特許第6133900号(P6133900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133900
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】動力車のパワートレインの適応制御
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/182 20120101AFI20170515BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20170515BHJP
   B60K 6/20 20071001ALI20170515BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20170515BHJP
   F02D 11/10 20060101ALI20170515BHJP
   B60L 11/14 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   B60W30/182
   B60W10/06 900
   B60K6/20ZHV
   B60W10/08 900
   F02D11/10 K
   B60L11/14
【請求項の数】19
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-553732(P2014-553732)
(86)(22)【出願日】2013年1月25日
(65)【公表番号】特表2015-508032(P2015-508032A)
(43)【公表日】2015年3月16日
(86)【国際出願番号】EP2013051442
(87)【国際公開番号】WO2013110761
(87)【国際公開日】20130801
【審査請求日】2014年8月20日
(31)【優先権主張番号】1201203.5
(32)【優先日】2012年1月25日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512308720
【氏名又は名称】ジャガー ランド ローバー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Jaguar Land Rover Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ダーネル
(72)【発明者】
【氏名】エリオット・ヘメス
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ロバーツ
【審査官】 増子 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−025938(JP,A)
【文献】 米国特許第05265570(US,A)
【文献】 特開2008−232110(JP,A)
【文献】 特開2007−315202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 − 50/16
B60K 6/20 − 6/547
F02D 9/00 − 11/10
F02D 41/00 − 41/40
F02D 43/00 − 45/00
F02D 29/00 − 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の動力装置の推進要求に関する複数の異なるフィルタをブレンド調整して、車両の操作モードに応じて推進要求をより長く遅延させるか、より短く遅延させる方法であって、この方法は、
車両の現時点での操作モードを検知するステップと、
現時点での操作モードに適したソースフィルタを推進要求に適用するステップと、
ソースフィルタは、推進要求に対して車両のパワートレインが応答するまでの第1の遅延時間を表し、パワートレインにより実現される推進要求のタイミングを遅延させるものであり、
車両の操作モードの変更を検知し、かつ推進要求に対して変更された操作モードに適したターゲットフィルタを選択するステップと、
ターゲットフィルタは、推進要求に対して車両のパワートレインが応答するまでの第2の遅延時間を表し、パワートレインにより実現される推進要求のタイミングを遅延させるものであり、
推進要求に適用される遅延時間を第1の遅延時間から第2の遅延時間に漸進的に変化させるように、時間をかけて、ソースフィルタからターゲットフィルタへブレンド調整するステップと、
推進要求に呼応して、ソースフィルタからターゲットフィルタへのブレンド調整に基づいて車両の動力装置の出力トルクの変化を制御するステップとを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
ソースフィルタは第1の時定数であり、
この方法は、ソースマップを定義するために、アクセルペダル位置と出力トルクの特性に対して第1の時定数を適用するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ターゲットフィルタは第2の時定数であり、
この方法は、ターゲットマップを定義するために、アクセルペダル位置と出力トルクの特性に対して第2の時定数を適用するステップを有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
アクセルペダル位置を電気出力信号に関連付ける特性に第1および第2の時定数を適用して、電気出力信号の変化が推進要求を示すことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項5】
ブレンド調整するステップは、時間をかけて、ソースマップからターゲットマップへ漸進的に変化させるステップを有することを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
一定のレートで漸進的にブレンド調整するステップを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の方法。
【請求項7】
ソースマップとターゲットマップの間の差異の単位時間当たりの完了度合の百分率でブレンド調整するステップを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の方法。
【請求項8】
車両の推進要求を検知するステップと、
車両の操作モードの変更に付随する出力トルク特性のブレンド調整の完了度合に応じて、ソースフィルタからターゲットフィルタまたはソースマップからターゲットマップまでのブレンド調整の完了度合を示す百分率を決定するステップとを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載の方法。
【請求項9】
出力トルク特性のブレンド調整が行われているときに、ソースフィルタからターゲットフィルタまたはソースマップからターゲットマップまでのブレンド調整の完了度合を示す百分率を実質的に連続的に決定するステップを有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ブレンド調整の完了度合を示す百分率は、10Hz以上の周波数で実質的に連続的に決定されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
出力トルク特性のブレンド調整が行われているときに、後続の推進要求を検知するステップと、
