(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
[医療情報システム100の構成]
図1を参照して、本発明の医療情報システム100は、医療機関側の担当者により用いられる医療情報装置1a・・・1n及び患者等により用いられる医療情報端末2a・・・2nを、を含んで構成される。医療情報装置1a・・・1n及び医療情報端末2a・・・2nは、それぞれ医療情報の入力を行うことができ、入力された医療情報を、医療情報装置1a・・・1n及び医療情報端末2a・・・2nの間において、2次元コードを介して医療情報の伝達を行う。この際、医療情報装置1a・・・1n同士間において又は医療情報端末2a・・・2n同士間においても医療情報の伝達を行うことができる。なお、医療情報装置1a・・・1nの構成は基本的に同一であるため、以下単に「医療情報装置1」と呼ぶことがある。同様に、医療情報端末2a・・・2nの構成も、基本的に同一であるため、以下単に「医療情報端末2」と呼ぶことがある。
【0016】
医療情報装置1は、医療機関の担当者により用いられる端末装置であり、各種演算処理を行う制御部11や各種情報を記憶する記憶部12に加え、キーボードやタッチパネル等により実現される入力部13及びディスプレイによる表示部14、静止画を撮影する撮像部15及び印刷機に印刷データを送信する出力部16等を備えた汎用パーソナルコンピュータである。このような医療情報装置1は、各種プログラムがインストールされており、制御部がこれらプログラムに従い動作することで、レセコン機能や薬歴管理機能等の医療情報の管理機能を発揮する。
【0017】
なお、医療情報とは、患者の傷病に関連する情報をいい、例えば、患者の傷病の症状についての情報、患者の傷病を治療する薬剤の情報、傷病・治療に影響を及ぼす患者の体質に関する情報及び治療に要した費用の情報等を含む。医療情報は、医療機関が入力する情報もあれば、患者や患者の家族が入力する情報もある。
また、医療機関とは、患者の傷病の治療を目的とする機関であって、例えば、病院、診療所、薬局、接骨院及び介護施設等を含む。また、医療機関の担当者とは、医療機関で医療に関連する業務を担当する者であって、例えば、医者、看護師、医療事務、薬剤師等を含む。
【0018】
医療情報端末2は、医療情報を管理するために患者等によって用いられる携帯端末であり、各種演算処理を行う制御部21や各種情報を記憶する記憶部22に加え、キーボードやタッチパネル等により実現される入力部23、ディスプレイによる表示部24、静止画を撮影する撮像部25、無線通信を行う通信部26及び音声の入力を受け付ける音声入力部27を備えた携帯端末であり、例えば、いわゆるスマートフォントして構成されてもよい。このような医療情報端末2は、各種プログラムがインストールされており、制御部21がこれらプログラムに従い動作することで、患者自身の医療情報の管理機能を発揮するとともに、他の医療情報端末2又は医療情報装置1に医療情報を伝達させる医療情報伝達機能を発揮する。
なお、患者等とは、患者本人の他、患者の親族や保護者等の患者の健康の管理に影響を及ぼしうる地位にある者を含む。
【0019】
[医療情報端末2の機能的構成]
続いて、医療情報伝達機能を発揮するための医療情報端末2の機能的構成を、
図2を参照して説明する。医療情報管理機能の発揮に際して、医療情報端末2の制御部21は、画像取得手段211と、医療情報取得手段212と、医療情報記憶制御手段213と、2次元コード生成手段214と、医療情報表示制御手段215と、が機能する。また、記憶部12には、医療情報記憶手段221と、画像記憶手段222と、が設けられる。
【0020】
画像取得手段211は、患者等の操作に応じて撮像部25を動作させて、2次元コードを含む画像を撮影して取得するようになっている。
ここで、2次元コードは、例えば、医療機関が発行する用紙に印刷されていてもよいし、医療情報装置1の表示部14に表示されていてもよい。また、例えば、患者の家族が入力した医療情報に基づいて患者の家族の医療情報端末2の表示部に表示されていてもよい。
図3には、医療機関である薬局において発行され、2次元コードが付されている保険調剤明細書を、2次元コードが用紙に印刷されている一例として示す。
なお、ここでいう2次元コードとは、横方向にしか情報を持たない一次元バーコードに対し、水平方向と垂直方向に情報を持つ表示方式のバーコードのことをいい、例えば、QRコード(登録商標)、マイクロQRコード、SPコード、ベリコード、マキシコード、CPコード、DataMatrix、DataMatrixECC200、Code1、AztecCode、インタクタコード、カードe、PDF417、マイクロPDF417、Code49、Code16k、Codablock、SuperCode、Ultra
Code、RSSComposite、AztecMesa等をいう。
2次元コードには、医療情報が含まれるところ、医療情報は、詳細な傷病の履歴及び薬剤歴等を含み、医療機関の担当者や患者等が自由に入力するものであるから、URL等と異なり一つの2次元コードで表現できる範囲を超え易い。一つの2次元コードで表現できる範囲は、例えば、2次元コードのうちQRコード(登録商標)では、2953バイトまでしか表現できないため、医療情報の情報量に応じて、複数の2次元コードが印刷/表示されていてもよく、複数の2次元コードを取得する場合には、順次、一つずつの2次元コードを撮影して取得してもよい。
