特許第6133759号(P6133759)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133759
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   A63F7/02 326Z
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-238986(P2013-238986)
(22)【出願日】2013年11月19日
(65)【公開番号】特開2015-97648(P2015-97648A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2015年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100104514
【弁理士】
【氏名又は名称】森 泰比古
(72)【発明者】
【氏名】宮田 大輔
【審査官】 渡辺 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−122577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線で接続された基板を取り付けられている遊技機であって、以下の構成を備えていることを特徴とする遊技機。
(1A)前記基板が、前記配線を接続するための配線取付機構を備えたものであること。
(1B)当該遊技機を構成する遊技機構成部品に、前記基板の縁と嵌まり合うことによって、当該基板を立たせた起立状態で仮保持する仮保持用の基板起立保持機構を備えさせたこと
2)前記基板は、前記遊技機の裏面側に組み付けられるケース体の収納空間内に組み付けられるものであり、前記基板起立保持機構を備えた遊技機構成部品が前記ケース体であること
3)前記基板起立保持機構を前記ケース体に設けられた基板組付部によって組み付けられた基板によって隠れる様に、以下の構成を備えていること。
(3A)前記ケース体は、複数枚の基板を対面する面同士に備えた配線取付機構間を前記配線で接続し合う様に平行に組み付けた状態で遊技盤の裏面側に組み付けられるベース部と該ベース部を覆うカバー部とからなること。
(3B)前記ベース部には、前記基板を組み付けるための基板組付部となる複数の支柱が、当該ベース部に組み付けられた他の基板よりも先端を突出させる様に備えられていること。
(3C)前記仮保持用の基板起立保持機構は、前記基板組付部となる複数の支柱の間に位置し、当該支柱の先端よりも高さが低くなる様に、前記ベース部に備えられていること。
【請求項2】
さらに、以下の構成をも備えたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
(4A)前記基板起立保持機構は、前記基板の縁を前後から挟み付ける様にして嵌まり合う様に構成された挟持部となる様に前記ベース部から平行に突設された一対のリブの間に形成された溝によって構成され、前記一対のリブは、前記ベース部の外縁に沿って形成された外壁に対して交差する方向に形成されると共に、当該外壁の一部を切り欠く様に連続し、前記起立状態とされる基板の幅方向に離れて複数箇所となる様に少なくともその一方のリブが同一直線上で複数に分断された状態で、前記溝の両端を開放状態とする様に形成されていること。
【請求項3】
さらに、以下の構成をも備えたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
(4B)前記基板起立保持機構は、前記基板の縁を前後から挟み付ける様にして嵌まり合う様に構成された挟持部となる様に前記ベース部から平行に突設された一対のリブの間に形成された溝によって構成され、当該一対のリブは、前記ベース部の外縁に沿って形成された外壁をリブの一方とする様に前記外壁に沿って形成された内壁によって構成され、前記起立状態とされる基板の幅方向に離れて複数箇所となる様に少なくともその一方のリブが同一直線上で複数に分断された状態、前記溝の両端を開放状態とする様に形成されていること。
【請求項4】
さらに、以下の構成をも備えたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
