(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133592
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】低白金量のヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダー、化粧料およびシリコーンゴムパウダーの製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 83/07 20060101AFI20170515BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20170515BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20170515BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20170515BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20170515BHJP
A61Q 15/00 20060101ALI20170515BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20170515BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20170515BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20170515BHJP
C08K 3/08 20060101ALI20170515BHJP
C08L 71/02 20060101ALI20170515BHJP
C08K 5/42 20060101ALI20170515BHJP
C08J 3/00 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
C08L83/07
A61K8/891
A61Q19/00
A61Q1/00
A61Q19/10
A61Q15/00
A61Q17/04
A61Q5/00
C08L83/05
C08K3/08
C08L71/02
C08K5/42
C08J3/00CFH
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-280345(P2012-280345)
(22)【出願日】2012年12月22日
(65)【公開番号】特開2014-122316(P2014-122316A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2015年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110077
【氏名又は名称】東レ・ダウコーニング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】脇田 万里
【審査官】
柴田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−165315(JP,A)
【文献】
特表平04−501741(JP,A)
【文献】
特開平07−145242(JP,A)
【文献】
特開2000−026737(JP,A)
【文献】
特開2006−176655(JP,A)
【文献】
特開平9−67440(JP,A)
【文献】
特開2009−91547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00− 101/14
C08K 3/00− 13/08
C08G 77/00− 77/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
白金金属含有量が3.5質量ppm以下であり、平均粒子径が0.1μm〜500μmの範囲にあるヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダー。
【請求項2】
白金金属含有量が1.5〜3.0質量ppmの範囲である、請求項1に記載のヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダー。
【請求項3】
シリコーンゴムパウダーのゴム硬度が、当該シリコーンゴムパウダーを得るために用いるヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴム組成物をシート状に硬化させた場合、JIS K6301に規定されるJIS A硬度計による測定で20〜70の範囲にあることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の材料を含有してなる、化粧料原料。
【請求項5】
請求項1〜3いずれかに記載の材料を含有してなる、化粧料。
【請求項6】
α−スルホ脂肪酸エステル塩又はHLBが7.0〜16.5のポリオキシアルキレンアルキルエーテルである界面活性剤の水溶液を用いてシリコーンゴムパウダーを水洗することにより、シリコーンゴムパウダー中の白金含有量を低減すること特徴とする、平均粒子径が0.1μm〜500μmの範囲にあるヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーの製造方法。
【請求項7】
前記の1種類以上の界面活性剤の水溶液が、HLBが7.0〜16.5のポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはスルホコハク酸ジエチルヘキシルナトリウムを含んでなる30℃〜99℃に加温した水溶液である、請求項6に記載のヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーの製造方法。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載のヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーの製造方法であって、
(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、
(B)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、および
(C)白金系触媒 成分(A)と成分(B)を架橋させてなる硬化物の質量に対して白金金属含有量が5.0質量ppm以上となる量
を含有してなるヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴム組成物を硬化させて、シリコーンゴムパウダーを得る工程の後、
(D)α−スルホ脂肪酸エステル塩又はHLBが7.0〜16.5のポリオキシアルキレンアルキルエーテルである界面活性剤を0.1質量%以上含み、30℃〜99℃に加温した水溶液 シリコーンゴムパウダー100質量部に対して50質量部以上となる量を用いて、得られたシリコーンゴムパウダーを少なくとも1回以上水洗する工程を行うことにより、白金金属含有量が3.5質量ppm以下であるシリコーンゴムパウダーを得ることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡便な工程を用いて製造することができ、シリコーンゴムパウダーの質量に対して、白金金属含有量が3.5質量ppm以下である、低白金量のヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーに関する。また、本発明はその化粧料原料または化粧料に関する用途に関するものである。さらに本発明は、シリコーンゴムパウダーの製造工程または第三者から購買したシリコーンゴムパウダーの後処理工程に容易に適用可能な、白金金属量の低減を目的とするヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリコーンゴムパウダーは、化粧料に配合され、その使用感を向上させることができるため、油性/水系を問わず、化粧料、外用剤、医薬部外品の原料として幅広く使用されている。特に、白金系金属を含有するヒドロシリル化反応触媒を用いるヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーは、硬化が速く、反応の制御が容易であり、かつ、様々な硬化条件を選択できるため、シリコーンゴムパウダーとして広く用いられている。