車両の異なる操作モードに付随する出力トルク特性のブレンド調整の完了度合および検知された後続の推進要求に応じて、ソースフィルタからターゲットフィルタまたはソースマップからターゲットマップまでのブレンド調整の完了度合を示す新しい百分率を決定するステップを有することを特徴とする請求項8〜10のいずれか1に記載の方法。
【請求項12】
操作状態の検出結果に応じて車両の操作モードを自動的に変更するステップを有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1に記載の方法。
【請求項13】
エンジンおよび電気マシンの中から選択された少なくとも1つの手段を用いてトルクを出力するステップを有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1に記載の方法。
【請求項14】
車両の動力装置の推進要求に関する複数の異なるフィルタのブレンド調整を制御して、車両の操作モードに応じて推進要求をより長く遅延させるか、より短く遅延させることにより、車両に加わる推進力を決定する制御システムであって、
この制御システムは、
車両の現時点での操作モードを検知し、
現時点での操作モードに適したソースフィルタを推進要求に適用し、
ソースフィルタは、推進要求に対して車両のパワートレインが応答するまでの第1の遅延時間を表し、パワートレインにより実現される推進要求のタイミングを遅延させるものであり、
車両の操作モードの変更を検知し、かつ推進要求に対して変更された操作モードに適したターゲットフィルタを選択し、
ターゲットフィルタは、推進要求に対して車両のパワートレインが応答するまでの第2の遅延時間を表し、パワートレインにより実現される推進要求のタイミングを遅延させるものであり、
推進要求に適用される遅延時間を第1の遅延時間から第2の遅延時間に漸進的に変化させるように、時間をかけて、ソースフィルタからターゲットフィルタへブレンド調整し、
推進要求に呼応して、ソースフィルタからターゲットフィルタへのブレンド調整に基づいて車両の動力装置の出力トルクの変化を制御するように構成されたことを特徴とする制御システム。
【請求項15】
ソースフィルタおよびターゲットフィルタの各フィルタは、車両の現時点での操作モードに応じて選択された時定数を有するようなプロセッサを備えたことを特徴とする請求項14に記載の制御システム。
【請求項16】
プロセッサは、推進要求に付随する遅延時間を変更するために、ソースフィルタの時定数をターゲットフィルタの時定数に漸進的に変更するように構成されたことを特徴とする請求項15に記載の制御システム。
【請求項17】
複数の操作モードを有する車両であって、
各操作モードが出力トルクとアクセルペダル位置との間の異なる特性を有し、請求項14〜16のいずれか1に記載の制御システムを備えたことを特徴とする車両。
【請求項18】
エンジンおよび電気マシンの中から選択された少なくとも一方により、トルクを出力することを特徴とする請求項17に記載の車両。
【請求項19】
ブレンド調整されたソースフィルタおよびターゲットフィルタを推進要求に適用することにより車両を駆動するステップを有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、動力車のパワートレインの適応制御に関する。特に、本発明に係る実施形態は、これに限定するものではないが、とりわけエンジン動作モードが変化する中で、オペレータの要求に対するエンジンに呼応した内燃エンジン等のパワートレインの動力源の適応制御に関する。エンジン操作モードは、エンジンが搭載された車両の操作モード(たとえば車両走行中の地形に関連する操作モード)の変更に付随して変化する。本発明の態様は、システム、方法、および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の内燃エンジンは、ドライバにより選択可能な動作モードを有する。すなわち、いくつかの車両は、エコノミーモード、ノーマルモード、およびスポーツモードを有し、各モードは、1つまたはそれ以上のドライバ要求に対して異なるエンジン応答を有する。典型的には、エンジンは、アクセルペダルの所与の入力に対して各モードで異なった応答を示し、エコノミーモードでの応答性が最も低く、スポーツモードでの応答性が最も高い。このように、たとえばエンジンの所望の出力トルク特性に適したアクセルペダルの可動範囲を設定することにより、車両の運転操作性を改善することができる。こうしたシステムは、詳細後述する複数のアクセルペダル位置/出力トルクのマップを有する電子制御ユニットに入力信号を出力する加速度計ポテンショメータ等、車両ドライバからの電気的インプットに必然的に依拠する。これらのマップは、アクセルペダル移行マップまたはペダル移行マップという。
【0003】
別の種類の動作モードは、車両が走行しようとしている地形に関する。ここに参考として一体に統合される米国特許第7,349,776号は、広範な運転状況に対して、特にオフロード走行中に遭遇し得る数多くの異なる地形に対して改善された制御方法を実現できる車両制御システムを開示している。地形に関するドライバが入力した要求に応じて、車両制御システムは、1つのまたはそれ以上の地形応答(TR)モードを含む数多くの異なる動作モードの内の1つの動作モードで動作するように選択される。各地形応答モードに対して、さまざまな車両サブシステムが対応する地形に適した手法で動作する。
【0004】
1つの実施形態において、前進第1ギア以外の第2ギアで静止状態から発進するとき、車輪が過剰にスリップするリスクを低減するように車両を構成するモード(冬仕様モード)を利用することができる。異なるモードにおいて、アクセルペダルマップ(所与のアクセルペダル位置に対して生じるエンジントルク量)、トルク伝達(ギアシフトを行う頻度を決定するように変速機クラッチの制御された係合頻度に関連したアクセルペダルマップ)、および表面摩擦係数の関数としての変速シフトポイントは、それぞれ異なる。たとえば、1つまたはそれ以上の地形応答モードにおいて、変速シフトは、より緩やかに(より緩慢な頻度で)行われた頻度より遅く行われるように構成される。
【0005】
すなわち、その地形に適した1つまたはそれ以上のアクセルペダル位置/トルクマップをドライバが選択するようにしてもよい。たとえば岩石の多い地形を走行するときは、わずかなアクセル動作に対して、大きなトルク出力を示唆し、岩石の段差を乗り越えるように瞬発力を与えるものであってもよい。逆に砂地を走行する場合は、車両がスピン回転するのを避け、穴をつくることのないように、同じアクセル動作に対して、より小さいトルク出力を示唆するものであってもよい。ある程度、選択されたトルクマップは、地形上の利用可能なグリップ力に関連して判断すべき事項である。
【0006】
図1は、パワートレイン101Pを有する既知の動力車101を示す。パワートレイン101Pは、エンジン121、トランスミッション(変速装置)124、動力テイクオフユニット(動力取出ユニット、PTU)137、後輪のドライブシャフトまたはプロペラシャフト131Rと、前輪のドライブシャフトまたはプロペラシャフト131Fとを有する。後輪のドライブシャフト131Rは、後輪ディファレンシャル(後輪作動装置)135Rを介して一対の後輪113,114を駆動するように動作可能であり、前輪のドライブシャフト131Fは、前輪ディファレンシャル(前輪作動装置)135Fを介して一対の前輪111,112を駆動するように動作可能である。
【0007】
車両101は、アクセルペダル161からのアクセルペダル位置信号を受信するように構成されたエンジンコントローラ121Cと、ブレーキペダル161からのブレーキペダル位置信号を受信するように動作可能なブレーキコントローラ141Cとを有する。
