(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シート状又は平板状の基材の片面上に印刷層を形成する工程と、前記基材の前記印刷層を有する側の面上にホットメルト型粘着剤及び活性エネルギー線硬化型粘着剤からなる群より選ばれた1種以上の粘着剤を塗布し、ホットメルト型粘着剤の場合はその後冷却し、活性エネルギー線硬化型粘着剤の場合はその後活性エネルギー線を照射して、粘着剤層を形成して[シート状又は平板状の基材/印刷層/粘着剤層]の構造のみからなる積層体を得る工程とを含み、前記積層体の、前記粘着剤層表面のガラス板に対する23℃における180°引き剥がし粘着力が5N/20mm以上であることを特徴とする光学部材の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、シート状又は平板状の基材の片面上に印刷層を形成する工程と、上記基材の上記印刷層を有する側の面上にホットメルト型粘着剤及び活性エネルギー線硬化型粘着剤からなる群より選ばれた1種以上の粘着剤を塗布して粘着剤層を形成する工程とを少なくとも含むことを特徴とする光学部材の製造方法である。なお、本明細書において、「シート状又は平板状の基材の片面上に印刷層を形成する工程と、上記基材の上記印刷層を有する側の面上にホットメルト型粘着剤及び活性エネルギー線硬化型粘着剤からなる群より選ばれた1種以上の粘着剤を塗布して粘着剤層を形成する工程とを少なくとも含むことを特徴とする光学部材の製造方法」を「本発明の製造方法」と称する場合がある。
【0016】
なお、本明細書において、上記「シート状又は平板状の基材の片面上に印刷層を形成する工程」を「工程(i)」と称する場合がある。また、「上記基材の上記印刷層を有する側の面上にホットメルト型粘着剤及び活性エネルギー線硬化型粘着剤からなる群より選ばれた1種以上の粘着剤を塗布して粘着剤層を形成する工程」を「工程(ii)」と称する場合がある。
【0017】
本発明の製造方法は、上記工程(i)、工程(ii)以外の工程(以下、「他の工程」と称する場合がある)を含んでいてもよい。
【0018】
図1は、本発明の製造方法における工程(i)及び工程(ii)の一例を示す概略図である。シート状又は平板状の基材11の片面上にまず印刷層12を形成して積層体(a)13が製造される。その後、基材11の印刷層12を有する側の面上に本発明の粘着剤層14を形成し、積層体(b)15が製造される。
【0019】
[工程(i)]
工程(i)は、シート状又は平板状の基材の片面上に印刷層を形成する工程である。
【0020】
(シート状又は平板状の基材)
上記シート状又は平板状の基材は、シート状の基材又は平板状の基材を表す。上記シート状又は平板状の基材としては、特に限定されないが、透明性の観点から、ガラス基板などのガラス基材;プラスチック基板やプラスチックフィルムなどのプラスチック系基材が好ましい。なお、これらのシート状又は平板状の基材は単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0021】
上記プラスチック系基材の素材としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリル系樹脂、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、商品名「アートン(環状オレフィン系ポリマー;JSR(株)製)」、商品名「ゼオノア(環状オレフィン系ポリマー;日本ゼオン(株)製)」などの環状オレフィン系ポリマーなどが挙げられる。中でも、加工性、透明性の観点から、PET、PMMA、ポリカーボネート、環状オレフィン系ポリマーが好ましい。なお、これらの基材の素材は単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0022】
上記シート状の基材としては、特に限定されないが、上記シート状又は平板状の基材として例示された基材の中でも、プラスチックフィルムが好ましい。また、上記プラスチックフィルムの素材は、特に限定されないが、上記プラスチック系基材の素材として例示された素材の中でも、PET、ポリカーボネート、環状オレフィン系ポリマーが好ましい。即ち、上記シート状の基材は、PETフィルム、ポリカーボネートフィルム、環状オレフィン系ポリマー製のフィルムが好ましい。なお、これらの基材は単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。市販品では、例えば、商品名「アートン」(JSR(株)製)、商品名「ゼオノア」(日本ゼオン(株)製)などの無配向フィルムなどが使用できる。
【0023】
上記シート状の基材の厚さは、特に限定されないが、5〜100μmが好ましい。なお、上記シート状の基材は単層および複層のいずれの形態を有していてもよい。また、上記シート状の基材の表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理などの物理的処理、下塗り処理などの化学的処理などの公知慣用の表面処理が適宜施されていてもよい。
【0024】
上記平板状の基材は、特に限定されないが、上記シート状又は平板状の基材として例示された基材の中でも、ガラス基板、プラスチック基板が好ましい。上記プラスチック基板の素材は、特に限定されないが、上記プラスチック系基材の素材として例示された素材の中でも、PMMA、ポリカーボネートが好ましい。即ち、上記平板状の基材は、ガラス基板、PMMA基板、ポリカーボネート基板が好ましい。なお、これらの基材は単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0025】
上記平板状の基材の厚さは、特に限定されないが、100〜500μmが好ましい。なお、上記平板状の基材は単層および複層のいずれの形態を有していてもよい。また、上記平板状の基材の表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理などの物理的処理、下塗り処理などの化学的処理などの公知慣用の表面処理が適宜施されていてもよい。
【0026】
上記シート状又は平板状の基材の可視光波長領域における全光線透過率(JIS K7361−1に準じる)は、特に限定されないが、85%以上が好ましく、より好ましくは88%以上である。また、上記基材のヘイズ(JIS K7136に準じる)は、特に限定されないが、1.0%以下が好ましく、より好ましくは0.5%以下である。
【0027】
(印刷層)
上記印刷層は、特に限定されず、公知慣用の印刷層を用いることができる。上記印刷層は、特に限定されないが、例えば、バインダー樹脂、色材を含む。他に、必要に応じて分散剤、架橋剤、光重合開始剤、増感剤などを含んでいてもよい。
【0028】