【0003】
例えば、ヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーの製造法として、ヒドロシリル化反応架橋性の液状シリコーンゴム組成物を熱風中に噴霧して硬化させる方法(特開昭59−68333号公報参照)、液状シリコーンゴム組成物を、界面活性剤を用いて水中に分散した状態で硬化させ、次いで水を除去する方法(特開昭62−243621号公報および特開昭63−77942号公報および特開昭64−70558号公報参照)が挙げられる。ここで、均一な球状のシリコーンゴムパウダーを効率よく調製できることから、液状シリコーンゴム組成物を水中に分散させて硬化させる方法が最も好ましい。
【0004】
しかしながら、公知の製造法において、ヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーには、硬化に用いるヒドロシリル化反応触媒中に含まれる白金系金属が、シリコーンゴムパウダーの表面または内部に架橋を通じて取り込まれ、シリコーンゴムパウダーの製品中に残留する。ここで、シリコーンゴムパウダー中の白金金属は、他の化粧料原料と反応して変質や着臭を招いたり、白金黒や金属錯体を形成して着色の原因になったりするため、可能な限り、より具体的には、全体の3.5質量ppm以下となる程度まで、シリコーンゴムパウダー中の白金金属量が低減されていることが望ましい。
【0005】
しかしながら、ヒドロシリル化反応触媒中に含まれる白金金属はシリコーンゴムの架橋構造中に取り込まれており、異物の除去を目的とする通常の水洗工程では白金金属を除去することはできない。同様に、未反応の不揮発分の除去等を目的とした公知の有機溶媒による処理工程によっても、シリコーンゴムパウダー中の白金金属量を十分に低減することができない問題があった。さらに、有機溶媒による処理方法は、環境負荷の増大に加え、得られたシリコーンゴムパウダー中に刺激性の強い有機溶媒が残留したり、溶媒による着臭の問題を生じたりするため、低白金量のシリコーンゴムパウダーからなる化粧料を得る目的には使用できない場合がある。
【0006】
一方、前記の公知文献、例えば、特開昭64−70558号公報や特開2010−132878号公報等には、白金金属含有量が1〜100ppm程度でも硬化反応に用いることができる旨が言及されている。しかしながら、5質量ppm未満のヒドロシリル化反応使用量では製造時間が長くなりすぎ、実際のシリコーンゴムパウダーの工業的生産工程においては、経済性を鑑みて、白金金属含有量が5〜20質量ppm程度の条件を採用することが一般的である(各文献の実施例参照)。仮にこれ以下の白金量となる反応条件を、工業的スケールで採用した場合、サイクルタイムの増大によって、経済的な見地から生産を実施することが困難となる。
【0007】
このため、前記の公知文献には白金金属含有量が3.5質量ppm以下であるヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーが具体的に開示されていないだけでなく、前記の公知文献の開示に従う限り、現実の工業的生産工程において、低白金量のヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーを得ることができないという問題があった。
【0008】
なお、これらの公知文献には、液状シリコーンゴム組成物を、界面活性剤を用いて水中に分散した状態で白金系金属を含有するヒドロシリル化反応触媒により硬化させ、次いで水を除去するシリコーンゴムの製造法は開示されているが、得られたシリコーンゴムパウダーをノニオン系界面活性剤の水溶液を用いて水洗することは記載も示唆もされていない。
【0009】
また、特開2010−132878号公報または特開2010−132877号公報には、硬化前の液状シリコーンゴム組成物のエマルジョン中に白金族金属系触媒を添加する場合、水に対する分散性が悪い場合には、界面活性剤に溶解した状態でエマルジョンに添加すること(例えば、特開2010−132878号公報の段落0045)は開示されているが、得られたシリコーンゴムパウダーをノニオン系界面活性剤の水溶液を用いて水洗することは記載も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭59−68333号公報
【特許文献2】特開昭62−243621号公報
【特許文献3】特開昭63−77942号公報
【特許文献4】特開昭64−70558号公報
【特許文献5】特開2010−132877号公報
【特許文献6】特開2010−132878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、工業的生産に適用可能なスケールで、簡便な工程を用いて製造することができ、他の化粧料原料に悪影響を及ぼさず、着臭、着色の問題を生じることがない低白金量のヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーを提供することを目的とする。同様に、本発明の目的は、前記の低白金量のヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーの用途および好適な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意検討した結果、ヒドロシリル化反応により得られた架橋性シリコーンゴムパウダーを、1種類以上の界面活性剤の水溶液、より好適には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはスルホコハク酸ジエチルヘキシルナトリウムを含んでなる30℃〜99℃に加温した水溶液により水洗することでヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダー中の白金金属含有量を極めて効果的に低減できる事を見出し、かかる方法を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0013】
また、本発明者らは、上記方法により、白金金属含有量が3.5質量ppm以下である、ヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーを実現できること、それを用いた好適な用途(化粧料原料または化粧料)を実現できることを見出し、本発明に到達した。
【0014】
すなわち、上記目的は、
「[1] 白金金属含有量が3.5質量ppm以下である、ヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダー。
[2] 白金金属含有量が1.5〜3.0質量ppmの範囲である、[1]に記載のヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダー。
[3] ヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーが、少なくとも1種類以上の界面活性剤を含んでなる30℃〜99℃に加温した水溶液により水洗する工程を有する製造方法により得られたことを特徴とする、[1]または[2]に記載のヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダー。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の材料を含有してなる、化粧料原料。
[5] [1]〜[3]のいずれかに記載の材料を含有してなる、化粧料。
[6] 1種類以上の界面活性剤の水溶液を用いてシリコーンゴムパウダーを水洗することにより、シリコーンゴムパウダー中の白金含有量を低減すること特徴とする、ヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーの製造方法。
