【文献】
A. Novosselov, et al.,Shaped single crystal growth and scintillating application of Yb:(Gd,Lu)3(Ga,Al)5O12 solid solutions,Optical Materials,2004年 3月16日,Vol. 26,Pages 541-543
【文献】
X. Li, et al.,Effects of Gd3+ Substitution on the Fabrication of Transparent (Y1-xGdx)3Al5O12 Ceramics,Journal of the American Ceramic Society,2010年 4月 2日,Vol. 93,Pages 2229-2235
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱安定性セラミック体の形成方法であって、集成体を焼結させることを含み、該集成体が、10μmから400μmの範囲の厚みを有する共ドープ層を含有し、該共ドープ層が、
イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)、YAG前駆体またはこれらの組み合わせと;
Nd、Er、Eu、Mn、Cr、Yb、Sm、Tb、Ce、Pr、Dy、Ho、Luおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される第1ドーパントと;
YAGの量、YAG前駆体の相当量またはこれらの組み合わせに対して%で20から%で80のGdと
を含有するものであって、
前記集成体が、前記ドープ層の一方の側面に配置された第1の層をさらに含有し、該第1の層が、YAG、YAG前駆体またはこれらの組み合わせを含有し、該第1の層には前記第1ドーパントがなく、および該第1の層が、40μmから800μmの範囲の厚みを有する方法。
前記共ドープ層が、前記第1の層と第2の層の間に配置され、該第2の層が、YAG、YAG前駆体またはこれらの組み合わせを含有し、該第2の層には前記第1ドーパントがなく、および前記第1および第2の層が、各々独立して、40μmから400μmの範囲の厚みを有する、請求項11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0068】
高いガドリニウム(Gd)濃度を有する発光セラミック材料を本明細書に開示する。驚くべきことに、本出願人は、これらの発光セラミック材料が、標準的な発光材料に比べて(たとえば、Gdを伴わないCeドープセラミック材料に比べて)高い量子効率を依然として維持しながら向上した色度を呈示できることを見いだした。一部の実施形態において、前記発光セラミック材料は、発光層の厚みに沿ってドーパント濃度勾配を有することができる。前記発光セラミック材料の製造方法、前記発光セラミック材料を含む照明器具、および前記発光セラミック材料を使用する光生成方法も本明細書に開示する。
発光セラミック
【0069】
(発光セラミック)
一部の実施形態においては、蛍光体組成物は、式I(A
1−x−zGd
xD
z)
3B
5O
12(式中、Dは、Nd、Er、Eu、Mn、Cr、Yb、Sm、Tb、Ce、Pr、Dy、Ho、Luおよびこれらの組み合わせから選択される第1ドーパントであり;Aは、Y、Lu、Ca、La、Tbおよびこれらの組み合わせから選択され;Bは、Al、Mg、Si、Ga、Inおよびこれらの組み合わせから選択され;xは、約0.20から約0.80までの範囲であり;およびzは、約0.001から約0.10までの範囲である)によって表すことができる。
【0070】
一部の実施形態において、Aは、Y、Lu、Ca、La、Tbおよびこれらの組み合わせから選択される。一部の実施形態において、AはYである。一部の実施形態において、Aは、Y、Lu、Ca、LaおよびTbから選択される。Aは、Y、Lu、Ca、LaおよびTbから選択される少なくとも2つの元素(たとえば、2、3、4または5つの元素)の組み合わせであることもある。一例として、Aは、各々がY、Lu、Ca、LaおよびTbから選択される、第1の元素と第2の元素の組み合わせであることがある。前記第1の元素の前記第2の元素に対するモル比は、たとえば、少なくとも約10対90;少なくとも約20対80;少なくとも約40対60;少なくとも約1対1;少なくとも約60対40;少なくとも約80対20;少なくとも約90対10、または少なくとも約95対5である場合がある。前記第1の元素の第2の元素に対するモル比は、たとえば、約99対1以下;約90対10以下;約80対20以下;約60対40以下;または約1:1以下である場合もある。一部の実施形態において、Aは組み合わせであり、その第1の元素はYである。一部の実施形態において、Aは組み合わせであり、その第2の元素はLuである。一部の実施形態において、Aは組み合わせであり、その第2の元素はCaである。たとえば、Aは、YとLuの約1対1のモル比での組み合わせであることがある。
【0071】
一部の実施形態において、Bは、Al、Mg、Si、Ga、Inおよびこれらの組み合わせから選択される。一部の実施形態において、BはAlである。一部の実施形態において、Bは、Mg、Si、GaおよびInから選択される。Bは、Al、Mg、Si、GaおよびInから選択される少なくとも2つの元素(たとえば、2、3、4または5つの元素)の組み合わせであることもある。一例として、Bは、各々がAl、Mg、Si、GaおよびInから選択される、第1の元素と第2の元素の組み合わせであることがある。前記第1の元素の前記第2の元素に対するモル比は、たとえば、少なくとも約10対90;少なくとも約20対80;少なくとも約40対60;少なくとも約1対1;少なくとも約60対40;少なくとも約80対20;少なくとも約90対10、または少なくとも約95対5である場合がある。前記第1の元素の第2の元素に対するモル比は、たとえば、約99対1以下;約90対10以下;約80対20以下;約60対40以下;または約1:1以下である場合もある。一部の実施形態において、Bは組み合わせであり、その第1の元素はAlである。一部の実施形態において、Bは組み合わせであり、その第2の元素はMgである。一部の実施形態において、Bは組み合わせであり、その第2の元素はSiである。たとえば、Bは、AlとMgの約1対1のモル比での組み合わせであることがある。
【0072】
一部の実施形態において、Dは、Nd、Er、Eu、Mn、Cr、Yb、Sm、Tb、Ce、Pr、Dy、Ho、Luおよびこれらの組み合わせから選択される第1ドーパントである。一部の実施形態において、前記第1ドーパントはCeである。一部の実施形態において、前記第1ドーパントは、Nd、Er、Eu、Mn、Cr、Yb、Sm、Tb、Pr、Dy、HoおよびLuから選択される。前記第1ドーパントは、Nd、Er、Eu、Mn、Cr、Yb、Sm、Tb、Ce、Pr、Dy、HoおよびLuから選択される少なくとも2つの元素(たとえば、2、3、4、5、6、7つ以上の元素)の組み合わせであることもある。一例として、前記第1ドーパントは、各々がNd、Er、Eu、Mn、Cr、Yb、Sm、Tb、Ce、Pr、Dy、HoおよびLuから選択される、第1の元素と第2の元素の組み合わせであることがある。前記第1の元素の前記第2の元素に対するモル比は、たとえば、少なくとも約10対90;少なくとも約20対80;少なくとも約40対60;少なくとも約1対1;少なくとも約60対40;少なくとも約80対20;少なくとも約90対10、または少なくとも約95対5である場合がある。前記第1の元素の第2の元素に対するモル比は、たとえば、約99対1以下;約90対10以下;約80対20以下;約60対40以下;または約1:1以下である場合もある。一部の実施形態において、前記第1ドーパントは組み合わせであり、その第1の元素はCeである。一部の実施形態において、前記第1ドーパントは組み合わせであり、その第2の元素はEuである。一部の実施形態において、前記第1ドーパントは組み合わせであり、その第2の元素はMnである。たとえば、第1ドーパントは、CeとEuの約1対1のモル比での組み合わせであることがある。
【0073】
一部の実施形態において、前記変数xは、約0.20から約0.80までの範囲である場合がある。前記変数xは、たとえば、少なくとも約0.20;少なくとも約0.25;少なくとも約0.30;または少なくとも約0.35である場合がある。前記変数xは、たとえば、約0.80以下;約0.70以下;約0.60以下;約0.50以下;約0.45以下;または約0.40以下である場合がある。xについての値の非限定的な例としては、約0.30および約0.35があげられる。
【0074】
一部の実施形態において、前記変数zは、約0.001から約0.10までの範囲である場合がある。前記変数zは、たとえば、少なくとも約0.001;少なくとも約0.005;少なくとも約0.01;または少なくとも約0.012である場合がある。前記変数zは、たとえば、約0.10以下;約0.7以下;約0.5以下;約0.4以下;約0.3以下;または約0.2以下である場合がある。zについての値の非限定的な例としては、約0.015および約0.01があげられる。
【0075】
一部の実施形態において、本願の組成物は、発光の際、熱安定性である。本明細書において用いる場合、「熱安定性(の)」は、ガドリニウムを伴わない比較対象となるセラミック材料に比べてその発光強度の少なくとも60%を保持する材料を指す。たとえば、(Y
0.635Gd
0.35Ce
0.015)
3Al
5O
12は、(Y
0.985Ce
0.015)
3Al
5O
12の発光強度の少なくとも90%を保持する場合、熱安定性であり得る。前記熱安定性セラミックは、たとえば、ガドリニウムを伴わない比較対象となるセラミック材料の発光強度の少なくとも70%;少なくとも80%;少なくとも85%;少なくとも90%;少なくとも95%;または少なくとも97%を保持することができる。
【0076】
驚くべきことに、本出願人は、高いガドリニウム濃度を有する(たとえば、xが約0.20から約0.80の範囲であり得る)式Iの組成物が、ガドリニウムを伴わない比較対象となるセラミック材料に比べて優れた色度を呈示することができることを見いだした。これらの組成物は、上で論じたように熱安定性でもあり得る。いずれの特定の理論にも縛られるものではないが、標準的な照明器具で見られる動作温度ではGdをドープした材料のほうが熱消光を受けやすいと考えられる。たとえば、LEDは、多くの場合、樹脂内に封止された発光蛍光体粉末を含み、該発光蛍光体粉末は、該樹脂の不良な熱伝導率のため、高温(たとえば、約300℃)で動作する。驚くべきことに、本出願人は、ドーパント濃度勾配またはガドリニウム濃度勾配を含めることで、これらのより高いガドリニウムレベルの使用を可能にできることを見いだした。驚くべきことに、本出願人は、ドーパント濃度勾配またはガドリニウム濃度勾配が、IQE(効率)およびより望ましい温度特性、たとえばより高い熱安定性、を犠牲にすることなく、これらのより高いガドリニウムレベルの使用を可能にし得ることも見いだした。前記ドーパント濃度勾配およびガドリニウム濃度は、たとえば、複数の異なる層を有する集成体を焼結させることによって調製することができる。驚くべきことに、本出願人は、一定の集成体構成により、優れたIQEおよび熱的性質を有するセラミック体を得ることができることを発見した。したがって、本願の組成物は、発光中に低い動作温度を維持するように構成すると、熱安定性になるだろう。
