(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数個の実装ブロックが、線対称に配置されるペア実装ブロックからなる偶数個の実装ブロックにより構成されることを特徴とする請求項5に記載のLED照明モジュール。
前記多数個のLEDベアチップが、300個以上のLEDベアチップであり、全光束が3万ルーメン以上であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のLED照明モジュール。
前記LEDベアチップが、最大定格電流100mA以上かつ数WクラスのLEDベアチップであり、合計負荷電力が数百W以上であることを特徴とする請求項9に記載のLED照明モジュール。
前記無機系白色絶縁層が、実装基板に積層される第一層無機系白色絶縁層と第一層無機系白色絶縁層に積層される第二層無機系白色絶縁層を含むことを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載のLED照明モジュール。
第一層無機系白色絶縁層が含有する白色無機顔料の熱伝導率が、第二層無機系白色絶縁層が含有する白色無機顔料の熱伝導率よりも高いことを特徴とする請求項15に記載のLED照明モジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、小型かつ軽量でありながら、高輝度かつ大光量のLED照明装置を提供することを解決すべき課題とする。このようなLED照明装置を実現するためには、少なくとも最大定格電流100mA以上のLEDチップを用いる必要があると考えられるところ、発熱量の増加に伴う部品劣化の問題が生じることとなる。
また、一般的にLED発光装置では、半導体チップの下面に位置する電気絶縁層が有機材料を主要な成分とし、熱伝導性が悪いために、良好な放熱特性が得られないという課題がある。有機材料は、耐熱性、耐久性のなど点でも制約があり、変色も生じるため、少なくとも反射領域の最上位層が無機材料からなる電気絶縁層を構成することも本発明が解決すべき課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来、白色無機顔料は、有機材料に配合された液材で用いられていた。この種の液材は、インクジェット法やディスペンサー法では塗布できないため、もっぱらスクリーン印刷により塗布されていた。
発明者は、ナノ粒子化された二酸化珪素(SiO
2)と白色無機顔料の配合されたインクを用いることにより、白色無機絶縁材料をインクジェット法やディスペンサー法あるいはスプレーコート法のインクとすることができ、任意のパターン形成や凹凸部への塗布を行うことを可能とした。またナノサイズ化されたことにより、塗布対象の基板、例えば銅板などの微小な凹凸へのインクの周りこみが可能となり、密着性が大幅に向上し、無機系白色絶縁層と金属層の積層構造を形成することが可能となった。
【0009】
そして、耐熱性、耐久性および放熱性に優れた無機系白色絶縁層を利用することにより、LEDチップを高密度に実装した際に生じる発熱に起因する問題を解決した高輝度かつ大光量のLED光源を実用可能ものとした。すなわち、本発明は、以下の技術手段から構成される。
【0010】
[1]LEDベアチップを実装基板に高密度に実装したLED照明モジュールであって、同一仕様である多数個のLEDベアチップと、少なくとも表面が金属である実装基板と、LEDベアチップを樹脂封止してなる反射領域とを備え、実装基板の反射領域の表面が反射材として機能する無機系白色絶縁層により覆われ、当該無機系白色絶縁層の少なくとも一部が金属層との積層構造を構成すること、複数のLEDベアチップを直列に接続してなる単位LEDチップ群を複数設け、各単位LEDチップ群を並列に接続したこと、全光束が10000ルーメン以上であり、かつ、反射領域におけるLEDベアチップの実装面積密度が15mm
2/cm
2以上であることを特徴とするLED照明モジュール。
[2]前記無機系白色絶縁層が、ナノ粒子化されたSiO
2及び白色無機顔料を含む液材を実装基板の表面に塗布し、160〜200℃で加熱してなる無機系白色絶縁層を含むことを特徴とする[1]に記載のLED照明モジュール。
[3]前記実装基板の表面が銅であることを特徴とする[1]または[2]に記載のLED照明モジュール。ここにいう実装基板には、例えば表面が銅からなる水冷構造のヒートスプレッダ(上板、中板、下板の3種類の銅板からなる積層構造体)も含まれる。
[4]前記多数個のLEDベアチップを等分する複数個の実装ブロックを備え、実装ブロックが、複数の単位LEDチップ群と、当該複数の単位LEDチップ群が並列に接続される一対の電極ユニットとを備えることを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかに記載のLED照明モジュール。
[5]前記各実装ブロックが、一対の電極ユニットを接続する保護ダイオードを備えることを特徴とする[4]に記載のLED照明モジュール。
[6]前記複数個の実装ブロックが、線対称に配置されるペア実装ブロックからなる偶数個の実装ブロックにより構成されることを特徴とする[5]に記載のLED照明モジュール。
[7]前記複数個の実装ブロックが、3個以上の実装ブロックであり、隣り合うペア実装ブロックの間に分離線が設けられることを特徴とする[6]に記載のLED照明モジュール。
[8]単位LEDチップ群がn個(但し、nは8以上の整数)のLEDベアチップからなり、多数個のLEDベアチップが、n行×n列に配置されることを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかに記載のLED照明モジュール。
【0011】
[9]前記多数個のLEDベアチップが、300個以上のLEDベアチップであり、全光束が3万ルーメン以上であることを特徴とする[1]ないし[8]のいずれかに記載のLED照明モジュール。
[10]前記LEDベアチップが、最大定格電流100mA以上かつ数WクラスのLEDベアチップであり、合計負荷電力が数百W以上であることを特徴とする[9]に記載のLED照明モジュール。
[11]反射領域内の輝度が7.0[lm/mm
2]以上であることを特徴とする[9]または[10]に記載のLED照明モジュール。
[12]実装基板の面積が、5000mm
2以上20000mm
2以下であることを特徴とする[9]、[10]または[11]に記載のLED照明モジュール。
【0012】
[13]LEDベアチップが載置される位置に、金属面が露出する載置部が形成されていることを特徴とする[1]ないし[12]のいずれかに記載のLED照明モジュール。
[14]前記無機系白色絶縁層の上に配線が形成されていることを特徴とする[1]ないし[13]のいずれかに記載のLED照明モジュール。
[15]前記無機系白色絶縁層が、実装基板に積層される第一層無機系白色絶縁層と第一層無機系白色絶縁層に積層される第二層無機系白色絶縁層を含むことを特徴とする[1]ないし[14]のいずれかに記載のLED照明モジュール。
[16]第一層無機系白色絶縁層が含有する白色無機顔料の熱伝導率が、第二層無機系白色絶縁層が含有する白色無機顔料の熱伝導率よりも高いことを特徴とする[15]に記載のLED照明モジュール。
[17]第二層無機系白色絶縁層に、第一層無機系白色絶縁層が露出する凹状のLED載置部が形成されていることを特徴とする[16]に記載のLED照明モジュール。
[18]前記無機系白色絶縁層の下層を構成する有機系絶縁層を備えることを特徴とする[1]ないし[13]のいずれかに記載のLED照明モジュール。
[19]さらに、実装基板の反射領域の外部表面を覆う有機系絶縁層を備えることを特徴とする[1]ないし[13]のいずれかに記載のLED照明モジュール。
【0013】
[20][1]ないし[19]のいずれかに記載のLED照明モジュールと、リフレクターと、ヒートスプレッダと、ヒートシンクと、電源装置とを備えるLED照明装置。
[21][4]に記載のLED照明モジュールと、リフレクターと、ヒートスプレッダと、ヒートシンクと、複数個の電源装置とを備え、電源装置の数と実装ブロックの数とが等しいことを特徴とするLED照明装置。
[22]電源装置を除く重量が15kg以下であることを特徴とする[20]または[21]に記載のLED照明装置。
【0014】
別の観点からの本発明は、次の技術手段から構成される。
第1の発明は、半導体チップが直接または間接に装着される第1の基板と、第1の基板の表面に形成された反射材として機能する白色絶縁層とを備える半導体装置であって、半導体チップがLEDチップであり、第1の基板は少なくとも表面が金属であり、第1の基板表面にナノ粒子化されたSiO
