【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、両フランジ部を含む流体管路の耐震性をより向上させるために、既存或いは新設の両フランジ部を、耐震管路と同等(離脱防止力が3DkN以上(Dは呼び径))の耐震性能A級の性能を有するものに補強することが望まれる。
また、両フランジ部に曲げ方向或いは引張方向の力が作用した場合でも、両フランジ部の離間を防止し、内部を通流する流体の漏洩を確実に防止できる構成とすることが望まれる。
【0007】
さらに、両フランジ部の一方が、空気弁、補修弁、短管等の流体機器の一端側に形成されたフランジ部である場合には、当該両フランジ部にフランジ接合部補強治具を装着する際、フランジ接合部補強治具が流体機器に干渉する可能性がある。特に、流体機器の外径が両フランジ部に接続される流体管の外径よりも大径で、しかも、流体機器と当該流体機器の一端側に形成されたフランジ部とが流体管の管軸方向において近接する場合には、両フランジ部にフランジ接合部補強治具を装着する際、フランジ接合部補強治具が当該流体機器に干渉して装着が不能となることがあり、また、装着できたとしても、装着に手間が掛かるとともに、所期の装着位置からずれた不良な装着状態のまま装着されてしまう可能性がある。このような不良な装着状態では、両フランジ部に曲げ方向或いは引張方向の力が作用した場合に、フランジ接合部補強治具が、両フランジ部から離脱したり止水性能が低下したりして流体が漏洩する可能性がある。
同様に、両フランジ部の一方が流体機器の一端側に形成されたフランジ部である場合には、当該両フランジ部にフランジ接合部補強治具を装着する際、フランジ接合部補強治具が流体機器の他端側に形成されたフランジ部に干渉し、装着が不良或いは不能となる可能性もある。
【0008】
これら点について着目すると、上記特許文献1に開示のフランジ接合部補強治具では、両フランジ部の外側面に各別に当接する押圧部を備えた一対の挟持部材が、当該押圧部の径方向外方側に形成された一対のボルト螺合孔に亘って螺合させた両ネジボルトにより締付固定されており、一対の挟持部材は実質的に一対のボルト螺合孔及び両ネジボルトのみで締付固定されているに過ぎず、両フランジ部に曲げ方向或いは引張方向の力が作用した際には、当該力が、フランジ部及び一対の挟持部材を介して一対のボルト螺合孔と両ネジボルトとの螺合箇所に集中し、両ネジボルトが伸長したり、螺合箇所のねじ山が破壊される場合があり、両フランジ部が離間する可能性がある。この場合、両フランジ部間から流体が漏洩する可能性があるとともに、両フランジ部を上述の耐震管路と同等の耐震性能を有する程度にまで補強することは困難となる。
【0009】
また、上記特許文献2に開示のフランジ接合部補強治具では、ボルトがコ字形状部材の一方の脚部に管軸方向の外方側から螺合装着され、当該ボルトの先端がフランジ部の外側面に当接する構成とされている。このため、コ字形状部材の管軸方向の外方側部位には、ボルトを一方の脚部に螺合装着させるための作業用空間が必要となり、両フランジ部の一方が空気弁や補修弁等の流体機器の一端側に形成されたフランジ部である場合には、両フランジ部にフランジ接合部補強治具を装着する際、フランジ接合部補強治具やボルトが流体機器や当該流体機器の他端側に形成されたフランジ部に干渉して装着が不能或いは不良となる可能性がある。
さらに、ボルトの先端がフランジ部の外側面に当接すると当該外側面に傷がつき腐食等の原因になるとともに、当該傷を防止するためにボルトの先端に保護部材を装着すると、当該ボルトがコ字形状部材の管軸方向の外方側部位に突出する突出代が大きくなり、当該外方側部位に大きな作業用空間を形成しなければフランジ接合部補強治具の両フランジ部への装着が、より一層不能或いは不良となる可能性がある。
【0010】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、両フランジ部に容易且つ確実に装着できるとともに、両フランジ部を含む流体管路を所定の耐震性能を備えた耐震管路に補強でき、しかも、両フランジ部の離間やずれを簡便且つ安価に防止して止水性能を向上できるフランジ接合部補強治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係るフランジ接合部補強治具は、ボルト連結されている両フランジ部の外側面に各別に当接可能な押圧部を備えた一対の挟持部材と、この両挾持部材の押圧部を両フランジ部の外側面に当て付けた状態で当該両挾持部材をフランジ接合方向に引き寄せて締付固定する締結手段とを備えたフランジ接合部補強治具であって、その特徴構成は、
