項
3に記載の発明は、請求項
1又は
2に記載のサンプリング方法において、前記1次サンプリングによってサンプリングした前記1次サンプルは一旦仮受けホッパに移載してから2次サンプリングを行うことを特徴とする。
【0019】
上記目的を達成するため請求項
4に記載の発明は、請求項
1から
3のいずれか1項に記載のサンプリング方法において、前記2次サンプリングによって取得する2次サンプルの量は前記1次サンプリングによって取得した1次サンプルの量の1/100〜1/300であることを特徴とする。
【0020】
上記目的を達成するため請求項
5に記載の発明は、
搬送装置によって搬送される粒状又は粉状の原料から所定量のサンプルをサンプリングするサンプリング装置において、粒状又は粉状の原料を搬送する
複数並列配置された搬送装置であって、当該搬送装置上に載せられた前記原料の重量を計測する計量装置を備えた搬送装置と、前記搬送装置の落ち口に設けられ、当該搬送装置の全幅方向に移動させながら搬送中の前記原料から所定量の1次サンプルをサンプリングする1次サンプリング装置と、
前記1次サンプリング装置によってサンプリングされた1次サンプルからさらに2次サンプルをサンプリングする2次サンプリング装置と、
前記2次サンプリング装置の近傍に配置され、前記2次サンプリング装置によってサンプリングされた2次サンプルの重量を測定する秤量器とを備え、
複数の前記搬送装置のうち1又は複数の搬送装置を一旦停止させた状態で前記搬送装置に設けられた秤量器によって搬送中の前記原料の重量の測定を行い、搬送再開後に前記1次サンプリング装置によって前記搬送装置の落ち口で直ちに所定量のサンプルを1次サンプリングすると共に、前記搬送装置に設けられた前記秤量器による前記原料の重量の測定が行われている間に、少なくとも1つ以上の他の搬送装置において1次サンプリングによって採取された1次サンプルからさらに2次サンプリング装置によって2次サンプリングした2次サンプルの重量を当該2次サンプリング装置の近傍に配置した秤量器によって計量を行うように構成され、これにより前記原料の搬送を止めることなく、且つ、前記原料の湿量の測定が短時間で行われるようにしたことを特徴とする。
【0021】
上記目的を達成するため請求項
6に記載の発明は、請求項
5に記載のサンプリング装置において、前記2次サンプリング装置は、パイプ式試料採取器であることを特徴とする。
【0023】
上記目的を達成するため請求項
7に記載の発明は、請求項
5又は6に記載のサンプリング装置において、前記1次サンプリング装置によってサンプリングされた1次サンプルを移載する仮受けホッパを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るサンプリング方法、サンプリング装置及びサンプリングシステムによれば、カッタ式サンプラとパイプ式試料採取器の組み合わせにより、偏りがないサンプリングができ、かつ秤量までの時間を大幅に短縮することができ、自然蒸発による水分低下を防止することができるという効果がある。
【0026】
また、本発明に係るサンプリング方法、サンプリング装置及びサンプリングシステムによれば、計量装置を備えた複数の搬送装置を並列して設け、少なくとも1つ以上の他の搬送装置において1次サンプル取得工程から計量工程の繰り返しが行われるようにすることで原料の搬送が停止することなく継続して行われるので、湿量の測定を短時間で行うことができると共に、搬送のロスをなくし、連続して母集団たる精鉱の搬送を行うことができるという効果がある。また、片方のコンベアが故障した際にも対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係るサンプリング方法、サンプリング装置及びサンプリングシステムを実施するための装入設備の一実施形態を示す説明図である。
【
図2】(a)は本発明に係るサンプリング装置及びシステムを示す平面図、(b)はその側面図である。
【
図4】本発明に係るサンプリング方法の一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係るサンプリング方法、サンプリング装置及びサンプリングシステムについて好ましい一実施形態に基づいて説明する。
図1は本発明に係るサンプリング方法、サンプリング装置及びサンプリングシステムを実施するための装入設備を示す説明図である。
【0029】
はじめに、