【0008】
図1の構成において、トランスミッション124は、2輪駆動操作または4輪駆動操作を選択できるように、動力テイクオフユニットPTU137を介して後輪ドライブシャフト131Rと着脱可能に接続されている。
【0009】
動力テイクオフユニットPTU137は、入力シャフトと出力シャフトとの間のギア比が高速比または低速比に選択される「高速比」構成または「低速比」構成で動作可能である。高速比構成は、一般的なオンロード走行または「高速道路」走行に適し、低速比構成は、特定のオフロード地形および牽引時等の他の低速走行に対応するのにより適したものである。
【0010】
車両101は、車両制御ユニット(VCU)101Cと呼ばれる中央コントローラ101Cを有する。車両制御ユニット(VCU)101Cは、車両に搭載されるさまざまなセンサおよびサブシステムに信号を出力し、これらからの信号を受信する。
【0011】
車両101は、トランスミッション124の必要とされる操作モードを選択するように動作可能な変速機モード選択ダイヤル124Sを有する。選択ダイヤル124Sは、変速機コントローラ124Cに制御信号を出力することにより、選択されたモードに応じてトランスミッション124を操作するように制御する。利用可能なモードは、パーク(駐車)モード、バック(後方走行)モード、およびドライブモードである。
【0012】
また車両101は、地形応答モード選択ダイヤル128Sを有する。地形応答モード選択ダイヤル128Sは、車両操作の必要とされる地形応答モードを選択するようにドライバにより操作することができる。
【0013】
理解されるように、ユーザがトランスミッション124のドライブモードを選択したとき、エンジンコントローラ121Cは、ドライブモードのアクセルペダル移行マップを用いて、アクセルペダル位置Pの関数としてエンジンが出力すべきドライブトルク量Tを決定する。ユーザが「ダイナミック」地形応答モードを選択したとき、エンジンコントローラ121Cは、ドライブモードのアクセル(スロットル)ペダル移行マップの代わりに、スポーツモードのアクセルペダル移行マップを用いる。アクセルペダル移行マップにおいて、スポーツモードマップは、アクセルペダル161の所与の初期移動(踏込等)に対して、エンジンがより攻撃的に応答するように構成される点で異なる。
【0014】
異なるユーザ選択可能な地形応答モードに対して、それぞれ異なるアクセルペダル移行マップが採用される。
【0015】
上述のように、いくつかの実施形態では、車両は、支配的な運転状態に適した地形応答モードを自動的に選択するように動作可能である。
【0016】
図2は、アクセルペダルの踏込量が0%から最大100%の範囲で推移するアクセルペダル位置Pの関数としてのトルク出力Tを表すプロット(グラフ)の形態を有する2つの異なるアクセルペダル移行マップを示す。2つの極端な車両操作モードA,Bが図示されている。操作モードAは、当初段階で控えめな(用心深い)アクセルペダル移行マップであり、たとえば砂上走行中に適した地形応答モードに対応するものである。操作モードBは、当初段階でより強引な(攻撃的な)トルクマップであり、岩石地形上の走行中に適した地形応答モードに対応するものである。ドライバは、地形応答モード選択ダイヤル128Sを用いて、モードAまたはモードBに応じて操作を選択することができる。いくつかの車両において、異なるトルクマップが車両制御ユニット(VCU)101Cにより自動的に選択されてもよい。
【0017】
車両性能を改善し、ドライバが支配的状況に基づいて急激または円滑に加速または減速できるようにドライバを支援するために、ドライバの要求に対する車両エンジン121の応答をフィルタ処理してもよい。すなわち駆動の要請があると、車両操作モードの関数としての操作特性に基づいて、車両エンジン121からのトルクTを多かれ少なかれ増大させることができる。
【0018】
(たとえば足を離して)負の駆動の要請があると、エンジンが出力するトルクTを多かれ少なかれ直ちに低減させることができる。すなわちエンジンは、たとえば砂地表面より岩石表面の方がより迅速に応答する。本願において、「推進要求」の用語は、アクセルペダル位置Pの変化を意味し、正の推進要求(エンジン速度/エンジントルクの増大)および負の推進要求(エンジン速度/エンジントルクの低減)の両方を含む。一例として、車両が岩石路面上を素行しているときにアクセルペダルを離すと、比較的に迅速に(いくつかの実施形態ではできるだけ迅速に)トルクは低減され、あまりにも短時間で障害物に乗り上げる可能性をできるだけ小さくすることができる。逆に、砂地路面では、アクセルペダルを離したとき、より緩慢にトルクを低減させることが好ましい場合がある。これは、アクセルペダルを離したときのエンジン抵抗(エンジンドラッグ)が大きいことにより、車両の1つまたはそれ以上の車輪が砂地に沈み込んで、その後に車両を引き上げることがより困難となるためである。
【0019】
推進要求は、アクセルペダル161をゼロアクセルペダル位置(足を離した状態)からの移動を伴うものであり、またはアクセルペダルをゼロアクセルペダル位置以外のアクセルペダル位置からの移動を伴うものであってもよい。典型的には、アクセルペダル位置Pは、適当な周期(時間的間隔)でサンプリングされ、アクセルペダル位置Pの変化は、新たな(正または負の)推進要求を意味し、車両エンジン121は、この推進要求により、アクセルペダル位置Pの選択された(エンジントルクTの関数としての)マップに従って応答するように命令される。
【0020】
択一的には、ペダル移行マップは、車両の車輪にかかるトルク、パワー出力、牽引力、燃料フロー、空気フロー、またはアクセルペダルの移動およびエンジン出力トルクに応じて変化する任意の測定可能な指標等、エンジン出力トルクに準ずるものに、アクセルペダル位置Pを関連付けるものであってもよい。エンジン出力トルクは、電気モータまたはこれに準ずるもの(たとえばモータ電流)の他の形態の動力パワーを示すものであってもよい。
【0021】
エンジン出力トルクに準ずるもの(類似するもの)が数多く知られており、エンジン出力トルクは、使いやすい直接的な指標であるが、ペダル移行特性の変化を定義するために、より類似するものの1つを用いることを排除するものではない。
【0022】
さらにアクセルペダル位置Pは、通常、プロセッサで利用される電気信号に変換され、この電気信号は、選択されたペダル移行マップに従ってエンジン出力トルクを要求するものである。アクセルペダル位置Pとこの電気信号との関係は、電気信号がアクセルペダル161の移動に伴って比例的に変化するような線形特性により定義されるものであってもよい。電気信号は典型的には電圧であり、アクセルペダル位置Pの関数としての電気信号の形態を、本願ではペダル信号マップという。
【0023】
図2に示す具体例において、50%のアクセルペダル位置Pにおいて、モードBに対応する実線で示す特性(11)は、エンジン121がほぼ100%のエンジントルクTを出力することを示し、モードAに対応する一点鎖線で示す特性(13)は、エンジン121が最大トルクの約25%しか出力しないことを示す。後者の場合、100%のトルクは、アクセルペダル161を100%移動(踏み込んだ)場合にのみ出力される。破線(12)は中間的な特性を示す。モードAの特性は、典型的には砂地路面等の柔らかい地形に対応するものであり、モードBの特性は、典型的には岩石路面等の硬い地形に対応するものである。
【0024】