【0021】
医療情報取得手段212は、画像取得手段211が取得した2次元コードを含む画像より、2次元コード部分を特定して、2次元コードより医療情報を読み出すようになっている。
【0022】
医療情報記憶制御手段213は、医療情報取得手段212が読み出した医療情報を医療情報記憶手段221に記憶するとともに、画像取得手段211が取得した2次元コードを含む画像を読み出した医療情報と関連付けて画像記憶手段222に記憶するようになっている。
【0023】
ここで、
図4を参照して医療情報記憶手段221について説明する。医療情報記憶手段221は、医療情報ID、医療情報種別、読取日時、読取場所及び内容を含んで構成される。
医療情報種別は、医療情報の内容及び発行者を示す分類であり、本実施形態においては、医者が診察した内容に関連する医療情報である診療内容、処方せんに基づいて薬剤の調剤に関連する医療情報である調剤内容、患者自身が自己の体調等を入力した医療情報である患者記録及び患者の家族が患者の体調等を入力した医療情報である家族記録等に分類される。
読取日時は、医療情報を医療情報端末2に読み込んだ日時が記憶される。読取場所は、医療情報を医療情報端末2に読み込んだ場所が記憶される。内容は、読み込んだ医療情報の内容が記憶される。
医療情報記憶手段221の記憶内容は、患者等による変更が自由にできるようになっており、患者等は必要に応じて記憶された医療情報に、追加、変更及び削除を行えるようになっている。
【0024】
次に、
図5を参照して、画像情報を記憶する画像記憶手段222について説明する。画像記憶手段222は、画像ID、医療情報ID、画像ファイル、読取日時及び読取場所を含んで構成される。
医療情報ID、読取日時及び読取場所は、医療情報記憶手段221と同様の内容が記憶されており、医療情報IDによって、医療情報記憶手段221と画像記憶手段222とが関連付けられている。
画像ファイルには、画像取得手段211が取得した2次元コードが含まれる画像ファイルが記憶されている。
画像記憶手段222の記憶された画像等の内容は、医療情報記憶手段221の記憶内容に比べて、患者等による改変がし難
いようになっており、画像取得手段211が取得した際の情報が保存されている。
ここで、改変がし難
いとは、医療情報記憶手段221の記憶内容に比べてセキュリティが高いことをいい、例えば、改変を行う際にパスワードが要求されたり、後述の医療情報表示制御手段215以外によるアクセスが禁止されていたりすることをいう。
【0025】
2次元コード生成手段214は、患者等が医療情報を伝達する意図を受け付けた際に、当該伝達する意図に2次元コードの生成意図も含む場合に、伝達する意図を受け付けた医療情報に患者等が発行者とする識別情報を付加して2次元コードを生成する。
本実施形態において、患者等の医療情報を伝達する意図は、医療情報を伝達するための端末操作を受け付けることにより受け付けている。また、2次元コードの生成意図は伝達方法を選択する操作を受け付けることによって2次元コードの生成意図の有無を受け付けている。
【0026】
本実施形態において、2次元コード生成手段214が患者等を発行者とする識別情報を医療情報に付加して2次元コードを生成することは、患者等が医療情報を改変することが可能であるため、発行者を明確にすることを目的とする。即ち、発行された医療情報は、処方されていないのに処方された等本来すべきではない改変をされるおそれがあるため、改変されたおそれがある情報かを区別するために、発行者を明確にしている。
【0027】
医療情報表示制御手段215は、伝達意図を受け付けて、当該伝達意図に2次元コードの生成意図を含む場合に、伝達意図を受け付けた医療情報について、2次元コード生成手段214が生成した伝達時の2次元コード及び画像取得手段211が取得した取得時の2次元コードの画像を併せて表示部24に表示する。また、医療情報表示制御手段215は、伝達意図において2次元コードの生成意図を含まない場合に、伝達意図を受け付けた伝達時の医療情報の文字情報及び画像取得手段211が取得した取得時の2次元コードの画像を併せて表示部24に表示する。
【0028】
ここで、画像取得手段211が取得した2次元コードの画像を表示する必要性について説明する。医療情報の伝達を行うために2次元コードを生成する際には、医療情報端末2の操作者を発行者として医療情報の2次元コードを生成する。しかし、医療情報は、患者本人が操作する医療情報端末2に読み込まれるだけではなく、例えば、患者家族が医療機関に行き、患者家族の操作する医療情報端末2に医療情報を読み込む場合等がある。この場合に、患者家族の医療情報端末2から患者の医療情報端末2に医療情報を伝達しようとしても、発行者が医療機関の担当者ではなく患者の家族とする医療情報であり、また、患者の家族によって医療情報の改変が行われている可能性もある。
そこで、医療機関の担当者が発行した医療情報をそのまま患者の医療情報端末2において読み込むために2次元コードの画像をそのまま保存して、再度、表示することを行っている。
【0029】
図6は、医療情報表示制御手段215が出力する、医療情報の表示画面の一例を示す図である。