上記バインダー樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノキシ樹脂、メタクリル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートなど)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体など)、ポリスチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂など)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、セルロース類(酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂など)、ポリアセタールなどの公知の樹脂(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂など)などが挙げられる。なお、これらのバインダー樹脂は単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0029】
上記色材は、特に限定されず、公知慣用の顔料、染料などを用いることができる。具体的には、例えば、特開2011−214010号公報に例示されている白系色材、銀系色材、黒系色材、シアン系色材、マゼンタ系色材、イエロー系色材などが挙げられる。なお、これらの色材は単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0030】
上記印刷層は、単層、多層のいずれの形態であってもよい。特に限定されないが、隠蔽性をより一層高める観点から、多層の形態であることが好ましい。なお、多層の形態である場合、印刷層の層の数としては2以上であればよく、例えば、2〜10の範囲から適宜選択することができ、好ましくは2〜6である。
【0031】
上記印刷層の厚さは、特に限定されないが、25〜100μmが好ましく、より好ましくは35〜90μm、さらに好ましくは45〜80μmである。上記印刷層の厚さが25μm以上である場合、印刷段差が十分高くなり、従来の光学部材の製造方法では、光学部材を製造した際の歪みが大きくなるため、本発明の目的である歪みの解消のために本発明を適用することがより効果的である。また、上記印刷層の厚さが100μm以下である場合、印刷にかかるコストの面で有利である。
【0032】
(印刷層の形成方法)
上記シート状又は平板状の基材の片面上に印刷層を形成する方法は、特に限定されず、公知慣用の印刷層の形成方法を用いることができる。具体的には、例えば、上記印刷層を形成するための組成物を上記基材の片面上に塗布し、必要に応じて乾燥や熱硬化、活性エネルギー線硬化を行う方法や、各種印刷法(グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法、スクリーン印刷法など)を利用した方法、蒸着法を利用した方法などが挙げられる。なお、これらの形成方法は単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0033】
上記印刷層を形成するための組成物は、上記バインダー樹脂、上記色材の他、必要に応じて分散剤、架橋剤、溶剤、光重合開始剤、増感剤などを含んでいてもよい。
【0034】
工程(i)においては、上記印刷層を上記基材の片面側の全面に形成してもよいし、上記基材の片面側に部分的に形成してもよい。上記印刷層を上記基材の片面側に部分的に形成する態様としては、特に限定されないが、上記基材の縁に沿って上記印刷層を形成する態様(例えば、上記基材が長方形の場合、額縁のような状態になるように上記印刷層を形成する態様)、上記印刷層を上記基材の片面上に意匠性のあるように図柄を形成する態様などが挙げられる。中でも、一般的なタッチパネルに使用する観点から、上記基材の縁に沿って上記印刷層を形成する態様が好ましい。
【0035】
上記工程(i)によって、[シート状又は平板状の基材/印刷層]の構造を有する積層体が製造される。上記積層体を「積層体(a)」と称する場合がある。
【0036】
[工程(ii)]
工程(ii)は、上記工程(i)の後に、上記シート状又は平板状の基材の上記印刷層を有する側の面上に上記ホットメルト型粘着剤及び活性エネルギー線硬化型粘着剤からなる群より選ばれた1種以上の粘着剤を塗布して粘着剤層を形成する工程である。本明細書において、「ホットメルト型粘着剤及び活性エネルギー線硬化型粘着剤からなる群より選ばれた1種以上の粘着剤」を、「本発明の粘着剤」と称する場合がある。上記工程(ii)は、前工程で製造された積層体(例えば、積層体(a))の上記印刷層を有する側の面上に本発明の粘着剤を塗布して粘着剤層を形成する工程である。また、「本発明の粘着剤を塗布して形成される粘着剤層」、即ち、「シート状又は平板状の基材の印刷層を有する側の面上にホットメルト型粘着剤及び活性エネルギー線硬化型粘着剤からなる群より選ばれた1種以上の粘着剤を塗布して形成される粘着剤層」を、「本発明の粘着剤層」と称する場合がある。
【0037】
(本発明の粘着剤)
本発明の粘着剤は、ホットメルト型粘着剤及び活性エネルギー線硬化型粘着剤からなる群より選ばれた1種以上の粘着剤である。上記「ホットメルト型粘着剤及び活性エネルギー線硬化型粘着剤からなる群より選ばれた1種以上の粘着剤」とは、ホットメルト型粘着剤及び活性エネルギー線硬化型粘着剤、又は、ホットメルト型粘着剤又は活性エネルギー線硬化型であることを表す。本発明の粘着剤は、単独又は2種以上の組み合わせであってもよい。上記粘着剤がホットメルト型粘着剤及び活性エネルギー線硬化型粘着剤からなる群より選ばれた1種以上の粘着剤であることにより、塗布、形成して粘着剤層になった際の体積減少量が小さいため、高い印刷段差がある場合でも、その後フィルムセンサーなどのフィルムを貼付した場合に歪みがなく見栄えが良い光学部材を製造することができる。一方、溶剤系の粘着剤である場合は、塗布、乾燥することにより、大きく体積が減少するため、高い印刷段差による歪みが発生し、見栄えが悪化する。
【0038】
上記ホットメルト型粘着剤は、特に限定されないが、例えば、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤(アクリルウレタン系粘着剤)、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、フッ素系粘着剤などの公知の粘着剤を用いることができる。上記の中でも、ゴム系粘着剤、ウレタン(アクリルウレタン)系粘着剤が特に好ましい。また、上記ホットメルト型粘着剤は単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0039】
