【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、このために、前文で述べた種類の方法を提供し、ここで
体積減少材は、金型キャビティが完全に、または部分的に封止材で充填される前に、金型キャビティ内へ導入され、
体積減少材は、封止材で金型キャビティを充填する間に、
体積減少材の体積が減少するように、相変化を生じる。ここで、
体積減少材は、封止材で金型キャビティを充填する間、気相から少なくとも凝縮することが可能であるが、
体積減少材はまた、気相から固相へ転置するか、
体積減少材が(任意選択的に過熱された)蒸気として凝縮するか、固体に転置することも可能である。方法を実行するために、
体積減少材は、気相で、および/またはミストとして、金型キャビティ内へ能動的に運ばれてもよく、より特定のオプションでは、
体積減少材を過熱蒸気として能動的に供給する。一方で、
体積減少材は、金型キャビティ内へ能動的に運ばれる場合に、液相または固相であることも可能である。関連するものは、封止材を金型キャビティに供給する前の条件の下で、
体積減少材は比較的大きい体積(低い質量密度)を有し、封止プロセスが行われる条件の下では、
体積減少材は相変化を生じることである。ここで関連するのは、温度だけではなく、相変化が起こる温度が圧力に大きく左右されるために、圧力増加もまた、需要な部分を担う。封止は、[150〜200]℃の温度範囲、および[50〜100]Bar、より詳細には[60〜90]Barの圧力において行われる。
体積減少材の体積における最大限の減少(すなわち、最大限の圧縮係数)を得るために、更に、
体積減少材の分子量ができる限り小さいことが望ましい。
【0005】
本発明はまた、フィルム材が、電子部品を持つ担持体と担持体に接続する金型キャビティとの間に配置され、液状封止材は、担持体とフィルム材との間に供給され、
体積減少材は、フィルムと金型キャビティとの間に運ばれる方法を提供する。従って、
体積減少材は、封止用の電子部品から、担持体から、そして、封止材から離される。(比較的少量の)
体積減少材の存在が封止プロセスを損なうおそれがある程度まで、これらの欠点を防ぐことができる。
体積減少材はこのように結局、電子部品を持つ担持体から離間して対向するフィルム材の一方の側にすべて位置する一方で、電子部品を持つ担持体は(後ほどの封止プロセス中、封止材も同様に)、それどころか、フィルムの反対側(すなわち、電子部品を持つ担持体に対向するフィルム材側)に位置する。
【0006】
この状態(すなわち、減少されたか否か)にかかわらず、
体積減少材は従って、電子部品を持つ担持体および封止材の条件に影響を及ぼさず、結論として接触は免れる。フィルム材が
体積減少材の適用と組み合わされて適用される、電子部品の封止の利点は、封止材を適用する(例えば、金型キャビティへの封止材の付着の機会がない)利点が従って、金型キャビティのガス抜きを可能にするために行われるべき構造的な対策をせずに達成できるという点にある。フィルム材との封止において、従って、金型キャビティ内の過剰圧力の上昇を防ぐ対策を行う必要はない。特に、高度な金型キャビティ(LEDと組み合わせて適用される、例えば、完全に、または部分的に封止するか、および/または製造する光学レンズ)において、過剰圧力が大きく上昇し得、それによって、フィルム材が損傷するリスクが高まる。排出チャネルは通常、このために、金型キャビティ(または複数の金型キャビティ)が配置される成形部内に配置される。
体積減少材の存在は、単数または複数の金型キャビティのガス抜き(通気孔)が不必要となるように、
体積減少材における相変化の結果として、体積減少が生じるために、かかる対策を無駄にしてしまう。これにより、単数または複数の金型キャビティを持つ成形部が、容易に製造できるだけではなく、おそらくより重要には、動作中の不具合に対して影響を受けにくいより単純な成形部となる。これは、金型キャビティに接続するガス抜き対策が汚れにより容易に目詰まりするか、または、例えば、フィルム分離が封止材により適切に機能しないためである。目詰まりしたガス抜き対策を持つかかる成形部の洗浄は、大きな労働力を要し、生産の進行を妨げる可能性がある。過分なガス抜き対策の別の利点は、それにより、特定の可能性のある用途を持つ封止を製造するために、平滑な、それどころか研磨された金型キャビティを適用できることにある。本発明により、金型キャビティの表面粗さを介して通気孔へ封入ガスを案内することは不要となる。従って、例えば、封止材を用いて、レンズを製造することも可能となる。
【0007】
