(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガイド面(36)が、少なくとも2個の半径方向の係止面(60、62)を含み、前記係止面の各々が、前記入力リング(12A、12B)の内縁(34)から延びた、組み合わされる半径方向の係止面(69、71)と協働可能であり、それによって、出力プレート(18A、18B)に対する入力リング(12A、12B)の回転を両方向に制限するようにされていることを特徴とする、請求項2または3に記載の装置。
前記位相合わせリング(44)と、各々の前記入力リング(12A、12B)とが、中央ハブ(20)に結合される共通のガイド面(36)によって回転ガイドされることを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項と組み合わせた、請求項5に記載の装置(10)。
前記ガイド面(36)が、少なくとも2個の半径方向の係止面(60、62)を含み、前記係止面の各々が、前記位相合わせリング(44)の内縁(46)から延びた、組み合わされる半径方向の係止面(72、74)と協働可能であり、それによって、出力プレート(18A、18B)に対する前記位相合わせリング(44)の回転を両方向に制限するようにされていることを特徴とする、請求項5または6のいずれか一項に記載の装置(10)。
前記ガイド面(36)の2個の半径方向の係止面(60、62)が、前記位相合わせリング(44)と、各々の前記入力リング(12A、12B)とに共通であることを特徴とする、請求項4と組み合わせた、請求項7に記載の装置(10)。
請求項1から9のいずれか一項に記載のトーショナルダンパ装置に装備するための振り子式のダンパ装置であって、前記位相合わせリング(44)の周辺環状部における半径方向の面に振動式に取り付けられた、少なくとも1組の振り子式のおもりを含んでいることを特徴とする、ダンパ装置。
【背景技術】
【0003】
このタイプのダンパ装置は、たとえば、油圧コンバータ等のクラッチ装置に装備されている。このようなコンバータは、たとえば、「ロックアップクラッチ」と呼ばれることがある摩擦式のロックアップクラッチを介してダンパ装置にエンジントルクを伝達可能な回転ケーシングを含んでいる。油圧コンバータは、また、ケーシングの内部に回転式に取り付けられるタービンランナを含んでいる。
【0004】
内燃機関は、エンジンのシリンダ内の連続爆発が原因で非周期性を有する。トーショナルダンパ手段は、ギヤボックスにエンジントルクを伝達する前に、このような非周期性をフィルタリングすることができる。なぜなら、ギヤボックスに振動が伝わって許容不能な騒音を引き起こす前に振動を減衰することが必要であるからである。
【0005】
このため、エンジンシャフトとギヤボックスのシャフトとの間にトーショナルダンパ装置を配置することが知られている。トーショナルダンパ装置は、一般に、エンジンシャフトをギヤボックスのシャフトに一時的に回転結合可能にするクラッチシステムに配置されている。
【0006】
トーショナルダンパ装置は、一般に、トルク入力要素とトルク出力要素との間に介在する周方向作動式の弾性部材を含む。
【0007】
いわゆる「角方向の揺動が大きい」ダンパ装置あるいは「ダンパストロークが長い」ダンパ装置では、弾性部材は、入力要素と出力要素との間に直列に配置された少なくとも2個の弾性部材からなるグループごとに取り付けられる。
【0008】
このような構成では、上記のグループの2個の弾性部材の間に1つの位相合わせ脚部が配置される。これにより、弾性部材が主に周方向圧縮されながら作動するようにすることができる。位相合わせ脚部は、たとえば位相合わせリングにより支持される。
【0009】
入力リングは、一般に、装置の軸方向端部に配置されて、出力リングと位相合わせリングとをサンドイッチ状に挟むようにされる。このような従来の構成は、出力リングが中央ハブを介してギヤボックスのシャフトに連結される一方で、エンジンシャフトが入力リングにそれらの周辺部により連結されるので、説明の必要がないほど明らかである。
【0010】
トーショナルダンパ装置は、また、各々の入力リングの軸方向に両側に配置された2個の出力プレートを含んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明では、次のような方向を使用する。