2及び白色無機顔料を含む液材を塗布し、焼成することにより、白色絶縁層と金属層の積層構造を形成したことを特徴とする半導体装置に関する。ここにいう第1の基板は、半導体チップを有する半導体パッケージが装着されるモジュール基板である場合と、半導体チップが直接装着されるパッケージ基板である場合とがある。第1の基板は、少なくとも表面が金属により構成されていれば足りるから、例えば、上面に金属薄膜層が形成されている基板、水冷構造を有する基板(特許文献3参照)、或いは、水冷構造を有する放熱部材を積層した基板をモジュール基板として用いる場合も含まれる。また、第1の基板には、有機材絶縁層の上面に配線層を形成したパッケージ基板も含まれる。
第2の発明は、半導体チップが直接または間接に装着される第1の基板と、第1の基板の表面に形成された白色絶縁層とを備える半導体装置であって、第1の基板は少なくとも表面が金属であり、第1の基板表面にナノ粒子化されたSiO
2及び白色無機顔料を含む液材を塗布し、焼成することにより、白色絶縁層と金属層の積層構造を形成したことを特徴とする半導体装置に関する。
第3の発明は、第1または2の発明において、前記焼成後の白色絶縁層に含有されるSiO
2及び白色無機顔料の割合が、80重量%以上であることを特徴とする。
第4の発明は、第3の発明において、前記焼成後の白色絶縁層に含有される白色無機顔料の割合が40重量%以上であり、SiO
2の割合が25重量%以上であることを特徴とする。なお、前記白色無機顔料が平均粒径50nm以下の二酸化チタンであって、粒径が25nm以下の二酸化チタンを含むことが例示される。
第5の発明は、第1ないし4のいずれかの発明において、前記白色無機顔料が、表面が透明絶縁膜でコートされた、二酸化チタンまたは酸化亜鉛の粒子であることを特徴とする。
第6の発明は、第1ないし5のいずれかの発明において、前記白色絶縁層が酸化亜鉛を白色無機顔料とする第1の層と二酸化チタンを白色無機顔料とする第2の層の積層からなり、第1の層を構成する酸化亜鉛粒子が透明絶縁膜でコートされていることを特徴とする。
【0015】
第7の発明は、第1ないし6のいずれかの発明において、前記第1の基板が、半導体チップを有する半導体パッケージが装着されるモジュール基板であり、前記白色絶縁層の上に、半導体パッケージの電極と接続される配線のパターンが形成されていることを特徴とする。
第8の発明は、第1ないし6のいずれかの発明において、前記第1の基板が、複数の半導体チップが装着されるモジュール基板であり、半導体チップの電極と接続される配線層が前記第1の基板表面に形成された絶縁層上に形成されていることを特徴とする。
第9の発明は、第6の発明において、前記配線層の下に位置する絶縁層が有機絶縁層であることを特徴とする。
第10の発明は、第7の発明において、前記配線層の表面の少なくとも一部が前記白色絶縁層により覆われていることを特徴とする。
第11の発明は、第8の発明において、前記配線層の下に位置する絶縁層が白色絶縁層であることを特徴とする。
第12の発明は、第8ないし11のいずれかの発明において、半導体チップが配置される位置に、金属面が露出する載置部が形成されていることを特徴とする。
第13の発明は、第12の発明において、前記載置部が、凸状載置部であることを特徴とする。
第14の発明は、第8ないし13のいずれかの発明において、前記複数の半導体チップが、隣り合う半導体チップとワイヤボンディング接続されることを特徴とする。
第15の発明は、第7ないし14のいずれかの発明において、前記第1の基板に、無機材料からなる透明なソルダーレジスト層が形成されていることを特徴とする。
【0016】
第16の発明は、第1ないし6のいずれかの発明において、前記第1の基板が、一または複数の半導体チップが配置される前記白色絶縁層が形成された凹所を有するパッケージ基板であり、さらに、第1の基板が嵌着される開口を有する第2の基板を備えることを特徴とする。
第17の発明は、第16の発明において、半導体チップの電極と接続される配線層が前記第1の基板のベース材表面に形成された有機材絶縁層上に形成されており、当該配線層の表面の少なくとも一部が前記白色絶縁層により覆われていることを特徴とする。
第18の発明は、第16または17の発明において、前記第1の基板の凹所の半導体チップが配置される位置に、金属面が露出する載置部が形成されていることを特徴とする。
第19の発明は、第16、17または18の発明において、前記第1及び第2の基板の裏面に当接される放熱板を備えることを特徴とする。
【0017】
第20の発明は、第1ないし6のいずれかの発明において、前記第1の基板が、一または複数の半導体チップが配置されるパッケージ基板であり、当該パッケージ基板が、基板絶縁層と、同層の上層に設けられた上側配線層および/または同層の下層に設けられた下側配線層を有することを特徴とする。ここでは、白色絶縁層が積層される金属層は、上側配線層となる。白色絶縁層は透明樹脂により封止され、或いは蛍光体を含有したレンズ状透明樹脂カバーにより覆われる。
第21の発明は、第20の発明において、前記基板絶縁層が、無機材料からなる高熱伝導フィラーを含浸させたガラスクロスまたはガラス不織布により構成されることを特徴とする。
第22の発明は、第20または21の発明において、前記基板絶縁層および前記上側配線層の側端面が面一であり、前記下側配線層の側端面が前記基板絶縁層の側端面よりも内側に位置することを特徴とする。
第23の発明は、第20、21または22の発明において、前記上側配線層には第一の方向に延出する上側分離部が設けられ、前記下側配線層には第一の方向と異なる第二の方向に延出する部分を含む下側分離部が設けられていることを特徴とする。
第24の発明は、第20ないし23のいずれかの発明において、前記上側配線層と前記下側配線層とがサーマルビアにより連結されていることを特徴とする。
第25の発明は、第20ないし24のいずれかの発明において、前記上側配線層および前記下側配線層の表面に金属薄膜層が施されていることを特徴とする。
【0018】
第26の発明は、第1ないし25のいずれかの発明において、前記白色絶縁層の厚さが、10〜150μmであることを特徴とする。
第27の発明は、第1ないし26のいずれかの発明において、前記配線が、銀粒子と銅粒子を含有するインクを描画塗布することにより形成されることを特徴とする。
【0019】
第28の発明は、LEDパッケージが装着される基板と、当該基板の表面に形成された白色絶縁層とを備える半導体装置の製造方法であって、前記基板の表面に、ナノ粒子化されたSiO
2及び白色無機顔料を含む液材を塗布し、焼成することにより、白色絶縁層を形成し、導電性金属インクを塗布し、焼成することにより、白色絶縁層上に配線を形成し、基板上にLEDチップを装着し、白色絶縁層上に形成された配線に電気的に接続することを特徴とする半導体装置の製造方法に関する。
第29の発明は、第28の発明において、前記絶縁層形成工程の前工程として、前記基板の表面に凸状載置部を形成する載置部形成工程を有することを特徴とする。
第30の発明は、LEDチップが装着される基板と、当該基板の表面に形成された白色絶縁層とを備える半導体装置の製造方法であって、金属プレートの曲げ加工を行うことにより、一または複数のLEDチップが配置される底部、底部端の両側から立ち上がる壁部及び壁部からほぼ水平方向に延出する縁部を形成して前記基板を構成し、前記基板の表面に、ナノ粒子化されたSiO
2及び白色無機顔料を含む液材を塗布し、焼成することにより、白色絶縁層を形成し、導電性金属インクを塗布し、焼成することにより、白色絶縁層上に配線を形成し、前記基板の底部にLEDチップを固着し、白色絶縁層上に形成された配線に電気的に接続することを特徴とする半導体装置の製造方法に関する。
第31の発明は、LEDチップが装着される基板と、当該基板の表面に形成された白色絶縁層とを備える半導体装置の製造方法であって、金属プレートの表面に、有機材絶縁層の下層と配線層の上層からなる積層構造を形成すると共に、少なくとも当該配線層を分離する分離部を形成し、前記金属プレートの曲げ加工を行うことにより、一または複数のLEDチップが配置される底部、底部端の両側から立ち上がる壁部及び壁部からほぼ水平方向に延出する縁部を形成して前記基板を構成し、LEDチップが電気的に接続される部分を除く前記基板の底部及び壁部の表面に、ナノ粒子化されたSiO