上記ゴム系粘着剤としては、例えば、天然ゴムや各種の合成ゴムをベースポリマーとしたゴム系粘着剤が挙げられる。合成ゴムをベースポリマーとしたゴム系接着剤としては、例えば、スチレン・ブタジエン(SB)ゴム、スチレン・イソプレン(SI)ゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)ゴム、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)ゴム、スチレン・エチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIPS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレンブロック共重合体(SEP)ゴムなどのスチレン系ゴム(スチレン系エラストマーともいう)、ポリイソプレンゴム、再生ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンや、これらの変性体などが挙げられる。中でも、スチレン系エラストマーの粘着剤が好ましく、さらに好ましくは、SIS、SBSである。上記ゴム系粘着剤は単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0040】
上記活性エネルギー線硬化型粘着剤は、特に限定されないが、例えば、天然ゴムや各種の合成ゴム(例えば、ポリイソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体ゴム、再生ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンなど)をベースポリマーとしたゴム系粘着剤;(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系重合体(単独重合体又は共重合体)をベースポリマーとするアクリル系粘着剤が挙げられる。中でも、アクリル系粘着剤が好ましい。
【0041】
上記アクリル系粘着剤に含まれるアクリル系ポリマーの含有量は、特に限定されないが、臭気の観点から、96〜100重量%が好ましく、より好ましくは98〜100重量%である。
【0042】
上記アクリル系ポリマーは、特に限定されないが、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを必須のモノマー成分(単量体成分)として構成されたアクリル系ポリマーであることが好ましい。なお、上記「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」(「アクリル」及び「メタクリル」のうち、いずれか一方又は両方)を表し、他も同様である。
【0043】
また、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分としては、特に限定されないが、さらに、極性基含有モノマー、多官能性モノマー、上記モノマー成分以外の共重合性モノマー(以下、「その他の共重合性モノマー」と称する場合がある)を含有していてもよい。
【0044】
上記直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(単に「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」と称する場合がある)としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル((メタ)アクリル酸n−ブチル)、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどのアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)、アクリル酸イソオクチル(i−OA)、アクリル酸ブチル(BA)が好ましい。
【0045】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び/又は(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの含有量は、特に限定されないが、粘着力、応力緩和性の観点から、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、50〜98重量%が好ましく、より好ましくは50〜95重量%である。なお、モノマー成分として(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの両方が用いられている場合は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量と(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの含有量の合計量(合計含有量)が上記の範囲を満たせばよい。
【0046】
上記極性基含有モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基含有モノマー(酸無水物基含有モノマーを含む);(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、ビニルアルコール、アリルアルコールなどのヒドロキシル基(水酸基)含有モノマー;(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有モノマー;(メタ)アクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;N−ビニル−2−ピロリドンなどの複素環含有ビニル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマーなどが挙げられる。上記極性基含有モノマーは単独、又は2種以上の組み合わせでもよい。
【0047】
上記多官能性モノマーとは、一分子中に2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーをいう。上記エチレン性不飽和基としては、特に限定されないが、例えば、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ビニルエーテル基(ビニルオキシ基)、アリルエーテル基(アリルオキシ基)などのラジカル重合性官能基が挙げられる。なお、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、極性基含有モノマー、及びその他の共重合性モノマーは、一分子中にエチレン性不飽和基を1つのみ有するモノマー(単官能性モノマー)である。
【0048】
上記多官能性モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。上記多官能性モノマーは単独、又は2種以上の組み合わせでもよい。