(4C)前記基板起立保持機構は、前記基板の縁を前後から挟み付ける様にして嵌まり合う挟持部となる様に前記ベース部に対して前記基板の幅よりも長く連続する様に刻設された溝によって構成されていること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に係り、特に、遊技機用基板に対する配線作業を行い易くするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機は、各種電子部品を搭載しており、組立作業において、基板への配線作業が必要となり、接続ミスの防止等が問題となっている(例えば、特許文献1,2)。
【0003】
特許文献1は、遊技盤裏面構成部材に、遊技機裏面側の配線の先端に設けられたコネクタの差込部を一時的に収納可能な収納凹室を設けることで、コネクタをその本来の電気部品に対する接続作業時まで、一時的に他の部品の取り付け作業を邪魔しない位置に保留しておく構成の遊技機を提案している。
【0004】
特許文献2は、音声制御基板と遊技盤の主基板とを配線で接続し、パチンコ機本体に後付け可能な遊技盤の裏面側に音声制御基板を仮止めして搬送することで納品ミスをなくすと共に、受取り側での接続を不要として、接続ミスをも防止する技術を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−035257(要約、図3図7
【特許文献2】特開2003−117195(要約、図5図6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、昨今の遊技機においては、遊技盤面の奥行きの確保や、可動体の設置スペース確保のために、基板ケースの薄型化、省スペース化が強く望まれており、配線に関しても薄型のフレキシブルフラットケーブルを採用することがある。
【0007】
しかし、薄型のフレキシブルフラットケーブルは、強い力を加え過ぎてしまうと、折れ曲がってしまい断線が発生してしまうこととなり、コネクタへの接続作業を行う際には、力加減の面で配慮が必要となる。
【0008】
また、薄型であっても幅が広いフレキシブルフラットケーブルであればまだ作業は行いやすいのであるが、幅が狭く、細いフレキシブルフラットケーブルの場合はさらに作業時に配慮が必要となり、配線作業効率が低下するという問題がある。
【0009】
特許文献1,2の技術は、基板への配線作業の効率化、作業の確実性の担保という観点では十分な対応策を提案しているとはいえない。
【0010】
そこで、本発明は、基板への配線への接続作業の効率化、作業の確実性に寄与することを目的としてなされた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するためになされた本発明の遊技機は、配線で接続された基板を取り付けられている遊技機であって、以下の構成を備えていることを特徴とする。
(1A)前記基板が、前記配線を接続するための配線取付機構を備えたものであること。
(1B)当該遊技機を構成する遊技機構成部品に、前記基板の縁と嵌まり合うことによって、当該基板を立たせた起立状態で仮保持する仮保持用の基板起立保持機構を備えさせたこと
(2)前記基板は、前記遊技機の裏面側に組み付けられるケース体の収納空間内に組み付けられるものであり、前記基板起立保持機構を備えた遊技機構成部品が前記ケース体であること。
(3)前記基板起立保持機構を前記ケース体に設けられた基板組付部によって組み付けられた基板によって隠れる様に、以下の構成を備えていること。
(3A)前記ケース体は、複数枚の基板を対面する面同士に備えた配線取付機構間を前記配線で接続し合う様に平行に組み付けた状態で遊技盤の裏面側に組み付けられるベース部と該ベース部を覆うカバー部とからなること。
(3B)前記ベース部には、前記基板を組み付けるための基板組付部となる複数の支柱が、当該ベース部に組み付けられた他の基板よりも先端を突出させる様に備えられていること。
(3C)前記仮保持用の基板起立保持機構は、前記基板組付部となる複数の支柱の間に位置し、当該支柱の先端よりも高さが低くなる様に、前記ベース部に備えられていること。
【0012】
本発明の遊技機によれば、遊技機を組み立てる際、当該遊技機を構成する遊技機構成部品、例えば、基板ケース、裏ユニット、外枠などに対し、基板の縁と嵌まり合うことによって、当該基板を立たせた起立状態で保持する基板起立保持機構を備えさせる。基板に対して配線を接続するに当たっては、当該遊技機構成部品の基板起立保持機構に対して基板の縁を嵌まり合わせて起立状態に保持する。これにより、作業者は、基板を片手で持ち支える必要がなくなり、配線を基板側の配線取付機構に接続する際に両手を使って作業を行うことができる。この結果、例えば、配線としてコネクタブロックを備えないフレキシブルフラットケーブルを用いる場合に、これを基板側の配線取付機構に対して差し込むといった細かな作業も正確かつ容易に実施することができる。