−軸方向:ダンパ装置の回転軸に沿って後方から前方に配向され、図の矢印「A」によって示される方向。
−半径方向:ダンパ装置の上記回転軸に直交するように配向され、内側から外側に向かってこの回転軸から離れる方向。
−周方向:ダンパ装置の回転軸に直交し、かつ半径方向に対して直交する方向。
【0018】
以下の説明では、類似、同じまたは同様の機能を有する部材には、同じ参照符号を付す。
【0019】
図1では、本発明の開示によって構成されたトーショナルダンパ装置10を示した。このダンパ装置10は、自動車の一時的なカップリングシステムに配置されるように構成されている。
【0020】
ダンパ装置10は、特に、ねじれを減衰させながらトルクコンバータのケーシングをオートマチックギヤボックスの入力シャフトに連結するために、油圧トルクコンバータ(図示せず)に配置されるように構成されている。
【0021】
ダンパ装置10は、また、有利には、油圧コンバータのタービンランナとオートマチックギヤボックスの入力シャフトとを、ねじれを減衰させながら連結することができる。
【0022】
トーショナルダンパ装置10は、ねじれ減衰を伴って、軸線「B」を有する同軸の第1の駆動シャフト(図示せず)とギヤボックスの第2のシャフト(図示せず)との間の応力を減衰することができる。
【0023】
図1と
図2に示したように、ダンパ装置10は、ここでは、前方にある第1の半径方向の入力リング12Aと、後方にある第2の半径方向の入力リング12Bとから形成された、トルク入力要素を含んでいる。入力リング12A、12Bは互いに平行である。
【0024】
図2に示したように、後方の入力リング12Bは、軸方向のリベット14を介して、前方の入力リング12Aに回転結合されている。
【0025】
2個の入力リング12A、12Bは、内側にスプラインを有するスカート16を介して、第1の駆動シャフトに回転結合されている。スカート16は、トーショナルダンパ装置10を介してギヤボックスの入力シャフトとトルクコンバータのケーシングとを一時的に連結可能な、ロックアップクラッチの1つの要素である。このようなロックアップクラッチは、英語名で「lock−up」と呼ばれることもあり、広く知られているので、これ以上の説明を省く。
【0026】
スカート16は、回転軸「B」を中心として、後方の入力リング12Bに回転結合されている。
【0027】
スカート16は、ここでは、後方の入力リング12Bと同じ材料で構成されている。スカート16は、後方の入力リング12Bの外周縁から軸方向後方に向かって延びている。
【0028】
ダンパ装置10は、また、ここでは、第1の前方プレート18Aと第2の後方プレート18Bとの、半径方向の2つの出力プレート18A、18Bから形成された、2個のトルク出力要素を含んでいる。出力プレート18A、18Bの各々は、軸線「B」を有する同軸の円形リングの形状を呈している。
【0029】
出力プレート18A、18Bは、中央ハブ20を介して第2の従動シャフトに回転結合するように構成されている。出力プレート18は、リベット21を介して中央ハブ20に回転結合される。
【0030】
特に、中央ハブ20は、この中央ハブ20の円筒形の面26から半径方向外側に延びるフランジ24を有している。出力プレート18A、18Bは、従動シャフトを通過させる中央穴28を有している。これらのプレート18A、18Bは、軸方向にフランジ24を締め付ける。このようにして、リベット21は、中央ハブ20と2個の出力プレート18A、18Bとを一緒に固定することができる。
【0031】
前方の出力プレート18Aは、その中央穴28の縁と、中央ハブ20の円筒形の面26との間の接触によって、中央ハブ20に中心を合わせられる。
【0032】
出力プレート18A、18Bの各々は、3個の半径方向の出力脚部30を有している。
図1では、この脚部の1つを示した。出力脚部30は、軸線「B」を中心として互いにほぼ120°のところに規則正しく配置されている。各々の出力脚部30、
図2から分かるように、円弧状のハウジング32を周方向に画定している。
【0033】
3個のハウジング32の各々は、ここでは、出力プレート18A、18Bを凹状に変形させて形成されており、それによって、2個の出力プレート18A、18Bの間にこのように軸方向に画定されたハウジング32は、円環状区間の形状を呈している。
【0034】