モードが瞬間的に変更されたときに、ドライバがエンジン出力トルクTの急激な変化を感じないように時間をかけて1つのアクセルペダル移行マップから別のアクセルペダル移行マップにブレンド調整(融合調整、blending)を行う技術が知られている。このブレンド調整は、車両制御ユニット(VCU)101CがモードAからモードBに、すなわち特性(13)から特性(11)に切り換えたときに、たとえば50%のアクセルペダル位置Pにおいて、エンジントルクが25%から最大トルクの100%まで直ちに増大することを回避するものである。ブレンド調整は、完了するまで20秒を要するものであってもよい。
【0025】
図3は、エンジントルクTがゼロからの増大が、より迅速にもまたはより緩慢に、選択されたペダル移行マップに示されたエンジン121のターゲット出力トルク(目標とする出力トルク)に達するように、ドライバの推進要求が地形状態に応じて修正される既知のフィルタを図示するものである。フィルタの用語は、アクセルペダル位置Pの移動により入力されるドライバの推進要求が、入力信号を出力信号に変換する特性に応じて、車両制御ユニット(VCU)101Cにより実現されることを意味するものである。
【0026】
フィルタ特性は、ドライバの推進要求が、エンジントルクTの対応する増大(または減少)を要求するときに、車両制御ユニット(VCU)101Cにより実現されるタイミングを遅延させるような単純なタイムシフト特性(時間をずらす特性)であってもよい。すなわち、ドライバがアクセルペダル161を位置P1から位置P2までレート(勾配)P' で踏み込んだ場合、車両制御ユニット(VCU)101Cが要求するトルクは、信号を受信して予め設定された所定時間が経過した後にのみ、位置P1に対応するトルクT1から位置P2に対応するトルクT2に増大させるものであってもよい。製造者または整備担当者が所定時間の値を設定できるように、この所定時間は設定可能(調整可能)なものである。この所定時間そのものは、エンジン速度、車両速度、エンジントルクT、選択された車両操作モード、または他の任意の適当なパラメータのうちの1つまたはそれ以上のパラメータに依存するものであってもよい。
【0027】
択一的または追加的な他のフィルタ特性が有用である。実際には、図2の特性に応じてトルクを出力するエンジン121の応答は、車両制御ユニット(VCU)101Cを用いて、より長くまたは短く遅延させるが、たとえば2秒間の最大時間でターゲットトルクTに達するように意図されている。
【0028】
図3は、所与の出力トルク特性において、時間tに対するアクセルペダル位置Pをプロットしている。実線21は、ペダル位置Pを示し、トルクが短い時間内で最小値から最大値(100%)まで急激に推移することを示す。
【0029】
点線22は、車両の1つの操作モードに対するエンジン出力トルクTを示し、このとき(ペダル位置P、実線21の)推進要求が迅速なエンジン応答を与えるものである。この(点線22の)エンジン出力トルクTは、アクセルペダル位置Pの変化に密接に追随し、エンジン121の応答速度は実質的に修正されるものではない。この操作モードは、硬い地形に対して典型的なものであり、エンジン出力トルクTは、選択されたペダル移行マップに示すターゲットトルクに実質的に直ちに達する。
【0030】
破線23は、草、砂利、または雪等の滑りやすい路面に対して典型的な操作モードに関し、より大きく(より高い修正度で)フィルタ処理された推進要求に基づいたエンジン出力トルクTを示すものである。この具体例におけるフィルタ処理されない推進要求は、図3の実線21に対応する。このとき推進要求は、エンジン出力トルクTをより緩慢に増大させ、車両の車輪111〜114がスピンすることを防止する。破線23の場合、エンジン出力トルクTのレートは、特性22と比較して、若干低減されている。
【0031】
図3の一点鎖線24は、砂地路面に典型的な操作モードに適した、より極端なフィルタ処理を示し、このとき車輪がスピンして、車両101が穴を掘り、立ち往生することがある。この場合、エンジン出力トルクTは、推進要求の応答に対して、より緩慢に増大する。
【0032】
図3の特性は、単なる具体例であり、当業者ならば、車両101および操作状態に最も適したエンジン応答を得るように変更することができる。図示のように、すべての特性に対して1〜2秒でターゲット出力トルクTに達するが、他の時間も同様に有用である。
【0033】
理解されるように、負の推進要求に関して同一の技術を適用して、選択されたペダル移行マップに応じて、より迅速または緩慢にエンジン出力トルクTを低減させることができる。
【0034】
実際には、すべての推進要求に対してフィルタ処理を適用してもよく、そのフィルタ処理は、無視できるものであってもよいし(たとえば特性22)、または実質的なものであってもよい(たとえば特性24)。図1に示す車両において、特性22は、岩石徐行モードに対応し、特性24は、砂地モードに対応する。
【0035】
各モードは、典型的には、エンジンコントローラ121Cまたは車両制御ユニット(VCU)101C等のエンジン制御ユニット(ECU)のメモリデバイス内に格納され、車両操作状態を新たに選択または検出したときに自動的に実行される。
【0036】
図3を参照して上記説明した具体例は、アクセルペダル位置Pをエンジン出力トルクTに関連付けるペダル移行マップに対してフィルタ処理を行うものである。択一例では、同様(同一)の結果を得るために、ペダル信号マップに対して信号処理を行うことも可能である。新たな車両操作状態を検知することにより、新たに検知された車両操作状態に適したレートでエンジン出力トルクTを増減させることを意図して、適当にフィルタ処理されたペダル信号マップが選択される。
【0037】
車両ドライバが択一的な操作モードを選択した場合、エンジン応答特性の変更は、通常、これに車両ドライバが驚くことはなく、予想されたものであり、好ましいものである。しかしながら、車両が検知した操作状態の変化に応じて操作モードが自動的に選択された場合、問題が生じることがある。すなわち車両は、たとえば岩石路面から砂地路面までの路面変化を検知するシステムを有し、異なるトルクマップを採用するように車両エンジンに命令することがある。エンジン応答が連続的に変化した場合、特に自動モード変更が頻繁に反復される場合、ドライバを混乱させることがある。
【0038】
たとえば、車両ドライバは、砂地地形上を走行しているとき、いくぶん遅れたエンジン応答に慣れている場合がある。このとき車両が岩石路面等の硬い路面を一時的に自動検知して、エンジン応答が迅速となるように車両の操作モードを変更することがある。
【0039】
モードが変更されると、上述のように、加速要求がより迅速にまたはより緩慢に実施され、アクセルペダル位置の逆方向の移動に応じて、エンジントルクTを急激にまたはゆっくりと低減させる。所定の地形状態に対して、エンジントルクTが突然に落ち込むことを防止することができる。
【0040】
すなわち図3を参照すると、加速要求されて1秒後に砂地モード(一点鎖線24)から岩石徐行モード(点線22)へ切り換えられると、エンジン出力トルクTは直ちに倍増する。アクセルペダルを離すと、逆の結果が得られる。加速要求されて1秒後に岩石徐行モードから砂地モードへ切り換えられると、エンジン出力トルクTは直ちに半減する。
【0041】
こうした変化は、混乱させるものであり、こうしたトルク変化は進行中である(現在行われている)ことをドライバに知らせることが好ましいが、視覚的または聴覚的なインジケータは、情報過多による負担をドライバに強いることになり、その意味する内容を瞬時にドライバが理解できないため適当ではないと考えられている。さらに、モード変化が自動的に頻繁に行われると、こうしたインジケータはドライバの気を散らすことにもなる。