【0077】
一部の実施形態において、セラミック体は、式Iの組成物を含み、および該セラミック体が発光時に約200℃未満の温度を維持するのに十分である熱伝導率を呈示する。たとえば、前記セラミック体を、200℃未満の定常状態温度を達成するために十分な期間(たとえば、約1時間以上)、青色放射線に曝露することができる。前記青色放射線は、約455nmのピーク発光波長を有することができ、および電源に連結されたAlInGaN系単結晶半導体から放射され得る。前記定常状態温度は、約200℃未満であり得る。前記セラミック体は、たとえば、約200℃以下;約150℃以下;約125℃以下;約100℃以下;または約75℃以下の温度を維持するのに十分な熱伝導率を有することができる。一部の実施形態では、少なくとも約350mAの順方向電流を使用してAlInGaN系単結晶半導体からの放射線に前記セラミック体を暴露して、前記温度を決定することができる。たとえば、少なくとも約350mA;少なくとも約400mA;少なくとも約500mA;少なくとも約600mA;少なくとも約800mA;または少なくとも約1000mAの順方向電流を使用して、AlInGnN系単結晶半導体からの放射線に前記セラミック体を暴露して、前記温度を決定することもできる。
【0078】
一部の実施形態では、前記組成物を、少なくとも約8W/mKの熱伝導率を呈示するセラミック体の中に構成する。前記セラミック体の熱伝導率は、たとえば、少なくとも約8W/mK;少なくとも約10W/mK;少なくとも約12W/mK;または少なくとも約14W/mKであることがある。
【0079】
一部の実施形態において、前記セラミック体は、蛍光体成分の固体凝集体であることがある。下でさらに論ずるように、前記固体凝集体は、たとえば、型板またはラミネートシートを焼結させてセラミック板を形成することにより調製することができる。前記固体凝集体は、熱消光を低減させるのに十分である低い動作温度を維持するために、高い熱伝導率を呈示することができる。
【0080】
一部の実施形態において、前記セラミック体は、少なくとも約10容量%の式Iの組成物を含む。前記セラミック体中の式Iの組成物の量は、たとえば、少なくとも約10容量%;少なくとも約20容量%;少なくとも約30容量%;少なくとも約50容量%;または少なくとも約80容量%であることがある。
【0081】
一部の実施形態において、前記セラミック体は、(あったとしても)少量の結合媒体を含む。前記少量の結合媒体は、前記セラミック体の高い熱伝導率(たとえば、少なくとも約8W/mK)を得るために十分なものであり得る。たとえば、典型的なLEDベース照明器具は、エポキシ結合媒体内に封止された蛍光体粉末を含む。前記エポキシの低い熱伝導率は、熱消光を増加させる、より高い動作温度を生じさせる結果となり得る。本明細書において用いる場合、「結合媒体」は、セラミック体中の蛍光体成分間の接着を生じさせるように構成されている非蛍光体成分を含む。典型的には樹脂、たとえば、エポキシ、アクリル樹脂およびこれらに類するものなどを結合媒体として使用するが、該結合媒体は、場合によっては非樹脂成分を含むことがある。一部の実施形態において、前記結合媒体は有機材料である。一部の実施形態において、前記結合媒体は樹脂である。前記セラミック体中の結合媒体の量は、たとえば、約20容量%以下;約15容量%以下;約10容量%以下;約5容量%以下;約3容量%以下;または約1容量%以下である場合がある。一部の実施形態において、前記セラミック体には結合媒体が実質的にない。一部の実施形態において、前記セラミック体は、結合媒体を殆ど含まない。
【0082】
前記セラミック体は、式Iの組成物を有する発光層を含むことができる。一部の実施形態において、前記発光層は、約10μmから約1mmまでの範囲の厚みを有する場合がある。前記発光層は、たとえば、少なくとも約10μm;少なくとも約50μm;少なくとも約100μm;少なくとも約200μm;または少なくとも約250μmの厚みを有することがある。前記発光層は、たとえば、約1mm以下;約800μm以下;約600μm以下;約400μm以下;または約300μm以下の厚みを有することがある。
【0083】
一部の実施形態において、前記セラミック体は、樹脂に分散されている蛍光体より高い密度を有することがある。典型的に、樹脂は、約1.1g/cm
3の密度を有し、蛍光体材料と混合すると、その密度を減少させる。前記セラミック体は、たとえば、少なくとも約3g/cm
3;少なくとも約3.5g/cm
3;少なくとも約4g/cm
3;または少なくとも約4.3g/cm
3の密度を有することがある。たとえば、前記セラミック体は、約4.5g/cm
3の密度を有することがある。
【0084】
本願のセラミック体は、場合によりドーパント濃度勾配を含むことがある。前記セラミック体は、たとえば、集成体を焼結させることによって調製することができる。したがって、「セラミック体」は、一般に、照明のために使用することができる最終発光材料を含み、その一方で「集成体」は、焼結させてそのセラミック体を形成することができる複合材である。下でさらに論ずるように、集成体の焼結は、最終セラミック体中でドーパント濃度勾配を形成するドーパント拡散を生じさせるための1つの方法である。
【0085】
前記セラミック体は、「発光層の厚み」に沿ってドーパント濃度勾配を有することができる。
図1A〜Cは、前記セラミック体の様々な非限定的な例についてz軸に沿って発光層の厚みを示すものである。
図1Aは、セラミック体の1つの非限定的な例を図示するものである。セラミック体100は、ドーパントとホスト材料の一般に一様な分布とを含む、発光層105のみを含有することができる。たとえば、前記発光層は、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)ホスト材料中にGdおよびCeドーパントを有する式Iの組成物であることがある。セラミック体100は、x軸、y軸およびz軸沿って、それぞれ、長さ、幅および厚みを有する。一部の実施形態において、前記発光層の厚みは、前記セラミック体の最小寸法である。たとえば、前記セラミック体は、約1mmである長さと幅の両方、および約100μmの厚みを有することがある。一部の実施形態において、前記厚みは、最小寸法でない。もちろん、非常に多くの他の幾何形状が本願の範囲内であり、
図1Aに描かれている一般的な立方形の幾何形状に限定されない。たとえば、前記セラミック体は、円柱形、立方形などであることもある。さらに、前記セラミック体が対称あり、明確に定義された縁部または特定の数の面を有する必要はない。
【0086】
図IBは、セラミック体のもう1つの実施形態を図示するものである。セラミック体110は、発光層115のみを含有することができ、該発光層115は、ホスト材料の一般に一様な分散を有し、および円柱状または円板様幾何形状を有する。発光層115は、z軸に沿って厚みを有する。
【0087】
図1Cは、発光層と追加の層とを含むセラミック体の一部の実施形態を図示するものである。セラミック体120は、2層の非発光層140および150(たとえば、各々がイットリウム・アルミニウム・ガーネット、イットリウム・アルミニウム・ガーネット前駆体、たとえば酸化アルミニウム、またはこれらの組み合わせからなる2層)の間に挿入されている発光層130を含む。界面160が発光層130と非発光層140の間にある。同様に、界面170が発光層130と非発光層150の間にある。この実施形態では、発光層の厚みは、非発光層130および140部分を含まない。発光層130の厚みは、z軸に沿って界面160と界面170の間である。したがって、z軸に沿った発光層130の厚みは、セラミック体120の厚みより薄い。
【0088】
図2は、発光層の厚みに沿ったドーパント濃度プロファイルの先行技術例を示すグラフである。横軸は、発光層の厚みに沿った(たとえば、
図1Aに図示した発光層105のz軸に沿った)位置である。横軸に沿った位置「0」は、発光層の第1の表面(たとえば、セラミック体100の底面)にあることになる。横軸に沿った位置「(1/2)L」は、厚みに沿った中間点に(たとえば、セラミック体100の厚みに沿ったほぼ中央に)にあることになる。横軸上の位置「L」は、厚みに沿った第1の表面の反対側にある発光層の第2の表面(たとえば、セラミック体100の頂面)にあることになる。したがって、第1の表面および第2の表面は、その厚みの反対側にある(たとえば、セラミック体100の底面および頂面は、z軸に沿って反対側にある)。
【0089】
一方、
図2における縦軸は、厚みに沿った所与の位置でのドーパント濃度である。この先行技術ドーパント濃度プロファイルは、幾つかの注目に値する特徴を有する。第1に、この例は、一般に、厚みに沿って実質的に一定であるドーパント濃度を有する(すなわち、厚み全体に沿って傾きがほぼ0である)。従って、この例は、ドーパント濃度勾配を有さない。第2に、ドーパント濃度プロファイルは、厚みの実質的にすべてに沿って見られる最大ドーパント濃度(C
max)を有する。第3に、最小ドーパント濃度(C
min)が前記最大ドーパント濃度とほぼ同じである。第4に、ドーパント濃度は、厚みの実質的にすべてに沿って最大ドーパント濃度の半分より高い。言い換えると、この実質的に一定であるドーパント濃度プロファイルは、半最大ドーパント濃度(C
max/2)を有さない。
【0090】
図3は、本願の範囲内であるセラミック体についてのドーパント濃度勾配の1つの実施形態を示すグラフである。このセラミック体は、少なくとも2つのドーパント:(i)Gdおよび(ii)Nd、Er、Eu、Mn、Cr、Yb、Sm、Tb、Ce、Pr、Dy、Ho、Luまたはこれらの組み合わせから選択される第1ドーパント、を含むことがある、式Iの組成物を含むことができる。第1ドーパント濃度勾配300(たとえば、Ceドーパント濃度勾配)は、発光層の第1の表面にまたは該第1の表面付近に位置する最大第1ドーパント濃度を有し、その一方で最小ドーパント濃度は、該発光層の厚みに沿った該第1の表面の反対側にある第2の表面にまたは該第2の表面付近に位置する。また、半最大第1ドーパント濃度は、発光層の中央にまたは該中央付近に位置する。
【0091】
Gdドーパント濃度勾配310もまた、発光層の第1の表面にまたは該表面付近に位置する最大Gd濃度を有する。
図3は、測定単位なしでドーパント濃度勾配を描写したものであり、したがって、最大第1ドーパント濃度は、最大Gd濃度と必ずしも同じであるとは限らない。一部の実施形態において、最大Gd濃度は、最大第1ドーパント濃度より高い。Gd濃度勾配310によって示されるように、発光層の厚みのほぼ半分には実質的にGdがない。また、半最大Gd濃度は、最大Gd濃度と、発光層の厚み沿った中央との間に(たとえば、約(1/3)Lに)位置する。半最大第1ドーパント濃度は、最大第1ドーパント濃度から第1の距離、離れて位置し得る。そして半最大Gd濃度は、最大Gd濃度から第2の距離、離れて位置し得る。一部の実施形態において、前記第1の距離は、前記第2の距離より短い。
