特許第6133879号(P6133879)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6133879相変化を生じる体積減少材を用いて電子部品を封止する方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133879
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】相変化を生じる体積減少材を用いて電子部品を封止する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   H01L21/56 T
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-537018(P2014-537018)
(86)(22)【出願日】2012年10月18日
(65)【公表番号】特表2014-530510(P2014-530510A)
(43)【公表日】2014年11月17日
(86)【国際出願番号】NL2012050724
(87)【国際公開番号】WO2013066162
(87)【国際公開日】20130510
【審査請求日】2015年9月29日
(31)【優先権主張番号】2007614
(32)【優先日】2011年10月18日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】513099670
【氏名又は名称】ベシ ネーデルランズ ビー.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】BESI NETHERLANDS B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(72)【発明者】
【氏名】ゼイル,ヨハネス レオナルダス ユリアン
(72)【発明者】
【氏名】ハル,ウィルヘルムス ヘラルダス ヨセフ
【審査官】 鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−198813(JP,A)
【文献】 特開2002−176067(JP,A)
【文献】 特開昭62−097812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
担持体に実装される電子部品を封止する方法において、
A)封止用の電子部品を、前記担持体に接続する金型キャビティ内へ載置する処理ステップと、
B)前記金型キャビティを液状封止材で充填する処理ステップと、
C)前記金型キャビティ内の前記封止材を少なくとも一部硬化させる処理ステップと、を含み、
処理ステップB)の前に、フィルム材が、電子部品を持つ前記担持体と前記担持体に接続する前記金型キャビティとの間に配置され、
理ステップB)中に前記金型キャビティを封止材で充填する前に、体積減少材が前記金型キャビティへ導入され、前記体積減少材は処理ステップB)中に相変化し、それによって、前記体積減少材の体積が減少し、
前記液状封止材は、前記担持体と前記フィルム材との間に供給され、前記体積減少材は、前記フィルム材と前記金型キャビティとの間に運ばれることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項に記載の方法において、前記体積減少材は、処理ステップB)の通りに、封止材で前記金型キャビティを充填する間、気相から少なくとも凝縮することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、前記体積減少材は、気相で前記金型キャビティ内へ能動的に運ばれることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1または2のいずれか一項に記載の方法において、前記体積減少材は、ミストとして前記金型キャビティ内へ能動的に運ばれることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1または2のいずれか一項に記載の方法において、前記体積減少材は、前記金型キャビティ内へ能動的に運ばれる場合に、液相であることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1または2のいずれか一項に記載の方法において、前記体積減少材は、前記金型キャビティ内へ能動的に運ばれる場合に、固相であることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法において、前記体積減少材は、H2O(水)および25OH(エタノール)の群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法において、処理ステップB)の通りに、封止材で前記金型キャビティを充填する前またはその間に、前記金型キャビティ内を加圧することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法において、前記体積減少材を前記金型キャビティ内に導入する前またはその間に、前記金型キャビティ内を加圧することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法において、前記体積減少材は、前記金型キャビティを閉じる前にガス用の吸込口を介して前記金型キャビティ内に供給されることを特徴とする方法。
