(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブラケットは、前記パネル開口内を車両外側となる側から車両内側となる側へと通過可能な形状を有し、前記車両ドアの外側からの組み付けが可能となる請求項1に記載のドア施開錠操作装置。
前記ブラケットは、前記仮組み付け完了状態から前記スライドとは逆方向へのスライドによって、前記挿通完了位置まで挿通された前記キーシリンダの抜けが阻止されるとともに、その抜け止め状態になることにより、前記ブラケットと前記キーシリンダとの間で予め定められた締結部材による締結固定が可能となり、その締結固定によって前記ブラケットと前記キーシリンダとが固定される請求項1又は請求項2に記載のドア施開錠操作装置。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態であるドア施開錠操作装置であって、組み付け対象の車両ドアを車両外側となる側から見た第一の斜視図(破線部分はアウターパネルの奥側)。
【
図2】
図1のドア施開錠操作装置であって、組み付け対象の車両ドアのアウターパネルを車両内側となる側から見た第二の斜視図(破線部分はアウターパネルの奥側)。
【
図3】
図1の車両ドアにおいて、アウターパネル及びインナーパネルを切断する形で、ドア施開錠操作装置を側面側から見た側端面図。
【
図4】
図1に示したドア施開錠操作装置の分解斜視図。
【
図5A】
図1のドア施開錠操作装置において、車両ドアのアウターパネルのパネル開口周辺部を、車両外側となる側から見た斜視図。
【
図5B】
図5Aのパネル開口周辺部を車両内側となる側から見た斜視図。
【
図6A】ブラケットを車両外側となる側から見た斜視図。
【
図7】ブラケットがパネル開口内を通過していく様子の一例を車両外側となる側から見た斜視図。
【
図8A】パネル開口の開口周辺部に対しブラケットを仮組み付け開始位置に配置した状態を、車両外側から見た正面図。
【
図8B】
図8Aのパネル開口の開口周辺部を車両内側となる側から見た背面図。
【
図8C】
図8Aのパネル開口の開口周辺部に対しブラケットを仮組み付け完了位置に移動させた仮組み付け状態を車両外側となる側から見た正面図。
【
図8D】
図8Cのパネル開口の開口周辺部を車両内側となるから見た背面図。
【
図8E】
図8A及び
図8Cが示すパネル開口の開口周辺部に対しブラケットが仮組み付け開始位置と仮組み付け完了位置との中間に位置する移動途中状態を、車両外側となる側から見た斜視図。
【
図8F】
図8Eのパネル開口の開口周辺部を車両内側となる側から見た斜視図。
【
図9A】
図8Cのパネル開口の開口周辺部にパッドを組み付けた状態を車両外側となる側から見た斜視図。
【
図9B】
図9Aのパネル開口の開口周辺部を車両内側となる側から見た斜視図。
【
図10A】キーシリンダを車両外側となる側から見た斜視図。
【
図11A】
図10Aのパネル開口の開口周辺部にキーシリンダを挿入組み付けした状態を車両外側となる側から見た斜視図。
【
図12】
図11Aを、アウターパネルを切断した形で側面側から見た側端面図。
【
図13】
図12のパネル開口の開口周辺部にドアハンドルアッシーを仮組み付けした状態を、アウターパネルを切断した形で側面側から見た側端面図。
【
図14A】
図13のシリンダーカバーを車両外側となる側から見た正面図。
【
図15A】
図13のドアハンドルアッシーにおいてブラケットが仮組み付けされた状態を、車両内側となる側から見た背面図。
【
図15B】
図13のドアハンドルアッシーにおいてブラケットが組み付け完了となった状態を、車両内側となる側から見た背面図。
【
図19】ダイレクトキーシリンダを有する従来のドアハンドルアッシーの斜視図(破線部分はアウターパネルの奥側)。
【
図20】ダイレクトキーシリンダを有する従来のドアハンドルアッシーの分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のドア施開錠操作装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0013】
本実施形態のドア施開錠操作装置1は、