【0042】
求められているものは、モードが変更されたときに、推進力に呼応したエンジントルク特性の変化に車両ドライバが順応できるような改善された手段および方法である。
【0043】
上記従来技術に鑑みて本発明がなされた。本発明に係る態様および実施形態は、上記課題に対処し、または解決するための方法、システム、または車両を提供することができる。その他の目的および利点は、以下の明細書、クレームおよび図面を参照することにより明らかとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】米国特許第7,349,776号明細書
【発明の概要】
【0045】
保護を求めようとする本発明の1つの態様によれば、車両の動力装置の推進要求に関する複数の異なるフィルタをブレンド調整して、車両の操作モードに応じて推進要求をより長く遅延させるか、より短く遅延させる方法が提供され、この方法は、
車両の現時点での操作モードを検知するステップと、
現時点での操作モードに適したソースフィルタを推進要求に適用するステップと、
車両の操作モードの変更を検知し、かつ推進要求に対して変更された操作モードに適したターゲットフィルタを選択するするステップと、
推進要求に適用される遅延時間を漸進的に変化させるように、時間をかけて、ソースフィルタからターゲットフィルタへブレンド調整するステップとを有することを特徴とするものである。
【0046】
すなわち本発明の態様は、一方のフィルタが比較的に遅延して、ドライバが急激な変化ではなく、ソース推進要求フィルタとターゲット推進要求フィルタの間で漸進的な変化を体感するように時間をかけて、フィルタマップの漸進的な変更を行うものである。
【0047】
ソース推進要求フィルタおよびターゲット推進要求フィルタのうちの一方は、車両のエンジン等のパワートレインの現時点での実質的な応答に、アクセルペダル位置Pにおける変化を与えるマップを定義するものである。ソース推進要求フィルタおよびターゲット推進要求フィルタのうちの他方は、典型的には、特性に対する時定数を適用することにより、このマップを修正して、エンジン等のパワートレインの応答をより長く遅延させるか、より短く遅延させる。時定数は現時点での実質的な応答に対してゼロに近いのもであってもよく、異なる遅延特性も本発明に係る実施形態の範疇に含まれる。
【0048】
このフィルタは時定数であってよく、この方法は、ソースマップを定義するために、アクセルペダル位置Pと出力トルクTの間の特性に対して上記時定数を適用するステップを有していてもよい。車両が電気自動車である場合、ソースマップを定義するために、アクセルペダル位置Pと出力トルクTの特性に対して上記時定数を適用してもよいことが理解される。ハイブリッド車の場合、ソースマップを定義するために、アクセルペダル位置Pと、車両を駆動する出力トルクを発生させる装置に依存するが、エンジンおよび1つまたはそれ以上の電気推進モータが所与のタイミングで出力するネット駆動トルクTとの間の特性に対して上記時定数を適用してもよいことが理解される。本願ではエンジンを参照して説明するが、ハイブリッド車の場合、複数の異なる推進デバイスを有するものの、任意の適当な推進デバイスまたは推進源に対しても同等の議論が同様に適用可能であることが理解される。
【0049】
このフィルタは時定数であってよく、この方法は、ターゲットマップを定義するために、アクセルペダル位置Pと出力トルクTの間の特性に対して上記時定数を適用するステップを有していてもよい。
【0050】
アクセルペダル位置Pを電気出力信号に関連付ける特性に上記時定数を適用して、電気出力信号の変化が推進要求を示すものである。電子制御ユニットは、この出力信号を用いて、推進源(推進源)に要求されたトルク量を決定することができる。
【0051】
この方法は、ソースマップからターゲットマップへ漸進的にブレンド調整するステップをさらに有していてもよい。
【0052】
この方法は、一定のレートで漸進的にブレンド調整するステップをさらに有していてもよい。
【0053】
この方法は、ソースマップとターゲットマップの間の差異の単位時間当たりの完了度合の百分率でブレンド調整するステップをさらに有していてもよい。
【0054】
理解されるように、量の百分率を参照することは、その絶対値とは対照的に、その量の割合を参照することと同義であると考えられる。すなわちソースマップとターゲットマップの間の差異またはソース特性とターゲット特性の間の差異の「単位時間当たりの百分率」、たとえば差異の単位時間当たりの完了度合の10%は、差異とは独立した一定の量である絶対値、たとえば単位時間当たり7Nmの固定値とは異なり、差異の「単位時間当たりの割合」に相当するものと考えられる。
【0055】
この方法は、推進要求を検知するステップと、ソースフィルタ(ソースマップ)からターゲットフィルタ(ターゲットマップ)までのブレンド調整の完了度合を示す百分率を、車両の異なる操作モードの変更に付随する出力トルク特性のブレンド調整の完了度合に応じて選択するステップとを有していてもよい。
【0056】
この方法は、車両の異なる操作モードに付随する出力トルク特性のブレンド調整が行われているときに、ソースフィルタからターゲットフィルタに至るブレンド調整の完了度合を示す百分率を連続的に決定するステップを有していてもよい。ブレンド調整の完了度合を示す百分率は、1Hz以上または任意的には10Hz以上の周波数で連続的に決定してもよい。
【0057】
この方法は、後続の推進要求を検知するステップと、車両の異なる操作モードに付随する出力トルク特性のブレンド調整の完了度合に応じて、ソースフィルタマップからターゲットフィルタマップまでのブレンド調整の完了度合を示す新しい百分率を選択するステップとを有していてもよい。ソースフィルタマップからターゲットフィルタマップまでのブレンド調整の完了度合を示す新しい百分率は、アクセルペダル位置の関数としての出力トルク特性のブレンド調整の完了度合を示す百分率と実質的に同等であってもよい。
【0058】
この方法は、操作状態の検出結果に応じて車両の操作モードを自動的に変更するステップを有していてもよい。
【0059】
本発明に係る実施形態は、典型的には、車両の電子制御ユニット(ECU)で実現することができ、推進要求に適用される相対的な遅延時間は、たとえばルックアップテーブルを参照して、または適当なアルゴリズムを用いて得ることができる。相対的な遅延時間は、ゼロに近いものであってもよいが、たとえばトランスミッション比もしくはトランスミッション範囲または雨等の環境条件の他のファクタに応じて選択してもよい。たとえば、車両が草原上の走行に適したドライブモードにあるとき、車両が湿った草原または乾いた草原の上を走行しているかにより、フィルタ特性を調整してもよい。すなわち、草原上の走行に適した1つまたはそれ以上のモードで走行しているとき、適用されるフィルタは、より長く遅延させた応答に相当してもよい。
【0060】
保護を求めようとする本発明の1つの態様によれば、メモリ内に記憶された複数のトルクマップを参照して、アクセルペダル位置に付随する車両推進源の出力を決定するための電子制御システムが提供され、この電子制御システムは、車両の推進源に対する推進要求に関する異なるフィルタ間でブレンド調整を実行するように動作可能であり、これにより車両の操作モードに応じて推進要求をより長く遅延させるか、より短く遅延させる。この制御システムは、
車両の現時点での操作モードを検知し、現時点での操作モードに適したソースフィルタを推進要求に適用し、
車両の操作モードの変更を検知し、かつ推進要求に対して変更された操作モードに適したターゲットフィルタを選択し、
