【実施例1】
【0034】
[1 遊技場管理システムの概要]
図5に示す様に、遊技島には、球貸し用のカードユニット(CRサンド)500と、パチンコ機Pとが、交互に設置されている。また、管理室には、ホールコンピュータ400が設置されている。ホールコンピュータ400は、入力装置410、操作スイッチ420、外部情報受信部430、記憶部440、演算部450、信号出力部460、モニタ470、スピーカー480、及びマイク490を備えている。入力装置410は、キーボード、カードリーダー等によって構成され、例えば、イベント情報など、遊技者に告知しようとする情報(以下、「告知情報」という。)を入力するのに用いられる。こうした告知情報は、遊技機向けの表示データとして記憶部440に記憶され、所定のタイミングにおいて演算部450によって読み出されて信号出力部460を介して各パチンコ機P,P,…に向けて出力される。
【0035】
外部情報受信部430には、地震警報受信機610、火災報知器620、気象情報受信機630、交通情報受信機640といった外部からの情報を受信するための装置(以下、総称する場合は、「外部情報受信装置600」という。)が接続されている。外部情報受信部430を介して受信した外部情報受信装置600からの情報は、モニタ470への表示及びスピーカー480からの音声出力によって、管理室内の担当者が常時確認している。操作スイッチ420は、これら外部情報の中に遊技者に伝達すべき情報があったときに操作され、当該情報に対して緊急性の度合い(LVemr )を設定する役割をもっている。なお、操作スイッチ420は、デフォルトにおいて緊急性の度合いが最低(LVemr =0)の設定となっている。
【0036】
演算部450は、
図5(B)に示す様に、操作スイッチ420が操作されて緊急性の度合いがデフォルト値から変更されたとき(S1:YES)、外部情報受信部430を介して受信した外部情報DTに対して緊急性の度合い
LVemr 、出力インターバルT及び出力回数Nを設定して記憶部440へと記憶する(S2)。このとき、演算部450は、当該外部情報の出力インターバルTを緊急性の度合いが高いほど短い時間となる様に設定して記憶部440へと記憶する。また、出力回数Nは、
LVemr の値に応じて予め設定した数値となっている。
【0037】
演算部450は、出力インターバルTが経過する毎に(S3:YES)、記憶部440から当該外部情報を出力するためのデータを読み出し(S4)、出力回数Nをデクリメントすると共にデータを信号出力部460から出力する(S5)。このとき読み出すデータはS2で設定した
LVemr が含まれたものとなっていて、受信した側で「緊急性の度合い」を判別できるデータ構造となっている。
【0038】
演算部450は、S1の処理で「NO」と判定した場合は、告知情報の入力がなされたか否かを判定する(S6)。そして、告知情報の入力がなされた場合は(S6:YES)、出力インターバルTと出力回数Nの入力を要求し(S7)、入力された出力インターバルT0、出力回数N0と共に
LVemr =0を設定した告知情報DT0を記憶部440に記憶する(S8)。新たに外部情報が設定されるまでは(S1,S6共に「NO」)、S3以下の処理が繰り返し実行される。
【0039】
[2 緊急性の度合いの設定ルール]
本実施例においては、交通情報受信機640から受信した交通情報の中に遊技者に伝達すべき情報DT1があったときは、管理者は操作スイッチ420の操作によって緊急性の度合いLVemr を「1」に設定することとしている。すると、演算部450が、このとき外部情報受信部430において受信している交通情報に対して、LVemr =1、N=N1及びT=T1を設定して記憶部440へと記憶する。
【0040】
また、気象情報受信機630から受信した気象情報の中に遊技者に伝達すべき情報DT2があったときは、管理者は操作スイッチ420の操作によって緊急性の度合いLVemr を「2」に設定することとしている。すると、演算部450が、このとき外部情報受信部430において受信している気象情報に対して、LVemr =2、N=N2及びT=T2を設定して記憶部440へと記憶する。
【0041】
