【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本開示の原理の理解を促す目的で、図面中に例示された実施形態について以下参照し、同一の物について説明するために特定の用語を用いることとする。しかし、本開示の範囲限定することを意図していない点を理解されたい。装置、システム及び方法に対して、本開示の原理の任意の置き換え、及び更なる変更、並びに任意の更なる応用も意図しており、こうしたものも、当分野に関連する当業者にとって通常生じるものとして、本開示の範囲内に含まれる。特に、1つの実施形態について記載された特徴、構成要素、及び/又はステップは、他の本開示の実施形態について記載された特徴、構成要素、及び/又はステップと組み合わせてもよい点については、完全に企図している。しかし、簡潔にする目的から、こうした組合せについて別途数多く繰り返して説明することはしない。
【0013】
図1及び2を参照すると、本開示の一実施形態に従った狭窄を有する脈管(100)がこれらの図において示されている。この点において、
図1は、脈管(100)の概略的知覚図である。一方で、
図2は、
図1の2−2の切片ラインにそって採取した一部の脈管(100)の部分的断面概略知覚図である。より具体的に
図1を参照すると、脈管(100)は、近位部(102)と遠位部(104)とを含む。管腔(106)は、近位部(102)及び遠位部(104)の間で、脈管(100)の長さ方向に沿って延びている。こうした点において、管腔(106)は、脈管を通した流体の流れを可能にするようになされている。ある場合には、脈管(100)は、血管である。ある特定の場合には、脈管(100)は冠状の動脈である。これらの場合において、管腔(106)は、脈管(100)を通した血液の流れを促進するようになされている。
【0014】
図示するように、脈管(100)は、近位部(102)及び遠位部(104)の間で狭窄(108)を含む。狭窄(108)が概して任意の妨害、又は他の構造的な配置物を表する。脈管(100)の管腔(106)を通した流体の流れに対する制限を結果的に引き起こす。本開示の実施形態は、広範な種々の脈管の応用においての使用に適する。該応用としては、限定するものではないが以下の物が含まれる:冠状、末梢(以下の物が含まれるがこれらに限定されない、下肢、頸動脈、及び神経脈管)、腎臓及び/又は静脈。脈管(100)が血管である場合、狭窄(108)は、プラーク形成の結果である可能性があり、限定するものではないが以下の物が含まれる:プラーク成分(例えば、繊維性、繊維脂質性(繊維脂肪性)、壊死性コア、石灰、密集(dense)カルシウム)、血液、フレッシュな血栓、及び成熟した血栓)。一般的に、狭窄の構成要素は、評価する脈管の種類に依存するであろう。こうした点において、本開示の概念は、流体の流れを結果的に減少させる任意の種類の妨害要素又は他の脈管を狭める要素に対して、仮想的に応用できることを理解されたい。
【0015】
より具体的に
図2を参照すると、脈管(100)の管腔(106)は、ある直径(110)の狭窄(108)近位部と、ある直径(112)の狭窄遠位部を有する。ある場合において、直径(110)及び(112)は、互いに実質的に等しい。こうした点において、直径(110)及び(112)は、管腔(106)の健全な部位、少なくとも狭窄(108)と比べると、健全な部位を表すことを意図している。従って、管腔(106)のこれらのより健全な部位が実質的に一定の円柱状のプロファイルを有するものとして例示されている。そして、その結果として、管腔の高さ又は幅が直径として言及している。しかし、理解されたい点として、多くの場合、管腔(106)のこうした部位は、プラーク形成(plaque buildup)、非対称的なプロファイル、及び/又は他の不規則性も有しているであろう。しかし、こうした物(もの)は、狭窄(108)よりも度合いは低い。従って、円柱状プロファイルを有さないであろう。こうした場合、直径(110)及び(112)は、管腔の相対的サイズ又は断面積を表すものとして理解されたい。そして、これら直径は、円状の断面プロファイルを表すものではない。
【0016】
図2に示すように、狭窄(108)は、脈管(100)の管腔(106)を狭めるプラーク形成(114)を含む。ある場合において、プラーク形成(114)は、均一又は対称的なプロファイルを有さず、こうした狭窄の血管造影評価の信頼性を損なっている。例示的な実施形態において、プラーク形成(114)は、上部(116)と、対向する下部(118)とを含む。こうした点において、下部(118)は、上部(116)に対して厚みが増えている。その結果、狭窄(108)の管腔近位部及び遠位部に比べると、非対称的で不均一なプロファイルとなっている。図示するように、プラーク形成(114)は、管腔(106)を通して流体が流れるための利用可能なスペースを減少させてしまう。特に、管腔(106)の断面積は、プラーク形成(114)によって減少する。上部(116)及び下部(118)の間のもっとも狭い箇所では、狭窄(108)の近位部及び遠位部の直径(110)と(112)と比べると、管腔(106)の高さ(120)(該高さは、サイズ又は断面積を表すが)は、減少している。留意されたい点ではあるが、狭窄(108)(プラーク形成(114)を含む)はその特性においては例示的なものであり、あらゆる意味において、限定的なものと考えるべきである。こうした点において、狭窄(108)は、他の例において管腔(106)を通した流体の流れを制限する他の形態及び/又は構成要素を有してもよいことを理解されたい。脈管(100)は、
図1及び2においては、単一の狭窄(108)を有するものとして例示されている。そして、以下の実施形態においては、主に単一の狭窄の文脈で説明がなされている。しかし、本明細書に記載の装置、システム及び方法は、複数の狭窄領域を有する脈管についても同様に応用できる点を理解されたい。
【0017】
以下
図3を参照すると、脈管(100)が、本開示の一実施形態に従って前記脈管内に配置された器具(130)及び(132)と共に示されている。概していうと、器具(130)及び(132)は、脈管内に配置するべきサイズ及び形を有する任意の形態の装置、器具、又はプローブであってもよい。
。例示的な実施形態において、器具(130)は、概してガイドワイヤを表す。一方で、器具(132)はカテーテルを表す。こうした点において、器具(130)は、器具(132)の中心管腔を通して延在している。しかし、他の実施形態では、器具(130)及び(132)は、他の形態をとる。こうした点において、器具(130)及び(132)は、幾つかの実施形態では類似の形態である。例えば、ある場合において、器具(130)及び(132)の両方がガイドワイヤである。他の場合において、器具(130)及び(132)の両方は、カテーテルである。一方で、器具(130)及び(132)は、幾つかの実施形態において、形が異なる(例えば、例示的な実施形態であって、一方の器具がカテーテルであり、他方がガイドワイヤ)。更に、ある場合において、
図3の例示的な実施形態で示すように、器具(130)及び(132)は同軸上に配置される。他の場合において、一方の器具は、他方の器具の管腔の中心から外れた位置を通って延在する。さらに他の場合において、器具(130)及び(132)は、並んで延在する。幾つかの特定の実施形態において、少なくとも1つの器具は、高速交換(rapid−exchange)装置(例えば、高速交換カテーテル)である。こうした実施形態において、他の器具は、高速交換装置の導入及び除去を促進するようになされたガイドワイヤ(buddy wire)又は他の装置である。また、更に、他の場合において、2つの別々の器具(130)及び(132)の代わりとして、単一の器具を用いる。幾つかの実施形態において、単一の器具は、器具(130)及び(132)の両方の機能(例えば、データ取得)の態様を取り込む。
【0018】