図1に示すように、車両(ここでは自動車)の車体側に対し開閉可能に取り付けられる車両ドア102を、対応するキーの操作により施開錠(ロック及びアンロック)する車両ドア102用の施開錠操作装置である。車両ドア102は、
図3に示すように、車両内側となる側(車体側)に位置するインナーパネル8と、車両外側となる側に位置するアウターパネル2とを有して形成され、それらパネル2,8の間に中空空間82を有する。ドア施開錠操作装置1は、それらパネル2,8のうちのアウターパネル2に対し組み付けられる。さらに、車両用ドア施開錠操作装置1は、自身と同じアウターパネル2に対し組み付けられるドアハンドル72及びキーシリンダカバー71を共に、車両ドア開閉操作装置10を構成する。
【0014】
ドア施開錠操作装置1は、
図1〜
図4に示すように、車両ドア102のドアハンドル72の両端72A,72Bのうち一方が車両外側となる側から挿通されるパネル開口2Hを有したアウターパネル2と、アウターパネル2のパネル内表面2bに当接する形で、パネル開口2Hの開口周辺部2Aに対し車両内側となる側に配置されるブラケット3と、そのブラケット3に対しアウターパネル2を挟む形で固定されるキーシリンダ4と、を有する。
【0015】
キーシリンダ4は、
図3に示すように、キー挿入口41と、そのキー挿入口41に挿入された対応するキー400への所定の施開錠操作(ロック操作及びアンロック操作)によって車体側のドアロック機構104に対し当該車両ドア102を施開錠(ロック及びアンロック)させる動作を直接伝達する、キー挿入口41とは逆側に直線状に延出した伝達軸部42と、を有したシリンダ本体40を備える、いわゆるダイレクトタイプのキーシリンダである。ここでは、キー挿入口41に対応するキー400が挿入され、そのキー400にキー挿入方向に延出する軸線周りに回転させる施開錠操作(回転操作)がなされると、その回転が伝達軸部42をその軸線周りに回転させ、その回転動作を、伝達軸部42の先端と連結する車体側のドアロック機構104の内部に直接伝達する。
【0016】
本実施形態のドアロック機構104はダイレクトタイプのキーシリンダ4に対応する周知のものであり、ここではキー400による上記施開錠操作がなされるに伴い伝達軸部42がその軸線周りに回転動作することにより、ロック係合部104Aを進退駆動する駆動機構である。車両ドア102が閉じた状態においてロック係合部104Aを進退駆動させることで、車体側のロック係合受け部101Aに対し係合する係合状態(車両ドア102の施錠状態)と非係合状態(車両ドア102の開錠状態)とが切り替わる。即ち、キー400に施錠操作がなされた際にはロック係合部104Aが前進駆動してロック係合受け部101Aと係合状態(施錠状態)に切り替わり、他方、開錠操作がなされた際にはロック係合部104Aが後退駆動して非係合状態(開錠状態)に切り替わる。
【0017】
なお、ドアロック機構104の機構本体(図示なし)は筐体140内に収容されており、筐体140内の空間は、車両ドア102内に形成される内部空間82からは区画されている。
【0018】
さらに本実施形態では、ブラケット3は、アウターパネル2における開口2H内を、
図7に示すように、少なくとも車両外側となる側から車両内側となる側へと通過可能な形状(ここではさらに、車両内側となる側から外側となる側へも通過可能な形状)を有する。これにより、ブラケット3も車両ドア102の外側から、車両ドア102を開けることなく組み付けが可能となるから、組付け作業性に優れる。ただし、本発明におけるブラケット3の形状は、必ずしも開口2H内を通過可能な形状に限られる必要はない。
【0019】
このように本実施形態においては、少なくとも上述したブラケット3及びキーシリンダ4を車両ドア用キーシリンダ組み付けパーツとして有し、これらパーツ3,4を車両ドア102のアウターパネル2に対し組み付けることで車両ドア施開錠操作装置(車両ドア用ロック操作装置)1が形成され、最終的に、これらのパーツ3,4に対しドアハンドル72やキーシリンダカバー71を組み付けることによって、車両ドア開閉操作装置10が形成される。
【0020】