[7] 前記の1種類以上の界面活性剤の水溶液が、ポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはスルホコハク酸ジエチルヘキシルナトリウムを含んでなる30℃〜99℃に加温した水溶液である、[6]に記載のヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーの製造方法。
[8] [6]または[7]に記載のヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーの製造方法であって、
(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、
(B)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、および
(C)白金系触媒 成分(A)と成分(B)を架橋させてなる硬化物の質量に対して白金金属含有量が5.0質量ppm以上となる量
を含有してなるヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴム組成物を硬化させて、シリコーンゴムパウダーを得る工程の後、
(D)1種類以上の界面活性剤を0.1質量%以上含み、30℃〜99℃に加温した水溶液 シリコーンゴムパウダー100質量部に対して50質量部以上となる量を用いて、得られたシリコーンゴムパウダーを少なくとも1回以上水洗する工程を行うことにより、白金金属含有量が3.5質量ppm以下であるシリコーンゴムパウダーを得ることを特徴とする方法。」により達成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、工業的生産に適用可能なスケールで、簡便な工程を用いて製造することができ、他の化粧料原料に悪影響を及ぼさず、着臭、着色の問題を生じることがなく、白金金属含有量が3.5質量ppm以下にまで低減された、低白金量のヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーを提供することができる。さらに、本発明により、前記の低白金量のヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーの用途(化粧料原料または化粧料)および好適な製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の低白金量のヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーおよびその製造方法について、詳細に説明する。
【0017】
本発明に係るヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーは、その白金金属含有量が、3.5質量ppm以下であることを特徴とする。工業的生産に適用可能なスケールおよびサイクルタイムの範囲では、ヒドロシリル化反応により得られたシリコーンゴムパウダーには、白金が5.0質量ppm以上含まれるものであるが、本発明においては、後述する1種類以上の界面活性剤の水溶液により、得られたシリコーンゴムパウダーを水洗することで、白金金属含有量の低減を実現したものである。
【0018】
本発明に係るヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダー中の白金金属含有量は0.0〜3.5質量ppmの範囲であるが、工業的生産に適用可能なスケールおよびサイクルタイムの範囲では、1.5〜3.0質量ppmの範囲であることが好ましく、1.6〜2.9質量ppmの範囲であることが特に好ましい。なお、界面活性剤の水溶液により水洗を長時間に亘って繰り返せば、白金量を0.0〜0.5質量ppmまで低減することもできるが、実用上は、白金金属含有量が3.5ppm質量ppm以下、好適には、3.0質量ppm以下、最も好適には2.6質量ppmで、シリコーンゴムパウダー中の白金が他の化粧料原料に悪影響を及ぼさず、着臭、着色の問題を生じないという発明の目的を達成しうる。
【0019】
本発明に係るヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーは特に限定されないが、その平均粒子径は0.1μm〜10mmであることが好ましく、さらには、0.1μm〜1mmであることが好ましく、特には、0.1μm〜500μmであることが好ましい。このシリコーンゴムパウダーの形状としては、例えば、球状、真球状、楕円状、不定形状が挙げられ、特に、球状、真球状であることが好ましい。
【0020】
また、化粧料原料としての使用の見地から、シリコーンゴムパウダーはべたつきがないことが好ましく、そのゴム硬度は、ヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴム組成物をシート状に硬化させた場合、JIS K6301に規定されるJIS A硬度計による測定で、5〜99の範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜70の範囲である。特に、ゴム硬度が前記範囲内であると、得られるシリコーンゴムパウダーは、凝集性が十分に抑えられ、流動性、分散性、さらさら感、なめらかさ、柔らかな感触に富んだものとなりやすい。
【0021】
このようなシリコーンゴムパウダーを調製する方法は特に限定されないが、例えば、(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、(B)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、および(C)白金系触媒を含有してなるヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴム組成物を硬化させて得られたシリコーンゴム硬化物をグラインダー等の粉砕機により粉砕する方法;ヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴム組成物をスプレードライヤー等の噴霧機により熱風中に噴霧して硬化させる方法;ヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴム組成物を界面活性剤水溶液中に分散させて硬化させる方法が挙げられる。特に、均一な球状のシリコーンゴムパウダーを形成できることから、ヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴム組成物を界面活性剤を用いて水中に分散した状態で硬化させ、次いで水を除去する方法が最も好ましい。
【0022】
ここで、(C)白金系触媒の種類は白金微粉末、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金−アルケニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体、白金−カルボニル錯体、白金黒、白金担持のシリカ等が例示され、好ましくは、白金−アルケニルシロキサン錯体である。その使用量は、工業的生産工程の観点から、成分(A)と成分(B)を架橋させてなる硬化物の質量に対して白金金属含有量が5.0質量ppm以上となる量であり、5〜100質量ppm、より好適には、5〜20質量ppmの範囲である。(C)成分中の白金金属の量が前記下限未満では、サイクルタイムの増大によって、経済的な見地から生産を実施することが困難となる。一方、白金金属の量が前記上限を超えると、大量の白金金属がシリコーンゴムパウダー中に残留する場合があり、低白金量のヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーの提供という、本発明の目的が損なわれる。
【0023】
