特許第6133600号(P6133600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133600
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】還元剤を送給するための送給装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20170515BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20170515BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20170515BHJP
   F04B 45/04 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   F01N3/08 BZAB
   B01D53/86 222
   B01D53/94 222
   F04B45/04 A
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-541518(P2012-541518)
(86)(22)【出願日】2010年12月3日
(65)【公表番号】特表2013-513056(P2013-513056A)
(43)【公表日】2013年4月18日
(86)【国際出願番号】EP2010068815
(87)【国際公開番号】WO2011067370
(87)【国際公開日】20110609
【審査請求日】2013年9月19日
(31)【優先権主張番号】102009057030.6
(32)【優先日】2009年12月4日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500038927
【氏名又は名称】エミテック ゲゼルシヤフト フユア エミツシオンステクノロギー ミツト ベシユレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100102185
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 繁範
(74)【代理人】
【識別番号】100129399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺田 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】ホジソン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】シェパーズ スヴェン
【審査官】 石川 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−037870(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第04313447(DE,A1)
【文献】 特表2008−516150(JP,A)
【文献】 特表2004−509277(JP,A)
【文献】 特開平08−028454(JP,A)
【文献】 実開昭59−163183(JP,U)
【文献】 実開昭57−087177(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00−3/38
B01D 53/86
B01D 53/94
F04B 45/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元剤タンク(2)から内燃機関(4)の排ガス処理デバイス(3)まで還元剤を送給するための送給装置(1)であって、前記送給装置は、剛性の還元剤ライン(5)、および、パルス的に作動し、かつ前記還元剤ライン(5)内に配置され、かつ前記還元剤タンク(2)から前記排ガス処理デバイス(3)への送給方向(7)を有する送給ポンプ(6)を有し、少なくとも1つの振動補償手段(8)があり、前記振動補償手段(8)は、前記送給方向(7)において前記送給ポンプ(6)の上流に配置され、かつ前記剛性の還元剤ライン(5)の壁を介した、前記送給ポンプ(6)に起因する構造産生ノイズの伝達を減らす流入補償手段(9)を備え、前記流入補償手段(9)は、前記剛性の還元剤ライン(5)におけるOリングシール(17)を備え、前記Oリングシールは、前記剛性の還元剤ライン(5)を中断し、
前記送給装置(1)は、前記還元剤ライン(5)が少なくとも部分的に形成され、そして前記送給ポンプ(6)が固定される金属ベースプレート(16)を有し、
前記送給ポンプ(6)は、その上流側の前記還元剤ライン(5)および下流側の前記還元剤ライン(5)によって前記金属ベースプレート(16)に対してそれぞれ接続され、
前記送給ポンプ(6)の上流側の前記還元剤ライン(5)と前記金属ベースプレート(16)との接続部と、前記送給ポンプ(6)の下流側の前記還元剤ライン(5)と前記金属ベースプレート(16)との接続部との間において、前記送給ポンプ(6)は、前記金属ベースプレート(16)に固定され、
前記送給ポンプ(6)に起因する構造産生ノイズの伝達を減らす、少なくとも1つの構造産生ノイズ補償手段は、前記送給ポンプ(6)の固定部(14)上の断面積減少部(30)を備える、送給装置(1)。
【請求項2】
前記送給装置(1)は、金属ハウジング(15)を有する請求項1に記載の送給装置(1)。
【請求項3】
少なくとも1つのさらなる流入補償手段(9)が前記送給方向(7)において前記送給ポンプ(6)の上流に追加的に配置されて、前記剛性の還元剤ライン(5)の壁を介した、前記送給ポンプ(6)に起因する構造産生ノイズの伝達を減らし、前記少なくとも1つのさらなる流入補償手段(9)は、以下のグループから少なくとも1つのエレメント