なお、本実施形態においては、アウターパネル2における開口2Hの開口周辺部2Aの車両内側にブラケット3を組み付ける一方で、車両外側には、介挿部材としてのパッド5が組み付けられる。キーシリンダ4は、この介挿部材としてのパッド5を介してアウターパネル2に組み付けられる。即ち、キーシリンダ4は、ブラケット3と共にアウターパネル2を挟持する形で、該ブラケット3に対し固定される。パッド5は省略可能であるが、本実施形態においては、このパッド5も車両ドア用キーシリンダ組み付けパーツに含まれる。
【0021】
以下、本実施形態における各車両ドア用キーシリンダ組み付けパーツ3,4,5と、それらパーツ3,4,5の組み付け対象である車両ドア102のアウターパネル2について、それらの組み付け構造及び組み付け手順を説明する。
【0022】
まず、車両ドア102のアウターパネル2について説明する。
【0023】
アウターパネル2は、
図5A及び
図5Bに示すように、上記開口2Hを有する。開口2Hは、キーシリンダ4を組み付けるための開口(キーシリンダ組み付け側開口)24Hのみとしてもよいが、ここでの開口2Hは、当該開口24Hから、車両ドア102の開閉用ドアハンドル72の一端部72Aが組み付けるための開口(ドアハンドル組み付け側開口)27Hへと続く、それら開口24H,27Hが一体となった開口である。さらにいえば、ここでの開口2Hは、開口24H側から、開口幅最小となる第一端側開口2H1(24H)と、それよりも開口幅が大となる中間開口2H2(24H)と、さらに開口幅が大となる第二端側開口2H3(27H)と、を有する。
【0024】
このアウターパネル2に対しまずはブラケット3が仮組み付けされる。
【0025】
ブラケット3は、
図6A及び
図6Bに示すように、ブラケット開口3Hを中心とする環状に形成されるブラケット本体3Aを有する。ここでのブラケット本体3Aは、開口2Hのうち開口2H1,2H2の開口周辺部2A1,2A2と当接(面接触)する形で、ブラケット開口3Hの3方の側を取り囲む当接部3Nと、開口2H2の開口2H1とは逆側をまたぐ形で、ブラケット開口3Hの残りの1方を取り囲み、当接部3Nの両端を連結する連結部3Lとを有した環状形状をなす。
【0026】
アウターパネル2に対するブラケットの仮組み付けは、まず最初に、ブラケット3を、ここでは
図7に示すように、アウターパネル2における開口2H内を車両外側となる側から内側となる側へと通過させ、アウターパネル2に対し車両内側となる側に到達させる(ブラケット通過後状態)。なお、開口2H内の通過時におけるブラケット3の向きや姿勢は、
図7のような向きに限らず、通過するならばどのような向きでもよいし、通過途中に向きや姿勢を変えてもよい。
【0027】
次に、アウターパネル2の車両内側となる側に回り込んだブラケット3を、開口2Hの開口周辺部2Aのパネル内表面(アウターパネル2の車両内側となる側のパネル表面)2bに対し、車両内側となる側から当接(面接触)させた仮組み付け開始状態(
図8A及び
図8B参照)とする。このとき、アウターパネル2とブラケット3とは、開口2Hとブラケット開口3Hとが重なる所定の仮組み付け開始位置にて当接された状態となる。
【0028】
その上で、ブラケット3を所定の仮組み付け方向にスライドさせる(
図8E及び
図8F参照)。このスライドによってブラケット3を所定の仮組み付け完了位置に到達させることで、ブラケット3は仮組み付け完了状態(
図8C及び
図8D参照)となる。ここでの仮組み付け方向は、開口長手方向における開口27H側から開口24H側へ向かう方向である。
【0029】
この仮組付けによって、ブラケット3をアウターパネル2に仮固定した状態で、キーシリンダ4を挿通組み付けすることが可能となり、組み付けが容易となる。
【0030】
ただし、ブラケット3とアウターパネル2との仮組み付けは、ここでは着脱可能な形でなされる。即ち、仮組み付け完了後に、ブラケット3を仮組み付け方向とは逆向きにスライド移動させて上記仮組み付け開始状態まで戻すことで、アウターパネル2から取り外すことが可能である。
【0031】
なお、アウターパネル2は、
図8A〜
図8Dに示すように、ブラケット3に対する仮組み付け状態となるための仮組み付け部3Mを有する。ここでの仮組み付け部3Mは、
図8G及び