【0092】
図2に描写されている実質的に一定であるドーパント濃度プロファイルとは対照的に、
図3に描写されているドーパント濃度勾配は、ゼロでない値を含む可変的傾きを有する。本明細書において用いる場合、用語「傾き」は、厚み(たとえば、
図2における横軸)に沿った位置の変化に対する濃度の変化の比を意味する。ドーパント濃度を連続関数f(x)によって合理的に表すことができるならば、この関数の導関数からその傾きを決定することができる。一例として、
図3における第1ドーパント濃度勾配300の約(1/2)Lでの(またはほぼ半最大第1ドーパント濃度での)傾きの絶対値は、イットリウム・アルミニウム・ガーネット領域の厚みで割ったほぼ最大ドーパント濃度(C
max/L)より大きい。一部の実施形態において、半最大第1ドーパント濃度での傾きは、半最大Gd濃度での傾きより小さい。
【0093】
図4は、同じく本願の範囲内であるセラミック体についてのドーパント濃度勾配のもう1つの実施形態を示すグラフである。この実施形態において、セラミック体は、第1ドーパント濃度勾配400を有するが、一般に一定であるGdドーパント濃度プロファイル410を有する。したがって、Gd濃度プロファイルは、
図2に描写されているドーパント濃度プロファイルと一般に同じ特徴を有することができる。
【0094】
図5は、同じく本願の範囲内であるセラミック体についてのドーパント濃度勾配のもう1つの実施形態を示すグラフである。この実施形態において、第1ドーパント濃度勾配500は、Gd濃度勾配510より狭い。半最大第1ドーパント濃度は、最大第1ドーパント濃度から第1の距離、離れて位置し得る。そして半最大Gd濃度は、最大Gd濃度から第2の距離、離れて位置し得る。一部の実施形態において、前記第1の距離は、前記第2の距離より長い。
【0095】
図6は、同じく本願の範囲内であるセラミック体についてのドーパント濃度勾配の一部の実施形態を示すものである。第1ドーパント濃度勾配600は、発光層の中央にまたは該中央付近に最大第1ドーパント濃度を有し、その一方で最小第1ドーパント濃度は、厚みに沿って反対側にある第1および第2の表面にまたは該表面付近に位置する。また、2つの半最大第1ドーパント濃度は、Lのほぼ4分の1(すなわち、(1/4)L)および4分の3に位置する。この実施形態では、両方の半最大第1ドーパント濃度がほぼ同じ大きさの傾きを有する。第1ドーパント濃度勾配はまた、厚みの実質的にすべてに沿って該ドーパント濃度のゼロでない値(または少なからぬ量)を呈示する。
【0096】
Gd濃度勾配610もまた、発光層の中央にまたは該中央付近に最大Gd濃度を有する。一部の実施形態において、前記最大Gd濃度は、前記最大第1ドーパント濃度にまたは該濃度付近に位置する。Gd濃度勾配610は、発光層の第1および第2の表面付近に、Gdが実質的にない部分を含む。また、2つの半最大Gd濃度は、Lのほぼ3分の1(すなわち、L/3)およびLの3分の2に位置する。この実施形態では、両方の半最大Gd濃度がほぼ同じ大きさの傾きを有する。一部の実施形態において、前記2つの半最大Gd濃度間の距離は、前記2つの半最大第1ドーパント濃度間の距離より短い。
【0097】
図7は、同じく本願の範囲内であるセラミック体についてのドーパント濃度勾配の一部の実施形態を示すものである第1ドーパント濃度勾配700は、
図6に描写されている第1ドーパント濃度勾配600と一般に同じ特徴を有する。Gd濃度プロファイル710は、Gd濃度プロファイル410と一般に同じ特徴を有する。
【0098】
図8は、同じく本願の範囲内であるセラミック体についてのドーパント濃度勾配の一部の実施形態を示すものである。第1ドーパント濃度勾配800は、
図6に描写されている第1ドーパント濃度勾配600と一般に同じ特徴を有する。一方、Gdドーパント濃度810は、第1ドーパント濃度勾配800より広い。一部の実施形態において、前記2つの半最大Gd濃度間の距離は、前記2つの半最大第1ドーパント濃度間の距離より長い。
【0099】
図3〜8に描写されている第1ドーパント濃度勾配およびGd濃度勾配の一部は、発光層の中央に対して一般に対称である。言い換えると、各濃度勾配を連続関数f(x)によって合理的に表すことができるならば、f((1/2)L−z)は、0≦z≦(1/2)Lについてはf((1/2)L+z)とほぼ同じであることとなる。これらの濃度勾配はまた、単一ピークを特徴とし得る。たとえば、第1ドーパント濃度勾配600は、約(1/2)L(すなわち、(3/4)L引く(1/4)L)の半値全幅(すなわち、厚みに沿った2つの半最大ドーパント濃度間の距離)を有する。一部の実施形態において、Gd濃度勾配は、第1ドーパント濃度勾配におけるピークの半値全幅より大きい半値全幅を有するピークを含む。一部の実施形態において、Gd濃度勾配は、第1ドーパント濃度勾配におけるピークの半値全幅より小さい半最大値で全幅を有するピークを含む。一部の実施形態において、Gd濃度勾配は、第1ドーパント濃度勾配におけるピークの半値全幅とほぼ同じである半値全幅を有するピークを含む。
【0100】
前記濃度勾配の特徴づけをするために用いることができるもう1つの特徴は、平均ドーパント濃度である。厚み全体に沿った一連の均等分布濃度を合計し、この合計を、合計することに用いた濃度の総数で割ることによって、平均ドーパント濃度を決定することができる。あるいは、ドーパント濃度勾配を連続関数f(x)によって合理的に表すことができるなら、平均ドーパント濃度は、
[式1]
に等しいだろう。一例として、
図4に描写されているGd濃度プロファイル410の平均ドーパント濃度は、最大ドーパント濃度となる。対照的に、
図6に描写されている第1ドーパント濃度勾配600およびGd濃度勾配610は、それらのそれぞれの最大濃度より低い平均濃度を例証する。
【0101】
当業者には正しく認識されるであろうが、
図2〜8は、ドーパント濃度勾配およびプロファイルの単純化された実例の代表である。これらのグラフと実験結果を比較するときには様々な因子を考慮しなければならない。たとえば、測定されたドーパント濃度を歪ませるノイズを説明する必要があることもある。これは、当該技術分野において公知の様々な方法を用いる(たとえば、フーリエ変換、測定値の平均値算出などを用いる)歪みを低減させるためのデータ操作を必要とすることがある。同様に、材料の表面効果または小欠陥に起因してさらなる歪みが生ずることもある。当業者は、これらの歪みを見分けることができ、ならびにこれらの差が、本明細書に開示する例証ドーパント濃度勾配およびプロファイルとの識別特徴でないこと正しく認識することができる。
【0102】
飛行時間型二次イオン質量分光法を用いて、たとえば、関心対象のそれぞれのポイントのドーパント濃度、厚みまたは距離/位置、および関心対象のそれぞれのポイントでの結果として得られる傾きを決定することができる。濃度勾配の特徴を決定するためのこれらの方法の使用例については、米国特許出願第61/418,725号および同第13/306,797号明細書を参照されたし(これらは、それら全体が参照により本明細書に援用されている)。
【0103】
上で論じたように、本明細書に開示するセラミック体の1つの利点は、予想外に高い内部量子効率を呈示する。一部の実施形態において、前記セラミック体は、約455nmの波長を有する放射線に曝露されたとき、少なくとも約0.70の内部量子効率(IQE)を呈示する。一部の実施形態において、前記セラミック体は、約455nmの波長を有する放射線に曝露されたとき、少なくとも約0.80の内部量子効率(IQE)を呈示する。一部の実施形態において、前記セラミック体は、約455nmの波長を有する放射線に曝露されたとき、少なくとも約0.85の内部量子効率(IQE)を呈示する。一部の実施形態において、前記セラミック体は、約455nmの波長を有する放射線に曝露されたとき、少なくとも約0.90の内部量子効率(IQE)を呈示する。一部の実施形態において、前記セラミック体は、約455nmの波長を有する放射線に曝露されたとき、少なくとも約0.95の内部量子効率(IQE)を呈示する。
【0104】
前記セラミック体はまた、高い透過率を有することができる。たとえば、前記セラミック体は、少なくとも70%の透過率を有することができる。一部の実施形態において、前記セラミック体は、少なくとも80%の透過率を有することができる。一部の実施形態において、前記セラミック体は、少なくとも90%の透過率を有することができる。前記透過率を、たとえば約800nmで判定することができる。
【0105】
一部の実施形態において、本願の組成物は、ガドリニウムを伴わない比較対象となる組成物に比べて赤方シフトしたピーク発光波長を呈示する。一部の実施形態において、前記セラミック体は、少なくとも約535nmのピーク発光波長を呈示する。一部の実施形態において、前記セラミック体は、少なくとも約540nmのピーク発光波長を呈示する。一部の実施形態において、前記セラミック体は、少なくとも約545nmのピーク発光波長を呈示する。一部の実施形態において、前記セラミック体は、少なくとも約550nmのピーク発光波長を呈示する。一部の実施形態において、前記セラミック体は、少なくとも約555nmのピーク発光波長を呈示する。前記ピーク発光波長は、たとえば、約455nmの波長を有する放射線に前記セラミック体を暴露することにより判定することができる。
【0106】
(発光セラミックの製造方法)
本明細書に開示する一部の実施形態は、式Iの組成物を含む発光セラミックの製造方法を含む。前記方法は、たとえば、集成体を焼結させてセラミック体を形成することを含む場合がある。前記方法を用いて、上で開示した任意のセラミック体を調製することができる。
【0107】
セラミック体を形成するために集成体を焼結させる様々な方法が当該技術分野において公知である。たとえば、米国特許第7,514,721号明細書、米国特許出願公開第2009/0108507号明細書、米国特許出願第61/418,725号および同第13/306,797号明細書(これらは、それら全体が参照により本明細書に援用されている)における開示に従って2つ以上のキャストテープをラミネートして焼結させることができる。もう1つの例として、米国特許出願公開第2009/0212697号明細書および米国特許出願第61/315,763号明細書(これらの両方は、それら全体が参照により本明細書に援用されている)に開示されているように、蛍光体混合物を成形して焼結させることによってセラミック体を調製することができる。
【0108】
図9Aは、共ドープ層910のみを含有する集成体900の側面図である。共ドープ層910は、たとえば、式Iの組成物を含むセラミック体を得るために適切な条件下で焼結させることができる、1つ以上のラミネートシートまたは型板であり得る。
図9Bは、集成体900の透視図を示すものである。一部の実施形態において、この集成体は、焼結時に発光層中のドーパントの分布が一般に一様(たとえば、
図2に描写されているような一様分布)になるように、蛍光体成分(またはその前駆体)の一般に一様な分布を含む。
【0109】