なお、火災報知器620から火災発生に関する情報を受信したときは、演算部450は、煙感知情報DT3か熱感知情報DT4かを判定し、操作スイッチ420の操作の有無に関係なく、煙感知情報DT3であるときは緊急性の度合いLVemr を「3」に設定し、熱感知情報DT4であるときは緊急性の度合いLVemr を「4」に設定すると共に、このとき外部情報受信部430において受信している火災に関する情報に対して、LVemr =3、N=NT3及びT=T3、又はLVemr =4、N=NT4及びT=T4を設定して記憶部440へと記憶する。
【0042】
また、地震警報受信装置610から地震警報情報を受信したときは、演算部450は、操作スイッチ420の操作の有無に拘わらず、このとき外部情報受信部430において受信している地震警報情報に対して、緊急性の度合い最大に相当するLVemr =5及びN=999を設定して記憶部440へと記憶すると共に、直ちに、信号出力部460から出力する。即ち、インターバルTは0に設定され、繰り返し、遊技機Pに向けて地震警報を伝達する。
【0043】
なお、操作スイッチ420がデフォルト位置に戻されたときに、
LVemr ≧1の設定されたデータは記憶部440から削除される。
【0044】
[2 遊技機全体の概要]
実施例1のパチンコ遊技機Pは、
図6に示す様に、外枠A、中枠B、遊技盤C、前枠D、上の球受け皿E、下の球受け皿F及び発射装置Gを備えている。外枠Aはパチンコ機Pの外郭を構成する縦長方形の枠である。中枠Bは、各種の遊技用構成部材をセットするための縦長方形の枠であって、外枠Aの前面側に開閉可能かつ着脱可能に組み付けられる。遊技盤Cは、中枠Bの開口部に取り付けられる。前枠Dは遊技盤Cの透視保護窓であって、施錠装置Hの操作によって開閉可能な様に中枠Bの前面側に組み付けられる。上の球受け皿Eは、貸し球や賞球の受け皿で、本実施例においては前枠Dの下部と一体に構成されている。従って、前枠Dを中枠Bに対して開閉するときに上の球受け皿Eも共に開閉される。下の球受け皿Fは、上の球受け皿Eが一杯になったときに排出される遊技球や打ち損じの遊技球等を受ける受け皿であって、中枠Bの下部に固定されている。発射装置Gは、上の球受け皿Eから発射レールに送り込まれた遊技球をハンドル操作に対応する強さで打ち出すための装置であって、中枠Bの右下部に装備される。
【0045】
中枠Bは、上縁をなす上枠部材B1と、下縁をなし発射装置G等が設置された下枠部材B2と、左側縁をなす左枠部材B3と、右側縁をなす右枠部材B4とから構成されて、これら上下左右の枠部材B1〜B4を組み付けた際に、全体が外枠Aの開口に整合する矩形枠状に形成される。そして、上下左右の枠部材B1〜B4を組み付けた際に開口する開口部分が、遊技盤Cを設置する遊技盤保持部B5として機能する。ここで、中枠Bは、外枠Aの左上端部及び左下端部に設けられた支軸を介して枢支され、左側端部を中心として中枠Bを回転させることで外枠Aに対して中枠Bを開閉し得るようになっている。本実施例では、中枠Bが組立体となっている場合を説明したが、中枠Bは一体品でも構わない。
【0046】
また、上の玉受け皿Eの右側には、貸し玉ボタンQ、カード取り出しボタンR、演出操作ボタンSも備えられている。実施例のパチンコ遊技機Pが設置される遊技島には、遊技機毎にカードユニットが設置されていて、このカードユニットに挿入されたカード式記憶媒体に対して、入金度数を記憶するシステムが採用されている。貸し玉ボタンQは、このカード式記憶媒体に残度数がある場合に押下することで、例えば、2度数、5度数等の単位度数分の貸し玉指令を行うための押しボタンである。カード取り出しボタンRは、遊技を終了したり、離席する際にカードユニットからカード式記憶媒体を取り出すための指令を入力するための押しボタンである。演出操作ボタンSは、回転と押下とを行い得るものであって、内部にLEDを備えている。このLEDは、所定の遊技状態において点灯され、遊技者に演出ボタン操作を促す等のために設けられている。
【0047】
[3 制御装置の構成]