図8Hに示すように、ブラケット3の仮組み付け完了位置において、車両内側となる側に当接配置されるブラケット本体3Aからアウターパネル2の開口2H内を通過する形で延出する突出中間部3Mbと、その先端側で開口周辺部2Aのパネル外表面2aに当接する爪部3Maと、を有する突出爪部3Mである。ここでの爪部3Maは、ブラケット本体3Aの、当接するアウターパネル2の開口周辺部2A(23A)との当接面とは逆側の面に回り込んでその逆側の面と当接することにより、ブラケット3はアウターパネル2に対し、当接方向の前後で挟まれて当接方向前後への脱落が阻止された保持状態(仮組み付け状態)となる。
【0032】
また、ここでのブラケット3は、アウターパネル2における開口周辺部2Aに対する仮組み付け開始位置とするにあたって、車両内側となる側からパネル内表面2bに接近する。この接近が進むと、最終的にブラケット本体3Aはパネル内表面2bに対し当接する。このとき、突出爪部3Mは、パネル内表面2bに向かって突出した状態で、アウターパネル2に対し接近するが、アウターパネル2は、
図5A及び
図5Bに示すように、その接近する突出爪部3Mを遮ることなく受け入れてその爪部3Maをパネル内表面2bの裏側のパネル外表面2a側に進入させる爪進入開口23Hを開口2H内に有する。つまり、仮組み付け開始状態とは、ブラケット本体3Aがアウターパネル2における開口周辺部2Aのパネル内表面2bに当接し、かつ突出爪部3Mが爪進入開口23Hを通過してパネル外表面2a側まで到達した状態である。
【0033】
ここでの突出爪部3Mは、仮組み付け方向側の突出爪部3M1と、仮組み付け方向逆側の突出爪部3M2とを有し、アウターパネル2は、開口2H内に、それら突出爪部3M1,3M2に対応する爪進入開口23H1,23H2を有し、開口周辺部2Aに、ブラケット3の仮組み付け完了位置においてそれら突出爪部3M1,3M2の爪部3Maがそれぞれ当接する開口周辺部23A1,23A2を有する。
【0034】
なお、ここでのブラケット3は、
図8G及び
図8Hに示すように、仮組み付け開始位置において、開口2H1,2H3の内壁面2x1,2x3に対し、当接部3M1(3Mb),3M2(3Mc)が当接して位置が規定される。
【0035】
また、ここでのブラケット3は、
図8G及び
図8Hに示すように、仮組み付け完了位置において、開口2H1,2H3の内壁面2y2,2y0に対し、当接部3M1(3Mb),3M2(3Mc)が当接して位置が規定される。
【0036】
また、ここでのブラケット3は、
図8G及び
図8Hに示すように、仮組み付け開始位置と仮組み付け完了位置との間のスライドにおいて、開口2H1,2H2,2H3の内壁面2x1,2x2,2x3上を、摺動部3M1(3Mb),3M2(3Mb,3Mc)が摺動する形でガイドされる。
【0037】
次に、このブラケット3が仮組み付けされたアウターパネル2に対するパッド5の組み付けを説明する。
【0038】
パッド5は、
図9A及び
図9Bに示すように、中央にパッド開口5Hを有する環状のパッド本体5Aを有し、そのパッド開口5Hを開口2Hに重ねる形で、パッド本体5Aを当該開口2H全体の開口周辺部2Aのパネル外表面2aに対し車両外側となる側から当接(面接触)させる一方、組み付け部5Mを開口周辺部2Aのパネル内表面2bに対し車両内側となる側から当接(面接触)するよう回り込ませることで組み付けられる。
【0039】
ここでの組み付け部5Mは、
図9A〜及び
図9Dや
図12及び
図13に示すように、突出爪部3Mと同様に、突出中間部5Mbと、その先端側の爪部5Maと、を有する突出爪部5Mである。パッド5は、突出爪部5Mの爪部5m側を開口2Hの内向きに弾性変形させる形で車両外側となる側から開口2H内に押し込まれ、爪部5mがパネル内表面2b側に達した際の弾性復帰により、開口周辺部2Aのパネル内表面2bに回り込んで当接する。パッド5は、パッド本体5Aと爪部5Maとでアウターパネル2を内外で挟む形で、アウターパネル2に直接組み付けられる。
【0040】
また、ここでのパッド5は、
図9A〜及び
図9Dや
図12及び
図13に示すように、開口2Hの内壁面2z0,2z2,2z3に対し、突出爪部5M(5M1,5M3)や突出部5Lが当接することで、位置決めされて組み付けられる。
【0041】
なお、ここでのパッド5は、
図9C及び