(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンは、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基が例示され、特に、ビニル基、ヘキセニル基が好ましい。また、アルケニル基以外のケイ素原子に結合している基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等の非置換もしくは置換の一価炭化水素基が例示される。この分子構造としては、直鎖状、環状、網状、一部分岐を有する直鎖状が例示され、特に、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状であることが好ましい。また、この粘度は、ヒドロシリル化反応架橋性シリコーン組成物を水中に分散させることができる粘度であることが好ましい。具体的には、25℃において、20〜100,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、20〜10,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。
【0024】
さらに、得られるヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーの吸油性の改善の見地から、(A)成分のオルガノポリシロキサンは、式:-(CH3)2SiO-で示されるジメチルシロキサン単位の含有量が、分子末端のシロキサン単位以外の全シロキサン単位の90モル%以上ことが好ましい。同様に、得られるヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーの吸油性の改善の見地から、低重合度(重合度3〜20)の環状または鎖状オルガノポリシロキサンをストリッピング等で事前に除去しておくことも好ましい。
【0025】
(B)分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンにおいて、水素原子以外のケイ素原子に結合している基としては、前記と同様の非置換もしくは置換の一価炭化水素基が例示される。この分子構造としては、直鎖状、環状、網状、一部分岐を有する直鎖状が例示される。また、その粘度は、ヒドロシリル化反応架橋性シリコーン組成物を水中に分散させることができる粘度であることが好ましい。具体的には、25℃において、1〜10,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。
【0026】
成分(A)と成分(B)の含有量は、上記組成物を付加反応により硬化させる量であれば特に限定されないが、成分(B)中のケイ素原子結合水素原子1個に対する成分(A)中のアルケニル基の数が0.5〜4.0個となる範囲が好ましく、0.5〜2.0個となる範囲の量がより好ましい。また、成分(B)の含有量は、上記のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.3〜500質量部の範囲内であることが好ましい。
【0027】
上記のヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴム組成物を界面活性剤水溶液中に乳化して硬化させることにより、ヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーの粒径を容易に調製することができる。この界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、ベタイン系が例示される。界面活性剤の種類や含有量により、得られる硬化シリコーン粒子の粒径が異なる。粒径の小さい硬化シリコーン粒子を調製するためには、この界面活性剤の添加量は、架橋性シリコーンゴム組成物100質量部に対して0.5〜50質量部の範囲内であることが好ましい。一方、粒径の大きいシリコーンゴムパウダーを調製するためには、この界面活性剤の添加量は、架橋性シリコーンゴム組成物100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲内であることが好ましい。なお、分散媒として水の添加量は、架橋性シリコーンゴム組成物100質量部に対して20〜1,500質量部、50〜1000質量部の範囲内であることが好ましい。なお、これらの界面活性剤は、化粧料にそのまま配合されるので、本発明に係るシリコーンゴムパウダーは化粧料原料として利用できるものである。
【0028】
ヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴム組成物を水中に均一に分散させるため乳化機を用いることが好ましい。この乳化機としては、ホモミキサー、パドルミキサー、ヘンシェルミキサー、ホモディスパー、コロイドミル、プロペラ攪拌機、ホモジナイザー、インライン式連続乳化機、超音波乳化機、真空式練合機が例示される。
【0029】
次いで、上記の方法により調製されたヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴム組成物の水系分散液を、加熱または室温で放置することにより、この水分散液中の架橋性シリコーンゴム組成物を硬化させて、シリコーンゴムパウダーの水系分散液を調製することができる。架橋性シリコーンゴム組成物の水系分散液を加熱する場合には、その加熱温度は100℃以下であることが好ましく、特に、10〜95℃であることが好ましい。また、架橋性シリコーンゴム組成物の水系分散液を加熱する方法としては、例えば、この水系分散液を直接加熱する方法、この水系分散液を熱水中へ添加する方法が挙げられる。次いで、シリコーンゴムパウダーの水系分散液から水を除去することにより、ヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーを調製することができる。ヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーの水系分散液から水を除去する方法としては、例えば、真空乾燥機、熱風循環式オーブン、スプレードライヤーを用いて乾燥する方法が挙げられる。
【0030】
なお、上記方法による水分除去工程においては、例え界面活性剤として、ノニオン系の界面活性剤を用いたとしても、水洗工程とは異なり、シリコーンゴムパウダー中の白金金属含有量は低減されない。シリコーンゴムパウダーの架橋系に取り込まれなかった一部の白金含有ヒドロシリル化反応触媒は、水系分散液の状態では水相中に存在していると思われるが、水が乾燥除去された時点でシリコーンゴムパウダーの表面または内部に取り込まれているものと推定される。
【0031】
なお、ヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴム組成物を硬化させて得られたシリコーンゴム硬化物をグラインダー等の粉砕機により粉砕する方法;ヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴム組成物をスプレードライヤー等の噴霧機により熱風中に噴霧して硬化させる方法のいずれにおいても、シリコーンゴムパウダー中の白金金属含有量は低減されない。
【0032】
本発明は、上記の方法により得られたシリコーンゴムパウダーを、1種類以上の界面活性剤の水溶液を用いてシリコーンゴムパウダーを水洗することにより、シリコーンゴムパウダー中の白金含有量を低減すること特徴とする。
【0033】
ノニオン系界面活性剤の水溶液による水洗工程は、白金含有量の高いヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーと界面活性剤の水溶液とを接触させる工程と、上記工程後、白金含有量の低減されたヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーから界面活性剤の水溶液を排液等により分離する工程とを含む限り特に限定されるものではなく、水洗工程は少なくとも1回以上であれば、所望の白金金属含有量を達成するまで複数回行うこともできる。例えば、攪拌装置等を備えたバッチ式の容器に白金含有量の高いヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーと界面活性剤の水溶液とを投入して、所望の時間水相を攪拌あるいは浸漬してシリコーンゴムパウダーの水洗を行った後、白金含有量の低減されたヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーを濾過により分離することができる。同様に、メッシュ等の濾過装置上に白金含有量の高いヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーを置き、一回あるいは複数回、界面活性剤の水溶液をシリコーンゴムパウダー層上に通貨させることによって水洗を行い、白金含有量の低減されたヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーを分離してもよい。