図7に示す様に、CPU,ROM,RAM,クロック等を備えた主制御基板310に対して、遊技盤Cに備えられた各入賞口への遊技球の入賞を検知する入賞検知センサSE1,SE2,…、裏ユニットの球排出通路へと遊技球が排出されたことを検知する排出球検知センサSE11,SE12からの検知信号が入力される様になっている。また、主制御基板310からは、サブ制御基板320、払出制御基板330、及び発射制御基板340へとコマンドが出力される様になっている。インタフェース基板350は、払出制御基板330との間でコマンドのやり取りを行う構成となっている。なお、電源基板360は、電源中継基板380を介して主制御基板310への電源供給を行う構成となっている。そして、サブ制御基板320は、演出表示制御基板370へとコマンドを出力する構成となっている。また、貸し玉ボタンQ、カード取り出しボタンRからの押下信号は、球貸し操作基板390へと入力され、この球貸し操作基板390からインタフェース基板350を経由して払出制御基板330へと入力される構成となっている。インタフェース基板350はまた、カードユニット500との間でもコマンドをやり取りする構成となっている。また、演出操作ボタンSからの押下信号は、サブ制御基板320へと入力される構成となっている。
【0048】
サブ制御基板320は、主制御基板310からの演出指令信号に基づいて、発光装置LED、スピーカSP、モータMT、ソレノイドSOLに対して制御信号を出力して発光演出、音声演出、可動体演出を実行すると共に、演出表示制御基板370へと演出表示のためのコマンドを出力している。演出表示制御基板370は、サブ制御基板320からの演出表示のための指令信号に基づいて、液晶表示装置LCDに対して制御信号を出力し、表示演出を実行する。
【0049】
払出制御基板330は、主制御基板310からの払出コマンドに従って、賞球の払出を実行する。賞球払出個数は、どの入賞口に入賞したかによって予め定められている。また、主制御基板310は、払出制御基板330の外部出力端子を介してホールコンピュータ400へとエラー信号を出力する機能も備えている。
【0050】
発射制御基板340は、主制御基板310からの制御コマンドに従って、発射装置Gによる打球の発射・停止を実行する。打球の停止は、例えば、何らかのエラーが発生したときなどに指令される。
【0051】
インタフェース基板350は、球貸し操作基板390からの貸し玉指令やカード取り出し指令の中継基板として機能する。貸し玉指令は、インタフェース基板350を中継して払出制御基板330とカードユニット500へと出力される。貸し玉指令が入力された払出制御基板330は、BCユニット335へと玉貸し信号を出力し、BCユニット335が作動して上皿Eへと玉貸しが実行される。また、貸し玉指令が入力されたカードユニット500は、貸し玉指令に対応する残度数管理を行う。具体的には、カード式記憶媒体の残度数の減算処理を行う。そして、カードユニット500は、減算処理した後の残度数データをインタフェース基板350へと出力する。この残度数データは、貸し玉ボタンQの近傍に設けられた残度数表示の更新に用いられる。また、カード取り出し指令は、インタフェース基板350を中継してカードユニット500へと出力する。カードユニット500は、カード取り出し指令が入力されるとカード取り出し動作を実行する。
【0052】
なお、ホールコンピュータ400の信号出力部460からの信号は、払出制御基板330を介してサブ制御基板320へと入力される。
【0053】
[4 制御処理(賞球払出)]
主制御基板310は、
図8(A)に示す制御系統により、入賞検知センサSE1〜SE7からの入賞検知信号が入力されると、各センサに対応する賞球払出個数に対応する賞球払出コマンドを払出制御基板330に対して出力する賞球払出処理を実行している。これを受けて、払出制御基板330は、遊技球の入賞口に対応して予め定められた個数の賞球の払出動作を実行する。
【0054】
この賞球払出制御は、
図8(B)に示す様な演算処理ルーチンとして実行され、入賞検知センサSE1〜SE5からの検知信号が入力されたか否かを判断し(S10)、「YES」と判定されたら、払出制御基板330に対してセンサを特定した賞球払出信号を出力すると共に(S20)、抽選処理ルーチンを起動する(S30)。
【0055】
このとき、払出制御基板330には、
図8(A)に示す様に、ホールコンピュータ400からの外部情報出力信号が入力されていて、
図8(C)に示す様な演算処理ルーチンを実行している。ホールコンピュータ400からの外部情報出力指令DTが入力されているか否かを判定し(S51)、「NO」の場合は払出信号が入力されているか否かを判定する(S52)。払出信号が入力されていたら(S52:YES)、BCユニット355へと払出信号を出力する(S53)。
【0056】
DTが入力されたときは(S51:YES)、緊急性の度合い