還元剤で満たされるベローズ(18);
−空気で満たされるベローズ(18);および、
−前記剛性の還元剤ライン(5)におけるフレキシブル還元剤ライン部(19);
を備える請求項1または2に記載の送給装置(1)。
【請求項4】
少なくとも1つの流出補償手段(10)が前記送給方向(7)において前記送給ポンプ(6)の下流に追加的に配置されて、前記剛性の還元剤ライン(5)の壁を介した、前記送給ポンプ(6)に起因する構造産生ノイズの伝達を減らし、前記少なくとも1つの流出補償手段(10)は、以下のグループから少なくとも1つのエレメント:
−前記還元剤ライン(5)におけるOリングシール(17);
−還元剤で満たされるベローズ(18);
−空気で満たされるベローズ(18);
−流れ狭窄部(21);
−流れ偏向部(20);
−還元剤の対応する偏向および渦巻く流れを生じる干渉生成面(22);および、
−前記剛性の還元剤ライン(5)におけるフレキシブル還元剤ライン部(19);
を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の送給装置(1)。
【請求項5】
少なくとも1つのポンプ内部補償手段(11)が前記送給ポンプ(6)の内部に追加的に配置されて、前記送給ポンプ(6)によって生起される流れパルスを減らし、前記少なくとも1つのポンプ内部補償手段(11)は、前記送給ポンプ(6)の内部に設けられ、以下のグループから少なくとも1つのエレメント:
伝達流体の移動を制動することにより前記送給ポンプ(6)によって生起される流れパルスを減らすフレキシブルストップ(23);
伝達流体の移動を制動することにより前記送給ポンプ(6)によって生起される流れパルスを減らす絞られたストップ(24);および、
−前記送給ポンプ(6)によって生起される流れパルスを減らす弾性の伝達流体(25);
を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の送給装置(1)。
【請求項6】
少なくとも1つの構造産生ノイズ補償手段が前記送給ポンプの固定部(14)上に追加的に配置されて、前記送給ポンプ(6)から前記送給ポンプ(6)が固定されるコンポーネントへの、前記送給ポンプ(6)に起因する構造産生ノイズの伝達を減らし、前記少なくとも1つの構造産生ノイズ補償手段は、以下のグループから少なくとも1つのエレメント:
−前記送給ポンプ(6)のフレキシブル固定部(29);および、
−前記送給ポンプ(6)が固定されるベースプレート(16)の防振支持(31);
を備える請求項1〜5のいずれか1項に記載の送給装置(1)。
【請求項7】
内燃機関(4)および、選択的な触媒還元のために設定される少なくとも1つの排ガス処理デバイス(3)を有する排気システム(28)、および請求項1〜6のいずれか1項に記載の送給装置(1)を有する自動車両(32)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、還元剤タンクから、内燃機関の排ガス処理デバイスに還元剤を供給するインジェクタまで還元剤を送給するための送給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関からの排ガスは、環境への放出が望ましくない物質を一般に含む。これらは、排ガス処理デバイスによって取り除かれることができる。
【0003】
排ガス処理デバイスにおいて内燃機関からの排ガスを処理するためのいくつかの方法の場合、排ガス中の特定の汚染物質のための還元剤は必要とされ、そしてこれらは排ガスに対して供給されなければならない。これらの方法のうちの1つは、選択接触還元(SCR)である。この場合、排ガス中の窒素酸化物(NOx)は、還元剤を用いて窒素分子(N)に選択的に還元される。1つの可能な還元剤は、アンモニア(NH)である。同時に、アンモニアは、アンモニアの形でしばしば格納されない、しかしその代わりに、必要なときにアンモニアに転換されることが可能なアンモニア前駆体が格納される。用語「還元剤前駆体」も使用される。自動車両において使用することができる1つの重要な還元剤前駆体は、尿素((NHCO)である。尿素は、液体尿素/水溶液の形で、好ましくは格納される。尿素および、特に液体水性の尿素溶液は、健康に無害であり、流通、格納および部分的な計量が容易である。32.5%の尿素量を有するこの種の水性の尿素溶液は、商品名「AdBlue」で市場に出される。
【0004】
水性の尿素溶液は、自動車両におけるタンクシステム内に支持されて、ポンプおよびインジェクタを含むインジェクションシステムによって、部分的に排気システムの内部へ計量して導入される。排ガス中の不要な窒素酸化物を還元するための尿素の消費は、関係する自動車両の燃費の最高10%に達する。部分的に還元剤を計量するために、還元剤が定義済みの圧力でインジェクタに対して利用可能にされるべきことは、必要である。この圧力を発生するために、ポンプは、還元剤のためのインジェクションシステムにおいて一般に設けられる。パルス的に(ストローク)作動するポンプは、それらが小型でかつ安価であり、そしてほとんどメンテナンスを必要としないので、この目的のために特に適切であると判明した。
【0005】
一般に、この種の送給装置に関する課題は、それらが作動中に取るに足らなくはないノイズを発生するということであり、そして、自動車両の乗員は時々これが厄介であると分かるかもしれないことである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の状況を出発点として、本発明の目的は、先行技術と関連して記載された技術的課題を緩和することである。特に、意図は、とりわけほとんどノイズなしで作動する送給装置を開示することである。
【0007】