2及び白色無機顔料を含む液材を塗布し、焼成することにより、白色絶縁層を形成し、前記基板にLEDチップを固着し、前記配線層の配線部分に電気的に接続することを特徴とする半導体装置の製造方法に関する。
第32の発明は、第28ないし31の発明において、ナノ粒子化されたSiO
2及び白色無機顔料を含む液材を、インクジェット法、ディスペンサー法、スプレーコート法またはスクリーン印刷法により塗布することを特徴とする。
第33の発明は、一または複数のLEDチップまたは複数のLEDパッケージが装着される基板と、当該基板の表面に形成された白色絶縁層とを備える半導体装置の製造方法であって、前記基板のベース材表面に、有機材絶縁層を介して金属層を形成し、金属層をエッチング加工することにより配線パターンを形成し、配線パターンをマスクとして有機材絶縁層をエッチング加工し、前記基板の少なくとも配線パターンの形成されていない部分を含む表面に、ナノ粒子化されたSiO
2及び白色無機顔料を含む液材を塗布し、焼成することにより、白色絶縁層を形成し、前記基板上にLEDチップまたはLEDパッケージを装着し、配線パターンに電気的に接続することを特徴とする半導体装置の製造方法に関する。
【0020】
第34の発明は、一または複数のLEDチップまたはLEDパッケージが装着される基板と、当該基板の表面に形成された白色絶縁層とを備える半導体装置の製造方法であって、多数個取り基板を構成する基板絶縁層の上側に上側配線層を形成すると共に下側に下側配線層を形成し、上側配線層および下側配線層に配線パターンを形成すると共に上側配線層および下側配線層を連結するビアを設け、上側配線層の電気接続部を除く表面に、ナノ粒子化されたSiO
2及び白色無機顔料を含む液材を塗布し、焼成することにより、白色絶縁層を形成し、前記多数個取り基板上に多数個のLEDチップを装着し、それぞれを電気接続部に電気的に接続し、前記多数個取り基板を樹脂で一括封止し、分割して個片化することを特徴とする半導体装置の製造方法に関する。
第35の発明は、第34の発明において、前記樹脂の硬度が、ショアD硬度86以上であることを特徴とする。
第36の発明は、一または複数の半導体チップが装着される基板を備える半導体装置の製造方法であって、ガラスクロスまたはガラス不織布に無機材料からなる高熱伝導フィラーを含浸させて基板絶縁層を構成し、基板絶縁層の上側に上側配線層を形成すると共に下側に下側配線層を形成することにより基板を構成し、上側配線層および下側配線層に配線パターンを形成すると共に上側配線層および下側配線層を連結するビアを設け、基板上に半導体チップを装着し、上側配線層に電気的に接続することを特徴とする半導体装置の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、高密度に配置された多数個のLEDチップからなる照明ムラの少ない高輝度かつ大光量の光源を構成することができるので、高輝度かつ大光量でありながら小型かつ軽量であるLED照明装置を提供することが可能となる。
また、汎用的な電源装置を用いて高輝度かつ大光量のLED光源を低コストに製造することが可能となる。
【0022】
本発明によれば、ほぼ全ての成分が無機材料からなる層を基板上に形成することができるので、耐熱性、放熱性及び耐久性に優れた電気絶縁層を有するLED照明装置を提供することが可能となる。
また、電気絶縁層が反射材としての役割を奏するので、高価な反射材を用いることが不要となり、また反射層を形成するための別途のプロセスが不要となる。
さらには、基板表面にナノ粒子化されたSiO
2及び白色無機顔料を含む液材を塗布し、焼成することにより、基板上の所望位置に所望の形状及び厚さの無機系白色絶縁層を構成することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のLED照明モジュールは、多数個(例えば100〜2000個)の数Wクラス(例えば、0.5〜4W)のLED素子(LEDダイス)をCOB実装し、数百W以上(例えば、200〜1000W)の光源を構成するものである。このLED照明モジュールは、後述するように、ヒートスプレッダを介して実装基板の裏面からヒートシンクに放熱する構造を設け、リフクレタ(および/またはレンズ)を取り付けてLED照明装置を構成する。以下、例示に基づき本発明を説明する。
[第1の構成例]
図1は、本発明の第1の構成例に係るLED照明モジュール1の側面断面図であり、
図2は、本発明の第1の構成例に係るLED照明モジュール1の上面図である。第1の構成例に係るLED照明モジュール1は、LEDチップ3と、配線13、無機系白色絶縁層14および凸状載置部47が形成された実装基板2とを主要な構成要素とする。
LEDチップ3は、例えばInGaN系青色LEDベアチップであり、多数個のLEDチップ3が反射領域49内でn行×m列(例えば、5行×5列)に配置され、所謂COB(Chip On Board)実装される。各LEDチップ3は、配線13または隣り合うLEDチップ3と金の細線等でワイヤボンド接続される。LEDチップ3の裏面(下面)は、凸状載置部47に高熱伝導性接着材等により固設される。
【0025】
単位面積当たりの光度を高め高輝度を実現するためには、一定以上の光量を有する多数個のLEDチップ3を反射領域内で高密度に実装することが重要である。ここにいう反射領域とは、多数個のLEDチップが樹脂封止された領域をいい、ダム材を備える構成においてはダム材で囲繞された領域をいう。例えば、反射領域内におけるLEDチップ3の実装面積密度(チップ搭載面積占有率)を15mm
2/cm
2以上とすることが好ましく、より好ましくは20mm
2/cm
2以上とする。また、LEDチップ3は、反射領域の輝度が例えば7.0[lm/mm
2]以上となるLEDチップを選択することが好ましく、より好ましくは10.0[lm/mm
2]以上となるLEDチップを選択する。このような輝度を実現するLEDチップ3は、例えば最大定格電流100mA以上、好ましくは最大定格電流300mA以上、さらに好ましくは最大定格電流500mA以上のLEDチップが開示される。多数個のLEDチップは全て同一の仕様とする。
【0026】
実装基板2上のLEDチップ3が載置される場所には、凸状載置部47が設けられている。凸状載置部47は、熱伝導性に優れた部材により構成され、例えば、銅ペースト、銀ペースト、半田ペースト等の金属ペースト材料を塗布、焼成することにより形成される。または金属基板をエッチングにより凸状載置部を形成しても良い。なお、銅板積層でヒートパイプを形成する構造を基板とする場合は、その最上面の銅板のみに凸状載置部を形成した後積層すれば良い。凸状載置部47の上面は、LEDチップ3の裏面との接着性を考慮し平面とする。
【0027】
実装基板2は、熱伝導性および電気特性に優れる材料であり、例えば、銅板またはアルミ板により構成される。実装基板2にガラスエポキシ樹脂のような熱伝導性が低い材料を用いた場合、特に放熱性の悪くなる発光中心部の光量が特に低下するドーナツ化現象が生じることとなる。実装基板2は、矩形状、多角形状または円形状の基板であり、例えば、面積は5000mm
2以上20000mm
2以下である。実装基板2の表面には、反射材としての役割をも奏する無機系白色絶縁層14が設けられている。無機系白色絶縁層14は、可視光の波長域で平均反射率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。無機系白色絶縁層14は、白色無機粉末(白色無機顔料)と二酸化珪素(SiO
2)を主要な成分とし、有機リン酸を含むジエチレングリコールモノブチルエーテルの溶剤でこれらを混ぜたインク(以下、「白色無機インク」という場合がある)を塗布、焼成して形成される。ここで、白色無機インクの塗布は、例えば、インクジェット法、ディスペンサー法、スプレーコート法またはスクリーン印刷法により行われる。無機系白色絶縁層14の厚さは、放熱特性の観点からは、薄いほうが望ましいが、耐電圧と引き裂き強度の観点からは、ある程度の厚さが要求される。白色無機粉末と二酸化珪素の配合割合にもよるが、LED搭載に要求される絶縁膜の耐電圧は一般的には1.5〜5kVであり、白色無機絶縁体は1KV/10μm程度であるところ、15μm以上の厚さとすることが好ましい。他方で、無機系白色絶縁層14により放熱性能が低下するのを防ぐためには、無機系白色絶縁層14を一定の厚さ以下とすることが好ましい。すなわち、無機系白色絶縁層14の厚さは、例えば10〜150μmの範囲で設定され、好ましくは15〜100μm、より好ましくは25〜70μm、さらに好ましくは30〜60μm、さらにさらに好ましくは40〜60μm、最も好ましくは40〜50μmの範囲で設定する。無機系白色絶縁層14の厚さと反射率の関係については、
