【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、昨今の遊技機においては、遊技盤面の奥行きの確保や、可動体の設置スペース確保のために、基板ケースの薄型化、省スペース化が強く望まれており、配線に関しても薄型のフレキシブルフラットケーブルを採用することがある。
【0007】
しかし、薄型のフレキシブルフラットケーブルは、強い力を加え過ぎてしまうと、折れ曲がってしまい断線が発生してしまうこととなり、コネクタへの接続作業を行う際には、力加減の面で配慮が必要となる。
【0008】
また、薄型であっても幅が広いフレキシブルフラットケーブルであればまだ作業は行いやすいのであるが、幅が狭く、細いフレキシブルフラットケーブルの場合はさらに作業時に配慮が必要となり、配線作業効率が低下するという問題がある。
【0009】
特許文献1,2の技術は、基板への配線作業の効率化、作業の確実性の担保という観点では十分な対応策を提案しているとはいえない。
【0010】
そこで、本発明は、基板への配線への接続作業の効率化、作業の確実性に寄与することを目的としてなされた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するためになされた本発明の遊技機は、配線で接続された基板を取り付けられている遊技機であって、以下の構成を備えていることを特徴とする。
(1A)前記基板が、前記配線を接続するための配線取付機構を備えたものであること。
(1B)当該遊技機を構成する遊技機構成部品に、前記基板の縁と嵌まり合うことによって、当該基板を立たせた起立状態で
仮保持する
仮保持用の基板起立保持機構を備えさせたこと
。
(2)前記基板は、前記遊技機の裏面側に組み付けられるケース体の収納空間内に組み付けられるものであり、前記基板起立保持機構を備えた遊技機構成部品が前記ケース体であること。
(3)前記基板起立保持機構を前記ケース体に設けられた基板組付部によって組み付けられた基板によって隠れる様に、以下の構成を備えていること。
(3A)前記ケース体は、複数枚の基板を対面する面同士に備えた配線取付機構間を前記配線で接続し合う様に平行に組み付けた状態で遊技盤の裏面側に組み付けられるベース部と該ベース部を覆うカバー部とからなること。
(3B)前記ベース部には、前記基板を組み付けるための基板組付部となる複数の支柱が、当該ベース部に組み付けられた他の基板よりも先端を突出させる様に備えられていること。
(3C)前記仮保持用の基板起立保持機構は、前記基板組付部となる複数の支柱の間に位置し、当該支柱の先端よりも高さが低くなる様に、前記ベース部に備えられていること。
【0012】
本発明の遊技機によれば、遊技機を組み立てる際、当該遊技機を構成する遊技機構成部品、例えば、基板ケース、裏ユニット、外枠などに対し、基板の縁と嵌まり合うことによって、当該基板を立たせた起立状態で保持する基板起立保持機構を備えさせる。基板に対して配線を接続するに当たっては、当該遊技機構成部品の基板起立保持機構に対して基板の縁を嵌まり合わせて起立状態に保持する。これにより、作業者は、基板を片手で持ち支える必要がなくなり、配線を基板側の配線取付機構に接続する際に両手を使って作業を行うことができる。この結果、例えば、配線としてコネクタブロックを備えないフレキシブルフラットケーブルを用いる場合に、これを基板側の配線取付機構に対して差し込むといった細かな作業も正確かつ容易に実施することができる。
【0014】
また、構成(2)を採用することにより、最終的に基板を組み付けるケース体を作業台の上に準備してそこに備えられている基板起立保持機構に基板を起立保持した状態で上述のケーブル接続作業を実行し、その後、基板起立保持機構から基板を取り外してケース体の収納空間内に組み付けるといった一連の作業を効率よく実施することができる。
【0015】
ここで、このケース体に基板起立保持機構を備えさせた遊技機は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(2A)前記ケース体は、遊技盤の裏面側に組み付けられるベース部と、該ベース部を覆うカバー部とからなること。
(2B)前記基板は、前記配線によって前記収納空間内で前記ベース部に先に設置された基板と接続されるものであること。
(2C)前記ベース部に先に設置される基板は一部に切り欠きを有し、該切り欠きの部分に対応するベース部の底壁に前記基板起立保持機構が備えられると共に、当該基板起立保持機構の近傍に、前記切り欠きを有する基板との間を配線で接続された基板を組み付ける基板組付部が備えられていること。
【0016】
かかる構成(2A)〜(2C)を採用することにより、基板起立保持機構を上側にしてベース部を作業台の上におき、切り欠きを有する基板を先に設置し、当該切り欠き付きの基板と接続すべき基板を起立保持機構にて起立保持の状態にして配線接続した後、基板を基板保持機構から取り外し、基板側配線取付機構をベース部に対面させる様に倒して基板組付部へ組み付けるといった一連の作業を効率よく実施することができる。
【0018】
上記(3)の構成をも備えることにより、配線の接続作業から組み付け作業へとスムーズに移行することができる。特に、
(3A)〜(3C)の構成をも備えるならば、ケース体の収納空間内に先に設置され