【請求項11】
担持体に実装される電子部品を封止する装置において、
− 互いに対して変位可能であり、閉位置において、電子部品を封入するための少なくともひとつの金型キャビティを画成する成形部と、
− 前記金型キャビティに接続する封止材用の供給手段と、を備え、
前記装置はまた、
前記金型キャビティに接続する体積減少材用の供給手段と、
− 前記成形部間にフィルム材用の供給手段と、
を備え、
前記体積減少材用の供給手段および前記封止材用の供給手段は、前記フィルム材用の供給手段によって供給される前記フィルムの反対側に位置することを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11に記載の封止装置において、前記体積減少材用の供給手段は、前記体積減少材をフィルム材上に配置するよう成されていることを特徴とする封止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、担持体に実装される電子部品を封止する方法において、A)封止用の電子部品を、担持体に接続する金型キャビティ内へ載置する処理ステップと、B)金型キャビティを液状封止材で充填する処理ステップと、C)金型キャビティ内の封止材を少なくとも一部硬化させる処理ステップと、を含んでいる。本発明はまた、かかる方法を実行するための装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の封止において、より詳細には、担持体(例えば、リードフレーム等)に実装される半導体の封止において、異なる種類の封止プロセス、中でも、圧送成形、加圧成形、射出成形、またはこれら封止プロセスの組み合わせ等を用いることができる。ここで、半導体は、チップに加え、それらが例えば、発光ダイオード(LED)等の他の電子部品も含むように、広く解釈されることに留意されたい。電子部品を持つ担持体は、金型キャビティが封止用部品の周りに画成されるように、ここで成形部間にクランプされる。液状封止材は、成形部品が離型され、封止電子部品を持つ担持体が外される少なくとも部分的な硬化の後、これらの金型キャビティ内に供給される。封止材は通常、充填剤を包含する熱硬化性エポキシまたは樹脂から成っている。通常加熱もされる封止材に、圧力をかけ、その結果、既に液状ではない封止材を、液状になるまで加熱する。液状封止材は、(通常加熱される)金型キャビティを満たし、液状封止材は、例えば、化学結合(架橋結合)によって、金型キャビティ内で少なくとも部分的に硬化する。封止品質を高めるため、封止材の供給を開始する前に、所定の加圧(すなわち、大気圧よりも低いガス圧)を適用可能である。金型キャビティはここで、通常、金型キャビティの充填中、ガスを排出できる吸引チャネル(通気孔)を介して加圧される。金型キャビティを封止材で完全に満たすことが、非常に重要である。電子部品の封止における問題には、特定の条件によって、金型キャビティが常に封止材で完全に満たされるとは限らず、それにより、開口(ボイド)が作製すべき封止内に残ってしまうということがある。この現象は、特に、金型キャビティ内の封止材のフローフロントの前で生じ、ここで、(小さな)気泡または放出ガスが、封止材内に封入されるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、電子部品を封止するための方法および装置を提供し、ボイドが電子部品の封止内に生じる可能性を低減する目的を有する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、このために、前文で述べた種類の方法を提供し、ここで体積減少材は、金型キャビティが完全に、または部分的に封止材で充填される前に、金型キャビティ内へ導入され、体積減少材は、封止材で金型キャビティを充填する間に、体積減少材の体積が減少するように、相変化を生じる。ここで、体積減少材は、封止材で金型キャビティを充填する間、気相から少なくとも凝縮することが可能であるが、体積減少材はまた、気相から固相へ転置するか、体積減少材が(任意選択的に過熱された)蒸気として凝縮するか、固体に転置することも可能である。方法を実行するために、体積減少材は、気相で、および/またはミストとして、金型キャビティ内へ能動的に運ばれてもよく、より特定のオプションでは、体積減少材を過熱蒸気として能動的に供給する。一方で、体積減少材は、金型キャビティ内へ能動的に運ばれる場合に、液相または固相であることも可能である。関連するものは、封止材を金型キャビティに供給する前の条件の下で、体積減少材は比較的大きい体積(低い質量密度)を有し、封止プロセスが行われる条件の下では、体積減少材は相変化を生じることである。ここで関連するのは、温度だけではなく、相変化が起こる温度が圧力に大きく左右されるために、圧力増加もまた、需要な部分を担う。封止は、[150〜200]℃の温度範囲、および[50〜100]Bar、より詳細には[60〜90]Barの圧力において行われる。体積減少材の体積における最大限の減少(すなわち、最大限の圧縮係数)を得るために、更に、体積減少材の分子量ができる限り小さいことが望ましい。