前記両挾持部材のフランジ接合方向で相対向する部位に、前記両フランジ部の外周面よりも径方向外方側位置においてフランジ接合方向から嵌合する内嵌合部と外嵌合部とが形成され、
少なくとも一方の挟持部材の押圧部を、前記内嵌合部又は前記外嵌合部に対して前記両フランジ部の径方向に進退自在な進退手段を備えた点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、一対の挟持部材におけるフランジ接合方向で相対向する各部位に、両フランジ部の外周面よりも径方向外方側位置においてフランジ接合方向から嵌合する内嵌合部と外嵌合部とが形成されているので、一対の挟持部材の各押圧部を両フランジ部の外側面に各別に当て付けた状態で締結手段を締付けると、両挟持部材がフランジ接合方向に引き寄せられるにつれて、内嵌合部が外嵌合部内に嵌合し、内嵌合部と外嵌合部とがフランジ接合方向(軸方向)で重なった状態となる。
これにより、一対の挟持部材が締結手段により締付固定された状態で、両フランジ部に曲げ方向(径方向)への力が作用した場合でも、締結手段の締結部位に加えて、内嵌合部と外嵌合部との重なり部位でも当該力を受け止めることができ、締結手段の締結部位に掛かる応力の低減を図ることができる。従って、フランジ接合部補強治具による両フランジ部の接合強度を向上させて、両フランジ部の離間やずれ及びこれらに伴う流体の漏洩を防止することができ、管路の耐震性能の向上をも図ることができる。
【0013】
加えて、少なくとも一方の挟持部材の押圧部を内嵌合部又は外嵌合部に対して両フランジ部の径方向に進退自在な進退手段を備えているので、フランジ接合部補強治具を両フランジ部に装着する際などに、当該押圧部を内嵌合部又は外嵌合部に対して両フランジ部の径方向に進退させて、当該押圧部がフランジ部の外側面に当て付けられる位置を適宜調整することができる。
これにより、例えば、両フランジ部のうち一方のフランジ部に接続された空気弁や補修弁等の流体機器の外径が当該フランジ部に接続される流体管の外径よりも大径で、しかも、流体機器と当該フランジ部とが流体管の管軸方向において近接する場合であっても、一方の挟持部材の押圧部を両フランジ部の径方向外方側に適宜引退させることで、当該押圧部が流体機器に干渉しない状態で両挟持部材を両フランジ部に装着することができる。また、例えば、両フランジ部のうち一方のフランジ部に空気弁等の流体機器が接続されていない場合には、当該一方の挟持部材の押圧部を両フランジ部の径方向内方側に適宜進入させることで、当該押圧部を所期の装着位置に装着させることができる。なお、当該押圧部を両フランジ部の径方向に進退させることは、フランジ接合部補強治具を両フランジ部に装着する際のみならず、両フランジ部への装着前、装着中、装着後、或いは、離脱後であってもよく、また、両フランジ部の一方に流体機器が接続されている場合でも接続されていない場合であってもよい。
よって、両フランジ部に容易且つ確実に装着できるとともに、両フランジ部を含む流体管路を所定の耐震性能を備えた耐震管路に補強でき、しかも、両フランジ部の離間やずれを簡便且つ安価に防止して止水性能を向上できる。
【0014】
本発明に係るフランジ接合部補強治具の更なる特徴構成は、前記進退手段が前記両フランジ部の径方向に進退自在な状態で前記内嵌合部又は前記外嵌合部に設けられる進退部材を備え、少なくとも一方の挟持部材の押圧部が前記進退部材に設けられている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、進退部材を内嵌合部又は外嵌合部に対して両フランジ部の径方向に進退させることで、少なくとも一方の挟持部材の押圧部がフランジ部の外側面に当て付けられる部位を、両フランジ部の径方向で簡便に調整することができる。
【0016】
本発明に係るフランジ接合部補強治具の更なる特徴構成は、前記進退手段が前記内嵌合部又は前記外嵌合部において前記両フランジ部の径方向に開口形成される保持孔を備え、前記進退部材が前記保持孔に挿通されて前記両フランジ部の径方向に進退自在に構成され、