図10を参照しながら後述する。
【0028】
実装基板2上に設けられた多数の凸状載置部47の周辺領域(反射領域49)には、無機系白色絶縁層14が凸状載置部47とほぼ同一高さ、あるいは凸状載置部より少し低めとなるように形成されており、反射領域49は実質的に平面となっている。無機系白色絶縁層14は、反射領域49とその外部領域とで厚みを変えてもよく、例えば、反射領域49内と比べ外部領域を厚くすることで耐電圧性を高めてもよい。また、凸状載置部47を設けずに無機系白色絶縁層14を面一に形成してもよい。
反射領域49は、少なくとも表面に光反射性が付与されたダム材48により囲まれており、ダム材48の内側には透明樹脂5が充填される。ダム材48は、製造時において封止樹脂の流動を防ぐもので、樹脂や金属材料などで構成する。なお、本構成例ではダム材48は固設されているが、これとは異なり、ダム材48を取り外し可能に設置してもよい。
透明樹脂5には、例えば白色を得るための蛍光体が混入されている。白色光を得るための方式としては、紫外LEDで三原色の蛍光体を励起する方式、緑および赤の二色の蛍光体を青色LEDで励起する方式、黄色の蛍光体を青色LEDで励起する方式があるところ、LEDチップ3の種類に応じて選択された蛍光体を混入する。色温度は、例えば、2700〜6500Kの範囲で設定する。
【0029】
無機系白色絶縁層14の上には、必要な箇所に配線13が形成されている。配線13は、金属層を蒸着やスパッター等で形成し、その上にレジストを塗布し、パターンを露光、現像してさらにエッチングを行い、レジストを除去して形成することができるが、導電性金属インク(例えば、銀インクや銀と銅を混合したハイブリッドインク)をインクジェット法やディスペンサー法などで必要箇所に描画塗布した後、焼成して金属化させることにより形成することが好ましい。無機系白色絶縁層14の表面が撥水性を持つ場合は、プラズマ処理等で撥水性残渣を除去し表面活性化を行うと共に、必要であれば素材間の密着性を向上させるプライマー処理(例えばエポキシプライマー)をした後、接続配線を形成する。
【0030】
実装基板2上には、必要に応じて透明な無機材料からなるソルダーレジスト層を設けてもよい。ソルダーレジスト層を構成する透明膜は、例えば、二酸化珪素(SiO
2)により構成することができる。SiO
2(平均粒子径が50nm以下)を含むゾル(液状のコーティング剤)あるいはポリシラザンを含む溶液をインクジェット法あるいはディスペンサー法で必要箇所に塗布し、焼成することによって形成する。
【0031】
本構成例のLED照明モジュール1によれば、LEDチップ3からの熱を凸状載置部47を介して実装基板2に効率よく放熱できるので、放熱性に優れた照明モジュールを提供することが可能となる。本構成例の電気絶縁層は、全て無機系白色絶縁層により構成されるため、有機系絶縁層にある変色のおそれを解消することが可能である。
【0032】
<無機系白色絶縁層>
本発明のLED照明モジュール1に用いられる白色絶縁層の主要な特徴について説明する。
第1の特徴は、成膜された白色絶縁層の80重量%以上(好ましくは85重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上)が無機材料で構成されているということである。例えば、90重量%以上が無機材料で構成されているインクを塗布し、焼成すると、有機材料が殆ど存在しない絶縁層を形成することができる。
【0033】
第2の特徴は、無機材料を構成する二酸化珪素(SiO
2)が、ナノ粒子化されていることである。ここで、無機材料を構成する白色無機粉末の粒径を1μm以下とすることが好ましく、より好ましくは、無機材料を構成する白色無機粉末もナノ粒子化する。少なくともSiO
2をナノ粒子化することにより、これまで困難であった80重量%以上が無機材料で構成される液材(白色無機インク)を塗布することが可能となり、また光の波長に比べ粒子径が十分に小さいため反射率も向上される。ここで、ナノ粒子とは、直径が数nm〜数百nmの粒子をいう。SiO
2は、平均粒径は50nm以下のものを用いることが好ましく、これに粒径が20nm以下のものを含んでいることがより好ましく、粒径が10nm以下のものを含んでいることがさらに好ましい。成膜された無機系白色絶縁層中のSiO
2の含有率は、25重量%以上とすることが好ましく、より好ましくは30〜40重量%とする。
【0034】
白色無機顔料は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシューム(MgO)、アルミナのいずれか、或いはこれらを組み合わせたものが用いられる。成膜された無機系白色絶縁層中の白色無機顔料の含有率は、要求される反射率等により適宜調整されるが、好ましくは40〜70重量%、より好ましくは、50〜65重量%とする。40重量%以上とすることで十分な反射効果が得られ、70重量%以下ならば均一な膜を形成するために必要なインクの流動性を確保できるからである。
白色無機粉末は、平均粒径は50nm以下のものを用いることが好ましく、これに粒径が25nm以下のものを含んでいることがより好ましい。かかるナノ粒子化された白色無機粉末は、インクジェット法、ディスペンサー法またはスプレーコート法による塗布に好適である。
粒子表面を透明絶縁膜でコートした白色無機粉末を用いてもよい。透明絶縁膜としては、アルミナコートまたはシリカコートが例示されるが、熱伝導性の観点からはアルミナコートを用いることが好ましい。透明絶縁膜でコートされた白色無機粒子の平均粒径は、例えば10nm〜5μm(好ましくは1μm以下)であり、コート膜厚は10〜50nmである。透明絶縁膜でコートすることにより、酸化チタンの有する触媒効果によるLEDの透明樹脂の劣化の問題の低減も期待できる。
【0035】
この際、無機系白色絶縁層の放熱性能を向上させるために、上述した液材(白色無機インク)に無機材料からなる高熱伝導フィラー(例えば炭化ケイ素(SiC)にnmサイズのアルミナ膜をコートしたもの)を混入させても良い。例えば、SiCの熱伝導率は160w/m・k程度であり、二酸化チタン(TiO
2)の約20倍の熱伝導率を有する。高熱伝導フィラーの割合を増やすのに伴い放熱性は向上するが、他方で反射率は低下する。そのため、白色無機顔料の重量100に対して1〜30、好ましくは5〜20、更に好ましくは5〜15の割合で混入させる。
【0036】
このような絶縁材料からなる白色無機インクを金属板上に塗布し、例えば、160〜200℃で加熱することで、溶剤中に分散したナノサイズ絶縁粒子が基材表面の凹凸に倣って配列すると共に、溶剤が蒸発して緻密な無機系白色絶縁層(膜)が形成される。すなわち、ナノサイズセラミックスの混合粉末を金属表面に直接接触させたまま大気圧下で加熱し、その場で焼結させ、ナノサイズ効果による拡散状態を利用して接合界面で金属表面接合し、無機系白色絶縁層と金属層の積層構造を形成する。このように、本発明では、無機系白色絶縁層を構成する絶縁材料をインク化することにより、基板上の所望位置に所望の形状及び厚さの無機系白色絶縁層を構成することを可能としている。本発明によれば、例えば、基板表面に凹所を形成した後、LEDチップ3の載置部を除く基板表面部分に、白色絶縁層を塗布形成することも可能である。
【0037】
本構成例のLED照明モジュール1は、無機系白色絶縁層14が反射材として機能するので、高価な反射材を別途に設ける必要が無く、材料費を大幅に削減することができる。また、例えば実装基板2を銅で作製し、その表面に白色無機インクで無機系白色絶縁層を形成した場合においても強い密着性が得られるため、有機系絶縁層を形成した場合に生じる剥離の問題を解決することが可能である。また、反射材を形成する工程を省略できる点においてもコスト性に優れたプロセスを有するといえる。例えば、パッケージ単位では、反射材に銀メッキを用いる場合と比べると材料費を2分の1程度の削減できると試算され、照明モジュール単位では更に大きな効果が見込まれる。また、白色無機材からなる絶縁層は、例えば、ガラスエポキシと比べて一桁程度熱伝導性に優れるため放熱性能は高く、同様の構成のPLCC(Plastic leaded chip
carrier)と比べると2〜5倍の放熱性能を有すると試算される。さらには、無機系白色絶縁層14により基板上の金属面を覆うことにより硫化現象を抑制することができる。
【0038】
<LED照明装置>
図3は、第1の構成例に係るLED照明装置の側面図である。このLED照明装置は、LED照明モジュール1と、リフレクター6と、ヒートシンク7と、拡散板8と、モジュール保持具9と、電源装置(図示せず)とを備えて構成される。