器具(130)は、脈管(100)についての診断用情報を得るために設計される。こうした点において、器具(130)は、センサ、トランスデューサ、及び/又は、脈管についての診断用情報を得るために設計された他のモニタリング要素を1以上含む。診断用情報として以下のものが1以上含まれる:圧力、流れ(速度)、画像(超音波(例えば、IVUS)、OCT、熱及び/又は他の撮像技術を用いて得られた画像を含む)、温度、及び/又はこれらの組合せ。1以上のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタリング要素は、ある場合には、器具(130)の遠位部に隣接して配置される。こうした点において、1以上のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタリング要素は、ある場合には、器具(130)の遠位端(134)から30cm未満、10cm未満、5cm未満、3cm未満、2cm未満、及び/又は1cm未満の位置に配置する。ある場合において、1以上のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタリング要素のうち少なくとも1つは、器具(130)の遠位端に配置する。
【0019】
器具(130)は、脈管(100)内の圧力をモニターするように設計された少なくとも1つの要素を含む。圧力モニター要素は以下の形態をとることができる:ピエゾ抵抗圧力センサ、ピエゾ電気圧力センサ、容量圧力センサ、電磁気圧力センサ、流体カラム(流体カラムセンサと通信する流体カラムであって、該センサは、器具とは分離しているか、及び/又は流体カラムの器具の近位部の一部として配置される)、光学的圧力センサ及び/又はこれらの組合せ。ある場合において、圧力モニタリング要素の1以上の特徴が、半導体及び/又は他の適切な製造技術をもちいて製造された固体状態の構成要素として実装される。適切な圧力モニタリング要素を含み、市場で入手可能であるガイドワイヤ製品の例として、以下の物が含まれるがこれらに限定されない:PrimeWire PRESTIGE(登録商標)圧力ガイドワイヤ、PrimeWire(登録商標)圧力ガイドワイヤ、及びComboWire(登録商標)XT圧力・フローガイドワイヤ(これらは、それぞれ、Volcano Corporationから入手できる)、並びにPressureWire(商標登録) Certusガイドワイヤ、及びPressureWire(商標登録) Aeris ガイドワイヤ(これらは、それぞれSt.Jude Medical,Incから入手できる)。一般的に、器具(130)は、狭窄間での流体フローに有意な影響を与えないように狭窄(108)を通して配置することができるサイズとなっている(影響を与えると、遠位部の圧力の読み取りに影響することとなる)。従って、ある場合において、器具(130)は、外側直径が0.018”(インチ)以下である。幾つかの実施形態において、器具(130)は、外側直径が0.014”(インチ)以下である。
【0020】
また、器具(132)は、脈管(100)についての診断用情報を得るように設計される。ある場合において、器具(132)は、器具(130)と同一の診断用情報を得るように設計される。他の場合において、器具(132)は、器具(130)とは異なる診断用情報を得るよう設計される。該情報は、追加的診断用情報、より少ない診断用情報、及び/又は別の診断用情報を含む。器具(132)によって得られる診断用情報、以下のものを1以上含む:圧力、フロー(速度)、画像(超音波(例えば、IVUS)、OCT、熱及び/又は他の撮像技術を用いて得られた画像を含む)、温度、及び/又はこれらの組合せ。器具(132)は、1以上のセンサ、トランスデューサ、及び/又は、こうした診断用情報を得るために設計された他のモニタリング要素を含む。こうした点において、1以上のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタリング要素は、ある場合には、器具(132)の遠位部に隣接して配置される。こうした点において、1以上のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタリング要素は、ある場合において、器具(132)の遠位端(136)から、30cm未満、10cm未満、5cm未満、3cm未満、2cm未満、及び/又は1cm未満の位置に配置される。ある場合において、1以上のセンサ、トランスデューサ、及び/又は他のモニタリング要素のうち少なくとも1つは、器具(132)の遠位端に配置される。
【0021】
器具(130)と同様に、器具(132)も脈管(100)内の圧力をモニターするために設計される少なくとも1つの要素を含む。圧力モニター要素は、以下の形態をとることができる:ピエゾ抵抗圧力センサ、ピエゾ電気圧力センサ、容量圧力センサ、電磁気圧力センサ、流体カラム(流体カラムセンサと通信する流体カラムであって、該センサは、器具とは分離しているか、及び/又は流体カラムの器具の近位部の一部として配置される)、光学的圧力センサ及び/又はこれらの組合せ。ある場合において、圧力モニタリング要素の1以上の特徴が、半導体及び/又は他の適切な製造技術をもちいて製造された固体状態の構成要素として実装される。幾つかの場合において、現在入手可能なカテーテル製品は、1以上のSiemens AXIOM Sensis、Mennen Horizon XVu及びPhilips Xper IM Physiomonitoring 5と共に使用するのに適しており、圧力モニタリング要素を含み、器具(132)のために使用することができる。
【0022】
本開示の態様に従い、少なくとも1つの器具(130)及び(132)は、狭窄(108)の脈管(100)遠位部内での圧力をモニターするように設計される。そして、少なくとも1つの器具(130)及び(132)は、狭窄の脈管近位部内の圧力をモニターするように設計される。こうした点において、器具(130)、(132)のサイズ及び形は、脈管(100)内の圧力をモニターするように設計された少なくとも1つの要素を配置することを可能にするようになされ、装置の設計に基づき必要に応じて、狭窄(108)の近位部及び/又は遠位部に配置される。こうした点において、
図3は、狭窄(108)の遠位部の圧力を測定するのに適切な位置(138)を例示している。こうした点において、位置(138)は、狭窄(108)(
図2に示す)の遠位部端から、ある場合において、5cm未満、3cm未満、2cm未満、1cm未満、5mm未満、及び/又は2.5mm未満である。また、
図3は、狭窄(108)の近位部での圧力を測定するための複数の適切な位置を例示している。こうした点において、位置(140)、(142)、(144)、(146)及び(148)は、ある場合において、狭窄の近位部の圧力をモニターするための適切な位置をそれぞれ表す。こうした点において、位置(140)、(142)、(144)、(146)及び(148)は、狭窄(108)の近位部端から、20cm超〜約5mm以下の範囲で距離を変動させて配置される。一般的に、近位部圧力測定は、狭窄の近位部端からは離隔している。従って、ある場合において、近位部圧力測定は、狭窄の近位部端から脈管の管腔の内側直径以上の距離で行われる。冠状の動脈圧力測定のコンテキストにおいては、近位部圧力測定は、一般的に、脈管の近位部内で、狭窄の近位部且つ大動脈の遠位部で得られる。しかし、冠状動脈圧力測定の幾つかの特定の場合において、近位部圧力測定は、大動脈内部の位置から得られる。他の場合において、近位部圧力測定は、冠状の動脈の根本又は心門(root or ostium)で得られる。