【0034】
上記の界面活性剤の水溶液による水洗工程は、白金含有量の高いヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーの製造とは独立の工程として行うことができ、かつ好ましい。本願発明に係るヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーの製造方法は、任意のシリコーンゴムパウダーの白金金属含有量の低減方法としての側面を持ち、既存の設備を用いて、極めて簡便に実施できる利点がある。例えば、第三者が製造した白金含有量の高いヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーを、当該シリコーンゴムパウダーを購買した者の所望の設備あるいは装置を用いて、界面活性剤の水溶液により水洗することで、シリコーンゴムパウダーの白金金属含有量を低減することができる。このため、前記のヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーを自製していない者であっても、市販の白金含有量の高いヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーを用いて、低白金量のシリコーンゴムパウダーを簡便に製造できる実益がある。
【0035】
上記の界面活性剤の水溶液による水洗工程は、特に、界面活性剤を含有する30℃〜99℃に加温した水溶液により行うことが好ましい。加温した水溶液を用いることで、界面活性剤の濃度を上げることができ、シリコーンゴムパウダー上に界面活性剤が析出することを防止することができ、かつ効率よくヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダー中の白金金属含有量を低減することができる。特に、35℃〜99℃に加温した水溶液で水洗することが好ましく、40℃〜99℃に加温した水溶液で水洗する事が特に好ましい。また、工程上、熱水の使用が好まれない場合は、40〜60℃程度にすることができ、かつ、白金金属量の低減の点から好ましい。なお、攪拌装置等を備えたバッチ式の容器に白金含有量の高いヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーと界面活性剤の水溶液とを投入して、所望の時間水相を攪拌あるいは浸漬してシリコーンゴムパウダーの水洗を行う場合、容器自体に加熱あるいは恒温装置が設けられており、上記の温度範囲で水洗を継続できることが特に好ましい。
【0036】
また、上記水洗後の水溶液を排液等により分離する工程は、特に限定されるものではないが、シリコーンゴムパウダーに対して遠心分離等により、水洗後の水溶液を排液するものであってもよく、かつ好ましい。
【0037】
上記の界面活性剤の水溶液中の界面活性剤の濃度は、白金金属含有量を低減できれば特に制限されるものではないが、0.1〜10質量%の範囲であり、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.50〜5.0質量%であることが特に好ましい。
【0038】
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び、両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。特に、ノニオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤の使用が好適である。白金金属含有量を効率よく低減する見地から、スルホコハク酸ジエチルヘキシルナトリウム等のα−スルホ脂肪酸エステル塩またはHLB7.0〜16.5のポリオキシアルキレンアルキルエーテル類の使用が特に好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0039】
以下に具体的に例示すると、アニオン性界面活性剤として、飽和または不飽和脂肪酸塩(例えば、ラウリン酸ナトリウム,ステアリン酸ナトリウム,オレイン酸ナトリウム,リノレン酸ナトリウム等),アルキル硫酸塩,アルキルベンゼンスルホン酸(例えば、ヘキシルベンゼンスルホン酸,トクチルベンゼンスルホン酸,ドデシルベンゼンスルホン酸等)およびその塩,ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩,ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩,ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩,スルホコハク酸アルキルエステル塩,ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩,ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩,アルカンスルホン酸塩,オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド,ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド,アルキルスルホネート,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩,ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩,アルキルリン酸塩,ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩,アシルグルタミン酸塩,α−アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルまたはアルケニル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルまたはアルケニルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N−アシルアミノ酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アミドエーテルカルボン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、アラニン誘導体、グリシン誘導体、アルギニン誘導体が例示される。塩としてはナトリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩、さらにはアンモニウム塩が挙げられる。
【0040】
カチオン性界面活性剤として、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化牛脂アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、塩化ジ(POE)オレイルメチルアンモニウム(2EO)、塩化ベンザルコニウム、塩化アルキルベンザルコニウム,塩化アルキルジメチルベンザルコニウム,塩化ベンゼトニウム,塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ラノリン誘導四級アンモニウム塩、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、塩化ステアロイルコラミノホルミルメチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化トール油アルキルベンジルヒドロキシエチルイミダゾリニウム、ベンジルアンモニウム塩が例示される。
