【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題は、請求項1に記載の接着テープによって、達成される。従属請求項の対象は、その際には本発明の対象の有利な発展形である。
【0018】
したがって、本発明は、好ましくは粘着テープ(self−adhesive tape;自己接着テープ)である接着テープであり、少なくとも2つの互いに直接積層された層AおよびBからなり、ここに少なくとも層AおよびBの一方または両方が接着剤(adhesive;接着料)であり、互いに積層された層AおよびBの境界面が、前記層が互いに積層される前に、コロナ放電、誘電体バリア放電、火炎前処理、またはプラズマ処理からなる群より選ばれる物理的方法で処理され、ここに両方の方法は互いに異なる、接着テープに関する。
【0019】
本発明にいう物理的方法の一つの方法では、放電によりプラズマを発生し、処理する基材をこのプラズマに曝露する。
【0020】
本発明で言う前記処理は、大気圧またはこれに近い圧力で行われる。プラズマ中の平均電子速度は、通常非常に速く、ここにその平均運動エネルギーは、イオンのそれより著しく大きい。したがって、このエネルギーで規定される電子温度は、イオンの温度と異なり、プラズマは熱的平衡になく、「冷たい」。
【0021】
通常「コロナ」と表される物理的前処理技術は、大方、「誘電体バリア放電」(英語:dielectric barrier discharge、DBD)であり、これはWagner ら、Vacuum、71 (2003)、417〜436(非特許文献1)も参照されたい。その際には、処理される基材をウェブ状で、少なくとも一方の電極が誘電性材料製かそれで被覆された2つの高圧電極間を通す。
【0022】
コロナ処理の処理強度は、[Wmin/m
2]単位の「線量」として線量D=P/b*vで与えられる。ここにP=電力[W]、b=電極幅[m]、およびv=ウェブ速度[m/min]である。
【0023】
適度に高いウェブ張力により基材は、ドラムとして設けられた対極に押し付けられ、空気の混入を防止する。処理間隔は、典型的には約1〜2mmである。そうした2電極形態での、電極と対極の間の空間での処理の基本的欠点は、背面の処理が生じ得ることである。例えば、ロール・ツー・ロール処理でのウェブ張力が小さすぎたときの、ほんの少量の空気またはガスの背面への巻き込みでも、多くの場合背面の好ましくないコロナ処理が、生じてしまう。
【0024】
kV領域高周波の交流電圧での処理においては、短い時間間隔の放電路が電極および基材間に生じ、その際加速電子も基材表面に衝突する。電子の衝突におけるエネルギーは、基材合成樹脂の分子結合ほとんどの結合エネルギーの2〜3倍であるので、結合が分断される。二次反応で、官能基および極性基が表面に生成する。極性基の生成は、例えば表面エネルギーの上昇に大きく貢献する。エネルギーの大きい加速電子の作用により、こうした処理は、投入される電気エネルギーの面で非常に効率的であり、また生じ得る反応の面で非常に性能が良い。しかしながらこのとき、極性基および官能基の高密度の生成は、鎖の切断および酸化による材料の分解と競合する。
【0025】
単純なコロナ処理やDBDは、通常非極性表面およびフィルムの処理に使用され、これによりその表面エネルギーおよび濡れ性を向上させる。このため、合成樹脂フィルムは、印刷または接着剤塗布の前に、しばしば、コロナ処理される。
【0026】
広い意味では、空気中のコロナ処理は、プラズマが働く技術であるが、大気圧でのプラズマ処理は、通常より狭い定義で理解される。
【0027】
コロナ処理が空気中でなく、例えば窒素系である別のガス混合物中で行われると、なるほど部分的にプラズマが関わる。より狭い意味での、大気圧でのプラズマ処理は、しかし均一かつ無放電の処理である。例えば、希ガスを使用することで、一部では混合体によって、そうした均一なプラズマを生成できる。このとき、処理は、面状の均一にプラズマで充たされた反応空間で行われる。
【0028】
反応性プラズマは、迅速に基材表面の多くの化学基と反応可能なラジカルおよび自由電子を含む。これにより、ガス状反応生成物、および表面に高活性な遊離基を生成する。この遊離基は、二次反応により迅速に酸素または他のガスとさらに反応して、基材表面上に多様な化学的官能基を生成し得る。全てのプラズマ技術と同様に、官能基の生成は、材料分解と競争関係にある。
【0029】