図1に示す装入設備1は、銅製錬自熔炉に挿入するための銅精鉱を受け入れて図示しない貯鉱舎へ移送するための設備である。装入設備1は、図示しない受入ピットにおいて受け入れた銅精鉱を搬送する搬送装置であるベルトコンベア5と、ベルトコンベア5の落ち口(搬送方向端)側であってベルトコンベア5の搬送方向に対して直角方向に配置されたベルトコンベア6と、ベルトコンベア6の両端側にそれぞれ配置されベルトコンベア6の搬送方向と直角方向に配置されたベルトコンベア7a,7bと、ベルトコンベア7a,7bのそれぞれの落ち口(搬送方向端)側であってベルトコンベア7a,7bの搬送方向と直角に配置されたベルトコンベア8と、ベルトコンベア8の落ち口(搬送方向端)側であってベルトコンベア8の搬送方向に対して直角に配置されたベルトコンベア9を備えて構成されている。すなわち、ベルトコンベア5の落ち口はベルトコンベア6のほぼ中央部に位置するようにして配置されており、ベルトコンベア5によって搬送されてくる銅精鉱をベルトコンベア6によってベルトコンベア7a又はベルトコンベア7bのいずれかへ移送することができるように配置されている。尚、いうまでもないがベルトコンベア6は図示しない切替機構により左右のいずれの方向(ベルトコンベア7a,7bの方向)へも搬送可能に構成されている。
【0030】
また、ベルトコンベア7a,7bのそれぞれの落ち口側に配置されたベルトコンベア8は、ベルトコンベア7a,7bによって搬送されてきた銅精鉱をベルトコンベア9へ移載する。そして、ベルトコンベア9によって移送される銅精鉱はその先にある図示しない貯鉱舎へ運ばれて貯留されるようになっている。そして、ベルトコンベア7a,7bの落ち口にはベルトコンベア7a,7bによって搬送されてくる銅精鉱からベルトコンベア7a,7bの全幅方向に移動させながらから所定量の1次サンプルのサンプリングを行う第一の縮分機であるカッタサンプラ20a,20bがそれぞれ配置されている。また、ベルトコンベア8の近傍には1次サンプルからさらに2次サンプルのサンプリングを行う第二の縮分機である2台のパイプ式試料採取器40a,40bが配置されている。また、ベルトコンベア7a,7bのそれぞれはロードセルを利用した図示しない計量装置を備えており、ベルトコンベア7a,7b上に載っている銅精鉱の重量を計測することができるようになっている。尚、搬送装置はベルトコンベアに限るものではない。
【0031】
また、ベルトコンベア8の上部にはカッタサンプラ20a,20bによってそれぞれサンプリングされた1次サンプルを仮置きするための仮受けホッパ30a,30bが設けられており、仮受けホッパ30a,30bに移載された1次サンプルからさらにパイプ式試料採取器40a,40bによって2次サンプルのサンプリングが行われるようになっている。そして、パイプ式試料採取器40a,40bによってサンプリングされた2次サンプルの重量(湿量)を測定する秤量器50a,50bと、を備えている。
【0032】
カッタサンプラ20a,20b、パイプ式試料採取器40a,40b及び仮受けホッパ30a,30bは、いずれもほぼ同様の構成を備えているので以下ではカッタサンプラ20a、パイプ式試料採取器40a及び仮受けホッパ30aについて説明を行うこととし、カッタサンプラ20b、パイプ式試料採取器40b及び仮受けホッパ30bについては符号「a」を符号「b」と読み替えることでその説明に代える。
【0033】
まず、第一のサンプリング装置であるカッタサンプラ20aは、
図3に示すように、ベルトコンベア7aの全幅方向(
図3における左右方向)に移動可能なカッタバケット21aを備えており、ベルトコンベア7aの落ち口においてベルトコンベア7aによって搬送されてくる銅精鉱5をベルトコンベア7aの全幅方向に移動しながら所定量の銅精鉱5をサンプリングする。カッタバケット21aはベルトコンベア7aの落ち口側に向けて図示しないスリット状の開口部を備えており、エアシリンダ22aによって所定の速度でベルトコンベア7aの全幅方向移動しながらこの開口部から所定量の銅精鉱5のサンプリングを行う。尚、サンプリングはベルトコンベア7a及びベルトコンベア8が稼働している状態で行われるのでカッタサンプラ20aによってサンプリングされなかった銅精鉱5はベルトコンベア8上に落下して随時移送される。尚、
図3ではカッタサンプラ20aを説明するためにパイプ式試料採取器40aは示していない。ベルトコンベア7aの落ち口にカッタバケット21aを配置したので重量の計測後、直ちに1次サンプリングを行うことができるので吸湿等によるサンプルの変質を防止することができる。