【0041】
ノニオン性界面活性剤として、ポリオキシアルキレンエーテル類,ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類,ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類,ポリオキシアルキレン脂肪酸ジエステル類,ポリオキシアルキレン樹脂酸エステル類,ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類,ポリオキシアルキレンアルキルフェノール類,ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類,ポリオキシアルキレンフェニルフェニルエーテル類,ポリオキシアルキレンアルキルエステル類,ポリオキシアルキレンアルキルエステル類,ソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステル類,ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類,ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル類,ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類,ポリグリセリンアルキルエーテル類,ポリグリセリン脂肪酸エステル類,ショ糖脂肪酸エステル類,脂肪酸アルカノールアミド,アルキルグルコシド類,ポリオキシアルキレン脂肪酸ビスフェニルエーテル類,ポリプロピレングリコール,ジエチレングリコール,ポリオキシアルキレン変性シリコーン,ポリグリセリル変性シリコーン,グリセリル変性シリコーン,糖変性シリコーン,フッ素系界面活性剤,ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー,アルキルポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテルが例示される。特に、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリグリセリル変性シリコーン、グリセリル変性シリコーン、糖アルコール変性シリコーンは、アルキル分岐、直鎖シリコーン分岐、シロキサンデンドリマー分岐等が親水基と同時に必要に応じ施されていているものを好適に用いることができる。
【0042】
両性界面活性剤としてイミダゾリン型、アミドベタイン型、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アルキルスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、カルボベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸型、アミドアミノ酸型両性界面活性剤が例示される。具体的には、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミタゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルベタイン等のアルキルベタイン型両性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、牛脂脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、硬化牛脂脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアミドベタイン型両性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタイン等のアルキルスルホベタイン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン等のアルキルヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤;ラウリルヒドロキシホスホベタイン等のホスホベタイン型両性界面活性剤;N−ラウロイル−N’−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−オレオイル−N’−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ココイル−N’−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ラウロイル−N’−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンカリウム、N−オレオイル−N’−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンカリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−オレオイル−N−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ココイル−N−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N−オレオイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N−ココイル−N−ヒドロキシエチル−N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウム、N−オレオイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウム、N−ココイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウム等のアミドアミノ酸型両性界面活性剤が例示される。
【0043】
半極性界面活性剤としては、アルキルアミンオキサイド型界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド、アルキルヒドロキシアミンオキサイド等が例示され、炭素数10〜18のアルキルジメチルアミンオキサイド、炭素数8〜18のアルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキサイド等が好ましく用いられる。具体的には、ドデシルジメチルアミンオキサイド、ジメチルオクチルアミンオキサイド、ジエチルデシルアミンオキサイド、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキサイド、ジプロピルテトラデシルアミンオキサイド、メチルエチルへキサデシルアミンオキサイド、ドデシルアミドプロピルジメチルアミンオキサイド、セチルジメチルアミンオキサイド、ステアリルジメチルアミンオキサイド、タロウジメチルアミンオキサイド、ジメチル−2−ヒドロキシオクタデシルアミンオキサイド、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、イソステアリルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アルキルジメチルアミンオキシド、カプリル酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、カプリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、リシノレイン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、12−ヒドロキシステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ヒマシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシド、及びヤシ脂肪酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドが例示される。