処理する基材は、2電極形状の反応空間の代わりに、単なる無放電プラズマ(「間接」プラズマ)にも曝露できる。その場合プラズマは、良い近似で大体無電位でもある。プラズマはこのとき、通常、対極を必要とすることなしに、ガス流により放電領域から短い距離を押し流されて、基材に導かれる。反応性プラズマの寿命(したがって、また可使区間)は、しばしば「残光(afterglow)」と呼ばれ、再結合反応およびプラズマ化学の正確な細目により定められる。大方、放電源からの距離とともに反応性の指数的減衰が見られる。
【0030】
近代的間接プラズマ技術は、しばしばノズル原理によっている。ここでノズルは円形または線型に作られてよく、一部では回転ノズルが用いられるが、ここでは制約を加えようとするものではない。前記ノズル原理は、その柔軟性と内在する片面処理により有利である。そうした、例えばPlasmatreat社のノズルは、接着前の下地の前処理用に業界で広く普及している。間接的で効率が低く無放電の前記処理、およびこれによる小さいウェブ速度は、不利である。通常の円形ノズルの構造形態は、しかし例えば幅がほんの数cmの接着テープなどの狭幅のウェブの処理に極めて良く適している。
【0031】
市場には、プラズマ発生の技術、ノズル形態、およびガス雰囲気の異なる多様なプラズマ発生器がある。処理はとりわけ効率において異なるが、基本的な効果は大方同様で、とりわけ使用されるガス雰囲気により決定される。プラズマ処理は、多様な雰囲気で行うことができ、雰囲気に空気を含むこともできる。前記処理雰囲気は、異なったガスの混合物であってもよく、とりわけ、N
2、O
2、H
2、CO
2、Ar、He、アンモニアから選ぶことができ、ここにさらに、水蒸気または他の成分を混合できる。この例示的列挙によって、何らの制約をも加えようとするものではない。
【0032】
原理的には、雰囲気に、被覆性または重合性成分も気体(例えば、エチレン)または液体(エアロゾルとして霧化)として混合できる。対象となるエアロゾルについてほとんど制約はない。特に間接的に作用するプラズマ技術は、電極の汚れの心配がないので、エアロゾルの使用に適している。
【0033】
プラズマ処理の効果は、化学的特質であり、表面の化学的性質の変化が中心を占めるので、上述の方法は化学・物理的処理方法と表すこともできる。細目において相違はあり得るが、本発明の趣旨において、プラズマ生成法や構造によってある技術を特に強調するものではない。
【0034】
本発明の好ましい一実施形態において、互いに積層された境界面が、境界面への異種の物理的処理を通し、とりわけ相補的なプロセスガスの使用を通し、とりわけ酸化性および還元性ガスの使用を通し、とりわけ酸性改質性ガスおよび塩基性改質性ガスの使用を通し、生じたまたは強化された酸−塩基・相互作用、または供与体−受容体・相互作用を有する。
【0035】
特に好ましいプロセスにおいては、第1の物理的処理は、空気中のコロナ処理であり、第2の物理的処理は、N2中のコロナ処理であり、そのときN2雰囲気中のO2含量は、好ましくは<1000ppmであり、特に好ましくは<100ppm、極めて好ましくは<20ppm、とりわけ好ましくは<10ppmである。
【0036】
本発明により確認された結果(特に例4参照)は、酸−塩基・相互作用に基づいて理解できる。空気コロナは、主として酸素含有基(例えば、カルボン酸)を発泡体表面に生成し、これは特に有利に窒素含有基(例えば第一級および第二級アミノ基)と相互作用でき、後者は窒素コロナにより接着剤表面に導入されたものである。ここで、「相互作用」という概念は、共有結合性の結合にまでいたる、全ての通常の相互作用の漸進的な度合を包含する。特に、そうした特定の供与体−受容体・相互作用が、純粋の非特異的双極子−双極子・相互作用に対して際立つ。
【0037】
原理的に、物理的方法による、添加剤の混合性を改良するための表面の酸−塩基・相互作用の改質が知られている。例えば独国EP特許翻訳第69021774(T2)号(特許文献9)参照。この発明によれば、表面を所定の条件(特定の化学反応、周囲のマトリックス等)に適合させることが必須ではなくなり、2つの表面が互いに相補的に形成できるプロセスが準備される。
【0038】
表面の酸度または塩基度は、表面pK
s値(場合によってはpK
b)によって表すことができる。この値は、表面での局部的pHおよび面荷電密度と密接に関連している。別の表現が、ルイス供与体−受容体概念の趣旨によってもできる。水素結合の形成も、供与体−受容体・相互作用に基づく。
【0039】
