特許第6133867号(P6133867)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133867
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】棚扉
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/00 20060101AFI20170515BHJP
   A47F 3/04 20060101ALI20170515BHJP
   A47F 7/00 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   A47F5/00 B
   A47F3/04 E
   A47F7/00 M
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-527580(P2014-527580)
(86)(22)【出願日】2012年8月15日
(65)【公表番号】特表2014-527444(P2014-527444A)
(43)【公表日】2014年10月16日
(86)【国際出願番号】EP2012065945
(87)【国際公開番号】WO2013029995
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2015年6月30日
(31)【優先権主張番号】11179486.3
(32)【優先日】2011年8月31日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エス.エイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】シェバーク,マルチン
【審査官】 角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第02584874(US,A)
【文献】 登録実用新案第3014993(JP,U)
【文献】 特開2002−181428(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0242370(US,A1)
【文献】 英国特許出願公開第02262566(GB,A)
【文献】 特開2011−067272(JP,A)
【文献】 実公昭57−060381(JP,Y1)
【文献】 実開昭57−047689(JP,U)
【文献】 実公昭48−006369(JP,Y1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0138833(US,A1)
【文献】 実開平04−027383(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 3/00−3/14
7/00
11/00−11/10
A47B 55/00−55/06
95/02
E06B 3/32−3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陳列規制された商品の小売環境で用いられる陳列棚のための扉ユニットであって、
枠体であり上部扉および下部扉を含む少なくとも2つの摺動する扉を、前記扉が開放位置と閉扉位置とに摺動可能であって当該枠体の異なる開口を閉扉するように保持する枠体を備え、
前記上部扉と前記下部扉とは、前記上部扉または前記下部扉の少なくとも一つが摺動する方向に対して垂直方向に互いにオフセットしており、かつ、
前記上部扉または前記下部扉の一方である第一の前記扉が開放されるときに、前記上部扉または前記下部扉の他方である第二の前記扉と係合して前記第二の扉を引き寄せて開放させ、前記第二の扉が開放されるときに非係合となって前記第一の扉の閉扉を維持させるように2つの前記扉を選択的に連結させる連結手段を備える扉ユニット。
【請求項2】
前記上部扉と前記下部扉とが互いに隣接している請求項1に記載の扉ユニット。
【請求項3】
前記上部扉および前記下部扉が同方向に摺動するように配置されている請求項1または2に記載の扉ユニット。
【請求項4】
前記連結手段が、前記上部扉および前記下部扉を、前記第一の扉が開放されるときに互いに係合させ前記第二の扉が開放されるときに互いに非係合とする歯部および切欠部の配置構造を含む請求項1からのいずれか一項に記載の扉ユニット。
【請求項5】
前記枠体が、標準的な陳列棚に対して後装着可能に設けられている請求項1からのいずれか一項に記載の扉ユニット。
【請求項6】
一または複数の前記扉を自動的に閉じることが可能な一または複数の閉扉機構を更に備える請求項1からのいずれか一項に記載の扉ユニット。
【請求項7】
前記閉扉機構が、油圧閉扉機構、付勢錘閉扉機構、錘付き滑車、バネ付きラチェット、または巻線バネ駆動による機構、のうちの一または複数を含む請求項に記載の扉ユニット。
【請求項8】
前記扉が不透明材料で作成されている請求項1からのいずれか一項に記載の扉ユニット。
【請求項9】
広告物または陳列物を取り付け可能に構成されている請求項1からのいずれか一項に記載の扉ユニット。
【請求項10】
陳列規制された商品の小売環境で用いられる陳列棚のための扉ユニットであって、