これらの目的は、請求項1の特徴による送給装置によって達成される。送給装置のさらに有利な実施形態は、従属請求項において示される。請求項において個々に存在する特徴は、任意の技術的に意味のある方法で組み合わされることができ、そして、本発明の追加的な異型実施形態を生じさせる記載からの説明的な材料によって補充されることができる。
【0008】
したがって、提案は、還元剤タンクから内燃機関の排ガス処理デバイスまで還元剤を送給するための送給装置であって、装置は、部分的に剛性の還元剤ライン、および、還元剤ライン内に配置され、かつ還元剤タンクから排ガス処理デバイスへの送給方向を有する送給ポンプを備え、以下のグループから少なくとも1つの振動補償手段を有する送給装置に対してである:
−送給方向に関して送給ポンプの上流の流入補償手段;
−送給方向に関して送給ポンプの下流の流出補償手段;
−送給ポンプの内部のポンプ内部補償手段;および、
−送給ポンプの固定部上の構造産生ノイズ補償手段。
【0009】
用語「還元剤」はまた、還元剤が生成され得る還元剤前駆体に関連して本明細書で使われる。流入補償手段は、還元剤ラインの以下の部分の少なくとも1つに提供される:送給ポンプの上流に、流入ラインに、または送給ポンプへの供給ラインに。流出補償手段は、還元剤ラインの以下の部分の少なくとも1つに提供される:送給ポンプの下流に、ドレンラインに、または送給ポンプからの放出ラインに。ドレンラインまたは放出ラインは、流出ラインとも呼ばれる。
【0010】
還元剤ラインの場合、前記ラインが少なくとも部分的に剛性でなければならないことが分かっている。液体水性の尿素溶液は凍結し得る。そして、それを理由として、本発明による送給装置は、還元剤が送給装置を損傷させずに送給装置の中で凍結することができるというような方法で、および、送給装置内に冷凍還元剤が存在するときでも、送給装置の作動開始後に還元剤の送給が急速に再開されることができるというような方法で、設計されなければならない。少なくとも部分的に剛性の還元剤ラインは、通常、0.5mmを超える重要な壁厚を有する金属壁によって実現されることができる。この種の還元剤ラインは、そこに含まれる冷凍還元剤への急速な熱の導入に、したがって好都合な急速解凍に、特に適している。
【0011】
送給装置の送給ポンプは、好ましくはパルス的に作動する送給ポンプ、特にピストンポンプまたはダイアフラムポンプである。この種のポンプは、電磁ドライブによって駆動される作動ピストンを備えることができる。適切な場合、作動ピストンは戻しばねを備えることができる。電磁ドライブはしたがって、各作動ストロークにおいて戻しばねに対抗して作動ピストンを動かす。作動ピストンはその後、戻しばねのばね力によって元に戻される。さらに、ピストンタイプのダイアフラムポンプを使用することも可能である。ダイアフラムは、伝達流体を介して作動ピストンによって駆動される。送給装置の送給ポンプは、特にそれが剛性の還元剤ラインと相互作用するときに、送給装置によって発せられるノイズの主要なソースであることが分かっている。パルス的に作動するポンプにおいて、送給ピストンは通常、前後に動く(例えばダイアフラムタイプの送給ポンプ)。この場合、送給ピストンは、定期的に加速されなければならず、および制動されなければならない。特に加速または制動が突然である場合、送給ピストンは例えばストップにぶつかるので、ショックがある。そしてそれは、一方で、送給ポンプのボディを介して構造産生ノイズとして伝達されて、他方で、還元剤ラインにおける流れパルスとして検出されることもできて、送給ポンプから出て行くこともできる。
【0012】
本発明による送給装置の文脈の範囲内で、送給ポンプによって伝達されるノイズは、4つの異なる方法のうちの少なくとも1つにおいて補償されることができる。還元剤ラインの流入補償手段および/または流出補償手段は、(剛性の)還元剤ラインにおける流れパルスを緩和することができるかまたは補償することができると同時に、還元剤ラインの壁を介した構造産生ノイズの伝達を防止することができるかまたは減らすことができる。ポンプの固定部を介した構造産生ノイズの伝達は、送給ポンプの固定部上の適切な構造産生ノイズ補償手段によって、さらに防止されることができるかまたは減らされることができる。さらに、送給ポンプの内部にポンプ内部補償手段を提供することも可能である。前記補償手段は、ポンプ内に生じるノイズを初めから低レベルに保つ。この種の「サイレンサ」は、例えば、流れが通るオリフィスプレート等の形態でおよび/またはラインの流れ断面の変化の形態で、設けられることもできる。そして、これらのエレメントは、適切な場合、組み合わされることもできておよび/またはいくつかのエレメントが設けられることもできる。
【0013】
流入補償手段および/または流出補償手段の場合、流れパルスに起因するノイズ伝達の非常に多くの補償が、還元剤ラインにおいて、送給方向に関して送給ポンプの上流よりも送給ポンプの下流で必要とされることは、考慮されなければならない。これは、送給ポンプの流れパルスが送給方向に関してのみ重要であることの理由である。対応する圧力サージが流れ方向に関して送給ポンプの上流の吸入側に起こることが可能でもあるにもかかわらず、これは送給ポンプによる圧力サージ出力よりも通常かなり小さい。
【0014】
本発明の文脈の範囲内で、したがって、提供される流出補償手段を、それらが任意の流入補償手段が提示するボリュームの少なくとも2倍大きい、好ましくは2倍大きい、とりわけ少なくとも10倍大きいボリュームを有するというような方法で寸法取りすることは、特に有利である。多くの用途において、流入補償手段を完全に省くことおよび/または流出補償手段を、それらが対応する流入補償手段の少なくとも20倍、好ましくは少なくとも50倍大きいというような方法で寸法取りすることは、価値があってもよい。
【0015】
送給方向が以下のグループから少なくとも1つのエレメントを有する場合、本発明による送給装置は特に有利である:
−還元剤ラインが少なくとも部分的に形成され、そして送給ポンプが固定される金属ベースプレート;および、
−金属ハウジング。
【0016】
一般に、送給装置の内部の金属コンポーネントは、熱を伝導することに特に適している。金属コンポーネントはしたがって、送給装置が凍結状態において作動されるときに、解凍挙動における相当な改良を達成することを可能にする。しかしながら、金属コンポーネントは、特に良好なノイズ伝達器でもある。これは、この種の金属コンポーネントの高い弾性係数に特に起因する。このために、対応する金属コンポーネントを有する送給装置における適切な補償手段の提供は、特に有利である。
【0017】
少なくとも1つの流入補償手段が以下のグループから少なくとも1つのエレメントを含む場合、本発明による送給装置はまた特に有利である:
−還元剤ラインにおけるOリングシール、
−還元剤で満たされるベローズ、
−空気で満たされるベローズ、および、
−剛性の還元剤ラインにおけるフレキシブル還元剤ライン部。
【0018】
特に剛性の金属還元剤ラインの場合、還元剤ラインのOリングシールによって、還元剤ラインにおける流体のタイトな中断(interruption)を達成することは、可能である。変形例として、またはOリングシールに加えて、流入補償手段として軟質材料(例えばゴム)でできたスリーブを提供することも、可能である。このスリーブは、剛性の還元剤ラインにおける中断としておよび/または連続する剛性の還元剤ラインの中の挿入エレメントとして提供されることができる。剛性の還元剤ラインは、補償エレメントとして内部ゴムコート面(断面において)を有することも、可能である。この種の中断は、構造産生ノイズが還元剤ラインの壁によって伝達されることをより困難にする。還元剤で満たされるベローズは、還元剤ラインの実装部品として実現されることができる。例えば、還元剤ラインの壁は、対応する外向きの変形を有することを通じてこの種の統合されたベローズを含むことができる。この種のベローズの場合における本質的ポイントは、還元剤で満たされるボリュームが可撓性であるということである。還元剤ラインの残りの部分に対して還元剤ラインの壁を薄くすることは、したがって1つの可能性である。他の可能性は、他の領域におけるよりもベローズの領域において、還元剤ラインをより可撓性のある材料から作ることである。空気で満たされるベローズの使用も、可能である。この種のベローズは、還元剤ラインに隣接して直接形成されなければならなくて、圧力サージが還元剤ラインの範囲内にあるときに、圧力サージの効果を吸収するために、それが圧縮されることができなければならない。還元剤で満たされるベローズおよび空気で満たされるベローズの両方の場合において、伝達される構造産生ノイズの補償はまた、ベローズの領域では壁が特に薄くて、したがって、構造産生ノイズが減少した大きさだけ確実に伝達され得るという事実に起因する。空気で満たされるかまたは若干の他の圧縮性の媒体で満たされるベローズの場合、ベローズ内の気体圧力によって正確にベローズの減衰効果を設定することは、可能である。例えば、ノイズ補償が特定の騒音レベルより下で起こるように、減衰効果は設定されることができる。ベローズは、例えば、それを剛性面に対して支持するばねを備えることもできる。このようにして、ベローズの挙動に影響を及ぼすことは、可能である。
【0019】
さらに、部分的に剛性の還元剤ラインの範囲内でフレキシブル還元剤ライン部を提供することも、可能である。明らかに、この種のフレキシブル還元剤ライン部は、剛性の還元剤ラインを有する本発明による送給装置の一般的設計概念と少なくとも部分的に矛盾する。しかしながら、送給ポンプの若干の領域におけるこの種の(小さい)フレキシブル還元剤ライン部は、送給ポンプから残りの送給装置への構造産生ノイズの伝達の特に有効な補償を達成することを可能にする。一般に、送給ポンプと残りの送給装置との間の解放可能な接続がいずれにせよ意味されるので、フレキシブル還元剤ライン部の使用が特に実施しやすいのは、正確にこの領域内である。フレキシブル還元剤ライン部を、それが金属壁(特に金属ハウジングの壁)と直接接触していて、したがってフレキシブル還元剤ライン部の内部への熱の有効な導入を許容するというような方法で配置することも、可能である。
【0020】
少なくとも1つの流出補償手段が以下のグループから少なくとも1つのエレメントを含む場合、送給装置はまた本発明に対応する:
−還元剤ラインにおけるOリングシール、
−還元剤で満たされるベローズ、
−空気で満たされるベローズ、
−流れ狭窄部、
−流れ偏向部、
−干渉生成面、および、
−剛性の還元剤ラインにおけるフレキシブル還元剤ライン部。
【0021】
送給装置からの流出において、送給方向に関して送給ポンプの下流での、還元剤における流れパルスの補償は、特に、送給ポンプから残りの送給装置へのノイズの伝達を補償するために通常とりわけ重要である。
【0022】
還元剤ラインにおけるOリングシールの、還元剤で満たされるベローズの、空気で満たされるベローズの、および部分的に剛性の還元剤ラインにおけるフレキシブル還元剤ライン部の、一般動作モードは、流入補償手段に関する説明の文脈においてすでに説明された。これらの説明は、ここに参照により完全に組み込まれる。流入補償手段の実施形態および提示されたこの手段の修正はまた、ここにも参照により完全に組み込まれて、流出補償手段に適用されることもできて移転されることもできる。
【0023】
