特許第6133868号(P6133868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133868
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】サーマルアレイシステム
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/00 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   H05B3/00 310D
【請求項の数】26
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2014-528585(P2014-528585)
(86)(22)【出願日】2012年8月30日
(65)【公表番号】特表2014-525662(P2014-525662A)
(43)【公表日】2014年9月29日
(86)【国際出願番号】US2012053058
(87)【国際公開番号】WO2013033340
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2015年7月28日
(31)【優先権主張番号】61/528,939
(32)【優先日】2011年8月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/635,310
(32)【優先日】2012年4月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500157653
【氏名又は名称】ワトロウ エレクトリック マニュファクチュアリング カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100089462
【弁理士】
【氏名又は名称】溝上 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100129827
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 進
(72)【発明者】
【氏名】スワンソン、カル、ティー.
(72)【発明者】
【氏名】シュミッド、フィリップ、エス.
(72)【発明者】
【氏名】レムケ、ジョン、エフ.
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−294479(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01303168(EP,A1)
【文献】 特開2008−118052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の熱素子と、
少なくとも三個の電力ノードを含む制御システムと、を備え、
前記複数の熱素子の内の第1の熱素子および第2の熱素子が、前記各電力ノードの内の第1のノード、第2のノード、第3のノードの間に夫々接続されており、
前記制御システムが、前記各電力ノードに対し、正電圧、負電圧、および開路状態を選択的に適用すると共に、
前記各電力ノード間の第1の極性により前記第1の熱素子を起動し前記第2の熱素子の動作を停止し、
前記各電力ノード間の第2の極性により前記第1の熱素子の動作を停止させて前記第2の熱素子を起動すること
を特徴とする加熱システム。
【請求項2】
単方向性回路が前記複数の熱素子の各熱素子と電気直列接続により接続されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記単方向性回路がシリコン制御整流子(Silicon Controlled Rectifier:SCR)から成ることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記単方向性回路がダイオードおよびツェナーダイオードから成ることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記SCRが、前記ダイオードのアノードに接続しているアノードを有しており、前記ダイオードのカソードは前記ツェナーダイオードのカソードに接続しており、前記ツェナーダイオードのアノードは前記SCRのゲートに接続していることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記SCRが、前記ツェナーダイオードのカソードに接続しているアノードを有しており、前記ダイオードのアノードは前記ツェナーダイオードのアノードに接続しており、前記ダイオードのカソードは前記SCRのゲートに接続していることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数の熱素子の内の一つの熱素子が、電力ノードの各対の間に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
単方向性回路が前記複数の熱素子の各熱素子と電気直列接続により接続されていることを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御システムが複数の制御モードを有し、前記各制御モードは前記複数の熱素子のうち少なくとも一つの熱素子を起動することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御システムは、前記複数の制御モードのうちいずれの制御モードのセットが前記各熱素子を各モードに対する所定の目標値まで駆動するのかを判断することを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記熱素子が放散素子であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記熱素子が抵抗素子であることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記熱素子が温度依存性の電気抵抗を有する導電材料より成ることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御システムは、前記抵抗素子の温度を測定するために前記抵抗素子の抵抗を測定することを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記制御システムが、各ノードに対し一対のトランジスタを有しており、前記トランジスタ対の第1のトランジスタは前記ノードを供給電力に接続し、前記トランジスタ対の第2のトランジスタは、前記ノードをリターンに接続し、
前記リターンと前記第2のトランジスタとの間あるいは前記供給電力と前記第1のトランジスタとの間に分流器が接続されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記制御システムは、前記分流器全体の電圧あるいは分流器を流れる電流を測定するように構成されていることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1および第2のトランジスタは電界効果トランジスタであり、前記第1のトランジスタのドレインは供給電圧に接続しており、前記第1のトランジスタのソースはノードに接続しており、前記第2のトランジスタのドレインはノードに接続しており、第2のトランジスタのソースはリターンに接続していることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
複数の熱素子と、
少なくとも四個の電力ノードを含む制御システムと、を備え、
前記複数の熱素子が複数の群に分けられており、
前記複数の群は少なくとも第1の群と第2の群とを含み、
前記の各群は少なくとも第1の熱素子、第2の熱素子、第3の熱素子、および第4の熱素子を含み、
各群の前記第1の熱素子は第1の極性の単方向回路に直列接続されており、各群の前記第2の熱素子は第2の極性の単方向回路に直列接続されており、各群の前記第3の熱素子は前記第1の極性の単方向回路に直列接続されており、各群の前記第4の熱素子は前記第2の極性の単方向回路に直列接続されており、
前記第1の群の各熱素子は第1のノードに接続されており、前記第2の群の各熱素子は第2のノードに接続されており、前記第1の群の前記第1および第2の熱素子ならびに前記第2の群の前記第1および第2の熱素子は第3のノードに接続されており、前記第1の群の前記第3および第4の熱素子ならびに前記第2の群の前記第3および第4の熱素子は第4のノードに接続されており、
前記制御システムが、前記各電力ノードに対し、正電圧、負電圧、および開路状態を選択的に適用することを特徴とする加熱システム。
【請求項19】
前記制御システムは、前記第1のノードを供給電力に接続し、前記第3のノードをリターン電力に接続して、前記第1のグループの前記第1の熱素子を起動することを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記制御システムは、前記第1のノードのラインをリターン電力に接続し、前記第3のノードを前記供給電力のリターン に接続して、前記第1の群の前記第2の熱素子を起動することを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記制御システムは、
前記第1のノードを前記供給電力に接続し、前記第4のノードを前記リターン電力に接続して、前記第1の群の前記第3の熱素子を起動すると共に、
前記第1のノードを前記リターン電力に接続し、前記第4のノードを前記供給電力に接続して、前記第1の群の前記第4の熱素子を起動すること
を特徴とする請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
ベースプレートと、
前記ベースプレートに固定したベースヒータと、
前記ベースヒータに固定した基板と、
前記基板に固定されており、複数の発熱体から成るチューニングヒータと、
前記チューニングヒータに固定したチャックと、
少なくとも三個の電力ノードを含む制御システムと、を備え、
前記複数の発熱体の第1の発熱体および第2の発熱体は、前記各電力ノードの内の第1のノード、第2のノード、第3のノードの間に夫々接続されており、
前記制御システムが、前記各電力ノードに対し、正電圧、負電圧、および開路状態を選択的に適用すると共に、
前記各電力ノード間の第1の極性により前記第1の発熱体を起動し前記第2の発熱体の動作を停止させ、
前記各電力ノード間の第2の極性により前記第1の発熱体の動作を停止させ前記第2の発熱体を起動すること
を特徴とするヒータ。
【請求項23】
単方向性回路が前記複数の発熱体の各発熱体と電気直列接続により接続されていることを特徴とする請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記単方向性回路がシリコン制御整流子(Silicon Controlled Rectifier:SCR)から成ることを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記SCRが、ダイオードのアノードに接続しているアノードを有しており、前記ダイオードのカソードはツェナーダイオードのカソードに接続しており、前記ツェナーダイオードのアノードは前記SCRのゲートに接続していることを特徴とする請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記SCRが、ツェナーダイオードのカソードに接続しているアノードを有しており、ダイオードのアノードは前記ツェナーダイオードのアノードに接続しており、前記ダイオードのカソードは前記SCRのゲートに接続していることを特徴とする請求項24に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2011年8月30日に出願された米国仮特許出願第61/528,939号および2012年4月19日に出願された米国仮特許出願第61/635,310号の利益を主張するものであり、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる。本願はまた、本願と同時に出願され、本明細書と同一の出願人による以下の同時係属出願、すなわち、「High Definition Heater and Method of Operation」、「High Definition Parallel Control Systems for Heaters」、「Thermal Array System」、「Thermal Array System」、「System and Method for Controlling A Thermal Array」、および「System and Method for Controlling A Thermal Array」にも関連し、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0002】
(背景)
本願は、概して、サーマルアレイを制御するシステムおよび方法に関する。
(概要)
先行技術の欠点およびその他の限界を克服するため、本願は、サーマルアレイシステムを提供する。本願に係るシステムは、第1のノードと第2のノードとの間に接続された第1の熱素子と第2の熱素子とを含む。前記第2のノードに関連する前記第1のノードの第1の極性により前記第1の熱素子を起動し前記第2の熱素子の動作を停止させる。更に、前記第2のノードに関連する前記第1のノードの第2の極性により前記第1の熱素子の動作を停止させ前記第2の熱素子を起動する。
【0003】