枠体であり少なくとも2つの摺動する扉を、前記扉が開放位置と閉扉位置とに摺動可能であって当該枠体の異なる開口を閉扉するように保持する枠体を備え、
複数の前記扉は、少なくとも一つの前記扉が摺動する方向に対して垂直方向に互いにオフセットしており、かつ、
第一の前記扉が開放されるときに第二の前記扉と係合して前記第二の扉を引き寄せて開放させ、前記第二の扉が開放されるときに非係合となって前記第一の扉の閉扉を維持させるように2つの前記扉を選択的に連結させる連結手段を備え、
前記連結手段が、前記枠体に設置された部材によって覆い隠されていることを特徴とする扉ユニット。
【請求項11】
棚枠と、前記棚枠に保持される請求項1から1のいずれか一項に記載の扉ユニットと、を備え、陳列規制された商品の小売環境で用いられる陳列棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚扉(キャビネットドア)に関する。具体的には、小売陳列環境で用いられる棚扉に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、政府機関省庁では、特定の製品を消費者に販売することを許容しながらも小売環境でこれらを陳列することを規制する動きがある。たとえば、ある関係官庁は、小売業者がたばこ製品を陳列できることに制限を設けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような規制を導入することにより小売業者には問題が生じうる。
【0004】
第一に、多くの小売業者はこの種の製品を陳列するための陳列棚に多大な投資をしてきており、またこのような規制の要求を満足するために陳列棚を置き換える必要に迫られうることになる。
【0005】
加えて、陳列が規制されることで、小売業者にとっては消費者に新製品や改良製品を認識してもらうことが妨げられてしまう。
【0006】
更に、この種の製品を保持しておく適切な棚構造が無い場合、顧客が製品を売り物として手にするときを除いて常にこの製品を確実に陳列しないでおくことは困難となりうるため、小売業者は規制に違反してしまうリスクを抱えることとなる。
【0007】
本発明は上記の課題やその他の課題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、陳列棚のための扉ユニットであって、枠体であり少なくとも2つの摺動する扉を、これらの扉が開放位置と閉扉位置とに摺動可能であって当該枠体の異なる開口を閉扉するように保持する枠体を備え、複数の扉は、少なくとも一つの扉が摺動する方向に対して垂直方向に互いにオフセットしており、かつ、第一の扉が開放されるときに第二の扉と係合して第二の扉を引き寄せて開放させ、第二の扉が開放されるときに非係合となって第一の扉の閉扉を維持させるように2つの扉を選択的に連結させる連結手段を備える扉ユニットが提供される。
【0009】
複数の扉は互いに隣接していて同方向に摺動するように配置されていてもよい。連結手段は、2つの扉を、第一の扉が開放されるときに互いに係合させ第二の扉が開放されるときに互いに非係合とする歯部および切欠部の配置構造でもよい。
【0010】
枠体は、標準的な陳列棚に対して後装着可能に設けられていてもよい。
【0011】
この扉ユニットは、一または複数の扉を自動的に閉じることが可能な一または複数の閉扉機構を更に備えてもよい。この閉扉機構は、油圧閉扉機構、付勢錘閉扉機構、錘付き滑車、バネ付きラチェット、または巻線バネ駆動による機構、のうちの一または複数を含んでもよい。
【0012】
扉は、不透明材料で作成されているとよい。
【0013】
この扉ユニットおよび/または枠体および/または扉は、広告または陳列に向けた素材を容易に取り付け可能に構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の扉ユニットによれば、小売業者は、消費者が求める製品を手にする間に、自動的に、選択肢となる商品をユーザに対して選択的に陳列することができる。更に、小売業者は、本発明の扉ユニットを後装着することにより、棚全体を新たに設置することなく、陳列規制の要求を満足することができる。
【0015】
また、扉が自動的に閉じることで、小売業者は、不注意で扉を開けたまま放置しても製品が露呈(ディスプレイ)されつづけることなく、アクセスされたときのみ製品を露呈させることを確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施例を、以下の図面を参照して説明する。
図1図1は、本発明のユニットの正面図である。
図2図2Aおよび図2Bは、図1のユニットの開放状態を示す。
図3図3は、4つの摺動扉が設けられた本発明の他の形態を示す。
図4A図4Aから図4Fは、本発明の一部として採用しうる種々の他の選択肢にかかる自動閉扉構造を示す。
図4B図4Aから図4Fは、本発明の一部として採用しうる種々の他の選択肢にかかる自動閉扉構造を示す。
図4C図4Aから図4Fは、本発明の一部として採用しうる種々の他の選択肢にかかる自動閉扉構造を示す。
図4D図4Aから図4Fは、本発明の一部として採用しうる種々の他の選択肢にかかる自動閉扉構造を示す。
図4E図4Aから図4Fは、本発明の一部として採用しうる種々の他の選択肢にかかる自動閉扉構造を示す。