た基板と接続するための配線の長さを短めにしたとしても、接続作業から組み付け作業へとスムーズに移行することができる。
【0019】
また、本発明の遊技機は、上記構成に加えて、以下の(4A)〜(4C)のいずれか一つの構成を備えるとよい。
(4A)前記基板起立保持機構は、前記基板の縁を前後から挟み付ける様にして嵌まり合う様に構成された挟持部となる様に前記ベース部から平行に突設された一対のリブの間に形成された溝によって構成され、前記一対のリブは、前記ベース部の外縁に沿って形成された外壁に対して交差する方向に形成されると共に、当該外壁の一部を切り欠く様に連続し、前記起立状態とされる基板の幅方向に離れて複数箇所となる様に少なくともその一方のリブが同一直線上で複数に分断された状態で、前記溝の両端を開放状態とする様に形成されていること。
(4B)前記基板起立保持機構は、前記基板の縁を前後から挟み付ける様にして嵌まり合う様に構成された挟持部となる様に前記ベース部から平行に突設された一対のリブの間に形成された溝によって構成され、当該一対のリブは、前記ベース部の外縁に沿って形成された外壁をリブの一方とする様に前記外壁に沿って形成された内壁によって構成され、前記起立状態とされる基板の幅方向に離れて複数箇所となる様に少なくともその一方のリブが同一直線上で複数に分断された状態、前記溝の両端を開放状態とする様に形成されていること。
(4C)前記基板起立保持機構は、前記基板の縁を前後から挟み付ける様にして嵌まり合う挟持部となる様に前記ベース部に対して前記基板の幅よりも長く連続する様に刻設された溝によって構成されていること。
【0020】
基板起立保持機構を挟持部とすることで、基板の脱着を容易に実行することができる。
【0022】
(4A)又は(4B)の構成を備える遊技機は、挟持部を両端開放溝を形成する一対の平行なリブで構成することにより、基板の脱着時に溝に沿う方向での位置決めを気にしなくても起立保持状態とすることができ、きっちりと幅一杯に嵌り込む様な基板起立保持機構を備えるよりも、むしろ若干ルーズな作業で的確な起立保持状態を実現することができ、作業性向上の面でより望ましいものとなるからである。
【0024】
(4A)の構成を備えた遊技機は、リブ自体が外壁で補強されることとなり、挟持部としての起立保持機能を高めることができるからである。
【0026】
(4B)の構成を備えた遊技機は、ケース体の外壁を挟持部に兼用することができるだけでなく、外壁が二重構造となり、基板を収納した後のケース体のセキュリティー向上にも寄与するものとなる。
【0028】
(4A)又は(4B)の構成を備えた遊技機は、少なくともその一方のリブが同一直線上で複数に分断された状態とされていることにより、基板を挟持部に挟み込ませる作業において、基板を斜めにして一部を先に挟み込ませてから回転させながら全体を挟み込ませるといった具合に、起立保持状態とするための作業が容易になる。
【0030】
(4C)の構成を備えた遊技機は、基板の幅よりも長く連続する溝で挟持部を構成することにより、基板を嵌め込む作業における位置合わせを面倒にすることがなく、起立保持状態とする結果得られる上述の作用・効果を発揮できる点で、本発明の目的を十分に達成し得るからである。
【0031】
また、基板起立保持機構は、挟持部とする以外に、以下の様に構成することもできる。
(11A)前記基板は、少なくとも前記起立状態に保持される側の縁に凹凸部が形成されていること。
(11B)前記基板起立保持機構は、前記ケース体に形成され、前記基板の縁の凹凸部と嵌まり合う凹凸又は孔からなる嵌合部によって構成されていること。
【0032】
この場合も、基板をケース体に対して起立保持した状態で配設接続作業ができ、本発明の目的を十分に達成し得る。この構成は、挟持部に加えて備える様にしても構わない。
【0033】
なお、この場合、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(12)前記嵌合部は、前記ケース体に形成された通気孔によって構成され、前記基板側の凹凸部は、前記通気孔に嵌まり込む幅の凸部と前記通気孔の間隔に対応する凹部が繰り返し連続する形状に構成されていること。
【0034】
この種の基板を収納するケース体には、元々通気孔が備わっていることが多く、通気孔は連続的に形成されているから、基板側に、この通気孔に嵌り込むダボとなる様な凹凸部を形成しておけば、ケース体の任意の位置に基板を起立保持することができ、作業により適する位置を作業者自身が適宜選択することができる。
【0035】
これら本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えるとき、より効果を発揮する。
(13)前記基板が、前記配線取付機構を両面に備えたものであること。
【0036】
基板を片手で支えながら配線接続作業を行う場合には、片面のコネクタハウジングに対する接続作業の後に、持ち替えて反対面のコネクタハウジングに対する接続作業をする必要がある。この際に、先に接続した側のフレキシブルフラットケーブルを折り曲げない様に基板を取り扱う必要が生じる。これに対し、本発明によれば、両手をフリーにして基板への配線接続作業が可能になる結果、基板の持ち替えは必要なく、基板を起立保持した状態のままで表裏それぞれの面への配線接続作業を実行することができる。