出力プレート18A、18Bは、2個の入力リング12A、12Bの軸方向に両側に配置されている。2個の出力プレート18A、18Bが組み立てられるとき、これらは、入力リング12A、12Bが2個の出力プレート18A、18Bの間で摩擦なしに回転可能にされるのに十分な距離だけ軸方向に離隔されている。
【0035】
スカート16は、後方の出力プレート18Bを中心として半径方向に延びて、後方の出力プレート18Bに対して軸方向後方に突出して延びるようにされている。
【0036】
入力リング12A、12Bの各々は、中央ハブ20を通過可能にするための中央穴を備えた半径方向のつば(flasque)を有している。中央穴は、内縁34により半径方向に画定されている。
【0037】
特に、入力リング12A、12Bは、
図3から分かるように、フランジ(collerette)24の区間36における入力リングの内縁34の摺動によって、中央ハブ20に対して回転ガイドされる。このようにして、フランジ24の区間36は、出力プレート18A、18Bの中央ハブ20に回転結合される円筒形のガイド面36を形成する。
【0038】
ガイド面36の軸方向の厚さは、2個の入力リング12A、12Bの厚さを合わせたものに少なくとも等しい。
【0039】
入力リング12A、12Bの各々は、さらに、出力プレート18の出力脚部30と一致するように配置された、3個の入力脚部38を含んでいる。各々の入力リング12A、12Bの入力脚部38の1つを
図2に示した。
【0040】
図3を参照すると、入力リング12A、12Bの脚部38は、これらの入力リング12A、12Bの円弧状の3個の開口部40を周方向に画定している。このようにして、開口部40は、出力プレート18A、18Bのハウジング32と一致するように配置されている。
【0041】
したがって、
図2から分かるように、各々の入力リング12A、12Bの、一致するように配置された2個の脚部38は、出力プレート18A、18Bの2個の脚部30の間に軸方向に配置される。入力リング12A、12Bの、一致するように配置された脚部38は、ここでは、軸方向に互いに直接接触している。この構成では、脚部30に2個の入力リング12A、12Bを固定する固定リベット14を配置することが有利である。
【0042】
ダンパ装置10は、さらに、周方向作動式の弾性部材42を含んでいる。弾性部材42は、ここでは互いに同じである。
【0043】
限定的ではないが、
図3から分かるように、ダンパ装置10は、ここでは6個の弾性部材42を含んでいる。弾性部材42は、周方向に配向された主軸を有するコイルスプリングから形成されている。
【0044】
図3から分かるように、弾性部材42は、軸線「B」を有する同一円の円周上に直列に配置されている。
【0045】
弾性部材42は、3組で配分されている。各組の弾性部材42は、入力リング12A、12Bの脚部38と出力プレート18A、18Bの脚部30との間で周方向に直列に、すなわち端と端を合わせて挿入されている。このようにして、各組の2個の弾性部材42は、組み合わされる共通のハウジング32に収容される。
【0046】
2個の出力プレート18A、18Bの、一致するように配置される脚部30の間の軸方向の離隔距離は、弾性部材42の直径よりも小さい。そのため、各弾性部材42は、2個の出力プレート18A、18Bにより画定されるハウジング32によって、軸方向および半径方向の所定の位置に保持される。
【0047】
各組の2個の弾性部材は、直列に取り付けられており、入力リング12A、12Bと出力プレート18A、18Bとの間のトルク伝達時に、上流側にある弾性部材42の下流側の端面が、下流側にある他方の弾性部材42の上流側の面に当接することができる。
【0048】
弾性部材42がそれらの周方向の主軸にほぼ沿って付勢されるようにするために、ダンパ装置10に位相合わせ部材を備えることが知られている。このため、
図4と
図5に示したように、ダンパ装置10は、また、ギヤボックスのシャフトの軸線「B」を中心として回転式に取り付けられた位相合わせリング44を含んでいる。位相合わせリング44は、入力リング12A、12Bと出力プレート18A、18Bとに対して回転自在である。
【0049】
位相合わせリング44は、中央穴を備えた半径方向のディスクの形状を呈している。この中央穴は、位相合わせリング44の内縁46によって半径方向に画定される。
【0050】
位相合わせリング44は、2個の入力リング12A、12Bの間に軸方向に配置される。位相合わせリングは、中央ハブ20の区間36における内縁46の摺動によって回転ガイドされる。