本願の更なる目的、特徴および利点は、本明細書に添付されその一部を構成する図面および特許請求の範囲を参照しつつ以下の説明を精査することにより、当業者にとって容易に明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1a】チューニング層を備え、本開示の一形態の原理に基づき構成したヒータの部分側面図である。
【0005】
図1b】チューニング層またはチューニングヒータを備え、本開示の原理に基づき構成したヒータの他の形態の分解側面図である。
【0006】
図1c】例えばベースヒータが4個の領域、チューニングヒータが18個の領域を有する、本開示の原理に基づくヒータの分解斜視図である。
【0007】
図1d】追加のチューニング層を備え、本開示の原理に基づき構成した高精度ヒータシステムの他の形態の側面図である。
【0008】
図2】二方向サーマルアレイを示す図である。
【0009】
図3a】多数並列サーマルアレイを示す図である。
【0010】
図3b】多数並列二方向サーマルアレイを示す図である。
【0011】
図4】多数並列二方向サーマルアレイの別の例を示す図である。
【0012】
図5】アドレス可能スイッチを有するサーマルアレイを示す図である。
【0013】
図6a】サーマルアレイを制御する方法を示すフローチャートである。
【0014】
図6b図6aに示す制御方法に係るタイミングチャートである。
【0015】
図7a】サーマルアレイの制御方法の別の例を示すフローチャートである。
【0016】
図7b】記載された方法の一例において使用する4ノードトポロジーを示す図である。
【0017】
図8】サーマルアレイのあるモードの電気的特性を測定する際に用いる方法を示すフローチャートである。
【0018】
図9a】サーマルアレイを較正する際に用いる方法を示すフローチャートである。
【0019】
図9b】サーマルアレイの目標設定値を算出する際に用いる方法を示すフローチャートである。
【0020】
図10】コントローラシステムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(詳細な説明)
以下の説明は、本質的に、単に説明のためのものであり、本開示、適用、または用途を限定するものではない。例えば、本開示の以下に示す形態は、半導体処理における使用、および、場合により静電チャックに用いることを目的とする。しかしながら、本開示に記載のヒータおよびシステムは半導体処理における適用に限らず、種々の適用に採用してよいことが理解されるべきである。
【0022】
図1aに示すように、本開示の一形態はヒータ50である。ヒータ50は、ベースヒータ層52を含み、ベースヒータ層52に少なくとも一つのヒータ回路54が埋設されている。ベースヒータ層52は、ベースヒータ層52を通して形成した、ヒータ回路54を電源(図示せず)に接続するための少なくとも一つの開口(またはビア)56を有する。ベースヒータ層52は主な加熱を行い、図に示すように、ヒータ層52の近傍に設けたチューニングヒータ層60は、ヒータ50による熱分配の微調整を行う。チューニング層60は、チューニング層60に埋設した複数の個別の発熱体62を含む。発熱体62は個別に制御できるようになっている。チューニング層60には、複数の個別の発熱体62を電源およびコントローラ(図示せず)に接続するための少なくとも一つの開口64が形成されている。更に、図に示すように、ベースヒータ層52とチューニング層60との間に内部キャビティ68を規定するルーティング層66を配している。ヒータ層開口56を通り延伸する第1の電気リードセット70は、ヒータ回路54を電源に接続する。ベースヒータ層52の開口55に加えルーティング層66の内部キャビティ68を通り延伸する第2の電気リードセット72は、複数の発熱体62を電源に接続する。なお、ルーティング層66は省略可能で、ヒータ50は上述構成に替えてルーティング層66を含まない構成を採用することができると理解すべきであり、この場合、ベースヒータ層52およびチューニングヒータ層60のみを含む。
【0023】
他の形態では、チューニング層60は熱分配の微調整に用いずにチャック12の温度を測定するために用いてもよい。この形態では、温度依存性を有する抵抗回路に、複数の領域特有あるいは固有の位置を設けている。これらの温度センサはそれぞれ多重化切替装置を介し個別に読み取ることができ、例えば、以下により詳細に説明するように、各センサによる測定に必要な信号線の数に比例するより多数のセンサを用いる形態とすることができる。温度検出のフィードバックにより、制御における判断に必要な情報、例えば、裏側の特定領域を冷却するガスの圧力を制御し基板26からチャック12へ流れる熱流束を規制するために必要な情報を提供することができる。これと同様のフィードバックは、補助冷却液熱交換器を介したベース加熱領域54の温度あるいはバランスプレート冷却液の温度(図示せず)の制御のための、ベースヒータ50の近傍に設けた温度センサを置き換えるため、あるいはその数を増やすために用いることもできる。
【0024】
一形態において、ベースヒータ層50およびチューニングヒータ層60は、密閉ヒータ回路54とチューニング層発熱体62から、通常250℃未満の中温に加熱するためのポリイミド材料中に形成されている。更に、熱伝導率を高めるために、このポリイミド材料に別の材料を添加してもよい。
【0025】
他の形態としては、ベースヒータ層50および/またはチューニングヒータ層60は、材料を基板にあるいは特に厚膜、薄膜、熱スプレーまたはゾル−ゲル法に関する処理を用いた他の層に塗布または積層することにより層を形成する層化プロセスにより形成される。
【0026】
一形態において、ベースヒータ回路54はインコネル(登録商標)により形成されており、チューニング層発熱体62はニッケル材料により形成されている。更に他の形態において、チューニング層発熱体62は、素子がヒータおよび温度センサとして機能するように、十分な抵抗温度係数を有する材料により形成される。このような制御は、一般に「二線式制御」と呼ばれる。このようなヒータおよびそれらを形成する材料は、本明細書と同一の譲受人による、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,196,295号および係属中の米国特許出願第11/475,534号に開示されている。
【0027】
上記二線式制御により、本開示の種々の形態は、温度、電力、および/または熱インピーダンスに基づき行う、層発熱体62に対する制御を含む。具体的に、本制御は、熱インピーダンスチューニング層60の個別の素子のそれぞれに加える、掛け算と割り算により第1にはこれらの素子のそれぞれから出力される熱流束に対し同一に対応し、第2には素子温度に対する既知の関係に対応する、電力および抵抗に換算された電圧および/または電流の既知の値あるいは測定値に基づく、温度、電力、および/または熱インピーダンスに基づき行う、層発熱体62に対する制御を含む。これらはともに、チャンバまたはチャックの使用または保守、処理エラー、装置の劣化による物理的変化、およびこれらに限らない原因に基づき生じる領域に特有の熱変化を、オペレータまたは制御システムが検出し補償することができるように、各素子に対する熱インピーダンス負荷を算出および監視するために用いることができる。あるいは、熱インピーダンスチューニング層60の個別に制御される各発熱体に対し、半導体処理中に基板温度を制御するために、基板上の対応する領域において生じベースヒータ層52へと流れる熱流束を後に調整あるいはゲート制御するための、同一のまたは異なる所定の温度の目標抵抗値を設定することができる。
【0028】
一形態において、ベースヒータ50は、例えば、シリコン接着剤、あるいは感圧接着剤でもよい、を用いてチャック51に接着される。したがって、均一または所望の温度プロファイルがチャック51に対し適用され、それにより基板(図示せず)に対しても均一または所望の温度プロファイルが適用されるように、ヒータ層52が主要な加熱を行い、チューニング層60が加熱プロファイルの微調整または調整を行う。
【0029】
本開示の他の形態においては、歪み負荷が加えられた場合にチューニング層発熱体62の温度感度を向上させるために、チューニング層発熱体62の熱膨張率(CTE:Coefficient of Thermal Expansion)をチューニング発熱層基板60のCTEに適合させている。二線式制御のための適切な材料の多くは、温度と歪みの両方に対する抵抗感度を含め、抵抗温度装置(Resistor Temperature Devices (RTDs))と同様の特性を示す。チューニング層発熱体62のCTEをチューニングヒータ層基板60に適合させると、実際の発熱体に生じる歪みが低減する。そして、歪みレベルは動作温度の上昇に伴い上昇する傾向があるため、CTEの適合化は、一層の要因となる。一形態において、チューニング層発熱体62は約15ppm/℃のCTEを有する高純度のニッケル鉄合金であり、それを囲むポリイミド材料は約16ppm/℃のCTEを有する。この形態において、チューニングヒータ層60を他の層に接着する材料は、チューニングヒータ層60をチャック12の他の部材から物理的に分離する弾性特性を示す。同等のCTEを有する他の材料を用いても本開示の範囲を逸脱しないことが理解されるべきである。
【0030】
ここで、図1b〜図1dに、(図1aを参照して概要を上述した)ベースヒータ層とチューニング層との両方を備えるヒータの形態の一例を、参照番号80を付して示す。ヒータ80はベースプレート(冷却板とも呼ぶ)82を含み、一形態におけるベースプレート82は厚さ約16mmのアルミ板である。一形態において、ベースヒータ84は、弾性接着層86を用いてベースプレート82に固定される。弾性接着は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,073,577号に開示されるものでもよい。本開示の一形態において、基板88は、ベースヒータ84上に設けられており、厚さ約1mmのアルミ材料である。基板88は、必要な量だけ電力をベースヒータ84から損失させるための熱伝導率を有するように設計されている。ベースヒータ84が比較的高い電力を有するので、必要な熱伝導率を備えていない場合、このベースヒータ84は、隣接する構成要素に「証拠」の印(抵抗性回路の痕跡から)を付与し、それによりヒータ系全体の効率を下げる。
【0031】
チューニングヒータ90は、基板88上に設けられ、上述のように弾性接着層94を用いてチャック92に固着されている。一形態において、チャック92は、約2.5mmの厚さを有する酸化アルミニウム材料である。本明細書に記載する材料および寸法は、単に例示のためのものであり、本開示は、本明細書に記載の特定の形態に限らないものであることが理解されるべきである。また、チューニングヒータ90は、ベースヒータ84より低い電力を有し、上述のように、基板88は、チューニングヒータ90に「証拠」の印が付されないように電力をベースヒータ84から損失させる機能を備える。
【0032】
図1cはベースヒータ84およびチューニングヒータ90の更なる詳細を示す。図1c中、ベースヒータ84は、例として4つの領域を有し、チューニングヒータ90は、例として18の領域を有する。一形態において、ヒータ80は、寸法450mmのチャックに用いるように適合されているが、熱分配を高度に調整する能力を有することから、これより寸法の大きいまたは小さいチャックに用いてもよい。また、高精度ヒータ80は、図に示すような積層/平面構成に替えて、チャックの周辺部あるいはチャック上の所定の位置に設けてもよい。また更に、高精度ヒータ80は、半導体処理装置内の他の構成要素の内、プロセスキット、チャンバ壁、チャンバ蓋、ガスライン、およびシャワーヘッドに使用されていてもよい。また、本明細書および図に示すヒータおよび制御システムはいかなる数の装置に採用してもよく、そのため、ここに例示した半導体ヒータチャック装置は本開示の範囲を何ら限定するものではないことが理解されるべきである。
【0033】
本開示はまた、ベースヒータ84およびチューニングヒータ90を加熱機能に限定しないことを考慮している。なお、これら部材のうち一つまたは複数はそれぞれ、以下、「ベース機能層」および「チューニング層」とし、に温度センサ層または他の機能部材としてよく、この場合にも本開示の範囲を逸脱しないことが理解されるべきである。
【0034】
図1dに示すように、ヒータ80に含まれる二次チューニング層ヒータ99をチャック12の上面に設けることにより、二重調整能力を付与してもよい。二次チューニング層は、発熱層ではなく温度検出層として用いてもよく、この場合にも本開示の範囲を逸脱しない。したがって、採用するチューニング層ヒータの数は特に限られず、本開示に記載のものに限定されない。
【0035】
ここで、図2はサーマルアレイシステム100を示す。システム100は、コントローラ110を含む。コントローラ110は、制御回路またはマイクロプロセッサベース制御装置としてもよい。コントローラ110は、センサ測定値を受信し、測定値に基づいて制御アルゴリズムを実施するように構成してもよい。いくつかの実施例において、コントローラは、サーマルアレイの一つまたは複数の素子の電気的特性を測定してもよい。更に、コントローラ110は、測定値に基づきアレイの各素子への電力の供給状態を判断するために複数のスイッチを含んでおよび/または制御してもよい。
【0036】
一実施例において、アレイへの電力供給は、参照番号112、114、116により示す三相電力入力により供給行われる。入力電力は、正の直流電流(Direct Current:DC)電源ライン120および負の直流電源ライン122を設けるため、整流回路118に接続していてもよい。電力は、6個の電源ノードを介しサーマルアレイに分配されていてもよい。コントローラ110は、正の電源ライン120を6個の電源ノードのいずれか一つに配線することができ、負の電源ライン122を複数の電源ノードのいずれか一つに配線することもできるように、複数のスイッチを制御するよう構成してもよい。