前記内嵌合部と前記外嵌合部とが夫々筒状又は略筒状に構成され、前記締結手段の締結ボルトが、フランジ接合方向で前記進退部材に開口形成される貫通孔に挿通された状態で、前記内嵌合部と前記外嵌合部との筒状内部空間内に挿通されている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、内嵌合部と外嵌合部とが夫々筒状又は略筒状に構成され、外嵌合部内に内嵌合部が嵌合し、内嵌合部内の筒状内部空間に締結手段の締結ボルトが挿通されるので、両フランジ部の外周面の径方向外方側位置にある内嵌合部及び外嵌合部の配設箇所と、締結ボルトの配設箇所とを兼用することができる。これにより、両フランジ部に装着されたフランジ接合部補強治具及び締結ボルトのフランジ接合方向(軸方向)での寸法、及び、当該フランジ接合部補強治具の径方向外方側(径方向)での寸法の何れをも小さくすることができ、省スペース化を図ることができる。
また、進退部材が内嵌合部又は外嵌合部において両フランジ部の径方向に開口形成される保持孔に挿通され、且つ、締結手段の締結ボルトが内嵌合部の筒状内部空間内においてフランジ接合方向で進退部材に開口形成される貫通孔に挿通されるので、両フランジ部の径方向における進退部材の進退を保持孔により保持案内された状態で良好に行うことができ、しかも、進退部材を筒状内部空間内に挿通しても締結ボルトの締結が阻害されることがなくなる。
【0018】
本発明に係るフランジ接合部補強治具の更なる特徴構成は、前記進退手段が、前記両フランジ部の径方向内方側への前記進退部材の進入を最大進入位置に規制する最大進入位置規制部と、前記両フランジ部の径方向外方側への前記進退部材の引退を最大引退位置に規制する最大引退位置規制部とを備えた点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、両フランジ部の径方向における進退部材の進退を、最大進入位置規制部により径方向内方側への最大進入位置と最大引退位置規制部により径方向外方側への最大引退位置との範囲内で許容しながら、当該進退を当該範囲内に確実に規制することができ、進退部材が内嵌合部又は外嵌合部から離脱することを良好に防止できる。
【0020】
本発明に係るフランジ接合部補強治具の更なる特徴構成は、前記進退手段が前記内嵌合部又は前記外嵌合部において前記両フランジ部の径方向に開口形成される保持孔を備え、前記進退部材が前記保持孔に挿通されて前記両フランジ部の径方向に進退自在に構成され、
前記内嵌合部と前記外嵌合部とが夫々筒状又は略筒状に構成され、前記締結手段の締結ボルトが、フランジ接合方向で前記進退部材に開口形成される貫通孔に挿通された状態で、前記内嵌合部と前記外嵌合部との筒状内部空間内に挿通され、
前記貫通孔が、前記両フランジ部の径方向に沿った長孔に形成され、
少なくとも前記最大進入位置規制部及び前記最大引退位置規制部の一方が前記長孔により構成されている点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、少なくとも最大進入位置規制部及び最大引退位置規制部の一方が、進退部材の貫通孔(両フランジ部のフランジ接合方向に開口形成され且つ径方向に沿った長孔)により構成されているので、進退部材が径方向に進退した際、当該進退部材の長孔に挿通された締結ボルトの外周面に、当該長孔の径方向内方側部位又は径方向外方側部位が当接し、進退部材の移動が径方向内方側における最大進入位置又は径方向外方側における最大引退位置に規制される。これにより、締結ボルトを挿通するための長孔(貫通孔)を最大進入位置規制部又は最大引退位置規制部として兼用することができ、各規制部を簡単な構成で実現することができる。
【0022】
上記目的を達成するための本発明に係るフランジ接合部補強治具は、ボルト連結されている両フランジ部の外側面に各別に当接可能な押圧部を備えた一対の挟持部材と、この両挾持部材の押圧部を両フランジ部の外側面に当て付けた状態で当該両挾持部材をフランジ接合方向に引き寄せて締付固定する締結手段とを備えたフランジ接合部補強治具であって、その特徴構成は、
前記両挾持部材のフランジ接合方向で相対向する部位に、前記両フランジ部の外周面よりも径方向外方側位置においてフランジ接合方向から嵌合する内嵌合部と外嵌合部とが形成され、
前記両挟持部材の押圧部が前記両フランジ部の径方向において相互に偏倚した位置において前記両フランジ部の外側面に当て付けられた状態で、前記両挾持部材が前記締結手段により締付固定操作可能に構成されている点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、一対の挟持部材におけるフランジ接合方向で相対向する各部位に、両フランジ部の外周面よりも径方向外方側位置においてフランジ接合方向から嵌合する内嵌合部と外嵌合部とが形成されているので、一対の挟持部材の各押圧部を両フランジ部の外側面に各別に当て付けた状態で締結手段を締付けると、両挟持部材がフランジ接合方向に引き寄せられるにつれて、内嵌合部が外嵌合部内に嵌合し、内嵌合部と外嵌合部とがフランジ接合方向(軸方向)で重なった状態となる。