LVemr が「5」であるか否かを判定する(S54)。「NO」の場合は、受信したDTをサブ制御基板320へと出力し(S55)、S52へ進む。
【0057】
一方、受信したDTが
LVemr =5の場合は(S54:YES)、BCユニット335及びインタフェース基板350に対するVL信号をOFFとした上で(S56)、S55へ進む。S56でVL信号がOFFとなると、賞球払出、打球発射が停止され、球貸し禁止となり、カード返却が実行される。
【0058】
[5 制御処理(乱数抽選)]
また、主制御基板310は、
図9(A)に示す制御系統により、始動入賞口の入賞検知センサSE1からの入賞検知信号が入力されると、乱数抽選を実行し、その結果を保留球記憶情報としてRAMに記憶する乱数抽選処理を実行している。
【0059】
ここで、本実施例の遊技機は、センター役物の下方に備えられた始動入賞口への入賞を契機として乱数を取得し、図柄変動ゲーム開始時に「当たり」か「はずれ」かを判定する。「当たり」には「2R通常」「2R確変」「15R通常」「15R確変」など、単に当たりというだけでなく、遊技者に対する有利さの異なる複数種類の当たり種別の中のいずれに該当するかを、別途行われる「当たり種別判定」として実行する。なお、「2R」「15R」とは、特別遊技のラウンド数を意味し、「確変」とは、特別遊技終了後に抽選による大当たりの確率が高い高確率(「確率変動」ともいう)の遊技状態となる場合を意味する。「通常」は、特別遊技終了後に「確変」にならない場合を意味する。また、「2R」の場合、短時間だけ特別入賞口を開閉する動作となっていて実質的な出玉は期待できない遊技状態となっている。「2R通常」「2R確変」における特別入賞口の開放時間を、出玉獲得可能な時間に設定しても構わない。
【0060】
「当たり/はずれ」の判定に続いて、変動パターンが乱数抽選される。「当たり」の場合は、上述の様に、遊技者に対する有利さの異なる複数種類の当たり種別があることから、これら当たり種別のいずれであるかにより、当選確率を異ならせた変動パターンが、例えば、A〜Cといった具合に複数用意されている。この変動パターンは、変動時間の長さとなっている。具体的には変動パターンごとに変動時間が異なっている。ここまでは主制御基板310の処理として実行される。こうして主制御基板310の決定した変動パターンに基づいて、サブ制御基板320側で変動パターンに対応する演出パターンが抽選される。例えば、変動パターンがA〜Cであるとき、演出パターンは、変動パターンAに対して複数用意された演出パターンA1〜Anの中のいずれかが、変動パターンBに対して複数用意された演出パターンB1〜Bnの中のいずれかが、変動パターンCに対して複数用意された演出パターンC1〜Cnの中のいずれかが、サブ制御基板320側で決定されるといった処理が実行されることになる。
【0061】
また、「はずれ」の場合は、リーチはずれにするか否かを別途乱数を用いて抽選し、リーチはずれとする場合は、さらに、「はずれリーチ」の「変動パターン」が乱数抽選によって決定される。なお、はずれリーチの変動パターンとしては、「リーチはずれ」「スーパーリーチはずれ」などがあり、「リーチはずれ」の抽選結果とならなかったときは「ノーマルはずれ」として定まっている変動パターンに基づくはずれ演出となる。「変動パターン」とは、変動時間のことであり、スーパーリーチの場合には複数の変動パターンの中の一つが抽選されることになる。「ノーマルはずれ」「リーチはずれ」「スーパーリーチはずれ」のいずれの変動パターンになるかは、当選確率が「ノーマルはずれ」>「リーチはずれ」>「スーパーリーチはずれ」となる様に乱数値との対応が予め定められている。なお、「リーチはずれ」「スーパーリーチはずれ」の変動パターンは、当たりの場合と逆の傾向となる様な当選確率で変動パターンと乱数値との関係が予め定められている。
【0062】