【0014】
また、構成(2)を採用することにより、最終的に基板を組み付けるケース体を作業台の上に準備してそこに備えられている基板起立保持機構に基板を起立保持した状態で上述のケーブル接続作業を実行し、その後、基板起立保持機構から基板を取り外してケース体の収納空間内に組み付けるといった一連の作業を効率よく実施することができる。
【0015】
ここで、このケース体に基板起立保持機構を備えさせた遊技機は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(2A)前記ケース体は、遊技盤の裏面側に組み付けられるベース部と、該ベース部を覆うカバー部とからなること。
(2B)前記基板は、前記配線によって前記収納空間内で前記ベース部に先に設置された基板と接続されるものであること。
(2C)前記ベース部に先に設置される基板は一部に切り欠きを有し、該切り欠きの部分に対応するベース部の底壁に前記基板起立保持機構が備えられると共に、当該基板起立保持機構の近傍に、前記切り欠きを有する基板との間を配線で接続された基板を組み付ける基板組付部が備えられていること。
【0016】
かかる構成(2A)〜(2C)を採用することにより、基板起立保持機構を上側にしてベース部を作業台の上におき、切り欠きを有する基板を先に設置し、当該切り欠き付きの基板と接続すべき基板を起立保持機構にて起立保持の状態にして配線接続した後、基板を基板保持機構から取り外し、基板側配線取付機構をベース部に対面させる様に倒して基板組付部へ組み付けるといった一連の作業を効率よく実施することができる。
【0018】
上記(3)の構成をも備えることにより、配線の接続作業から組み付け作業へとスムーズに移行することができる。特に、(3A)〜(3C)の構成をも備えるならば、ケース体の収納空間内に先に設置された基板と接続するための配線の長さを短めにしたとしても、接続作業から組み付け作業へとスムーズに移行することができる。
【0019】
また、本発明の遊技機は、上記構成に加えて、以下の(4A)〜(4C)のいずれか一つの構成を備えるとよい。
(4A)前記基板起立保持機構は、前記基板の縁を前後から挟み付ける様にして嵌まり合う様に構成された挟持部となる様に前記ベース部から平行に突設された一対のリブの間に形成された溝によって構成され、前記一対のリブは、前記ベース部の外縁に沿って形成された外壁に対して交差する方向に形成されると共に、当該外壁の一部を切り欠く様に連続し、前記起立状態とされる基板の幅方向に離れて複数箇所となる様に少なくともその一方のリブが同一直線上で複数に分断された状態で、前記溝の両端を開放状態とする様に形成されていること。
(4B)前記基板起立保持機構は、前記基板の縁を前後から挟み付ける様にして嵌まり合う様に構成された挟持部となる様に前記ベース部から平行に突設された一対のリブの間に形成された溝によって構成され、当該一対のリブは、前記ベース部の外縁に沿って形成された外壁をリブの一方とする様に前記外壁に沿って形成された内壁によって構成され、前記起立状態とされる基板の幅方向に離れて複数箇所となる様に少なくともその一方のリブが同一直線上で複数に分断された状態、前記溝の両端を開放状態とする様に形成されていること。
(4C)前記基板起立保持機構は、前記基板の縁を前後から挟み付ける様にして嵌まり合う挟持部となる様に前記ベース部に対して前記基板の幅よりも長く連続する様に刻設された溝によって構成されていること。
【0020】
基板起立保持機構を挟持部とすることで、基板の脱着を容易に実行することができる。
【0022】
(4A)又は(4B)の構成を備える遊技機は、挟持部を両端開放溝を形成する一対の平行なリブで構成することにより、基板の脱着時に溝に沿う方向での位置決めを気にしなくても起立保持状態とすることができ、きっちりと幅一杯に嵌り込む様な基板起立保持機構を備えるよりも、むしろ若干ルーズな作業で的確な起立保持状態を実現することができ、作業性向上の面でより望ましいものとなるからである。
【0024】
(4A)の構成を備えた遊技機は、リブ自体が外壁で補強されることとなり、挟持部としての起立保持機能を高めることができるからである。
【0026】
(4B)の構成を備えた遊技機は、ケース体の外壁を挟持部に兼用することができるだけでなく、外壁が二重構造となり、基板を収納した後のケース体のセキュリティー向上にも寄与するものとなる。
【0028】
(4A)又は(4B)の構成を備えた遊技機は、少なくともその一方のリブが同一直線上で複数に分断された状態とされていることにより、基板を挟持部に挟み込ませる作業において、基板を斜めにして一部を先に挟み込ませてから回転させながら全体を挟み込ませるといった具合に、起立保持状態とするための作業が容易になる。
