(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2レンズ枠が前記筒軸方向に沿って移動するように案内するとともに、前記鏡筒本体内部における、前記主ガイド軸に対して前記筒軸に直交する方向において前記筒軸を挟んで対向する位置に配置された副ガイド軸を更に備え、
前記副ガイド軸は、前記鏡筒本体に固定されている、
請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態に係るレンズ鏡筒1は、
図1に示すような外観を備える。
レンズ鏡筒1は、
図2に示すように、第1鏡筒本体6および第2鏡筒本体7と、第1鏡筒本体6の内側に配置された有底筒状の筒状体8と、第1鏡筒本体6の外側を覆うように配置された外殻体9と、を備える。また、レンズ鏡筒1は、第1レンズ11と第2レンズ12と第3レンズ13と第1レンズ枠21と第2レンズ枠22と第3レンズ枠23とを備える。レンズ鏡筒1は、被写体から第1レンズ11に入射する光をレンズ鏡筒1における第1レンズ11側とは反対側に配置された撮像素子(図示せず)に結像させる。更に、レンズ鏡筒1は、第1鏡筒本体6および第2鏡筒本体7の内側に配置された主ガイド軸31と副ガイド軸32と、第2レンズ枠22を移動させるためのリードスクリュー(図示せず)と、リードスクリューを駆動する駆動ユニット(図示せず)と、を備える。第1鏡筒本体6、第2鏡筒本体7および筒状体8の筒軸は、光軸AXに一致するように設定されている。副ガイド軸32は、主ガイド軸31に対して光軸AXを挟んで対向する位置に配置されている。
【0010】
なお、以下本明細書において、「後方」とは
図2に示す光軸AXに沿った方向における撮像素子側(
図2の下方)を意味し、「前方」とは
図2に示す光軸AXに沿った方向における被写体側(
図2の上方)を意味するものとして説明する。
鏡筒本体5は、略有底円筒状であり、内側に第3レンズ枠23を保持する第1鏡筒本体6と、内側に第1レンズ枠21および第2レンズ枠22を保持する第2鏡筒本体7とから構成される。
【0011】
第1鏡筒本体6は、略円筒状に形成され、内側に第3レンズ枠23を保持する筒状体8が配置され、外側に外殻体9が配置される。第1鏡筒本体6は、例えば非光透過性の樹脂材料等から形成される。第1鏡筒本体6の側壁には、光軸AXに沿って延長された細長のスリット61が設けられている。第1鏡筒本体6の前端部には、第2鏡筒本体7が取着される。第1鏡筒本体6の側壁の光軸AX方向における中央部よりも後側の一部には、筒状体8に当接して筒状体8の後方への移動を規制する段部62が設けられている。また、第1鏡筒本体6の内側には、駆動ユニットが配置されている。また、第1鏡筒本体6は、主ガイド軸31を支持する第1支持部(図示せず)が設けられている。
【0012】
駆動ユニットは、例えばリードスクリューをその長手方向に沿った軸を中心に回転させるための駆動力を提供するモータ(例えば、ステッピングモータ)と、歯車列(図示せず)とを組み合わせることにより構成される。
【0013】
第2鏡筒本体7は、略有底円筒状であり、底部79に平面視略円形の開口部(第1開口部)79aを有する。第2鏡筒本体7は、筒軸方向に沿って外部から内部に向かって順に第1レンズ枠21と第2レンズ枠22とが取り付けられている。具体的には、第1レンズ枠21は、開口部79aを覆う位置PosAに取り付けられ、第2レンズ枠22は、開口部79aよりも筒軸(光軸AX)方向における内側の位置PosBに取り付けられている。第1鏡筒本体6は、例えば非光透過性の樹脂材料等から形成される。
【0014】
第2鏡筒本体7は、後方に延出する複数の延出片71を有する。各延出片71には、取付部材101の一部が挿通される挿通孔(図示せず)が設けられている。取付部材101は、例えばボルトとナットとから構成される。第2鏡筒本体7は、延出片71に設けられた挿通孔および第1鏡筒本体6のスリット61に一部が挿通された取付部材101により第1鏡筒本体6に取着されている。リードスクリューは、光軸AXに沿って第1鏡筒本体6の内側から第2鏡筒本体7の内側に亘って延長する形で配置されている。リードスクリューは、第1鏡筒本体6の内側に配置された駆動モータに連結されている。
【0015】
また、底部79の開口部79aの外周部には、