図4F図4Aから図4Fは、本発明の一部として採用しうる種々の他の選択肢にかかる自動閉扉構造を示す。
図5図5は、覆い隠された連結手段を備える枠体の他の形態を示す。
図6図6は、覆い隠された連結手段を備える更なる形態の詳細な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照し、本発明の一例にかかるユニットは、上端および下端の部材6と側辺の部材8とで形成される枠体により形成されている。部材6および部材8は、出荷時には一式(ユニット)となり使用時に棚枠(キャビネットフレーム)に取り付けられてもよく、またはこれに代えて、予め設置された既存の陳列棚に近接させて後装着により設けられてもよい。本実施例では、枠体の部材6および部材8は固定扉1、4を支持しており、これらは不透明材料で作成されている。また、部材6および部材8はレール7および摺動する扉(摺動扉)2、3を支持している。摺動する扉2、3は、レール7の上を、図1に示す閉扉位置と、図2a、2bに示す開放位置と、の間で摺動する。さらに、扉2、3は不透明材料で作成されている。閉扉位置にあるこのユニットが装着された状態で、枠体の部材6および部材8が取り付けられた棚の内容物は消費者から視認することはできない。
【0018】
連結装置5は、互いに隣接する扉2、3の縁部に配置されている。図示のように、上部扉2と下部扉3は、枠体の異なる開口を閉扉する。これらの扉2、3は、当該扉が摺動する方向に対して垂直方向に互いにオフセットしている。図1に示す例では、歯部および切欠部(ノッチ)の配置構造が、その使用時に、上部扉2が開放位置に向って摺動すると歯部および切欠部の配置構造が非係合となって上部扉2のみが開放されるように構成されている。また一方、歯部および切欠部の配置構造は、下部扉3が開放されると歯部および切欠部の配置構造が係合し、また下部扉3が開放されるのに伴って上部扉2が引き寄せられて開放されるように構成されている。かかる形態により、棚内のどの位置にある内容物(製品)に置き換えの必要が生じたときでもこの製品を視認することができるため、小売業者は置き台(ガントリー)や在庫の管理にあたって製品を極めて適切かつ整然と配置することができる。
【0019】
当然のことながら、歯部および切欠部の他の配置構造を設けてもよい。たとえば、図1、2Aおよび2Bでは単純な段差構造を図示したが、切欠部は三角形状でもよい。また、同様の機能を実現するにあたり、より複雑な係合機構を設けてもよい。
【0020】
これらの2つの扉の連結は、他の形態として、上部扉が開放されているときであっても、下部扉を常時開放するように構成してもよい。
【0021】
図3は、固定扉1、4に代えて、第二の組み合わせにかかる摺動扉を備え、これらに適合する歯部および切欠部の配置構造が扉同士の間に設けられた他の形態を示す。この例では、第二の組み合わせ(セット)にかかるこれらの扉は、第一の組み合わせにかかる開き扉の背後で摺動して、棚の更なる領域にアクセスして第一実施例と同様の機能性を得ることができる。
【0022】
上記手段は、上述したように、一または複数の摺動扉に設けられて、アクセスされていないときに扉が確実に自動的に閉じるようにしてもよい。図4Aから図4Fは、これを達成するために用いられうる様々な実施例の構造を示す。
【0023】
たとえば、図4Aは、閉扉位置の摺動扉の近傍に油圧ピストン10を配置することを示している。また、図4Bは、摺動扉を閉扉位置に向って付勢する旋回錘構造11を示す。図4Cはバネ付きラチェット12を示し、図4Dは錘付き滑車構造13を示す。図4Eは、上記と同じ目的で設けられたバネ付きの伸長巻線14を示す。やや複雑な他の例として、図4Fは、傾斜したレール7が扉に設けられて、閉扉位置に向って扉が自重で付勢されるように構成した例を示す。
【0024】
図1の形態では、連結装置5は明確に視認することが可能である。
【0025】
図5は、連結装置5を覆い隠すことが可能な、枠体の他の形態を示す。図1に対応する構成には同じ符号を付してある。図5の拡大図に示すように、中段レール7は、2本の対向する桟(バー)21および22の間に空間部20を備えている。空間部20があることで、第二の組み合わせにかかる扉1、4は、空間部20の内部に連結装置5を配置して、中段レール7の一方の桟22によってこの連結装置5を掩蔽することができる。
【0026】
図6は、中段レール7が第二の組み合わせにかかる扉1、4を支持して、連結装置5が中段レール7の背面側にて延在することにより覆い隠されるように構成した他の形態を示す。
【0027】
図5または図6に示すいずれかの実施例の構成を、先述の実施例のいずれに適用して連結装置5を覆い隠してもよい。
【0028】
上記の説明により理解されるように、本発明によれば、特定の製品を陳列するにあたって小売業者が簡単かつ効率的に法規制の変更に対応することが可能な棚扉(キャビネットドア)のセットが提供される。また、小売業者は置き台や在庫の管理にあたって製品を極めて適切かつ整然と配置することができ、また小売業者は棚の全体に亘って内容物を観察することができる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6