【0030】
(4C)の構成を備えた遊技機は、基板の幅よりも長く連続する溝で挟持部を構成することにより、基板を嵌め込む作業における位置合わせを面倒にすることがなく、起立保持状態とする結果得られる上述の作用・効果を発揮できる点で、本発明の目的を十分に達成し得るからである。
【0031】
また、基板起立保持機構は、挟持部とする以外に、以下の様に構成することもできる。
(11A)前記基板は、少なくとも前記起立状態に保持される側の縁に凹凸部が形成されていること。
(11B)前記基板起立保持機構は、前記ケース体に形成され、前記基板の縁の凹凸部と嵌まり合う凹凸又は孔からなる嵌合部によって構成されていること。
【0032】
この場合も、基板をケース体に対して起立保持した状態で配設接続作業ができ、本発明の目的を十分に達成し得る。この構成は、挟持部に加えて備える様にしても構わない。
【0033】
なお、この場合、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(12)前記嵌合部は、前記ケース体に形成された通気孔によって構成され、前記基板側の凹凸部は、前記通気孔に嵌まり込む幅の凸部と前記通気孔の間隔に対応する凹部が繰り返し連続する形状に構成されていること。
【0034】
この種の基板を収納するケース体には、元々通気孔が備わっていることが多く、通気孔は連続的に形成されているから、基板側に、この通気孔に嵌り込むダボとなる様な凹凸部を形成しておけば、ケース体の任意の位置に基板を起立保持することができ、作業により適する位置を作業者自身が適宜選択することができる。
【0035】
これら本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えるとき、より効果を発揮する。
(13)前記基板が、前記配線取付機構を両面に備えたものであること。
【0036】
基板を片手で支えながら配線接続作業を行う場合には、片面のコネクタハウジングに対する接続作業の後に、持ち替えて反対面のコネクタハウジングに対する接続作業をする必要がある。この際に、先に接続した側のフレキシブルフラットケーブルを折り曲げない様に基板を取り扱う必要が生じる。これに対し、本発明によれば、両手をフリーにして基板への配線接続作業が可能になる結果、基板の持ち替えは必要なく、基板を起立保持した状態のままで表裏それぞれの面への配線接続作業を実行することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、基板への配線への接続作業の効率化、作業の確実性に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】実施例1のパチンコ機を示し、(A)は遊技盤を取り外した状態の斜視図、(B)は正面図、(C)は分解斜視図である。
図2】実施例1において基板ケースを組み立てる様子を示す斜視図である。
図3】実施例1において基板ケースを組み立てる様子を示し、の図2とは異なる方向から見た斜視図である。
図4】実施例1における基板ケースのベース部を示し、(A)は底面図、(B),(C)は斜視図である。
図5】実施例1において基板ケース内に基板を組み付ける様子を示し、(A)は大型基板を取り付けた状態の斜視図、(B)は小型基板を起立保持した状態の斜視図、(C)は小型基板を取り付けた状態の斜視図、(D)は小型基板を取り付けた状態の要部断面図である。
図6】実施例1において基板ケース内に基板を組み付ける様子を異なる方向から見た図であって、(A)は大型基板を取り付けた状態の斜視図、(B)は小型基板を起立保持した状態の斜視図、(C)は小型基板を取り付けた状態の斜視図である。
図7】他の実施例を示し、(A)は実施例2の要部平面図、(B)は実施例3の要部の平面図及び拡大断面図、(C)は実施例4の斜視図及び要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態として、具体的な実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0040】