【0023】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの器具(130)及び(132)は、管腔(106)を通して移動している間、脈管(100)内の圧力をモニターするように設計される。ある場合において、器具(130)は、管腔(106)を通して且つ狭窄(108)をまたいで移動するように設計される。こうした点において、器具(130)は、ある場合において、狭窄(108)の遠位部に配置され、狭窄の近位部の位置に向かって狭窄をまたいで、近位部方向に移動する(即ちプルバックさせる)。他の場合において、器具(130)は狭窄(108)の近位部に配置され、狭窄の遠位部の位置に向かって狭窄をまたいで、遠位部方向に移動する。近位部方向又は遠位部方向のいずれかの器具(130)の移動は、幾つかの実施形態において、医療従事者(例えば、外科医の手)によって手動で制御される。他の実施形態では、近位部方向又は遠位部方向のいずれかの器具(130)の移動は、自動制御され、該制御は、移動コントロール装置によって制御される(例えば、プルバック装置(例えば、Volcano Corporationから入手できるTrak Back(登録商標)II Device))。こうした点において、移動コントロール装置は、ある場合において、器具(130)の移動を選択可能な且つ既知の速度で制御する(例えば、2.0mm/s、1.0mm/s、0.5mm/s、0.2mm/sなど)。脈管を通した器具(130)の移動は、ある場合において、プルバック又は押し込みそれぞれにおいて連続的である。他の場合において、器具(130)の移動は、脈管を通してステップワイズ(段階的)である(即ち固定の距離量及び/又は固定時間量だけ繰り返し移動する)。以下で議論するある態様の視覚的描写は、少なくとも1つの器具(130)及び(132)が管腔(106)を通して移動する実施形態に特に適している。更に、ある特定の場合において、以下で議論する、ある態様の視覚的描写は、第二器具の存在にかかわらず、単一の器具が管腔(106)を通して移動する実施形態に特に適している。
【0024】
ある場合において、単一の器具の使用には利点があり、その利点とは、別の期間に対する1つの器具の圧力測定の変動(通常はドリフトと呼ばれる)に関連する問題を回避できることである。こうした点において、従来の冠血流予備量比(FFR)測定のドリフトの主な源は、ガイドカテーテルの圧力測定に対するガイドワイヤの圧力測定の発散(divergence)である。こうした点において、FFRは、カテーテルによって得られた圧力測定に対する、ガイドワイヤによって得られた圧力の比として計算されるため、こうした発散は、得られるFFRの値に対して影響を与える。これに対して、単一の器具を、脈管を移動する際に圧力測定を得るために使用する場合、ドリフトは、無視できるか、又は存在しない。例えば、ある場合において、単一の器具は、脈管を通して移動する際に圧力の相対的な変化を得るために使用される。その結果、圧力測定している間の期間は、器具の圧力感度における任意の変化からのあらゆる影響を防止できるほどに十分に小さい(例えば、500ms未満、100ms未満、50ms未満、10ms未満、5ms未満、1 ms未満、又はそれ以外)。
【0025】
以下
図4を参照する。該図では、本開示の一実施形態に従ったシステム(150)を示す。こうした点において、
図4は、概略的であり、概念的なシステム(150)の図である。図示するように、システム(150)は、器具(152)を含む。こうした点において、ある場合には、器具(152)は、上述した少なくとも1つの器具(130)及び(132)として使用するのに適している。従って、幾つかの場合において、器具(152)は、器具(130)及び(132)に関して上述したのと類似する特徴を含む。例示的な実施形態において、器具(152)は、遠位部(154)と、遠位部に隣接して位置するハウジング(156)とを有するガイドワイヤである。こうした点において、ハウジング(156)は、器具(152)の遠位部端から約3cm離れている。ハウジング(156)は、センサと、トランスデューサと、及び/又は脈管についての診断用情報を得るために設計される他のモニタリング要素とを1以上収容するように設計される。例示的な実施形態において、ハウジング(156)は、器具(152)が配置される管腔内の圧力をモニターするために設計される圧力センサを少なくとも含む。シャフト(158)は、ハウジング(156)から近位部方向に延在している。トルク装置(160)は、シャフト(158)近位部の上部に位置し、該シャフトに連結している。器具(152)の近位部端(162)は、コネクタ(164)に接続されている。ケーブル(166)はコネクタ(164)からコネクタ(168)へ延在している。ある場合において、コネクタ(168)は、インタフェース(170)へプラグインするように設計される。こうした点において、インターフェース(170)は、幾つかの場合において、患者インターフェース・モジュール(PIM)である。ある場合において、ケーブル(166)は無線接続で置き換えてもよい。こうした点において、器具(152)とインターフェース(170)の間では様々な通信経路を用いることができ、該経路としては、物理的な接続(電気的、光学的、及び/又は流体的接続を含む)、無線接続、及び/又はこれらの組合せを含む点を理解されたい。
【0026】
インターフェース(170)は、接続部(174)を介して、通信可能に、コンピューティングデバイス(172)に接続される。コンピューティングデバイス(172)は、該して、本開示で議論する処理技術及び分析技術を実行するのに適した任意の装置を表す。幾つかの実施形態において、コンピューティングデバイス(172)は、プロセッサ、ランダム・アクセス・メモリ、及び記憶媒体を含む。こうした点において、ある特定の場合において、コンピューティングデバイス(172)は、本明細書に記載のデータ獲得及び分析に関連するステップを実行するためにプログラム制御することができる。従って、データ獲得、データ処理、器具コントロール、及び/又は本開示の態様に対する他の処理若しくはコントロールに関する任意のステップは、コンピューティングデバイスがアクセス可能な非一時的なコンピュータ読取可能媒体上又は該媒体内に記憶された対応する指示を用いるコンピューティングデバイスによって実行することができる点を理解されたい。ある場合において、コンピューティングデバイス(172)は、コンソールデバイスである。ある特定の場合において、コンピューティングデバイス(172)は、s5
TM Imaging システム又はs5i
TM Imaging システム(それぞれ、Volcano Corporationから入手できる)と類似している。ある場合において、コンピューティングデバイス(172)はポータブルである(例えば、手で持ったり、台車上でとか、など)。更に、幾つかの場合において、コンピューティングデバイス(172)は、複数のコンピューティングデバイスを含むと理解されたい。こうした点において、本開示の態様の異なる処理及び/又はコントロールは、複数のコンピューティングデバイスを用いて、別々に、又は既定のグルーピング内で実行されてもよい点を特に理解されたい。複数のコンピューティングデバイスにわたる以下で説明する態様についての処理及び/又はコントロールの、あらゆる分割及び/又は組合せは、本開示の範囲内である。
【0027】
コネクタ(164)、ケーブル(166)、コネクタ(168)、インターフェース(170)、及び接続部(174)は、1以上のセンサ、トランスデューサ、及び/又は器具(152)の他のモニタリング要素、並びにコンピューティングデバイス(172)間の通信をともに促進する。しかし、こうした通信経路は、その特性において例示的なものであり、あらゆる意味で限定的なものと考えるべきものではない。こうした点において、器具(152)及びコンピューティングデバイス(172)間の任意の通信経路を用いることができ、該経路として、物理的接続(電気的、光学的、及び/又は流体接続を含む)、無線接続、及び/又はこれらの組合せが含まれる点を理解されたい。こうした点において、幾つかの場合において、接続部(174)は無線であってもよい点を理解されたい。ある場合において、接続部(174)は、ネットワーク(例えば、イントラネット、インターネット、遠距離通信ネットワーク、及び/又は他のネットワーク)を介した通信リンクを含む。こうした点において、幾つかの場合において、コンピューティングデバイス(172)は、器具(152)が用いられる手術領域から離れて位置する点を理解されたい。接続部(174)がネットワークを介した接続を含むようにさせると、コンピューティングデバイスが隣接する部屋、隣接する建物、又は異なる州や国にあったとしてもそれとは関係なく、器具(152)と遠隔コンピューティングデバイス(172)との間の通信を促進できる。更に、幾つかの場合において、器具(152)とコンピューティングデバイス(172)との間の通信経路が、安全な接続である点を理解されたい。更に、ある場合において、器具(152)とコンピューティングデバイス(172)との間の通信経路の1以上を介して通信されるデータは、暗号化される点を理解されたい。