推進要求に適用される遅延時間を漸進的に変化させるために、時間をかけて、ソースフィルタからターゲットフィルタへブレンド調整するように動作可能である。
【0061】
推進源は、エンジン、電気マシン、または任意の適当な動力源であってもよい。
【0062】
保護を求めようとする本発明の別の態様によれば、メモリ内に記憶された複数のトルクマップを参照して、アクセルペダル位置に付随する車両推進源の出力を決定するための電子制御システムが提供され、この制御システムは、
車両の第1の操作を検知して、ソースマップを適用し、
車両の第2の操作を検知して、ターゲットマップを適用し、
ソースマップおよびターゲットマップにフィルタ処理を施して、推進要求の効果をより長くまたは短く遅延させて、ソースマップからフィルタ処理されたターゲットマップへブレンド調整する構成されている。
【0063】
推進源は、エンジン、電気マシン、または任意の適当な動力源であってもよい。
【0064】
制御システムは、ソースフィルタおよびターゲットフィルタの各フィルタは、車両の現時点での操作モードに応じて選択された時定数を有するようなプロセッサを備えてもよい。このプロセッサは、推進要求に付随する遅延時間を変更するために、ソースフィルタの時定数をターゲットフィルタの時定数に漸進的に変更するように構成されてもよい。
【0065】
保護を求めようとする本発明のさらに別の態様によれば、複数の操作モードを有する車両が提供され、各操作モードが出力トルクとアクセルペダル位置との間の異なる特性を有し、本発明の別の態様に係る制御システムを備えたものである。
【0066】
本願クレームの範疇において、上記段落、および/または以下の明細書および図面に記載された、さまざまな態様、実施形態、実施例、および択一例、特に個々の特徴物は、独立してまたは組み合わせて採用することができる。たとえば1つの実施形態に関連して説明された特徴物は、その特徴物が矛盾するものでなければ、すべての実施形態に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
添付図面を参照しながら、例示目的のみのため、本発明に係る実施形態について以下説明する。
図1】既知の動力車の概略図である。
図2】アクセルペダル位置の関数としてのエンジン出力トルクを示す、車両の異なる操作モードのエンジントルクマップである。
図3】時間の関数としてのアクセルペダル位置Pの変化に対するエンジンのフィルタ処理された出力トルク応答Tを示す。
図4】本発明に係る実施形態による動力車の概略図である。
図5】異なるトルクマップ間のブレンド調整の推移を示す。
図6】一方の車両操作モードから別の車両操作モードへのトルクブレンド調整の線形推移を示す。
図7図6に対応するものであり、本発明に係る実施形態によりフィルタ処理された推進要求の効果を示す。
図8図7のフィルタ処理された応答に適したエンジントルクマップを示す。
図9】フィルタ処理された推進要求のブレンド調整のエンジン出力トルクに対する効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図2は、さまざまな車両操作モードのペダル移行マップを示し、いくつかの操作モードでは、所与のエンジン出力トルクTを得るために、アクセルペダルをより大きく踏み込む必要がある。
【0069】
図3は、さまざまな車両操作モードに関し、アクセルペダル位置に対してフィルタ処理された応答(レスポンス)を示し、より迅速または緩慢に図2に示すターゲットトルクに達する手法を図示するものである。
【0070】
図4は、本発明の態様に係る動力車両201の概略図である。図1に示す車両101の構成部品と同様の図4に示す車両201の構成部品には、最初の数字を1の代わりに2を用いるが、同様の参照符号を用いて示す。すなわち図1の車両101のエンジン121は、図4の車両201のエンジン221に相当する。
【0071】
車両201は、アクセルペダル位置Pの関数としてエンジントルクTを決定するために用いられるアクセルペダル移行マップとともにプログラムされた車両制御ユニット(VCU)201Cを有する。図4に示す実施形態において、図2を参照して上記説明したトルク特性AおよびBを含むアクセルペダル−トルク推移マップ(accelerator pedal progression maps)を有する操作モードAおよびBがある。
【0072】
図5を参照すると、図3の特性が同様に図示され、図5は、時間tとともに増大するエンジントルクTを示すグラフである。フィルタ処理されない応答をグラフ(22)で、より小さく(より低い修正度で)フィルタ処理された応答をグラフ(23)で、より大きく(より高い修正度で)フィルタ処理された応答をグラフ(24)で示す。
【0073】
車両操作モードの変更があったとき、たとえばより大きく(より高い修正度で)フィルタ処理された特性(24)が、より小さく(より低い修正度で)フィルタ処理された特性(23)にブレンド調整された場合、このブレンド調整は、矢印Dの方向に行われ、時間をかけたブレンド調整の推移が中間にある破線で示される。
【0074】
すなわち、本発明に係る実施形態によれば、ブレンド調整が完了するまでブレンド調整が推移するにつれて、エンジン221のトルク応答のグラフ形状が徐々に変化する。車両ドライバがトルク出力の段階的な(急激な)変化を感じないように、ブレンド調整が推移しているときにアクセルペダル位置が変化すると、エンジン応答は中間的な特性に従う。
【0075】
エンジン応答の遅延が関係する時間範囲における特性のグラフ形状が徐々に変化するように、ソース特性(元のモード特性)とターゲット特性(目標とするモード特性)の間の現時点での差異に基づく単位時間当たりの割合(変化率)にブレンド調整を変更する。
【0076】
図6を参照すると、車両201のモードが変更されたとき、トルクのブレンド調整の推移が図示されている。時刻tから時刻tまで、車両201は、たとえば岩石徐行モードの第1の操作モードにある。時刻tにおいて、たとえば砂地モードにモード変更が実施され、(図2の)ペダル移行マップのブレンド調整が(この具体例では一定のレートで)開始される。時刻tにおいて、ブレンド調整が完了し、砂地に適したペダル移行マップが完全に実施される。
【0077】
図7は、図6に示すブレンド調整期間における車両ドライバの正の推進要求を受けた後、ソースモードの推進要求フィルタ(この具体例では、岩石徐行モード推進要求フィルタに相当)から、ターゲットモードの推進要求フィルタ(この具体例では、砂地モード推進要求フィルタに相当)にブレンド調整の結果(効果)を示す。
【0078】
単純化するために、それぞれの推進要求は、その後のアクセルペダル位置Pの変化、およびフィルタ処理を行わない場合に生じるエンジン出力トルクTの変化の両方を示す実線により表現されている。さらに、図に示すように、車両操作モードが時刻tにおいて変更されても、フィルタ処理を行わない場合に生じるエンジン出力トルクTがそれぞれの推進要求に対して同一である。
【0079】
時刻tの前の第1の推進要求が実線31で示され、このとき車両は岩石徐行モードにあり、その後、要求トルクが増大した場合には、推進要求が岩石徐行モード推進要求フィルタに基づいてフィルタ処理され、出力トルクは破線32で示される。岩石徐行モード推進要求フィルタは、エンジントルクが急激に最大要求値まで確実に増大するように構成されている。時刻t前に推進要求が終わると、要求トルクが低減した場合には、エンジン出力トルクは、岩石徐行モード推進要求フィルタに基づいて急激に低減する。
【0080】