実施例1のパチンコ機Pは、図1に示す様に、外枠A、中枠B、遊技盤1、前枠D、上の球受け皿E、下の球受け皿F及び打球発射装置Gを備えている。外枠Aはパチンコ機Pの外郭を構成する縦長方形の枠である。中枠Bは、各種の遊技用構成部材をセットするための縦長方形の枠であって、外枠Aの前面側に開閉可能かつ着脱可能に組み付けられる。遊技盤1は、中枠Bの開口部に取り付けられる。前枠Dは遊技盤1の透視保護窓であって、施錠装置Hの操作によって開閉可能な様に中枠Bの前面側に組み付けられる。上の球受け皿Eは、貸し球や賞球の受け皿で、本実施例においては前枠Dの下部と一体に構成されてる。従って、前枠Dを中枠Bに対して開閉するときに上の球受け皿Eも共に開閉される。下の球受け皿Fは、上の球受け皿Eが一杯になったときに排出される遊技球や打ち損じの遊技球等を受ける受け皿であって、中枠Bの下部に固定されている。打球発射装置Gは、上の球受け皿Eから発射レールに送り込まれた遊技球をハンドル操作に対応する強さで打ち出すための装置であって、中枠Bの右下部に装備される。
【0041】
中枠Bは、上縁をなす上枠部材B1と、下縁をなし打球発射装置G等が設置された下枠部材B2と、左側縁をなす左枠部材B3と、右側縁をなす右枠部材B4とから構成されて、これら上下左右の枠部材B1〜B4を組み付けた際に、全体が外枠Aの開口に整合する矩形枠状に形成される。そして、上下左右の枠部材B1〜B4を組み付けた際に開口する開口部分が、遊技盤1を設置する遊技盤保持部B5として機能する。ここで、中枠Bは、外枠Aの左上端部及び左下端部に設けられた支軸を介して枢支され、左側端部を中心として中枠Bを回転させることで外枠Aに対して中枠Bを開閉し得るようになっている。
【0042】
遊技盤1の裏側には、裏ユニット3が取り付けられる。遊技盤1の中央には、裏面側から液晶表示装置LCDが組み付けられ、裏ユニット3で覆われる。裏ユニット3によって覆われる空間内には、この他、可動体役物及びその駆動装置、さらには制御基板等が基板ケースに収容された状態で収納される。
【0043】
図2図3は、基板ケース5を組み立てる様子を示している。図示の様に、基板ケース5は、ベース部10とカバー部30とから構成され、内部に、大型基板40と小型基板50とを平行にした状態で組み付ける。組立は、ベース部10に対して大型基板40を組み付け、次に、小型基板50を組み付け、その後、カバー部30を装着するという手順で実行される。大型基板40は、角の一部が切り欠かれたL字形の基板となっている。小型基板50は、この切り欠き部分に収まる幅で切り欠き部分よりも長い長方形の基板となっている。ベース部10及びカバー部30には、図示の様に、多数の通気孔11,31が形成されている。
【0044】
ベース部10には、図4に示す様に、外縁に沿って外壁12が一体形成されている。そして、この外壁12の内側には、大型基板40の外縁やや内側を裏面から支持してベース部10の底壁13との間に所定の隙間をあけてベース部底壁13と平行に設置するための5本の大型基板用支柱14がベース部底壁13から突設されている。また、ベース部底壁13には、図4(A)の右上角部分に当たる位置に、小型基板50を大型基板40との間に所定の隙間をあけて平行に設置するための5本の小型基板用支柱15a〜15eも突設されている。これら大型基板用支柱は、中心に突起を備え、位置決め機能を有している。一方、四隅の小型基板用支柱15a〜15dは中心にネジ孔が形成されていて、右側中央の小型基板用支柱15eは中心に突起を備えるものとなっている。なお、小型基板用支柱15a〜15eの方が、大型基板用支柱13よりも背が高いものとなっている。
【0045】
四隅の小型基板用支柱15a〜15dで囲まれた矩形領域16の中央部に、外壁12に対して直交する様に、一対の平行なリブ17,17がベース部底壁13と一体に形成されている。また、このリブ17,17の延長上においても、矩形領域16に収まる様に一対の平行なリブ18,18がベース部底壁13と一体に形成されている。リブ17,17及びリブ18,18の間に形成される溝19,20の幅は、小型基板50の板厚よりわずかに狭くなっている。また、溝19,20の両端は開放となっている。この結果、外壁12は、リブ17,17の溝19によって切り欠かれた状態となっている。
【0046】
なお、リブ17,18の高さは外壁12の高さと同一である。また、ベース部底壁13の内側に位置する方のリブ18,18の一方は、左下位置の小型基板用支柱15dとの間を連結壁21で連結されている。また、溝19の図示上端と溝20の図示下端との距離は、小型基板50の短辺の長さとより若干長くなっている。
【0047】
本実施例では、まず、図5(A),6(A)に示す様に、大型基板40をベース部10に対して組み付ける。この組み付け状態において、大型基板40の上面には、小型基板50との間をフレキシブルフラットケーブル70で接続するためのコネクタハウジング41がベース部10において小型基板用支柱15a〜15dで囲まれた矩形領域16の近傍に位置する様に設置されている。