【0044】
本発明により得られた白金金属含有量が少ないヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーは、白金金属含有量が低減された結果、着色が大きく低減されており、JIS Z 8729に規定されるL*a*b*表色系で測定したb*値が−0.70以下であるものを比較的容易に得ることができる。好適には、本発明により得られた白金金属含有量が少ないヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーは、b*値が−0.70〜−0.90の範囲である。
【0045】
本発明により得られた白金金属含有量が少ないヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーは、他の無機質微粉末および親油性油剤によりで被覆してなる複合硬化シリコーン粉末とすることができる。
【0046】
本発明により得られた白金金属含有量が少ないヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーは、前記の界面活性剤および任意で多価アルコール類等の水系溶媒の密度調整剤を用いて水中に分散させ、水系サスペンジョンとすることができる。同様に、顔料等の他の化粧料原料成分と共に水系サスペンジョンを形成させ、化粧品用プレミックスの形態とすることができる。
【0047】
本発明により得られた白金金属含有量が少ないヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーは、少なくとも1種類以上の油剤に含浸あるいは分散させることにより、親油性シリコーンゴムパウダー組成物の形態とすることができる。特に、ヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーは、吸油性に優れるため、化粧料原料として用いると、油っぽさ、べたつきおよび油膜感を効果的に抑制できる利点がある。
【0048】
本発明により得られた白金金属含有量が少ないヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーは、さらに、その表面を加水分解性シラン類またはポリオルガノシルセスキオキサンにより処理することにより、表面処理シリコーンゴムパウダーあるいは複合シリコーンゴムパウダーとして使用することができる。
【0049】
本発明の白金金属含有量が少ないヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーは、工業的スケールで簡便に製造することができ、他の化粧料原料に悪影響を及ぼさず、着臭、着色の問題を生じることがない。さらに、化粧料等に対する分散性や配合安定性が良好であり、これらに配合した場合にシリコーンゴムパウダーの添加効果を十分に発揮することができるので、化粧料原料として有用である。特に、人体への適合性に優れるとともに潤いや滑らかさ等に優れた化粧機能性を有するので、化粧料に配合するシリコーン原料として極めて好適である。
【0050】
次に、本発明の化粧料原料について説明する。
本発明の化粧料原料は、上記した白金金属含有量が少ないヒドロシリル化反応架橋性シリコーンゴムパウダーを含有してなり、本発明の目的を損なわない範囲であれば、上記した複合硬化シリコーン粉末、水系サスペンジョン、化粧品用プレミックス、油性シリコーンゴムパウダー組成物、表面処理シリコーンゴムパウダーあるいは複合シリコーンゴムパウダーの形態であっても良い。
【0051】
このような本発明の化粧料原料は、次のような各種原料に添加混合することにより、皮膚に対する適合性が良好であり、かつ、優れた潤いや滑らかさを付与し得る化粧料が得られる。
【0052】
皮膚化粧料の各種原料としては、前述の界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、防カビ剤、防錆剤などの他に、アボガド油、アルモンド油、オリーブ油、カカオ脂、ゴマ油、小麦胚芽油、サフラワー油、シアバター、タートル油、椿油、パーシック油、ヒマシ油、ブドウ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、卵黄油、モクロウ、ヤシ油、ローズヒップ油、硬化油等の油脂;オレンジラフィー油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、鯨ロウ、ホホバ油、モンタンロウ、ミツロウ、ラノリン等のロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン等の炭化水素;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、オキシステアリン酸、リノール酸、ラノリン酸、合成脂肪酸等の高級脂肪酸;エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、水素添加ラノリンアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール等のアルコール;コレステロール、ジヒドロコレステロール、フィトステロール等のステロール;リノール酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、イソオクタン酸セチル、パルミチン酸セチル、トリミリスチン酸グリセリン、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、ジオレイン酸プロピレングリコール、トリイソステアリン酸グリセリン、トリイソオクタン酸グリセリン、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、リンゴ酸ジイソステアリル等の脂肪酸エステル;グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、d,l−ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ソルビトール、ヒアルロン酸ナトリウム等の保湿剤;酸化鉄等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジリコニウム等の白色顔料、マイカ、タルク、セリサイト等の体質顔料等の顔料;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルテトラシクロシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル等のシリコーンオイル;精製水;カラギーナン、アルギン酸、アラビアゴム、トラガント、ペクチン、デンプン、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレングリコール等の増粘剤、シリコーン・アクリル共重合体、シリコーンレジンやアクリルポリマー等の皮膜形成剤、さらには、紫外線吸収剤、抗菌剤、坑炎症剤、制汗剤、香料、酸化防止剤、噴射剤が例示される。
【0053】
また、本発明の化粧料原料を毛髪用化粧料に使用する場合には、前述の界面活性剤、pH調整剤や防腐剤、防カビ剤、防錆剤などの他に、皮膜形成剤、凍結防止剤、油分、乳化剤、湿潤剤、ふけ止め剤、酸化防止剤、キレート剤、紫外線吸収剤、香料、着色料といった各種原料を配合することによって、毛髪への付着性が良好であり、かつ、優れた潤いや滑らかさを付与し得る毛髪用化粧料を得ることができる。
【0054】
本発明の化粧料原料を配合した具体的な製品としては、リップクリーム、練紅、リップグロス、口紅、リップライナー等の口唇化粧料、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロー、アイカラー等のアイメイク化粧料、スキンケア化粧料のほか、皮膚洗浄剤製品、制汗剤製品、紫外線防御製品などの皮膚用化粧品;毛髪用洗浄剤製品、整髪料製品、毛髪用着色料製品、養毛料製品、ヘアリンス製品、ヘアコンディショナー製品、ヘアトリートメント製品等の頭髪用化粧品;浴用化粧品;発毛剤、育毛剤、鎮痛剤、殺菌剤、抗炎症剤、清涼剤、皮膚老化防止剤が例示されるが、これらに限定されない。