【0028】
また、システム(150)は器具(175)も含む。こうした点において、幾つかの場合において、器具(175)は、上述した少なくとも1つの器具(130)及び(132)の使用に適している。従って、幾つかの場合において、器具(175)は、器具(130)及び(132)に関する上述した特徴と類似する特徴を含む。例示的な実施形態において、器具(175)はカテーテル型の装置である。こうした点において、器具(175)は、1以上のセンサ、トランスデューサ、及び/又は脈管に関する診断用情報を得るために設計された器具の遠位部に隣接される他のモニタリング要素を含む。例示的な実施形態において、器具(175)は、器具(175)が配置される管腔内の圧力をモニターするために設計される圧力センサを含む。器具(175)は、接続部(177)を介してインターフェース(176)と通信する。ある場合において、インターフェース(176)は、血行モニタリング・システム、又は他のコントロール装置(例えば、Siemens AXIOM Sensis、Mennen Horizon XVu、及びPhilips Xper IM Physiomonitoring 5)である。ある特定の実施形態において、器具(175)は圧力感知カテーテルであり、該カテーテルは、該カテーテルの長さ方向に沿って延在する流体カラムを含む。こうした実施形態において、インターフェース(176)は、以下の物を含む:カテーテルの流体カラムに流体的に連結された止血バルブ、止血バルブに流体的に接続されたマニフォールド、必要に応じて構成要素に流体的に接続する、構成要素間で延在する配管。こうした点において、カテーテルの流体カラムは、バルブ、マニフォールド、及び配管を介して圧力センサと流体的に連通している。ある場合において、圧力センサは、インターフェース(176)の一部である。他の場合において、圧力センサは、器具(175)とインターフェース(176)との間に位置する別の構成要素である。インターフェース(176)は、接続部(178)を介してコンピューティングデバイス(172)に通信可能に接続される。
【0029】
器具(152)とコンピューティングデバイス(172)との間の接続と同様に、インターフェース(176)と接続部(177)及び(178)とは、1以上のセンサ、トランスデューサ、及び/又は器具(175)の他のモニタリング要素、並びにコンピューティングデバイス(172)の間の通信を促進する。しかし、こうした通信経路は、その特性において例示的なものであり、あらゆる意味で限定的なものと考えるべきではない。こうした点において、器具(175)とコンピューティングデバイス(172)との間の任意の通信経路を用いることができ、該経路として、物理的接続(電気的、光学的、及び/又は流体的接続を含む)、無線接続、及び/又はこれらの組合せが含まれる点を理解されたい。こうした点において、接続部(178)は、幾つかの場合において、無線である点を理解されたい。ある場合において、接続部(178)は、ネットワークを介した通信リンクを含む(例えば、イントラネット、インターネット、遠距離通信ネットワーク、及び/又は他のネットワーク)。こうした点において、幾つかの場合において、コンピューティングデバイス(172)は、器具(175)が使用される手術領域とは離れたに位置する点を理解されたい。接続部(178)がネットワークを介した接続を含むようにさせると、コンピューティングデバイスが隣接する部屋、隣接する建物、又は異なる州や国にあったとしてもそれとは関係なく、器具(175)と遠隔コンピューティングデバイス(172)との間の通信を促進できる。更に、幾つかの場合において、器具(175)とコンピューティングデバイス(172)との間の通信経路が、安全な接続である点を理解されたい。更に、ある場合において、器具(175)とコンピューティングデバイス(172)との間の通信経路の1以上を介して通信されるデータは、暗号化される点を理解されたい。
【0030】
本開示の他の実施形態では、システム(150)の1以上の構成要素が含まれておらず、異なる配置/順序で実装され、及び/又は別の装置/機構に置換される点を理解されたい。例えば、ある場合において、システム(150)は、インターフェース(170)及び/又はインターフェース(176)を含まない。こうした場合、コネクタ(168)(又は器具(152)又は器具(175)と通信する他の類似コネクタ)は、コンピューティングデバイス(172)と関連するポートにプラグインすることができる。或いは、器具(152)及び(175)は、コンピューティングデバイス(172)と無線で通信することができる。一般的に言って、器具(152)及び(175)のいずれか又は両方と並びにコンピューティングデバイス(172)との間の通信経路は、中間ノードを有さなくともよく(即ち直接的な接続)、器具とコンピューティングデバイスとの間に1つの中間ノードを有してもよく、又は器具とコンピューティングデバイスとの間に複数の中間ノードを有してもよい。
【0031】
以下
図5〜8を参照する。これらの図では、本開示の実施形態に従った圧力測定に基づく脈管プロファイルの様々な視覚的描写を示す。
更に具体的に
図5を参照すると、該図では、脈管を視覚的に表現したもの(180)を示す。こうした点において、視覚的に表現したもの(180)は、ポイント(182)及び(184)の間での脈管の約112mmのセグメントを表す。こうした点において、ポイント(182)は脈管内の器具の開始地点を表す。一方で、ポイント(184)は、脈管の管腔に沿って長手方向に器具を移動させた後の脈管内の器具の終了位置を表す。従って、器具をプルバックする場合、ポイント(182)は、脈管内のポイント(184)に対する遠位部である。一方で、脈管を通して器具を押し込む場合においては、ポイント(182)は、ポイント(184)に対する近位部である。器具の移動方向にかかわらず、器具は、ポイント(182)とポイント(184)との間の脈管の1以上の損傷及び/又は狭窄と交差するであろう。こうした点において、
図5〜8の各視覚的描写は、器具が脈管を通して移動した際に前記器具から得られる圧力測定に基づいて1以上の損傷及び/又は狭窄を同定するように設計される。
【0032】
図5を参照する。視覚的に表現したもの(180)は、ヒートマップであり、該マップは、器具が脈管を通して移動した際に得られた圧力測定の変化を表す。こうした点において、幾つかの場合において、ヒートマップ中に示される圧力測定は、脈管内の固定位置と、器具が脈管を通して移動した際の器具の移動位置との間の圧力差(Pressure Differential)を表す。例えば、幾つかの場合において、近位部圧力測定は、脈管内の固定位置で得られる。一方で、器具は、脈管を通してプルバックされるが、該プルバックは、近位部圧力測定が得られる部位に対する第一ポジション遠位部から、第一ポジションよりも更に近い第二ポジション(即ち遠位部の圧力測定のより近い固定位置)へと行われる。本開示の概念を明確に理解するために、こうした配置は、多くの本開示の実施形態を説明するのに用いられるだろう。しかし、こうした概念は、他の配置に対して等しく応用可能である点を理解されたい。例えば、ある場合において、器具は管腔通して押し込まれるが、該押し込みは、近位部圧力測定位置に対する第一ポジション遠位部から、更なる遠位部の第二ポジション(即ち、更に近位部圧力測定の固定位置から遠ざかる)へとなされる。他の場合において、遠位部圧力測定は脈管内の固定位置で得られ、器具は脈管を通してプルバックされる。そして、該プルバックは、遠位部圧力測定の固定位置に対する近位部の第一ポジションから、第一ポジションよりも更に近い第二ポジション(即ち更に遠位部圧力測定の固定位置から遠ざかる)へとなされれる。更なる他の場合においては、遠位部圧力測定は、脈管内の固定位置において得られ、器具は脈管を通して押し込まれる。該押し込みは、遠位部圧力測定の固定位置に対する近位部の第一ポジションから、第一ポジションよりも遠い第二ポジション(即ち、遠位部圧力測定の固定位置に更に近い)へとなされる。