LED照明モジュール1は、その裏面(すなわち実装基板2の裏面)に接着されたヒートスプレッダ10の裏面がモジュール保持具9の当接面と接触する状態で、ねじ等の固定具により固定される。好ましい実装基板2とヒートスプレッダ10の組み合わせとしては、例えば、実装基板2を銅板により構成し、ヒートスプレッダ10にモレックス喜入製FGHP(特許文献3参照)を用いることが開示される。ヒートスプレッダ10の裏面とモジュール保持具9の当接面の間には、必要に応じて放熱グリス、放熱シート等の熱伝達部材を介在させる。モジュール保持具9は、熱伝導性に優れた銅、アルミ等の金属材により構成される。モジュール保持具9を介してLED照明モジュール1からの熱がヒートシンク7に熱伝導される。
【0039】
ヒートシンク7は、自然空冷式のもの、水冷式のもの、電動ファンを備えるものを用いることができる。但し、数WクラスのLEDチップを高密度に多数個実装すると実装部分が高温となり、放熱性の悪い発光中心部の光量が特に低下するドーナツ化現象が生じるという課題があるため、熱拡散能力の特に高いヒートスプレッダと共に冷却能力が特に高いヒートシンクを採用することが重要である。
【0040】
モジュール保持具9の光を照射する側にはリフレクター6および透明の保護カバー11が接合される。保護カバー11は、Oリング12を介してモジュール保持具9に押圧されており、防水カバーとしての役割をも奏する。第1の構成例に係るLED照明装置は、リフレクター6の開口部に拡散板8を設けている。拡散板8を設けることにより、粉塵などでリフレクター6が汚れることを防ぐことが可能となり、またグレア(まぶしさ)対策にもなる。拡散板8により配光角度が広がるため、リフレクター6の配光角度は拡散板を設けない場合と比べ狭角設計とする。なお、拡散板は必須の構成では無く、拡散板に代えて透明の保護カバーを設けてもよい。
【0041】
以上の構成を備える第1実施形態に係るLED照明装置は、高輝度かつ大光量でありながら、リフレクター6の開口部が約φ350mm、リフレクター6の開口部からヒートシンクまでの高さが約500mmのコンパクトな外形を有し、重量も約9kgと軽量である。
【0042】
[第2の構成例]
図4は、第2の構成例に係るLED照明モジュールを示す側面断面図である。
このLED照明モジュール1は、複数のLEDチップ3がCOB実装される点は第1の構成例と同様であるが、実装基板2の上面に設けられた金属薄膜層50を備える点で相違する。
本構成例では、実装基板2上面に、銀、クローム、ニッケル、アルミ等からなる金属薄膜層50がメッキや蒸着加工、塗装加工により形成されている。金属薄膜層50の分、無機系白色絶縁層14の厚みを肉薄とし放熱効果を高めることができる。また、反射領域に金属薄膜層50を設けることにより、実装基板2の表面の凹凸が抑えられ、光反射率を向上させることが可能となる。
凸状載置部47は、第1の構成例と同様であり、例えば、銅ペースト、銀ペースト、半田ペースト等の金属ペースト材料を塗布、焼成することにより形成される。
【0043】
本構成例に係るLED照明モジュール1の製造工程の一例を以下に説明する。
(1)基板上に、メッキや蒸着加工、塗装加工により金属薄膜層50を形成する。
(2)金属薄膜層50上に、金属ペースト材料をインクジェット法やディスペンサー法などで必要箇所に描画塗布した後、焼成して金属化させることにより凸状載置部47を形成する。
(3)基板上の凸状載置部47を除く箇所に、白色無機インクを印刷(スクリーン印刷或いはフレキソ印刷)、インクジェット法またはディスペンサー法により塗布し、例えば、200℃×60分で焼成して、複数個の実装基板2の集合体であるフレーム基板を得る。
(4)銅箔エッチングまたはスクリーン印刷などにより配線13を形成する。
(5)フレーム基板にLEDチップ3を搭載し、ワイヤボンディングにより電気接続を行う。
(6)フレーム基板に対し樹脂封止を行い、切断用刃物により個片化することで、LED照明モジュール1を得る。
【0044】
本構成例のLED照明モジュール1によれば、無機系白色絶縁層14の厚みを肉薄とでき、また、LEDチップ3からの熱を凸状載置部47から実装基板2に効率よく放熱できるので、放熱性に優れたLED照明モジュールを提供することが可能となる。また、無機系白色絶縁層14の厚みを肉薄とできるので、白色無機インクの塗布方法の多様化や製造工程の効率化を実現することも可能である。
【0045】
[第3の構成例]
図5は、第3の構成例に係るLED照明モジュールを示す側面断面図である。
このLED照明モジュール1は、実装基板2の上面に設けられた凸状載置部47を有さず、代わりに載置部16が設けられている点で第2の構成例と相違する。
本構成例は、実装基板2上面に、銀、クローム、ニッケル、アルミ等からなる金属薄膜層50をメッキや蒸着加工、塗装加工により形成し、次いで金属薄膜層50が露出する凹状の載置部16を設けることで、反射効果と放熱効果を実現している。
本構成例によれば、載置部16の面積がLEDチップ3の底面積よりも多少大きい場合でも、露出する金属薄膜層50の反射効果を得ることができる。
【0046】
[第4の構成例]
図6は、第4の構成例に係るLED照明モジュール1を示す側面断面図である。
図6(a)のLED照明モジュール1は、LEDチップ3の表面(下面)に設けられた電極(例えばスタッドバンプ)が、実装基板2上に形成された配線13と半田等で接続されてフェイスダウン実装される。所謂フリップチップである。このフリップチップ実装ではフェイスダウンのため、チップ表面が下側になる。なお、フリップチップ実装では、チップはバンプを介して配線に接続されるため基板との間に僅かな隙間ができ、この隙間を埋める手段として樹脂等をアンダーフィルする場合があるが、本願においては図示省略する。実装基板2のベース材は、熱伝導性および電気特性に優れる材料であり、例えば、銅板またはアルミ板により構成される。配線13は、公知の有機系の材料(例えば、ポリイミド)からなる有機材絶縁層30の上に形成されている。実装基板2のベース材表面の配線13及び有機材絶縁層30が設けられていない部分には、上述した無機系白色絶縁層14が塗布により形成されている。LEDチップ3の下面の配線13に接触していない部分は、無機系白色絶縁層14に当接あるいはアンダーフィラーを介して当接しており、無機系白色絶縁層14を介して実装基板2から放熱される。透明樹脂5は、取り外し可能な型枠内、或いは、固設した囲み部材内に透明樹脂を充填し形成する。
【0047】
図6(b)のLED照明モジュール1は、LEDチップ3の下面に設けられた突起状電極(バンプ)が、実装基板2上に形成された配線13と電気接続部31で接続されてフェイスダウン(フリップチップ)実装される。実装基板2及び配線13は、(a)と同じ構成である。(b)の形態では、無機系白色絶縁層14が電気接続部31の開口を除き、実装基板2の上面を直接または間接に全面的に覆うように塗布形成されている。電気接続部31の開口の大きさは、例えば、50〜500μm角とする。(b)の形態でも、LEDチップ3の下面の電気接続部31以外の部分は、無機系白色絶縁層14に当接あるいはアンダーフィラーを介して当接している。
(c)のLED照明モジュール1は、LEDチップ3が配線13とワイヤボンド接続される。実装基板2、配線13及び、無機系白色絶縁層14は、(a)と同じ構成である。LEDチップ3の裏面(下面)は、実装基板2の上面に高熱伝導性接着材等により固設される。
【0048】
図7は、本発明を具体化するLED照明モジュールの第4の構成例に使用する基板の製造工程を説明する側面断面図である。
まず、基板上に、有機材絶縁層(例えば、ポリイミド層)と銅箔層を形成する(STEP1)。例えば金属板上に熱可塑性ポリイミド膜と銅箔を積層して、高温加圧(例えば350℃で20分)して形成する。
次に、貼り付けた銅箔の加工を行って、パターニング加工を行う(STEP2)。例えば、この加工のために、ホトリソグラフィ技術を用いる。銅箔の上にレジストを塗布し、パターンを露光、現像してさらにエッチングを行い、レジストを除去して、銅箔除去部を形成する。
次に、銅箔をマスクにして有機材絶縁層のエッチングを行う(STEP3)。ポリイミドエッチング用の溶液としては例えばアミン系のものがよく使用される。
【0049】
最後に、実装基板2上の銅箔除去部を埋めるように、白色無機材を塗布する(STEP4)。ここで、白色無機材の塗布は、所望とするLED照明モジュールの態様(