【0005】
本発明はまた、フィルム材が、電子部品を持つ担持体と担持体に接続する金型キャビティとの間に配置され、液状封止材は、担持体とフィルム材との間に供給され、体積減少材は、フィルムと金型キャビティとの間に運ばれる方法を提供する。従って、体積減少材は、封止用の電子部品から、担持体から、そして、封止材から離される。(比較的少量の)体積減少材の存在が封止プロセスを損なうおそれがある程度まで、これらの欠点を防ぐことができる。体積減少材はこのように結局、電子部品を持つ担持体から離間して対向するフィルム材の一方の側にすべて位置する一方で、電子部品を持つ担持体は(後ほどの封止プロセス中、封止材も同様に)、それどころか、フィルムの反対側(すなわち、電子部品を持つ担持体に対向するフィルム材側)に位置する。
【0006】
この状態(すなわち、減少されたか否か)にかかわらず、体積減少材は従って、電子部品を持つ担持体および封止材の条件に影響を及ぼさず、結論として接触は免れる。フィルム材が体積減少材の適用と組み合わされて適用される、電子部品の封止の利点は、封止材を適用する(例えば、金型キャビティへの封止材の付着の機会がない)利点が従って、金型キャビティのガス抜きを可能にするために行われるべき構造的な対策をせずに達成できるという点にある。フィルム材との封止において、従って、金型キャビティ内の過剰圧力の上昇を防ぐ対策を行う必要はない。特に、高度な金型キャビティ(LEDと組み合わせて適用される、例えば、完全に、または部分的に封止するか、および/または製造する光学レンズ)において、過剰圧力が大きく上昇し得、それによって、フィルム材が損傷するリスクが高まる。排出チャネルは通常、このために、金型キャビティ(または複数の金型キャビティ)が配置される成形部内に配置される。体積減少材の存在は、単数または複数の金型キャビティのガス抜き(通気孔)が不必要となるように、体積減少材における相変化の結果として、体積減少が生じるために、かかる対策を無駄にしてしまう。これにより、単数または複数の金型キャビティを持つ成形部が、容易に製造できるだけではなく、おそらくより重要には、動作中の不具合に対して影響を受けにくいより単純な成形部となる。これは、金型キャビティに接続するガス抜き対策が汚れにより容易に目詰まりするか、または、例えば、フィルム分離が封止材により適切に機能しないためである。目詰まりしたガス抜き対策を持つかかる成形部の洗浄は、大きな労働力を要し、生産の進行を妨げる可能性がある。過分なガス抜き対策の別の利点は、それにより、特定の可能性のある用途を持つ封止を製造するために、平滑な、それどころか研磨された金型キャビティを適用できることにある。本発明により、金型キャビティの表面粗さを介して通気孔へ封入ガスを案内することは不要となる。従って、例えば、封止材を用いて、レンズを製造することも可能となる。
【0007】
更に別の、非常に望まれる体積減少材の特性は、圧力が増加する前に、減少する相変化がまだ起こらず、例えば、体積減少材の時期尚早な凝縮が、これにより防止されることにある。これは、所望の効果(封止プロセス中の体積減少材の実質的な体積減少)が、例えば、時期尚早な凝縮の場合に生じることがなく、また、凝縮が良好な封止を妨げる可能性がないために重要であるだけではない。一方で、封止プロセスを開始する前の体積減少材の相変化は、しかしながら、膨張する相変化の場合に許可される。体積減少材が、例えば、液相または固相で金型キャビティ内へ導入されるが、体積減少材が、実際の封止プロセスが行われる前に膨張する場合、これは問題とはならない。その理由は、封止プロセスの開始前に液体または固体の蒸発により、体積減少材が次いで、封止プロセスが開始される前に、体積を増している(すなわち、非常に低い質量密度Δを有している)ためである。体積減少材の体積減少は、凝縮により、極めて相当なものとなる可能性がある。この体積減少のため、従って、封止材に封入される少量の(小さな)気泡の可能性が残り、これによる封入区画は、もはや封入領域として適格ではない程小さくなる。この効果により、封止材は、初期の封入にもかかわらず、封止領域を完全に充填する。従来技術により、封止材の供給中に金型キャビティ内に存在していた空気または他のガスは、高められた圧力の結果として無論圧縮されるが、この圧縮係数は、(ガス)圧力の増加に正比例する。封入された圧縮ガスは従って、結果として、特に望ましくない封止材内の封入(ボイド)を形成する。これを、特定の実施形態に基づいて以下で説明する。相変化を生じる体積減少材の存在は、特に、完全に封入することが比較的難しい電子製品の場合に、向上した品質を達成することが可能である。ここで例えば、封止材にとって流れるのが困難な中間領域が存在するより大きな製品、フリップチップ、および他の積層化電子部品を想定することができる。少量の液状封止材の適用および(より大きな)金型キャビティの表面全体にわたる良好な充填は、同様に、本発明による方法を用いて達成できる。