上述の様に、「スーパーリーチ」にあっては、その変動パターンが複数(例えばA〜C)用意されていて、例えば、「当たり」のときは「スーパーリーチA」>「スーパーリーチB」>「スーパーリーチC」という当選確率でいずれのパターンに発展するかが設定され、逆に、「はずれ」のときは「スーパーリーチC」>「スーパーリーチB」>「スーパーリーチA」という当選確率でいずれのパターンに発展するかが設定されることにより、遊技者は、スーパーリーチ演出に発展したとき、「パターンA」の変動時間となる演出ならば「当たり」となることをより大きく期待し、逆に「パターンC」の変動時間となる演出ならば「当たりの可能性は小さい」と、期待度が低い感覚を抱く。この様に、スーパーリーチの際に抽選された変動パターンに基づいて実行される演出パターンにより、遊技者に与える期待感を異ならせ、この結果、「パターンA」は信頼度が高く、「パターンC」は信頼度が低いといった予測を遊技者に与えることが可能となっている。なお、「ノーマル演出」は「当たり」での当選確率を極めて低く設定することによって「ノーマル当たり」にプレミアム感を持たせることにもなる。
【0063】
本実施例における乱数抽選処理は、
図9(B)に示す様な演算処理ルーチンとして実行され、今回検知信号を入力したセンサが始動入賞口センサSE1のものか否かを判定し(S110)、「NO」であれば直ちに処理を終了する。一方、「YES」と判定された場合は、保留球個数Nが4未満か否かを判定する(S120)。N<4ならば(S120:YES)、保留球個数Nをインクリメントし(S130)、「NO」の場合は乱数抽選に進むことなく処理を終了する。
【0064】
乱数抽選に進むと、まず、「当たり/はずれ」を判定するための乱数を取得する「当たり/はずれ抽選」を実行する(S140)。そして、「当たり」の場合は(S150:YES)、「当たり種別」を決定するための乱数を取得し(S160)、「当たり種別」に対応する「変動パターン」の抽選までが実行される(S165)。「はずれ」の場合は(S150:NO)、「リーチ演出の有無」を決定するための乱数を取得し(S170)、「リーチ演出あり」の場合は、さらに「変動パターン」の抽選までが実行される(S175)。そして、S140,S160,S170で生成した乱数値をRAMに記憶する(S180)。本実施例の場合、「当たり/はずれ」の乱数が「当たり」の場合に続いて「当たり種別」の乱数を取得することで、上述した「2R通常」「2R確変」「15R通常」「15R確変」のいずれに該当するかが特定されることとなる。なお、「ノーマルはずれ」について複数の変動パターンが設定される場合には、S170で「NO」の判定となった後に、「ノーマルはずれの変動パターン抽選」が追加されていても構わない。
【0065】
なお、この乱数抽選処理は、S56でVL信号がOFFとされて打球発射が停止された後は実行されない構成となっている。
【0066】
[6 制御処理(保留消化)]
次に、保留消化処理について説明する。主制御基板310は、
図10(A)に示す制御系統により、RAM内に記憶された保留球記憶情報から乱数値を読み出し、当選条件と照合して演出指令コマンドをサブ制御基板320に対して指令する保留消化処理を実行する。
【0067】
保留消化処理は、
図10(B)のフローチャートに示す様に、特別遊技を実行していない状態のときに(S210:NO)、RAM内に保留記憶情報があるか否かを判定し(S220)、保留記憶情報があるときは当該記憶内容を一つ読み出し(S230)、乱数値1,乱数値2に基づいて演出指令コマンドを決定する(S240)。そして、この演出指令コマンドをサブ制御基板320に対して出力すると共に(S250)、保留記憶情報の更新を行う(S260)。
【0068】
この保留消化処理も、S56でVL信号がOFFとされて打球発射が停止された後は実行されない構成となっている。
【0069】
[7 制御処理(演出制御)]
サブ制御基板320は、
図11(A)に示す制御系統により、主制御基板310からの変動パターン指令コマンドに対応してサブ制御基板側で抽選した演出パターンに従って、発光装置LED、スピーカSP、モータMT、ソレノイドSOLに対して制御信号を出力し、発光演出、音声演出、可動体演出等を実行すると共に、演出表示制御基板370を介して液晶表示装置LCDによる表示演出を実行させる。なお、主制御基板310からエラー報知が指令されたときは、エラー報知処理を実行する。
【0070】
この演出制御は、
図11(B)示す様な演算処理ルーチンとして実行され、主制御基板310からの新たなコマンドが入力されたか否かを判定し(S310)、「YES」の場合は、当該コマンドがエラー報知か、変動パターン指令か、を判定する(S320)。ここで「エラー」ならば、エラーの種類を特定し(S330)、エラー報知を行って処理を終了する(S340)。一方、エラー報知でなく、「変動パターン指令コマンド」であるなら、変動パターン指令コマンドによって特定される変動パターン毎に複数用意されている演出パターンの中から抽選を行って一つの演出パターンを決定し(S350)、対応する演出制御データをROMから読み出し(S360)、演出表示制御基板370、発光装置LED等に対して制御データを出力する(S370)。