【0037】
本実施例において、電源ノードは二つのノードグループに分けられている。第1ノードグループは、電源ノード136a、電源ノード136bと電源ノード136cを含む。第2グループは、電源ノード138aと、電源ノード138bと、電源ノード138cとを含む。本実施形態において、熱素子は、各グループが6個の熱素子を含む3つの熱素子グループを含む行列配列となるように構成される。しかしながら、本開示に記載の各実施形態と同様に、ノードの数はこれより多くあるいは少なく構成してもよく、更に、熱素子の数は、ノードの数に対応して増減してもよい。
【0038】
第1のグループ160の熱素子は全て、ノード138aに接続している。同様に、第2のグループ170の全ての熱素子は、電源ノード138bに接続しており、一方、第3のグループ180の全ての熱素子は電源ノード138cに接続している。熱素子は、発熱体でもよい。発熱体は、例えば温度に依存する電気抵抗を有する電気伝導性材料により形成されていてもよい。より具体的には、熱素子は、温度に相関する電気的特性、例えば抵抗、キャパシタンスまたはインダクタンスを有する発熱体でもよい。しかしながら、熱素子は、抵抗素子などの熱放散素子に通常分類されるものであってもよい。したがって、本開示に記載の各実施形態における熱素子は、上述の特性のいずれかを有するものでもよい。
【0039】
各グループ内においては、6個の熱素子は、熱素子対を構成する。例えば、第1グループ160において、第1の熱素子対146aは、第1の熱素子164および第2の熱素子168を含む。第1の熱素子164は、第2の熱素子168に対し電気的並列接続により構成されている。更に、第1の熱素子164は、単方向性回路162と電気的直列接続されている。前記単方向性回路162は、電流が熱素子164内を、一方向に流れるように、すなわち逆方向に流れないように、構成してもよい。ここでは、単方向性回路162を最も単純な形態であるダイオードとして示す。
【0040】
第1の単方向性回路162を、ノード136aに接続したカソードとノード138aに熱素子164を介して接続したアノードとを有するダイオードとして示す。同様に、第2の単方向性回路166を、ノード138aに熱素子168を介して接続したカソードとノード136aに接続したアノードを有するダイオードとして示す。これにより、第1の単方向性回路162の単方向性が第2の単方向性回路166の逆方向のものであることを示す。なお、単方向性回路としてのダイオードの実施形態は1ボルト電源の場合にとしてのみ動作するが、例えば1ボルトを超える電源電圧の場合でも動作するシリコン制御整流器(Silicon Controlled−Rectifiers:SCR’s)を用いた回路を含むその他の種々の回路が考えられる。後述する単方向性回路のこのような実施形態は、本開示に記載の実施形態のいずれかと組み合わせて用いることができる。
【0041】
同様に、第2の熱素子168は、第2の単方向性回路166と電気的直列接続されている。第2の熱素子168は、また最も単純な形態であるダイオードとして示している。第1の熱素子164および第1の単方向性回路162は、電源ノード138aおよび電源ノード136aとの間において第2の熱素子168および第2の単方向性回路166と平行である。したがって、コントローラ110がノード136aに正の電圧を印加しノード138aに負の電圧を印加する場合、第1対146aの第1の熱素子164および第2の熱素子168の両方に電力が供給される。上述のように、第1の単方向性回路162は、第2の単方向性回路166の逆方向に向けられている。このように、第1の単方向性回路162は、正の電圧がノード138aに印加され負の電圧がノード136aに印加された場合、第1の熱素子164内を電流が流れるようにし、正の電圧がノード136aに印加され負の電圧がノード138aに印加された場合、電流が流れないようにする。一方、正の電圧がノード136aに印加され負の電圧がノード138aに印加された場合、電流は第2の熱素子168に流れるが、極性が切り替わると、第2の熱素子168への電流は、第2の単方向性回路166により遮断される。
【0042】
また、グループ内の熱素子対はそれぞれ、電源ノード136a、136b、136cより成る第1グループの異なる電源ノードに接続している。したがって、第1グループ160の第1の熱素子対146aは、ノード136aとノード138aとの間に接続される。第2の熱素子対146bは、電源ノード136bと電源ノード138aとの間に接続され、一方、グループ160の第3の熱素子対146cは、電源ノード136cと電源ノード138aとの間に接続される。このように、コントローラ110は、電力を供給するあるいは戻すために電源ノード138aを接続することにより素子のグループを選択し、続いてノード136a、136bまたは136cをそれぞれ接続することにより熱素子対(146a、146b、146c)が電力を供給するあるいは戻すために選択されるように構成してもよい。更に、コントローラ110は、この選択を、ノード138aとノード136a、136bおよび/または136cとの間に印加される電圧の極性に基づき各対の第1素子あるいは各対の第2素子に電力を供給するために行ってもよい。
【0043】
同様に、第2の熱素子グループ170は、第2のノードグループのノード138bと、ノード136a、136bおよび136cとの間に接続される。このように、グループ170の第1熱素子対146dは電源ノード136aを用いて選択されてもよく、一方、グループ170の第2の熱素子対146eおよび第3の熱素子対146fはそれぞれノード136bおよび136cにより選択されてもよい。
【0044】
同様に、第2の熱素子グループ180は、第2のノードグループのノード138cと、ノード136a、136bおよび136cとの間に接続される。グループ180の第1熱素子対146gは電源ノード136aを用いて選択されてもよく、一方、グループ170の第2の熱素子対146hおよび第3の熱素子対146iはそれぞれノード136bおよび136cにより選択されてもよい。
【0045】
本実施形態では、コントローラ110は、複数のスイッチを操作して、正の電源ライン120を電源ノードの第1グループに接続し負の電源ライン122を電源ノードの第2グループに接続する、あるいは、正の電源ライン120を電源ノードの第2グループに接続し負の電源ライン122を電源ノードの第1グループに接続する。このように、コントローラ110は、制御信号124を第1の極性制御スイッチ140および第2の極性制御スイッチ142に供給する。第1の極性制御スイッチ140は電源ノードの第1グループを正の電源ライン120または負の電源ライン122に接続し、一方、第2の極性スイッチ142は電源ノードの第2グループを正の電源ライン120または負の電源ライン122に接続する。
【0046】
また、コントローラ110は、第1グループ電源スイッチ130、132および134に制御信号126を供給する。スイッチ130、132および134は、スイッチ140(正の電源ライン120または負の電源ライン122)の出力を第1のノード136a、第2のノード136bおよび第3のノード136cのそれぞれに接続する。また、コントローラ110は、第2グループ電源スイッチ150、152および154に制御信号128を供給する。スイッチ150、152および154は、スイッチ142(正の電源ライン120または負の電源ライン122)の出力を第1のノード138a、第2のノード138bおよび第3のノード138cのそれぞれに接続する。
【0047】
ここで、図3aは多数並列サーマルアレイシステム200を示す。システム200は、制御システム210を含む。制御システムは、本願に示す論理回路を実施するために本明細書全体に記載のマイクロプロセッサ、スイッチおよびその他の個別の構成要素と同様のものを含んでもよい。熱素子は、電源ノードの各対に対し、多数並列に配置される。本実施形態においては、6個の電源ノード(212、214、216、218、220、222)を設けている。更に、各熱素子は、電源ノード対の間に接続されている。より具体的には、各熱素子は、電源ノードの異なる対の間に接続されている。このように、各ノードは、それ自体と他の各電源ノードの間に接続される一つの熱素子を有する。
【0048】
したがって、熱素子230はノード212とノード222との間に接続され、熱素子232はノード212とノード220との間に接続され、熱素子234はノード212とノード218との間に接続され、熱素子236はノード212とノード216との間に接続され、熱素子238はノード212とノード214との間に接続されている。このように、ノード212は、他のノード214、216、218、220、および222のそれぞれに、熱素子(230、232、234、236、または238)を介し接続されている。
【0049】
同様に、熱素子240はノード214とノード222との間に接続され、熱素子242はノード214とノード220との間に接続され、熱素子244はノード214とノード218との間に接続され、熱素子246はノード214とノード216との間に接続されている。なお、ノード214とノード212との間に接続される熱素子は熱素子238であることを既に特定している。また、他の各素子対間における接続については、熱素子250はノード216とノード222との間に接続され、熱素子252はノード216とノード220との間に接続され、熱素子254はノード216とノード218との間に接続され、熱素子260はノード218とノード222との間に接続され、熱素子262はノード218とノード220との間に接続され、熱素子270はノード220とノード222との間に接続されている。
【0050】
コントローラ210は、各ノードに電力接続またはリターン接続を行うあるいは開路とするように構成される。また、この多数並列トポロジは図2に示す行列トポロジに対し有意差を有することが分かる。多数並列トポロジは、温度検出のための全素子間における相互作用の理解に関してと同様に加熱のための配電に関して、熱素子ネットワーク全体を考慮すべきであることを示す。例えば、供給電力がノード212に供給されノード222にリターン接続を行う場合、主要な電源経路は熱素子230を介するものとなる。しかしながら、ノード222へは、ネットワーク内の他の各素子を介した二次経路が存在する。このように、電力とリターンとを何らかのノードの構成を有する接続とする場合、コントローラ210は、一次経路の熱素子に供給される電力とその他の全ての素子に二次経路を介して供給される電力とを考慮しなければならない。このことは、設計、環境の影響、あるいは製作公差のいずれかにより各熱素子の特性が異なるため、非常に複雑なものとなる。
【0051】
このトポロジの制御スキームとして、上述のSCR、ダイオードおよび他の素子を有するスイッチング回路を用いずに6本のワイヤおよび15個の素子を用いてもよい。この制御スキームのためのワイヤに対する素子の最大数は、E=/(N×(N−1))である。各ワイヤには電力を連続的に供給してよいが、ノードの各組合せに対して個別に電圧を印加するので、このシステムの制御は難しいものとなる。本開示のこの形態によれば、望ましい平均熱分配を達成するため、これらの組合せによるシーケンスを所定の期間用いることにより、電源とリターンとに対しワイヤが選択的に接続されるかあるいは開路のままとされる。例えば、一つの組合せにおいては、AとBとを電源に接続し、CとDとをリターンに接続し、EとFとを開路のままとする。別の組合せにおいては、AとCとを電源に接続し、Dをリターンに接続し、B、E、Fを開路のままとする。これらの組合せまたはモードは可変時間においてチューニング層発熱体に順次適用される。例えば、第1のモードを第1の時間t1だけ、第2のモードは第2の時間t2だけ適用し、以下同様に適用することにより、結果としてこの時間シーケンスはチューニング層ヒータに対し所望の平均熱分配をもたらす。一形態において、ヒータの加熱時間定数よりかなり短い時間シーケンスと時間間隔とを用い、ヒータにおける温度リップルを十分低いレベルに維持するようにしている。上述のワイヤ6本を用いる実施例において、301通りの非冗長モードが考えられる。非冗長モードとは、少なくとも一つの素子に電力を供給し、システム内の同一の素子には別のモードを適用して電力を供給しないモードを指す。開路を用いるモードが削除されると、N本のワイヤに対する非冗長モードの数はModes=2N-1−1となる。したがって、同じワイヤ6本、素子15個のシステムについて、31通りの非冗長・非ゼロ(無効)モードがある。ノード6個、素子15個のシステムに対し得られるモード行列[P×M]は、(15×301)あるいは(15×31)となり、行列方程式
【数1】
の解が必要となる。ここで、PEは素子の出力である電力のベクトル(熱流束)である。開路を用いた場合、多数並列モードの数=(3N−2N+1−1)/2(非冗長)となる。完全な開路を含む行列を用い、所定の時間窓内に生成すべきモードの数のためにエラーとなる可能性が非常に高く実施困難なモードベクトルを生成した場合、[P×M]行列は劣決定系となり、悪条件となる可能性が高い。更に、所望の全ての電源ベクトルに対し必ずしも解が得られるわけではない。行列条件に基づきモードのサブセットを選択することにより、複雑さおよびエラーが低減されるであろう。選択されたモードサブセットの行列状態を評価する一つの方法は、サブセット同士を比較することにより[P×M]行列のサブセットに対して特異値分解を行い、最小の非ゼロ特異値に対する最大の非ゼロ特異値の比率に基づきセットを選択することである。このシステムに対してのみ電力が供給されるため、非負のモードのみを用いることができ、このため、この行列サブセットは、非負の最小2乗問題
【数2】

