(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133890
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】乗員保護手段のためのリリース装置の作動を制御する方法および装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/017 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
B60R21/017
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-547892(P2014-547892)
(86)(22)【出願日】2012年12月17日
(65)【公表番号】特表2015-500770(P2015-500770A)
(43)【公表日】2015年1月8日
(86)【国際出願番号】EP2012075793
(87)【国際公開番号】WO2013092490
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2014年6月19日
(31)【優先権主張番号】102011089147.1
(32)【優先日】2011年12月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・バルツ
【審査官】
飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−262201(JP,A)
【文献】
特開平11−048908(JP,A)
【文献】
特開2009−196541(JP,A)
【文献】
米国特許第05406127(US,A)
【文献】
特開平04−362443(JP,A)
【文献】
米国特許第05181011(US,A)
【文献】
特開平04−100755(JP,A)
【文献】
特開2007−022450(JP,A)
【文献】
特開平06−191375(JP,A)
【文献】
特開2003−072489(JP,A)
【文献】
米国特許第5898122(US,A)
【文献】
国際公開第00/30902(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/00−22/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員保護手段のためのリリース装置の作動を制御する方法(400)において、次の各ステップを含んでおり、すなわち、
リリースのために少なくとも2つのスイッチ(20,40)が活動化されて、前記乗員保護手段の少なくとも1つのリリース手段(31,32)を電圧供給部(UBat)と接続し、
前記少なくとも2つのスイッチ(20,40)のうちの前記電圧供給部(UBat)からアース電位(60)への電流方向で見て前記リリース手段(31、32)よりも前に取り付けられる第1のスイッチ(20)が活動化され(410)、
前記少なくとも2つのスイッチ(20,40)のうちの前記電圧供給部(UBat)から前記アース電位(60)への電流方向で見て前記リリース手段(31、32)よりも後に取り付けられる第2のスイッチ(40)が活動化され(420)、
前記第2のスイッチ(40)における出力電圧(UB)が検出され(430)、
前記出力電圧(UB)に依存して前記第2のスイッチ(40)が不活動化される(440a,440b)方法。
【請求項2】
前記方法は前記電圧供給部(UBat)への短絡が認識された後に実施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法(400)。
【請求項3】
少なくとも1つの乗員保護手段は誘導式のリリース手段(32)を有していることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記出力電圧(UB)が第1の時間帯(t1)の内部で出力電圧(UB)の所定の限界値(210,UMax)を上回ったまま保たれているとき、前記第2のスイッチ(20)は第1の時間帯(t1)の後に不活動化されることを特徴とする、請求項1から3のうちいずれか1項に記載の方法(400)。
【請求項5】
前記出力電圧(UB)が第1の時間帯(t1)の内部で出力電圧(UB)の所定の限界値(UMax)を下回るように降下したとき、前記第2のスイッチ(40)は前記第1の時間帯(t1)よりも長い第2の時間帯(t2)の後に不活動化されることを特徴とする、請求項1から4のうちいずれか1項に記載の方法(400)。
【請求項6】
乗員保護手段のためのリリース装置の作動を制御する装置(1)であって、
電圧供給部(UBat)への短絡を認識するための少なくとも1つの手段と、
前記電圧供給部(UBat)からアース電位(60)への電流方向で見て、前記リリース装置のリリース手段(31、32)よりも前に取り付けられている第1のスイッチ(20)と、