図3に示すように、第1レンズ枠21の一部が嵌合される第1窪み部75と、連結プレート41が配置される第2窪み部76とが設けられている。各第1窪み部75には、第1レンズ枠21を第2鏡筒本体7の底部79に螺子止めするための螺子孔77が穿設されている。第2窪み部76には、連結プレート41を第2鏡筒本体7の底部79に後述のタップ螺子42で螺子止めした際に螺子孔78が穿設される。また、第2窪み部76には、主ガイド軸31が挿通する開口部(第2開口部)79bが貫設されている。第2鏡筒本体7の内側には、副ガイド軸32の一端部を支持する第2支持部(図示せず)が設けられている。また、第2鏡筒本体7の底部79における開口部79aの外周部における、開口部79bと光軸AXを挟んで対向する位置には、副ガイド軸32の他端部を固定するための孔73が貫設されている。
【0016】
図2に戻って、筒状体8は、略有底円筒状に形成され底部81aの略中央部に第3レンズ枠23を保持するための開口部81bが形成された枠保持部81と、略円筒状に形成され、その後端部が第1鏡筒本体6の段部62に当接した状態で第1鏡筒本体6に取り付けられる取付部82と、を備える。取付部82は枠保持部81の後方に位置し枠保持部81と一体に形成されている。枠保持部81におけるリードスクリューに対応する位置には、リードスクリューを後方から前方へ挿通させる挿通孔(図示せず)が貫設されている。筒状体8は、例えば非光透過性の樹脂材料等から形成される。
【0017】
外殻体9は、略円筒状に形成されている。外殻体9の側壁には、レンズ鏡筒1がカメラ本体(図示せず)に取り付けられた状態でレンズ鏡筒1全体のカメラに対する位置決めを行うためのカム溝91が設けられている。外殻体9は、例えば樹脂材料等から形成される。
【0018】
第1レンズ11は、レンズ鏡筒1における最も前方、即ち、開口部79aを覆う前方位置PosAに配置される。第1レンズ11は、主として画角を設定するためのレンズである。第1レンズ11は、例えば透光性を有するガラスから形成された球面レンズで構成される。また、第1レンズ11は、例えば前面が凸状に形成された凸型レンズで構成される。
【0019】
第2レンズ12および第3レンズ13は、鏡筒本体5における、開口部79aよりも光軸AX方向における内側の内側位置PosBと内側位置PosCとに配置される。具体的には、第2レンズ12は、第2鏡筒本体7の内側に配置され、第3レンズ13は、第1鏡筒本体6の内側に配置される。第2レンズ12および第3レンズ13は、撮像画像の解像度を調整するためのレンズである。第2レンズ12および第3レンズ13の水平方向の位置が変化することにより、撮像画像の解像度が変化する。第2レンズ12および第3レンズ13は、例えば透光性を有するガラスから形成された球面レンズで構成される。また、第2レンズ12は、例えば前面が凸状に形成された凸型レンズで構成され、第3レンズ13は、例えば後面が窪んだ凹型レンズで構成される。
【0020】
第1レンズ枠21は、第1レンズ11を保持する。第1レンズ枠21は、略円筒状の形状を有する枠本体211と、第1レンズ11を保持するレンズ保持部212と、第1レンズ枠21を第2鏡筒本体7に固定するための固定片213(
図1参照)と、を備える。枠本体211とレンズ保持部212と固定片213とは、例えば樹脂材料やアルミダイカスト等により一体に形成される。
【0021】
図2に示すように、レンズ保持部212は、枠本体211の全周に亘って形成され、枠本体211の後端部から第1レンズ枠21の筒軸方向に直交し且つ第1レンズ枠21の筒軸に向かう方向に張り出している。第1レンズ11は、レンズ保持部212の前側に接着材により固定される。
図1に示すように、固定片213は、枠本体211から枠本体211の周方向において略等間隔に設けられている。固定片213は、それぞれ螺子51が挿通する挿通孔(図示せず)を有する。第2鏡筒本体7の底部79に設けられた窪み部75は、3つの固定片213それぞれに対応する位置に設けられている。また、窪み部75に穿設された螺子孔77は、3つの固定片213がそれぞれ窪み部75に嵌合された状態において、固定片213に設けられた挿通孔に対応する位置に設けられている。
【0022】