【0034】
また、ベルトコンベア8の上部側には仮受けホッパ30aが配置されており、カッタサンプラ20aによって1次サンプリングされた銅精鉱5は仮受けホッパ30aへ一旦移載される。1次サンプルを一旦仮受けホッパ30a,30bに移載することによりサンプルが押し固められ、それによってパイプ式試料採取器40a,40bによる2次サンプリングが行い易くなる。カッタバケット21aが空になったカッタサンプラ20aはエアシリンダ22aによって再び元の位置に戻り、次のサンプリングに備える。
【0035】
パイプ式試料採取器40aは、仮受けホッパ30aへ移載された銅精鉱5からさらに2次サンプルをサンプリングする装置であり、
図2に示すように、少なくとも先端側が中空状でその内部に所定量の銅精鉱5を収容可能な空間部を備えた2本で一対の円筒状のパイプ41a,42aを備えており、一対の円筒状のパイプ41a,42aは図示しない駆動機構により上下移動及びベルトコンベア8上の仮受けホッパ30a側へ向かって水平移動が可能に形成されている。上下移動の駆動機構としては、例えば、円筒状のパイプ41a,42aを上下方向に架け渡されたチェーンベルトに支持させることよって、また水平方向の移動機構としては、例えば、円筒状のパイプ41a,42aをベルトコンベア8側に横設されたフレーム45aに沿って移動可能に形成することができる。尚、円筒状のパイプ41a,42aの駆動機構はこれに限定されるものではなく適宜の機構を採用することができる。尚、2次サンプルの量は1次サンプルの容量に対して1/100〜1/300であることが好ましい。2次サンプル量が多いと2次サンプリングの意味がなく、少なすぎると局所的に性状の異なる部分を採取するおそれがあるからである。本実施形態では1次サンプル約10リットルに対し2次サンプル一本のパイプ41aについて約0.04リットルを採取している。
【0036】
仮受けホッパ30aに移載された銅精鉱5からパイプ式試料採取器40aの一対の円筒状のパイプ41a,42aによって2次サンプリングされた所定量の銅精鉱5はベルトコンベア8の近傍に配置された秤量器50aによってその湿量が計測される。秤量器50aはいわゆる電子式秤量器であり、円筒状のパイプ41a,42aによってサンプリングされた銅精鉱5をそれぞれ個別のトレイ61a,61a上に載せた状態でその重量の計測が行われるようになっている。尚、秤量器50aは振動を軽減するための除振台を設けて配置することが好ましい。トレイ61a,61aはトレイ供給装置60aによって2列に順番に秤量器50aに向かって送り出される。尚、秤量器50aでの重量の計測は、初めにトレイ61a,61aを載せた状態でゼロ合わせをした後でパイプ式試料採取器40aによってサンプリングされた銅精鉱5をトレイ61a,61aに載せてその湿量の計測が行われる。また、次のサンプルも同じトレイ61a,61a上にそれぞれ載せられてその湿量の計測が行われる。秤量器50aにおける計測値(重量)は次々に積算されていくことになるが、計測された重量から当該サンプルを載せる前の重量を差し引くことで当該サンプルの重量を知ることができる。そして、湿量の計測が行われた銅精鉱5はトレイ61a,61a上にそれぞれ載せられて図示しない乾燥機によって乾燥されて乾量の計測が行われる。尚、重量の計測が終了したトレイ61a,61aは作業者によって集められて清掃された後次の計量に備えてトレイ供給装置60aに戻される。
【0037】
上述した実施形態は、2列に配置されたベルトコンベア7a,7bによって移送される銅精鉱5についてサンプリングを実施するサンプリングシステムである。ベルトコンベア7aの全長に亘って銅精鉱5が載せられた状態で停止してこれをベルトコンベア7aに設けられた図示しない計量装置によって重量を計測しつつ、他方側のベルトコンベア7bでは銅精鉱5を移送しつつサンプリング装置10bによるサンプリングを行うように、銅精鉱5の搬送を停止することなく継続して行うことにより短時間でサンプリングを行うサンプリングシステムである。本実施形態ではベルトコンベア7a,7bは2列としたがこれに限らずそれ以上を並列して配置すると共にその数に合わせた数のカッタサンプラ20a,20b、パイプ式試料採取器40a,40b及び仮受けホッパ30a,30bを配置することはもちろん可能である。尚、上述したように、秤量器50aによって重量(湿量)の計量が行われた2次サンプルは図示しない乾燥機に送られて乾燥され、水分が除去された後の重量が計測される。そして、乾燥前の重量と乾燥後の重量との差が乾燥減量として水分量が算出される。