前記電圧供給部(UBat)から前記アース電位(60)への電流方向で見て前記リリース手段よりも後に取り付けられている第2のスイッチ(40)と、
前記第2のスイッチ(40)における出力電圧(UB)を検出するための少なくとも1つの手段とを有しており、
前記第1のスイッチ(20)と前記第2のスイッチ(40)とは乗員保護手段(31,32)をリリースするために設けられている、そのような装置において、
前記装置は、前記乗員保護手段が前記リリース装置によってリリースされた後、前記第2のスイッチ(40)における前記出力電圧(UB)に依存して前記第2のスイッチ(40)を前記装置が不活動化させるように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項7】
前記装置は少なくとも1つの乗員保護手段(32)をリリースするために設けられており、前記乗員保護手段は少なくとも1つの誘導式のリリース手段(32)を有していることを特徴とする、請求項6に記載の装置(1)。
【請求項8】
短絡を認識するための少なくとも1つの前記手段は周期的に作動することを特徴とする、請求項6または7に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員保護手段のためのリリース装置を作動させる方法、および乗員保護手段をリリースする装置、および制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術より、乗員保護手段のためのリリース装置を作動させる方法がすでにいくつか知られており、その場合、リリースのために少なくとも2つのスイッチ、いわゆるアウトプットステージが活動化されて、少なくとも1つのリリース手段を電圧供給部と接続する。
【0003】
通常の場合、乗員保護手段のためのリリース装置は電気式ないし電子式のコンポーネントである。さらにリリース装置は、高い物理的な力が車両に作用したときには、たとえば衝突が生じたケースなどでは、常に適用される。その際にはさまざまな理由から、点火電気回路で短絡が形成されるという事態が起こり得る。
【0004】
乗員保護手段のための現在のリリース装置では、点火電気回路で短絡が認識されたときでも、リリースのケースではアウトプットステージが常に活動化される。拘束手段を活動化させる機会がそれによって増える。ただしアウトプットステージは、短絡電流による負荷に備えて設計されていなければならない。
【0005】
活動化の後に高抵抗となる着火式のアクチュエータ(ベルトテンショナ、エアバッグ)とは異なり、誘導式のアクチュエータ(歩行者保護のための磁気スイッチ、ロールバーなど)では、リリース後にも点火回路に引き続き電流が流れているものと考えなくてはならない。それにより、リリース装置のいっそう高い負荷が生じる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の要諦は、供給電圧への電気的な短絡が生じた場合でも、乗員保護手段のリリースが可能であるように構成されている方法ないし装置ないし制御装置を提供することにある。本発明によると、このことは独立請求項の構成要件によって解決される。好ましい発展例と実施形態は、従属請求項から明らかとなる。
【0007】
乗員保護手段のためのリリース装置を作動させる本発明の方法は、リリースのために少なくとも2つのスイッチが活動化されて、少なくとも1つのリリース手段を電圧供給部と接続し、次の各ステップを含んでいる:
−乗員保護手段のためのリリース装置の第1のスイッチが活動化され、
−乗員保護手段のためのリリース装置の第2のスイッチが活動化され、
−第2のスイッチにおける出力電圧が検出され、
−出力電圧に依存して第2のスイッチが不活動化される。
【0008】
提案される本発明の方法の利点は、供給電圧への短絡が生じた場合でも、この方法によって乗員保護手段の活動化が可能であるという点にある。というのも第2のスイッチにおける出力電圧の検出により、第2のスイッチが活動化された後に検出される電圧の推移から、供給電圧への短絡が生じていることを認識することが可能だからであり、このような短絡は、第2のスイッチの活動化が長く続いた場合、リリース装置が回復不能な損傷を受けるという帰結につながる可能性がある。
【0009】
本発明による装置は、少なくとも1つの第1のスイッチと、少なくとも1つの第2のスイッチと、第2のスイッチにおける出力電圧を検出するための少なくとも1つの手段とを含んでいる。本装置は、乗員保護手段をリリースするために、少なくとも1つの第1のスイッチと少なくとも1つの第2のスイッチを活動化させなければならないように構成されている。さらに本装置は、第2のスイッチにおける出力電圧に依存して、本装置が第2のスイッチを不活動化させるように構成されている。
【0010】