これにより、一対の挟持部材が締結手段により締付固定された状態で、両フランジ部に曲げ方向(径方向)への力が作用した場合でも、締結手段の締結部位に加えて、内嵌合部と外嵌合部との重なり部位でも当該力を受け止めることができ、締結手段の締結部位に掛かる応力の低減を図ることができる。従って、フランジ接合部補強治具による両フランジ部の接合強度を向上させて、両フランジ部の離間やずれ及びこれらに伴う流体の漏洩を防止することができ、管路の耐震性能の向上をも図ることができる。
【0024】
加えて、両挟持部材の押圧部がフランジ部の径方向において相互に偏倚した位置において両フランジ部の外側面に当て付けられた状態で、両挾持部材が締結手段により締付固定操作可能に構成されているので、当該状態では、両押圧部を、両フランジ部の径方向において、径方向外方側の位置で当て付けられる外方側押圧部と、当該外方側押圧部よりも径方向内方側の位置で当て付けられる内方側押圧部とから構成することが可能となる。
これにより、例えば、両フランジ部のうち一方のフランジ部に接続された空気弁や補修弁等の流体機器の外径が当該一方のフランジ部に接続される流体管の外径よりも大径で、しかも、流体機器と当該一方のフランジ部とが流体管の管軸方向において近接する場合であっても、両フランジ部の径方向外方側に適宜引退した構成である一方の挟持部材の押圧部(外方側押圧部)が流体機器に干渉しない状態で、両挟持部材を両フランジ部に装着することができ、しかも、両フランジ部のうち空気弁等の流体機器が接続されていない他方のフランジ部には、両フランジ部の径方向内方側に適宜進入した構成である他方の挟持部材の押圧部(内方側押圧部)が所期の位置でフランジ部の外側面に当て付けられる状態で、両挟持部材を両フランジ部に装着することができる。
よって、両フランジ部に容易且つ確実に装着できるとともに、両フランジ部を含む流体管路を所定の耐震性能を備えた耐震管路に補強でき、しかも、両フランジ部の離間やずれを簡便且つ安価に防止して止水性能を向上できる。
【0025】
本発明に係るフランジ接合部補強治具の更なる特徴構成は、前記フランジ接合方向における前記両フランジ部間に環状の密封部材が装着され、
少なくとも一方の挟持部材の押圧部が前記フランジ部の外側面における前記密封部材に対応する部位に位置する状態で、前記両挾持部材が前記締結手段により締付固定操作可能に構成されている点にある。
【0026】
上記特徴構成によれば、少なくとも一方の挟持部材の押圧部がフランジ部の外側面において密封部材に対応する部位に位置する状態で、両挾持部材が締結手段により締付固定操作可能に構成されているので、両押圧部のうち少なくとも一方の押圧部を当該密封部材に対応する部位におけるフランジ部の外側面に当て付けた状態で両挟持部材を締付固定して、両フランジにより密封部材を確実に押圧することができ、両フランジ部間の密封性を向上して止水性能を向上することができる。
【0027】
本発明に係るフランジ接合部補強治具の更なる特徴構成は、前記両挾持部材の前記内嵌合部と前記外嵌合部とが嵌合している状態において、一方の挾持部材の押圧部と前記内嵌合部と他方の挾持部材の押圧部と前記外嵌合部とで形成される凹部が、前記両フランジ部におけるボルト連結箇所の隣接間部位に対して径方向外方から外嵌装着可能に構成されているとともに、前記外嵌合部が、両フランジ部の外周面との当接によって設定外嵌装着位置に規制する装着規制部に構成されている点にある。
【0028】
上記特徴構成によれば、両挟持部材の両押圧部、内嵌合部及び外嵌合部により形成される凹部を、両フランジ部のボルト連結箇所の周方向での隣接部位に対して径方向外方から外嵌装着する際、両フランジ部の外周面よりも径方向外方側に位置する外嵌合部が当該外周面に当接する状態となるので、当該外嵌合部を、フランジ接合部補強治具を設定外嵌装着位置に規制する装着規制部とすることができ、フランジ接合部補強治具の装着作業の容易化及び確実化を図ることができる。また、一対の挟持部材が締結手段により締付固定された状態では、内嵌合部が内嵌された外嵌合部の外面が両フランジ部の外周面に当接しているので、両フランジ部に曲げ方向(径方向)の力が作用した場合には、当該外嵌合部の外面と両フランジ部の外周面との当接箇所でも当該力を受け止めることができ、締結手段、内嵌合部と外嵌合部との重なり部位に掛かる応力の低減を図ることができる。