【0055】
前記の皮膚用化粧品は、頭皮、顔面(口唇、眉毛、頬を含む)、手指、爪、全身のいずれの部位についても用いることができる。具体的には、クレンジングジェル、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、洗顔クリーム、アイメークアップリムーバー、洗顔フォーム、液体石鹸(ボディソープ)、ハンドソープ、ゲル状石鹸、シェービングクリーム、除光液、アクネ対策化粧料等の皮膚洗浄剤製品;肌用クリーム、頭皮用トリートメント、スキンミルク、ミルクローション、乳液、フェイシャルパック、ボディパウダー、エッセンス、シェービングローション、マッサージ料、等のスキンケア製品;ファンデーション、リキッドファンデーション、油性ファンデーション、メイクアップベース、白粉、フェースパウダー、頬紅、リップクリーム、練紅、リップグロス、アイクリーム、マスカラ、眉墨、まつげ化粧品等のメイクアップ製品;デオドラント等の制汗剤;サンスクリーン剤、日焼け用薬剤(サンタン剤)等の紫外線防御製品が例示される。
【0056】
前記の頭髪用化粧品は、シャンプー、リンスインシャプー等の毛髪用洗浄剤;ヘアワックス、髪用カール保持剤、セット剤、ヘアクリーム、へアスプレー、ヘアリキッド等の整髪料製品;染毛料、ヘアカラースプレー、ヘアカラーリンス、ヘアカラースティック等の毛髪用着色料製品;ヘアトニック、ヘアトリートメントエッセンス、ヘアパック等の養毛料製品;オイルリンス、クリームリンス、トリートメントリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等のヘアリンス又はヘアコンディショニング製品が例示される。また、前記の浴用化粧品は、フォームバスが例示される。
【0057】
本発明にかかる化粧料の形態は特に限定されるものではなく、液状、W/O乳液状、O/W乳液状、W/Oクリーム状、O/Wクリーム状、固体状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状、ミスト状、顆粒状、フレーク状、碎石状等に好ましく適用が可能である。特に好ましい形態は、W/Oクリーム状、固体状、ペースト状、ゲル状、粉末状である。
【実施例】
【0058】
以下、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。粘度(動粘度)は25℃における測定値である。
[白金金属量の測定]
シリコーンゴムパウダーに含まれる白金金属量はICP-MS(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry)(横河アナリティカルシステムズ製、型番Agilent 7500a)によって測定した値である。
[着色度の測定]
各シリコーンゴムパウダーの着色の程度は、色差計 Color-guide 45°/0°(Gardner製)を使用して測定したb*(黄色目)値を用いて計測した。
【0059】
[参考例1]
平均式:
CH
2=CH(CH
3)
2SiO[(CH
3)
2SiO]
130[(CH
3)(CH
2=CH)SiO]
2Si(CH
3)
2CH=CH
2
で示されるジメチルビニルポリシロキサン77.0質量部、平均式:
(CH
3)
3SiO[(CH
3)
2SiO]
51.3[(CH
3)HSiO]
6.3Si(CH
3)
3
で示される分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルメチルハイドロジェンポリシロキサン21.5質量部、塩化白金酸のイソプロピルアルコール溶液(本組成物中、白金金属が質量単位で50ppmとなる量)を5℃で均一に混合して付加反応硬化性シリコーン組成物を調製した。次に、この組成物をポリオキシエチレンイソセチルエーテル1.5質量部と純水50質量部からなる25℃の水溶液中に分散し、さらにコロイドミルにより均一に乳化した後、純水50質量部を加えて希釈してエマルジョンを調製した。
【0060】
次に、このエマルジョンを加熱硬化させ、シリコーンゴム粒子の均一な水系サスペンジョンを調製した後、150℃の熱風循環オーブンにより乾燥して、シリコーンゴム粉末を調製した。このシリコーンゴム粉末は球状であり、平均粒子径は6.2μm、JIS A硬さは60であった。また、シリコーンゴム粉末の着色の程度は、b* −0.28であり、白金金属量は、Pt=7.2質量ppmであった。
【0061】
[実施例1]
参考例1で得たシリコーンゴム粉末100質量部に、サンノニックSS―120(三洋化成製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、HLB14.5)とサンノニックSS―30(三洋化成製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、HLB8.0)を、それぞれ1.5質量部と水300質量部を加えた。これらを98℃で1時間加熱撹拌後、ろ過した。残渣に170質量部の水を加え、再度ろ過した。残渣を、40℃のオーブンで、一晩乾燥することにより、シリコーンゴム粉末を得た。得られたシリコーンゴム粉末の着色の程度は、b* −0.82であり、白金金属量は、Pt=2.5質量ppmであった。
【0062】
[実施例2]
実施例1において、サンノニックSS―120とサンノニックSS―30の代わりに、NIKKOL OTP−75(日光ケミカルズ製、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム液)3質量部を加えた他は、同様にして、シリコーンゴム粉末を得た。得られたシリコーンゴム粉末の着色の程度は、b* −0.74であり、白金金属量は、Pt=2.5質量ppmであった。
【0063】
[実施例3]
参考例1で得たシリコーンゴム粉末100質量部に、サンノニックSS―120(三洋化成製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、HLB14.5)とサンノニックSS―30(三洋化成製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、HLB8.0)を、それぞれ1.5質量部と水300質量部を加えた。これらを50℃で1時間加熱撹拌後、ろ過した。残渣に170質量部の水を加え、再度ろ過した。残渣を、40℃のオーブンで一晩乾燥することにより、シリコーンゴム粉末を得た。得られたシリコーンゴム粉末の着色の程度は、b* −0.89であり、白金金属量は、Pt=1.8質量ppmであった。
【0064】
[比較例1]
参考例1で得たシリコーンゴム粉末100質量部に、水300質量部を加えた。これらを98℃で4時間加熱撹拌後、ろ過した。残渣を40℃のオーブンで、一晩乾燥することにより、シリコーンゴム粉末を得た。得られたシリコーンゴム粉末の着色の程度は、b* −0.28であり、白金金属量は、Pt=7.2質量ppmであった。
【0065】
[比較例2]
参考例1で得たシリコーンゴム粉末100質量部に、トルエン200質量部、IPA100重量部を加えて1時間撹拌した。1晩放置後、ろ過した。残渣に20質量部のトルエンを加え、再度ろ過した。残渣を40℃のオーブンで、一晩乾燥することにより、シリコーンゴム粉末を得た。得られたシリコーンゴム粉末の着色の程度は、b* −0.69であり、白金金属量は、Pt=3.6質量ppmであった。また、得られたシリコーンゴム粉末はトルエン、IPAの臭気が着臭していた。
【0066】
[参考例2、参考例3]
なお、市場において入手可能なシリコーンゴム粉末(シリコーンメーカーA社製)の
市販品A1および市販品A2の白金金属量は、各々、Pt=8.1質量ppm、6.7質量ppmであった。
【0067】
以上の結果を、シリコーンゴム粉末中の白金金属含有量について下表1に示す。界面活性剤を含む水溶液(50℃または99℃)で処理した場合、比較例または市販品と異なり、白金金属量を3.5質量ppm以下まで低減し、かつ、着臭や着色の問題も生じない点で有用であることが確認された。
【0068】
[表1:各処理により得られたシリコーンゴム粉末中の白金金属含有量]
【表1】