【0049】
また、上記その他の共重合性モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルやフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどの、上述の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、極性基含有モノマー、及び多官能性モノマー以外の(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン類又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニルなどが挙げられる。
【0050】
本発明の粘着剤は、特に限定されないが、必要に応じて、シランカップリング剤、光重合開始剤、架橋剤(例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤など)、架橋促進剤、粘着付与樹脂(例えば、ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノールなど)、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤などの公知の添加剤を含有していてもよい。
【0051】
上記光重合開始剤としては、特に限定されないが、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等を用いることができる。上記光重合開始剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0052】
(本発明の粘着剤層の形成方法)
本発明の粘着剤を塗布(塗工)して粘着剤層を形成する上記基材の上記印刷層を有する側の面上とは、上記基材の全面に印刷層が形成されている場合は印刷層上であり、上記基材の片面上に部分的に印刷層が形成されている場合は、印刷層が形成されていない部分では基材上、印刷層が形成されている部分では印刷層上である。
【0053】
本発明の粘着剤層の形成方法は、特に限定されず、公知慣用の粘着剤層の形成方法を用いることができる。本発明の粘着剤層は、本発明の粘着剤が上記ホットメルト型粘着剤である場合、特に限定されないが、加熱により溶融した状態で塗布され、その後冷却されることによって形成される。
【0054】
本発明の粘着剤層は、本発明の粘着剤が上記活性エネルギー線硬化型粘着剤である場合、特に限定されないが、本発明の粘着剤が塗布され、その後活性エネルギー線を照射されることによって形成される。
【0055】
なお、本発明の粘着剤がホットメルト型かつ活性エネルギー線硬化型の粘着剤である場合、上記ホットメルト型粘着剤の形成方法、上記活性エネルギー線硬化型粘着剤の形成方法のどちらで形成してもよいし、順次又は同時に両方の形成方法で形成してもよい。
【0056】
本発明の粘着剤の塗布の方法は、特に限定されず、公知慣用のコーティング法を用いることができる。具体的には、例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーター、ファウンテンダイコーター、Tダイコーター、ロールコーター、グラビアコーターなどの塗工装置(コーター)を用いたコーティング法などが挙げられる。本発明の粘着剤がホットメルト型粘着剤である場合は、中でも、ロールコーター、グラビアコーターが好ましい。一方、本発明の粘着剤が活性エネルギー線硬化型粘着剤である場合は、中でも、ロールコーター、コンマコーターが好ましい。
【0057】
上記活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられる。中でも、紫外線が好ましい。また、上記活性エネルギー線を照射するための装置(活性エネルギー線照射装置)としては、特に限定されず、公知慣用の活性エネルギー線照射装置を使用できる。例えば、紫外線発生用ランプ(UVランプ)、EB(電子線)照射装置などが挙げられる。上記UVランプとしては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプなどの高圧放電ランプや、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、捕虫用蛍光ランプなどの低圧放電ランプなどが好ましい。
【0058】
本発明の粘着剤層を形成するために照射する活性エネルギー線(特に、紫外線)の照度は、特に限定されないが、1〜20mW/cm
2が好ましく、より好ましくは1〜15mW/cm
2である。上記活性エネルギー線照射の際には、特に限定されないが、酸素遮断の目的で、塗布した本発明の粘着剤表面にセパレータ(剥離ライナー)などが貼付されていてもよい。上記セパレータとしては、公知慣用の剥離紙などを使用できる。なお、セパレータは公知慣用の方法により形成することができる。また、セパレータの厚さなども特に限定されない。
【0059】
本発明の粘着剤を塗布して形成される粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、10〜200μmが好ましく、より好ましくは25〜200μmである。厚さを25μm以上とすることにより、接着信頼性に優れる。また、厚さを200μm以下とすることにより、全体の厚さを薄くすることができる。なお、本発明の粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、上記印刷層の厚さより厚いことが好ましい。なお、本発明の粘着剤層の厚さは、粘着剤層の中で最も厚い部分の厚さである。即ち、上記積層体(b)において基材の全面に印刷層が形成されている場合は、粘着剤層の厚さは印刷層の最上部から粘着剤層表面までの粘着剤層の厚さである。一方、上記積層体(b)において基材の全面に対して部分的に印刷層が形成されている場合は、印刷層が形成されていない部分の基材面上から粘着剤層表面までの粘着剤層の厚さである。
【0060】
本発明の粘着剤層のゲル分率は、特に限定されないが、80重量%(%)以下(例えば、30〜80重量%)が好ましく、より好ましくは50〜80重量%、さらに好ましくは55〜75重量%である。上記ゲル分率を80重量%以下とすることによって、粘着剤層の柔軟性が向上し、光学部材に対する貼り合わせが容易となる。上記ゲル分率(溶剤不溶成分の割合)は、酢酸エチル不溶分として求めることができ、具体的には、粘着剤層を酢酸エチル中に23℃で7日間浸漬した後の不溶成分の、浸漬前の粘着剤層に対する重量分率として求められる。
【0061】
上記ゲル分率は、具体的には、例えば、以下の「ゲル分率の測定方法」により算出される値である。
