特許第6133911号(P6133911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133911
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】炉内プロセスのディスパッチ制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/324 20060101AFI20170515BHJP
   H01L 21/22 20060101ALI20170515BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20170515BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   H01L21/324 G
   H01L21/22 511J
   H01L21/22 511Z
   H01L21/02 Z
   G05B19/418 Z
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-10625(P2015-10625)
(22)【出願日】2015年1月22日
(65)【公開番号】特開2016-32095(P2016-32095A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2015年2月6日
(31)【優先権主張番号】103125690
(32)【優先日】2014年7月28日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】599092848
【氏名又は名称】力晶科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼俊達
(72)【発明者】
【氏名】蕭世宗
(72)【発明者】
【氏名】陳建中
【審査官】 工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−510338(JP,A)
【文献】 特開2004−119800(JP,A)
【文献】 特開平9−8100(JP,A)
【文献】 特開平8−328608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/324
H01L21/22
H01L21/02
G05B19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のロットのウェハを炉に搬入する前に、前記複数のロットのウェハのそれぞれの特性パラメータ変動値を計算することと、
前記特性パラメータ変動値の大きさに基づいて、前記複数のロットのウェハを順番に並べ替えることと、
前記特性パラメータ変動値が小から大に変化させる前記炉内の複数の位置に対応して、前記炉内に前記複数のロットのウェハを前記特性パラメータ変動値が高い順に載置することと
を含む炉内プロセスのディスパッチ制御方法。
【請求項2】
前記複数のロットのウェハを前記炉に搬入する前に、前記複数のロットのウェハの製品に関する特性パラメータ値を定義することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記特性パラメータ値が、しきい電圧、飽和電流または抵抗値を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記特性パラメータ変動値が、前記特性パラメータ変動値の関数から計算され、前記特性パラメータ変動値の前記関数が、ゲート長およびソースとドレインの形成に使用された残留酸化シリコンの厚さのうちの少なくとも1つに関する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記順番に並べ替えた前記複数のロットのウェハに対して選択を行うことをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のロットのウェハに対して前記選択を行う方法が、平均ロットサイズ間隔に基づいて、前記順番に並べ替えた前記複数のロットのウェハに対して前記選択を行うことを含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のロットのウェハに対して前記選択を行う方法が、前記順番に並べ替えた前記複数のロットのウェハのそれぞれにロット番号を提供することと、下記の式に基づいて計算した値を四捨五入して、前記ロット番号を選択することとを含み、
【数1】
式中、Nが、少なくとも0の整数であり、Nの最大値が、1つのバッチの最大ロットサイズよりも1つ小さい請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のロットのウェハの前記特性パラメータ変動値が、高度プロセス制御システムにより計算される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記炉内のバッチにおける前記複数のロットのウェハのそれぞれの載置位置が、ディスパッチシステムにより決定される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のロットのウェハのディスパッチが、製造実行システムにより実行される請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体処理方法に関するものであり、特に、炉内プロセスのディスパッチ(dispatch)制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、製造過程において多くの工程を高温環境で行う必要があり、その例として、酸化物層を成長させる熱酸化プロセスがある。この熱処理方法は、通常、ウェハをウェハボート(wafer boat)に載置し、炉に送り出して反応を行う。