図10Aは、層1020の一方の側面に配置された共ドープ層1010を有する集成体1000の側面図である。
図10Bは、集成体100の透視図を示すものである。集成体100を、たとえば、
図3に描写されているものと同様のドーパント濃度勾配を得るために適切な条件下で構成して焼結させることができる。式Iの組成物を含むセラミック体を得るために適切な条件下で共ドープ層1010を焼結させることができる。
【0110】
層1020は、共ドープ層1010と同じホスト材料を含むことができる。そのため、共ドープ層1010中に存在するドーパントは、焼結中に層1020へと拡散することができる。これにより、1つ以上の濃度勾配を有するセラミック体を形成することができる。たとえば、共ドープ層1010は、(Y
0.64Gd
0.35Ce
0.01)
3Al
5O
12を含むことがあり、および層1020は、(Y
0.65Gd
0.35)
3Al
50
12を含むことがある。焼結中にCeが共ドープ層1010から層1020へと拡散して、たとえば、
図4に描写されているドーパント濃度プロファイルを生じさせることがある。一部の実施形態において、層1020には第1ドーパント(すなわち、式Iの組成中のD)が実質的にない。一部の実施形態において、層1020は、第1ドーパントを殆ど含まない。一部の実施形態において、層1020にはGdが実質的にない。一部の実施形態において、層1020は、Gdを殆ど含まない。一部の実施形態において、層1020は、Gdを含むが、第1ドーパントを殆ど含まない。一部の実施形態において、層1020はGdを含むが、層1020には第1ドーパントが実質的にない。一部の実施形態において、層1020は、共ドープ層1020とほぼ同じ濃度のGdを含む。一部の実施形態において、層1020には第1および第2ドーパント(たとえば、式Iの組成中のそれぞれDおよびGd)が実質的にない。一部の実施形態において、層1020は、第1および第2ドーパントを殆ど含まない。一部の実施形態において、層1020にはGdおよびCeが実質的にない。
【0111】
図11Aおよび11Bは、本明細書に開示する方法に従って焼結させることができる集成体のもう1つの実施形態を図示するものである。
図11Aは、第1の層1120と第2の層1130の間に挿入されている共ドープ層1110を有する集成体1100の側面図である。
図11Bは、集成体1100の透視図を示すものである。第1の層1120および第2の層1130は、
図10に描写されている層1020と一般に同じ組成を有することができる。たとえば、第1の層1120および第2の層1130は、各々、(Y
0.65Gd
0.35)Al
5O
12を含む場合があり、その一方で共ドープ層1110は、(Y
0.64Gd
0.35Ce
0.01)
3Al
5O
12を含む場合がある。もう1つの例として、第1の層1120および第2の層1130には、各々、第1および第2ドーパント(たとえば、式Iの組成中のそれぞれDおよびGd)が実質的にない場合があり、その一方で、共ドープ層1110は、式I、たとえば(Y
0.64Gd
0.35Ce
0.01)
3Al
5O
12、で示されるような材料を含む場合がある。一部の実施形態において、第1の層1120および第2の層1130は、ほぼ同じ組成を有する。一部の実施形態において、第1の層1120および第2の層1130は、第1および第2のドーパントを殆ど含まない。一部の実施形態において、第1の層1120および第2の層1130には、GdおよびCeが実質的にない。一部の実施形態において、第1の層1120および第2の層1130は、GdおよびCeを殆ど含まず、その一方で共ドープ層1110は、式I、たとえば(Y
0.64Gd
0.35Ce
0.01)
3Al
5O
12、で示されるような材料を含む場合がある。焼結中に第1ドーパント(たとえば、Ce)および/または第2のドーパント(たとえば、Gd)は、共ドープ層1110から第1の層1120および第2の層1130へと拡散して、たとえば、その集成体の構成に依存して
図7または
図8に描写されているドーパント濃度プロファイルを生じさせることがある。
【0112】
もう1つの例では、第1の層1110および第2の層1120には、各々、第1ドーパント(たとえば、式Iの組成中のD)が実質的にない場合があり、その一方で、共ドープ層1110は、式I、たとえば(Y
0.64Gd
0.35Ce
0.01)
3Al
5O
12、で示されるような材料を含む場合がある。一部の実施形態において、第1の層1120および第2の層1130は、第1ドーパントを殆ど含まない場合がある。一部の実施形態において、第1の層1120および第2の層1130にはCeが実質的にない場合がある。一部の実施形態において、第1の層1120および第2の層1130は、Ceを殆ど含まない場合があり、その一方で共ドープ層1110は、式I、たとえば(Y
0.64Gd
0.35Ce
0.01)
3Al
5O
12、で示されるような材料を含む場合がある。
【0113】
もう1つの例では、第1の層1110および第2の層1120には、各々、Gdが実質的にない場合があり、その一方で、共ドープ層1110は、式I、たとえば(Y
0.64Gd
0.35Ce
0.01)
3Al
5O
12、で示されるような材料を含む場合がある。一部の実施形態において、層1020は、Gdを殆ど含まない。一部の実施形態において、層1020にはGdが実質的にない。一部の実施形態において、層1020は、Gdを殆ど含まず、その一方で共ドープ層1110は、式I、たとえば(Y
0.64Gd
0.35Ce
0.01)
3Al
5O
12、で示されるような材料を含む場合がある。
【0114】
図12Aおよび12Bは、本明細書に開示する方法に従って焼結させることができる集成体のもう1つの実施形態を図示するものである。
図12Aは、第1の層1220と第2の層1230の間に配置された共ドープ層1210を有する集成体1200の側面図である。第1の層1220は、共ドープ層1210と第3の層1240の間に配置されている。第2の層1230は、共ドープ層1210と第4の層1250の間に配置されている。
図12Bは、集成体1100の透視図を示すものである。
【0115】
第1の層1220および第2の層1230は、層1020について説明したのと一般に同じ組成を有することができる。一部の実施形態において、第1の層1220および第2の層1230は、ほぼ同じ組成を有する。一部の実施形態において、第3の層1240および第4の層1250は、共ドープ層1210と同じホスト材料を含むことがある。一部の実施形態において、第3の層1240および第4の層1250は、第1ドーパントおよびGdを殆ど含まない。一部の実施形態において、第3の層1240および第4の層1250は、第1ドーパントを殆ど含まない。一部の実施形態において、第3の層1240および第4の層1250は、Gdを殆ど含まない。一部の実施形態において、第3の層1240および第4の層1250には、第1ドーパントおよびGdが実質的にない。一部の実施形態において、第3の層1240および第4の層1250は、同じ組成を有する。一例として、第1の層1220および第2の層1230は、各々、(Y
0.65Gd
0.35)
3Al
5O
12を含む場合があり、共ドープ層1210は、(Y
0.64Gd
0.35Ce
0.01)
3Al
5O
12を含む場合があり、ならびに第3の層1240および第4の層1250は、各々、Y
3Al
5O
12を含む場合がある。焼結中にCeおよびGdが層間で拡散して、たとえば、
図8に描写されているドーパント濃度プロファイルを生じさせることがある。
【0116】
一部の実施形態において、第3の層1240および第4の層1250は、層1020について説明したのと一般に同じ組成を有することができる。一部の実施形態において、第3の層1240および第4の層1250は、同じ組成を有する。一部の実施形態において、第1の層1220および第3の層1230は、共ドープ層1210と同じホスト材料を含むことがある。一部の実施形態において、第1の層1220および第2の層1230は、第1ドーパントおよびGdを殆ど含まない。一部の実施形態において、第1の層1220および第2の層1230は、第1ドーパントを殆ど含まない。一部の実施形態において、第1の層1220および第2の層1230は、Gdを殆ど含まない。一部の実施形態において、第1の層1220および第2の層1230には、第1ドーパントおよびGdが実質的にない。一部の実施形態において、第1の層1220および第2の層1230には、第1ドーパントが実質的にない。一部の実施形態において、第1の層1220および第2の層1230には、Gdが実質的にない。一部の実施形態において、第1の層1220および第2の層1230は、同じ組成を有する。一例として、第3の層1240および第4の層1250は、各々、(Y
0.65Gd
0.35)
3Al
5O
12を含む場合があり、共ドープ層1210は、(Y
0.64Gd
0.35Ce
0.01)
3Al
5O
12を含む場合があり、ならびに第1の層1220および第2の層1230は、各々、Y
3Al
5O
12を含む場合がある。焼結中にCeおよびGdが層間で拡散して、ドーパント濃度プロファイルを生じさせることがある。
【0117】
前記集成体の共ドープ層は、ホスト材料、ホスト材料前駆体、またはこれらの組み合わせを含む場合がある。一部の実施形態において、前記ホスト材料は、ガーネットである。一部の実施形態において、前記ホスト材料は、イットリウム・アルミニウム・ガーネットである。「ホスト材料前駆体」は、前記工程中にホスト材料を形成することとなる任意の成分であり得る。一例として、イットリウム・アルミニウム・ガーネット前駆体は、焼結中にイットリウム・アルミニウム・ガーネットを形成する、3:5の化学量論比でのY
2O
3とAl
2O
3の混合物であることがある。本明細書において用いる場合、「ホスト材料前駆体の相当量」は、加工後にホスト材料前駆体が生じさせるホスト材料の量である。一部の実施形態において、前記共ドープ層は、少なくとも50重量%のイットリウム・アルミニウム・ガーネットおよび/またはその相当量の前駆体を含む。一部の実施形態において、前記共ドープ層は、少なくとも80%のイットリウム・アルミニウム・ガーネットおよび/またはその相当量の前駆体を含む。一部の実施形態において、前記共ドープ層は、少なくとも90%のイットリウム・アルミニウム・ガーネットおよび/またはその相当量の前駆体を含む。一部の実施形態において、前記共ドープ層は、イットリウム・アルミニウム・ガーネットおよび所望のドーパントから本質的になる。
【0118】
前記共ドープ層は、Nd、Er、Eu、Mn、Cr、Yb、Sm、Tb、Ce、Pr、Dy、Ho、Luおよびこれらの組み合わせから選択される第1ドーパントも含む。一部の実施形態において、前記第1ドーパントはCeである。前記共ドープ層中のドーパントの量は、焼結完了後にセラミック体にルミネッセンスを付与するのに有効な量であり得る。一部の実施形態において、前記共ドープ層は、%で約0.1から%で10の第1ドーパントを含む。前記共ドープ層は、たとえば、%で少なくとも約0.2;%で少なくとも約0.4;%で少なくとも約0.5;%で少なくとも約0.6;%で少なくとも約1;%で少なくとも約1.5;または%で少なくとも約2の第1ドーパントを含むことがある。前記共ドープ層は、たとえば、%で約10以下;%で約5以下;%で約4以下;%で約3.5以下;または%で約3以下の第1ドーパントを含むことがある。一部の実施形態において、前記共ドープ層は、第1ドーパントの一般に一様な分布を含有する。