加えて、流れ狭窄部が流出補償手段として設けられることも、可能である。この種の流れ狭窄部は、液動抵抗を表す。そして、それによって、還元剤ラインにおける流れパルスは少なくとも部分的に補償される。還元剤の限られた量だけが適切な流れ狭窄部を通って流れることができるので、そしてその結果、送給ポンプの送給量は減少するので、流れ狭窄部もまた送給ポンプの送給ピストンの減衰を生じる。流れ偏向部もまた類似の方法で作用する。これにより、還元剤の流れの内部で渦巻きを達成することも、加えて可能である。そしてそれは、圧力サージの減少を少なくとも部分的に導くことができる。干渉を生成する表面を提供することも、さらに可能である。そして、それによって、還元剤の対応する偏向および渦巻く流れは生じる。これらは同様に圧力サージの減少をもたらす。干渉を生成するために、流出ラインは、ねじのように形づくられることもできる。ねじは、送給ポンプから現れる還元剤の流れにおける干渉の生成に特に適している。ねじは、音波がそこで消滅するというような方法で形づくられることができる。
【0024】
還元剤ラインにおいて、流れパルスはまた、壁で構造産生ノイズに少なくとも部分的に変換される。この変換のせいで、流出補償手段として流れパルスを補償するために特に適した補償手段、および構造産生ノイズを補償するために特に適した補償手段を提供することは、特に有利である。還元剤および/または空気で満たされるベローズあるいは流れ狭窄部または流れ偏向部は、流れパルスを補償するために特に適している。還元剤ラインを介する構造産生ノイズの伝達は、還元剤ラインの機械的分割による特に有効な方法において達成されることができる。Oリングシールは、ここで特に適切である。流出補償手段としての空気または還元剤で満たされるベローズあるいは流れ狭窄部または流れ偏向部と組み合わせてOリングシールを提供することは、したがって特に有利である。この場合、流れパルスを補償するための補償手段は、流れパルスとしてノイズの制御されない伝達を防止するために、流れ方向に関して最初に設けられなければならない。構造産生ノイズを補償するための補償手段は、その後、同様に有効な方法において構造産生ノイズの伝達を防止するために、設けられなければならない。
【0025】
流入補償手段または流出補償手段を得るために、流入ラインまたは流出ラインは、プラスチックから製造されることができる。例えば、ゴムホースが、流入ラインとしておよび/または流出ラインとして用いられることができる。多層の流入ラインおよび流出ラインもまた、特に有利である。この種のラインの特性、特にその柔軟性および熱伝導率は、多層ラインの場合に特に目標を絞り込んだ方法で調整されることができる。流入ラインおよび/または流出ラインがプラスチックから製造される場合、金属織物または金属細長片は、このプラスチックの内部に組み込まれることができる。相変化物質を有する流入ラインおよび/または流出ラインを実現することもまた、可能である。
【0026】
送給装置が金属ベースプレートを備えている場合、流入ラインおよび/または流出ラインを金属ベースプレートに(取り外し可能に/永久に)取り付けることは、必要でもよい。この取り付けは、金属ベースプレートと流入ラインおよび/または流出ラインとの間の十分な圧力タイト流体接続を確立しなければならない。
【0027】
送給装置のベースプレートに対する流入ラインのおよび/または流出ラインの取り付けは、柔軟な接着剤を用いて達成されることができる。取り付けは、物質的な結合によって、例えば溶接によって、さらに達成されることができる。ホースクランプを用いて固定部を実現することもまた、可能である。これは、流入ラインおよび/または流出ラインがゴムホースからなる場合、特に有利である。流入ラインおよび/または流出ラインを取り付けるために、(円筒状の)プラスチックスリーブまたはゴムスリーブを使用することもまた、可能である。そしてそれは、流入ラインおよび/または流出ラインとベースプレートとの間のシールのための中間部品として挿入される。プラスチックスリーブは、それがベースプレートおよび/または流入ラインまたは流出ラインを有する複数の環状シール面を形成するというような方法で、設計されることができる。プラスチックスリーブは、その外部表面上および/またはその内部表面上に、シール面を形成する複数の囲んでいるビードタイプの隆起を有することが好ましい。プラスチックスリーブが、少なくともいくつかの領域において平らな表面を有すること、および、その平らな表面と共にシール面を形成する環状の囲んでいる隆起が、プラスチックスリーブと共にシールするために流入ライン、流出ラインまたはベースプレート上に設けられることはまた、さらに可能である。
【0028】
少なくとも1つのポンプ内部補償手段が送給ポンプの内部に設けられて、以下のグループから少なくとも1つのエレメントを有する場合、送給装置はまた好ましい:
−フレキシブルストップ、
−絞られたストップ、および、
−弾性の伝達流体。
【0029】
このようにしてノイズが最小化されることができるかまたはそのソースで直接防止されることができるので、送給ポンプの内部にポンプ内部補償手段を設けることは、特に効果的である。送給ポンプによって生起される流れパルスを減らすことによって、送給装置の他の領域において流れパルスが構造産生ノイズを生成するのを防止することも、可能である。
【0030】
すでに説明されたように、パルス的に作動する送給ポンプは、一般に往復動式送給ピストンを備える。この送給ピストンは、送給される流体に直接作用するか、またはダイアフラムによって前記流体から分離されるか、いずれかである。ほとんどの場合、伝達流体はその後設けられる。そしてそれは、送給ピストンの力を特に穏やかな方法においてダイアフラムに伝達する。このようにして、送給される流体(この場合は還元剤)と送給ポンプのメカニズムとの間の接触を防止することは、可能である。一般に、還元剤は特に腐食性の効果を有するので、そして、送給ポンプのメカニズムは還元剤との接触によって損傷を受け得るので、これは特に有利である。外部のばねエレメントおよび/またはダンパエレメントは、設けられることもできる。前記エレメントは、ラインと関連するポンプ(全体)の運動/振動等を特に減少させるかまたは防止することにさえ影響を及ぼす。
【0031】