【0033】
幾つかの場合において、脈管内の2つの圧力測定間の圧力差(例えば、固定位置の圧力測定と移動先での圧力測定)は、2つの圧力測定の比(例えば、移動先の圧力測定を固定位置の圧力測定で割る)として計算される。ある場合において、圧力差は、患者の各心臓鼓動サイクルに関して計算される。こうした点において、幾つかの実施形態において、前記計算される圧力差は、心臓の鼓動サイクル間での平均圧力差である。例えば、幾つかの場合において、充血剤を患者に投与すると、心臓鼓動周期間での平均圧力差を用いて圧力差を計算する。他の実施形態では、一部の心臓鼓動周期のみを用いて圧力差を計算する。幾つかの場合において、圧力差は、心臓鼓動周期の診断用の一部又は診断用ウィンドウ部分にわたっての平均である。こうした点において、幾つかの実施形態において、診断用ウィンドウは、米国特許出願番号_____________(Attorney Docket No. 44755.810)に記載の1以上の技術を用いて選択され、該文献は参照により全体を本明細書に組み込む。本明細書で議論するが、診断用ウィンドウ、及び関連する米国特許出願番号_____________ (Attorney Docket No. 44755.810)の技術は、患者に充血剤を与えることなく使用する目的に特に適切である。一般的に、充血剤を用いることなく狭窄間の圧力の違いを評価するための診断用ウィンドウは、以下に基づいて同定される:近位部圧力測定、遠位部圧力測定、近位部速度測定、遠位部速度測定、ECG波形、並びに/又は他の同定可能及び/若しくは測定可能な脈管性能の側面に関する1以上の特徴並びに/又は構成要素。こうした点において、様々な信号(シグナル)処理及び/又はコンピュータ技術が以下に対して提供できる:近位部圧力測定、遠位部圧力測定、近位部速度測定、遠位部速度測定、ECG波形、並びに/又は適切な診断ウィンドウを同定するための他の同定可能及び/若しくは測定可能な脈管性能の側面に関する1以上の特徴並びに/又は構成要素。
【0034】
幾つかの実施形態において、診断用ウィンドウの決定、及び/又は圧力差の計算は、おおよそリアルタイムまたはライブ状態で行われ、セクション(212)を同定し、圧力差を計算する。こうした点において、本開示のコンテキスト内で、「リアルタイム」又は「ライブ状態」で圧力を計算することは、10秒以内でデータ獲得が生じる計算を包含することを理解されたい。しかし、しばしば「リアルタイム」又は「ライブ状態」での計算により、1秒以内でデータ獲得がなされることを理解されたい。ある場合において、「リアルタイム」又は「ライブ状態」での計算により同時にデータ獲得が獲得される。幾つかの場合において、データ獲得との遅延時間において、プロセッサが計算を実行する。例えば、もしデータが、圧力感知装置から、5msごとに1msの感覚で得られる場合、データ獲得の間の4msにおいて、プロセッサが計算を実行する。こうしたタイミングは、ただの例示にすぎず、そして、データ獲得速度、処理時間、及び/又は計算をとりまく他のパラメーターが変動するであろうこと理解されたい。他の実施形態では、圧力差の計算は、データ獲得から10秒以上の時間で行われる。例えば、幾つかの実施形態において、診断用ウィンドウを同定し、及び/又は圧力差を計算するのに用いられるデータは、後の分析のため記憶される。
【0035】
閾値や既定値と計算された圧力差を比較することにより、外科医又は他の医療従事者は、もしあるとしたら、どのような処置を施すべきかを決定することができる。こうした点において、ある場合において、計算された圧力差が閾値(例えば、0.00〜1.00のスケールにおいて0.80)を超えることが、第一の処置モード(例えば、処置なし、薬物療法など)を表し、一方で、計算された圧力差が閾値を下回ったことが、第二のより侵襲的処置モード(例えば、血管形成術、ステント等)を表す。ある場合において、閾値は固定されあらかじめ設定された値である。他の場合において、閾値は特定の患者及び/又は特定の狭窄患者用に選択される。こうした点において、特定の患者用の閾値は、経験上のデータ、患者の特徴、患者の履歴、外科医の嗜好、利用可能な処置オプション、及び/又は他のパラメーターの1以上に基づいてもよい。
【0036】
こうした点において、
図5の視覚的に表現したもの(180)において記載されている圧力差測定に関して、着色及び/又は他の視覚的な識別態様は、閾値に基づいて設計される。例えば、第一カラー(例えば、緑、白、又はそれ以外)を用いて、閾値をかなり超えた値を表現する(例えば、0.00〜1.00のスケールにおいて閾値が0.80である場合に、値が0.90を超えた場合)。第二カラー(例えば、黄色、グレー、又はそれ以外)を用いて、閾値付近であるが該閾値を超えている値を表す(例えば、0.00〜1.00のスケールにおいて閾値が0.80である場合に、値が、0.81〜0.90の間である場合)、そして、第三のカラー(例えば、赤、黒、又はそれ以外)を用いて、閾値以下である値を表現する(例えば、例えば、0.00〜1.00のスケールにおいて閾値が0.80である場合に、値が0.80かそれ以下)。任意の数のカラーの組合せ、スケーリング、カテゴリー、及び/又は他の特徴を用いて、閾値に対する圧力差の相対的な値を視覚的に表現できる点を理解されたい。しかし、簡潔にする目的で、出願人は、数多くのバリエーションについては、本明細書では明記しない。
【0037】
図5に示すように、視覚的に表現したもののヒートマップ(180)は、グレースケールを用いており、ここで、更に薄い又は白いカラーは、閾値を超える値を表す。一方で、更に暗い又は黒い色は、閾値付近又は閾値未満の値を表す。こうした点において、視覚的に表現したもののヒートマップ(180)は、累積的な、又は全体の(トータルの)圧力差に基づく。ここで、特定のポイントについて選択されたグレースケールカラーは、脈管を通して移動しているポイントにある器具と、静止した又は固定した器具との間の圧力差に基づいて決定される。図示するように、例示された実施形態において、脈管の移動ポイント又はエリア(186)は、閾値を超える圧力差の値を有する脈管の部位(188)と閾値を下回る圧力差の値を有する脈管の部位(190)との間に位置する。こうした点において、移動ポイント又はエリア(186)は、上昇した圧力差を結果として生じる脈管の損傷又は狭窄の境界を表す。そして、該圧力差は、視覚的に表現したもの(180)におけるカラー変化で表される。その結果、視覚的に表現したもの(180)を用いて、脈管内での損傷又は狭窄の場所を同定し、且つ損傷又は狭窄の深刻度合いを評価することができる。
【0038】
図6を参照する。該図では、
図5の視覚的に表現したもの(180)と同じ圧力測定に基づいて脈管プロファイルの視覚的に表現したもの(200)が示されている。また、こうした点において、視覚的に表現したもの(200)のヒートマップは、グレースケールを用いる。ここで、更に薄い又は白いカラーは、閾値を超える値を表す。一方で、更に暗い又は黒い色は、閾値付近又は閾値未満の値を表す。視覚的に表現したもの(180)のヒートマップは、累積的又はトータルの圧力差に基づいたものであった。その一方で、視覚的に表現したもの(200)のヒートマップは、局所的圧力差に基づいている。ここで、特定のポイントについて選択されたグレースケールカラーは、該ポイントと1以上の周辺のポイントとの圧力差の違いに基づいて決定される。こうした点において、幾つかの場合において、局所的圧力差は、直後の進行ポイントとの差として計算される。例えば、ポイントP
nに関する局所的圧力差は、ポイントP
nに関する累積的又はトータル圧力差から、ポイントP