第2レンズ枠22は、第2レンズ12を保持する。第2レンズ枠22は、主ガイド軸31、副ガイド軸32に沿って光軸AXに沿った方向に移動させることができる。これにより、ピント調整を行ったりズーム機能を実現したりすることができる。第2レンズ枠22は、
図4に示すように、平面視円形の開口部221aを有する板状の枠本体221と、第2レンズ12を保持するレンズ保持部222と、第2レンズ枠22を主ガイド軸31、副ガイド軸32に沿って案内させるための主案内部223および副案内部224と、を備える。枠本体221とレンズ保持部222と主案内部223と副案内部224とは、例えば樹脂材料やアルミダイカスト等により一体に形成される。ここで、第1レンズ11の材料と第1レンズ枠21の材料とで線膨張係数等がある程度大きく異なる場合、接着剤として弾性接着剤を採用することもできる。弾性接着剤は、熱等による第1レンズ11の膨張や収縮を吸収することができるので、第1レンズ11の変形を抑制することができる。
【0023】
枠本体221は、主案内部223と副案内部224とを介して、主ガイド軸31および副ガイド軸32により支持される。レンズ保持部222は、開口部221aの外周部全体に亘って形成され、枠本体221の後面側から開口部221aの中心に向かって突出している。第2レンズ12は、レンズ保持部222の前面側に接着材により固定される。主案内部223は、枠本体221の開口部221a側とは反対側の周縁部の一部から後方に向かって延出し、その一部に主ガイド軸31が挿通される挿通孔223dを有する。副案内部224は、枠本体221の開口部221a側とは反対側の周縁部における主案内部223と開口部221aの中心を挟んで対向する位置に設けられる。副案内部224は、枠本体221の周縁部から枠本体221の厚さ方向に直交し且つ開口部221aから離れる方向へ延出する2つの脚片224a、224bから構成される。2つの脚片224a、224bは、副ガイド軸32を側方から挟むように配置されている。枠本体221の周部における主案内部223、副案内部224以外の一部には、リードスクリューに螺合するナット(図示せず)を保持するナット保持部225が設けられている。
【0024】
第2レンズ枠22は、主案内部223の挿通孔223dに主ガイド軸31が挿通されるとともに、副案内部224が副ガイド軸32を挟持した状態で、前後方向に移動可能となっている。駆動ユニットがリードスクリューを駆動すると、第2レンズ枠22が主ガイド軸31および副ガイド軸32に案内されて前後方向に移動する。
【0025】
第3レンズ枠23は、第3レンズ13を保持する。第3レンズ枠23は、
図2に示すように、略円筒状の枠本体231と、第3レンズ枠23を筒状体8に固定するための固定片233と、を備える。枠本体231とレンズ保持部232と固定片233とは、例えば樹脂材料やアルミダイカスト等により一体に形成される。
【0026】
枠本体231は、筒状体8の開口部81bに嵌合されて固定片233における前面が筒状体8の底部81aに当接した状態で固定される。レンズ保持部232は、枠本体231の全周に亘って形成され、枠本体231の後端部から枠本体231の筒軸方向に直交し且つ枠本体231の筒軸に向かう方向に張り出している。第3レンズ13は、その周部がレンズ保持部232の前面側に接着材により固定される。固定片233は、螺子(図示せず)を挿通させるための挿通孔(図示せず)を有する。一方、筒状体8の枠保持部81の底部81aの前面における3つの固定片233それぞれに対応する位置には、螺子孔(図示せず)が穿設されている。
【0027】
主ガイド軸31および副ガイド軸32は、いずれも細長の棒状部材である。主ガイド軸31は、第2レンズ枠22が第2鏡筒本体7の筒軸方向に沿って移動するように案内する。主ガイド軸31は、一端部が第1鏡筒本体6の内側で第1支持部(図示せず)により支持され、第2鏡筒本体7の開口部79aの外周部に設けられた開口部79bに挿通されている。主ガイド軸31の一端部は、第1支持部に固定され、他端部が連結プレート41に連結されている。ここで、第1支持部は、主ガイド軸31の他端部が光軸AXに直交する方向において移動可能となるように支持している。
【0028】