送給運動を実行後の送給ピストンの突然の制動は、構造産生ノイズおよび圧力サージの生成にとって特に問題を含む。送給ピストンが打つときにへこむ(yield)例えばフレキシブルストップによって、これは、少なくとも部分的に防止されることができる。絞られたストップを提供することも、さらに可能である。そして、そこにおいて、流体の量は、送給ストロークの終了前に狭くなる短い通路を通過しなければならなくて、送給ピストンを制動する重要な流動抵抗を与える。さらに、弾性の送給流体を提供することも、可能である。送給ピストンの制動は、その後、急に確かに起こる。しかし、伝達流体は、送給ピストンの移動によって圧縮されて、遅延をともなって拡大して、したがって、送給される還元剤において特定の圧力サージが生じないことを確実にする。
【0032】
ここで提案される対策(measures)は、送給装置の個々のポンプの開発を形成することもできる。
【0033】
少なくとも1つの構造産生ノイズ補償手段が送給ポンプの固定部上に存在して、以下のグループから少なくとも1つのエレメントを含む場合、送給装置はまた本発明によるものである:
−送給ポンプのフレキシブル固定部、
−送給ポンプの固定部上の断面積減少部、および、
−送給ポンプが固定されるベースプレートの防振支持。
【0034】
送給ポンプのフレキシブル固定部によって、送給ポンプから送給ポンプが固定されるコンポーネント(概して送給装置のベースプレート)への構造産生ノイズの伝達は、減らされることができるかまたは防止されることができる。送給ポンプおよびベースプレートよりも異なる材質から送給ポンプのこの種のフレキシブル固定部を実現することは、有利である。例えば、フレキシブル固定部は、プラスチックのブロックによって形成されることができる。その場合、送給ポンプから金属ベースプレートへの適切な熱ブリッジは、その後さらに設けられることができる。送給ポンプの固定部上の断面積減少部は、送給ポンプから送給ポンプが固定される対応するコンポーネントへの構造産生ノイズの伝達にとって利用できる断面積を減らす。これも、構造産生ノイズの伝達を防止するかまたは減らす。
【0035】
送給ポンプが固定されるコンポーネント(特にベースプレート)を、防振支持に固定することも、可能である。送給ポンプおよび/または対応する断面積減少部のフレキシブル固定部が、送給ポンプの固定部上に追加的に設けられる場合、金属ベースプレートは、送給ポンプの振動と反対の振動が与えられて、したがって送給ポンプの運動にとって有効な方法で補償する追加の減衰エレメントのような働きをする。このようにして、ベースプレートを越えて有効な方法で構造産生ノイズの伝達を防止することは、可能である。
【0036】
記載されている補償対策に加えておよび/または代わるものとして、フィードバック制御または方法論的アプローチに基づく補償対策を用いて、送給装置からの構造産生ノイズおよびノイズの伝達を実施することも、可能である。特に、意図は、還元剤タンクから内燃機関の排ガス処理デバイス(部分的に剛性の還元剤ラインおよび、還元剤ライン内に配置されて送給方向を有する送給ポンプを有する)へ還元剤を送給するための送給装置を作動する方法であって、以下のステップのうちの少なくとも1つを含む方法を本明細書に示すことである:
−圧力ピークの吸収、
−送給ポンプの送給ピストンの穏やかな制動、および、
−送給ポンプの送給ピストンの穏やかな加速。
【0037】
本発明による送給装置と関連してすでに説明されたように、送給デバイスによって生成されるノイズは、送給運動に起因する流れパルスと、および付随する圧力ピークと基本的に関係がある。
【0038】
記載された方法の文脈の範囲内で、これらの圧力ピークを正確に制限することは、可能である。還元剤のための送給装置は、一般に戻し弁を有する。そして、それによって、送給される還元剤は、送給装置から還元剤タンク内へと戻ることができる。この目的のために、この種の戻し弁は、通常、送給方向に関して送給ポンプの下流に配置されて、そして、圧力ピークが制限されるという点でそれらが8バールより上の、特に10バールより上の、特に好ましくは12バールより上の特定の閾値で開くというような方法で設定されることができる。
【0039】
送給ポンプの送給ピストンの穏やかな(減らされた)制動または送給ポンプの送給ピストンの穏やかな(減らされた)加速も、さらに起こることができる。これは、特に、フィードバック制御に基づく対策によって達成されることができる。例えば、送給ピストンの電磁ドライブを作動するための電流は、送給ピストンがいずれの場合にも穏やかに制動されるかまたは加速されるように、送給ピストンを制動するおよび加速するために(連続的に)それぞれ増加されるおよび減少されることができる。送給ピストンに対する急速効果を達成するために、(電磁)ドライブの極性が(局所的におよび/または限られた時間)逆にされることは、同様に可能である。送給ピストンを制動することができる追加コイルを提供することも可能である。
【0040】
ノイズのアクティブ補償もまた可能である。例えば、送給装置においてノイズをキャンセルする拡声器を提供することは、可能である。この目的のために、超音波範囲において作動する拡声器を使用することも、可能である。
【0041】
本発明は、内燃機関および、選択的な触媒還元のために設定される少なくとも1つの排ガス処理デバイスを有する排気システム、および本発明による送給装置を備える自動車両に特に有利である。
【0042】
本発明による方法を実施するために設定される送給装置を有する自動車両もまた、本発明によるものである。
【0043】