【0119】
前記共ドープ層は、Gdも含む。前記共ドープ層中のGdの量は、たとえば、%で約4から%で約80までの範囲である場合がある。前記Gd量は、たとえば、%で少なくとも約5;%で少なくとも約10;%で少なくとも約15;%で少なくとも約20;%で少なくとも約25;%で少なくとも約30;%で少なくとも約35;%で少なくとも約40;%で少なくとも約45;または%で少なくとも約50である場合がある。前記Gd量は、たとえば、%で約80以下;%で約70以下;%で約60以下;%で約50以下;%で約45以下;または%で約40以下である場合がある。Gdの濃度の非限定的な例としては、%で約10と%で約35の間があげられる。
【0120】
前記集成体中の1層以上の層(たとえば、1、2、3または4層)(たとえば、
図12Aおよび12Bに描写されている層1220、1230、1240および1250)が、ホスト材料、ホスト材料前駆体、またはこれらの組み合わせを含む場合もある。一部の実施形態において、前記1層以上の層は、少なくとも50重量%のホスト材料および/またはその相当量の前駆体を含む。一部の実施形態において、前記1層以上の層は、少なくとも80%のホスト材料および/またはその相当量の前駆体を含む。一部の実施形態において、前記層は、少なくとも90%のホスト材料および/またはその相当量の前駆体を含む。一部の実施形態において、前記共ドープ層中のホスト材料は、前記1層以上の層中のホスト材料と同じである。一部の実施形態において、前記1層以上の層は、ホスト材料、ホスト材料前駆体またはこれらの組み合わせから本質的になる。前記1層以上の層中のホスト材料は、たとえば、イットリウム・アルミニウム・ガーネットである場合がある。一部の実施形態において、前記1層以上の層は、イットリウム・アルミニウム・ガーネットから本質的になる。
【0121】
一部の実施形態において、前記1層以上の層には、前記共ドープ層中の第1ドーパントが実質的にないことがある。たとえば、Ceを有する共ドープ層を、Ceを殆ど含まない2層間に配置することができる。一部の実施形態において、前記共ドープ層に隣接している層はGdを含む。前記共ドープ層に隣接している層は、該共ドープ層中のものと同じ原子百分率のGdを含むことがある。たとえば、前記層は、各々、(Y
0.65Gd
0.35)
3Al
5O
12を含むことがあり、および前記共ドープ層は、(Y
0.64Gd
0.35Ce
0.01)
3Al
5O
12を含む場合がある。一部の実施形態において、少なくとも1層の層には、共ドープ層中のGdおよび第1ドーパントが実質的にない。たとえば、前記共ドープ層は、(Y
0.64Gd
0.35Ce
0.01)
3Al
5O
12を含む場合があり、該共ドープ層に隣接している2層の中間層は、(Y
0.65Gd
0.35)
3Al
5O
12を含む場合があり、および2層の外層は、Y
3Al
5O
12を含む場合がある。もう1つの例として、前記共ドープ層は、(Y
0.64Gd
0.35Ce
0.01)
3Al
5O
12を含む場合があり、該共ドープ層に隣接している2層の中間層は、Y
3Al
5O
12を含む場合があり、および2層の外層は、(Y
0.65Gd
0.35)
3Al
5O
12を含む場合がある。一部の実施形態において、少なくとも1層の層(たとえば、1、2、3、4層以上の層)は、セラミック体に対してルミネッセンスを付与する効果のない量の第1ドーパントを含む場合がある。一部の実施形態において、少なくとも1層の層は、%で約0.05未満の第1ドーパントを含む場合がある。一部の実施形態において、少なくとも1層の層は、%で約0.01未満の第1ドーパントを含む場合がある。一部の実施形態において、少なくとも1層の層は、%で約0.001未満の第1ドーパントを含む場合がある。
【0122】
前記共ドープ層および1層以上の層の相対的厚みは、内部量子効率に影響を及ぼすことがある。厚みによって量子効率が如何に制御され得るかについてのさらなる論考に関しては、米国特許出願第61/418,725号および同第13/306,797号明細書を参照されたし(これら各々が参照により本明細書に援用されている)。したがって、一部の実施形態において、前記共ドープ層は、該共ドープ層中の少なくとも第1ドーパント濃度の低減を可能にするように構成された厚みを有する。一部の実施形態において、前記共ドープ層は、該共ドープ層からのそして前記1つ以上の層への少なくとも第1ドーパントの拡散を可能にするように構成された厚みを有する。一部の実施形態において、前記共ドープ層は、約10μmから約500μmの範囲の厚みを有する。一部の実施形態において、前記共ドープ層は、約40μmから約400μmの範囲の厚みを有する。前記共ドープ層は、たとえば、少なくとも約20μm;少なくとも約30μm;少なくとも約40μm;または少なくとも約50μmである厚みを有することがある。前記共ドープ層は、たとえば、約200μm以下;約150μm以下;約120μm以下;約100μm以下;約80μm以下;または約70μm以下である厚みを有することもある。
【0123】
前記集成体中の1層以上の層(たとえば、1、2、3または4層)(たとえば、
図12Aおよび12Bに描写されている層1220、1230、1240および1250)は、各々独立して、約30μmから約800μmの範囲の厚みを有することがある。一部の実施形態において、前記1層以上の層は、各々独立して、約40μmから約400μmの範囲の厚みを有することがある。前記1層以上の層は、たとえば、各々独立して、少なくとも約40μm;少なくとも約60μm;少なくとも約80μm;少なくとも約90μm;少なくとも約100μm;少なくとも約120μm;少なくとも約150μm;少なくとも約200μm;または少なくとも約400μmである厚みを有することがある。前記1層以上の層は、たとえば、各々独立して、約800μm以下;約600μm以下;約500μm以下;約400μm以下;約300μm以下;約250μm以下;約200μm以下;約150μm以下;または約120μm以下である厚みを有することがある。一部の実施形態において、少なくとも1層の層(たとえば、1、2、3または4層)は、前記共ドープ層の厚み以下の厚みを有することがある。一部の実施形態において、少なくとも1層の層(たとえば、1、2、3または4層)は、前記共ドープ層の厚み以上の厚みを有する。
【0124】
前記共ドープ層の厚みは、たとえば、少なくとも1層の層(たとえば、
図12Aに描写されている1220、1230、1240および/または1250)の厚みより薄いことがある。一部の実施形態において、前記少なくとも1層の層の厚みの前記共ドープ層の厚みに対する比は、約20:1から約1.5:1の範囲であることがある。前記少なくとも1層の層の厚みの前記共ドープ層の厚みに対する比は、たとえば、約15:1以下;約12:1以下;約10:1以下;約8:1以下;または約5:1以下であることがある。前記少なくとも1層の層の厚みの前記共ドープ層の厚みに対する比は、たとえば、少なくとも約2:1;少なくとも約3:1;少なくとも約4:1;または少なくとも約5:1であることもある。
【0125】
前記集成体の総厚は、特に限定されない。一部の実施形態において、前記集成体は、約10μmから1mmまでの範囲の厚みを有する場合がある。前記集成体は、たとえば、少なくとも約10μm;少なくとも約50μm;少なくとも約100μm;少なくとも約200μm;または少なくとも約250μmの厚みを有することがある。前記集成体は、たとえば、約1mm以下;約800μm以下;約600μm以下;約400μm以下;または約300μm以下の厚みを有することがある。
【0126】
図13は、ラミネーションを含むセラミック体形成の1つの実施形態についての調製フロー図を示すものである。第1に、溶剤の蒸発中の毛管力からのキャストテープの亀裂を低減させるために、原料(たとえば、硝酸塩または酸化物系原料、たとえばYAGを形成するためのY
2O
3およびAl
2O
3)の粒径を場合により調整することができる。たとえば、原料粒子をプレアニールして所望の粒径を得ることにより、粒径を調整することができる。原料粒子を約800℃から約1800℃(またはさらに好ましくは1000℃から約1500℃)の温度範囲でプレアニールして、所望の粒径を得ることができる。前記プレアニールは、真空、空気、O
2、H
2、H
2/N
2、または希ガス(たとえば、He、Are、Kr、Ex..、Run、またはこれらの組み合わせ)中で行うことができる。ある実施形態では、原料(たとえば、YAGを形成するためのY
2O
3およびAl
2O
3)の各々をほぼ同じ粒径になるように調整する。もう1つの実施形態において、前記粒子は、約0.5m
2/gから約20m
2/g(好ましくは約1.0m
2/gから約10m
2/g、またはさらに好ましくは約3.0m
2/gから6.0m
2/g)の範囲のBET表面積を有する。
【0127】
次に、テープへのその後のキャスティングのためにスラリーを調製することができる。予め製造しておいた蛍光体(たとえば、本明細書中で説明するフローベースの熱化学的合成によって調製した蛍光体)および/または化学量論量の原料を様々な成分と混ぜ合わせて混合物を形成することができる。その混合物の成分の例としては、ドーパント、分散剤、可塑剤、結合剤、焼結助剤および溶剤があげられるが、これらに限定されない。
【0128】
一部の実施形態では、必要に応じて、集成体の焼結特性を向上させるために少量のフラックス材料(たとえば、焼結助剤)を使用することがある。一部の実施形態において、前記焼結助剤としては、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、コロイド状シリカ、酸化リチウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化ホウ素、またはフッ化カルシウムをあげることができるが、これらに限定されない。さらなる焼結助剤としては、アルカリ金属ハロゲン化物、たとえばNaClまたはKCl、および有機化合物、たとえば尿素があげられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、前記集成体は、約0.01重量%と約5重量%の間、約0.05重量%と約5重量%の間、約0.1重量%と約4重量%の間、または約0.3重量%と約1重量%の間のフラックス材料(単数もしくは複数)または焼結助剤(単数もしくは複数)を含有する。前記焼結助剤を原料と混ぜ合わせることができる。たとえば、一部の実施形態では、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を原料に添加して、所望の量の焼結助剤を供給することができる。1つの実施形態では、約0.05重量%から約5重量%のTEOSを前記集成体に供給する。一部の実施形態において、前記TEOSの量は、約0.3重量%と約1重量%の間であることがある。
【0129】