(ここで、Modes≧0である。)
を解くために用いることができる。解の留数を求めると、解のエラーの約数が得られる。これらの解の有限数は略正確であるが、ワイヤおよび素子の数の増加に伴い、システムはより制約され、各素子に対する低エラーの個別電力制御解の範囲は縮小する。なお、ここに示す方法は素子に対する電力制御のためのものであり、トポグラフィが劣決定となるため、抵抗の温度係数(TCR)が低い安定した抵抗素子により低エラー制御解が得られるが、このことは、システムの温度制御を行うためにTCRの高い素子を用いることあるいは別の温度検出面を用いることを排除するものではない。
【0052】
ここで、図3bは多数並列二方向サーマルアレイシステム300を示す。サーマルアレイシステム300は、制御システム310を含む。制御システム310は、本願に示す論理回路を実施するために本明細書全体に記載のマイクロプロセッサ、スイッチおよびその他の個別の構成要素と同様のものを含んでもよい。図2と同様、熱素子は、電源ノードの各対に対し、多数並列に配置される。二方向性を有するため、同じ数のノードで二倍の数の熱素子を制御することができる。図に示す実施形態においては、6個の電源ノード(312、314、316、318、320、222)を備える。更に、熱素子の各対は、一対の電源ノードの間に接続されており、熱素子対の各素子は互いに異なる極性を有する。より具体的には、各熱素子対は、異なる電源ノードの対の間に接続されている。このように、各ノードは、他の各電源ノードとの間に接続された一対の熱素子を備えており、各対の熱素子は異なる極性を持つ供給電力により励起される。
【0053】
したがって、熱素子対350は、ノード312とノード322との間に接続されている。熱素子対350は、第1の熱素子332と第2の熱素子334とを含む。第1の熱素子332は、第2の熱素子334に対し電気的並列接続により構成されている。更に、第1の熱素子332は、単方向性回路330と電気的直列接続されている。単方向性回路330は、電流が熱素子332内を、逆方向ではなく一方向に流れるように構成してもよい。このように、単方向性回路330を最も単純な形態であるダイオードとして示す。
【0054】
第1の単方向性回路330を、ノード312に接続したカソードとノード314に熱素子332を介し接続したアノードとを有するダイオードとして示す。同様に、第2の単方向性回路336を、ノード314に接続したカソードとノード312に第2の熱素子334を介して接続したアノードを有するダイオードとして示す。これにより、第1の単方向性回路330の単方向性が第2の単方向性回路336の逆方向のものであることを示す。
【0055】
このように、第1の単方向性回路330は、正の電圧がノード322に印加され負の電圧がノード312に印加された場合、第1の熱素子332内を電流が流れるようにし、正の電圧がノード312に印加され負の電圧がノード322に印加された場合、電流が流れないようにする。一方、正の電圧がノード312に印加され負の電圧がノード322に印加された場合、電流は第2の熱素子334に流れるが、極性が切り替わると、第2の熱素子334への電流は、第2の単方向性回路336により遮断される。
【0056】
熱素子対352はノード312とノード320との間に接続され、熱素子対354はノード312とノード318との間に接続され、熱素子対356はノード312とノード316との間に接続され、熱素子対358はノード312とノード314との間に接続されている。このように、ノード312は、他のノード314、316、318、320、および322のそれぞれに熱素子対(350、352、354、356、または358)を介し接続している。同様に、熱素子対360はノード314とノード322との間に接続され、熱素子対362はノード314とノード320との間に接続され、熱素子対364はノード314とノード318との間に接続され、熱素子対366はノード314とノード316との間に接続されている。なお、ノード314とノード312との間に接続される熱素子対は熱素子対358であることを既に特定している。
【0057】
また、他の各素子対間における接続については、熱素子対370はノード316とノード322との間に接続され、熱素子対372はノード316とノード320との間に接続され、熱素子対374はノード316とノード318との間に接続され、熱素子対380はノード318とノード322との間に接続され、熱素子対382はノード318とノード320との間に接続され、熱素子対390はノード320とノード322との間に接続されている。
【0058】
コントローラ310は各ノードに電力接続またはリターン接続を施すあるいは開路とするように構成される。上述のように、多数並列トポロジは、温度検出のための全素子間における相互作用の理解と同様に加熱のための配電に関して、熱素子ネットワーク全体を考慮すべきであることを示す。例えば、供給電力がノード312に供給されノード322にリターン接続を行う場合、主要な電源経路は熱素子対350を介するものとなる。しかしながら、ノード322へは、ネットワーク内の他の各素子を介した二次経路が存在する。このように、電力とリターンとを何らかのノードの構成を有する接続とする場合、コントローラ310は、一次経路の熱素子に供給される電力とその他の全ての素子に二次経路を介して供給される電力とを考慮しなければならない。
【0059】
ここで、図4は二方向多数並列熱素子システムの他の実施形態を示す。システム400は、複数の電源ノードを制御するコントローラ410を含む。本実施形態において、コントローラ410は、6個の電源ノード412、414、416、418、420、および422を制御する。上述のように、各ノードは、熱素子を介し他の各ノードに接続している。更に、二方向の例では、各素子は他の各素子に2個の熱素子を介し接続されており、一方の熱素子は第1の極性を有するノードの対を接続し、第2の熱素子は逆極性の素子の対を接続する。
【0060】
システム400において、各単方向性回路430を、SCR432、ダイオード436およびツェナーダイオード434を含む要素を組み合わせたものとして示す。一方向素子430は、各熱素子、例えば熱素子438、と電気的直列接続されている。図に示すように、熱素子438および単方向性回路430は、ノード414とノード412との間に電気的直列接続されている。正の供給電圧がノード414に供給されリターンがノード412に供給されると、電流は熱素子438およびSCR432内を流れることになる。熱素子438は、ノード414とSCR432のアノードとの間に接続されている。SCR432のアノードは、熱素子438とダイオード436のアノードとに接続している。ダイオード436のカソードは、ツェナーダイオード434のカソードに接続している。更に、ツェナーダイオード434のアノードは、SCR432のソースとノード412とに接続している。
【0061】
SCR432は、ゲート電流がSCRに流れている場合に作動する。電流がダイオード436の方向に流れ、ツェナーダイオード434の電圧ギャップを超えた場合、SCRはゲート電流を受信する。しかしながら、SCRのゲート電流は、装置の別の構成を利用してトリガーすることができる。更に、このトリガー動作は、電気的手段以外の手段、例えば光学的手段あるいは磁力手段を用いて行うことができる。いったんSCRが作動し通電すると、給電が停止されるまでSCRは遮断しない。なお、この構成は例示のためのものであり、追加の一方向の構成を用いてもよい。追加の構成要素は、SCRおよびダイオードとの組合せとして用いてもよく、SCRが誤ってトリガーされることを防止するために、例えばスナバを設けてもよい。
【0062】
この場合、熱素子および単方向性回路を含む熱構成440を各ノード、例えばノード414およびノード412、の間に設ける。更に、二方向構成においては、極性が異なる二つの熱構成を、複数の電源ノードの各ノード対の間に接続してもよい。例えば、単方向性回路430とは逆の極性の熱構成440を、ノード414とノード412の間に接続する。図から分かるように、SCR433のカソードはノード414に接続されており、一方、SCR432のカソードはノード412に接続されている。したがって、これらはそれぞれ、逆極性条件の場合にのみ通電する。
【0063】
コントローラ410内において、各ノードは、参照番号492で示すような一対のスイッチに接続していてもよい。スイッチ対は、トランジスタ、例えば半ブリッジ構成の電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)であってもよい。第1のトランジスタ490は、起動するとノード412をリターン電圧に接続するロー制御スイッチであってもよく、また第2トランジスタ491は、起動するとノード412を供給電圧に接続するハイ制御スイッチであってもよい。第1のトランジスタ490は、分流器498を介し負の電圧ラインに接続したソースと、複数のノードの内の一つに接続したドレインとを備えていてもよい。他のトランジスタ491は、ノード412に接続したソースと、正の電圧ノードに接続したドレインを備えていてもよい。更に、第1のトランジスタ490および第2トランジスタ491は、制御回路または制御論理回路を実現するマイクロプロセッサに接続したゲートをそれぞれ有してもよい。なお、本制御システムスイッチング装置(例えば半ブリッジ構成のもの)は、本開示において適用するいずれのトポロジに適用することができる。
【0064】
他の各ノードも、対応するトランジスタ対を備えている。具体的には、ノード414はトランジスタ一対493に接続され、ノード416はトランジスタ一対494に接続され、ノード418はトランジスタ一対495に接続され、ノード420はトランジスタ一対496に接続され、ノード422はトランジスタ一対497に接続されている。制御回路410は、リターン、供給電力または開路の組合せを各ノードに個別に提供してよいが、少なくとも一つのノードが供給電圧に接続されかつ少なくとも一つのノードがリターンに接続される。供給電力、リターン(例えばグラウンド)および開路状態の種々の組合せによりノードを構成することができる。各組合せは熱素子アレイに電力を供給するために考えられるモードである。
【0065】
各モードまたはノードの状態の組合せに関し、電流は、分流器498内を流れ、制御回路410で測定することができる。更に、マイクロプロセッサは、ネットワーク抵抗などの熱素子アレイの電気的特性を検出するために、分流器の電圧あるいは分流器に流れる電流を測定してもよい。このネットワーク抵抗は、例えば、各モードを適用する時間の制御のために、あるいは入力電圧、デューティサイクル、電流、または他の電気的特性などのその他の回路パラメータを変更するために用いてもよい。
【0066】
ここで、図5はアドレス可能スイッチを備えたサーマルアレイシステム500を示す。コントローラ510は、正ノード514と負ノード516とに接続してよい。電源512は、正ノード514と負ノード516との間に接続される。各熱素子は、正ノード514と負ノード516との間において、アドレス可能スイッチと電気的直列接続されている。
【0067】
各アドレス可能スイッチとしては、例えばトランジスタ、コンパレータおよびSCRあるいは例えばマイクロプロセッサ、現場プログラミング可能ゲートアレイ(Field−Programmable Gate Array:FPGA)もしくは特定用途IC(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)などの集積素子を含む、固有の素子の回路を用いてもよい。信号は、正ノード514および/または負ノード516を介しアドレス可能スイッチ524に供給してもよい。例えば、電力信号は、周波数変調、振幅変調、およびデューティサイクル変調されてもよく、あるいは、現在作動させるスイッチの識別情報を示すスイッチ識別子を示すキャリア信号を含んでもよい。また、例えばスイッチオン、スイッチオフなどの種々のコマンドあるいは較正コマンドを同じ通信媒体上に保存してもよい。一実施例において、27のアドレス可能スイッチの制御を可能とする全てのアドレス可能スイッチに3つの識別子を送信することができ、これにより27個の熱素子を起動または停止させる。各熱素子522およびアドレス可能スイッチ524は、正ノード514と負ノード516との間に接続したアドレス可能モジュール520を形成する。各アドレス可能スイッチは、電源ラインから電力供給および通信を受けてもよく、したがってまた、第1のノード514および/または第2のノード516に別途接続していてもよい。
【0068】