図9Dに示すように、アウターパネル2の開口周辺部2Aへの組み付けの後に、ブラケット3が組み付け最終完了位置へと再移動するにあたって、その再移動を妨げないよう、仮組み付け完了状態のブラケット3の再移動方向に隣接する領域に位置する部位が無いよう形成されている。例えば、ブラケット3の仮組み付け部3M(3M1,3M2)は、開口2Hの開口幅方向両側に対をなして設けられているが、パッド5には、それら仮組み付け部3M(3M1,3M2)の上記再移動方向側が開口5H内となるよう形成されている。
【0042】
次に、ブラケット3及びパッド5が組み付けられたアウターパネル2に対するキーシリンダ4の組み付けを説明する。
【0043】
キーシリンダ4は、
図10A及び
図10Bに示すように、キー挿入口41とは逆側の伝達軸部42を、その先端を先頭にしてアウターパネル2の開口2H内を車両外側となる側から内側となる側へと挿通され、最終的にはブラケット3に対し仮配置される。ここでは、アウターパネル2の開口2Hのキーシリンダ組み付け側開口24Hに対してブラケット3とパッド5が、それぞれの開口3H,5Hを重ねる形で既に組み付けられているから、それら全開口24H,3H,5Hを車両外側となる側から内側となる側へと挿通させる形で配置される。ただし、この段階ではまだキーシリンダ4のブラケット3への固定はなされない。
【0044】
ここでのキーシリンダ4は、キー挿入口41から逆向きに柱状(ここでは円柱状)に延出するシリンダ本体40を有する。伝達軸部42は、シリンダ本体40のキー挿入口41とは逆の端部の端面中央部から、本体40よりも小径となる形で軸状(ここでは直線的に)に延出する。
【0045】
また、ここでのキーシリンダ4は、シリンダ本体40の延出方向(軸線方向)に対し垂直となる方向側(径方向外向き)に広がるフランジ部(当接位置決め部)4Fを有する。具体的には、フランジ部4Fとして、アウターパネル2の開口2H2に伝達軸部42を挿通させたシリンダ本体40から仮組み付け方向側に延出するフランジ部4F1と、仮組み付け方向逆側に延出するフランジ部4F2とを有する。これらフランジ部4F1,4F2は、開口2H1の開口周辺部2A1やブラケット3の連結部3Lに対し挿通方向において当接する形で配置される一方で、パッド5やブラケット3に対し開口幅方向及び開口長手方向において当接する部位でもあり、これらの部位によってキーシリンダ4の挿通後の仮配置位置(挿通完了位置)が規定される。
【0046】
パッド5は、
図11C及び
図12に示すように、ブラケット3との組み付け状態において、パッド本体5Aの車両外側となる側からブラケット3との当接面とは逆側から突出する突出中間部5Kbと、その先端側でパネル内表面2aに当接する爪部5Kaと、を有する突出爪部5Kを有する。フランジ部4F1は、突出爪部5Kの突出中間部5Kbに対し仮組み付け方向逆向きに当接し、かつ爪部5Kaに対し車両外側となる側から当接する。即ち、フランジ部4F1は爪部5Kaとパッド本体5Aとの間に挟まれた引っ掛かり状態となる。つまり、突出爪部5Kは、この引っ掛かり状態においてキーシリンダ4の仮配置位置(挿通完了位置)を規定する位置決め部であるとともに、位置決めされたキーシリンダ4の挿通方向逆向きへの抜けを阻止するシリンダ抜け止め部でもある。ただし、この引っ掛かり状態は仮組み付け状態であり、キーシリンダ4を仮組み付け方向逆側にずらせば容易に解除できる。
【0047】
なお、キーシリンダ4は、仮配置位置(挿通完了位置)において、ブラケット3の連結部3L側で当接部3M2(
図9A及び
図9B参照)に対し、フランジ部4F2が開口幅方向外向き及び仮組み付け方向逆向きに当接する形で位置決めされる(
図11A及び
図11B参照)。
【0048】
また、
図15A及び
図15Bや
図17A〜
図18Bに示すように、ここでのキーシリンダ4は、仮配置位置(挿通完了位置)に配置された後に挿通方向逆向きへの抜け止め状態とするための抜け止め当接部4Pを有する一方、ブラケット3は、仮配置位置のキーシリンダ4の抜け止め当接部4Pと当接してキーシリンダ4の挿通方向逆向きへの抜けを阻止する抜け止め阻止部(脱落阻止部)3Rを有する。
【0049】
ここでの抜け止め当接部4Pは、シリンダ本体40の外周面の上記開口幅方向両側から外向きに突出する突起部4P(
図10A及び