【0038】
次に、本発明に係るサンプリング方法について上述したサンプリング装置及びシステムの実施形態の動作と共に説明する。
図4は本発明に係るサンプリング方法の一実施形態のフローチャートである。
【0039】
図示しない受入ピットに受け入れられた銅精鉱5について所定量(例えば、250トン)を1ロットとしてサンプリング作業を行う。すなわち、ベルトコンベア6によって移送される銅精鉱5は初めにベルトコンベア7aへ移送され、ベルトコンベア7a上にほぼ全長に亘って銅精鉱5が載せられたらベルトコンベア7aを停止して銅精鉱5の重量(約5トン)を図示しない計量装置によって正確に計測する(ステップS1)。重量の計測が終わったらベルトコンベア7aを再稼動させて銅精鉱5をベルトコンベア8へ向けて移送しつつベルトコンベア7aの落ち口においてカッタサンプラ20aによって1次サンプリングを行い(ステップS2)、1次サンプルを取得する。1次サンプリングは5トン毎に1回行われる。一方、ベルトコンベア7aが銅精鉱5の重量計測のために停止させられたらベルトコンベア6による銅精鉱5の移送方向を反転させて今度はベルトコンベア7bへ向けて移送を行う。そして、ベルトコンベア7bにおける重量計測及びカッタサンプラ20bによるベルトコンベア7bの落ち口における1次サンプリングが行われる。以後この動作を25回繰り返して1つのベルトコンベア7a,7b当たり125トン分について1次サンプリングを行う(25回×2=50回)。
【0040】
次に、カッタサンプラ20aによって取得された1次サンプルは順次仮受けホッパ30aへ移載されて仮置きされ(ステップS3)、仮置きされた1次サンプルからパイプ式試料採取器40aによって2次サンプルがサンプリングされる(ステップS4)。パイプ式試料採取器40aは2本で一対のパイプ41a,42aによって2次サンプルのサンプリングを行う。一方、カッタサンプラ20bによってサンプリングされた1次サンプルは仮受けホッパ30bに仮置きされてパイプ式試料採取器40bによって2次サンプルがサンプリングされる。そして、これが順次繰り返される。125トンの銅精鉱5について25回×2=50回のカッタサンプラ20a,20bによる1次サンプルのサンプリングが行われ、さらに2本のパイプ41a,42aを備えたパイプ式試料採取器40a,40bが2機配置されているので250トンの銅精鉱5当たり200個のサンプリングが行われることになる。
25回×2×2×2=200回
【0041】
パイプ式試料採取器40a,40bによってサンプリングされた2次サンプルは125tごとにそれぞれトレイ供給装置60a、60bから供給されるトレイ61a,61b上に置かれて秤量器50a,50bによってそれぞれ重量(湿量)の計量が行われる。尚、本実施形態のサンプリング方法によれば、6000トンの銅精鉱5についてのサンプリングを約4時間で行うことができる。重量(湿量)の計量が行われた2次サンプルは図示しない乾燥機に送られて乾燥され、水分が除去された後の重量が計測される。そして、乾燥前の重量と乾燥後の重量との差が乾燥減量として水分量が算出される。
【0042】
尚、銅精鉱5の受け入れ時にベルトコンベア7上で計量中の銅精鉱5を採取して直ちに湿重量を測定し図示しない乾燥機にて乾燥させて乾重量を測定して水分含量を実測したものと、ベルトコンベア7上の銅精鉱5について本発明に係るサンプリング方法、サンプリング装置及びサンプリングシステムの上記実施形態における水分含量を実測する試験を6回くり返し、それぞれの実測水分含量の平均値とを比較したところ、両者の水分含量の差は0.01%以下であった。このことから母原料の重量を測定するベルトコンベア7上における銅精鉱5の水分含量と本発明を用いて測定した水分含量の差はほとんど無いことが確認された。
【0043】
以上のように、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0044】
1 装入設備
5 銅精鉱
6 ベルトコンベア
7a,7b ベルトコンベア
8 ベルトコンベア
9 ベルトコンベア
20a,20b カッタサンプラ
30a,30b 仮受けホッパ
40a,40b パイプ式試料採取器
50a,50b 秤量器