リリース装置とは、本件においては、たとえば1つまたは複数のエアバッグ、1つまたは複数のベルトテンショナ、位置調節可能な、いわゆるアクティブな1つまたは複数のヘッドレスト、位置調節可能な、特に繰出し可能な1つまたは複数のロールバーなどの乗員保護手段をリリースないし活動化するために構成されたコンポーネントであると理解することができる。
【0011】
スイッチとは、本件においては、電気回路を開閉するために構成されたコンポーネント、好ましくは電子コンポーネントであると理解することができる。このようなスイッチは、離散したコンポーネントとして、または集積化されたコンポーネントの一部として、いわゆるAISCの一部として設けられていてよい。スイッチとしての機能のほか、このようなコンポーネントは、電圧、特に出力電圧をコンポーネントで検出し、適切に出力するために相応の手段も有することができる。
【0012】
第1のスイッチないしハイサイドという用語を使うのは、本件においては、スイッチが回路において、エネルギー源からアース電位への電流方向で見てリリース装置よりも前に取り付けられているときである。それに応じて第2のスイッチないしローサイドという用語を使うのは、本件においては、スイッチが回路において、エネルギー源からアース電位への電流方向で見てリリース装置よりも後に取り付けられているときである。
【0013】
乗員保護手段を作動させる方法の実施にあたって、ないしは乗員保護手段をリリースする装置において発生することがある短絡シナリオは、次の3通りのケースに区分することができる。
【0014】
ケースA:供給電圧への短絡が、第1のスイッチに低抵抗で印加される。第2のスイッチが活動化するとただちに、第2のスイッチにおける出力電圧は、第1および第2のスイッチの間のたとえば着火式および/または可逆式ないし電磁式の点火手段のような負荷(RLAST)の(抵抗)インピーダンスに対する、導通された第2のスイッチの内部抵抗(RDS)の比率で降下する(小さい値)。このとき電流は指数関数的に増大し、乗員保護手段のリリース手段の負荷によって制限される。定義された時間(たとえば3ms)の後、第2のスイッチおよび場合により第1のスイッチが不活動化される。現代のリリース装置はこのような負荷ケースに備えて設計されており、それによって回復不能な損害を受けることはない。さらに、このような制御によって乗員保護手段が成功裏にリリースされる。
【0015】
ケースB:供給電圧への短絡が、第2のスイッチに低抵抗で印加される。第2のスイッチが活動化するとただちに、第2のスイッチにおける出力電圧は変化するものの、それは高いレベルのまま保たれる(スイッチオフ閾値よりも上)。第2のスイッチおよび場合により第1のスイッチが最短の時間内(約100μs)に再びスイッチオフされないと、非常に高い通電によってリリース装置が回復不能な損傷を受ける可能性がある。したがって本発明では、ケースBが認識された後、第2のスイッチおよび場合により第1のスイッチが再び不活動化される。リリース装置を通る非常に高い電流によって生じる恐れがある熱負荷が、それによって制限される。それによりリリース装置が回復不能な損傷に対して守られるという利点がある。乗員保護手段のリリースは、このケースでは保証することができない。それでもリリース装置は健全に保たれることが保証される。
【0016】
ケースC:供給電圧への短絡が、第2のスイッチに高抵抗ないし不安定に印加される。第2のスイッチが活動化されるので、供給電圧への短絡は電流上昇によって解消され、出力電圧はケースAと同様に降下する。ケースBのような早期のスイッチオフは、このケースでは必要ない。リリース装置は発生する負荷に備えて設計されており、回復不能な損害を受けることはない。乗員保護手段のリリースを保証することができる。
【0017】
本発明の方法における利点は、あらかじめ短絡が認識されているケースで、それにもかかわらず、乗員保護手段のリリースが可能なことである(特に、第2のスイッチが閉じたときに短絡が解消された場合も含む)。
【0018】
本発明の方法における利点は、供給電圧への短絡が認識された後でも実施されることにある。短絡が認識されたとき、現在では2通りのストラテジーがある。一方では、拘束手段をリリースさせようと引き続き試みられる。その場合、リリース装置が高い短絡電流によって回復不能な損害を受けるという事態が起こり得る。他方では、リリース装置を高い通電から防護するために、乗員保護手段のリリースが中断される。本発明による方法は、特定の短絡シナリオ(たとえばケースAまたはケースC)では乗員保護手段のリリースを確保し、それに対して、乗員保護手段のリリースがもともと行われないはずのシナリオ(たとえばケースB)では、回復不能な損害からのリリース装置の防護が確保され、これに加えて貴重なエネルギーが節約されることを可能にする。それにより、小型でそれに伴って省スペースかつ低コストなリリース装置のエネルギーリザーブを採用することが可能であるという利点がある。
【0019】