図10B参照)である。一方、ブラケット3は、キーシリンダ4を挿通組み付けする際に、その突起部4Pを、上記仮組み付け方向側とその逆側との双方で挟み込む形で通過させるよう、開口幅方向外向きに凹んだ凹部をなし、キーシリンダ4の挿通時にその挿通をガイドする挿通ガイド部として機能する突起収容部3Pを有する(
図6A及び
図6B参照)。この突起収容部3Pは、アウターパネル2に対し上記仮組み付け完了状態となったブラケット3の開口3Hの開口周辺部3Aに、その開口3Hの上記開口幅方向に対向する内壁面を外向きに凹む凹部3Pとして形成される。即ち、この凹部3Pは、アウターパネル2の開口周辺部2A2に当接するブラケット3の開口周辺部3A2に形成される。さらに、アウターパネル2の開口周辺部2A2や、このアウターパネル2に組み付けられたパッド5の、当該開口周辺部2A2に当接する開口周辺部5A2にも、仮組み付け完了状態のブラケット3の突起収容部3Pと同位置で、かつキーシリンダ4の挿通時に内部を突起部4Pが通過可能な凹形状で、突起収容部2P,5P(挿通ガイド部)が設けられる(
図9A及び
図9B参照)。
【0050】
なお、後述するが、キーシリンダ4が仮組み付け状態となった後、ブラケット3は、仮組み付け完了位置から所定の組み付け最終完了位置へ向けて再度スライド移動される(最終スライド移動)。このとき、ブラケット3のみが残余のキーシリンダ4やアウターパネル2やパッド5に対し位置がずれ、その結果、突起収容部3Pも突起収容部2P,5Pに対し位置がずれて、上記挿通方向における重なりが解消され、代わりに当該突起収容部3Pに隣接する開口周辺部3A2が重なり、凹部をなす突起収容部2P,5Pが開口周辺部3A2によって挿通方向に蓋された状態となる。つまり、上記突起部4Pは、最終スライド移動がなされることで、開口周辺部3A2に対し上記挿通方向逆向きに当接し、キーシリンダ4の挿通方向逆向きへの抜けを阻止する抜け止め阻止部3Rとして機能する。ここでの抜け止め阻止部3Rは、開口周辺部3A2の一部であり、突起収容部3Pの最終スライド移動方向側で隣接する部分である。
【0051】
次に、
図1及び
図4に示すドアハンドル72とキーシリンダカバー71とを組み付ける。
【0052】
キーシリンダカバー71は、
図13及び
図14に示すように、上記仮組み付け状態(最終スライド移動前)のキーシリンダ4のキー挿入口41を、キー挿入口露出用の開口71Hから露出させる形で、アウターパネル2の開口24Hを車両外側となる側から被覆するよう、アウターパネル2(既に組み付けられたキーシリンダ4やブラケット3、パッド5を含む)に対し当接する形で組み付けられる。ここでのキーシリンダカバー71は、は、環状のパッド5に対し裏面側外周部71A(
図14B参照)が、キーシリンダ4のキー挿入口41の周辺に裏面側筒状部71AH(
図14B参照)が当接する形で組み付けられる。
【0053】
ドアハンドル72は、
図1及び
図2に示すように、一端部72Aが、アウターパネル2の開口24H側に組み付けられたキーシリンダカバー71の開口72Hに挿通され、他端部72Bが、アウターパネル2の開口2Hとは別に設けられた開口(図示なし)に挿通されており、ドア開閉のためのハンドル操作がなされた場合に、ドアハンドル72全体が他端部72B側を中心に揺動(回動)して車両外側となる側に引き上げられるよう、他端部72Bがアウターパネル2に対し揺動(回動)可能に組み付けられ、一端部72Aがハンドル引上げ方向に所定のストロークを許容する形でアウターパネル2に対し組み付けられる。なお、ここでの一端部72Aは、キーシリンダカバー71を介してアウターパネル2に対し組み付けられる。具体的にいえば、
図15A及び
図15Bに示すように、ドアハンドル72の一端部72Aは、キーシリンダカバー71の裏面側固定部71Bに固定された軸部71C対し搖動可能に固定された搖動部材73の一端731に対し、上記ストロークを許容する形で連結する形で組み付けられる。一方、搖動部材73の他端733は、ドアハンドル72が引き上げられた際に、当該ドアハンドル72が組み付けられた車両ドア102を開動作不可状態から開動作可能状態に切り替える周知のドア開閉機構(図示なし)に連結する。
【0054】
なお、ドアハンドル72の組み付け及びドアハンドル72のドア開閉機構(図示なし)との連結については、周知の技術・構造を採用しているため詳細な説明を略する。
【0055】