(ゲル分率の測定方法)
本発明の粘着剤層を約0.1g採取し、平均孔径0.2μmの多孔質テトラフルオロエチレンシート(商品名「NTF1122」、日東電工(株)製)に包んだ後、凧糸で縛り、その際の重量を測定し、該重量を浸漬前重量とする。なお、該浸漬前重量は、本発明の粘着剤層(上記で採取した粘着剤層)と、テトラフルオロエチレンシートと、凧糸との総重量である。また、テトラフルオロエチレンシートと凧糸との合計重量も測定しておき、該重量を包袋重量とする。
次に、本発明の粘着剤層をテトラフルオロエチレンシートで包み凧糸で縛ったもの(「サンプル」と称する)を、酢酸エチルで満たした50mL容器に入れ、23℃にて7日間静置する。その後、容器からサンプル(酢酸エチル処理後)を取り出して、アルミニウム製カップに移し、130℃で2時間、乾燥機中で乾燥して酢酸エチルを除去した後、重量を測定し、該重量を浸漬後重量とする。
そして、下記の式からゲル分率を算出する。
ゲル分率(重量%)=(A−B)/(C−B) × 100
(上記式において、Aは浸漬後重量であり、Bは包袋重量であり、Cは浸漬前重量である。)
【0062】
なお、上記ゲル分率は、例えば、多官能性モノマーの使用量(含有量)などにより制御することができる。
【0063】
上記工程(ii)によって、[シート状又は平板状の基材/印刷層/本発明の粘着剤層]の構造を有する積層体が製造される。上記積層体を、「積層体(b)」と称する場合がある。上記積層体(b)は、特に限定されないが、上記構造以外にも、他の層(例えば、中間層、下塗り層、セパレータなど)を有していてもよい。上記積層体(b)を用いることで、印刷段差による歪みがなく、見栄えが良い光学部材を製造することができる。
【0064】
上記積層体(b)(上記積層体(b)の粘着剤層表面)の、ガラス板に対する23℃における180°引き剥がし粘着力(「粘着力(23℃)」と称する)は、特に限定されないが、5N/20mm以上が好ましく、より好ましくは7N/20mm以上(上限としては、例えば、30N/20mm以下)である。粘着力(23℃)を5N/20mm以上とすることにより、接着信頼性に優れる。なお、上記粘着力(23℃)は、23℃において、ガラス板を被着体とする180°剥離試験(JIS Z0237(2000)に準拠、引張速度:300mm/分)を行うことにより測定することができる。
【0065】
上記積層体(b)のゆがみ指数、即ち、上記積層体(b)の、下記で定義されるゆがみ指数は、特に限定されないが、0〜0.5μmが好ましく、より好ましくは0〜0.3μm、さらに好ましくは0〜0.2μmである。上記ゆがみ指数が0.5μm以下であることにより、画像をゆがみなく見ることができる。
ゆがみ指数:本発明の製造方法により製造された光学部材の、本発明の粘着剤層の表面に厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を貼付したときの、PETフィルム側の表面の表面粗さを測定し、表面粗さのmax値及びmin値を算出し、下記の式(A)よりゆがみ指数を求めた。
ゆがみ指数(μm)=(max値)−(min値) (A)
【0066】
[他の工程]
上記他の工程(工程(i)、工程(ii)以外の工程)としては、特に限定されないが、例えば、上記積層体(b)の両面上にそれぞれ部材を設ける工程(「工程(iii)」と称する場合がある)、上記積層体(b)の片面上に部材を設ける工程(「工程(iv)」と称する場合がある)、上記積層体(a)の印刷層を有する側とは反対側の基材面上に部材を設ける工程などが挙げられる。中でも、工程(iii)又は工程(iv)が好ましい。即ち、本発明の製造方法は、特に限定されないが、工程(i)及び工程(ii)を含むこと、工程(i)、工程(ii)、及び工程(iii)を含むこと、工程(i)、工程(ii)、及び工程(iv)を含むことが好ましい。
【0067】
上記工程(iii)は、特に限定されないが、例えば、上記積層体(b)の本発明の粘着剤層側の面上に部材(部材(I))を貼付する段階と、上記積層体(b)の上記シート状又は平板状の基材側の面上に本発明の粘着剤層とは別の粘着剤層(他の粘着剤層)を介して部材(部材(II))を貼付する段階とを含む工程が挙げられる。
【0068】
図2は、本発明の光学部材の製造方法における工程(iii)の一例を示す概略図である。積層体(b)15の基材11面に他の粘着剤層21、部材(I)22を、本発明の粘着剤層14面に部材(II)23を形成して積層体24が製造される。なお、部材(I)22と部材(II)23は相互に逆の位置関係であってもよい。
【0069】
上記部材(部材(I)、部材(II))としては、特に限定されないが、透明性の観点から、ガラス基板などのガラス部材;プラスチック基板やプラスチックフィルムなどのプラスチック系部材が好ましく、より好ましくはガラス基板;PMMA、ポリカーボネート、PET、環状オレフィン系ポリマーを素材とするプラスチック基板やプラスチックフィルム、さらに好ましくは、ガラス基板、PETフィルム、ポリカーボネートフィルム、環状オレフィン系ポリマー製フィルム、PMMA基板、ポリカーボネート基板である。
【0070】
上記部材(I)、部材(II)は上記部材の中からそれぞれ選択される。上記部材(I)、部材(II)の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば、ガラス基板とプラスチックフィルム、プラスチック基板とプラスチックフィルムが好ましく、より好ましくはガラス基板とPETフィルム、ガラス基板と環状オレフィン系ポリマー製フィルムである。上記部材(I)、部材(II)は、相互に逆の位置関係であっても良い。
【0071】
上記部材の形状は、特に限定されないが、例えば、シート状、平板状などが挙げられる。
【0072】
上記部材は、特に限定されないが、例えば、偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、透明導電フィルム(ITOフィルムなど)、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護フィルム、フィルムセンサー、液晶表示装置、液晶パネル、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、カバーガラスなどが挙げられる。
【0073】
上記他の粘着剤層は、特に限定されず、公知慣用の粘着剤層を使用することができる。上記他の粘着剤層は、粘着シート(粘着テープ)を含む。上記他の粘着剤層としては、特に限定されないが、本発明の粘着剤層であってもよいし、市販の粘着シートであってもよい。
【0074】