一部の実施形態では、セラミックのガラス転移温度を低下させるためにおよび/または可撓性を向上させるために、様々な可塑剤も含めることがある。可塑剤の非限定的な例としては、ジカルボン酸エステル/トリカルボン酸エステル系可塑剤、たとえば、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ビス(n−ブチル)、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチルおよびフタル酸ジ−n−ヘキシル;アジペート系可塑剤、たとえば、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジメチル、アジピン酸モノメチルおよびアジピン酸ジオクチル;セバケート系可塑剤、たとえば、セバシン酸ジブチル、およびマレエート;マレイン酸ジブチル;マレイン酸ジイソブチル;ポリアルキレングリコール、たとえば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびこれらのコポリマー;ベンゾエート;エポキシ化植物油;スルホンアミド、たとえば、N−エチルトルエンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド、およびN−(n−ブチル)ベンゼンスルホンアミド;有機ホスフェート、たとえば、リン酸トリクレシル、リン酸トリブチル;グリコール/ポリエーテル、たとえば、トリエチレングリコールジヘキサノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート;クエン酸アルキル、たとえば、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリオクチル、クエン酸トリヘキシル、クエン酸アセチルトリヘキシル、クエン酸ブチリルトリヘキシル、およびクエン酸トリメチル;アルキルスルホン酸フェニルエステル;およびこれらの混合物があげられる。
【0130】
一部の実施形態では、結合剤樹脂および溶剤を原料粉末に時折添加することによって、前記工程をより容易にすることができる。結合剤は、複合材を形成するために加熱される組成物の粒子の接着を増進させる任意の物質である。結合剤の一部の非限定的例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルクロリド、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート類、およびポリビニルブチラート類などがあげられる。すべてではないが一部の状況では、結合剤が、焼結相中に前駆体混合物からそれを完全に除去または排除することができるほどに十分揮発性であることが、有用であることがある。使用することができる溶剤としては、水、低級アルカノール、たとえば、これらに限定されないが、変性エタノール、メタノール、イソプロピルアルコールおよびこれらの混合物、好ましくは変性エタノール、キシレン、シクロヘキサノン、アセトン、トルエンおよびメチルエチルケトン、ならびにこれらの混合物をあげることができるが、それらに限定されない。好ましい実施形態において、溶剤は、キシレンとエタノールの混合物である。
【0131】
一部の実施形態において、前記分散剤は、Flowen、魚油、長鎖ポリマー、ステアリン酸(steric acid)、酸化メンヘーデン魚油、ジカルボン酸、たとえばコハク酸、ソルビタン(orbitan)モノオレエート、エタン二酸、プロパン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸、o−フタル酸、p−フタル酸およびこれらの混合物であり得る。
【0132】
次に、その混合物を粉砕に付して、たとえば、その混合物を約0.5時間から約100時間(好ましくは、約6時間から約48時間、またはさらに好ましくは約12時間から約24時間)の範囲の期間、ボールミリングすることにより、スラリーを形成することができる。前記ボールミリングには、前記混合物中に混ぜ合わせられている成分以外の材料を含むミリングボールを用いることができる(たとえば、YAGを形成する混合物のためのミリングボールは、ZrO
2であることがある)。ある実施形態において、前記ボールミリングは、一定の期間の後、濾過または他の公知単離方法によってミリングボールを単離することを含む。一部の実施形態において、前記スラリーは、約10cPから約5000cP(好ましくは約100cPから約3000cP、またはさらに好ましくは約400cPから1000cP)の範囲の粘度を有する。
【0133】
第3に、前記スラリーを剥離性基材(たとえば、シリコーン被覆ポリエチレンテレフタレート基材)上にキャストしてテープを形成することができる。たとえば、移動するキャリア上に、ドクターブレードを使用して前記スラリーをキャストし、乾燥させてテープを形成することができる。前記ドクターブレードと前記移動するキャリアとの間隙を変化させることによって、キャストテープの厚みを調整することができる。一部の実施形態において、前記ドクターブレードと前記移動するキャリアとの間隙は、約0.125mmから約1.25mm(好ましくは約0.25mmから約1.00mm、またはさらに好ましくは約0.375mmから約0.75mm)の範囲である。一方、前記移動するキャリアの速さは、約10cm/分から約150cm/分(好ましくは約30cm/分から約100cm/分、またはさらに好ましくは約40cm/分から約60cm/分)の範囲の速度を有する場合がある。前記移動するキャリアの速さ、および前記ドクターブレードと前記移動するキャリアとの間隙を調整することにより、前記テープは、約20μmと約300μmの間の厚みを有することができる。場合により、前記テープをキャスティング後に所望の形状に切断してもよい。
【0134】
2つ以上のテープをラミネートして集成体を形成することができる。このラミネーション段階は、2つ以上のテープを積層する(たとえば、2から100のテープを積層する)こと、および積層したテープを熱および一軸圧力(たとえば、テープ表面に対して垂直な圧力)に付すことを含む場合がある。たとえば、積層したテープを、該テープ中に含有されている結合剤のガラス転移温度(T
g)より上に加熱し、金属製ダイを使用して一軸圧縮することができる。一部の実施形態において、前記一軸圧力は、約1から約500MPa(好ましくは約30MPaから約60MPa)の範囲である。一部の実施形態では、約1分から約60分(好ましくは約15分から約45分、またはさらに好ましくは約30分)の範囲の期間、熱および圧力を印加する。このラミネーション段階は、たとえば成形ダイを使用することにより、集成体に様々な形状(たとえば、穴もしくは柱)またはパターンを形成することを場合により含むことがある。
【0135】
前記集成体の一部の実施形態は、式Iの組成物またはその前駆体を含む少なくとも1つ以上のテープを含む。前記1つ以上のテープを互いにラミネートして集成体を形成することができる。一部の実施形態において、前記集成体は、他の層を含まないことがある(たとえば、
図9に描写されている集成体910)。一部の実施形態において、前記集成体は、共ドープ層とは異なる1層以上の層を含む場合もある。前記1層以上の層は、各々、1つ以上のテープを含む場合がある。たとえば、前記集成体は、ホスト材料またはその前駆体を含む層を一方の側面に有する共ドープ層を含むことがある。もう1つの例として、前記集成体は、Gdがドープされたホスト材料またはその前駆体を含む層を一方の側面に有する共ドープ層を含むことがある。もちろん、様々な構成、たとえば
図9〜12に描写されている任意の構成で、前記テープを積層することができる。前記共ドープ層および1層以上の層の厚みを、前記集成体中のテープの数を変えることによって変更することができる。たとえば、より厚い共ドープ層を得るために、式Iの組成物を有する集成体に追加のテープ層を加えることができる。
【0136】
本明細書に開示する方法は、前記集成体を焼結させてセラミック体を得ることを含み得る。本願の教示により導かれて、当業者には正しく認識されるであろうが、前記集成体の構成により前記セラミック体中の濃度プロファイルを制御することができる。また、温度および時間などの焼結条件が、濃度プロファイルに影響を及ぼすことがある。
【0137】
場合により、前記第1ドーパントの一部分が前記工程中に共ドープ層から出て拡散するように、前記集成および焼結条件を構成することができる。たとえば、前記第1ドーパントは、前記集成体中の隣接している層へと拡散することができる。一部の実施形態において、前記第1ドーパントの少なくとも30%は、前記工程中に前記共ドープ層から出て拡散する。一部の実施形態において、前記第1ドーパントの少なくとも40%は、前記工程中に前記共ドープ層から出て拡散する。一部の実施形態において、前記第1ドーパントの少なくとも50%は、前記工程中に前記共ドープ層から出て拡散する。一部の実施形態において、前記第1ドーパントの少なくとも60%は、前記工程中に前記共ドープ層から出て拡散する。一部の実施形態において、前記第1ドーパントの少なくとも70%は、前記工程中に前記共ドープ層から出て拡散する。
【0138】
場合により、Gdの一部分が前記工程中に共ドープ層から出て拡散するように、前記集成体および焼結条件を構成することもできる。たとえば、Gdは、前記集成体中の隣接している層へと拡散することができる。一部の実施形態において、Gdの少なくとも5%は、前記工程中に前記共ドープ層から出て拡散する。一部の実施形態において、Gdの少なくとも10%は、前記工程中に前記共ドープ層から出て拡散する。一部の実施形態において、Gdの少なくとも70%以下は、前記工程中に前記共ドープ層から出て拡散する。一部の実施形態において、Gdの少なくとも50%以下は、前記工程中に前記共ドープ層から出て拡散する。一部の実施形態において、Gdの少なくとも30%以下は、前記工程中に前記共ドープ層から出て拡散する。一部の実施形態において、Gdの少なくとも20%以下は、前記工程中に前記共ドープ層から出て拡散する。
【0139】
焼結条件を調整して、前記集成体中の(たとえば、焼結前の)共ドープ層の初期最大第1ドーパント濃度を基準にして前記セラミック体中の最大第1ドーパント濃度を制御することもできる。たとえば、%で0.5のCeがドープされた層を有する集成体を焼結させて、最大ドーパント濃度が%で約0.25Ceである第1ドーパント濃度勾配を有する発光層を生成することができる。したがって、このケースでは、最大第1ドーパント濃度は、共ドープ層中の初期最大第1ドーパント濃度の約50%である。一部の実施形態において、前記発光層の第1ドーパント濃度勾配は、前記集成体のドープ層中の初期第1ドーパント濃度の約65%以下である最大第1ドーパント濃度を有する。前記発光層の第1ドーパント濃度勾配は、たとえば、前記集成体の共ドープ層中の初期第1ドーパント濃度の約60%以下;前記集成体の共ドープ層中の初期第1ドーパント濃度の約55%以下;前記集成体の共ドープ層中の初期第1ドーパント濃度の約50%以下;前記集成体の共ドープ層中の初期第1ドーパント濃度の約40%以下;または前記集成体の共ドープ層中の初期第1ドーパント濃度の約25%以下である最大第1ドーパント濃度を有することもある。