各アドレス可能モジュールは固有IDを有していてもよく、また各識別子に基づきグループ化されていてもよい。例えば、第1行の全アドレス可能モジュール(520、530、532、534、536、538、540、542、および544)は、第1または第xの識別子として1を有していてよい。同様に、第2行の全アドレス可能モジュール(546、548、550、552、554、556、558、560、562)は、第xの識別子として2を有していてよく、一方、第3行の全モジュール(564、566、568、570、572、574、576、578、580)は、第xの識別子として3を有していてもよい。同様に、アドレス可能モジュール(520、530、532、546、548、550、564、566、568)の最初の3列582は、第zの識別子として1を有していてもよい。一方、2番目の3列584は第zの識別子として2を有してよく、一方、3番目の3列586は第zの識別子として3を有してよい。同様に、グループ内で各モジュールにアドレスを割り当てるために、各アドレス可能モジュールは、各グループ内において固有の第yの識別子を有する。例えば、グループ526において、アドレス可能モジュール534は第yの識別子として1を有し、アドレス可能モジュール536は第yの識別子として2を有し、アドレス可能モジュール538は第yの識別子として3を有する。
【0069】
ここで、図6aは熱素子アレイ制御処理600を示す。この処理はブロック610より開始する。ブロック612において、コントローラは、アレイの各熱素子毎に設定値を算出する。例えば、各熱素子に抵抗目標値を設定してもよく、素子への電力供給を停止するトリガーとしてその素子の測定抵抗値といった値を設定してもよい。ブロック614において、各熱素子に対する時間窓を算出する。時間窓は、特定の熱素子に電力を供給するために割り当てられる時間でもよい。熱素子の抵抗が目標値を超えた場合、時間窓の残りの時間、コントローラによる処理を停止させたままとしてよく、あるいは、次の熱素子に電力を供給するために次の窓へと直接移動してもよい。しかしながら、測定の目的のためにだけ電力をシステムに継続して供給しているので、加熱装置に必要な温度以上に素子を加熱しないように、熱素子毎に最小待ち時間を設定することが望ましい。
【0070】
ブロック616において、コントローラは、現在対象としている熱素子について時間窓が経過したかを判断する。現在対象としている素子につき時間窓が経過した場合、処理は矢印620に沿ってブロック622に進む。ブロック622において、コントローラは、インクリメントを行ってアレイ内の次の熱素子に進み、ブロック616に遷移し以降の処理を続ける。時間窓が経過していない場合、処理は矢印618に沿ってブロック624に進む。ブロック624において、コントローラは、熱素子に電力を供給するのと同時に熱素子の電気的特性を測定してもよい。ブロック626において、コントローラは、測定された特性に基づき、熱素子がその目標値を超えたかを判断する。目標値を超えた場合、処理は時間窓が経過するまで待ち、あるいは多少の遅延後に矢印628に沿ってブロック622に進んでもよい。ブロック622において、熱素子を次の熱素子にインクリメントし、処理はブロック616へ進む。測定された特性に基づき熱素子が目標値を超えていない場合、処理は矢印630に沿ってブロック616に遷移し、以降の処理を続ける。
【0071】
ここで、図6bは処理600の一つの実行例を示すタイミングチャートである。第1の時間窓650において、第1の素子について判断を行う。第1の素子の抵抗は、線654により示す。なお、熱素子の抵抗は熱素子の温度に相関していてもよい。第1の熱素子の目標値は、線652により示す。熱素子に電力が供給されると、第1の時間窓650において、熱素子の温度が上昇する。しかしながら、第1の時間窓650が経過するまでは、第1の熱素子の温度は低いため目標値652に達しない。
【0072】
第2の時間窓656の間、コントローラは、抵抗658の測定のために第2の素子に電力を供給する。この例では、素子の温度は素子の目標値660よりはるかに高く、そのためおよび抵抗658も目標値660よりはるかに高い。抵抗が著しく高いため、素子の温度が著しく高いと判断する。したがって、第2の熱素子の電源は直ちにオフされ、第2の時間窓656の残りの時間中オフのままとされる。コントローラは、第2の時間窓656の残りの時間中処理を停止させたままとしてもよく、あるいは、所定の時間遅延後に、第3の時間窓662へ遷移してもよい。
【0073】
第3の時間窓662において、第3の素子に通電し監視する。第3の素子664の抵抗は、当初は第3の素子の目標値666未満である。第3の素子に電力が供給されると、線664により示すように抵抗が上昇し、タイミング668において第3の素子の目標値666に達する。時間窓の終了前に目標値に達した場合、素子の電源をオフにし、コントローラは第3の時間窓662の残りの時間、停止させたままとしてもよい。本実施例において、熱素子が3個のみの場合、参照番号670により示すように、第1の時間窓を繰り返してもよい。ここでまた、第1の素子の抵抗672は、当初は第1の素子の目標値674未満である。しかしながら、第1の素子の温度は、時間窓650の最後の開始時よりも高くなっている。したがって、第1の素子の抵抗672は、結局、時間窓670の終了前のタイミング676において、第1の目標値674に達する。第1の素子は前回の起動後にも多少のエネルギーを保持しているため、供給された電力は目標値に到達し、時間窓670の終了前に電源をオフにするために十分なものとなる。したがって、コントローラは、時間窓670の残りの時間、あるいは第2の素子の時間窓の直前に所定時間遅延した後に、停止させたままとしてもよい。続いて、各熱素子の条件および環境による影響に基づき種々の時間窓を繰り返す。
【0074】
この制御方法は、種々の加熱条件下における3つの正のTCRチューニング層発熱体の動作を示す。他の実施形態を用いてもよく、例えば負のTCR発熱体を用いてよく、その場合には、高い抵抗レベルから下降し目標値に達する。この制御方法は、各素子に割り当てた時間窓の間に、当該素子の励起時に得られる電圧および/または電流の情報を利用して当該素子の抵抗を算出することにより実施される。電力が既知の電圧源または電流源のいずれかにより供給されている限り、電流あるいは電圧のいずれかの測定値に基づき素子の抵抗を推測してもよいことが理解されるべきである。発熱体に通電すると、発熱体の温度は上昇し、そのため、電力が有効に供給されている間は抵抗が増加する。事前に得た較正情報を利用して、検出した有効抵抗を、当該熱素子に対し事前に設定した目標値と比較する。設定した目標値より低い抵抗に維持されている限り、素子への通電は設定された時間窓の終了まで継続される、あるいは、素子の抵抗が目標値を超えているまたは超えた場合、素子の電源を直ちにオフにし、設定された時間窓の残り時間中オフとされる。各素子は順次起動され、起動後には、再びサイクルを開始し、引き続きサイクルを繰り返す。
【0075】
時間窓は、固定の時間とする必要はない。システムが各素子から十分なエネルギーを損失させればよく、当該素子が再び起動される前にシステムが損失させるエネルギーより多くのエネルギーを最初の測定に要する最小の「オン時間」において発生させないようにすればよく、また、素子の有効時間窓内に制御システムが制御を実行できるように、最大の「オン時間」において十分なエネルギーが供給されて各素子の平均温度が上昇するようにすればよい。定常状態制御は、設定された時間窓の間、チューニング層の全ての発熱体の温度がそれら個々の目標値に一貫して達することにより達成される。効率的制御は、チューニングヒータ層に対し最小目標値の範囲、十分な供給電力、短い時間窓、迅速な検出、および最小の必要素子数を選択することにより達成される。
【0076】
ここで、図7aはサーマルアレイを制御するための他の方法を示す。この処理はブロック710より開始する。ブロック710において、抵抗目標値を各モードに対し算出し、各熱素子に対する給電コマンドを送信する。ブロック712において、各モードの時間を決定する。ブロック714において、第1モードまたは初期モードにモードを設定する。ブロック716において、コントローラは、ヒータアレイに現在のモードを適用する。ブロック718において、コントローラは、モードにより定義される給電継続時間の終了を待機する。ブロック720では、モードがインクリメントされる。ブロック722において、コントローラは、現在のモードがシーケンスの最後のモードであるかを判断する。現在のモードがシーケンスの全てのモードの合計数より大きくない場合、処理は矢印724に沿ってブロック716に遷移し、現在のモードを適用し以降の処理を続ける。
【0077】
ブロック722の説明に戻り、現在のモードがシーケンスの全モードの合計数より大きい場合、処理は矢印726に沿ってブロック728に遷移する。ブロック728において、コントローラは、システムにおいて、例えば熱素子の特性を測定することによる熱素子の温度の測定が必要かを判断する。制御システムは、所定数のシーケンスを含む種々のアルゴリズムにより、時間あるいは特定した環境特性に基づき熱特性を測定してもよい。温度の測定が必要な場合、処理は矢印734に沿ってブロック736に遷移し、本明細書の他の箇所に記載したように温度を検出する。その後、処理は矢印738に沿ってブロック732に遷移する。あるいは、ブロック728において温度の測定が必要無いと判断した場合、処理は矢印730に沿ってブロック732に遷移する。ブロック732において、コントローラは、割り当てたシーケンス時間が経過するまで待機する。割り当てたシーケンス時間の経過までシステムを待機させることは、そうしなければ予想より早くシステムに追加の熱が加えられてアルゴリズムの安定性が損なわれるため、重要である。その後、処理はブロック740へ進む。
【0078】
ブロック740において、コントローラは、給電コマンドが測定値に基づき変更されたかを判断する。これにより、PIDアルゴリズムなどのアルゴリズムは、ブロック736においてコントローラが実行する測定に基づきブロック742に記載するように給電コマンドを調整する。ブロック742において、アルゴリズムは、調整された給電コマンドを検知し、ブロック740において給電コマンドが変更されたことを示す情報を送信する。ブロック740において給電コマンドが変更された場合、処理は矢印746に沿ってブロック712に遷移し、各モードの時間を再計算する。その後、以降の処理を続ける。システム特性が変更されていない場合、処理は矢印744に沿ってブロック714に遷移し、制御システムは第1のモードをリセットし、以降の処理を続ける。
【0079】
図7bに示すように、システムの具体的な一実施例において、システムは4つのノード750と6個の熱素子752とを備える。多数並列アレイは多くのヒータに接続されn本のワイヤを含む電源インタフェースから成っていてもよく、この場合、制御線のあらゆる考え得る組合せにおいて、単一のヒータが制御線間に接続される。このように接続可能なヒータの数はn(n−1)/2に等しいということは容易に示すことができる。
【0080】
図7bに示す改良では、全ヒータの抵抗が1Ωであり、制御線は1ボルト、0ボルトで駆動されるあるいは(高インピーダンスの)開路であることを前提としている。しかしながら、システムは、本開示に記載の式を用いて他の電圧および抵抗を有するシステムへと変更することができる。
【0081】
一実施形態において、この方法は、制御を二つの部分、すなわち、定数部および偏差部に分け、定数部は全ヒータに対し等しい制御を行い、偏差部は全ヒータに対し均等かつ対称的な制御を行う。制御の自由度の拡張を可能とする、制御の他の分割方法が考えられる。例えば、システムは二つの異なる定数部と一つの偏差部に分割し、異なる平均電力レベルにおいて個別の制御領域を設けることを可能としてもよい。また、ヒータサブセットの制御範囲を拡張するために、システムを一つの定数部と二つの偏差部とに分割してもよい。なお、分割の如何に関わらず、ベクトルcに対する制限を超えることを可能とする制御ベクトルを適用することができ、この場合、安定した制御は保証されないものの制御は可能である。
【0082】
この方法の実施形態において、システムの動作を異なる動作条件によりよく適合させるために、制御定数の異なるセットを備え、セットを動的に切り替えることは有利である。
【0083】
システムに対しモードテーブルを作成してもよい。アレイに印加する電力の固有の組合せのそれぞれに対し、電源およびヒータ毎に電力を計算してもよい。これらの値は、モードテーブルに保存してもよい。
【0084】
以下に、4ノードシステムのモードテーブルを示す。表中、「nan」と記載した箇所は開路ラインを示す。例えば、モード番号11はV1およびV2に接続したグラウンド(電力は生じず)とV3に接続した電力(2.67ワットを発生する)を備え、V2は開路である。
【表1】
【0085】
モードテーブルから、モードのサブセットのためのヒータ電力を含む行列Aを作成する。この行列における階数は少なくともnでなければならない。ここで、nはシステムにおけるヒータの数である。最適なモードを一つ選択すると、行列条件数が少なく、平均合計電力が最大、使用可能電力偏差が最大、およびモードの数が最小の行列Aが得られる。
【0086】
一例として、1〜10のモードを選択すると、行列は以下のようになる:
【数3】
【0087】
なお、この行列は最小行の解ではなく、また他の解に比べて最小の条件数のものでもないが、制御可能なシステムを表す。
【0088】
以下に示すように、この行列から電力制御アルゴリズムを作成することができる。
【0089】
以下において用いる表記法:
行列(上付、太字、斜体)
ベクトル(下付、太字、斜体)
スカラ(下付、斜体)
各位置に1を伴うベクトル
素子毎の行列除算演算子
【0090】
平均ヒータ電力
【数4】