図6は、患者の家族が操作する医療情報端末2において、表示期間を2012年10月1日〜2012年10月1日とし、医療情報を2次元コードの生成要求を含まない、伝達意図を受け付けて医療情報端末2に記憶された医療情報を表示する画面である。
V1の領域には、2012年10月1日に患者の家族が医療情報端末に読み込ませた患者の医療情報が表示されており、医療情報ID「A01」の「血圧が200/130と高く、高血圧である。降圧剤Xを処方する。」との医療情報と、医療情報ID「A02」の「降圧剤Xを調剤する。調剤技術料○点、薬学管理料○点、薬剤料○点」との医療情報とが表示されている。また、V2の領域には、医療情報ID「A01」と関連付けられた画像ID「P01」の画像と、医療情報ID「A02」と関連付けられた画像ID「P02」の画像とが表示されている。
【0030】
[医療情報の伝達の一例]
図7を参照して、医療情報の受け渡しを行う状況の説明を行う。本実施形態においては、薬局に設置された医療情報装置1a、病院に設置された医療情報装置1b、患者が所有する医療情報端末2a及び患者の家族が所有する医療情報端末2bが存在している。
まず、薬局において薬剤師は処方された薬剤に関する情報を医療情報装置1aに入力する。医療情報装置1aは、入力された医療情報から2次元コードを生成して、出力部16を経て印刷機により生成した2次元コードを用紙に印刷する。薬剤師は印刷機から印刷された用紙を、薬剤を受け取りに来た患者の家族に渡す。そして、用紙を渡された患者の家族は、医療情報端末2bを操作して、用紙に印刷された2次元コードを撮像部25により撮影して医療情報を読み込む。
次に、患者の家族は、医療情報端末2bに読み込ませた医療情報を、患者本人に伝達させるために、医療情報の出力制御を行う。しかし、この際に、医療情報を伝達しようとしても、医療情報端末2bが新たに生成する2次元コードは、薬局の医療情報装置1aが生成した医療情報とはその内容が異なっているものであるため、患者の知りたい情報の全てを含むものではない。そこで、患者は、医療情報端末2bが生成した2次元コードではなく、医療情報端末2bが表示する医療情報の2次元コードの画像を医療情報端末2aが撮影して医療情報を読み込む。即ち、医療情報端末2aは、医療情報装置1aが発行した2次元コードであって、医療情報端末2bが撮影して記憶し、記憶した画像をそのまま表示した2次元コードを撮影して医療情報を読み込む。
これにより、患者は、医療情報を患者の家族から受け取った場合にも、医療機関が発行した医療情報をそのまま知ることができる。
【0031】
[医療情報端末2の処理]
続いて、
図8を参照して、医療情報端末2の処理について説明する。
初めに、医療情報端末2は、患者等の2次元コードの読取操作を受け付けたことに応じて、処理を開始する。
医療情報端末2の画像取得手段211は、撮像部25を動作させて、2次元コードを撮影して、2次元コードを含む画像を取得する(ステップS1)。
続いて、医療情報端末2の医療情報取得手段212は、ステップS1において取得した画像から、医療情報を読み取る(ステップS2)。さらに、医療情報端末2の医療情報記憶制御手段213は、ステップS2で取得した医療情報を、医療情報記憶手段221に記憶する(ステップS3)。また、医療情報端末2の医療情報記憶制御手段213は、ステップS3で記憶した医療情報と関連付けて、ステップS1で取得した
2次元コードを含む画像を画像記憶手段222に記憶する(ステップS4)。
【0032】
続いて、医療情報端末2の2次元コード生成手段214は、患者等の医療情報の伝達意図を受け付ける(ステップS5)。次に、医療情報端末2の2次元コード生成手段214は、伝達意図を受け付けた医療情報を医療情報記憶手段221から読み出して、受け付けた伝達意図に2次元コードの生成要求が含まれる場合には、読み出した医療情報の2次元コードを生成する(ステップS6)。また、医療情報端末2の医療情報表示制御手段215は、伝達意図を受け付けた医療情報と関連付けられた2次元コードを含む画像を読み出して
、ステップS6において生成した2次元コードを画像と併せて、表示部24に出力して、処理を終了する(ステップS7)。
【0033】
以上、本実施形態について説明した。このような医療情報端末2によれば、読み込んだ医療情報をさらに発行する場合に、読み込んだ際の医療情報をそのまま表示することができるため、医療情報を発行する際に医療情報端末2の操作者を発行者としたり、医療情報を改変したりした場合においても、医療情報を読み込んだ医療情報端末2が読み込んだ医療情報をそのまま伝達することができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0035】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、
図3の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能がコンピュータに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図3の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0036】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。