実線33で示される第2の推進要求が時刻tにおいて開始され、モード変更が行われ、これとともにソースモードマップからターゲットモードマップへのペダル移行マップのブレンド調整が実施される。この具体例では、第2の推進要求があった時刻において、ソースモードとターゲットモードのペダル移行マップ間のブレンド調整は約30%完了している。
【0081】
時刻t後、ペダル推移マップのブレンド調整が完了すると、実線35で示す第3の推進要求が行われ、このとき車両は砂地モードにあるため、要求トルクが増大した場合、推進要求は砂地モード推進要求フィルタに基づいてフィルタ処理される。結果として得られるエンジン出力トルクTは、破線36で示される。砂地モード推進要求フィルタは、牽引力を失うリスクを低減するために、エンジントルクがフィルタ処理されない場合に(実線35)比して実質的に緩やかに増大するように構成されている。ブレンド調整が実施されているときの時刻tにおいて行われたフィルタ特性と比較して、砂地モード推進要求フィルタは、この段階では実質的に修正されない。推進要求が終わると、要求トルクが低減した場合、エンジン出力トルクTは、砂地モード推進要求フィルタに基づいて低減する。図7から明らかなように、トルク量Tは、岩石徐行モードの場合に比して、かなり緩慢に低減する。
【0082】
図7に示すように、第2の推進要求(実線33)が中間的な量でフィルタ処理され、エンジントルクTの瞬間的な増大が破線32で示す特性ほどあまり急激でないが、破線36で示す特性よりも迅速なものとなる。
【0083】
破線34で示す修正された(中間的な)特性は、ソース推進要求フィルタターゲット推進要求フィルタブレンド調整を示し、たとえば、推進要求があった時において、アクセルペダル位置P/エンジン出力トルクTマップ(ペダル移動マップ)のブレンド調整が完了した度合いに基づくものである。すなわち、この具体例で適用される中間的なフィルタ特性は、トルクTの増大(破線36で示す)に対するターゲット推進要求フィルタ特性に推移しつつあるトルクTの増大(破線32で示す)に対するソース推進要求フィルタ特性に相当し、時刻tにおいて、これらの推進要求フィルタ特性(破線32,36)の間には30%の差異があり、30%とは時刻tでのブレンド調整の完了の度合いを示す。この特性は、さらに修正されることなく、ソース推進要求フィルタ特性からターゲット推進要求フィルタ特性までのブレンド調整の全体プロセスに対して実質的に適用される。
【0084】
推進要求フィルタ特性(破線32,36)は、典型的には、車両操作モードに関連するルックアップメモリ内に保存され、中間的な特性は、この具体例では、エンジントルクTが現在のアクセルペダル位置P/エンジントルクTのマップで示されたエンジントルクに相当するまで、当初の推進要求フィルタ特性(実線31)に十分な数の微小時間間隔を加えことにより求めることができる。ブレンド調整された特性は、たとえば100Hzの更新周波数(頻度)を有し、すなわち、この微小時間間隔は、0.01秒である。他の値も同様に有用である。
【0085】
択一的な実施形態によれば、各微小時間間隔(たとえば0.01秒、または他の任意の適当な時間間隔)において、アクセルペダル位置P/エンジントルクTのマップのブレンド調整の完了度合を確認して、推進要求フィルタ特性を漸進的に修正する。すなわち、第2の推進要求(実線33)の開始時点において、推進要求フィルタ特性を図6に示すブレンド調整の完了度合の百分率(すなわち30%)で適応させる。フィルタ処理されたトルクが増大する過程の半分程度(ポイント37に相当)において、ペダル推移マップのブレンド調整の完了百分率が約35%であり、この値が、ソース推進要求フィルタ特性(破線32)とターゲット推進要求フィルタ特性(破線36)の間の差異が適応されて、中間的な推進要求フィルタ特性34の現時点での値が求められる。
【0086】
所与の車両操作モードに付随する推進要求フィルタ特性は、時定数に関連するものであってもよく、フィルタ処理されていないトルク要求を修正するために用いることができる。単一のフィルタを適用するために、各微小時間間隔において、現時点でのトルクを要求トルクと比較し、要求トルクを時定数で修正することにより、フィルタ処理された応答を実現する。現時点でのトルクが要求トルクから所定の範囲内のトルクになると、要求トルク値を現時点でのトルクとして適用し、さらなるフィルタ処理を要求しない。2つのフィルタ間でブレンド調整するとき、各微小時間間隔において、適用された一方の時定数は、2つの適当な時定数をブレンド調整した時定数であってもよく、適当な各時定数でフィルタ処理されたトルクをブレンド調整してもよい。ブレンド調整量は、上記第1の実施形態のように、推進要求の開始時点で生じるペダル移行マップ間のブレンド調整の完了度合の百分率に応じて一定であってもよい。あるには上述の択一例のように、フィルタ処理のブレンド調整の度合が漸次的に修正されるように、各微小時間間隔(または任意の間隔)において、ペダル移行マップ間のブレンド調整の完了度合についてチェック(確認)を行ってもよい。したがって、この択一例では、ブレンド調整の度合を変化するレートで修正してもよい。さらに、この実施形態では、各時間間隔計算に際し、システムは、次のトルク出力を計算するためには、現時点での出力トルク、ターゲットトルクすなわち要求トルク、およびペダル移行マップ間のブレンド調整の完了度合のみの情報を取得しておく必要がある。たとえば推進要求が開始された時点等の出力トルクの履歴に関する情報は必要とされない。
【0087】
図7に示す実施形態では、フィルタ処理されたトルクの増大は、ポイント38において完了する。ポイント38は、ペダル移行マップ間のブレンド調整の約40%に近い完了度合に相当し、この値は特性34の現時点での値を形成するために適用される。
【0088】
理解されるように、ペダル移行マップ間のブレンド調整のより迅速または緩慢な完了は、推進要求に対してフィルタ処理されたエンジントルクTの応答変化に対応するものである。(図6に示す具体例とは異なり)ペダル移行マップ間のブレンド調整が線形でない場合、フィルタ処理された応答は、非線形に対応する。
【0089】
時刻t4において、正の推進要求が終了したとき、すなわち負の推進要求開始される。したがって、エンジン出力トルクTが、ソースフィルタ特性32と比較してあまり急激に低減されることのないようにフィルタ処理され、たとえば時刻tにおいて実現される図6に示すブレンド調整の完了度合、すなわち80%に調整される。
【0090】
図示のように、トルクの低減は時刻tの後まで完了せず、低減する特性の最終的な部分がターゲットモード(砂地モード)に適した特性の100%と同等になる。
【0091】
図7は、各推進要求における出力エンジントルクTの同一のターゲット(目標値)を示す。これは、モード変更が完了したときのターゲットトルクが、モード変更が開始される前のトルクと同一となるように、2つの異なるアクセルペダル移動マップが中間的なアクセルペダル推移位置Pで一致するように、操作モードの変更を模倣するものである。図8には、実線41と破線42でそれぞれ表される異なる車両モードに対応する2つの異なる車両操作状態に関するペダル移動マップが交差することが図示されている。図7に示すように、アクセルペダル位置Pが反復的に変化すると、これに対応して、アクセルペダル位置PがP=0からP=1のアクセルペダル位置Pにおいて変動する。アクセルペダル位置P1の実線41と破線42との交差ポイント(図8に示すポイント43、アクセルペダル位置P1に相当する)において、各モードに対するエンジントルクTは実質的に同一である。
【0092】