【0071】
この演出処理は、S54で外部情報出力指令DTが出されたときは、DTの内容に応じて液晶表示画面における背景表示領域を「全画面」から「1/2」「3/4」等に切り替えて変動図柄の表示領域を縮小したり、演出自体が見えない全面警報画面とされるなどの表示演出の制限が行われる。
【0072】
このため、本実施例のパチンコ機Pにおいては、表示演出データとして、「全画面背景」「1/2背景+大ウインドウ」「3/4背景+中ウインドウ」「4/5背景+小ウインドウ」といった背景画像データを予め記憶させておき、背景画面の切り替わりに応じて変動図柄の表示領域を縮小する様に、変動図柄についても「大図柄」、「中図柄」、「小図柄」と図柄のサイズのことなる変動パターンデータを予め記憶させておく。
【0073】
[8 外部情報出力処理]
本実施例では、
図12(A)に示す様に、ホールコンピュータ400から出力される「告知情報」「交通情報」「気象情報」「火災警報」「地震警報」が、払出制御基板330を介してサブ制御基板320へと入力されて、パチンコ機Pの液晶表示装置LCD及びスピーカーSPを用いてこれらの情報が遊技者に対して出力される構成となっている。
【0074】
この外部情報出力処理は、
図12(B)示す様な演算処理ルーチンとして、サブ制御基板320によって実行される。まず、外部情報出力指令DTが入力されたか否かを判定する(S410)。「NO」であれば、直ちに本ルーチンを抜ける。一方、「YES」の場合は、受信した外部情報出力指令DTに設定されている緊急性の度合い
LVemr が「5」であるか否かを判定する(S420)。
【0075】
LVemr =5の場合は(S420:YES)、外部情報の出力条件として、スピーカー出力を「最大SE」、LCD出力を「全画面」に設定する(S430)。ここで、「最大SE」とは、効果音としての警報音声を最大音量(>>95dB)で出力することを意味する。また、「全画面」とは、文字情報を液晶表示装置LCDの全画面にスーパーインポーズして表示することを意味する。そして、これらの設定に従って、「地震警報」をスピーカーSP及び液晶表示装置LCDを用いて出力する(S440)。
【0076】
S420が「NO」で
LVemr =4の場合は(S450:YES)、外部情報の出力条件として、スピーカー出力を「大SE」、LCD出力を「大ウインドウ」に設定する(S460)。ここで、「大SE」とは、効果音としての火災警報音声を大音量(>95dB)で出力することを意味する。また、「大ウインドウ」とは、文字情報を液晶表示装置LCDにスーパーインポーズした大ウインドウ内に表示することを意味する。そして、これらの設定に従って、「火災警報」をスピーカーSP及び液晶表示装置LCDを用いて出力する(S470)。
【0077】
S450が「NO」で
LVemr =3の場合は(S480:YES)、外部情報の出力条件として、スピーカー出力を「大SE」、LCD出力を「中ウインドウ」に設定する(S490)。ここで、「大SE」の音量はS460と同じである。「中ウインドウ」とは、文字情報を液晶表示装置LCDにスーパーインポーズした中ウインドウ内に表示することを意味する。そして、これらの設定に従って、「火災注意」をスピーカーSP及び液晶表示装置LCDを用いて出力する(S500)。
【0078】
S480が「NO」で
LVemr =2の場合は(S510:YES)、外部情報の出力条件として、スピーカー出力を「中SE」、LCD出力を「小ウインドウ」に設定する(S520)。ここで、「中SE」の音量は95dB以下とする。「小ウインドウ」とは、文字情報を液晶表示装置LCDにスーパーインポーズした小ウインドウ内に表示することを意味する。そして、これらの設定に従って、「気象情報」をスピーカーSP及び液晶表示装置LCDを用いて出力する(S530)。
【0079】
S510が「NO」で