副ガイド軸32も、第2レンズ枠22が第2鏡筒本体7の筒軸方向に沿って移動するように案内する。副ガイド軸32は、第2鏡筒本体7内部における、主ガイド軸31に対して第2鏡筒本体7の筒軸に直交する方向において筒軸を挟んで対向する位置に配置されている。副ガイド軸32は、長手方向における一端部が第2鏡筒本体7の内側の第2支持部に固定されている。副ガイド軸32の他端部は、第2鏡筒本体7の底部79における開口部79aの外周部に貫設された孔73に固定されている。第2支持部は、第1鏡筒本体6に固定されている。副ガイド軸32は、孔73と第2支持部とにより鏡筒本体5(第1鏡筒本体6および第2鏡筒本体7)に固定されている。
【0029】
連結プレート41は、
図1に示すように、第1レンズ11の外周に沿って湾曲した細長のプレート本体411を有する。連結プレート41は、例えば樹脂材料や金属等から形成される。連結プレート41は、
図5に示すように、プレート本体411と、プレート本体411の長手方向における略中央部に突設されたボス412と、プレート本体411の長手方向における両端部それぞれに貫設された貫通孔413と、を有する。プレート本体411は、各貫通孔413とボス412との間に、調芯治具(図示せず)でチャックするため貫通孔からなるチャック部414が貫設されている。プレート本体411におけるボス412が突設された部位には、ボス412が突出する側とは反対側に突出するリブ415が突設されている。ボス412およびリブ415には、ボス412の先端からリブ415の先端まで貫通する貫通孔412aが貫設されている。
【0030】
連結プレート41は、
図4に示すように、主ガイド軸31が貫通孔412aに挿通された状態で用いられる。そして、連結プレート41は、
図1に示すように、第2鏡筒本体7の窪み部76に2つのタップ螺子42により取着される。
【0031】
タップ螺子42は、軸部421と頭部422とから構成される。軸部421の外径は、連結プレート41の貫通孔413の内径よりも小さく、頭部422の外径は、貫通孔413の内径よりも大きい。タップ螺子42を締め付けると、第2鏡筒本体7の窪み部76に螺子孔78(
図3参照)が形成される。そして、連結プレート41は、その貫通孔413の外周部が第2鏡筒本体7の窪み部76の前面と頭部422の後面との間で挟持された状態で第2鏡筒本体7に固定される。一方、タップ螺子42を緩めると、連結プレート41は、第2鏡筒本体7の窪み部76内で移動可能となる。
【0032】
<レンズ鏡筒の組立方法>
次に、本実施の形態に係るレンズ鏡筒1の組立方法について
図2を参照しながら説明する。
【0033】
まず、第3レンズ13を保持する第3レンズ枠23を筒状体8に取着する。具体的には、第3レンズ13を第3レンズ枠23に固定してから、第3レンズ枠23の3つの固定片233を、筒状体8の底部に載置する。このとき、第3レンズ枠23は、固定片233それぞれに設けられた挿通孔が、筒状体8の底部に穿設された螺子孔の位置に合うように配置される。そして、各固定片233の挿通孔に挿通させた螺子を螺子孔に螺合させることにより、第3レンズ枠23を筒状体8に固定する。
【0034】
次に、第3レンズ枠23が取り付けられた筒状体8を第2鏡筒本体7に取着する。具体的には、筒状体8を第1鏡筒本体6の前方から挿入して筒状体8の取付部82を第1鏡筒本体6のスリット61に取着する。
【0035】
続いて、第2鏡筒本体7の前方に、副ガイド軸32が取り付けられた第1筒状本体6を固定する。具体的には、第2鏡筒本体7の延出片71を第1鏡筒本体6の前方から挿入し、取付部材101によって延出片71を第1鏡筒本体6に固定する。
【0036】
その後、第2レンズ枠22を第2鏡筒本体7に取着する。具体的には、第2レンズ枠22の副案内部224により副ガイド軸32を挟んだ状態で、主案内部223の前方から主ガイド軸31を主案内部223に挿通させる。
【0037】
次に、第2レンズ12を第2レンズ枠22に固定する。ここでは、第2レンズ枠22のレンズ保持部222の前面に接着剤を塗布しその上に第2レンズ12を載置する。そして、調芯装置を用いて、レンズ保持部222の接着剤が乾燥しないうちに第2レンズ12の光軸が第3レンズ13の光軸と一致するように第2レンズ12の位置を微調整する。その後、接着剤が固化するまで待つ。このとき、連結プレート41は、タップ螺子42により第2鏡筒本体7に仮螺子止めされる。
【0038】
続いて、第1レンズ枠21を第2鏡筒本体7に取着する。具体的には、第1レンズ枠21の3つの固定片213がそれぞれ窪み部75に嵌合した状態で、各固定片213の挿通孔に挿通させた螺子51を窪み部75に設けられた螺子孔77に螺合させることにより、第1レンズ枠21が、鏡筒本体6に固定される。