【0140】
焼結に先立ち、自由選択の脱バインダ工程を完了してもよい。この脱バインダ工程は、前記集成体中の有機成分(たとえば、集成体中の揮発性結合剤および可塑剤)の少なくとも一部分を分解することを含む。一例として、前記集成体を空気中で約300℃から約1200℃(好ましくは約500℃から約1000℃、またはさらに好ましくは約800℃)の範囲の温度に約0.1℃/分から約10℃/分(好ましくは約0.3℃/分から約5℃/分、またはさらに好ましくは約0.5℃/分から約1.5℃/分)の速度で加熱することができる。この加熱段階は、集成体の厚みに基づいて選択することができる約30分から約300分の範囲の期間、前記温度を維持することも含むことがある。
【0141】
前記集成体を真空、空気、O
2、H
2、H
2/N
2、または希ガス(たとえば、He、Are、Kr、Ex.、Run、またはこれらの組み合わせ)中、約1200℃から約1900℃(好ましくは約1300℃から約1800℃、またはさらに好ましくは約1350℃から約1700℃)の範囲の温度で約1時間から約60時間(好ましくは約2時間から約10時間)の期間、焼結させることができる。一部の実施形態では、前記脱バインダおよび焼結工程を一段階で完了する。
【0142】
前記集成体の歪み(たとえば、反り、キャンバリング、たわみなど)を低減させるために、集成体を加熱段階中、カバープレート間にサンドイッチしてもよい。前記カバープレートは、加熱段階中に印加される温度より高い融点を有する材料を含むだろう。さらに、前記カバープレートは、該カバー用プレートを通って揮発成分を移動させることができるように十分多孔質であるだろう。一例として、前記カバー用プレートは、約40%の多孔度を有する二酸化ジルコニウムであることがある。
【0143】
(発光セラミックを使用する照明器具および方法)
一部の実施形態は、光源と、該光源によって放射される放射線の少なくとも一部分を受け取るように構成されたセラミック体とを有する照明器具を提供する。前記セラミック体は、式Iの組成物、たとえば、上に開示した任意の組成物を含むことができる。
【0144】
一部の実施形態では、青色放射線を放射するように光源を構成することができる。前記青色放射線は、たとえば、約360nmと約500nmの間のピーク発光波長を有することがある。一部の実施形態において、前記光源は、約450nmと約500nmの間のピーク発光波長を有する放射線を放射する。一部の実施形態は、半導体LEDである光源を含む。一例として、前記光源は、電源に連結されたAlInGaN系単結晶半導体材料であることがある。
【0145】
図14は、本明細書に開示するセラミック体を備えることができる照明器具の一例である。サブマウント1410は、その上に載置された従来のベースLEDなどの光源1415を有する。この光源1415は、該光源1415から放射される光の少なくとも一部分を受け取る発光層1430に隣接している。自由選択の封止体樹脂1425が、光源1415および発光層1430の上に置かれている。発光層1430は、本願に開示する任意のセラミック体を含むことができる。
【0146】
一部の実施形態において、前記照明器具は、p型領域とn型領域の間にセラミック体を備えている。一部の実施形態において、前記セラミック体は、2層の非発光層間に配置された発光層を有することがある。前記非発光層は、たとえばアルミナである場合がある。
【0147】
本願に開示する任意のセラミック体を青色放射線に曝露することを含む光生成方法も本明細書に開示する。前記青色放射線は、たとえば、約360nmと約500nmの間のピーク発光波長を有することがある。一部の実施形態において、前記青色放射線は、約450nmと約500nmの間のピーク発光波長を有する。
【実施例】
【0148】
さらなる実施形態を以下の実施例においてさらに詳細に開示するが、これらの実施例は、いかなる点においても、本請求項の範囲を制限するためのものではない。
【0149】
〔実施例1〕
(a)(Y
0.635Ce
0.015Gd
0.35)
3Al
5O
12層:1.826gの硝酸イットリウム(III)・六水和物(hex hydrate)(純度99.9%、Sigma−Aldrich)、4.756gの硝酸アルミニウム・九水和物(純度98.6%、Sigma−Aldrich)、1.185gの硝酸ガドリニウム・六水和物(hex hydrate)(純度99.9%、Sigma−Aldrich)、および0.049gの硝酸セリウム(III)・六水和物(純度99.99%、Sigma−Aldrich)を脱イオン水に溶解し、その後、30分間超音波処理して、完全透明溶液を調製した。
【0150】
2.0M濃度のこの前駆体溶液を、液体ポンプを使用して霧化プローブ経由で、特許公報国際公開第2008/112710A1号パンフレットに示されているものに類似したプラズマ反応チャンバに輸送した。英語で発行されたおよび米国を指定国とする前記特許公報国際公開第2008/112710A1号パンフレットにおいて教示されている原理、技術および範囲は、その全体が参照により本明細書に援用されている。
【0151】
3.3MHzで動作するLepel RF電源を使用してRF誘導プラズマトーチ(TEKNA Plasma System,Inc PL−35)で前記合成工程を行った。合成実験のために、チャンバ圧をおよそ25kPa〜75kPaに保ち、およびRF発生器プレート電力は、10〜30kWの範囲であった。前記プレート電力と前記チャンパ圧は両方ともユーザー指定のパラメータ(user−controlled parameters)である。プラズマトーチにアルゴンを旋回シースガス(20〜100slm)および中心プラズマガス(10〜40slm)両方として導入した。水素(1〜10slm)の追加によってシースガス流を補足した。二流体霧化の原理に基づいて動作するラジアル霧化プローブ(TEKNA Plasma System, Inc SDR−772)を使用して反応物注入を行った。反応物注入中、前記プローブは、プラズマプルームの中央に位置した。合成中、反応物を1〜50mL/分の速度でin situ霧化によってプラズマプルームに供給した。1〜30slmの流量で送出される霧化用ガスとしてアルゴンを用いて、前記液体反応物の霧化を行った。前記反応物は、RF熱プラズマの高温ゾーンを通過しているときに蒸発と分解と核形成の組み合わせを経た。それらの核形成された粒子をフロー流から適する多孔質セラミックまたはガラスフィルタ上に回収した。
【0152】
プラズマ合成により、イットリウムに対して%で1.5のセシウムおよび%で35のガドリニウムを含有する(Y
0.635Ce
0.015Gd
0.35)
3Al
5O
12粉末を得た。その粉末の5gを高純度アルミナ燃焼ボートに添加し、管状炉(MTI GSL 1600)内で、1250℃で2時間、3%H
2および97%N
2の流動ガス混合物のもとでアニールした。アニールされたYAG:Ce,Gd粉末は、約4.9m
2/gのBETを呈示し、この粉末を用いて集成体中の共ドープ層を形成した。
【0153】
(b)Y
3Al
5O
12層:固相反応を用いて、集成体の加熱中に(たとえば、焼結中に)Y
3Al
5O
12を形成した。一定のこれらの層に以下の成分を含めた:(i)4.6m
2/gのBET表面積を有するY
2O
3粉末(2.853g、99.99%、ロットN−YT4CP、日本イットリウム株式会社);および(ii)5.6m
2/gのBET表面積を有するA1
2O
3粉末(2.147g、99.99%、グレードAKP−30、住友化学株式会社)。成分(i)および(ii)を3:5のモル比で使用した。CeおよびGdを含めなかった。
【0154】
(c)(Y
0.65Gd
0.35)
3Al
5O
12層:固相反応を用いて、集成体の加熱中に(たとえば、焼結中に)(Y
0.65Gd
0.35)
3Al
5O
12を形成した。一定のこれらの層に以下の成分を含めた:(i)4.6m
2/gのBET表面積を有するY
2O3粉末(1.654g、99.99%、ロットN−YT4CP、日本イットリウム株式会社);(ii)5.6m
2/gのBET表面積を有するA1
2O
3粉末(1.915g、99.99%、グレードAKP−30、住友化学株式会社);および(iii)3.0m
2/gのBET表面積を有する1.430gのプラズマ合成Gd
2O
3。成分(i)、(ii)および(iii)を、1.95:1.05:5に等しいY:Gd:Alのモル比で使用した。Ceを反応に含めなかった。
【0155】
(d)集成体の形成:50mL高純度Al
2O
3ボールミルジャーに、直径3mmの20gのY
2O
3安定化ZrO
2ボールを充填した。その後、5gの上で調製した粉末混合物のうちの1つ、0.10gの分散剤(Flowlen G−700、共栄社化学株式会社(Kyoeisha)、0.35gのポリ(ビニルブチラール−co−ビニルアルコール−co−ビニルアセテート)(Aldrich)、0.175gのフタル酸n−ブチルベンジル(98%、Alfa Aesar)および0.175gのポリエチレングリコール(Mn=400、Aldrich)、焼結助剤として0.025gのオルトケイ酸テトラエチル(Fluka)、1.583gのキシレン(Fisher Scientific、研究所用グレード)および1.583gのエタノール(Fisher Scientific、試薬アルコール)をそのジャーに添加した。その混合物を24時間、ボールミリングすることによって、スラリーを生成した。
【0156】
ボールミリングの完了後、シリンジを使用して、0.05mmの孔径を有する金属スクリーンフィルタにそのスラリーを通した。得られたスラリーを、剥離性基材、たとえばシリコーン被覆Mylar(登録商標)キャリア基材(Tape Casting Warehouse)上に、調整可能膜塗布機(Paul N.Gardner Company,Inc.)で、30cm/分のキャスト速度でキャストした。膜塗布機上のブレードギャップを、所望の厚みを得るように設定した。各キャストテープを周囲雰囲気で一晩乾燥させてグリーンシートを生成した。
【0157】
金属パンチャを使用して、プラズマ(Y
0.635Ce
0.015Gd
0.35)
3Al
5O
12(%で1.5のCe、%で35のGd)、SSR YAG(%で0のCe)、またはSSR YAG:Gd(%で0のCe、%で35のGd)粉末を含有する乾燥キャストテープを、13mmの直径を有する円形に切断した。あるラミネーションでは、1片のプラズマ(Y
0.635Ce
0.015Gd
0.35)
3Al
5O
12(%で1.5のCe、%で35のGd)切断キャストテープ(60μm厚)を2片のSSR YAG切断キャストテープ(各片110μm厚)の間に置いた。鏡面研磨された表面を有するサーキュラーダイの間にその層状複合材を置き、ホットプレートで80℃に加熱し、その後、油圧プレス機を5トンの一軸圧力で約5分間使用して圧縮した。最終集成体は、2層の非ドープ層間にサンドイッチされた共ドープ層を有した。
【0158】
第2の集成体を調製し、これは、1片のプラズマ(Y
0.985Ce
0.015)
3Al
5O