【0003】
バッチ炉内プロセスでは、異なる位置に載置されたウェハの電気特性または物理特性がローディング効果(loading effect)によって変動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、複数のロット(lot)のウェハの製品間の特性変動を低減することができる炉内プロセスのディスパッチ制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のステップを含む炉内プロセスのディスパッチ制御方法を提供する。複数のロットのウェハを炉に搬入する前に、複数のロットのウェハのそれぞれの特性パラメータ変動値を計算する。特性パラメータ変動値の大きさに基づいて、複数のロットのウェハを順番に並べ替える。特性パラメータ変動値が小から大に変化させる炉内の複数の位置に対応して、炉内に複数のロットのウェハを特性パラメータ変動値が高い順に載置する。
【0006】
本発明の1つの実施形態によれば、炉内プロセスのディスパッチ制御方法は、さらに、以下のステップを含む。複数のロットのウェハを炉に搬入する前に、複数のロットのウェハの製品に関する特性パラメータ値を定義する。
【0007】
本発明の1つの実施形態によれば、炉内プロセスのディスパッチ制御方法において、特性パラメータ値は、例えば、しきい電圧、飽和電流または抵抗値である。
【0008】
本発明の1つの実施形態によれば、炉内プロセスのディスパッチ制御方法において、特性パラメータ変動値は、特性パラメータ変動値の関数から計算することができ、特性パラメータ変動値の関数は、例えば、ゲート長およびソースとドレインの形成に使用された残留酸化シリコンの厚さのうちの少なくとも1つに関する。
【0009】
本発明の1つの実施形態によれば、炉内プロセスのディスパッチ制御方法は、さらに、以下のステップを含む。順番に並べ替えた複数のロットのウェハに対して選択を行う。
【0010】
本発明の1つの実施形態によれば、炉内プロセスのディスパッチ制御方法において、複数のロットのウェハに対して選択を行う方法は、平均ロットサイズ間隔に基づいて、順番に並べ替えた複数のロットのウェハに対して選択を行うことを含む。
【0011】
本発明の1つの実施形態によれば、炉内プロセスのディスパッチ制御方法において、複数のロットのウェハに対して選択を行う方法は、順番に並べ替えた複数のロットのウェハのそれぞれにロット番号を提供することと、下記の式に基づいて計算した値を四捨五入して、ロット番号を選択することとを含む。
【0012】
【数1】
【0013】
式中、Nは、少なくとも0の整数であり、Nの最大値は、1つのバッチ(batch)の最大ロットサイズよりも1つ小さい。
【0014】
本発明の1つの実施形態によれば、炉内プロセスのディスパッチ制御方法において、複数のロットのウェハの特性パラメータ変動値は、例えば、高度プロセス制御(advanced process control,APC)システムにより計算される。
【0015】
本発明の1つの実施形態によれば、炉内プロセスのディスパッチ制御方法において、炉内のバッチにおける複数のロットのウェハのそれぞれの載置位置は、例えば、ディスパッチシステム(dispatch system)により決定される。
【0016】
本発明の1つの実施形態によれば、炉内プロセスのディスパッチ制御方法において、複数のロットのウェハのディスパッチは、例えば、製造実行システム(manufacturing execution system,MES)により実行される。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明の炉内プロセスのディスパッチ制御方法は、特性パラメータ変動値が小から大に変化させる炉内の複数の位置に対応して、炉内に複数のロットのウェハを特性パラメータ変動値が高い順に載置するため、プリプロセスによる特性変動と炉内プロセスによる特性変動を相互に作用させ、特性変動を補償または低減することができる。その結果、複数のロットのウェハの製品間の特性変動を低減することができる。
【0018】
本発明の上記および他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の1つの実施形態に係る炉内プロセスのディスパッチ制御方法のフローチャートである。
図2】本発明の1つの実施形態に係る炉の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の1つの実施形態に係る炉内プロセスのディスパッチ制御方法のフローチャートである。図2は、本発明の1つの実施形態に係る炉の概略図である。
【0021】
図1を参照すると、本実施形態の炉内プロセスのディスパッチ制御方法は、以下のステップを含む。ステップS100を選択的に行って、複数のロットのウェハを炉に搬入する前に、製品に関する特性パラメータ値を定義する。特性パラメータ値は、例えば、しきい電圧、飽和電流または抵抗値等の製品の電気特性または物理特性に関する特性パラメータ値である。
【0022】
ステップS110を行って、複数のロットのウェハを炉に搬入する前に、複数のロットのウェハのそれぞれの特性パラメータ変動値を計算する。特性パラメータ変動値は、特性パラメータ変動値の関数から計算することができ、特性パラメータ変動値の関数は、例えば、ゲート長およびソースとドレインの形成に使用された残留酸化シリコンの厚さのうちの少なくとも1つに関する。1つの実施形態において、複数のロットのウェハの特性パラメータ変動値は、例えば、高度プロセス制御システムにより計算される。
【0023】
ステップS120を行って、特性パラメータ変動値の大きさに基づいて、複数のロットのウェハを順番に並べ替える。並べ替えの方法は、高い順で行っても、低い順で行ってもよい。