【0039】
その後、第1レンズ11を第1レンズ枠21に固定する。ここでは、第1レンズ枠21のレンズ保持部222の前面に接着剤を塗布しその上に第1レンズ11を載置する。そして、調芯装置を用いて、レンズ保持部222の接着剤が乾燥しないうちに第1レンズ12の光軸が第3レンズ13の光軸と一致するように第1レンズ11の位置を微調整する。その後、接着剤が固化するまで待つ。
【0040】
最後に、駆動ユニットに第2レンズ枠22を前後方向に駆動させながら、第1レンズ11、第2レンズ12および第3レンズ13それぞれの光軸が予め設定されたずれの許容範囲内で一致しているか否かを検査する。ここで、第2レンズ12の光軸が第1レンズ12および第3レンズ13の光軸に対して許容範囲を超えてずれた場合は、調芯治具(図示せず)を用いて連結プレート41を動かすことにより、第2レンズ12の光軸AX方向に直交する方向で位置の微調整を行う。第2レンズ12の位置調整方法の詳細については後述する。第2レンズ12の位置調整が完了すると、連結プレート41の貫通孔413からタップ螺子42の軸部421の先端を底部79に当接させてからタップ螺子42を回していく。すると、タップ螺子42は、底部79に螺子孔78を穿設しながら底部79に食い込んでいく。これにより連結プレート41を第2鏡筒本体7に固定する。
【0041】
<第2レンズの位置調整方法>
次に、第2レンズ12の位置調整方法について説明する。ここでは、特に、第2レンズ12の位置を光軸AXに直交する方向で微調整(調芯)する方法について説明する。
【0042】
まず、タップ螺子42を緩めてから調芯治具で連結プレート41のチャック部414を掴む。そして、連結プレート41を、平面視長方形状の開口部79bの長手方向に沿って移動させると、主ガイド軸31およびリブ415が開口部79b内をその長手方向に沿って移動する。
【0043】
ここにおいて、
図7に示すように、主ガイド軸31の一端部が第1支持部65に固定されている。これにより、
図6に示すように連結プレート41を移動させると、
図7に示すように、主ガイド軸31は、支持部65を中心として旋回するように移動する(
図7中の矢印参照)。言い換えれば、主ガイド軸31は、光軸AXに対する傾きを変化させる。
【0044】
また、副ガイド軸32は、第2鏡筒本体7に固定されており、第2レンズ枠22の副案内部224が副ガイド軸32に取り付けられている。従って、
図6に示すように、主ガイド軸31の他端部が開口部79bの長手方向に沿って移動するのに伴い、第2レンズ12および第2レンズ枠22は、副ガイド軸32を中心として回転するように移動する(
図6中の矢印参照)。また、第2レンズ枠22の厚さ方向は、主ガイド軸31に沿った方向と一致している。従って、主ガイド軸31の光軸AXに対する傾きが変化するのに伴い、第2レンズ枠22の光軸AXに対する傾きも変化する。つまり、連結プレート41を、開口部79bの長手方向に沿って移動させることにより、第2レンズ枠22の光軸AXに直交する方向における位置と、第2レンズ枠22の光軸AXに対する傾きとが連動して変化する。なお、連結プレート41は、主ガイド軸31およびリブ415が開口部79bの中心部に位置した状態(
図6中の一点鎖線参照)からリブ415が開口部79bの短辺に当接した状態まで移動させることができる。
【0045】
また、調芯治具により連結プレート41を、開口部79bの短手方向に沿って移動させると、主ガイド軸31およびリブ415が開口部79b内をその短手方向に移動する。すると、
図8に示すように、第2レンズ12および第2レンズ枠22は、開口部79bの短手方向に向かって移動する(
図8中の矢印参照)。ここで、連結プレート41は、主ガイド軸31およびリブ415が開口部79bの中心部に位置した状態(
図8中の一点鎖線参照)からリブ415が開口部79bの長辺に当接した状態まで移動させることができる。
【0046】