【0008】
有利な選択は、体積減少材としてH2O(水)を選択することで見出せる。この体積減少材の分子量が小さい(Mwater=0.018kg/mol)だけではなく、1から、例えば80barの圧力増加において(例えば、T=150℃の一定温度において)、所望の凝縮挙動を有している。Δwater=±0.5kg/m3を持つ1気圧での気相から、Δwater=±900kg/m3を持つ液相への変化が生じることにより、体積減少が従って、約1800のオーダーの係数で生じる。従来、水によって封止プロセスが中断される従来技術による開始点が、常にあった。この目的により、封止材は従って、従来技術による細心の注意で調整される。本発明に至る、予期しない、不明瞭な見識により、一方で、封止装置内の水の存在が、向上した封入結果を招くことができる。封止条件下で凝縮する体積減少材に対する別のオプションは、25OH(エタノール)、Methanol=0.046kg/molである。増加する圧力は、結果として、約350のオーダーの係数での体積減少を招く。これはまだ、封入結果における明白な向上も招くことができる相当な体積減少である。
【0009】
所望の効果の更なる向上は、処理ステップB)の通りに、封止材で金型キャビティを充填する前またはその間に、金型キャビティ内を加圧することである。これは、大気圧に対する加圧、つまり1気圧未満の圧力について言及している。簡単な方法で金型キャビティ内で達成できる加圧は、0.1Bar絶対値に達する。前の段落で計算したような体積減少は、これにより10倍に増加される。これは、Δwater=±900kg/m3を持つ液相への変化によりΔwater=±0.5kg/m3の変更された開始条件下で、これにより、約18,000のオーダーの係数での体積減少が生じることを意味する。エタノールに対しては、従って、約3,500のオーダーの体積減少係数を生じる。従って、金型キャビティを加圧することにより、更に非常に好ましい効果が向上する。その他、従って更に多くの存在するガス(一般には空気)を除去するために、体積減少材を金型キャビティに導入する間またはその前に、金型キャビティ内を加圧することも可能である。この金型キャビティ内に初期に存在するガスの除去は、金型キャビティをガス状の体積減少材で洗浄することによって、または、任意選択的に過熱蒸気状態の体積減少材を供給(噴射)することによっても可能である。金型キャビティを加圧し、金型キャビティを洗浄した後、既に上で説明したように、再度金型キャビティを加圧することも望ましい。
【0010】
体積減少材は、封止材とは別々に、例えば、体積減少材を噴射または吹き付けることによって、金型キャビティに追加できるが、少量の液体(例えば、液体水)または固体粒子体積減少材(氷)を供給すること(急速蒸発)によっても、同様に、実際の封止前に金型キャビティの所望の条件開始点を招くことができる。しかし、体積減少材を封止材と組み合わせて供給することも可能であり、体積減少材が封止材の前に金型キャビティに入るようにすることも可能である。封止材は、このために、例えば、体積減少材を封止材に添加することによって調整されてもよい。
【0011】
一旦、金型キャビティを、封止用の電子部品に対して処理ステップA)中に位置決めした後、封止材を金型キャビティに供給してもよい。また、封止材を金型キャビティに変位させる前に、封止材を加熱することも可能であり、封止材に圧力をかけることによって、金型キャビティに運ばれてもよい。ここで特に想定されるのは、いわゆる圧送成形プロセスであり、封止材は、ひとつ以上のプランジャによって金型キャビティに当接される。一方で、本発明はまた、例えば、成形部の閉鎖圧を用いて金型キャビティ内で封止材を圧縮すること(加圧成形)、または封止材を金型キャビティに噴射すること(射出成形)等の、他の封止プロセスと組み合わされてもよい。金型キャビティでの体積減少材の適用は、金型キャビティへの封止材の供給方法に関わりなく、結果として上記の利点を生じることができる。
【0012】
本発明による方法の変形において、体積減少材は、金型キャビティを閉じる前に、ガス用吸込口(排出空気または通気孔)を介して金型キャビティに供給されてもよい。体積減少材(例えば、蒸気の形で)は従って、短時間、例えば、1〜3秒以内で金型キャビティに導入できる。従って、金型キャビティを画成する成形部のみを、閉鎖圧にすることができる。
【0013】