本発明による送給装置と関連して説明された効果および特別な実施形態は、本明細書に記載される方法に対して類似して適用されることができて移転されることができる。方法の効果および特別な特徴および実施形態は、同様に本発明による送給装置に転送されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明および技術的な文脈は、図を参照して以下にさらに詳細に説明される。図は特に好ましい実施形態を示すが、本発明はそれに限定されない。図および特に示されるプロポーションは概略的のみであるという事実に、注意はさらにひかれなければならない。
図1図1は、本発明による送給装置の第1の異型実施形態を示す。
図2図2は、本発明による送給装置の第2の異型実施形態を示す。
図3図3は、本発明による送給装置の第3の異型実施形態の上面図を示す。
図4図4は、本発明による送給装置の第4の異型実施形態の部分側面図を示す。
図5図5は、本発明による送給装置用の送給ポンプの詳細を示す。
図6図6は、本発明による送給装置を備える自動車両を示す。
図7図7は、構造産生ノイズ補償手段の異型実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1および図2は、本発明による送給装置1の第1および第2の異型実施形態を示す。本発明による送給装置1は、金属ベースプレート16および送給ポンプ6を備える。送給ポンプ6は、還元剤ライン5によって金属ベースプレート16に対して接続される。少なくとも1つのダクト39(これを介して還元剤が、本明細書において図示されない送給装置1の他のコンポーネントまで通過することができる)は、金属ベースプレート16内に設けられる。還元剤は、送給ポンプ6および送給方向7における還元剤ライン5によって送給される。
【0046】
図1および図2によれば、さまざまな振動補償手段8は設けられる。これらは以下に詳細に説明される。
【0047】
図1において、流入補償手段9は設けられる。そしてそれは、Oリングシール17として実現される。流出補償手段10はさらに設けられる。そしてそれは、還元剤で満たされるベローズ18として実現される。この場合、還元剤ライン5の壁の単純な起伏(corrugation)は示される。そして、それによって、還元剤ライン5における還元剤ボリュームの展開(expansion)はなし得る。さらに、干渉を生成する表面22は、流出補償手段10として設けられる。例として、この干渉生成面22は、送給方向7と逆に整列されて、そして還元剤の流れにおける後進波の形成を生じさせて、還元剤の流れにおける圧力パルスを少なくとも部分的に消滅させるピラミッドとして実現されることができる。さらに、流れ狭窄部21は、流出補償手段10として設けられる。その動きはすでに詳細に説明された。最後に、構造産生ノイズ補償手段13も、送給ポンプ6から金属ベースプレート16に向かう構造産生ノイズの伝達を妨げるために設けられる。この構造産生ノイズ補償手段13は、送給ポンプ6の固定部14の範囲内のフレキシブル固定部29として実現される。さらなる説明は、この特徴に関してもすでになされた。
【0048】
図2によれば、Oリングシール17は、流入補償手段9として同様に示される。空気で満たされるベローズ18は、流出補償手段10として設けられる。そしてこのベローズは、送給ポンプ6からの流れパルスが発生して、したがって還元剤ライン5の内部でボリュームにおける伸縮自在の変化につながるときに、圧縮されることができる。可撓性ベローズは、ダイアフラムによって還元剤から区切られる。加えて、流れ偏向部20は、流出補償手段10として設けられる。その動きは同様にすでに詳細に説明された。この場合、断面積減少部30は、金属ベースプレート16上の送給ポンプ6の固定部14の領域における構造産生ノイズ補償手段13として設けられる。
【0049】
本発明による送給装置1の第3の異型実施形態の図3は、同様に金属ベースプレート16を示す。そしてそれには、送給ポンプ6および、送給装置1の金属ハウジング15がさらに固定される。送給ポンプ6は、還元剤ライン5によって金属ベースプレート16に取り付けられる。還元剤は、送給ポンプ6および送給方向7における還元剤ライン5によって送給される。還元剤は、金属ベースプレート16の内部でダクト39を介して送給装置1のさらなるコンポーネントに分配される。フィルタ36および戻し弁38は、さらなるコンポーネントとしてここに示される。図3による異型実施形態において、フレキシブル還元剤ライン部19として実現される流出補償手段10は、振動補償手段8として設けられる。このフレキシブル還元剤ライン部19は、送給装置1の金属ハウジング15の周りにそれに沿って完全に一周する。一方で、これは、フレキシブル還元剤ライン部19が特にスペースをとらないようにして配置されることを可能にする。他方で、比較的長いフレキシブル還元剤ライン部19は、設けられることができる。フレキシブル還元剤ライン部19はまた、金属ハウジング15に載置されて、良好な熱伝達がここで可能なことを確実にする。一方で、フレキシブル還元剤ライン部19の長さおよび円形の経路設定(routing)は、圧力パルスの特に良好な補償を確実にする。同時に、この種の長いフレキシブル還元剤ライン部19はまた、還元剤のためのフレキシブルなボリュームを表す。そしてその動作は、ベローズのそれと類似している。構造産生ノイズ補償手段13は、金属ベースプレート16上の送給ポンプ6の固定部14の領域における振動補償手段8として、さらに設けられる。この構造産生ノイズ補償手段13は、フレキシブル固定部29として実現される。
【0050】