表面の酸度または塩基度は、例えば、接触角滴定法(例えば、Bain ら、Langmuir、Vol. 5、No.6、1989(非特許文献2)参照)により測定できる。他の方法には、酸性および塩基性成分を用いvan Ossの方法に従った表面エネルギーの算定、または誘導体化および/もしくは比色分析測定による官能基の面密度の推定があり得る。原理的には、混合官能基の表面では複数のpK
s値が測定され得ることに気を付けねばならず、酸度または塩基度は、表面の平均的性質である。原理的には、酸性および塩基性の概念はあいまいに規定されているが、与えられた2つの官能基間では、どちらがより酸性であるかまたは塩基性であるかは常に決定できる。
【0040】
適切な物理的表面処理により、表面pK
s値の差が大きくされるか、かつ/または相補的な供与体および受容体機能の面密度が高められると、これは固定強度の上昇に寄与する。供与体−受容体・相互作用を、意図したように向上する趣旨では、「相補的プロセスガス」を用いた「相補的物理的処理」を持ち出せる。
【0041】
表面中に、物理的処理および適切な処理雰囲気によって、通常酸性の性質の官能基が表面中に形成されるときは、本発明においては、酸性改質ガスと呼ぶ。これは、大方、一または複数の酸素原子を表面に導入するガスである。当業者の間では、そうしたガスは、大抵は酸化性ガスと呼ばれる。
【0042】
このとき、相補的官能基は、通常、塩基性の性質のものである。こうした塩基性の官能基が表面に導入される処理雰囲気は、本発明において塩基性改質ガスと呼ばれる。これは、大方、一または複数の窒素原子を表面に導入するガスである。これには、技術的に還元性と呼ばれるガスが多く当てはまる。
【0043】
この定義は、選ばれた酸化性および還元性ガスによる表面の改質が記載されている米国特許第7,147,758(B2)号(特許文献10)にも見出される。
【0044】
酸性改質ガスとしては、O2、O3、CO2、CO、H2O、さらにSO2、またはさらに、ガス状のカルボン酸、ケトンもしくはアルデヒド、またはそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定しようとするものではない。
【0045】
塩基性改質ガスとしては、N2、H2、NH3、またはそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定しようとするものではない。
【0046】
これらのガスは、また、例えば、希ガスまたは明らかに低反応性のガスなどの不活性ガスのキャリア・ガス中に混ぜてもよい。
【0047】
原理的には、前記処理は、相補的な供与体−受容体相互作用を産み出すまたは強化するのに適していなければならない。個々のケースによって、また表面の処理は、酸性改質ガスなどの単一の群から選ばれる2つの雰囲気を用い、または酸性および塩基性改質ガスの混合物の雰囲気を用いて可能である。
【0048】
原理的に、この概念は酸−塩基・相互作用を超えて供与体−受容体・相互作用にも当てはまる。
【0049】
前記処理は、原理的に、プラズマ処理などの別の物理的方法によっても実施できる。
【0050】
例4bに示されるように、この概念は、ステアリン酸塩などの接着性を減少させるプロセス補助材によって、表面がしばしば汚染されている感圧接着剤用のPE系支持発泡体の処理に用いられる。このとき、浸食性の酸化性酸素系処理が特に効率的である。そのとき、本発明に従い、上記にラミネーションする感圧接着剤の相補的な窒素系物理的処理が選択できる。驚くべきことに、接着剤表面のこの窒素系改質は、強度に酸を含む接着剤においてもプラスの効果を示し得る。
【0051】
本発明の好ましい一実施形態において、前記層AまたはBの少なくとも一方は粘弾性である。
【0052】
粘弾性ポリマー層は、非常に高粘性の液体とみなせ、圧力をかけると流れの挙動(「クリープ」とも称される)を示す。そうした粘弾性ポリマー、またはそうしたポリマー層は、ゆっくりと力が作用するとき、作用する力を緩和する大きな能力があり、力を振動および/または変形(これは、少なくとも部分的に、とりわけ可逆的にもなり得る)により散逸させ、作用する力を「和らげ」、作用する力による機械的破壊を好ましくは免れるか、または少なくとも有利に弱めるか、または少なくとも破壊の生じる時点を遅らせることができる。力が非常に速く作用する場合は、粘弾性ポリマーは通常弾性挙動、すなわち完全に可逆的な変形挙動を示し、力がポリマーの弾性能力を超えると、破壊へつながり得る。これと対照的に、弾性材料は、ゆっくりした力の作用においても、上述した弾性挙動を示す。添加、フィラー、発泡等によりそうした粘弾性の接着剤は特性をさらに大きく変えることができる。
【0053】