【0048】
次に、図5(B),図6(B)に示す様に、小型基板50をリブ17,17の間の溝19及びリブ18,18の間の溝20に差し込む様にして起立した状態にセットする。上述の様に、溝19,20の幅は、小型基板50の板厚よりわずかに狭くなっているから、小型基板50は、ぐらつくことのない状態にしっかりと前後から挟まれて起立状態に保持される。また、この作業において、溝19,20の両端は開放となっているから、小型基板50を差し込む際に、位置決めを気にしなくてもよい。なお、この際、基板ケース5内に組み立てた際に小型基板50の大型基板40と向かい合う方の面を、大型基板40のコネクタハウジング41側に向かせる。この結果、小型基板50側のコネクタハウジング51と大型基板40側のコネクタハウジング41との間にフレキシブルフラットケーブル70を接続する作業を容易に実施することができる。
【0049】
こうして大型基板40との間をフレキシブルフラットケーブル70で接続した小型基板50を、溝19,20から抜き取り、図5(C),図6(C)に示す様に、コネクタハウジング51を下に向けて小型基板用支柱15a〜15eの上端に載置し、ネジ止め固定する。こうして組み付けた状態において小型基板50の上面に現れるコネクタハウジング52〜56に対する配線接続作業は、図5(B),図6(B)の状態で実施しておいてもよいし、図5(C),図6(C)の状態にしてから実施してもよい。
【0050】
以上説明した様に、実施例1によれば、小型基板50の縁を、基板ケース5のベース部10に形成した溝19,20に嵌り込ませて起立状態に保持することにより、作業者は、小型基板50を片手で持ち支える必要がなくなり、コネクタハウジング51に対してフレキシブルフラットケーブル70を接続する作業を両手を使って行うことができる。
【0051】
また、溝19,20を基板ケース5の収納空間側となるベース部底壁13に形成したので、小型基板50の接続作業を終えて組み付けるという一連の作業をスムーズに実施することができる。
【0052】
特に、溝19,20を小型基板用支柱15a〜15dで囲まれた矩形領域16に設置しているから、大型基板40側のコネクタハウジング41に対して、コネクタハウジング51を対面させる様に小型基板50を起立保持することができ、接続作業も容易であると共に、その後の小型基板50を溝19,20から抜き取って組み付ける一連の作業を一層効率よく実行することができる。加えて、大型基板40と小型基板50とを接続するフレキシブルフラットケーブル70の長さを短めにしたとしても、接続作業はもちろん、その後の組み付け作業まで、効率よく的確に実行することができる。
【0053】
また、両端が開放となった溝19,20で小型基板40を起立保持する構成としたことにより、基板の脱着が容易であり、位置決めを気にせずに起立保持の状態にすることができる。加えて、途中を分断した溝19,20に嵌り込ませる構成となっているので、小型基板50を溝19,20に挟み込ませる作業において、基板50を斜めにして一部を先に挟み込ませてから回転させながら全体を挟み込ませるといった具合に、起立保持状態とするための作業が容易になる。
【0054】
さらに、図4(A)の上側のリブ17,17は外壁12に連続していることは、補強により起立保持機能を高める効果もある。なお、図4(A)の下側のリブ18,18も、その一方が連結壁21で補強されているから、こちら側も起立保持機能が高められた状態となっている。
【実施例2】
【0055】
実施例2は、図7(A)に示す様に、基板ケースのベース部10の外壁12の内側に小型基板50を嵌り込ませて起立保持することのできる間隔を開けて内壁81を立設したものである。この外壁12と内壁81の間に小型基板50を嵌り込ませて起立保持した状態で配線の接続作業を行うことにより、実施例1と同様に両手作業による配線接続が可能となる。
【0056】
図7(A)には、一部にだけ内壁81を備えるものを示したが、基板ケースのベース部の外周全域に備えてもよい。好みの作業のし易い内壁部に挟持させることができる上に、全域を2重構造とすることができ、セキユリティー機能も向上する。
【実施例3】
【0057】
実施例3は、図7(B)に示す様に、基板ケースのベース部10の底壁13に、小型基板50の幅よりも長く連続する様に刻設された溝82を備えさせ、この溝82に基板の縁を嵌り込ませて起立保持した状態で配線の接続作業を行うことにより、実施例1,2と同様に両手作業による配線接続が可能となる。
【0058】