ほとんどの場合、モード変更後に実行されたターゲットトルクは、モード変更開始前のターゲットトルクとは異なり、図2の具体例で示すように、ペダル移動マップは、0%〜100%のアクセルペダル位置の移動に一致しない。その結果、推進要求に応じたブレンド処理は、より複雑なものとなるが、上記説明した原則に基づく。
【0093】
推進要求に適用される複数のフィルタ間のブレンド調整の効果が図9にさらに図示されている。分かりやすく説明すると、アクセルペダル位置Pは、P=0%〜100%において実質的に鋸刃状で多少なりとも継続的なオン/オフサイクルで変化するものとして図示されている。アクセルペダル位置Pは、図9のライン51で表されている。したがって、車両201のエンジン221は、反復的に正および負の推進要求を受けている。
【0094】
車両操作モード(M)は、ライン52で表されており、図9では、車両201は、時刻までは第1のTR(地形応答)モード(モードM1、たとえば岩石徐行モード)で、その後は第2のTRモード(モードM2、たとえば砂地モード)で駆動する。

【0095】
岩石徐行モードにあるエンジンからの出力トルクTは、各推進要求が比較的にフィルタ処理されていないので、最大値(Tmax)から最小値(T)へ急激に変化する。すなわち、出力トルク53の軌跡は、比較的に先端が尖ったような(スパイク状の)形状を有し、これはドライバの期待および必要性に対応するものである。
【0096】
各推進要求は、(増減する)エンジントルクTがスパイク状の先端を有さないようにフィルタ処理されるため、砂地モードにあるエンジン221から出力されるトルクは、より緩慢な変化を示す。図9のライン54は、車両が砂地モードの安定状態にあるときに、時間の関数として変動するアクセルペダル位置の変動に関して、時間の関数として同様の変動するエンジン出力トルクTに相当するものである。出力トルクの軌跡54は、明らかに湾曲したピーク(頂)とトラフ(谷)を含む波状形状を有する。
【0097】
理解されるように、本発明に係る実施形態の意図された効果は、時刻tにおける車両操作モードの自動変更に応じて軌跡53と軌跡54の間の段階的な変化を回避することである。本発明に係る本実施形態によれば、有限の時間内(たとえば数秒以内、図示した具体例では3サイクル以内)でブレンド調整を完了させることを意図して、推進要求に適用されるフィルタが、一点鎖線の軌跡55で示す軌跡に従うようにブレンド調整される。フィルタのブレンド処理は、典型的には5秒未満で実施され、1つの実施形態では1.5秒〜2.5秒で実施される。
【0098】
理解されるように、(車両201の操作モードにより定義される)ターゲットトルクが図9に示す複数のモードに対して同一である場合でも、エンジン221が負の推進要求に応答するように要求される前には、実際には、このトルクに達することはできない。図9に示すように、時刻t後に達する最大トルクは、時刻t前に達する最大トルクより小さく、これはターゲットトルクに達するための不十分な時間に起因するものである。択一的に、各モードに対するターゲットトルクが異なる場合、時刻t後に達する最大トルクが、時刻t前に達する最大トルクより小さいという事実は、少なくとも部分的に、第2のモードにおけるターゲットトルクが第1のモードにおけるターゲットトルクより小さいためである。
【0099】
択一的な実施戦略も同様に可能である。
【0100】
1つの実施形態では、アクセルペダル位置を示す制御信号(典型的には、ポテンショメータからの電圧)は、車両の操作モードに付随するフィルタ処理が施される。フィルタ処理は、数字として表現され、トルク出力の変化率(レート)を増減させるように、アクセルペダル位置を示す出力信号をダッシュポットの手法で直接的に修正するものである。修正された出力(典型的には電圧)は、車両エンジン221を制御するための電子制御ユニットの態様を有するエンジンコントローラ221Cに入力される制御信号を提供する。エンジンコントローラ221Cは、その内部に記憶された選択アクセルペダル移行マップに応じてエンジン出力トルクTを要求するように構成され、採用されるアクセルペダル移行マップは、(車両操作モードを決定する)車両制御ユニット(VCU)201Cにより選択される。理解されるように、この択一的な実施形態によれば、フィルタ処理を実行するために別のコントローラを提供してもよい。別のコントローラは、車両操作モードを示す信号を受信し、現時点での操作モードに応じてフィルタ処理された電気出力信号をエンジンコントローラ221または車両制御ユニット(VCU)201C等の電子制御ユニットに供給するように構成されている。別のコントローラは、たとえばコントローラエリアネットワーク(CAN)バス上で通信される1つまたはそれ以上の信号を参照して、現時点での車両操作モードを決定してもよい。現時点で選択されたモードを示す信号は、たとえば車両制御ユニット(VCU)201Cを介してCANバス上で配信してもよい。
【0101】
図4に示す本実施形態において、アクセルペダル位置Pを示す制御信号(典型的には電圧)が修正前の形態でエンジンコントローラ221Cに出力され、エンジン出力トルクを命令する出力信号は、エンジンコントローラ221Cにより、トルク変化のレートを多少なりとも低減するようにフィルタ処理される。いくつかの実施形態では、フィルタ処理は、車両制御ユニット(VCU)201Cにより実施してもよい。
他の構成も同様に有用である。
【0102】
本発明の実施形態は、(モードを変更するユーザ命令に応じて実施されるモード変更とは対照的に)アクセルペダル位置の変化に対する車両201の応答変化により、ドライバを驚かせないようにするという利点を有する。これは、本発明に係るいくつかの実施形態によれば、アクセルペダル位置Pの変化に対するエンジン221の応答特性が、ソースモード推進要求フィルタ特性およびターゲットモード推進要求フィルタ特性をブレンド調整したものであるためである。
【0103】
本願明細書の発明の詳細な説明及びクレームを通して、「備える(comprise)」および「含む(contain)」の用語、およびこれらの用語から派生した「備えた(comprising)」および「備え(comprises)」の用語は、「これらに限定することなく有する」という意味であり、その他の部分、付随物、成分、整数、またはステップを排除することを意図したものではない。
【0104】
本願明細書の発明の詳細な説明及びクレームを通して、単数形は、文脈上要求されるものでなければ、複数形のものを含む。特に、不定冠詞を用いた場合には、文脈上要求されるものでなければ、単数形のみならず、複数形のものを含む。
【0105】
本発明に係る特定の態様、実施形態、または実施例に関連して説明した特徴物、整数、特性、成分、化学成分、または化学塩基は、矛盾するものでなければ、任意の他の態様、実施形態、または実施例に適用可能であるものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0106】
101P…パワートレイン、101…動力車、111,112…前輪、113,114…後輪、121…エンジン、121C…エンジンコントローラ、124…トランスミッション(変速装置)、124S…変速機モード選択ダイヤル、124C…変速機コントローラ、128S…地形応答モード選択ダイヤル、131…ドライブシャフトまたはプロペラシャフト、135…ディファレンシャル(後輪作動装置)、137…動力テイクオフユニット(動力取出ユニット、PTU)、141C…ブレーキコントローラ、161…アクセルペダル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6-7】
図8
図9