図6参照)により異なるものとなる。(a)は、配線とほぼ同一面の高さまで白色無機材を塗布する態様を示し、(b)は、電気接続用の開口をのぞき、配線に一部乗り上げて白色無機材を塗布する態様を示す。(b)での塗布は、まずスクリーン印刷が挙げられる。これ以外の方法としては配線も含めて全面塗布をした後、レーザーにより開口を設ける方法、配線と同じ高さまでスクリーン印刷またはディスペンサーによる塗布を行った後、配線の開口を除く部分に印刷(スクリーン印刷或いはフレキソ印刷)またはディスペンサーによる2段塗布を行う方法が例示される。
【0050】
[第5の構成例]
図8は、本発明を具体化するLED照明モジュール1の第5の構成例を示す側面断面図である。第5の構成例のLED照明モジュール1は、無機系白色絶縁層が符号14aからなる下層と、符号14bからなる上層とから構成される点で、第4の構成例(a)と相違する。以下では、第4の構成例(a)との一致点についての説明は省略し、相違点についてのみ説明する。なお、第
5の構成例(図
8)に係る無機系白色絶縁層14a、14bを第
4の構成例(b)、(c)に適用できることはいうまでもない。
【0051】
無機系白色絶縁層14aは白色無機顔料に酸化亜鉛を用いた層であり、無機系白色絶縁層14bは白色無機顔料に二酸化チタンを用いた層である。無機系白色絶縁層の下層14aを構成する酸化亜鉛粒子は、透明絶縁膜(例えば、アルミナ膜)でコートされており、平均粒径は1μm以下である。無機系白色絶縁層の上層14bを構成する二酸化チタン粒子は、ナノ化された粒子、または、透明絶縁膜(例えば、アルミナ膜)でコートされた平均粒径は1μm以下の粒子である。
無機系白色絶縁層をこのような積層構造とした理由は、白色無機顔料を酸化亜鉛とする層だけでは反射率の満足が得られない場面が想定される一方、熱伝導的に優れた酸化亜鉛の特性を生かす点にある。すなわち、酸化亜鉛を白色無機顔料として用いた絶縁層を下層14aとし、反射率のよい二酸化チタンを白色無機顔料として用いた絶縁層を上層14bとすることにより、低熱抵抗で反射率も良い特性を有する無機系白色絶縁層を得ることを可能とした。このとき酸化亜鉛粒子は透明絶縁膜コートが不可欠であるが、二酸化チタン粒子は透明絶縁膜コートを設けてもよいし設けなくてもよい。積層構造に使用する熱伝導に優れた白色無機材料としては酸化亜鉛粒子に代えて酸化マグネシューム(MgO)あるいは二酸化チタンより高熱伝導の白色無機材料でも良い。
なお、
図8では、下層14aと有機材絶縁層30厚さおよび上層14bと配線13の厚さを同じに描いているがこれに限定されず、下層14aと上層14bの厚さは、熱伝導性能、反射性能および絶縁性能の観点から適宜決定される。
【0052】
[第6の構成例]
図9は、本発明を具体化するLED照明モジュール1の第6の構成例を示す側面断面図である。
このLED照明モジュール1は、白色絶縁層が第一層を構成する無機系白色絶縁層141、第二層を構成する無機系白色絶縁層142、第三層を構成する無機系白色絶縁層143から構成されている点で第3の構成例と相違する。
スクリーン印刷法を適用することで絶縁層を多層構造とすることが可能となり、絶縁に
必要な部分のみ層数を増やし放熱や反射に必要な部分は層数を減らすことで、必要な機能を損なうことなく製造コストを削減することが可能となる。例えば配線13の直下を三層(または二層)とし、それ以外の部分を二層(または一層)とした白色絶縁層を構成することが開示される。
無機系白色絶縁層141の厚さは例えば20μm、無機系白色絶縁層142厚さは例えば20μm、無機系白色絶縁層143厚さは例えば60μmである。放熱性を考慮し、LEDチップ3は、無機系白色絶縁層141の上に載置する。従って、無機系白色絶縁層142を塗布形成する際には、無機系白色絶縁層141が露出する凹状の載置部16を設けるようにする。
無機系白色絶縁層141〜143は、いずれも同じ材料からなる白色無機インクを塗布して形成してもよいし、無機系白色絶縁層141の含有する白色無機顔料の熱伝導率が無機系白色絶縁層142(および143)の含有する白色無機顔料と比べ高くなるように構成してもよい。
【0053】
図10は、無機系白色絶縁層の厚さと反射率の相関を示すグラフである。銅板からなる実装基板2の表面に異なる厚さの無機系白色絶縁層を形成し、反射率を測定した。白色絶縁層の含有する白色無機顔料は二酸化チタンである。
図10から、白色絶縁層が15μmの場合には反射率の低下が見られたが、白色絶縁層が33μm以上の場合には、光沢銀めっきと同等の反射率を得られることが確認された。
【0054】
[第7の構成例]
図11は、本発明を具体化するLED照明モジュール1の第7の構成例を示す側面断面図である。
このLED照明モジュール1は、白色絶縁層が無機系白色絶縁層141、無機系白色絶縁層142および無機系白色絶縁層143から構成されている点で第
6の構成例と一致するが、無機系白色絶縁層141および無機系白色絶縁層142と無機系白色絶縁層143とが異なる材料で構成される点、LEDチップ3が無機系白色絶縁層
142の上に載置される点で第6の構成例と相違する。
無機系白色絶縁層141は白色無機顔料として酸化マグネシューム(MgO)を含有し、無機系白色絶縁層142および無機系白色絶縁層143は、白色無機顔料として二酸化チタン(TiO2)を含有する。なお、無機系白色絶縁層141の白色無機顔料として酸化亜鉛(ZnO)を用いてもよい。
【0055】
図12は、異なる材料および構造からなる無機系白色絶縁層における反射率を示すグラフである。
(1)は白色無機顔料に酸化マグネシューム(MgO)を用いて膜厚を15μmとした場合の反射率であり、(4)は白色無機顔料に二酸化チタン(TiO
2)を用いて膜厚を15μmとした場合の反射率である。(1)および(4)の結果から、無機系白色絶縁層の膜厚を15μmとした場合は、酸化マグネシューム(MgO)の反射率が劣ることが分かる。
(2)は実装基板側に位置する第一層無機系白色絶縁層(膜厚15μm)の白色無機顔料に酸化マグネシューム(MgO)を用い、外界側に位置する第二層無機系白色絶縁層(膜厚15μm)の白色無機顔料に二酸化チタン(TiO
2)を用いた場合の反射率である。(3)は白色無機顔料に二酸化チタン(TiO
2)を用いて膜厚を30μmとした場合の反射率である。(
2)および(
3)の結果から、無機系白色絶縁層の膜厚が積算で30μmとなる場合は、白色無機顔料に酸化マグネシューム(MgO)を用いても反射率に有意な差は生じないことが分かる。
【0056】
図13は、異なる材料および構造からなるLED照明モジュール1における熱抵抗を示すグラフである。無機系白色絶縁層を介してLEDチップを実装基板に搭載した場合、無機系白色絶縁層の分だけ熱抵抗は高くなる。しかし、第二層無機系白色絶縁層の白色無機顔料に酸化マグネシューム(MgO)を用いることにより、反射率を下げずに熱抵抗のみを下げることが可能である。二酸化チタンの熱伝導率は8w/m・k程度、酸化マグネシュームの熱伝導率は45w/m・k程度であるとされており、熱伝導率の差が熱抵抗の差となると考えられる。
以上に説明した第7の構成例のLED照明モジュール1によれば、高い反射率を維持しながら放熱性を向上させることが可能である。
【0057】
[第8の構成例]
図14は、本発明を具体化するLED照明モジュール1の第8の構成例を示す側面断面図である。
このLED照明モジュール1は、LEDチップ3が実装基板2の上に載置される点で第7の構成例と相違する。他の構成は、第7の構成例と同様である。第8の構成例によれば、第7の構成例と同等の反射効果が得られる一方、LEDチップ3の裏面からの熱が実装基板2に直接伝熱されるため、高い放熱性能を実現することが可能となる。
【0058】
図15は、異なる構造からなるLED照明モジュール1における全光束と発光効率を示すグラフである。
(1)は実装基板側に位置する第一層無機系白色絶縁層および外界側に位置する第二層無機系白色絶縁層の白色無機顔料に二酸化チタン(TiO
2)を用い、第二層無機系白色絶縁層上にLEDチップを搭載した場合の全光束である。(2)は(1)と同じ構成の無機系白色絶縁層において、第一層無機系白色絶縁層上にLEDチップを搭載した場合の全光束である。(3)は(1)と同じ構成の無機系白色絶縁層において、実装基板上にLEDチップを搭載した場合の全光束である。(1)〜(3)の結果から、LEDチップを載置する層の厚さにより、全光束に有意な差は生じないことが分かる。
(4)は(1)と同じ構成における発光効率であり、(5)は(2)と同じ構成における発光効率であり、(6)は(3)と同じ構成における発光効率である。(4)〜(6)の結果から、LEDチップを載置する層の深さにより、発光効率に有意な差は生じないことが分かる。