は、一般化されたデューティサイクルベクトル
【数5】

を用いて制御されることができる。
ここで、
【数6】

および
【数7】

であり、モード
【数8】


【数9】

とするためにアレイに対し繰り返し適用する。
【0091】
【数10】

を以下のように選択する場合、
【数11】

ここで
【数12】

はn×1の制御ベクトルであり、その要素は
【数13】

を満たす、また
【数14】

および
【数15】

は定電力の平均および偏差電力のパラメータであり、
【数16】

はムーア・ペンローズの擬似逆行列であり、すなわち
【数17】

であり、これにより、以下のような制御ベクトル要素に比例する偏差レベルと合わせた、各ヒータの固定平均制御レベルを得る:
【数18】
【0092】
【数19】

および
【数20】

の値は任意に選択することができるが、以下の制限に従う:
【数21】

【数22】
【0093】
最大可能偏差
【数23】

を得るために、上記不等式の右辺を等式のものに置き換え、
【数24】

および
【数25】

の値を求めた:
【数26】

【数27】
【0094】
図7bに示す実施例において、
【数28】


【数29】

の一般逆行列により求められる:
【数30】
【0095】
【数31】

および
【数32】

の値は上述のように求めてもよい:
【数33】

【数34】
【0096】
デューティサイクルを求める式は、
【数35】

の関数として、
【数36】

を用いることにより求められ、以下が得られる:
【数37】
【0097】
タイムカンタム
【数38】

はコントローラにおいて実施され得るものとして選択してよく、例えば1マイクロ秒を選択してよい。また、システムのベース制御ループ時間
【数39】

を選択する。これは、ヒータシステムの加熱時間定数より十分に小さい値で、例えば1秒である。
【0098】
時間(例えばデューティ・サイクルの形による)は、
【数40】