n-1に関するトータル又は累積的圧力差を引いたものと等しい。他の場合において、局所的圧力差は、該ポイントとあるポイントとの間の固定時間量(例えば、10ms、5ms、2ms、1ms、又はそれ以外)の差、又は該ポイントからの距離(distance)(例えば、10mm、5mm、2mm、1mm、又はそれ以外)の差として計算される。局所的圧力差を用いることで、圧力差の値の有意な変化が起こった場所を同定することができ、これらの箇所では、しばしば、損傷又は狭窄の存在と関連する。
【0039】
例えば、
図6の例示した実施形態に示す。閾値を下回る局所的な圧力差の値を有する脈管の変遷領域(202)が閾値を超える圧力差の値を有する脈管の部位(204)及び(206)の間に位置している。こうした点において、変遷ポイント又は領域(202)は、圧力差における有意な変化を引きおこす脈管の損傷又は狭窄を表している。そして、こうした変化は、色で視覚的に表現したもの(200)の変化で表されている。その結果、視覚的に表現したもの(200)は、脈管内の損傷又は狭窄の場所を特定すること、及び損傷又は狭窄の深刻度度合いを評価することの両方のために用いることができる。
【0040】
以下
図7を参照する。該図では、
図5及び6それぞれの視覚的表現したもの(180)及び(200)と同じ圧力測定に基づいて、脈管プロファイルの視覚的に表現したもの(210)が示されている。こうした点において、
図7は、脈管通して移動している器具と脈管内の静止した又は固定した位置にある器具との間の累積的又はトータル圧力差のプロット(212)を表す。プロットの形(212)(特に、例えば、閾値に対する圧力差の値、プロットの傾きの変化、及び/又はこれらの組合せといった特徴)を分析することによって、脈管内の損傷又は狭窄の場所を特定すること、及び損傷又は狭窄の深刻度を評価することの両方を行うために視覚的に表現したもの(210)を用いることができる。
【0041】
以下
図8を参照する。該図では、
図5、6、及び7の視覚的に表現したもの(180)、(200)及び(210)それぞれと同じ圧力測定に基づいて脈管プロファイルの視覚的に表現したもの(220)を表す。こうした点において、
図8は、ある1つのポイントと、1以上の周辺ポイントとの圧力差の違いに基づいたプロット(222)を表す。こうした点において、幾つかの場合において、プロット(222)に関して使用される値は、隣接するポイント間での違いとして計算される。例えば、ポイントP
nに関する値は、幾つかの場合において、ポイントP
nに関する累積的又はトータル圧力差から、ポイントP
n-1に関するトータル又は累積的圧力差を引いたものと等しい。他の場合において、プロットの特定の場所(222)で使用される値は、該ポイントと別ポイントとの間の固定時間量(例えば、10ms、5ms、2ms、1ms、又はそれ以外)の差、又は該ポイントからの距離(例えば、10mm、5mm、2mm、1mm、又はそれ以外)の差として計算される。例示的な実施形態において、プロット(222)は、互いに2mm離れたポイント間での圧力差の違いに基づく。こうした相対的かつ局所的な圧力差の計算を用いて、損傷又は狭窄の存在に関連する圧力差の値の有意な変化の場所を特定できる。
【0042】
プロット(222)は、脈管内の損傷又は狭窄の場所を同定すること、及び同定された損傷又は狭窄の深刻度を評価することの両方のために使用することができる。
図8の例示的な実施形態において、プロット(222)の領域(224)は、線(226)によって示される閾値を満たさない。こうした点において、
図8では、視覚的に表現したもの(220)のY軸の値に関して、原点が1.0となっており、示されるY軸の上部が0.0となっている点を留意されたい。従って、領域(224)は、処置を必要とする程度に流体の流れに悪影響を及ぼす脈管の損傷又は狭窄を表す。プロット(222)の分析によって、脈管及び/又は該脈管の損傷又は狭窄に関する情報が提供される。例えば、プロット(222)は、領域(224)に関連する損傷又は狭窄の長さを表す情報を提供することができる。こうした点において、損傷又は狭窄の長さは、閾値(226)未満の値を有する脈管セグメントの長さによって表される。例示的な実施形態において、閾値(226)未満の値を有する脈管セグメントの長さは、約17mmである。プロット(222)によって示される損傷又は狭窄の長さは、損傷部位の組成物とは独立した完全な生理学的測定に基づく。
【0043】
更に、プロット(222)は、脈管の全体の閉塞部位の値を表す情報を提供する。こうした点において、ある場合には、トータルの脈管の閉塞部の値は、プロット(222)を下回る累積面積によって判定することができる。例示的な実施形態において、プロット(222)を下回るトータルの脈管の閉塞部の値、又は面積は、約1.38である。また、同様に、プロット(222)は、個々の脈管の損傷又は狭窄に属する閉塞部の値を表す情報を提供する。こうした点において、ある特定の損傷又は狭窄に属する閉塞部の値は、損傷又は狭窄に関連する脈管の長さに関連するプロット(222)を下回る面積を決定することによって、同様に計算することができる。例えば、例示的実施形態において、領域(224)に関連する損傷又は狭窄では、プロット(222)を下回る閉塞部の値又は面積は、約0.67である。全体の脈管の閉塞部の値と、特定の損傷又は狭窄に属する閉塞部の値に基づいて、全体の脈管閉塞部の値と、該特定の損傷又は狭窄に属する閉塞部の値とのパーセンテージを計算することができる。こうした点において、全体の脈管の閉塞部の値に対する特定の損傷又は狭窄に属する閉塞部の値の比率をとることで、該損傷又は狭窄に属する脈管閉塞部のパーセンテージが得られる。プロット(222)によって示される損傷若しくは狭窄及び/又は脈管の特徴に関する情報は、損傷若しくは狭窄及び/又は脈管についての他の表現形態(例えば、IVUS(仮想的な組織学を含む)、OCT、ICE、熱、赤外線、フロー(flow)、ドップラーフロー(Doppler flow)、及び/又は他の脈管についてのデータ収集療法)と比較したり、該形態に付加する形で検討することができる。そして、更に高い完全性をもって、及び/又は正確性をもって脈管の特徴を理解することができる。例えば、幾つかの場合において、プロット(222)によって示される損傷若しくは狭窄及び/又は脈管の特徴に関する情報を用いて、1以上の他の脈管についてのデータ収集療法を用いて計算又は決定される情報を裏付ける。
【0044】
図5、6、7及び8の視覚的に表現したもの(180)、(200)、(210)、及び(220)を別々に説明してきたが、システムは、こうした視覚的に表現したものを直列で組み合わせたもので表示してもよいし、同時に組み合わせたもので表示してもよいし、及び/又は両者の組合せで表示してもよい点を理解されたい。ある場合において、システムは、ユーザーに対して、個々の視覚的に表現したもの、及び/又は視覚的に表現したものの組合せのうちどれを表示するかを選択できるようにすることができる。
【0045】
以下
図9を参照する。該図では、本開示の一実施形態に従ってシミュレートした処置オプションを例示する、脈管を視覚的に表現したもの(230)である。こうした点において、視覚的に表現したもの(230)は、脈管のポイント(232)及び(234)の間の約33mmのセグメント表す。こうした点において、ポイント(232)は、脈管内での器具の開始位置を表す。一方で、ポイント(234)は、脈管の管腔に沿って長手方向に器具が移動した後の脈管内の器具の終了位置を表す。従って、器具をプルバックする場合には、ポイント(232)は、脈管内のポイント(234)に対する遠位部である。一方で、脈管を通して器具を押し込む場合には、ポイント(232)は、ポイント(234)に対する近位部のポイントである。器具の移動方向に関係なく、器具は、ポイント(232)及びポイント(234)の間の脈管の1以上の損傷及び/又は狭窄を交差するであろう。こうした点において、視覚的に表現したもの(230)は、脈管を通して移動する器具と、脈管内の静止又は固定位置での器具との間の累積的又はトータルの圧力差のプロット(236)を含む。プロット(236)の形、特に、閾値に対する圧力差の値、プロットの傾きの変化、及び/又はこれらの組合せといった特徴を分析することにより、視覚的に表現したもの(230)を用いて、脈管内の損傷又は狭窄の場所の特定、及び損傷又は狭窄の深刻度を評価することが可能である。