このように、本実施の形態では、連結プレート41の移動可能幅は、開口部79bの大きさと、連結プレート41のリブ415の外径とにより制限される。そこで、本実施の形態では、第2レンズ12の組立誤差に基づいて、開口部79bの大きさまたはリブ415の外径を設定することが好ましい。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態に係るレンズ鏡筒1では、第2鏡筒本体7の開口部79bの面積が、主ガイド軸31の長手方向に直交する断面の面積よりも大きい。これにより、連結プレート41を移動させることにより、主ガイド軸31を介して第2レンズ枠22を移動させることができる。そして、第1レンズ11および第1レンズ枠21が取着された状態で、第1レンズ11と、第2レンズ12との相対的な位置関係の調節(例えば、シフト調整やチルト調整も含む)ができる。従って、レンズ鏡筒1の組立において、第1レンズ11を保持するレンズ枠21を取着した後、第2レンズ12の光軸のずれが判明した場合でもレンズ鏡筒1を解体することなく光軸調整を行うことができ、組立作業の効率化を図れる。
【0048】
また、本実施の形態に係るレンズ鏡筒1によれば、第1レンズ11、第2レンズ12が第2鏡筒本体7に取着され、第3レンズ13が第1鏡筒本体6に取着された状態で、第1レンズ11、第2レンズ12、第3レンズの相対的な位置関係を最適化ができる。従って、画像精度向上を図ることができる。
【0049】
更に、本実施の形態に係るレンズ鏡筒1によれば、主ガイド軸31の端部を光軸AXに直交する方向へ動かすことができるので、主ガイド軸31を介して第2レンズ枠22を光軸AXに直交する方向へ移動させることができる。従って、第1レンズ11を保持する第1レンズ枠21が取着された後において、第2レンズ12の位置を光軸AXに直交する方向で調整することができる。
【0050】
本実施の形態に係るレンズ鏡筒1では、第2開口部の面積は、前記主ガイド軸の長手方向に直交する断面の面積よりも大きくすることにより、より確実に、第1レンズ11および第1レンズ枠21が取着された状態で、第1レンズ11と、第2レンズ12との相対的な位置関係の調節(例えば、シフト調整やチルト調整も含む)ができる。
【0051】
本実施の形態に係るレンズ鏡筒1では、鏡筒本体5内部における、主ガイド軸31に対して筒軸に直交する方向において筒軸を挟んで対向する位置に副ガイド軸32が配置されている。これにより、主ガイド軸31を動かすことにより、第2レンズ枠22の位置を、副ガイド軸32を中心として回転する方向に移動させることができる。
【0052】
本実施の形態に係るレンズ鏡筒1は、第1レンズ11と第2レンズ12と第3レンズ13と第1レンズ枠21と第2レンズ枠22と第3レンズ枠23とを備える。そして、主ガイド軸31が、第2レンズ枠22を筒軸方向に沿って移動するように案内する。これにより、光軸AX方向において2つのレンズ11、13に挟まれた第2レンズ12の光軸AXに直交する方向での位置調整ができる。
【0053】
本実施の形態では、タップ螺子42の軸部421が挿通される貫通孔413の内径が、タップ螺子42の軸部421の外径よりも大きく、タップ螺子42の頭部422の外径よりも小さい。これにより、タップ螺子42の先端部を第2鏡筒本体7の底部79に螺子止めした状態で連結プレート41を移動させることができる。従って、一度タップ螺子42を締め付けて連結プレート41を第2鏡筒本体7に固定した後に、第2レンズ12の位置ずれが生じた場合でもタップ螺子42を緩めて連結プレート41を動かすことで第2レンズ12の位置ずれを比較的容易に修正できるという利点がある。
【0054】
また、本実施の形態では、連結プレート41がタップ螺子42を用いて第2鏡筒本体7に固定される。これにより、予め第2鏡筒本体7に螺子孔等を穿設しておく必要がないので、第2鏡筒本体7の製造方法の簡略化を図ることができる。また、連結プレート41の移動可能幅が、連結プレート41を螺子止めするための螺子孔の位置に制限されることがないので、第2レンズ枠22の調整自由度を広げることができる。
【0055】
(実施の形態2)
本実施の形態または変形例に係る光学機器は、
図9に示すように、実施の形態1で説明したレンズ鏡筒1と、レンズ鏡筒1が取り付けられたデジタルカメラ3000と、を備える。デジタルカメラ3000は、撮像素子3001と、レンズ鏡筒1が取り付けられる取付部3002とを備える。レンズ鏡筒1は、その光軸AXが、撮像素子3001の略中央部を通るように、デジタルカメラ3000に取り付けられる。