そうした粘弾性支持体層を有する接着テープの接着技術特性にやはり大きく寄与する、粘弾性ポリマー層の弾性成分により、応力、例えば引張りや剪断応力は完全には緩和しない。これは、((応力(t=0)−応力(t)/応力(t=0))*100%で定義される緩和能力で表される。典型的には、粘弾性支持体層は、50%超の緩和能力を示す。
【0054】
さらに好ましくは、接着剤は、感圧接着剤、すなわち比較的弱い圧によっても、ほとんど全ての接着下地と耐久性の結合ができ、使用後には実質的に残留物無しに接着下地からまた剥がすことができる接着剤である。感圧接着剤は室温で永続的に感圧粘着性である、すなわち十分小さな粘度と高い初期接着を示し、各接着下地表面を小さな圧力でも濡らすことができる。接着剤の接着性は、その粘着性に、再剥離性は、その凝集性によっている。
【0055】
好ましくは、感圧接着剤層は、天然ゴム、合成ゴム、またはポリウレタンに基づくが、ここに好ましくは、感圧接着剤層は、純粋のアクリラート、または主としてアクリラートからなる。
【0056】
感圧接着剤は、接着特性を改良するために、粘着性付与材を混ぜてよい。
【0057】
接着性樹脂ともいわれる粘着性付与材には、原理的には全ての既知の物質クラスが適している。粘着性付与材は、例えば、ほんのいくつかの例を挙げると、炭化水素樹脂(例えば、不飽和C
5もしくはC
9モノマーからのポリマー)、テルペンフェノール樹脂、例えば、α−もしくはβ−ピネン等の原料からのポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂などの芳香族樹脂、またはコロホニウムおよびその[0]反応生成物(Folgeprodukt)といったスチレンもしくはα−メチルスチレンからなる樹脂、例えば、不均化、二量化、もしくはエステル化したコロホニウム、例えば、グリコール、グリセリンもしくはペンタエリスリトールとの反応生成物(Umsetzungsprodukt)である。
【0058】
好ましくは、樹脂はテルペンフェノール樹脂といった容易に酸化する2重結合を持たない樹脂、芳香族樹脂であり、特に好ましくは、例えば、水素化芳香族樹脂、水素化ポリシクロペンタジエン樹脂、水素化コロホニウム誘導体または水素化ポリテルペン樹脂などの水素化により製造される樹脂である。好ましくは、樹脂はテルペンフェノール系、およびコロホニウムエステル系である。同様に好ましくは、接着性樹脂は、ASTM E28−99(2009)による軟化点が80℃超である。特に好ましくは、樹脂は、ASTM E28−99(2009)による軟化点が90℃超のテルペンフェノール系、およびコロホニウムエステル系である。典型的な使用量は接着剤のポリマーに対して10〜100重量部である。
【0059】
ケーブル適合性のさらなる改良のため、接着剤の配合に任意で光安定剤または第一級および/もしくは第二級酸化防止剤を添加できる。
【0060】
酸化防止剤として、立体障害フェノール系、亜リン酸塩系、チオ相乗剤系、立体障害アミン系またはUV−吸収剤系の製品が使用され得る。
【0061】
好ましくは、第一級酸化防止剤、例えば、Irganox1010(テトラキス−(メチレン−(3,5=ジ−(tert)−ブチル−4−ヒドロシンナマート))メタン;CAS番号6683−19−8(立体障害フェノール)、BASF社)、またはIrganox254を、単独で、または第二級酸化防止剤、例えばIrgafos TNPPもしくはIrgafos168、と組み合わせて使用する。
【0062】
このとき、酸化防止剤は互いに任意に組み合わせて使用でき、第一級および第二級酸化防止剤の混合物を、例えばTinuvin213などの光安定剤と組み合わせると、特に良好な酸化防止作用が示される。
【0063】
第一級酸化防止剤が第二級酸化防止剤と同一分子内に結合している酸化防止剤がとりわけ有利であることが示されている。この酸化防止剤は、クレゾール誘導体で、その芳香環の任意の異なる2個所、好ましくはOH基に対してオルトおよびメタ位をチオアルキル鎖で置換しており、硫黄原子が一つまたは複数のアルキル鎖でもクレゾール構造中の芳香環と結合していてよい。芳香族と硫黄原子の間の炭素原子の数は、1〜10、好ましくは1〜4でもよい。アルキル側鎖の炭素原子の数は、1〜25、好ましくは6〜16でもよい。ここで特に好ましくは、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ウンデシルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(デシルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ノニルチオメチル)−o−クレゾールまたは4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールなどのタイプの化合物である。そうした酸化防止剤は、例えば、Ciba Geigy社からIrganox1726またはIrganox1520の商標で提供されている。