本発明による方法の1つの好ましい実施形態では、本方法は供給電圧への短絡が認識された後に実施される。このような本方法の実施形態では、短絡が生じていないのに、たとえばエネルギーリザーブのような資源を本発明による装置で利用しなければならなくなることが回避される。それにより、既存の資源が最善に活用される。
【0020】
少なくとも1つの可逆式ないし誘導式のリリース手段を有する乗員保護手段をリリースするために、本発明による方法が適用されるのが特別に好ましい。非可逆式ないし着火式の点火手段とは異なり、可逆式ないし誘導式のリリース手段はリリース後に高抵抗にならない。このことは、乗員保護手段のリリース後も電流がリリース手段を通って流れることができるようにすることが可能であることを意味している。このことは、短絡のケースでは、非常に高い短絡電流がリリース手段を通って流れることがあることを意味している。このような高い短絡電流は、リリース装置の回復不能な損傷が生じる恐れがあるという危険をもたらす。本発明の方法により、こうした危険への対処がなされるという利点がある。
【0021】
本件において可逆式のリリース手段とは、その使用期間中に複数回リリースされるのに適している手段であると理解することができる。このような可逆式のリリース手段の例は、誘導式の部材によって作動する電磁アクチュエータである。このようなアクチュエータは、典型的な場合、少なくとも2つの位置を有している。第1の位置ないし休止位置と、第2の位置ないし作業位置である。このようなアクチュエータの活動化は、このようなアクチュエータを休止位置から作業位置へと動かす。そして典型的な場合、このようなアクチュエータは再び作業位置から休止位置へ戻すことができる。しかしながら本発明は、考えられるあらゆる種類の可逆式のリリース手段を対象とするものである。
【0022】
本発明による方法の1つの好ましい実施形態では、出力電圧が第1の時間帯の内部で出力電圧の所定の限界値を上回ったまま保たれているとき、第2のスイッチは第1の時間帯の後に不活動化される。第2のスイッチの活動化の後に出力電圧が降下しないとき、ケースBの短絡が生じている。ケースBに掲げる短絡のケースでは、点火電流を長く維持していると、リリース装置の破損を生じさせる恐れのあるリリース装置の熱負荷を生成することになる。したがって第1の時間帯の後には、乗員保護手段の活動化の試行が中断される。典型的な場合、この第1の時間帯は数百μsのオーダーである。場合により、この第1の時間帯の後に第1のスイッチも不活動化される。
【0023】
本発明による方法では、出力電圧が第1の時間帯の内部で出力電圧の所定の限界値を下回るように低下したとき、第2のスイッチは第2の時間帯の後に不活動化されるのが好ましい。第2のスイッチの活動化の後、第2のスイッチにおける出力電圧が所定の限界値、いわゆるスイッチオフ閾値を下回るように低下したとき、ケースAまたはケースCに掲げる短絡シナリオが生じている。いずれのケースでも、発生する負荷はリリース手段によって制限される。このことは、高い電流がリリース手段を通って流れることがあり得ず、それによりリリース装置の高い熱負荷も生じないという帰結につながる。したがって、リリース装置が破損する危険はない。このとき第2の時間帯は、乗員保護手段を型式に即してリリースするために通常の場合に必要となる時間帯である。典型的な場合、この第2の時間帯は数ミリ秒の範囲内であり、たとえば3msである。場合により、この第2の時間帯の後に第1のスイッチも不活動化される。
【0024】
本発明による方法では、第1の時間帯は第2の時間帯よりも短いのが好ましい。特に第1の時間帯は、少なくとも10の1乗だけ第2の時間帯よりも短い。第1の時間帯が第2の時間帯よりも大幅に短くなっており、第1の時間帯の内部で、リリースの試行の中断が好ましいか否かが決まることにより、本発明による方法は、リリース装置が熱による過負荷から守られるように作用するという利点がある。
【0025】
本発明による装置の1つの好ましい実施形態では、本装置は、供給電圧への短絡を認識するための手段を有している。短絡を認識するための手段とは、本件においては、たとえば電圧の大きさ、電流の強度、電圧の推移のような適当な物理量を本装置の他のコンポーネントで検出することで短絡の存在を認識し、そのうえで適当な信号を出力するコンポーネントであると理解することができる。
【0026】
本発明による装置の1つの好ましい実施形態では、短絡を認識するための手段は周期的に作動する。周期的な作動により、短絡がすでに早期から認識され、リリース手段の活動化が行われるべきときに初めて認識されるのではないという利点がある。
【0027】
本発明による装置の1つの好ましい実施形態では、本装置は時間帯を検出するための手段を有しており、特に、時間帯を検出するための手段は、該手段が少なくとも10の1乗だけ相違している時間帯を検出するように構成されている。このような手段を利用することで、本装置が、短絡のケースで可能な最短の時間後に第2のスイッチを不活動化させることができるという利点がある。ケースBに掲げる短絡のケースでは、リリース手段を通るそれ以上の通電を可能な限り早急に防止し、それによって高すぎる熱負荷やリリース手段の考えられる破損が防止されるようにすることが無条件で必要である。