【0056】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は前述の各実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0057】
[変形例]
実施の形態1では、主ガイド軸31にのみ連結プレート41が連結されている例について説明したが、例えば、副ガイド軸も第2鏡筒本体7の外周面に配置された連結プレートに連結される構成であってもよい。
【0058】
例えば
図10に示すように、本変形例に係るレンズ鏡筒1001では、連結プレート1041が、鏡筒本体1005の一部を構成する第2鏡筒本体1007の底部1079に配置されている。具体的には、連結プレート1041は、底部1079における開口部79aの外周部に配置される。なお、
図10において、実施の形態と同様の構成については
図1と同一の符号を付している。連結プレート1041が配置される第3窪み部1076は、底部1079の開口部79aの外周部における、連結プレート41が配置される第2窪み部76に対向する位置に設けられている。第3窪み部1076には、タップ螺子42により連結プレート1041を第2鏡筒本体1007に螺子止めした際に螺子孔(図示せず)が穿設される。また、第3窪み部1076には、副ガイド軸1032が挿通される開口部1079bが貫設されている。開口部1079bは、主ガイド軸31が挿通される開口部79bと略同様の形状を有する。また、第1レンズ枠1021は、例えば2つの固定片1213を介して第2鏡筒本体1007に固定されている。
【0059】
副ガイド軸1032は、
図11に示すように、連結プレート1041に連結される。第2レンズ枠1022は、枠本体221の開口部221a側とは反対側の周縁部の一部から後方に向かって延出する副案内部1224を有する。副案内部1224は、その一部に副ガイド軸1032が挿通される挿通孔1224dが設けられている。なお、
図11において、実施の形態と同様の構成については
図4と同一の符号を付している。
【0060】
また、本変形例に係る主ガイド軸31および副ガイド軸1032は、
図12に示すように、共通の支持部1051に支持されている。支持部1051は、第1鏡筒本体6の筒軸に直交する一方向において対向配置された一対の軸受部(図示せず)に軸支され、第1鏡筒本体6の筒軸(光軸AX)に直交する方向に延伸する回転軸J1まわりに回転可能となっている。これにより、連結プレート41、1041を平行移動させることにより、第2レンズ12および第2レンズ枠1022の光軸AXに対する傾き調整(チルト調整)ができる。
【0061】
また、支持部1051は、一対の軸受部のうち、副ガイド軸1032側に配置された軸受部を中心として主ガイド軸31側に配置された軸受部を第1鏡筒本体6の筒軸に直交する方向(光軸AXに直交する方向)へ旋回させることができる(
図12の一点鎖線参照)。例えば、2つの連結プレート41、1041のうち、連結プレート1041のみを螺子1042で第2鏡筒本体7に固定した状態で、連結プレート41のみを動かせばよい。これにより、第2レンズ枠1022および第2レンズ12の位置を光軸AXに直交する方向で調整することができる。
【0062】
本構成によれば、第2レンズ枠1022を傾ける方向を変化させることができるので、調整自由度が広がり、調芯精度向上を図ることができる。
【0063】
実施の形態1に係るレンズ鏡筒1では、使用するレンズの枚数が3枚である例について説明したが、レンズの枚数は3枚に限定されるものではなく、2枚であってもよいし4枚以上であってもよい。
【0064】
実施の形態1では、連結プレート41、1041がタップ螺子42により第2鏡筒本体7、1007の底部79、1079に螺子止めされる例について説明したが、連結プレート41、1041の第2鏡筒本体7、1007への取り付け方法はこれに限定されない。例えば、第2鏡筒本体に予め螺子孔を穿設しておき、連結プレート41、1041の貫通孔413を螺子孔の位置に合わせて螺子孔に螺子を螺合させて固定する方法であってもよい。或いは、連結プレート41、1041を接着剤により第2鏡筒本体7、1007に固着する方法であってもよい。
【0065】
実施の形態1では、チャック部414が貫通孔からなる例について説明したが、チャック部414は調芯治具を用いてチャックできる構造であれば貫通孔に限定されない。例えば、チャック部414が、窪み部や突起部で構成されていてもよい。