【0059】
図16は、異なる構造からなるLED照明モジュール1における表面温度と発光効率を示すグラフである。
(1)は実装基板側に位置する第一層無機系白色絶縁層および外界側に位置する第二層無機系白色絶縁層の白色無機顔料に二酸化チタン(TiO
2)を用い、第二層無機系白色絶縁層上にLEDチップを搭載した場合の表面温度である。(2)は(1)と同じ構成の無機系白色絶縁層において、第一層無機系白色絶縁層上にLEDチップを搭載した場合の表面温度である。(3)は(1)と同じ構成の無機系白色絶縁層において、実装基板上にLEDチップを搭載した場合の表面温度である。(1)〜(3)の結果から、LEDチップを載置する層の厚さが厚いほど、表面温度が高くなることが分かる。
(4)は(1)と同じ構成における発光効率であり、(5)は(2)と同じ構成における発光効率であり、(6)は(3)と同じ構成における発光効率である。(4)〜(6)の結果から、LEDチップを載置する層の深さにより、発光効率に有意な差は生じないことが分かる。
【0060】
[第9の構成例]
図17は、本発明を具体化するLED照明モジュール1の第9の構成例を示す側面断面図である。
このLED照明モジュール1は、白色絶縁層が第一層を構成する有機系絶縁層131、第二層を構成する無機系白色絶縁層141および第三層を構成する無機系白色絶縁層142から構成されている点、無機系白色絶縁層141が有機系絶縁層131よりも幅広であり、無機系白色絶縁層141の一部が実装基板2の表面に積層されている点で第6の構成例と相違する。有機系絶縁層131は、例えばポリアミドイミド系樹脂をベース材とし、可溶性樹脂フィラー(例えばポリアミドイミド系フィラー)を添加したポリアミドイミド型印刷ペーストを用いることが開示される。この例示に係るポリアミドイミド型印刷ペーストによれば、230V/μmの破壊電圧を実現することが可能である。
第9の構成例によれば、白色絶縁層の一部を安価な有機系絶縁層131により構成することで製造コストを下げることができる一方、無機系白色絶縁層141の一部が実装基板2の表面に積層されるので強い密着性を実現することが可能となる。有機系絶縁層131は無機系白色絶縁層141により覆われているため、経年劣化も最小限である。
なお、本構成例では、無機系白色絶縁層141に凹状の載置部16を設け、有機系絶縁層131上にLEDチップ3を載置することにより放熱性を高めているが、載置部16を設けずに無機系白色絶縁層141にLEDチップ3を載置してもよい。ただし、有機系絶縁層131の熱伝導率が無機系白色絶縁層141よりも低いことを考慮した設計が必要となる。
【0061】
[第10の構成例]
図18は、本発明を具体化するLED照明モジュール1の第10の構成例を示す側面断面図である。
このLED照明モジュール1の実装基板2は、ダム材48で囲まれる反射領域は無機系白色絶縁層141で覆われており、反射領域外の部分は有機系絶縁層131により覆われている。本構成例では、配線13は有機系絶縁層131の上に形成されている。
本構成例のLED照明モジュール1は、反射領域が無機系白色絶縁層141で覆われているので反射率、放熱性および耐久性に優れている。他方で、熱の問題が生じない反射領域外の実装基板表面を有機系絶縁層131により覆うことにより、製造コストを下げることを可能としている。有機系絶縁層131の表面を白色ソルダーレジスト層(
図18では図示略)で覆い、最上位層を反射材として機能させることが好ましい。
【0062】
[第11の構成例]
図19は、本発明を具体化するLED照明モジュール1の第11の構成例を示す側面断面図であり、後述する
図20(a)のAA断面図である。
本構成例のLEDチップ3は、垂直型LEDダイスであり、上面のn電極はワイヤボンディングにより配線13に接続され、底面のp電極は半田等により配線13に接続される。白色絶縁層は、無機系白色絶縁層141および無機系白色絶縁層142から構成される。無機系白色絶縁層141は無機系白色絶縁層142よりも幅広に薄く塗布されており、必要な範囲にのみ無機系白色絶縁層142を塗布し反射に必要な厚みを確保している。
【0063】
図20(a)は第11の構成例に係るLED照明モジュールの上面図であり、(b)は(a)のBB断面図である。
本構成例のLED照明モジュール1は、配線領域の部分のみが無機系白色絶縁層142により覆われている。
図20(a)中、点線で図示しているのが配線領域である。
図20(a)では、実装基板2の上下端部から一定幅において無機系白色絶縁層142を形成しないことにより、白色無機インクの使用量を減らすことで製造コストを下げることを可能としている。
基板側の第一層を構成する無機系白色絶縁層141の白色無機顔料を酸化マグネシュームまたは酸化亜鉛とし、外界側の第二層を構成する無機系白色絶縁層142の白色無機顔料反射率に優れた二酸化チタンとしている。これとは異なり、無機系白色絶縁層141および無機系白色絶縁層142の双方の白色無機顔料を同じとしてもよい。
【0064】
本構成例は一例であり、様々な改変が可能である。例えば、本構成例とは異なり、実装基板2の全面を無機系白色絶縁層142により覆ってもよい。また、本構成例とは異なり、反射領域外の無機系白色絶縁層141を有機系絶縁層に置き換えてもよい。また、LEDチップ3をフリップチップ実装される水平型LEDとしてもよい。
【0065】
[第12の構成例]
図21は、本発明の第12の構成例に係るLED照明モジュール1の上面図である。本構成例のLED照明モジュール1は、実装基板2の上面に設けられた反射領域に81個のLEDチップ3が高密度実装されている。
81個のLEDチップ3は全て同一の仕様であり、9直列×9並列の配線パターンで接続されている。別の言い方をすれば、一対の端部電極に接続された9個のLEDチップ3により単位LEDチップ群を構成し、9つの単位LEDチップ群を並列に接続して発光部を構成している。一対の端部電極は、反射領域の上下端部に設けられた一対の配線部を備えてなる電極ユニット17a、17bにより外部電極端子18a、18bと電気的に接続される。各単位LEDチップ群を構成する9個のLEDチップは同一直線上に実質的に等間隔に配置され、隣り合うLEDチップは金ワイヤでワイヤボンディング接続されている。LEDチップ3の個数および単位LEDチップ群の数は例示の個数に限定されず、直列に接続されたn個のLEDチップからなる単位LEDチップ群をn並列にする改良例も本構成例の技術思想には含まれる。すなわち、本構成例では、
二乗個のLEDチップをn×nに配列することにより、実質的に正方形の反射領域を構成することを可能としている。LEDチップ3の個数は、本構成例とは異なり、100個以上とすることが好ましく、300個以上とすることがより好ましく、500個以上搭載することが更に好ましく、700個以上とすることが一層好ましい。この際、実装基板2の形状は、矩形状、多角形状または円形状である。
【0066】
n×n個のLEDチップは、小面積の実装基板に高密度に実装されることで高輝度の光源を構成する。本構成例のLED照明モジュール1の外形寸法は、36mm×36mm×1mmである。実装基板2の上面に設けられた反射領域の面積は22.4mm×22.4mm=501.76mm
2である。この反射領域には、81個のLEDチップ3が、直列方向および並列方向ともに2.28mmの配列ピッチで実装される。LEDチップ3のチップサイズは1.143mm×1.143mm×0.15mmで、反射領域におけるLEDチップの実装面積密度(チップ搭載面積占有率)は23.6mm
2/cm
2で、実装密度は16.1個/cm
2である。ここで反射領域とは、ダム材48により囲繞された領域のことをいう。
本構成例のLED照明モジュール1は、LEDベアチップがCOB実装されるので、薄型の光源を実現することが可能である。
【0067】
実装基板2は、熱伝導性および電気特性に優れる材料であり、例えば、銅板またはアルミ板により構成される。実装基板2の表面は、少なくともダム材48で囲繞された反射領域の表面が無機系白色絶縁層14で覆われている。ダム材48の外部に位置する実装基板2の表面も無機系白色絶縁層14で覆われるようにすることが好ましい。無機系白色絶縁層14は、上述の第1〜第10の構成例の中から選択された任意の態様で形成される。いずれにせよ、第12の構成例に係る配線13は単層であるため、多層化した場合と比べ放熱性およびコスト性に優れている。