12(%で1.5のCe、%で0のGd)切断キャストテープ(60μm厚)および2片のSSR YAG切断キャストテープ(各片110um)を上で説明したのと同様に互いに層状に重ねて加工してラミネート複合材を得ることを含んだ。
【0159】
(e)集成体の焼結:集成体をZrO
2カバープレート(厚み1mm、グレード42510−X、ESL Electroscience Inc.)間にサンドイッチし、5mmの厚みを有するAl
2O
3プレート上に置いた。その後、それらの集成体を管状炉内で空気中、0.5℃/分の速度で800℃に加熱し、2時間保持して、集成体から有機成分を除去した。
【0160】
脱バインダ後、その集成体を1500℃で10
−1トルの真空下で5時間、1℃/分の加熱速度でアニールして、層内のYAGの非ガーネット相(非晶質酸化イットリウム、YAP、YAMまたはY
2O
3およびAl
2O
3を含むが、これらに限定されない)からイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)相への変換を完了し、YAG粒径を増加させた。
【0161】
第1のアニーリング後、集成体を10
−3トルの真空下、1700℃で5時間、5℃/分の加熱速度および室温への10℃/分の冷却速度でさらに焼結して、透明/半透明YAGセラミックシートを生成した。グラファイトヒーターを備えた炉内でラミネートグリーンシートをアニールすると、集成体が1μmから5μmの犠牲YAG粉末に埋め込まれて、強い還元雰囲気に起因してサンプルが構成要素金属へと部分的に還元するのを防止した。茶色がかった焼結セラミック体を炉内で、真空雰囲気で、1400℃で2時間、10℃/分および20℃/分のそれぞれ加熱および冷却速度で再び酸化させた。これらのセラミック体は、800nmで70%より高い透過率を呈示した。
【0162】
(f)光学性能測定:ダイサー(MTI、EC400)を使用して、各セラミックシートを2mm×2mmにダイシングした。大塚電子株式会社(Otsuka Electronics)MCPD 7000マルチチャンネル光検出器システムを、必要な光学部品、たとえば光ファイバー(大塚電子株式会社)、直径12インチ積分球(Gamma Scientific、GS0IS12−TLS)、全光束測定用に構成された校正用光源(Gamma Scientific、GS−IS12−OP1)、および励起光源(Cree blue−LEDチップ、主波長455nm、C455EZ1000−S2001)と共に使用して、光学測定を行った。
【0163】
上記の方法に従って調製した両方のセラミック体を、455nmのピーク波長を有する発光ダイオード(LED)、および約1.45の屈折率を有するアクリルレンズの上に置いた。LEDとセラミック体を積分球の内部に配置した。100mAの駆動電流を用いてそのLEDによりそのセラミック体を照射した。このセラミック体を伴う青色LEDの光放射を記録した。次に、セラミック体をLEDから除去し、青色LEDとアクリルレンズだけの放射を測定した。青色LEDのみおよび青色LED/セラミック体の組み合わせからの放射の差の積分によってIQEを計算した。
図15に示すように、青色LEDのみおよび青色LED/セラミック体の組み合わせからの放射の差の積分によってIQEを計算した。
【0164】
(g)結果:2つのセラミック体についての光学測定値を表1に示す。%で35のGdをCeが%で1.5のYAGセラミック体に加えることにより、ピーク発光波長の(538nmから545nmへの)7nmの赤方シフトが生ずる。さらに、Gdが%で35のセラミック体は、ガドリニウムを伴わないセラミック体と比べて匹敵する量子効率を示した。
【表1】
【0165】
図16A〜Bは、Cree Corp.によって用いられている異なる色温度での白色ビン分類の商業規格を示すものである。
図17は、%で35のGdの添加が、白色LED装置の色度を向上させることを示す。CIEチャートに基づき、一定のピーク波長を有するセラミックについてそのYAGセラミックの厚みを変えると、関連出力色は、青みを帯びた色または黄色がかった色になる場合がある。純粋な青色波長(たとえば、455nm)と純粋な黄色波長(たとえば、538nm)間の線をプロットすると、YAG−LEDの色度は、YAGセラミックの厚みを調整したときにその線に沿って移動し得る。Ceが%で1.5のセラミックのケースについては、それが538nmのピーク波長を有した。
図16は、538nm発光について、黄色と青色間の線が、基本的に白色ビン領域外であったことを示す。その一方で、%で35のGdを添加したとき、発光ピーク波長は545nmにシフトし、青色と黄色間の対応する線は、白色ビンWE、WFおよびWGを横断した。これは、%で35のGdの添加がYAGセラミックを市場基準により色彩的に許容され得るものにしたことを示す。
【0166】
〔実施例2〕
従来、LED−YAGの組み合わせは、封止体樹脂、たとえばエポキシおよびシリコーン、中に分散された黄色光発光YAG蛍光体粉末という構成に基づいて製造されてきた。しかし、YAG蛍光体粉末の粒径はおよそ1〜10μmであるので、YAG粉末が分散された封止体樹脂媒体は光散乱特性を示す。これにより、青色LEDからの入射光およびYAGから出る黄色発光の少なからぬ部分が、後方散乱され、白色光発光の減損として散逸されることとなる。
【0167】
加えて、YAG粉末はポリマー樹脂を介して接続されており、このポリマー樹脂は、YAGのものと比較してはるかに低い熱伝導率を有し、YAG粉末のほうがはるかに高い温度を呈示する。これは、1Aなどの高い駆動電流が印加される高出力(high powder)LEDのケースにも特に当てはまる。
図18から分かるように、樹脂シートに分散された(Y
0.985Ce
0.015)
3Al
5O
12粉末をLED上に置いたとき(
図18中のYAG−シート)、800mAでの測定温度が既に300℃であった。一方、(Y
0.985Ce
0.015)
3Al
5O
12のケースについては、セラミック体がいずれのポリマーも含まず、そのため、セラミック体(
図18中のYAG−CP)は、同じ駆動電流で約80℃の温度を有する。
【0168】
(Y
0.635Ce
0.015Ge
0.35)
3Al
5O
12粉末も調製し、樹脂シートに封止する。この粉末を同じLED上に置き、
図18に示した同じ駆動電流で生じさせた光に曝露する。このGdドープYAG粉末は、樹脂シートに分散された(Y
0.985Ce
0.015)
3Al
5O
12粉末と同様の温度プロファイルを呈示すると予想される。
【0169】
〔実施例3〕
幾つかの装置(Ceが%で1.5のYAG粉末((Y
0.985Ce
0.015)
3Al
5O
12)およびCeが%で1.5でGdが%で35のYAG粉末((Y
0.635Ce
0.015Gd
0.35)
3Al
5O
12)、Ceが%で1.5のYAGセラミック((Y
0.985Ce
0.015)
3Al
5O
12)およびCeが%で1.5でGdが%で35のYAGセラミック((Y
0.635Ce
0.015Gd
0.35)
3Al
5O
12)を、実施例1および2で説明したように構築した。各装置の相対強度および該装置の温度を測定した。
図19Aは、1.5%Ceおよび1.5%Ce、35%Gd粉末、たとえば約150℃での約30%(5.8/8.2)の1滴、を有する装置の相対強度の減少を示す。
図19Bは、
図19Aにおいて説明したのと同じドーパント濃度を含むセラミック発光層についての150℃で約5%(8.2/8.6)の相対強度向上を示す。加えて、同じ駆動電流で、粉末実施形態の温度(約150℃)は、セラミック実施形態のもの(約55℃)よりはるかに高いので(
図18を参照されたし)、粉末実施形態と比較したセラミック実施形態の相対効率は、約167%である。
【0170】
要するに、より低い装置温度およびより弱い熱消光のため、%で35のGdを含むセラミック体は、同じ駆動電流で、Gdが%で35の粉末と比較して約150%の相対強度(8.2/5.8=141.4%)を呈示すると予想される。
【0171】
〔実施例4〕
実施例1において調製したセラミック体をSEM−EDX特性づけに用いた。このセラミック体サンプルは、(Y
0.635Ce
0.015Gd
0.35)
3Al
5O
12が2層のY
3Al
5O
12層間に挿入されている共ドープ層を有する集成体からのものであった。調製したセラミックサンプルの断面を研磨して、その内側部分を露出させ、熱エッチングおよび不純物除去のために箱型炉内で、空気中で、約1400Cで2時間加熱した。処理した断面をSEMで観察した。そのSEMにおけるEDX付属装置を用いて、その断面上の一定の距離を横断する元素ラインスキャンを行って、
図20に示すような、そのラインに沿った元素プロファイルを得た。Ceドーパントは、共ドープ層から隣接する層へと広く拡散した。Gdドーパントは、共ドープ層内により多く拘束され、より狭い分布を呈示した。
【0172】
〔実施例5〕
図21A〜Bに示したような集成体を構成したことを除き、一般に実施例1と同じ手順を用いて2つのさらなるセラミック体を調製した。各集成体は、共ドープ層の両側に(Y
0.65Gd
0.35)
3Al
5O
12を有する層を含む。これらのガドリニウムドープ層は、焼結中の限られたGd拡散を補償することができる、より広いGd分布をセラミック体内に生じさせると予想される。
【0173】
〔実施例6〕
図21C(図中、Xは、共ドープ層中におよび共ドープ層の両側の2層の層中にドープされたガドリニウムの量である)に示したような集成体を構成したことを除き、一般に実施例1と同じ手順を用いて4つのセラミック体を調製した。Xについての試験値は、%で0、%で15、%で25、および%で35であった。共ドープ層は、固相反応から調製し、約78μmの厚さであった。他の層は、各々約200μm厚であった。IQEおよびピーク発光波長を実施例1での手順に従って決定した。
【0174】
結果を表2および
図22に示す。
図22から分かるように、Gd濃度を変更することにより、ピーク発光波長を534nmから555nmの範囲内に調整することができた。一方、IQEは、%で35以下のGdを添加したとき、95%以上で維持された。
【表2】
【0175】
〔実施例7〕
図23Aから23Dに示すような4群の構造を調製した。
図23Aから23D(図中、Zは、セリウムの量であり、Xは、共ドープ層中にドープされたもの、および場合により共ドープ層の両側の層中にドープされたもの、両方のガドリニウムの量である)に示したような集成体を構成したことを除き、一般に実施例1と同じ手順を用いてこれらのセラミック体を調製した。Tは、各層の厚みである。Zについての試験値は、%で0.2から%で2(%で0.2、%で1.0、%で1.5、および%で2.0)であり、Xは、%で5から%で50(%で5、%で10、%で15、%で25、%で35および%で50)であり、およびTは、40μmから400μm(40μm、200μmおよび400μm)であった。一般に実施例1の場合と同じ手順を用いて、各セラミック体についての光学特性を試験した。結果を下の表3に示す。4群すべての構造が、カラーポイントを所望の目標カラービニングへとシフト(一般に、CCy値減少およびCCx値増加に伴って赤方シフト)させ、それらはすべて量子効率(IQE)および熱的性質を維持した。
【表3】