LVemr =1の場合は(S540:YES)、外部情報の出力条件として、スピーカー出力を「中SE」、LCD出力を「テロップ」に設定する(S550)。ここで、「中SE」はS520と同じである。「テロップ」とは、文字情報を液晶表示装置LCDの下部に用意されているテロップ表示欄に表示することを意味する。そして、これらの設定に従って、「交通情報」をスピーカーSP及び液晶表示装置LCDを用いて出力する(S560)。
【0080】
S540が「NO」の場合は、外部情報の出力条件として、スピーカー出力を「小SE」、LCD出力を「テロップ」に設定し(S570)、「告知情報」をスピーカーSP及び液晶表示装置LCDを用いて出力する(S580)。なお、スピーカーSPからの出力は小さな音で「ピンポン」といった具合に、演出を邪魔することなく、遊技者に告知があったことを知らせることが可能な程度の音量とする。
【0081】
[9 実施例1の構成]
実施例1によれば、パチンコ機Pは、地震警報、火災警報、火災注意、交通情報、気象情報及び告知情報といった外部情報を、スピーカーSP及び液晶表示装置LCDを利用して出力する。この際、
図12(B)のルーチンに基づく演算処理により、各外部情報の有する緊急性の度合い(LVemr )に応じて、スピーカーSP及び液晶表示装置LCDによる報知態様を変更している。この報知態様の変更は、緊急性の度合い(LVemr )に応じて多段階のものとなっている。従って、実施例1のパチンコ機は、
図1等に示した報知手段M1及び、(2)の構成をも備えた報知態様変更手段M2を備えたものとなっている。
【0082】
また、
図12(B)の演算処理ルーチンのS430,S460,S490,S520,S550,S570における処理は、
図2(A)に示した(3)の構成を備える報知態様変更手段M2に相当すると共に、
図2(B)に示した(4)の構成を備える報知態様変更手段M2にも相当している。
【0083】
さらに、ホールコンピュータ400は、入力装置410,操作スイッチ420、及び外部情報受信手段430を備えると共に、
図5(B)に示した演算処理によって外部情報に対して緊急性の度合いを設定して出力しているから、
図1(C)に示した「気象情報,交通情報などを外部情報受信手段M3で受信したホールコンピュータHCが内容から緊急性の度合い(LVemr )を判定した上で遊技機Pに受信させる」という構成を備えたものである。
【0084】
また、ホールコンピュータ400は、火災警報、地震警報の場合には、これらを受信したら管理者の操作によらず、
LVemr を設定しているから、
図2(C)に示した「報知すべき情報の種類」に基づいて報知態様の変更を行うための緊急性判定手段(S4A〜S4G)を報知態様変更手段M2に備えたもの」ともなっている。
【0085】
そして、ホールコンピュータ400から
LVemr =5の外部信号が出力されたときに払出制御基板330がVL信号をOFFにして発射制限等を行うから、パチンコ機Pは、
図3(A)に示した「(5)前記報知手段M1から前記緊急性を有する情報を報知する際には、当該遊技機Pにおける遊技の進行を司る遊技制御手段M4に対して動作上の制限を加える遊技状態制限手段M5」を備えたものとなっている。また、
LVemr =5、4,3,2,1,0に応じて、液晶表示装置LCDの表示領域を段階的に制限する処理を行っているから、「(6)前記遊技状態制限手段M5は、前記遊技制御手段M4を、通常の遊技を行える状態、遊技の一部を制限した状態又は遊技を行えない状態のいずれかの状態とする様に遊技状態を切り替えることによって前記遊技状態の制限を行う手段(S5A〜S5C)」として構成されているともいうことができる。加えて、
図3(B)に示した「(8)球貸し機を構成するCRサンドとの間で信号の授受を行うインタフェース手段M6を備え、前記遊技状態制限手段M5が作動する際には、前記インタフェース手段M6を通じて前記CRサンドの動作に対しても制限を加えるCRサンド制限手段M7を備えている」という構成にも相当している。
【0086】
よって、本実施例は、
図4に示した遊技場管理システムの構成を備えたものとなっている。
【0087】
[10 実施例1による作用・効果]
本実施例によれば、地震情報、火災情報といった[避難を要する可能性のある情報]、大雨警報や台風接近情報、公共交通機関の運行情報といった[帰路に影響を与える様な情報]、イベント予告や宣伝広告などといった[告知のための情報]を、パチンコ機PのスピーカーSPで注意喚起しつつ液晶表示装置LCDを利用して、その緊急性の度合いに応じて段階的に変化させた態様で報知することができる。よって、遊技者に対して、緊急性の度合いを報知態様で的確に判断させ、次に何らかの行動をとるべきか否かを適切に知らせることができる。