上記他の粘着剤層は、特に限定されないが、例えば、上記積層体(b)の基材側の面上又は上記部材に粘着シートを貼付して形成されてもよいし、上記積層体(b)の基材側の面上又は上記部材に粘着剤を塗布した後に必要に応じて乾燥及び/又は硬化処理を行って形成されてもよい。中でも、工程簡略化の観点から、上記積層体(b)の基材側の面上又は上記部材に粘着シートを貼付して形成されることが好ましい。
【0075】
上記他の粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、モジュール設計の観点から、10〜250μmが好ましく、より好ましくは50〜200μmである。
【0076】
上記工程(iv)は、特に限定されないが、例えば、上記積層体(b)の本発明の粘着剤層側の面上に部材(部材(III))を設ける工程が挙げられる。
【0077】
図3は、本発明の光学部材の製造方法における工程(iv)の一例を示す概略図である。積層体(b)15の本発明の粘着剤層14に部材(III)31を形成し、積層体32が製造される。
【0078】
上記部材(III)としては、特に限定されないが、例えば、上記部材(I)、部材(II)で例示された部材を用いることができる。中でも、透明性の観点から、ガラス部材、プラスチック系部材が好ましく、より好ましくはガラス基板;PMMA、ポリカーボネート、PET、環状オレフィン系ポリマーを素材とするプラスチック基板やプラスチックフィルム、さらに好ましくは、ガラス基板、PETフィルム、ポリカーボネートフィルム、環状オレフィン系ポリマー製フィルム、PMMA基板、ポリカーボネート基板である。
【0079】
図4は、上記工程(ii)によって製造される積層体(積層体(b))の一例を示す概略図である。積層体(b)15は、[シート状又は平板状の基材11/印刷層12/本発明の粘着剤層14]の構造を有する。
【0080】
図5は、上記工程(i)、工程(ii)、及び工程(iii)によって製造される積層体の一例を示す概略図である。上記積層体24は、[部材(I)22/他の粘着剤層21/シート状又は平板状の基材11/印刷層12/本発明の粘着剤層14/部材(II)23]の構造、又は、
図3には例示されていないが、[部材(II)/他の粘着剤層/シート状又は平板状の基材/印刷層/本発明の粘着剤層/部材(I)]の構造を有する。上記積層体は、特に限定されないが、上記構造以外にも、他の層(例えば、印刷層などの中間層、下塗り層、セパレータなど)を有していてもよい。
【0081】
図6は、上記工程(i)、工程(ii)、及び工程(iv)によって製造される積層体の一例を示す概略図である。上記積層体32は、[シート状又は平板状の基材11/印刷層12/本発明の粘着剤層14/部材(III)31]の構造を有する。上記積層体は、特に限定されないが、上記構造以外にも、他の層(例えば、印刷層などの中間層、下塗り層、セパレータなど)を有していてもよい。
【0082】
上記工程(ii)によって得られた積層体(積層体(b))は、積層体(b)の両面上又は片面上に部材を貼付することでタッチセンサーなどの光学部材の部品として使用することができる。上記工程(i)、工程(ii)、及び工程(iii)によって得られた積層体、上記工程(i)、工程(ii)、及び工程(iv)によって得られた積層体は、タッチセンサーとして使用することができる。
【0083】
上記の中でも、本発明の製造方法として特に好ましい具体的態様を以下に説明する。
【0084】
[本発明の製造方法の具体的態様(1)]
具体的態様(1)は、上記工程(i)、工程(ii)、及び工程(iii)を有する光学部材の製造方法の一例である。具体的態様(1)は、シート状又は平板状の基材の片面上に印刷層を形成する工程(工程(i)に相当する)と、上記基材の上記印刷層を有する側の面上にホットメルト型粘着剤及び活性エネルギー線硬化型粘着剤からなる群より選ばれた粘着剤を塗布して第1の粘着剤層(本発明の粘着剤層に相当する)を形成する工程(工程(ii)に相当する)と、上記基材の上記印刷層を有する側とは反対側の面上に第2の粘着剤層(他の粘着剤層)を介して第1の部材(部材(I)に相当する)を貼付する工程と、上記第1の粘着剤層に第2の部材(部材(II)に相当する)を貼付する工程とを含む光学部材の製造方法を例示する。
【0085】
図7、
図8は、本発明の光学部材の製造方法の具体的態様(1)の一例を示す概略図である。
図7では、シート状又は平板状の基材11の片面上にまず印刷層12が形成される。続いて、シート状又は平板状の基材11の印刷層12を有する側の面上に第1の粘着剤層71が形成される。次に、シート状又は平板状の基材11の印刷層12が形成されている側とは反対側の面上に第2の粘着剤層72が形成される。その後、第2の粘着剤層72に第1の部材73が、第1の粘着剤層71に第2の部材74が貼付されて積層体が製造される。一方、
図8では、シート状又は平板状の基材11の片面上にまず印刷層12が形成される。次に、シート状又は平板状の基材11の印刷層12を有する側の面上に第1の粘着剤層71が形成される。その後、シート状又は平板状の基材11の印刷層12が形成されている側とは反対側の面上に、第1の部材73に第2の粘着剤層72があらかじめ形成された積層体81が、第1の粘着剤層71に第2の部材74が貼付されて積層体が製造される。
【0086】
具体的態様(1)におけるシート状又は平板状の基材は、特に限定されないが、加工性の観点から、プラスチックフィルムが好ましく、より好ましくは、PETフィルム、ポリカーボネートフィルム、環状オレフィン系ポリマー製フィルムである。
【0087】
具体的態様(1)におけるシート状又は平板状の基材の厚さは、特に限定されないが、5〜100μmが好ましい。なお、上記基材は単層および複層のいずれの形態を有していてもよい。また、上記基材の表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理などの物理的処理、下塗り処理などの化学的処理などの公知慣用の表面処理が適宜施されていてもよい。
【0088】
第1の部材、第2の部材としては、特に限定されないが、透明性の観点から、ガラス部材、プラスチック系部材が好ましく、より好ましくはガラス基板;PMMA、ポリカーボネート、PET、環状オレフィン系ポリマーを素材とするプラスチック基板やプラスチックフィルム、さらに好ましくはガラス基板、PETフィルム、ポリカーボネートフィルム、環状オレフィン系ポリマー製フィルム、PMMA基板、ポリカーボネート基板である。
【0089】
第1の部材、第2の部材は上記の部材の中からそれぞれ選択される。第1の部材、第2の部材の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば、ガラス基板とプラスチックフィルム、プラスチック基板とプラスチックフィルムが好ましく、より好ましくはガラス基板と環状オレフィン系ポリマー製フィルムである。第1の部材、第2の部材は、相互に逆の位置関係であっても良い。