更に別の、非常に望まれる
体積減少材の特性は、圧力が増加する前に、減少する相変化がまだ起こらず、例えば、
体積減少材の時期尚早な凝縮が、これにより防止されることにある。これは、所望の効果(封止プロセス中の
体積減少材の実質的な体積減少)が、例えば、時期尚早な凝縮の場合に生じることがなく、また、凝縮が良好な封止を妨げる可能性がないために重要であるだけではない。一方で、封止プロセスを開始する前の
体積減少材の相変化は、しかしながら、膨張する相変化の場合に許可される。
体積減少材が、例えば、液相または固相で金型キャビティ内へ導入されるが、
体積減少材が、実際の封止プロセスが行われる前に膨張する場合、これは問題とはならない。その理由は、封止プロセスの開始前に液体または固体の蒸発により、
体積減少材が次いで、封止プロセスが開始される前に、体積を増している(すなわち、非常に低い質量密度Δを有している)ためである。
体積減少材の体積減少は、凝縮により、極めて相当なものとなる可能性がある。この体積減少のため、従って、封止材に封入される少量の(小さな)気泡の可能性が残り、これによる封入区画は、もはや封入領域として適格ではない程小さくなる。この効果により、封止材は、初期の封入にもかかわらず、封止領域を完全に充填する。従来技術により、封止材の供給中に金型キャビティ内に存在していた空気または他のガスは、高められた圧力の結果として無論圧縮されるが、この圧縮係数は、(ガス)圧力の増加に正比例する。封入された圧縮ガスは従って、結果として、特に望ましくない封止材内の封入(ボイド)を形成する。これを、特定の実施形態に基づいて以下で説明する。相変化を生じる
体積減少材の存在は、特に、完全に封入することが比較的難しい電子製品の場合に、向上した品質を達成することが可能である。ここで例えば、封止材にとって流れるのが困難な中間領域が存在するより大きな製品、フリップチップ、および他の積層化電子部品を想定することができる。少量の液状封止材の適用および(より大きな)金型キャビティの表面全体にわたる良好な充填は、同様に、本発明による方法を用いて達成できる。
【0008】
有利な選択は、
体積減少材としてH
2O(水)を選択することで見出せる。この
体積減少材の分子量が小さい(M
water=0.018kg/mol)だけではなく、1から、例えば80barの圧力増加において(例えば、T=150℃の一定温度において)、所望の凝縮挙動を有している。Δ
water=±0.5kg/m
3を持つ1気圧での気相から、Δ
water=±900kg/m
3を持つ液相への変化が生じることにより、体積減少が従って、約1800のオーダーの係数で生じる。従来、水によって封止プロセスが中断される従来技術による開始点が、常にあった。この目的により、封止材は従って、従来技術による細心の注意で調整される。本発明に至る、予期しない、不明瞭な見識により、一方で、封止装置内の水の存在が、向上した封入結果を招くことができる。封止条件下で凝縮する
体積減少材に対する別のオプションは、
C2H5OH(エタノール)、M
ethanol=0.046kg/molである。増加する圧力は、結果として、約350のオーダーの係数での体積減少を招く。これはまだ、封入結果における明白な向上も招くことができる相当な体積減少である。
【0009】
所望の効果の更なる向上は、処理ステップB)の通りに、封止材で金型キャビティを充填する前またはその間に、金型キャビティ内を加圧することである。これは、大気圧に対する加圧、つまり1気圧未満の圧力について言及している。簡単な方法で金型キャビティ内で達成できる加圧は、0.1Bar絶対値に達する。前の段落で計算したような体積減少は、これにより10倍に増加される。これは、Δ
water=±900kg/m
3を持つ液相への変化によりΔ
water=±0.5kg/m
3の変更された開始条件下で、これにより、約18,000のオーダーの係数での体積減少が生じることを意味する。エタノールに対しては、従って、約3,500のオーダーの体積減少係数を生じる。従って、金型キャビティを加圧することにより、更に非常に好ましい効果が向上する。その他、従って更に多くの存在するガス(一般には空気)を除去するために、
体積減少材を金型キャビティに導入する間またはその前に、金型キャビティ内を加圧することも可能である。この金型キャビティ内に初期に存在するガスの除去は、金型キャビティをガス状の
体積減少材で洗浄することによって、または、任意選択的に過熱蒸気状態の
体積減少材を供給(噴射)することによっても可能である。金型キャビティを加圧し、金型キャビティを洗浄した後、既に上で説明したように、再度金型キャビティを加圧することも望ましい。