【0051】
位相合わせリング44は、円弧状の3個の開口部48を設けられている。各開口部48は、2個の弾性部材42を収容するように構成されている。開口部48は、3個の位相合わせ脚部50によって互いに周方向に分離されている。位相合わせ脚部50は、1つの組の2個の弾性部材42の間に配置される。換言すれば、入力リング12A、12Bの各脚部38は、位相合わせリング44の開口部48のほぼ中央に配置される。
【0052】
このようにして、各々の位相合わせ脚部50が、各組の2個の弾性部材42の間に周方向に配置されて、各組の弾性部材42の周方向応力を、この組の他方の弾性部材42まで伝達する。
【0053】
したがって、1つの組の上流側にある各々の第1の弾性部材42の下流側の端面は、組み合わされる位相合わせ脚部50の上流側にある半径方向の面を付勢可能であり、あるいは、この半径方向の面によって付勢されることが可能であり、この組の下流側にある他方の弾性部材の上流側の端面は、組み合わされる位相合わせ脚部50の反対側の半径方向の面によって付勢されることが可能であり、あるいは、この半径方向の面を付勢可能であり、それによって、この組の2個の弾性部材42が、位相合わせリング44を介して直列に配置されるようにされている。
【0054】
ダンパ装置10の動作時に、各組の弾性部材42は、入力リング12A、12Bの脚部38と、出力プレート18A、18Bの脚部30との間で圧縮されて、トルクの急激な変動を減衰するようにされている。入力リング12A、12Bは、出力プレート18A、18Bに対して、各組の2個の弾性部材42を圧縮させながら、軸線「B」を中心として所定の最大角度「α」だけ回転可能である。位相合わせリング44の位相合わせ脚部50は、この組の一方の弾性部材42の圧縮応力を他方の弾性部材に伝達する。この圧縮によって、位相合わせリング44は、出力プレート18A、18Bに対して所定の角度「α」の2分の1だけ回転することができる。
【0055】
ダンパ装置10は、ここでは振り子式の第2のトーショナルダンパ手段を備えている。このような第2のダンパ手段は、少なくとも1組、ここでは4組の振り子式のおもり52を含んでおり、これらのおもりは、位相合わせリング44の周辺環状部54の半径方向の面に振動式に取り付けられている。
【0056】
1つの組の2個の振り子式のおもり52は、軸方向に互いに向かいあって配置される。
【0057】
図2に示したように、この組の2個の振り子式のおもり52は、
図3に示した軸方向の固定ピン56を介して位相合わせリング44に振動式に取り付けられており、これらのピンは、位相合わせリング38の細長いガイド穴に摺動式に収容される。このような取り付けは広く知られているので、以下、これ以上の説明を省く。
【0058】
したがって、おもり52は、ダンパ装置10の高速回転時に最大の遠心力にしたがう。
【0059】
図3に示したように、振り子式のおもり52の各々は、半径方向の面に延びるプレートの形状を呈している。振り子式のおもり52の各々は、90°にやや欠ける角度にわたって延びる円弧状に湾曲しており、これによって、振り子式の各おもり52の外部輪郭が、位相合わせリング44の外周縁と係合するようにされている。
【0060】
1つの組の振り子式のおもり52は、周辺リング54の軸方向に両側に配置されている。
【0061】
図2と3に示した例では、ダンパ装置10が、位相合わせリング44の周辺リング54に沿って規則正しく配分された4組の振り子式のおもり52を含んでいる。振り子式のおもり52は、回転軸「B」を中心として円状に配置されている。このようにして、ダンパ装置10のバランスがとられている。
【0062】
ダンパ装置10は、また、
図3と
図4から特に分かるように、出力プレート18A、18Bに対して入力リング12A、12Bの角方向の揺動を制限する手段を含んでいる。これによって、特に、角加速度が大きすぎるときに弾性部材42が損傷しないようにすることができる。
【0063】
このため、中央ハブ20のフランジ24の区間36は、回転軸「B」を中心として規則正しく配分された、ここでは全部で3つの切欠き58を備えている。各々の切欠き58は、上流側にある半径方向の面60と下流側にある半径方向の面62とによって周方向に画定されている。そのため、切欠き58は、フランジ24の角領域を形成する突起64によって周方向に隔てられている。
【0064】