【0090】
第1の部材、第2の部材の形状は、特に限定されないが、例えば、シート状、平板状などが挙げられる。
【0091】
第1の部材、第2の部材は、特に限定されないが、例えば、偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、透明導電フィルム(ITOフィルムなど)、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護フィルム、フィルムセンサー、液晶表示装置、液晶パネル、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、カバーガラスなどが挙げられる。
【0092】
[本発明の製造方法の具体的態様(2)]
具体的態様(2)は、上記工程(i)、工程(ii)、及び工程(iv)を有する光学部材の製造方法の一例である。具体的態様(2)は、シート状又は平板状の基材の片面上に印刷層を形成する工程(工程(i)に相当する)と、上記基材の上記印刷層を有する側の面上にホットメルト型粘着剤及び活性エネルギー線硬化型粘着剤からなる群より選ばれた粘着剤を塗布して粘着剤層を形成する工程(工程(ii)に相当する)と、上記粘着剤層に部材(部材(III)に相当する)を貼付する工程(工程(iv)に相当する)とを含む光学部材の製造方法を例示する。
【0093】
図9は、本発明の光学部材の製造方法の具体的態様(2)の一例を示す概略図である。シート状又は平板状の基材11の片面上にまず印刷層12が形成される。次に、シート状又は平板状の基材11の印刷層12を有する側の面上に本発明の粘着剤層14が形成される。その後、本発明の粘着剤層14に部材31が貼付されて積層体が製造される。
【0094】
具体的態様(2)におけるシート状又は平板状の基材と部材の組み合わせとしては、上記シート状又は平板状の基材、上記部材(III)の中からそれぞれ選択される。具体的態様(2)におけるシート状又は平板状の基材と部材の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば、ガラス基材とプラスチックフィルム、プラスチック基板とプラスチックフィルムが好ましい。具体的態様(2)におけるシート状又は平板状の基材と部材は、相互に逆の位置関係であっても良い。
【0095】
(光学部材)
本発明の製造方法によって製造される光学部材は、光学的特性(例えば、偏光性、光屈折性、光散乱性、光反射性、光透過性、光吸収性、光回折性、旋光性、視認性など)を有する部材である。光学部材としては、光学的特性を有する部材であれば、特に限定されない。例えば、表示装置(画像表示装置)、入力装置などの機器を構成する部材又はこれらの機器に用いられる部材が挙げられる。より具体的には、例えば、偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、透明導電フィルム(ITOフィルムなど)、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護フィルム、プリズム、レンズ、カラーフィルター、透明基板や、さらにはこれらが積層されている部材が挙げられる。なお、上記の「板」及び「フィルム」は、それぞれ板状、フィルム状、シート状などの形態をも含むものとし、例えば、「偏光板」は「偏光フィルム」、「偏光シート」も含むものとする。
【0096】
上記表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、電子ペーパーなどが挙げられる。また、上記入力装置としては、タッチパネルなどが挙げられる。
【0097】
本発明の製造方法によって製造される光学部材としては、特に限定されないが、上記の中でも、タッチパネルを構成する部材又はタッチパネルであることが好ましい。
【実施例】
【0098】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0099】
表1には、実施例及び比較例に基づいて製造した光学部材の製造条件及び評価結果を示す。
【0100】
(実施例1)
(プレポリマー組成物の調製)
アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)57重量部、アクリル酸イソボルニル(IBXA)22重量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)21重量部が混合されたモノマー混合物に、光重合開始剤として商品名「IRGACURE 184」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.05重量部、商品名「IRGACURE 651」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.05重量部を配合した後、粘度(BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度30℃)が約20Pa・sになるまで、ブラックライト(東芝(株)製)を用いて照度5.0mW/cm
2の紫外線を120秒間照射し、上記モノマー成分の一部が重合したプレポリマー組成物を調製した。
【0101】
(粘着剤の調製)
上記プレポリマー組成物(100重量部)に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(日本化薬(株)製、商品名「KAYARAD DPHA−40H」)0.06重量部を添加し、粘着剤(活性エネルギー線硬化型粘着剤)を調製した。
【0102】
(光学部材の作製)
シート状又は平板状の基材として厚さ25μmのPETフィルム(PET#25)を用い、PET#25上にスクリーン印刷法で印刷層を形成して意匠性フィルムを作製した(印刷層の厚さ:45μm)。上記意匠性フィルムの印刷層を有する側に、上記で調製した粘着剤(活性エネルギー線硬化型粘着剤)を、最終的な粘着剤層の厚さが100μmとなるようにロールコーターで塗布し、粘着剤面に酸素遮断のためのPETセパレータ(三菱樹脂(株)製、商品名「MRF38」)を貼付して積層体を形成した。上記積層体のPETセパレータ側からブラックライト(東芝(株)製)を用いて紫外線照射(照度:5mW/cm
2、照射時間:300秒)を行い、硬化して粘着剤層を形成した。その後、上記PETセパレータを剥がし、130℃の乾燥機で2分間加熱処理を行うことで残存モノマーを揮発させて積層体を作製した。なお、作製した積層体は、積層体の粘着剤層面にPETセパレータ(三菱樹脂(株)製、商品名「MRF38」)を貼付し、積層体(b1)として保存した。
【0103】