【0088】
遊技場は環境面から95dB以下の音量に制限することが求められている。従って、緊急性の度合いの低い「気象情報」「交通情報」「告知情報」などは95dB以下に設定することで、本実施例は環境維持に適するものである一方、「火災注意」「火災警報」「地震警報」の様な緊急性の度合いが高い外部情報については、敢えて95dB以上の大音量、最大音量とすることにより、演出によるBGM、効果音などによって音声を聞き取り難い環境の中でも演出とは明確に区別させ、遊技者に対する注意喚起を的確に実施することができる。
【0089】
そして、報知の手段として遊技者が注視していることの多い液晶表示装置LCDを利用し、情報の緊急性の度合いに応じて、「全画面表示」、「大ウインドウ表示」、「中ウインドウ表示」、「テロップ表示」を切り分けることで、緊急性の度合いが高い情報ほど見落とし難い報知態様へと変更している。また、このとき、背景画面のデータを複数用意した中から切り替えると共に変動図柄も大、中、小のデータから切り替えるから、「全画面表示」の警報以外においては、変動図柄の一部が見えなくなるといった演出に対する阻害とならない。
【0090】
この結果、避難の必用な場合に、遊技者に対して的確な情報を確実に伝達することができると共に、逆に、避難まで必用のない場合には無用の混乱を避けることができるという効果が発揮される。
【0091】
特に、地震警報発令時には、遊技機の動作が制限されるから、緊急性を有する情報が演出の一貫ではないということを、遊技者に自然と理解させることができると共に、避難体制への移行を促す効果もある。
【0092】
そして、この様な遊技状態の制限は、VL信号の出力オフによって実行しているので、主制御基板310への信号入力を伴わずに遊技状態を制限することが可能となり、規則上の制限を満足するものともなっている。
【0093】
この様に、本実施例によれば、遊技場において、遊技機の演出効果を低下させることなく遊技者に対して緊急性を有する情報を的確に報知することができ、的確な情報伝達により、遊技者にとってはより安心した遊技を行うことができるという効果が発揮される。
【0094】
以上、発明を実施するための実施例を説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
【0095】
例えば、「イベント告知」以外に、「カードの取り忘れ防止」などを、遊技機の発射停止状態等に応じて、効果音と共に液晶表示装置LCDやCRサンド500の表示部に表示させたり、「地震警報」においても、予測震度や発生予測時刻などとの関係から警報の態様を段階的に変更させる様にしても構わない。
【0096】
また、外部情報の出力の方法として、ホールコンピュータは情報の種類と緊急性の度合いだけを指令し、遊技機側の記憶装置内に、予め、情報の種類と緊急性の度合いに対応する報知用データを仕込んでおき、これを読み出して音声出力や表示出力する構成としてもよい。その様な場合、特に重要な情報は、「管内放送に注意してください」といったメッセージを含ませておき、報知完了後に管理室からの管内放送で地震警報の詳細な情報を伝達する様にしてもよい。
【0097】
さらに、変動図柄は、その最大表示領域を背景の最大領域から算出する様にしてウインドウが開いたときに縮小表示とする様にしてもよいし、背景自体は全画面のままでウインドウの大きさに応じて変動図柄を縮小する演算を行う構成を加えておくことで、緊急性最大レベル以外での演出表示を阻害しない様にすることもできる。
【0098】
また、
図1(A)に示した様に、遊技機の備えている発光演出装置も緊急性の度合いの高い情報の報知時に派手に点滅させて遊技者の注意喚起を行う報知手段M1として用いてもよいし、遊技機の演出用に備えたものとは別に、ブザーを設置したり、CRサンドの表示器を利用して報知を行う様にしてもよい。
【0099】
加えて、緊急性の度合いが高い情報を報知する際の遊技の制限は、表示画面LCDの表示領域への制限以外に画面の明るさや背景の色を変化させてもよい。また、発射モータの回転数を変化させるといった部分的な制限を加えるなどしても構わない。