従って、フランジ接合部補強治具を、両フランジ部に容易に装着できるとともに、フランジ接合部補強治具による両フランジ部の接合強度をより向上させて、両フランジ部の離間やずれ及びこれらに伴う流体の漏洩をより確実に防止することができ、管路の耐震性能の向上をも図ることができる。
【0029】
本発明に係るフランジ接合部補強治具の更なる特徴構成は、前記内嵌合部と前記外嵌合部とが相対回転不能な嵌合形状に構成されている点にある。
【0030】
上記特徴構成によれば、内嵌合部と外嵌合部とがフランジ接合方向周りで相対回転不能な状態で嵌合されるので、内嵌合部と外嵌合部との相対回転、即ち、一対の挟持部材同士の相対回転を防止することができる。これにより、両フランジ部にフランジ接合部補強治具を装着する際、両挟持部材の内嵌合部と外嵌合部とを嵌合させることで、一対の挟持部材同士の相対位置関係を所期の位置関係に位置決めすることができ、両フランジ部への装着作業をより一層容易に行うことができる。
【0031】
本発明に係るフランジ接合部補強治具の更なる特徴構成は、前記締結手段が、前記内嵌合部と前記外嵌合部との筒状内部空間に対して前記外嵌合部の外側から挿入される締結ボルトと、前記内嵌合部の内周面における前記外嵌合部側の一端部に形成された当該締結ボルトが螺合する雌ネジ部とから構成されている点にある。
【0032】
上記特徴構成によれば、締結手段が、内嵌合部と外嵌合部との筒状内部空間に対して外嵌合部の外側から挿入される締結ボルトと、内嵌合部の内周面に形成された締結ボルトが螺合する雌ネジ部とから構成されているので、雌ネジ部を筒状内部空間内における内嵌合部と外嵌合部との重なり部位に位置させることができ、締結ボルトの長さを比較的短くすることが可能となる。これにより、フランジ部の呼び径や設計圧力に応じて各フランジ部の肉厚を変更した場合でも、締結ボルトの先端が筒状内部空間の外部に突出することを良好に防止することができ、フランジ接合部補強治具の外観を損なうことなく省スペース化を図ることができる。
また、雌ネジ部が、内嵌合部の内周面における外嵌合部側の一端部に形成されているので、当該雌ネジ部は、内嵌合部と外嵌合部との筒状内部空間に挿通された締結ボルトの頭部に近接した位置に位置することとなる。これにより、雌ネジ部と締結ボルトの雄ネジ部との螺合箇所が、締結ボルトの頭部が外嵌合部と当接する位置に近接することとなり、フランジ接合方向(軸方向)における締結ボルトの頭部と当該螺合箇所との距離を比較的小さくすることができ、両フランジ部に曲げ方向(径方向)或いは引張方向(軸方向)の力が作用した場合でも、締結ボルトの伸びや破壊を良好に防止することができる。即ち、締結ボルトの伸び等を防止できるので、両フランジ部の離間やずれ及びこれらに伴う流体の漏洩を良好に防止することができる。また、当該距離を比較的小さくすることができれば、締結ボルトとして汎用のボルトを使用することが可能となり、フランジ接合部補強治具を安価のものとすることができる。
【0033】
本発明に係るフランジ接合部補強治具の更なる特徴構成は、前記締結手段が、前記内嵌合部と前記外嵌合部との筒状内部空間に対して一方の外側から貫通状態で挿入される締結ボルトと、当該締結ボルトの突出雄ネジ部に他方の外側から螺合する締結ナットとから構成されている点にある。
【0034】
上記特徴構成によれば、締結手段が、内嵌合部と外嵌合部との筒状内部空間に対して一方の外側から貫通状態で挿入される締結ボルトと、当該締結ボルトの突出雄ネジ部に他方の外側から螺合する締結ナットとから構成されているので、内嵌合部及び外嵌合部を筒状に形成するだけでよくネジ山を形成する必要がないため、フランジ接合部補強治具を簡便且つ安価な構成とすることができる。
【0035】
本発明に係るフランジ接合部補強治具の更なる特徴構成は、前記両フランジ部の夫々が流体管に接続され、前記両フランジ部のうち少なくとも一方のフランジ部に前記流体管の外径よりも大径の流体機器が接続されている点にある。
【0036】
上記特徴構成によれば、夫々が流体管に接続された両フランジ部のうち、少なくとも一方のフランジ部に流体管の外径よりも大径の流体機器が接続されているので、両フランジ部にフランジ接合部補強治具を装着する際に当該流体機器が装着の邪魔になる場合があるが、このような場合であっても、少なくとも一方の挟持部材の押圧部が当該流体機器に干渉しない状態で、両挟持部材を両フランジ部に装着することができる。