図4は、本発明による送給装置1の部分側面図を示す。ここでも、金属ハウジング15および金属ベースプレート16は見られ得る。還元剤ライン5(それを通って還元剤が送給装置7によって送給されることができる)を有する送給ポンプ6は、金属ベースプレート16上に見られることができる。図4によれば、1つの構造産生ノイズ補償手段13だけが振動補償手段8として設けられる。前記手段13は、金属ハウジング15内の金属ベースプレート16の防振支持31として実現される。振動補償手段8の形態の構造産生ノイズ補償手段13は、図4にさらに示される。これらの構造産生ノイズ補償手段13は、ばね44およびダンパ45のシステムである。そして、それによって、送給ポンプ6は、金属ベースプレート16上に取り付けられる。この種の構造産生ノイズ補償手段13は、少なくとも1つのばね44および少なくとも1つのダンパ45を含む。ばね44にとってのばね定数の、そしてダンパ45にとっての減衰定数の適切な選択によって、構造産生ノイズ補償手段13は、それが送給ポンプによって生成される個々の振動周波数および/または全体の振動周波数範囲の特に良好な補償を提供するというような方法で、設定されることができる。
【0051】
図5は、送給ポンプ6の詳細を示す。送給ポンプ6は、パルス的に作動する。それはポンプ室35を有する。そしてそれを通って、還元剤は、送給方向7において送給されることができる。送給方向7は、2つの弁34によって決定される。ポンプ室35のボリュームは、ダイアフラム33によって定期的に増加しそして減少する。送給ピストン27によって発生される力は、伝達流体25によってダイアフラムに伝達される。送給ピストン27は、ドライブ42によって駆動される。この種のドライブ42は、コイルを有する電磁ドライブを備える。伝達流体25は、送給ピストン27によって生起される流れパルスを減らすために弾性体であり得る。振動補償手段8として、フレキシブルストップ23は、ポンプ内部補償手段11として設けられることができる。変形例として、または同時に、フレキシブルストップ23は、絞られたストップ(throttled stop)24であり得る。送給ピストン27がフレキシブルストップ23に対して、または絞られたストップ24に対してその端部位置へ移動する場合、それは伝達流体25上のフレキシブルストップ23の弾性たわみによる、または絞られたストップ24によるスロットリングアクションによるいずれかによって、ゆっくり制動される結果、ノイズを発生する流れパルスは起こらない。絞られたストップ24のスロットリング効果を高めるために、送給ポンプ6の送給ピストン27上に突起41は設けられることができる。絞られたストップ24と突起41との間には送給ピストン27の送給ストロークの終了直前にナローギャップが存在するので、前記突起はスロットリング効果を高める。オプションとして、例えば、制動コイル43を提供することも可能である。そしてそれは、送給ピストン27上の電磁カウンタパルスを働かせることができる結果、送給ピストン27は急に制動されず、減衰するように制動される。送給ピストン27を制動するためにドライブ42の極性を反転させて、その結果として、送給ピストン27を制動するためにドライブ42自体に送給ピストン27上のカウンタパルスを働かせることもまた、可能である。
【0052】
図6は、内燃機関4、排ガス処理デバイス3および本発明による送給装置1を有する自動車両32を示す。排ガス処理デバイス3は、内燃機関4の排気システム28の内部に配置される。送給装置1は、還元剤タンク2からインジェクタ40まで送給方向7において還元剤を送給する。そしてそれを介して、還元剤は、排気システム28または排ガス処理デバイス3に導入される。還元剤ライン5に沿って、送給装置1は、フィルタ36、送給ポンプ6および圧力センサ12を備える。
【0053】
還元剤タンク2の内部へと戻される戻りライン37は、送給方向7において送給ポンプ6の下流の還元剤ライン5においてさらに設けられる。そして、その戻りライン37を介して、過剰な還元剤は還元剤タンク2に戻されることができる。戻りライン37は戻し弁38を有する。そして、それによって、還元剤ライン5における還元剤の流れパルスは吸収されることができる。戻し弁38に過圧があるときに、この種の流れパルスは機械の開口から自然に生じることができる。しかしながら、圧力センサ12によってこの種の流れパルスを決定して、したがって戻し弁38を開くこともまた可能である。送給装置1のプロセスは、送給装置1の重要なコンポーネントに接続されるコントローラ26によって制御されることができる。送給装置1の内部でノイズおよび流れパルスの補償のために記載されている手順は、この種のコントローラ26の内部で実施することもできる。
【0054】
図7、は他の振動補償手段8を示す。そしてそれは、構造産生ノイズ補償手段13として実現される。送給ポンプ6は、金属ベースプレート16上に垂直に配置されるばね板46を用いて、金属ベースプレート16上に固定される。ダンパ45は、加えて設けられる。ばね板46は、ばね定数を有する。ダンパ45は、減衰定数を有する。前記定数の適切な選択により、システムは、送給ポンプ6によって生成される特定の周波数または周波数範囲でさえ補償するために正確に設定されることができる。
【符号の説明】
【0055】
1…送給装置
2…還元剤タンク
3…排ガス処理デバイス
4…内燃機関
5…還元剤ライン
6…送給ポンプ
7…送給方向
8…振動補償手段
9…流入補償手段
10…流出補償手段
11…ポンプ内部補償手段
12…圧力センサ
13…構造産生ノイズ補償手段
14…固定部
15…金属ハウジング
16…金属ベースプレート
17…Oリングシール
18…ベローズ
19…フレキシブル還元剤ライン部
20…流れ偏向部
21…流れ狭窄部
22…干渉生成面
23…フレキシブルストップ
24…絞られたストップ
25…伝達流体
26…コントローラ
27…送給ピストン
28…排気システム
29…フレキシブル固定部
30…断面積減少部
31…防振支持
32…自動車両
33…ダイアフラム
34…弁
35…ポンプ室
36…フィルタ
37…戻りライン
38…戻し弁
39…ダクト
40…インジェクタ
41…突起
42…ドライブ
43…制動コイル
44…ばね
45…ダンパ
46…ばね板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7