【0024】
ステップS130を選択的に行って、順番に並べ替えた複数のロットのウェハに対して選択を行う。順番に並べ替えた複数のロットのウェハに対して選択を行う方法は、平均ロットサイズ間隔に基づいて、順番に並べ替えた複数のロットのウェハに対して選択を行うことを含む。
【0025】
1つの実施形態において、複数のロットのウェハに対して選択を行う方法は、順番に並べ替えた複数のロットのウェハのそれぞれにロット番号を提供することと、下記の式に基づいて計算した値を四捨五入して、ロット番号を選択することとを含む。
【0026】
【数1】
【0027】
式中、Nは、少なくとも0の整数であり、Nの最大値は、1つのバッチの最大ロットサイズよりも1つ小さい。
【0028】
例えば、複数のロットのウェハの合計ロットサイズが10ロットであり、1つのバッチの最大ロットサイズが4ロットである時、第1バッチにおいて、Nは0、1、2および3であり、上記の式に基づいて選択されたロット番号は、第1ロット、第4ロット、第7ロットおよび第10ロットである。第1バッチの炉内プロセスを行った後、第2バッチにおける複数のロットのウェハの合計ロットサイズは、6ロット残り、順番に並べ替えた複数のロットのウェハにロット番号を再度割り当てる。Nは、同様に、0、1、2および3であり、上記の式に基づいて選択されたロット番号は、第1ロット、第3ロット、第4ロットおよび第6ロットである。第2バッチの炉内プロセスを行った後、第3バッチにおいて、残っている2ロットのウェハを選択する。
【0029】
上記からわかるように、複数のロットのウェハの合計ロットサイズが1つのバッチの最大ロットサイズよりも大きい時、上記の選択方法に基づいて、1つのバッチの炉操作を行う時に特性パラメータ変動値が全て大き過ぎる、または全て小さ過ぎる複数のロットのウェハを選択することを防ぐことができる。
【0030】
ステップS140を行って、特性パラメータ変動値が小から大に変化させる炉内の複数の位置に対応して、炉内に複数のロットのウェハを特性パラメータ変動値が高い順に載置する。つまり、特性パラメータ変動値の大きなロットのウェハを特性パラメータ変動値が小に変化させる炉内の位置に載置し、特性パラメータ変動値の小さなロットのウェハを特性パラメータ変動値が大に変化させる炉内の位置に載置する。炉のローディング効果により、異なる載置位置のウェハが特性変動を起こすため、複数のロットのウェハのそれぞれの載置位置を設定して上記の炉内プロセスによって生じる特性変動を利用することにより、プリプロセスによる特性変動を補償または低減することができる。その結果、複数のロットのウェハの製品間の特性変動を低減することができる。
【0031】
1つの実施形態において、炉内のバッチにおける複数のロットのウェハのそれぞれの載置位置は、例えば、ディスパッチシステムにより決定される。さらに、複数のロットのウェハのディスパッチは、例えば、製造実行システムにより実行される。
【0032】
例えば、図2を参照すると、炉100内の1つのバッチの最大ロットサイズは、5つのロット102であり、1つのロット102は、5つのウェハ104を含む。つまり、1つのバッチの炉操作において、最大で5つのロット102のウェハ104を載置することができるため、合計で25個のウェハ104が炉100に載置される。炉100は、例えば、酸化シリコンを形成するために使用される炉である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、本分野において通常の知識を有する者であれば、プロセスの必要に応じて、炉100の種類を選択することができる。炉100は、例えば、縦型炉または横型炉である。本実施形態において、炉100は、縦型炉を例として説明する。さらに、炉100のローディング効果は、例えば、異なる載置位置にある複数のロット102のウェハ104のフィルムの厚さまたは密度等の特性を変動させる。その結果、複数のロット102のウェハ104の製品間で特性変動(例えば、しきい電圧変動、飽和電流変動または抵抗値変動)が生じる。
【0033】
炉100内の位置が上から下へ向うにつれて特性パラメータ変動値が小から大へ変化させる時、順番に並べた5つのロット102のウェハ104を炉100内の上から下に向う位置に5つのロット102のウェハ104の特性パラメータ変動値が高い順に載置することができる。一方、炉100内の位置が上から下へ向うにつれて特性パラメータ変動値が大から小に変化させる時、順番に並べた5つのロット102のウェハ104を炉100内の上から下に向う位置に5つのロット102のウェハ104の特性パラメータ変動値が低い順に載置することができる。上記実施形態において、炉100内の1つのバッチの最大ロットサイズは5ロットであるが、本発明はこれに限定されず、本技術分野において通常の知識を有する者であれば、炉100自体の規格と設定に応じて、炉100内のバッチの1つの最大ロットサイズを決定することができる。
【0034】
以上のように、上述した実施形態において提供する炉内プロセスのディスパッチ制御方法は、特性パラメータ変動値が小から大に変化させる炉内の複数の位置に対応して、炉内に複数のロットのウェハを特性パラメータ変動値が高い順に載置するため、プリプロセスによる特性変動と炉内プロセスによる特性変動を相互に作用させ、特性変動を補償または低減することができる。その結果、複数のロットのウェハの製品間の特性変動を低減することができる。
【0035】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
炉内プロセスのディスパッチ制御方法は、複数のロットのウェハの製品間の特性変動を低減することができる。
【符号の説明】
【0037】
100 炉
102 ロット
104 ウェハ
S100、S110、S120、S130、S140 ステップ
図1
図2