【0064】
添加される酸化防止剤または酸化防止剤パッケージの量は、全固体含量に対して、0.1〜10重量%の範囲、好ましくは0.2〜5重量%の範囲、特に好ましくは0.5〜3重量%の範囲とすべきである。
【0065】
加工性の改良のために、接着剤の配合にさらに通常の、消泡剤、脱気剤、湿潤剤または均展材などのプロセス補助材を混ぜることができる。適切な濃度は、固体に対して0.1〜5重量部の範囲である。
【0066】
二酸化ケイ素(球形、針状、鱗状もしくは焼成シリカのように不定形)、中実もしくは中空球としてのガラス、マイクロバルーン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化アルミニウムまたは水酸化酸化アルミニウムなどの(強化または非強化)充填材は、加工性の調節に加え、接着技術特性の調節にも働き得る。適切な濃度は、固体に対して0.1〜20重量部の範囲である。
【0067】
他でもなくマイクロバルーンが、接着剤の発泡を可能とするので好ましい。
【0068】
さらなる有利な一実施形態によれば、前記層Bは、ウェブ状の支持体基材、特にフィルム−(PE、PP、PS、もしくはPET製)、発泡、織布−、不織布−もしくは紙支持体または複合材支持体である。
【0069】
接着テープは、フィルムまたは発泡支持体製の一または複数の層を含んでよい。
【0070】
接着テープはさらに、一または複数の機能層、例えば、バリア層、ホットメルト材料の層、その他の機能層を含んでよい。
【0071】
支持体は、好ましくは粘弾性の性質を有する。
【0072】
さらなる有利な一実施形態によれば、層Bは接着部品であり、感圧接着剤が塗布される。
【0073】
本発明によれば、両方の物理的方法が互いに相違するように、本発明のいくつかの変化形が可能である。
【0074】
最も単純な形態では、物理的方法は、選ばれるプロセスにおいて異なる。さらに、境界面に、2つ以上の方法が使用され得る。したがって、それぞれ使用される方法の合計数は、1つ以上の加数の数だけ異なることになる。
【0075】
また、調節されるプロセス・パラメータに関して、とりわけ、両方の境界面に適切な線量、圧力、温度、または処理中に存在するガス流において、異なり得る。
【0076】
これに代わり、または加えて、層AおよびBの境界面の処理時間が異なり得る。
【0077】
さらに、有利な一実施形態によれば、層AおよびBの境界面は、均一におよび/または全面に処理される。
【0078】
これに代わり、層AおよびBの境界面は、構造を作って処理できる、すなわち境界面の内部で領域または条域ごとに異なる処理をできる。
【0079】
さらに、層AおよびBの境界面を部分的に処理するのも、本発明思想に含まれる。
【0080】
基本的には、接着剤表面を物理的または化学的・物理的方法で処理することで接着力が向上できることは当業者にとって驚くべきことである。なぜなら、これらの方法は全て、鎖の切断および材料の分解を伴うので、極性基の含量が高い層の形成は、内部の凝集性が小さいことを予想させるからである。
【0081】
さらに、接着剤の表面を間接プラズマで処理することで、接着力の向上の効果が、コロナ処理と同等またはこれを凌駕する程度に得られ得ることは当業者にとって驚くべきことである。
【0082】
驚くべきことに、塗布前の接着剤の適切なプラズマ処理によって、接着促進剤やプライマーの使用を不要にできる。プライマーの不使用は様々な理由で有利であり、とりわけ煩雑さと費用を減らすことができる。
【0083】
本発明による接着テープは、以下の従来技術の周知の欠点を卓越した方式で克服できる。
・境界面の物理的処理を行わないと、積層された層の十分な固定強度が通常得られなくなる。
・ラミネーション前の境界層の片側のコロナ処理/プラズマ処理は、固定強度を限定された高さでしか向上できない。
・片側処理においては、十分な活性化を達成するには、中ないし高程度のコロナ線量が使用され、これがまた、しばしば境界面または層の背面の損傷や変質を伴う。
【0084】
積層する層の両側の前処理は、それぞれ、上述の損傷や変質を極小に減らす低い線量で行える。
【0085】