上記で作製した積層体(b1)のPETセパレータを剥がし、粘着剤層面をガラスに貼り合わせ、上記積層体(b1)のPET#25に、粘着シート(日東電工(株)製、商品名「CS9622T」)を貼付した厚さ100μmのPETフィルム(PET#100)を貼付した。その後50℃、0.5MPaで15分オートクレーブ処理を行い、光学部材を作製した。
【0104】
(実施例2)
印刷層の厚さを75μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で積層体(b2)及び光学部材を作製した。
【0105】
(実施例3)
最終的な粘着剤層の厚さが80μmとなるように粘着剤層を形成したこと以外は、実施例2と同様の方法で積層体(b3)及び光学部材を作製した。
【0106】
(実施例4)
シート状又は平板状の基材として厚さ50μmのPETフィルム(PET#50)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で積層体(b4)及び光学部材を作製した。
【0107】
(比較例1)
(粘着シートの作製)
実施例1で調製した粘着剤を厚さ75μmのPETセパレータ(三菱樹脂(株)製、商品名「MRF75」)に、最終的な粘着剤層の厚さが100μmとなるようにロールコーターで塗布し、粘着剤面に酸素遮断のためPETセパレータ(三菱樹脂(株)製、商品名「MRF38」)を貼付して積層体を形成した。上記積層体のPETセパレータ(MRF38)側からブラックライト(東芝(株)製)を用いて紫外線照射(照度:5mW/cm
2、照射時間:300秒)を行い、硬化して粘着剤層を形成した。その後、片面側のPETセパレータを剥がし、130℃の乾燥機で2分間加熱処理を行うことで残存モノマーを揮発させて、基材レス型の粘着シート(厚さ:100μm)を作製した。なお、作製した粘着シートは、PETセパレータ(三菱樹脂(株)製、商品名「MRF38」を貼付し、粘着シート(X1)とした。
【0108】
(光学部材の作製)
シート状又は平板状の基材として厚さ400μmのガラスを用い、ガラス上にスクリーン印刷法で印刷層を形成して意匠性ガラスを作製した(印刷層の厚さ:45μm)。上記意匠性ガラスの印刷層を有する側に、あらかじめ上記粘着シート(X1)のPETセパレータを剥がして貼付した厚さ100μmのPETフィルムを、上記粘着シートを介して、0.3MPaで貼り合わせた。その後50℃、0.5MPaで15分オートクレーブ処理を行い、光学部材(積層体(b5))を作製した。
【0109】
(比較例2)
(プレポリマー組成物の調製)
モノマー成分としてアクリル酸2−メトキシエチル70重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)29重量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル1重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部、重合溶媒として酢酸エチル100重量部を、セパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら、1時間攪拌した。このようにして、重合系内の酸素を除去した後、63℃に昇温し、10時間反応させて、トルエンを加え、固形分濃度25重量%のアクリル系ポリマー溶液を得た。上記アクリル系ポリマー溶液におけるアクリル系ポリマーの平均分子量は150万であった。
【0110】
(粘着剤の調製)
固形分換算で上記アクリル系ポリマー溶液100重量部に対して、架橋剤として多官能イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」)0.7重量部を加え、粘着剤(溶剤重合型粘着剤)を調製した。
【0111】
(光学部材の作製)
シート状又は平板状の基材として厚さ25μmのPETフィルム(PET#25)を用い、PET#25上にスクリーン印刷法で印刷層を形成して意匠性フィルムを作製した(印刷層の厚さ:45μm)。上記意匠性フィルムの印刷層を有する側に、上記で調製した粘着剤(溶液重合型粘着剤)を、加熱乾燥後の粘着剤層の厚さが100μmとなるようにロールコーターで塗布し、130℃で3分間加熱乾燥を行って粘着剤層を形成した。上記加熱乾燥後、粘着剤層面にPETセパレータ(三菱樹脂(株)製、商品名「MRF38」)を貼付し、50℃で24時間エージングを行って、積層体(b6)を作製した。
【0112】
上記で作製した積層体(b6)のPETセパレータを剥がし、粘着剤層面をガラスに貼り合わせ、上記積層体(b6)のPET#25に、粘着シート(日東電工(株)製、商品名「CS9622T」)を貼付し、さらに上記粘着シートを介して厚さ100μmのPETフィルム(PET#100)を貼付した。その後50℃、0.5MPaで15分オートクレーブ処理を行い、光学部材を作製した。
【0113】
(評価)
実施例及び比較例で得られた各光学部材について、加工性、歪み、ゆがみ指数をそれぞれ、下記の測定方法又は評価方法により測定又は評価した。
【0114】
(1)加工性
実施例及び比較例で得られた各光学部材の印刷層を有しないものであって、粘着剤層又は粘着シートにセパレータを貼り合わせたもの作製し、これを評価用のサンプルとした。上記サンプルを、ガラス板上に固定し、NTカッターで1m/sの速さで切断した。切断直後及び切断後40℃24時間の保管後の両方の条件で上記サンプルの切断面の観察及びセパレータの剥離を行い、加工性を下記の基準で評価した。
○:切断直後及び切断後40℃24時間の保管後の両方で、切断面に粘着剤層のはみ出しがなく、セパレータがきれいに剥がせた。
×:切断直後及び切断後40℃24時間の保管後の少なくともどちらかで、少しでも粘着剤層の欠け(糊欠け)が発生した、又は、セパレータ剥離時にひっかかりがあった。
【0115】
(2)歪み
実施例及び比較例で得られた光学部材の、シート状又は平板状の基材側の最表面より目視にて角度0〜180°で確認し、下記の基準で評価した。
○:歪みなし
×:歪みあり
【0116】
(3)ゆがみ指数
実施例及び比較例で得られた積層体(b1)〜(b6)について、粘着剤層面にセパレータを有する場合はセパレータを剥がし、上記積層体(b1)〜(b6)の粘着剤層面側又は粘着シート側にPETフィルムを貼付し、貼付したPETフィルム側(シート状又は平板状の基材とは反対側)の最表面を、走査型の表面形状測定装置(KLA Tencor P−15)を用いて表面粗さを測定した。上記表面粗さのmax値(最大値)及びmin値(最小値)を算出し、下記の式(A)よりゆがみ指数を求めた。
ゆがみ指数(μm)=(max値)−(min値) (A)
【0117】
【表1】
【0118】
表1から明らかなように、本発明の製造方法で製造した光学部材(実施例1〜4)は歪みがなく、見栄えが良好であった。一方、本発明の製造方法ではない方法で製造した光学部材(比較例1、2)は歪みが目立ち、見栄えが悪かった。