キーシリンダカバー71は、ブラケット3、キーシリンダ4、パッド5、アウターパネル2のいずれか又は複数に対し位置決めされる位置決め部71Sによって位置決めされて組み付けられる。ここでの位置決め部71Sは、
図16A及び
図16Bや
図13に示すように、フランジ部4F(4F2)から上記挿通方向逆向きに小径となる円錐台形状の突起部4Sが、キーシリンダカバー71の裏側(上記挿通方向側)の筒状の突起収容部71Sに対し圧入される形で位置決めと固定がなされる。
【0056】
キーシリンダカバー71が上記のように位置決め状態で配置された後(ここではドアハンドル72も上記のように配置された状態)、上記ブラケット3の最終スライド移動がなされる。
【0057】
なお、ここでのブラケット3の最終スライド移動は、上記仮組み付け方向とは逆向きのスライド移動である。この最終スライド位置の完了位置、即ち組み付け最終完了位置は、上記仮組み付け開始位置(
図8A及び
図8B)と上記仮組み付け完了位置(
図8C及び
図8D)との間に定められている。即ち、ブラケット3は、最終スライド移動によって仮組み付け開始位置まで到達しないため、アウターパネル2から脱落することが無い。つまり、組み付け最終完了位置に到達したブラケット3は、仮組み付け部3Mによるアウターパネル2の開口周辺部2Aへの仮組み付け状態を、その組み付け位置(当接位置)はずれるものの継続している。
【0058】
キーシリンダ4は、ブラケット3の組み付け最終完了位置を規定する位置決め部4Vを有する。ここでの位置決め部4Vは、
図16A及び
図16Bに示すように、最終スライド移動によって組み付け最終完了位置に到達した際に、ブラケット3に対し最終スライド移動方向において当接する位置決め当接部4Vである。ここでの位置決め当接部4Vは、仮組み付け方向側のフランジ部4F1において車両内側となる向きに突出形成された締結固定部4Vであり、ブラケット3の最終スライド移動が完了すると、ブラケット3の開口周辺部3Nの仮組み付け方向側において車両内側となる向きに突出形成された締結部材挿通部3Vに対し、仮組み付け方向逆向きに当接して、組み付け最終完了位置に位置決めされると同時に、予め定められた締結部材300による締結固定可能となる。
【0059】
そして、ここではブラケット3の最終スライド移動が完了すると、締結固定部4Vと締結部材挿通部3Vとが当接状態(当接面3i,4iとの当接:
図16A及び
図16B参照)となり、この当接状態となることを前提に、それら双方の締結固定が可能となる。
【0060】
具体的にいえば、締結固定部4Vと締結部材挿通部3Vとが上記当接状態となることではじめて、互いにずれていた締結固定部4Vの締結孔(雌ネジ穴)4vと締結部材挿通部3Vの挿通孔3vとが同軸(軸線3zと軸線4zが一致)をなし、ボルト等の締結部材300の挿通・ねじ込みが可能になる。この締結部材300を、締結部材挿通部3Vの挿通孔3vを挿通した上でその先に位置する締結固定部4Vの締結孔4v内にねじ込まれることで、ブラケット3とキーシリンダ4とが固定され、これにより、車両ドア開閉操作装置7(ドア施開錠操作装置1)をなす各パーツ2,3,4,5,71,72の組み付けが完了する。なお、ブラケット3の挿通孔3vは、車両ドア102の開放側の側端面から露出するように位置しており、締結部材300のねじ込みはその側端面側から行うことができるから、作業者は車両ドア102の内側まで回り込む必要はない。
【0061】
また、ブラケット3の最終スライド移動が完了すると、キーシリンダカバー71は、キーシリンダ4と共に、アウターパネル2に対し抜け止めされた組み付け状態となる。ここでのキーシリンダカバー71は、移動後のブラケット3に対し上記挿通方向逆向き及び上記開口幅方向に当接して位置決め状態となる。具体的にいえば、
図17A及び
図17Bや
図18A及び
図18Bに示すように、ブラケット3の連結部3Lの上記仮組み付け方向逆側端部3l(3l1,3l2)が、キーシリンダカバー71において開口71H側と開口72H側を隔てる形で車両内側となる側に突出した壁部71Lに設けられたブラケット端収容部(ここでは上記仮組み付け方向に凹む、又は貫通する開口)7l(7l1,7l2)内に収容されることで、当該ブラケット端収容部7l内で上記挿通方向逆側及び上記開口幅方向両側にて当接し、抜け止め部及び位置決め部として機能する。