のように定義してよく、
【数41】

を求める式に置き換えると以下が求められる:
【数42】
【0099】
この式は、定係数行列対として、(浮動小数点値のベクトルである)制御ベクトル
【数43】

からデューティサイクル
【数44】

を求める関数とともにコントローラにより実施することができる。
【0100】
この制御を実行するためには、行列Aの行に対応するモードを知ることが必要であり、発明者らによる実施例においては、以下のモードテーブルの最初の十行を含む。
【表2】
【0101】
実用的なハードウェア実施例は半ブリッジドライバを各電源ラインに用いるので、ハイ制御、ロー制御、または開路のいずれとして、ラインを駆動すべきかを知ることは単に十分である。このように、各駆動線の電力値を調べることで出力モードを作成することができ、ここでゼロ電力の場合はロー駆動であり、非ゼロ電力の場合はハイ駆動であり、「nan」電力の場合は開路である。発明者らによる実施例において得られた結果は、以下の通りである:
【表3】
【0102】
制御の実行は、以下の擬似コードに従い進めてもよい:
【数45】
【0103】
ここで、図8は抵抗を測定するための処理800を示す。特に処理800は、特に図7a(例えばブロック736)の処理において有用となるだろう。ブロック810において、特性に、例えばヌルベクトルを割り当て、モードは第1のモードに設定する。ブロック812において、コントローラは、アクティブモードをサーマルアレイに適用する。ブロック814において、コントローラは、アクティブモードにおいてアレイに供給する電流の量を測定する。ブロック816において、コントローラは、次のモードをアクティブモードにするために、当該次のモードに指数付けを行う。ブロック818において、コントローラは、アクティブモードが全モードの数より大きいかを判断する。アクティブモードが全モードの数より大きくない場合、処理は矢印820に沿ってブロック812に遷移し、次のモードをサーマルアレイに適用する。
【0104】
ブロック818の説明に戻り、アクティブモードが全モードの数より大きい場合、処理は矢印822に沿ってブロック824に遷移する。ブロック824において、コントローラは、アクティブモードにより印加された電流および抵抗間の関係に基づき、熱素子毎に電流を測定する。それから処理はブロック826に進み、システムに供給される電圧および各熱素子に割り当てた電流に基づき各熱素子の抵抗を算出する。コントローラは、抵抗の測定値から、各熱素子に関して保存した温度と抵抗の関係に基づき各熱素子の温度を算出する。
【0105】
一方、いくつかの実施例においては、システムは、モードに印加する電流を測定し各熱素子の抵抗を算出してもよい。いくつかの実施例において、システムはさらに、あるいは上記に替えて、各ノードの電圧などの他のパラメータを測定してもよい。追加の測定値を得ることは、上記関係を十分に制限するのに役立ち、また抵抗の算出には、最小2乗フィットを用いてもよい。上記関係を十分に制限すると、算出時のエラーが低減され、各熱素子の抵抗値の信頼性が高まる。これを図7aおよび7bのバッチ処理方法に適用してもよく、さらには、図6aおよび6bに記載した指数付け処理に対し同様に適用することができる。
【0106】
熱素子の温度に関する情報を求めるために抵抗を用いてもよく、熱素子に流れる熱流束を求めるために、熱素子および/またはサーマルアレイ全体に供給される電力を用いてもよい。いくつかの実施例において、この情報は、例えば電流目標値の処理パラメータを変更するために、フィードバックとして用いてもよい。いくつかの実施例において、これらの特性は、例えば、製造工程における処理時時間あるいはその他の処理特性などの他の環境変数を制御するために、外部的処理に対するフィードバックとして用いてもよい。一実施例においては、チップ歩留まりを向上させるために、半導体製造処理に調整処理時間を含めることができる。他の実施例においては、システム不具合発生時のためのシステム診断の実施を含めることができる。
【0107】
いくつかの実施形態において、熱素子はヒータとしてのみ作用し、他の実施形態においては、熱素子はヒータおよび温度センサとして作用し、あるいは更なる他の実施形態においては熱素子は温度センサとしてのみ作用する。熱素子がセンサとしてのみ用いられる、あるいは、重なり合いの無い時間においてセンサとヒータとの間で切り替えられる実施形態において、この検出は、低い供給電圧および/または低い供給電力(例えば短時間供給)により達成されるであろう。
【0108】
熱素子の温度に深刻な影響を与えずに測定値を得るためには、サーマルアレイに低い電力を供給してもよい。例えば、サーマルアレイは、適用した時間中に測定される温度の変化を5%未満とすることができるような電圧により給電してもよい。一実施例において、低い平均電力は、1秒未満にて供給されるパルス電力により実施される。
【0109】
他の実施において、コントローラは、各熱素子または熱素子の組合せの抵抗(温度)測定値および/または電力(熱流束)に基づき警告を発してもよい。この警告は、視覚的警告、警報、制御信号、メッセージ(例えばテキストまたは電子メール)などのいかなる形態によるものでもよい。
【0110】
図7bに、4つのノードと6個の素子を備えたシステムにより提供される測定の一具体例を示す。このトポロジを用いて測温アレイを構成できる。より少ない数の電気的接続(ノード)により、単一の一体化された測定システムを用いてセンサアレイ全体の温度を求めるために、複数の熱素子をRTDセンサとして用いることができる。一つまたは複数のノードの種々の組合せに低い電力を供給し高速で連続測定を行うこと(「Power Mode」(電力モード)と呼ぶ)により、全センサの抵抗を算出し温度に換算することができる。なお、更に、サーマルアレイの測定に用いるモードとは異なるモードを給電のために用いることができる。
【0111】
以下のように変数を定義する:
nNodes=N #nodes,N>2,N=2は単一かつ単独のRTDに対する条件であるためである。
nSensors=N×(N−1)/2 異なるノード対の間に接続することができるセンサの数
iModes=2N−1−1 電力モードの数(浮遊状態のノード、冗長、0−ベクトル無し)
【0112】
次に、電力モード行列のサイズはiModes×nNodesと定義され、この行列はV+または0で給電される各ノードの組合せの全てを含むが、最後のノードは必ず0(例えば、リターンまたはグラウンド)である。1になるようにV+を正規化すると、電力モード行列は単純なバイナリテーブルとなる(ノードが0または1であるため)。電力モード行列
【数46】

(nノード用 N>5)は、以下のように示される[列1=最下位ビット]:
【数47】
【0113】
続いて、配線行列
【数48】

は、電力モード行列
【数49】

の各Power Modeの全ノード対間の絶対値差分から作成してもよい。この結果、N>3の場合正方形でなく、N>5の場合最適でないサイズiModes×nSensorsの行列
【数50】

が得られる。利用可能なモードのサブセットを用いることにより、行列
【数51】

の行列条件を低減させることができ、これにより計算時間および計算エラーを低減させることが可能になる。N>5の場合、極小条件
【数52】

は、2つのノードが同時にアクティブとなり(N−2)ノードが同時にアクティブとなる
【数53】

のモードのみを用いることにより達成される。
【0114】
上記テーブルの支配方程式(N>5の場合)は以下のようになる:
アクティブノードを2個有するモードの数=(N−1)×(N−2)/2。
アクティブノードを(N−2)個有するモードの数=(N−1)。
N>5の場合における低減させたモードのセットを用いた場合、結果として#Sensors(センサ数)=#Modes(モード数)である正方配線行列が得られ、
【数54】

の行列条件はN−2となる。
【0115】
以下の擬似コードにより、
【数55】

から
【数56】

を求める:
R=zeros(nSensors,nSensors) Initialize the Routing Matrix
for i=1:nSensors The reduced number of modes
m=0
for j=1:nNodes-1 The number of system nodes less one
for k=j+1:nNodes
m=m+1
R(i,m)=abs(Mode(i,j)-Mode(i,k)) Nonzero = current flow
end
end
end
【0116】
例えば:N=6である場合、利用できるモードは31通りあり、2個のアクティブノードを有するモードの番号は次の通りである:3 5 6 9 10 12 17 18 20 24、そしてN−2個のアクティブノードを有するモードの番号は次の通りである:15 23 27 29 30
【0117】
例えば:N=6の場合、以下のような配線行列
【数57】

が得られる。ここで、行列中、各行はモード[3 5 6 9 10 12 15 17 18 20 23 24 27 29 30]を示し、各列はセンサを示す。
【数58】
【0118】
【0119】
上記の
【数59】

行列は正方行列であり、要素として0と1のみを含み、行列の条件数は4であり、低い誤り率で反転可能である。この検出システムに対する支配方程式は、以下のような行列として得られる:
【数60】

[注:N=4あるいは5の場合、nSensors≠nModesであり、
【数61】

の一般逆行列が用いられる]。
【0120】
ここで、
【数62】

はセンサアレイに流れる電流の各測定値の合計のベクトルであり;
【数63】

はセンサが相互結合無しに個別駆動された場合のセンサ等価電流のベクトルである。この方法は、セット内の全てのモードに対するサイクルに要する時間の終了までセンサ抵抗が略一定である限り有効である。
【0121】
まず、センサ基準コンダクタンスのベクトルは、センサアレイを基準温度T(例えば25℃)に保った状態で、以下のように計算してもよい。
【数64】
【0122】
次に、未知の一定温度で測定を行い、新しいベクトルを以下のように求める:
【数65】
【0123】
センサ材料の抵抗の温度係数(Temperature Coefficient of Resistance:TCR)を用いて素子毎のセンサコンダクタンス比を算出し、以下の等式に代入し、未知のセンサ温度を得る:
【数66】
【0124】
このように、既知のVに基づき
【数67】