【0066】
実施の形態1では、第1レンズ枠21を取り付ける第2鏡筒本体が有底円筒状である構成について説明したが、第2鏡筒本体の形状は、これに限定されるものではない。例えば、第2鏡筒本体が、底部のない筒状であってもよい。この場合、第2鏡筒本体は、その前端部よりも筒軸方向における内側に、筒軸方向に直交する方向であり且つ筒軸に向かう方向に延出する内鍔部(図示せず)を備える構成とすればよい。ここで、内鍔部の筒軸側の端縁で囲まれた部分が、第1レンズ枠21を取り付けるための開口部となる。そして、内鍔部の一部には、主ガイド軸31が挿通される開口部(図示せず)が設けられた構成とすることができる。
【0067】
実施の形態1では、第1レンズ11、第2レンズ12および第3レンズ13が、それぞれ第1レンズ枠21、第2レンズ枠22および第3レンズ枠23に接着剤により固定される例について説明した。但し、レンズのレンズ枠への固定方法は、これに限定されるものではなく、例えば、熱かしめによりレンズをレンズ枠に固定させてもよい。この場合、レンズ枠21、22、23の材料としては、熱かしめに適した樹脂材料が好ましい。具体的には、ポリカーボネート(PC:Poly Carbonate)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリアミド樹脂(PA)等が挙げられる。熱かしめは、レンズ11、12、13を形成する材料と、レンズ枠21、22、23を形成する材料とで、線膨張係数の差が比較的小さい場合に採用するのが好ましい。
【0068】
また、第1レンズ11、第2レンズ12および第3レンズ13は、球面レンズやフレネルレンズ、非球面レンズのいずれであってもよい。球面レンズやフレネルレンズの場合、レンズの加工や組立調整が容易であるため、加工や組立調整における誤差によるレンズ鏡筒の光学性能の変化を抑制できる。非球面レンズは、研削加工により形成された非球面レンズ、ガラスを型に流し込むことにより形成されたガラスモールド非球面レンズ、ガラスレンズの表面に非球面形状に形成された樹脂を設けた複合型非球面レンズのいずれであってもよい。或いは、屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)等であってもよい。
【0069】
実施の形態1では、レンズ11、12、13がガラスから形成される例について説明したが、レンズ11、12、13の材料はガラスに限定されるものでない。レンズ11、12、13の材料としては、屈折率、アッベ数、部分分散比および線膨張係数等の物理的性能や耐久性能等が適当なものであればガラス以外の透光性材料であってもよい。
【0070】
なお、実施の形態1に係るレンズ鏡筒では、必要に応じて、レンズ体の表面に、様々な加工を施すことも可能である。この加工の例として、レンズ体の曇り防止や水滴形成防止のために表面部を光触媒などにより親水化することが挙げられる。例えば、カメラモジュールや光学機器や電子機器などでの使用時等に外部に晒される可能性がある部位に対して、レンズ本体の曇り防止や水滴形成防止のために、光触媒等により親水化する加工等が挙げられる。
【0071】
実施の形態1に係る第1レンズ枠21、第2レンズ枠22および第3レンズ枠23は、外部からの衝撃等により回転しないような形状であればその形状は特に限定されるものではない。
【0072】
実施の形態1では、レンズ鏡筒1が、レンズ11、12、13やレンズ枠21、22、23等を備える例について説明したが、レンズ鏡筒1が備える部材は実施の形態1で説明した部材に限定されるものではない。例えば、撮像素子により撮影された画像に発生するゴースト画像を抑制するための遮光部材やレンズ11、12、13それぞれの収差を吸収するための光学部材、防水のための防水部材、IRカットフィルタ、その他部材を備えるものであってもよい。
【0073】
実施の形態2では、レンズ鏡筒1がデジタルカメラ3000に取り付けられた光学機器の例について説明したが、レンズ鏡筒1が用いられる機器は光学機器に限定されるものではない。例えば、レンズ鏡筒1がデジタルカメラ以外の機器(例えば携帯電話等)に取り付けられズーム撮影機能を備えた電子機器を構成するものであってもよい。