【0062】
なお、本実施形態においては、各パーツ2,3,4,5,7(71,72)の組み付けや位置決めの際に当接等を生じるが、実際には、製造誤差・組み付け誤差を許容するわずかな隙間があってもよい。従って、当接やスライドに際して、実際にはわずかに浮き上がた離間状態が生じたとしても、これらは当接やスライドの概念に含まれるものとする。
【0063】
以上で述べたように、本実施形態の車両ドア施開錠操作装置1においては、ブラケット3は、開口2H内を車両外側となる側から車両内側となる側へと通過可能な形状を有しており、アウターパネル2への組み付けが車両外側となる側から可能であるため、車両ドア102を開けなくても、ブラケット3をアウターパネル2に仮組み付けできるから、組み付け作業性に優れる。さらにその仮組み付けは、アウターパネル2のパネル裏面2b上をスライドさせる形でなされるから、車両外側となる側からでも組み付けは容易である。
【0064】
さらにブラケット3は、アウターパネル2における開口2Hの開口周辺部2Aの車両内側となる側に仮組み付けできる。このため、キーシリンダ4は、アウターパネル2への仮組み付け状態となったブラケット3に対し、伝達軸部42の先端を先頭に、開口2H,3H内を車両外側から内側へと通過させる形で配置できるから、組み付け作業性に優れる。
【0065】
また、ブラケット3の仮組み付けは、スライド操作によって容易に行うことができる。さらに、ブラケット3は、仮組み付け開始位置から仮組み付け完了位置へのスライド移動と、仮組み付け完了位置から組み付け最終完了位置へのスライド移動の向きが逆向きになっており、さらに、その組み付け最終完了位置が仮組み付け開始位置と仮組み付け完了位置との間の中間地点に設けられている。折り返し位置が仮組み付け完了位置となっていることで、組み付け操作がわかりやすいし、折り返すことでスライド移動範囲を狭めることも可能になっている。また、ブラケット3は、スライド移動によって仮組み付け完了位置へ、さらには組み付け最終完了位置へと移動することで、各パーツ2,4,5との間で当接等の新たな位置関係が形成され、それにより新たな位置決めや抜け止めが発生する構成となっており、組み付け手順や組み付け位置を間違えることがない。
【0066】
さらに、ブラケット3の仮組み付け完了位置から組み付け最終完了位置への移動は、キーシリンダ4との締結固定が可能な状態とするだけでなく、キーシリンダ4を抜け止め状態として仮組み付けさせる役割も果たす。このため、抜け止め状態に仮組み付けされたキーシリンダ4とブラケット3とを、締結部材300によって安定的に締結固定できる。
【0067】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではない。例えば上記実施形態において一部の構成要件を省略する、さらには他の構成要件を追加する等、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0068】
上記実施形態のドア施開錠操作装置1(車両ドア開閉操作装置7)においては、パッド5を用いる構成としているが、パッド5が備えている組み付けに寄与する要素を、ブラケット3やアウターパネル2に設けることで、パッド5を省略してもよい。
【0069】
上記実施形態においては、キーシリンダカバー71にドアハンドル72を組み付けたドアハンドルアッシー7を、ブラケット3、キーシリンダ4、パッド5が既に組み付けられたアウターパネル2に対し組み付けているが、ドアハンドルアッシー7は、上記アウターパネル2に対しキーシリンダカバー71を先行して組み付けた上でドアハンドル72を組み付けるようにしてもよい。上記実施形態のドア施開錠操作装置1(車両ドア開閉操作装置7)においては、キーシリンダカバー71やドアハンドルアッシー7を含めてもよいし、省略してもよい。
【0070】
上記実施形態においては、ブラケット3の最終スライド移動が、キーシリンダカバー71の位置決めや抜け止めに寄与する等、キーシリンダカバー71やドアハンドル72の組み付けにブラケット3のスライド移動が関係しているが、キーシリンダカバー71やドアハンドル72については、ブラケット3のスライド移動とは無関係に組み付けられるようにしてもよい。