長時間の湿式熱処理を行った後でも、T字剥離試験または接着力試験において、凝集亀裂が生じる。
【0086】
前処理された層のより長期間の活性化が達成されると、ラミネーションは、より遅い時点で行うことができ、しかも即時にラミネーションするのと同様な高い固定力が得られる。
【0087】
本発明によれば、物理的前処理とラミネーションの間により長時間かかった後でも、即時にラミネーションする処理と同じまたはより高い固定力が達成できる。
【0088】
試験方法
試験方法1(接着力−鋼材、90°)
接着力−鋼材の測定は、23℃±1℃温度および50%±5%相対空気湿度の試験環境で実施する。サンプルは、20mm幅に切断され鋼板上に貼られた。前記鋼板は、測定前に洗浄され、調質する。このためには、板をまずアセトンで洗浄し、その後5分間、溶媒を蒸散することができるように空気中に放置する。
【0089】
別途の記載がない限り、サンプルは23μm厚さでエッチングしたPETフィルムに積層されており、このPETフィルムを引張り試験のために緊定できた。接着剤のPETフィルムへの固定は常に良好であり、PETフィルムからの剥離は観察されなかった。
【0090】
試験サンプルは、鋼材下地に塗布され、続いて2kgのロールで5回、10m/minの転動速度で加圧した。別途の記載のない限り、その後7日間40℃で保管し、続いて1時間試験環境下で再調質した。
【0091】
測定のため、鋼板は、サンプルを90°の角度で垂直に上方に引っ張ることを可能にする特別なホルダに差し込んだ。接着力測定は、Zwick引張試験機で行われた。測定結果は、N/cmで表され、3測定を平均している。
【0092】
試験方法2(T字剥離による接着力)
T字剥離による接着力の測定は、23℃±1℃温度および50%±5%相対空気湿度の試験環境で実施する。基本的には、2層の複合体が製造され、この複合体の接着力(または剥離力)を、横から観察して横たわった「T」に似た形態で引っ張り、測定する。
【0093】
別途の記載がない限り、接着剤サンプルは23μm厚さでエッチングしたPETフィルムに積層されており、このPETフィルムを引張り試験のために緊定できた。接着剤のPETフィルムへの固定は常に良好であり、PETフィルムからの剥離は観察されなかった。基材が接着性でない場合、これを直接緊定した。
【0094】
2枚の基材を手作業で2層のサンプルに積層し、20mm幅に切断し、続いて
2kgのロールで5回、10m/minの転動速度で加圧した。その後7日間40℃で保管し、続いて1時間試験環境下で再調質した。
【0095】
測定のため両方の基材をそれぞれZwick引張試験機の締め具に緊定し基材からなる「T」構造体を手で支持した。測定結果は、N/cmで表され、3測定を平均している。
【0096】
ガラス転移温度
静的ガラス転移温度の測定は、DIN53765による動的示差走査熱量測定による。ガラス転移温度T
gの値は、個々のケースにおいて特段の断りがない限り、DIN53765:1994−03によるガラス変態温度値T
gに関する。
【0097】
分子量
平均分子量M
Wおよび多分散性Dの測定は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC)により行われた。溶離剤として、0.1容積%のトリフルオロ酢酸含有THFが使用された。測定は25℃で行われた。プレカラムとしてPSS−SDV、5μm、103Å(10−7m)、ID8.0mmx50mmが使用された。分別は、カラムPSS−SDV、5μm、103Å(10−7m)、105Å(10−5m)および106Å(10−4m)、それぞれID8.0mm×300mmが使用された。サンプル濃度は、4g/l、流量は1.0mL/minであった。PMMA標準に対して測定した。
【0098】
固体含量
固体含量は、ポリマー溶液中の非揮発性成分の割合の尺度である。これは重量法で求められる。すなわち溶液を秤量し、次に乾燥棚中において120℃で2時間揮発性分を蒸散し、残量を再度秤量する。
【0099】
K値(フィケンチャー(Fikentscher)による)
K値は、高重合物質の平均的分子の大きさの尺度である。測定には、1%の(1g/100mL)ポリマー・トルエン溶液が作られ、Vogel−Ossag−粘度計を用いてその動粘度を求める。トルエンの粘度で規格化し、比粘度を得て、この粘度からフィケンチャーの方法でK値を算定する(Polymer 8/1967、381〜)。
【0100】
いくつかの例を用いて本発明につき、以下にさらに詳細に記述するが、それによっていかなる性質の制限をも加えようとするものではない。