各切欠き58は、半径方向内側で底部66により画定されている。3つの切欠き58の底部66は、軸線「B」を有する円筒形の共通面の区域を形成する。
【0065】
各突起64は、フランジ24の円筒形の外面の区域を形成する。
【0066】
特に
図3に示したように、少なくとも1つ、ここでは2個の入力リング12A、12Bが、その内縁34から半径方向内側に延びる3個の歯68を含んでいる。歯68は、回転軸「B」を中心として規則正しく配分されている。各歯68は、2個の半径方向の面69、71によって周方向に画定されている。
【0067】
このようにして、各歯68は、組み合わされる切欠き58に収容されるように構成される。そのため、フランジ24のガイド面36は、2個の半径方向の係止面60、62を含み、各係止面が、入力リング12A、12Bの歯68の、組み合わされる半径方向の係止面69、71と協働可能であり、それによって、出力プレート18A、18Bに対して入力リング12A、12Bの回転を両方向に制限するようにされている。
【0068】
図3に示したように、歯68と切欠き58の2つの半径方向の面60、62との間の周方向のクリアランスは、入力リング12A、12Bが、出力プレート18A、18Bに対して両方向に所定の最大角度「α」の2分の1だけ角方向に揺動できるようなものとされる。
【0069】
各歯68は、その半径方向の高さが、組み合わされる切欠き58の深さを下回るようにされ、それによって、歯68のヘッドと切欠き58の底部66との間の半径方向の回転クリアランスが維持されるようにする。このようにして、入力リング12A、12Bの回転ガイドが、フランジ24の円筒形の外面36における入力リング12A、12Bの内縁34の摺動によってのみ実施される。この構成では、入力リング12A、12Bのガイド面積が最大になる。
【0070】
変形実施形態では、歯の半径方向の高さが切欠きの深さを上回るようにすることによって、半径方向の回転クリアランスが、突起の外面と入力リングの内縁との間で保持されるようにする。この構成では、入力リングのガイド面積が最小になる。
【0071】
図4に示したように、出力プレート18A、18Bに対する位相合わせリング44の角方向の揺動の制限も同様に行われる。
【0072】
そのため、位相合わせリング44は、その内縁46から半径方向内側に延びる3個の歯70を含んでいる。歯70は、回転軸「B」を中心として規則正しく配分されている。各歯70は、2つの半径方向の面72、74によって周方向に画定されている。
【0073】
このようにして、各歯70は、組み合わされる切欠き58に収容されるように構成される。そのため、フランジ24のガイド面36は、2個の半径方向の係止面60、62を含み、各面が、位相合わせリング44の歯70の組み合わされる半径方向の係止面72、74と協働可能であり、それによって、出力プレート18A、18Bに対する位相合わせリング44の回転を両方向に制限するようにされている。
【0074】
図4に示したように、歯70と切欠き58の2つの半径方向の面60、62との間の周方向のクリアランスは、位相合わせリング44が、出力プレート18A、18Bに対して両方向に所定の最大角度「α」の4分の1だけ角方向に揺動できるようなものとされる。
【0075】
各歯70は、その半径方向の高さが、組み合わされる切欠き58の深さを下回り、それによって、歯70のヘッドと切欠き58の底部66との間に半径方向の回転クリアランスが維持される。そのため、位相合わせリング44の回転ガイドは、フランジ24の円筒形の外面36における位相合わせリング44の内縁46の摺動によってのみ実施される。この構成では、位相合わせリング44のガイド面積が最大になる。
【0076】
変形実施形態では、歯の半径方向の高さが切欠きの深さを上回り、それによって、半径方向の回転クリアランスが、突起の外面と位相合わせリングの内縁との間で保持されるようにされる。この構成では、位相合わせリングのガイド面積が最小になる。
【0077】
このような構成は、切欠き58の面60、62が、位相合わせリング44と入力リング12A、12Bとに対して共通の角方向のストッパを形成するので、非常に有利である。
【0078】
したがって、出力プレート18A、18Bに対する位相合わせリング44の角方向の揺動と、出力プレート18A、18Bに対する入力リング12A、12Bの角方向の揺動とを制限するために個々の係止要素を設けることは不要である。