本発明はまた、担持体に実装される電子部品を封止する装置において、互いに対して変位可能であり、閉位置において、電子部品を封入するための少なくともひとつの金型キャビティを画成する成形部と、金型キャビティに接続する液体封止用の供給手段とを備え、装置はまた、金型キャビティに接続する体積減少材用の供給手段も備える装置も提供する。体積減少材用の供給手段は、体積減少材を、供給のための所望の状態にするための加熱素子を備えていてもよく、体積減少材用の供給手段は、例えば、金型キャビティに接続するひとつ以上のノズルによって形成されてもよい。かかる装置を用いれば、本発明による方法を参照して上で既に述べたような利点を達成でき、本発明による装置に関して参照することによって本明細書中にも含まれるものと考えられる。体積減少材の供給は従って、非常に限定的な構造変化のみによって、既存の封止機器に組み込むことができる。
【0014】
本発明による装置の変形例はまた、成形部間にフィルム材を供給するための供給手段も備えている。体積減少材用の供給手段および封止材用の供給手段は、フィルム材用の供給手段によって供給されるフィルムの反対側に位置してもよい。体積減少材の供給がフィルム供給と組み合わされるかかる装置により、本発明による方法に関して上で既に説明したような、体積減少材の供給とフィルム材の存在が封止中に組み合わされる利点が達成できる。これら上記の利点もまた、これら2つの供給設備が組み合わされる装置に関する参照により、本明細書中に包含される。金型キャビティを備える成形部の単純な構造によって十分であるだけでなく、体積減少材もまた、封止用電子部品と接触することが避けられる。この変形例における体積減少材は、封止用電子部品および担持体と接触しないため、体積減少材は従って、望ましくない効果を持たない。これにより、適切な体積減少材の選択可能性が向上する。また、封止材は、体積減少材から物理的に離れたままであり、これにより体積減少材と封止材が互いに望ましくない影響を及ぼしあうことも回避されることに留意されたい。
【0015】
体積減少材の簡単な供給は、体積減少材用の供給手段が、体積減少材をフィルム材上に配置するよう成されている場合に達成できる。体積減少材は従って、供給手段によって金型キャビティに導入される必要もない。封止材を付着したフィルム材が成形部間のいずれかに載置されれば、体積減少材がフィルム材上に配置されることで十分である。フィルム材の供給は従って、成形部間に体積減少材を導入することにも用いられる。
【0016】
本発明を更に、以下の非限定的な実施形態に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、担持体に実装される電子部品を封止するための従来技術装置の一部の略斜視図を示している。
図2A図2Aは、従来技術の封止プロセスの連続する段階中の電子部品を持つ担持体の2つの異なる上面図を示している。
図2B図2Bは、従来技術の封止プロセスの連続する段階中の電子部品を持つ担持体の2つの異なる上面図を示している。
図3図3は、本発明による担持体に実装される電子部品を封止するための装置の側面略図を示している。
図4A図4Aは、本発明による担持体に実装される電子部品を封止するための装置の側面略図を示し、装置はフィルム材用の供給部も備えている。
図4B図4Bは、本発明による担持体に実装される電子部品を封止するための装置の側面略図を示し、装置はフィルム材用の供給部も備えている。
図5図5は、封止材用の、いわゆる「トップエッジ」供給部を持つ、本発明による封止装置の変形例の一部を通る断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、2つの成形部1、2を通る切取断面図を示している。下側成形部2に配置されるのは、電子部品5が配置される担持体4(例えば、リードフレームまたは基板)を受領するための凹部3である。金型キャビティに接続するチャネル6を介して、封止材7が、矢印P1の通りに、金型キャビティに供給される。図示の状況において、金型キャビティは、部分的にのみ封止材7で充填され、封止材は、フローフロント8と共に金型キャビティ内へ流れ、それによって、電子部品5を封止する。
【0019】
図1を参照して略図的に示す従来技術の封止方法はまた、図2Aにも適用される。ここに上面図で示すものは、担持体10であり、封止材12が供給チャネル11によって供給されることである。供給チャネル11から、封止材12が、分配チャンバ13へ流れ、そこから、封止材12が、矢印P2の通りに、フローフロント14と共に担持体(フィルムゲート)にわたる大きな幅を超えて流れる。担持体10上に位置するのは、電子部品15であり、それらが担持体10の表面の上に突出しているために、担持体10にわたる封止材12の流れに対する所定の抵抗を生成する。この結果、フローフロントは、担持体10にわたって直線状には流れないが、図示のように、電子部品15の後ろの位置で遅れる可能性がある、より複雑な形状を有する。封止材は、電子部品15の位置(近傍)においてガス封入16のリスクが生じる抵抗が小さく、電子部品間に流れる。これは、ガス封入16が最終的な電子部品15の封止内に開口を形成する可能性があるため、望ましくない。この図2Aに更に含まれるのは、金型キャビティからのガスのための2つの排出チャネル17であり、これを通って金型キャビティ内に存在するガスが、矢印P3の通りに受動的または能動的に逃げる。
【0020】