【0010】
体積減少材は、封止材とは別々に、例えば、
体積減少材を噴射または吹き付けることによって、金型キャビティに追加できるが、少量の液体(例えば、液体水)または固体粒子
体積減少材(氷)を供給すること(急速蒸発)によっても、同様に、実際の封止前に金型キャビティの所望の条件開始点を招くことができる。しかし、
体積減少材を封止材と組み合わせて供給することも可能であり、
体積減少材が封止材の前に金型キャビティに入るようにすることも可能である。封止材は、このために、例えば、
体積減少材を封止材に添加することによって調整されてもよい。
【0011】
一旦、金型キャビティを、封止用の電子部品に対して処理ステップA)中に位置決めした後、封止材を金型キャビティに供給してもよい。また、封止材を金型キャビティに変位させる前に、封止材を加熱することも可能であり、封止材に圧力をかけることによって、金型キャビティに運ばれてもよい。ここで特に想定されるのは、いわゆる圧送成形プロセスであり、封止材は、ひとつ以上のプランジャによって金型キャビティに当接される。一方で、本発明はまた、例えば、成形部の閉鎖圧を用いて金型キャビティ内で封止材を圧縮すること(加圧成形)、または封止材を金型キャビティに噴射すること(射出成形)等の、他の封止プロセスと組み合わされてもよい。金型キャビティでの
体積減少材の適用は、金型キャビティへの封止材の供給方法に関わりなく、結果として上記の利点を生じることができる。
【0012】
本発明による方法の変形において、
体積減少材は、金型キャビティを閉じる前に、ガス用吸込口(排出空気または通気孔)を介して金型キャビティに供給されてもよい。
体積減少材(例えば、蒸気の形で)は従って、短時間、例えば、1〜3秒以内で金型キャビティに導入できる。従って、金型キャビティを画成する成形部のみを、閉鎖圧にすることができる。
【0013】
本発明はまた、担持体に実装される電子部品を封止する装置において、互いに対して変位可能であり、閉位置において、電子部品を封入するための少なくともひとつの金型キャビティを画成する成形部と、金型キャビティに接続する液体封止用の供給手段とを備え、装置はまた、金型キャビティに接続する
体積減少材用の供給手段も備える装置も提供する。
体積減少材用の供給手段は、
体積減少材を、供給のための所望の状態にするための加熱素子を備えていてもよく、
体積減少材用の供給手段は、例えば、金型キャビティに接続するひとつ以上のノズルによって形成されてもよい。かかる装置を用いれば、本発明による方法を参照して上で既に述べたような利点を達成でき、本発明による装置に関して参照することによって本明細書中にも含まれるものと考えられる。
体積減少材の供給は従って、非常に限定的な構造変化のみによって、既存の封止機器に組み込むことができる。
【0014】
本発明による装置の変形例はまた、成形部間にフィルム材を供給するための供給手段も備えている。
体積減少材用の供給手段および封止材用の供給手段は、フィルム材用の供給手段によって供給されるフィルムの反対側に位置してもよい。
体積減少材の供給がフィルム供給と組み合わされるかかる装置により、本発明による方法に関して上で既に説明したような、
体積減少材の供給とフィルム材の存在が封止中に組み合わされる利点が達成できる。これら上記の利点もまた、これら2つの供給設備が組み合わされる装置に関する参照により、本明細書中に包含される。金型キャビティを備える成形部の単純な構造によって十分であるだけでなく、
体積減少材もまた、封止用電子部品と接触することが避けられる。この変形例における
体積減少材は、封止用電子部品および担持体と接触しないため、
体積減少材は従って、望ましくない効果を持たない。これにより、適切な
体積減少材の選択可能性が向上する。また、封止材は、
体積減少材から物理的に離れたままであり、これにより
体積減少材と封止材が互いに望ましくない影響を及ぼしあうことも回避されることに留意されたい。
【0015】
体積減少材の簡単な供給は、
体積減少材用の供給手段が、
体積減少材をフィルム材上に配置するよう成されている場合に達成できる。
体積減少材は従って、供給手段によって金型キャビティに導入される必要もない。封止材を付着したフィルム材が成形部間のいずれかに載置されれば、
体積減少材がフィルム材上に配置されることで十分である。フィルム材の供給は従って、成形部間に
体積減少材を導入することにも用いられる。
【0016】
本発明を更に、以下の非限定的な実施形態に基づいて説明する。