および
【数68】

が得られ;あるいは基準測定値におけるVが未知の温度測定値のVとノード毎に同一である場合、素子毎の電流ベクトル比を上記等式に直接代入することができる。注:最初の測定における基準コンダクタンスの変動値や二回目の測定におけるセンサ間の温度変動値には制限が無い。
【0125】
図9aにアレイを較正するための処理900を示し、図9bに目標設定値を算出するための処理を示す。処理900および950は、図6aに示した指数付け制御処理(例えばブロック612)や図7aに示したバッチ制御処理(例えばブロック710)とともに用いる特に有用である。
【0126】
処理900はブロック910より開始する。ブロック912において、コントローラはアレイの温度を基準温度、例えば25℃、に固定する。ブロック914において、コントローラは、制御処理が各素子を個別に制御しているかあるいは素子が多数並列配置により構成されバッチ制御されているかを判断する。素子がバッチ測定されている場合、処理は矢印916に沿ってブロック918に遷移する。ブロック918において、例えば図8に記載のバッチ測定手順は、バッチ測定値を蓄積し、これら測定値を個別の素子の特性に変換し、続いてこの特性は較正基準ベクトル[R]として保存される。その後、処理は矢印924に沿ってブロック926に遷移して終了する。
(0126)
ブロック914の説明に戻り、個別の素子あるいは特性が例えば指数付けモードにおいて測定される場合、処理は矢印920に沿ってブロック922に遷移する。ブロック922において、個別の素子の特性を直接測定し、ブロック922に示す較正基準ベクトル[R]として保存される。その後、処理はブロック926へ進み、処理は終了する。別の処理において、抵抗値は、場合により抵抗計を用いて手動で測定してもよい。
【0127】
処理950は、ブロック943より開始する。ブロック944において、目標設定値を計算するため、オペレータは、各素子またはモードの温度目標値を設定し、続いて処理はブロック946へ進む。ブロック946において、コントローラは、基準温度より高い素子温度を算出し、各素子に対し差分をベクトルとして保存する。ブロック928において、コントローラは、素子目標抵抗ベクトルを生成するため、保存したベクトルに抵抗の温度係数(TCR)を適用する。その後、処理はブロック930に進む。熱素子アレイが二方向アレイである場合、処理は矢印940に沿ってブロック938に進む。熱素子アレイが多数並列アレイである場合、処理は矢印932に沿ってブロック934に遷移する。ブロック934において、素子目標抵抗ベクトルを、固有の電力モード毎にアレイ目標抵抗ベクトルに変換する。その後、処理は、矢印936に沿ってブロック938に遷移し、システム電圧および電流に基づいて目標抵抗値を目標電圧値または目標電流値に変換してもよい。その後、処理はブロック942へ進み、各電力モードに対応する目標電圧または電流のベクトルを、目標設定値算出処理の出力とする。ブロック948において、処理は終了する。
【0128】
この処理の一実施形態を、図7bに示す4ノードトポロジーを参照して以下に説明する。熱素子は高TCR材料から形成される発熱体でもよく、ヒータ制御アルゴリズムを用いてもよいが、ダイオードあるいはSCRは用いない。ノードは一つのソースと一つのリターンとにより順次駆動し、他のノードは浮遊状態とする。これにより、熱素子の抵抗が実質的に同値である場合、制御のための1本の主電流経路を形成する。しかしながら、主電流経路は、直列接続された二個以上の発熱体の一つまたは複数の二次経路と並列である。このシステムの二次経路は、MIMO(Multiple―In/Multiple―Out)制御システムの相互結合条件になぞらえることができる。良好な制御のために、相互結合条件は、例えば、発熱体抵抗を互いに同じものとするなどによりシステムにおいて支配的なものとしてはならない。
【0129】
以下の変数が、図7bに示す4ノードシステムのために定義される。
nNodes=N #nodes,N>2,N=2は単一のヒータに対する条件であるためである。
nHeaters=N×(N−1)/2 ノード間に接続することができる個別ヒータの数
nPairModes=nHeaters 個別ノードの対の数。他のノードは浮遊状態とし、冗長は無い。
【0130】
システム入力電流はシステム出力電流と等しくなければならないため、大きさがnPairModes×nNodesであるPower Mode Matrixを定義してもよく、ここで、モード(行)毎に、「1」は電流が一つのノード(列)に流れ込んでいることを表し、「−1」は電流が他のノードから流れ出ていることを表し、また「0」は浮遊ノードを表す。なお、PairModesの数は発熱体の数と等しい。
【数69】
【0131】
また、ベクトル
【数70】

およびノードの正方行列
【数71】

は、発熱体抵抗値から定めてもよい:
【数72】

【数73】
【0132】
処理を開始するため、個別の測定あるいは図8を参照し概要を説明した上述の処理により、発熱体の基準(例えば25℃における)抵抗値を求めてもよい。
【0133】
次に、目標設定温度における各発熱体の目標抵抗値を設定し、制御点として用いることができる。相互結合を制限するため、可能であれば、この設定温度における目標抵抗値は平均値の±30%内とするのが良い。以下の式を用いて目標抵抗値を算出してもよい:
=R×[1+TCR×(T−T)]
ここで、Rは特定の発熱体の基準抵抗値であり、Tは抵抗値Rに対応する基準温度であり、Tはこの特定の発熱体の目標温度値であり、TCRは、(T―T)に適用可能な抵抗の温度係数である。
【0134】
次に、事前に定義したコンダクタンスノード行列
【数74】

を計算してもよい。
【0135】
次いで、行−列2から始まる一つの行−列を除去することにより、(nNodes−1)の部分行列
【数75】

を作成する。これらの行列は、除去された行−列番号が
【数76】

のグラウンドノードであるシステムを示す。
【0136】
次に、nNodes−1の電流ベクトルは、利用可能な各ビンを「1」とし残りを「0」とすることにより作成する。例えば4ノードシステムにおいては以下のようになる:
【0137】
[I]=[100] [I]=[010] [I]=[001]
【0138】
次いで、モード対nの電圧ベクトルは、
【数77】
の部分行列と電流ベクトル[I]、[I]、および[I]との各固有の組合せから以下のように作成することができる:
【数78】
【0139】
各電圧ベクトルの最大値を保持してもよく、またモード行列
【数79】
の次元の新たなベクトル[V]にまとめてもよく、この場合電流ベクトルは「1」で示され、
【数80】

は「―1」で示され、除去された行列に対応する。
【0140】
制御ループは、電流源を順次適用することで各モードに対して閉じてよく、また
【数81】

と定義されるモード対の数へと減少させてよく、その対の間において得られる電圧を測定し、測定した電圧がそのモードの目標電圧値へと収束するまで、あるいは予め定義する「タイムアウト」により次のモード対へのシーケンスが必要となるまで電力を供給する。目標電圧値はアンペア単位の印加電流値である。電流値が過大になると発散を生じ、過小になると閉ループ制御を妨げる。電力の収束域は、オン時間の最小値のタイムアウトに対する比に基づき制御される。
【0141】
具体例として、25℃で以下の抵抗を有する6個の発熱体を備える4ノードシステムが挙げられる
=[22.1858 20.2272 20.8922 21.3420 23.1205 20.0585]
【0142】
0.5%の線形のTCRを有する70/30ニッケル鉄発熱体を用い、各素子の目標温度が10℃の周囲温度であるとする。そうすると、各抵抗値を5%増加させる(0.5%×10)ことにより所望の温度上昇による目標抵抗値を算出することができる
=[23.2951 21.2385 21.9368 22.4091 24.2766 21.0615]
【0143】
コンダクタンス行列は[R]の逆数に基づく:
【数82】
【0144】
そうすると、6本の電圧ベクトルは、次のようになる:
【数83】
【0145】
6個のモード
【数84】

に対する制御ループのアンペア単位の目標電圧は、上述の各ベクトルの最大値となる:
[V]=[11.431 10.844 11.080 11.218 11.587 10.862]
【0146】
上記のいかなるコントローラ、制御システムまたはエンジンも、一つまたは複数のコンピュータシステムにより実施してもよい。図10に一例としてのシステムを示す。コンピュータシステム1100は、上述の処理に記載したような命令を実行するプロセッサ1110を含む。これら命令は、メモリ1112または例えばディスクドライブ、CDまたはDVDなどの記憶装置1114などのコンピュータ可読媒体に保存してもよい。コンピュータは、表示装置1118においてテキスト表示またはグラフィック表示を行うためこれら命令に応答する表示制御装置1116を備えていてもよい。また、プロセッサ1110は、例えば他の汎用コンピュータシステムなどの他のシステムにデータまたは命令を伝達するためにネットワークコントローラ1120と通信してもよい。ネットワークコントローラ1120は、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、インターネット、またはその他の一般に用いられるネットワークトポロジを含む種々のネットワークトポロジにより、処理を供給し情報に対するリモートアクセスを提供するため、イーサネット(登録商標)またはその他の既知のプロトコルにより通信してもよい。
【0147】
他の実施形態において、本願に記載する方法のうち一つまたは複数を実施するために、特定用途向けICやプログラム可能論理回路などの専用のハードウェアによる実施例を構成することができる。種々の実施形態の装置およびシステムを含むような適用は、種々の電子システムおよびコンピュータシステムを広く含むことができる。本開示に記載の一つまたは複数の実施形態は、2個以上の特定の相互に接続されたハードウェアモジュール、または関連する制御を行う装置、およびこれらモジュール間もしくはモジュール内において送受信可能なデータ信号を用いる機能、あるいは特定用途向けICの一部としての機能を実施してもよい。したがって、本システムは、ソフトウェア、ファームウェアおよびハードウェアによる実施を含む。
【0148】
なお、更に、本開示に示すトポロジは全て、上記処理方法において用いてもよい。また、一つのトポロジまたは方法に関して記載した特徴は全て、他のトポロジまたは方法に用いてもよい。
【0149】
本開示の各種実施形態に従い、本開示に記載の方法は、コンピュータシステムにおいて実行可能なソフトウェアプログラムにより実施してもよい。更に、例としての非限定的な実施形態において、実施例は、分散処理、構成要素/目的分散処理および並行処理を含むことができる。あるいは、仮想コンピュータシステム処理を、本開示に記載の一つまたは複数の方法または機能を実施するために構成することができる。
【0150】
更に、本開示に記載の処理は、コンピュータ可読媒体により実施してもよい。「コンピュータ可読媒体」という用語は、集中型または分散型データベースおよび/または一つまたは複数の命令セットを格納する付随的なキャッシュおよびサーバなどの、単一または複数の媒体を含む。「コンピュータ可読媒体」という用語はまた、プロセッサが実行する命令のセットを格納、暗号化、または伝達可能な全ての媒体、あるいは本開示に記載の一つまたは複数の処理または動作をコンピュータシステムに実行させる全ての媒体を含む。
【0151】
当業者が直ちに認めるように、上記の説明は本発明の原理を説明することを目的とするものである。この説明は、本発明の範囲または適用を限定することを目的とするものではなく、本発明は、以下の特許請求の範囲に定義する本発明の精神を逸脱しない範囲において改良、変形、変更が可能である。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図8
図9a
図9b
図10