図2Bにおいて、封止材は、供給チャネル11の反対側に位置する金型キャビティの外端18に到達しており、排出チャネル17が、クロージャ19により略図的に示すように閉じられる。これは例えば、本出願人によって既に以前開発されたようなVピンを用いて実施できる。排出チャネル17を閉じることによって、封止材の充填圧を高めることができ、その結果、存在するガス封入16が小さくなるか、更には消滅する。封止材12内に結果として生じるガス封入16は、それにもかかわらず、結果として封止製品の不合格となる問題を残す。
【0021】
図3は、本発明による封止装置22の2つの成形部20、21を通る切取断面図を示している。ここで同様に下側成形部21に配置されるのは、積層化電子部品25(フリップチップ)が配置される担持体24を受領するための凹部23である。封止材27は、金型キャビティに接続するランナー26を介して金型キャビティ28に供給できる。封止材27の供給は、ここで、圧力を封止材27にかけることのできるプランジャ29によって行われる。プランジャ29は、このために、封止材27も内部で運ばれるハウジング30内で変位可能である。体積減少材31は、例えば、水蒸気32の形で金型キャビティ26内に導入できる。封止材27を金型キャビティ内に導入する前に、例えば、体積減少材31、32で金型キャビティ28を「洗浄する」ことも可能である。ここでのオプションは、吸込口33によって金型キャビティ28内を加圧することである。体積減少材31、32を持つリザーバ34は、金型キャビティ28と開口接続状態にあるため、蒸気圧もリザーバ34内で減少し、それによって、体積減少材31、32(例えば、水)が沸騰し始める。リザーバ34内の体積減少材の温度は、このために、体積減少材31、32の所望の沸騰状態が低下した圧力の結果として正確に生じるように、選択される。水蒸気は、その後開口されるバルブ36を持つ導管35を通って、金型キャビティ28を洗浄し、再び吸込口を通って(部分的に)消失する。無論、(例えば、上側成形部20内に追加の洗浄導管を配置することによって)金型キャビティ28を洗浄する他の多くの方法を想定することも可能である。一旦、金型キャビティ28が、蒸気の状態の体積減少材32で充填されると(または、少なくとも実質的にすべての空気が、金型キャビティから完全に消失すると)、バルブ36を閉じることによって、洗浄を停止できる。封止材27はその後、プランジャによって金型キャビティ内へ押圧できる。おそらく余計な事だが、封止材を金型キャビティ内へ導入できる他の多くの方法があることに、ここで再度留意されたい。封止材を供給するこれらの代替方法も、体積減少材で金型キャビティを充填することと組み合わせて、本発明の一部を形成している。
【0022】
図4Aは、電子部品25を持つ担持体24の反対側に接続する2つの成形部20、21を備える本発明の変形実施形態による封止装置37を通る断面図を示す。この封止装置37において、下側成形部21は同様に、担持体24を支持する平坦な接触側23を備えている。成形部20は、複数の電子部品を封入する金型キャビティ40を備えている。
【0023】
供給ローラ45によって成形部20、21間に供給されるのは、ひとつ以上の工程に続いて、再度排出ローラ46に排出されるフィルム材38である。フィルム材は、担持体24とフィルム材38との間に作成されるべき中間領域39に接続する封止材42用の供給手段によって、担持体24とフィルム材38(このため、図4B参照)との間に封止材を供給できる一方の側に、分離層を形成する。体積減少材用の供給手段41は、フィルム材が成形部20、21間に運ばれる前に、矢印P5の通りに体積減少材をフィルム材38上に供給できるように載置される。フィルム材38の供給中、体積減少材は次いで、金型キャビティ40が位置している箇所にも供給される。液状封止材は次いで、矢印P4の通りに、供給手段42によってフィルム材38と担持体24との間に案内される。金型キャビティ40における、封止材の圧力下および体積減少材の相変化の結果として、フィルム38は、金型キャビティ40の壁に向かって移動される(図4B参照)。ガスの排出および余剰に供給される封止材(矢印P6)の可能性のため、通気孔43は、成形部によって何もない状態となる。
【0024】
図5は、複数の相対的に変位可能な部品から組み立てられる上側成形部52および下側成形部51を持つ封止装置50の一部を示している。担持体54は、封止材60を、プランジャ59によって縁部53の上側を越えて供給チャネル61を通って供給できるように、相対的に変位可能な支持55と縁部53との間にクランプされる。縁部53を用いる利点のひとつに、担持体54の縁部領域を従って、封止材の無い状態にできることがある。成形部51、52が離された状態において、および、封止材が供給される前に、体積減少材を供給するための第2の供給チャネル56が開けられ、その結果、体積減少材を矢印P7の通りに供給できる。この体積減少材はここで、電子部品と共に担持体54に載置されたフィルム62と上側成形部52内の金型キャビティ58との間を通り抜ける。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5