【0046】
視覚的に表現したもの(230)に由来する損傷又は狭窄に関する情報に基づいて、1以上の処置オプション(例えば、血管形成術、テント(複数可)、医薬(複数可)等)をシミュレートすることができる。例えば、プロット(238)は、脈管に関する1つの処置オプションを表す。こうした点において、プロット(232)の特徴に基づいて、損傷又は狭窄の2つの対向する終点(240)及び(242)が特定される。ある場合において、終点(240)及び(242)は、プロット(232)の傾きの変換に基づいて特定される。他の場合において、終点は、
図5〜8に関連して上述した1以上の撮像技術及び/又は分析技術を用いて特定される。2つの終点(240)及び(242)は、損傷又は狭窄に関連した領域(244)を規定する。その結果、領域(244)も処置領域に該当する。従って、幾つかの実施形態において、処置オプションは、プロット(236)の値を調整することによってシミュレートされる。そして、該シミュレートで、領域(244)にわたる該処置オプションの予想結果が表され、プロット(238)の一部としてグラフ化される。こうした点において、予想結果は、以下のものに基づいてユーザーが選択することができる:ユーザーが選択したパラメータ;患者の特徴;経験的データ;及び/又はこれらの組合せ。例えば、ある場合において、システムは、1以上のデータベースと通信している。該データベースは、様々な特徴を持つ患者についての処置オプションの結果に関する経験的なデータを有している。従って、幾つかの場合において、グラフ(238)の値の調整は例えば以下の因子に基づいて決定される:患者の年齢、患者の性別、患者の病歴(例えば、以前の治療、以前の心臓に関する出来事など)、脈管の特徴、損傷又は狭窄の特徴、及び/又は患者の処置に関する他の情報。ある場合において、計算された圧力差(トータル又は局所的のいずれか)を、閾値又は既定値と比較する場合には、処置オプションのシミュレートされたプロットは、閾値を満たすように圧力差の値を調整する。例えば、幾つかの場合において、閾値が、0.00〜1.00のスケールにおいて0.80である場合には、実行可能な処置オプションとしては、シミュレートされたプロット上で約0.90〜約1.00の値をとるであろう。
【0047】
処置オプションの予想結果を表すプロット(238)を用いて、ユーザー又は医療従事者は、処置オプションが実行可能なアプローチであるかどうかを判定することができる。複数の処置オプションをシミュレート及び評価することによって、ユーザー又は医療従事者は、患者のための最も有望な処置アプローチを選択することができる。ある場合において、複数のシミュレートした処置のプロットは、視覚的に表現したもの(230)(例えば、各処置について異なる色を用いて)の上に同時に表示され、ユーザーが処置オプションを比較することが可能となる。こうした点において、幾つかの場合において、ユーザー又は医療従事者は、表示及び検討対象の処置オプション選択する。更に、幾つかの場合において、シミュレートしたプロットに基づいて、1以上のコンピューター技術を用いて客観的に各処置オプションを分析し、互いに比較することができる。例えば、幾つかの場合において、計算(例えば、
図8に関して上述したように、トータルの脈管閉塞部の値、損傷又は狭窄の閉塞部の値、及び/又は損傷又は狭窄の閉塞部のパーセンテージ)を用いて処置オプションを評価する。
【0048】
以下
図10〜15を参照する。該図では、複数の損傷又は狭窄を有する脈管に関連する本開示の態様を示す。こうした点において、
図10は、本開示の実施形態に従った2つの損傷又は2つの狭窄を有する脈管の側断面図である;
図11は、
図10の脈管内でから得られた圧力測定をグラフ表現したものである;
図12は、
図11の圧力測定に基づき、
図10の脈管を視覚的描写したものである;
図13は、第一のシミュレートした処置オプションを例示した脈管の視覚的描写したものである;
図14は、第二のシミュレートした処置オプションを例示する脈管の視覚的描写したものである;及び、
図15は、第三のシミュレートした処置オプションを例示する脈管の視覚的描写したものである。
【0049】
図10についてより具体的に参照する。該図では、本開示の一実施形態に従った脈管(250)を示す。脈管(250)は、近位部(252)と遠位部(254)を有する。管腔(256)は、近位部(252)と遠位部(254)との間の脈管(250)の長さに沿って長手方向に延在している。また、脈管(250)は、上部(260)と下部(262)とを有する狭窄(258)を含む。こうした点において、上部及び下部(260)及び(262)は、脈管(250)の管腔(256)を狭めるプラーク形成を表す。ある場合において、狭窄(258)のプラーク形成は、均一又は対称的なプロファイルを有しておらず、こうした狭窄の血管造影による評価の信頼性を損なう。図示するように、狭窄(258)は、管腔(256)を通して流体が流れるための利用可能なスペースを減少させる。特に、管腔(256)の断面積は、狭窄(258)によって減少する。また、狭窄(258)は、近位境界部(264)と遠位境界部(266)とを有する。上部及び下部(260)及び(262)の近位境界部及び/又は遠位境界部は、すべての場合において配置されているわけではない点を留意されたい。例えば、例示的な実施形態において、上部(260)は、遠位部方向に延びるにつれ、徐々に減少していく。一方で、下部(262)は、より崖状になっていいる。こうした場合において、これらの特徴は、狭窄(258)の境界を全体として決定する際に考慮することができる。狭窄(258)は、例示的な特性であり、あらゆる意味で限定的なものと考えるべきではない。こうした点において、他の場合において、狭窄(258)は、管腔(256)を通して流体が流れることを制限する他の形及び/又は構成要素を有する点を理解されたい。
【0050】
また、脈管(250)は、上部(270)及び下部(272)を有する狭窄(268)を含む。こうした点において、上部及び下部(270)及び(272)は、脈管(250)の管腔(256)を狭めるプラーク形成を表す。ある場合において、狭窄(268)のプラーク形成は、均一の又は対称的なプロファイルを有しておらず、こうした狭窄の血管造影の評価の信頼性を損なう。図示するように、狭窄(268)は、管腔(256)を通して流体が流れるための利用可能なスペースを減少させる。特に、管腔(256)の断面積は、狭窄(268)によって減少する。また、狭窄(268)は、近位境界部(274)と遠位境界部(276)とを有する。上部及び下部(270)及び(272)の近位境界部及び/又は遠位境界部は、すべての場合において配置されているわけではない点を留意されたい。狭窄(268)は、例示的な特性であり、あらゆる意味で限定的なものと考えるべきではない。こうした点において、他の場合において、狭窄(268)は、管腔(256)を通して流体が流れることを制限する他の形及び/又は構成要素を有する点を理解されたい。
【0051】
狭窄(258)及び(268)の存在に基づいて、脈管(250)は5つの領域に分けることができる。即ち、領域(278)は、狭窄(258)の近位部に位置し、領域(280)は、狭窄(258)の近位境界部及び遠位境界部(264)及び(266)の間に位置し、領域(282)は、狭窄(258)及び狭窄(268)の間に位置し、領域(284)は、狭窄(268)の近位境界部及び遠位境界部(274)及び(276)の間に位置し、並びに領域(286)は、狭窄(268)の遠位部に位置する。
【0052】
以下
図11を参照する。該図では、