溝82は、小型基板50の幅よりも長く連続するから、基板を嵌め込む作業における位置合わせを面倒にすることがない。また、ベース部材の平面部から突出した壁部を設ける場合よりも、基板ケース内の収容空間を広くとることができるため、基板設計の自由度が高まるメリットがある。
【実施例4】
【0059】
実施例4は、図7(C)に示す様に、カバー部30の通気孔31に対応する凹凸58を小型基板50の縁に形成し、組立前のカバー部30を作業台に伏せておき、その通気孔31に凹凸58を嵌め込んで小型基板50を起立保持して配線接続作業を行うものである。
【0060】
この場合も、小型基板50を基板ケース5を構成するカバー部30に対して起立保持した状態で、両手作業による」配設接続を実行することができる。
【0061】
また、カバー部30には、元々通気孔31が備わっていて、連続的に形成されているから、カバー部30のどの部分の通気孔31を利用してもよく、任意の位置に小型基板50を起立保持することができ、作業に適する位置を作業者自身が適宜選択することができる。ここで、実施例4は複数の凹凸58を備えることとしたが、凹凸は複数でなく単数であっても基板を起立保持することは可能である。しかしながら、複数の凹凸で起立させた方が安定性が向上する。なお、凹凸は、基板の縁を切り欠いた平板状の凹凸に限らず、断面円形、断面多角形等の凹凸としても構わない。
【0062】
この様に、各実施例によれば、基板への配線への接続作業の効率化、作業の確実性に寄与することができる。
【0063】
以上、発明を実施するための最良の形態としての一実施例を説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
【0064】
基板ケースではなく、例えば、裏ユニット、外枠などに対し、基板の縁と嵌まり合うことによって、当該基板を立たせた起立状態で保持する基板起立保持機構を備えさせる様にしてもよい。
【0065】
例えば、図1に示した裏ユニット3の内面側に基板を取り付ける必要がある場合に、当該基板を取り付ける裏ユニット3の内面側に基板起立保持機構を備えておくとよいし、裏ユニット3の内面ではなく背面側に基板を取り付ける場合には裏ユニット3の背面側に基板起立保持機構を備えておくとよい。また、中枠Bに対して取り付けられる外部端子板や、中継端子板などに関し、中枠Bの枠部材B1〜B4や遊技盤保持部B5に対して、基板起立保持機構を備えさせる様にしてもよい。さらに、裏ユニット3や中枠Bに直接基板を組み付ける場合は、基板ケース5には基板起立保持機構を備える必要はなく、裏ユニット3や中枠Bに直接、基板起立保持機構を設置する様にするとよい。
【0066】
これら裏ユニット3や中枠Bに基板起立保持機構となる基板縁を挟む挟持部や、基板縁を嵌め込む溝や、基板縁と嵌り合う嵌合部を形成する場合、「配線で接続された基板を裏ユニット又は中枠に組み付けた遊技機であって、(A)前記基板が、前記配線を接続するための配線取付機構を備えたものであること。(B)当該遊技機を構成する遊技機構成部品に、前記基板の縁と嵌まり合うことによって、当該基板を立たせた起立状態で保持する基板起立保持機構を備えさせたこと。」に加えて、「(C)前記基板起立保持機構に起立保持する基板の取付位置の近傍に、当該基板起立保持機構を備えさせること。」という構成をも備えておけば、実施例1等と同様に、配線の接続から基板の組み付けまでの一連の作業をスムーズに両手作業で実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明はパチンコ機に利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
P・・・パチンコ機、A・・・外枠、B・・・中枠、B1・・・上枠部材、B2・・・下枠部材、B3・・・左枠部材、B4・・・右枠部材、B5・・・遊技盤保持部、D・・・前枠、E・・・上の球受け皿、F・・・下の球受け皿、G・・・打球発射装置、LCD・・・液晶表示装置。
1・・・遊技盤、3・・・裏ユニット、5・・・基板ケース、10・・・ベース部、11・・・通気孔、12・・・外壁、13・・・底壁、14・・・大型基板用支柱、15a〜15e・・・小型基板用支柱、16・・・矩形領域、17・・・リブ、18・・・リブ、19,20・・・溝、21・・・連結壁、30・・・カバー部、31・・・通気孔、40・・・大型基板、41・・・コネクタハウジング、50・・・小型基板、51・・・コネクタハウジング、52〜56・・・コネクタハウジング、58・・・凹凸、70・・・フレキシブルフラットケーブル、81・・・内壁、82・・・溝。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7