本構成例のLED照明モジュール1の順電流は3.15A、順電圧は26.8V、負荷電力は84.4Wで、全光束は11190lmである。色温度は3000K〜7000Kの範囲で設定され、演色性はRa65〜90である。本構成例のLED照明モジュール1は、実装基板2の裏面に当接したヒートスプレッダ10等を介してヒートシンク7にLEDチップ3の熱を伝熱することで放熱する。すなわち、第1の構成例と同様、本構成例のLED照明モジュール1はヒートスプレッダ10を介してモジュール保持具9に固定され、リフレクター6と、ヒートシンク7と、拡散板8と、電源装置(図示せず)とを備えるLED照明装置の光源を構成する(
図3参照)。
【0068】
[第13の構成例]
図22は、本発明の第13の構成例に係るLED照明モジュール1の上面図である。本構成例のLED照明モジュール1は、実装基板2の上面に設けられた反射領域に888個のLEDチップ3が高密度実装されている。
【0069】
888個のLEDチップ3は全て同一の仕様であり、37直列×24並列の配線パターンで接続されている。別の言い方をすれば、一対の端部電極に接続された37個のLEDチップ3により単位LEDチップ群を構成し、24の単位LEDチップ群を並列に接続して発光部を構成している。一対の端部電極は、反射領域の上下端部に設けられた一対の配線部を備えてなる電極ユニット17a〜17hにより外部電極端子18a〜18hと電気的に接続される。各単位LEDチップ群を構成する37個のLEDチップの配置間隔は実質的に等間隔であり、隣り合うLEDチップは金ワイヤでワイヤボンディング接続されている。但し、本構成例では第12の構成例と異なり、隣あう単位LEDチップ群は、それぞれのLEDチップ3が千鳥状となるように配置されている。各単位LEDチップ群に着目しても、37個のLEDチップはジグザグに配置されている。すなわち、各単位LEDチップ群において、奇数番目のLEDチップは同一直線上に実質的に等間隔に配置され、偶数番目のLEDチップは奇数番目のLEDチップと平行な直線上に実質的に等間隔に配置されている。LEDチップ3の個数および単位LEDチップ群の数は例示の個数に限定されないが、単位LEDチップ群を構成するLEDチップの数は同じ数とする必要がある。
【0070】
888個のLEDチップは、小面積の実装基板に高密度に実装されることで高輝度の光源を構成する。本構成例のLED照明モジュール1の外形寸法は、90mm×90mm×1mmである。実装基板2の上面に設けられた反射領域の面積は70.6mm×70.6mm=4984.36mm
2である。この反射領域には、888個のLEDチップ3が、直列方向は1.85mm、並列方向は1.4mmの配列ピッチで実装される。LEDチップ3のチップサイズは1.143mm×1.143mm×0.15mmで、反射領域におけるLEDチップの実装面積密度(チップ搭載面積占有率)は23.2mm
2/cm
2で、実装密度は17.8個/cm
2である。ここで反射領域とは、ダム材48により囲繞された領域のことをいう。LEDチップ3の最大定格電流は700mAであり、順電流が350mAの場合の順電圧は3.4V、発光出力は340mWである。
【0071】
実装基板2は、熱伝導性および電気特性に優れる材料であり、例えば、銅板またはアルミ板により構成される。実装基板2の表面は、少なくともダム材48で囲繞された反射領域の表面が無機系白色絶縁層14で覆われている。ダム材48の外部に位置する実装基板2の表面も無機系白色絶縁層14で覆われるようにすることが好ましい。無機系白色絶縁層14は、上述の第1〜第10の構成例の中から選択された任意の態様で形成される。いずれにせよ、第13の構成例に係る配線13は単層であるため、多層化した場合と比べ放熱性およびコスト性に優れている。
本構成例のLED照明モジュール1の順電流は4.8A、順電圧は104V、負荷電力は500Wで、全光束は73600lmである。色温度は3000K〜7000Kの範囲で設定され、演色性はRa65〜90である。
【0072】
本構成例では、負荷電力が500Wと大出力であり、汎用的な電源装置では出力が不足するため、4つの電源装置を組み合わせて使用している。すなわち、電源装置と一対一で接続される実装ブロック20a〜20dを並べて配置することにより、大光量の発光部を構成することを可能としている。照明ムラが生じないように、各電源装置を同一仕様とし、かつ、同一の条件で各実装ブロックと接続することが好ましい。ここで電源装置と同一の条件で接続されることの構成には、実装ブロックの数と電源装置の数が同一である場合のみならず、実装ブロックの数より少ない電源装置から同じ条件で複数の実装ブロックに分流される場合も含まれる。但し、電流制御回路の構成を簡便にするとの観点からは、実装ブロックの数とLEDチップを発光させるための電源装置の数とを同数とすることが好ましい。なお、本構成例では実装ブロックの数を4個としているが、使用する電源装置の容量に応じて実装ブロックの数を変更することは当然に可能である。例えば、180Wの電源装置に代わり300Wの電源装置を用いることにより、3個の実装ブロックで10万ルーメン以上を実現することも可能となる。
【0073】
最大出力容量200W以下の汎用的な定電流電源装置を利用するとの観点からは、実装ブロックの数を2〜8個とすることが好ましく、より好ましくは3〜6個とする。好ましい構成例としては、一つの実装ブロック当たりのLEDチップの個数を100〜300個とし、合計で400〜1200個のLEDチップを搭載したモジュールを構成することが開示される。
本構成例では、一対の電極ユニット(例えば、17aと17b)および一対の外部電極端子(例えば、18aと18b)に接続される222個のLEDチップ3により一つの実装ブロックを構成している。各実装ブロックは、いずれも横断方向中心線23を挟んで電極ユニット17、外部電極端子18およびLEDチップ3が線対称になるように構成されている。
実装ブロック20aおよび20bと実装ブロック20cおよび20dとは、分離線21を挟んで線対称に配置されている。より詳細には、電極ユニット17a〜17h、外部電極端子18a〜18h、保護ダイオード装置19a〜19dおよび実装ブロック20a〜20dを分離線21を挟んで線対称に配置することにより、各実装ブロックの合計抵抗を実質的に同一とし、照明ムラが生じないようにしている。
【0074】
本構成例では、実装ブロック20aと実装ブロック20bもまた線対称に配置されるペア実装ブロックを構成し、実装ブロック20cと実装ブロック20dもまた線対称に配置されるペア実装ブロックを構成している。隣り合う2つのペア実装ブロックの間には分離線が配置される。実装ブロックの数が2つである場合には、2つの保護ダイオード装置を反射領域の左右両端に配置すればよいので、分離線は不要である。偶数個の実装ブロックを設ける場合、分離線の数は実装ブロックの数を2で割った数から1を引いた数となる。例えば、実装ブロックの数を6個とした場合、分離線の数は2個となり、実装ブロックの数を8個とした場合、分離線の数は3個となる。
【0075】
保護ダイオード装置19は、ペアとなる一対の電極ユニット(例えば、17aと17b)を電気的に接続する逆流防止装置であり、一対の電極ユニット間に逆電圧がかかったときに、LEDチップ群に逆電圧が印加され破壊されることを防止する。
図23は、一対の電極ユニット17a,17bを接続する保護ダイオード装置19aの構成図である。保護ダイオード装置19aは、実質的に等間隔に配置された6個のツェナーダイオード22を直列に接続することにより構成されている。ツェナーダイオード22の外形寸法は、例えば258μm×258μm×150μmである。保護ダイオード装置19b〜19dの構成も保護ダイオード装置19aと同様である。
本構成例のLED照明モジュール1も、第12の構成例と同様、ヒートスプレッダ10を介してモジュール保持具9に固定され、リフレクター6と、ヒートシンク7と、拡散板8と、電源装置(図示せず)とを備えるLED照明装置の光源を構成する(
図3参照)。
【0076】
以上に説明した実施形態例から導かれる本発明の技術思想によれば、平面視寸法が100mm×100mm以下の実装基板で全光束3万ルーメン以上かつ10kg以下の高輝度・大光量LED照明装置(電源装置を除く)を実現することができるのみならず、4万ルーメン以上、5万ルーメン以上、6万ルーメン以上、7万ルーメン以上、8万ルーメン以上の高輝度・大光量LED照明装置を実現することも可能である。
以上、本開示にて幾つかの実施の形態を単に例示として詳細に説明したが、本発明の新規な教示及び有利な効果から実質的に逸脱せずに、その実施の形態には多くの改変例が可能である。