図10の脈管(250)内から得られた圧力測定をグラフ表現したもの(290)を示す。こうした点において、グラフ表現したもの(290)では、狭窄(258)の近位部の位置(即ち領域(278)以内)で得られた圧力測定を表す近位部圧力測定グラフ(292)が含まれる。近位部圧力測定グラフ(292)の平均は、平均線(294)で表される。また、グラフ表現したもの(290)には、近位部圧力測定が得られる部位に対する遠位側で得られた圧力測定を表す遠位部圧力測定グラフ(292)が含まれる。特に、遠位部圧力測定グラフ(296)は、器具のプルバックを表している。該プルバックは、狭窄(268)の遠位部(即ち領域(286)内)から、狭窄(268)及び狭窄(258)を超え、狭窄(258)の近位部(即ち領域(278)内)までにわたる。遠位部圧力測定グラフ(296)の平均は平均線(298)で表される。図示するように、近位部圧力測定及び遠位部圧力測定間での圧力差は、減少する。該減少は、遠位部圧力測定を得るために使用される器具が、狭窄(268)及び狭窄(258)の間を超え、近位部圧力測定を得るために用いられる器具に向かって、近位部方向に動くにつれ起こる。こうした点において、
図12は、
図11の圧力測定に基づいて脈管(250)を視覚的に表現したもの(300)を提供する。特に、視覚的に表現したもの(300)は、遠位部及び近位部(254)及び(252)の間の脈管の長さに沿った近位部及び遠位部の圧力測定の間での圧力差のプロット(302)を含む。こうした点において、プロット(302)は、トータルの圧力差を表す。しかし、他の実施形態では、局所的な圧力差が用いられる。
【0053】
視覚的に表現したもの(300)から生じる狭窄(258)、狭窄(268)及び/又は脈管(250)に関する情報に基づいて、1以上の処置オプション(例えば、血管形成術、ステント(複数可)、医薬(複数可)等)を、脈管(250)についてシミュレートすることができる。こうした点において、単一の損傷又は狭窄を有する脈管のための処置オプションをシミュレーション及び/又は評価するための
図9に関連する上述した技術は、脈管(250)についても、複数の損傷又は狭窄を有する脈管に同様に応用することができる。
図13〜15は、本開示の実施形態に従った3つの異なる脈管(250)のための処置オプションを表す。
【0054】
以下
図13を参照する。該図では、脈管(250)のための第一のシミュレートされた処置オプションを例示する脈管(250)の視覚的に表現したもの(310)を示す。こうした点において、視覚的に表現したもの(310)には、プロット(302)及び第一の処置オプションの予想結果に基づいて見積もられた脈管(250)を通しての圧力差のプロット(312)が含まれる。より具体的には、視覚的に表現したもの(310)は、狭窄(268)を処置し、しかし、狭窄(258)に対しては処置しなかった場合の処置オプションを例示している。従って、処置領域に対応する領域(314)に関連するプロット(312)の値は、狭窄(268)の処置の予想結果を反映するように調整される。プロット(312)の残りの値は、必要に応じて調整され、領域(314)の調整された値に適合させる。図示するように、狭窄(268)のみの処置だと、脈管(250)は、狭窄(258)周辺の圧力差の降下が含まれる。こうした点において、脈管(250)に関する閾値圧力差が、0.00〜1.00のスケールで0.80である場合、プロット(312)に関連する第一の処置オプションは、実行可能な処置オプションとならない。なぜならば、圧力差の値が、狭窄(258)周辺で約0.65まで降下しているからである。
【0055】
以下
図14を参照する。該図では、脈管(250)のための第二のシミュレートされた処置オプションを例示する脈管(250)の視覚的に表現したもの(320)を示す。こうした点において、視覚的に表現したもの(320)には、プロット(302)及び第二の処置オプションの予想結果に基づいて見積もられた脈管(250)を通しての圧力差のプロット(322)が含まれる。より具体的には、視覚的に表現したもの(320)は、狭窄(258)を処置し、しかし、狭窄(268)に対しては処置しなかった場合の処置オプションを例示している。従って、処置領域に対応する領域(324)に関連するプロット(322)の値は、狭窄(258)の処置の予想結果を反映するように調整される。プロット(322)の残りの値は、必要に応じて調整され、領域(324)の調整された値に適合させる。図示するように、狭窄(258)のみの処置だと、脈管(250)は、狭窄(268)周辺の圧力差の降下が含まれる。こうした点において、脈管(250)に関する閾値圧力差が、0.00〜1.00のスケールで0.80である場合、プロット(322)に関連する第二の処置オプションは、実行可能な処置オプションとなる。なぜならば、圧力差の値が、狭窄(268)周辺で約0.92まで降下しているものの、なお閾値を十分に超えているからである。
【0056】
以下
図15を参照する。該図では、脈管(250)のための第三のシミュレートされた処置オプションを例示する脈管(250)の視覚的に表現したもの(330)を示す。こうした点において、視覚的に表現したもの(330)には、プロット(302)及び第三の処置オプションの予想結果に基づいて見積もられた脈管(250)を通しての圧力差のプロット(332)が含まれる。より具体的には、視覚的に表現したもの(330)は、狭窄(258)と狭窄(268)の両方を処置された場合の処置オプションを例示している。従って、狭窄(258)の処置領域に対応する領域(334)に関連するプロット(332)の値は、狭窄(258)の処置の予想結果を反映するように調整される。一方で、狭窄(268)の処置領域に対応する領域(336)に関連するプロット(332)の値は、狭窄(268)の処置の予想結果を反映するように調整される。プロット(332)の残りの値は、必要に応じて調整され、領域(334)及び(336)の調整された値に適合させる。図示するように、狭窄(258)及び狭窄(268)の両方の処置だと、脈管(250)は、近位部(252)から遠位部(254)へと比較的一定の圧力差となる。こうした点において、脈管(250)に関する閾値圧力差が、0.00〜1.00のスケールで0.80である場合、プロット(332)に関連する第三の処置オプションは、実行可能な処置オプションとなる。なぜならば、脈管の長さに沿って様々なポイントで、圧力差の値が、約0.98まで軽度に降下しているものの、なお閾値を十分に超えているからである。
【0057】
3つの処置オプションの予想結果を表す視覚的な表現(310)、(320)、及び(330)を用いて、ユーザー又は医療従事者は、どの処置オプションが最も実行可能性が高いアプローチであるかを決定することができる。例えば、ユーザー又は医療従事者は、第二の処置オプション(視覚的に表現したもの(320))を選択してもよい。なぜならば、前記処置は閾値要求を満たしており、狭窄(258)の処置しか必要とせず、時間とお金を節約できるからである。一方で、ユーザー又は医療従事者は第三の処置オプション(視覚的に表現したもの(330))を選択することができる。第二の処置オプションと比べると脈管を通して圧力差が全般的に改善するからである。複数の処置オプションをシミュレート及び評価することにより、ユーザー又は医療従事者は、患者にとって最も利点のある処置アプローチを選択することができる。ある場合において、複数のシミュレートされた処置のプロットは、ユーザー又は医療従事者に対して同時に表示される(例えば、1つのグラフ上に異なる色を用いて、及び/又は別々のグラフを互いに隣り合わせで表示する)。そして、ユーザー又は医療従事者が処置オプションを比較することを可能にする。また、幾つかの場合において、処置オプションは、シミュレートされたプロットに基づいて1以上のコンピューター技術を用いて客観的に分析し、互いに比較される。
【0058】
また、当業者は、上述した装置、システム、及び方法が様々な方法で改変できることを認識するであろう。従って、当業者は、本開示によって包含される実施形態は、上述した特定の例示的な実施形態に限定されないことを理解するであろう。こうした点において、例示的な実施形態について図示し、説明してきたが、広い範囲の改変、変更、及び置換したものを上記開示では企図している。本開示の範囲から乖離することなく、こうした変更を行うことができる点を理解されたい。従って、添付した特許請求の範囲については、広く解釈し、且つ本開示に一致するように解釈するのが適切である。