【0028】
本発明の実施例が以下の図面に示されており、以下の説明において詳しく説明する。各図面では、同じ符号は同じ機能または類似の機能を果たす部材を表している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明の一実施形態に基づくリリース装置の回路図を示している。符号10は供給電圧を表しており、符合20は第1のスイッチないしハイサイドを表しており、符号31は着火式のリリース手段を表しており、符合32は誘導式のリリース手段を表しており、符合40は第2のスイッチないしローサイドを表しており、符号50は(代替の)抵抗器RDSonを表しており、符合60はアース電位を表している。
【0031】
点AおよびBは、供給電圧10への短絡が発生する可能性がある個所を示している。点Aで短絡が起こると、ハイサイド20での短絡という表現が用いられる。この短絡が低抵抗で生じているとき、これはケースAの短絡である。短絡が点Bで起こると、ローサイド40での短絡という表現が用いられる。この短絡が低抵抗で生じているとき、これはケースBの短絡である。それに対して短絡が高抵抗ないし不安定で生じているとき、これはケースCの短絡である。
【0032】
図2は、点Aでの短絡シナリオについての電圧・時間グラフを、着火式のリリース手段31ないし誘導式のリリース手段32について示している。鎖線は、点Aにおける着火式のリリース手段31の電圧推移を示している。実線の曲線は、点Aにおける誘導式のリリース手段32の電圧推移を示している。水平方向の破線は、スイッチオフ閾値210を示している。
【0033】
時点t0で第2のスイッチが閉じられる。第1の時間t1の後の時点t1で、第2のスイッチが再び開かれるか、それとも第2のスイッチを閉じたまま保っていてよいかが決定されなければならない。時点t2では、少なくとも誘導式のリリース手段の場合、リリースが行われる。
【0034】
このグラフで明らかにわかるとおり、着火式のリリース手段31では、点火手段がリリースされた後に電圧推移が少しのあいだ降下し、時点t2の後で電圧推移は再び短絡電圧レベルまで上昇していく。着火式の点火手段はリリース後にもともと破壊されるので、短絡電圧は重要ではない。短絡電流が流れることはないからである。高すぎる熱負荷は排除されており、リリース手段は健全なままに保たれる。
【0035】
このグラフでは、ケースAとBにおいて誘導式のリリース手段32の場合に高い短絡電圧が降下し、誘導式のリリース手段32の負荷とスイッチオフ閾値210によって電圧推移が制限されることが明らかにわかる。したがって、高すぎる熱負荷は排除されており、リリース手段は健全なままに保たれる。
【0036】
図3は、誘導式のリリース手段32について点Bでの別の電圧・時間グラフを示している。実線は、誘導式のリリース手段32についての電圧推移を示している。水平方向の破線は、スイッチオフ閾値210を示している。
【0037】
このグラフで明らかにわかるとおり、時点t0で若干の電圧降下が起こっている。しかしこの電圧降下は、時点t1およびt2を通じて高いレベルのまま保たれる。このように高い電圧は、誘導式のリリース手段32の場合に該当するように抵抗が一定のとき、高い電流を生じさせる。このような高い電流は、リリース手段の高い熱負荷を生じさせる可能性がある。そのようなケースでは、できる限り時点t1よりも前に第2のスイッチを不活動化することで、高すぎる熱負荷およびこれに伴うリリース手段の破損を防ぐことができる。
【0038】
図4は、本発明による方法のフローチャートを示している。ステップ410では、第1のスイッチないしハイサイド20の活動化が行われる。ステップ420では、第2のスイッチないしローサイド40の活動化が行われる。ステップ430では、第2のスイッチ40における出力電圧(U
B)の検出が行われる。次いで、ステップ430で検出された出力電圧に依存して、ステップ440aで、第1の時間t
1の後に第2のスイッチ40の不活動化が行われるか、またはステップ440bで、第2の時間t
2の後に第2のスイッチ40の不活動化が行われる。
【0039】
図面に示す上述した実施例は、一例として選択されたものにすぎない。それぞれ異なる実施例は全面的に、または個々の構成要件に関して、相互に組み合わせることができる。1つの実施例に、別の実施例の構成要件を補足することもできる。さらに本発明による方法ステップは、反復して、ならびに上述した順序とは別の順序で実施することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 装置
20 第1のスイッチ
31 リリース装置
32 リリース装置
40 第2のスイッチ
210 限界値
400 方法
420 活動化
430 検出
440a,440b 不活動化