【実施例】
【0083】
以下、本発明の第1様態について具体的に説明するために一例を挙げて説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0084】
下記の実施例および比較例に示す物性を測定する方法は、次の通りである。
【0085】
1)全光線透過率の測定
全光線透過率測定器(Nippon Denshoku 300A)を用いて全体フィルムの全光線透過率を測定した。
【0086】
2)屈折率の測定
2−1)プライマーコーティング用ポリエステル樹脂の屈折率の測定
水分散されたポリエステル樹脂組成物をポリカーボネート(polycarbonate)フィルムに塗布してから乾燥し、屈折率測定器、アッベ屈折計(ATAGO社製、DR−M2、@550)を用いて常温で測定した。
【0087】
2−2)無機物の屈折率の測定
液状の無機粒子を屈折率1.52の水性樹脂に10〜50重量%まで10重量%の単位で投入して、ポリカーボネート(polycarbonate)フィルムに塗布してから乾燥し、屈折率測定器、アッベ屈折計(ATAGO社製、DR−M2、@550)を用いて常温で測定した。
【0088】
測定結果をプロット(Plot)して、粒子含量と屈折率を比例関係とみなし、無機粒子が100%である際の屈折率を予測した。
【0089】
3)レインボー現象の測定−1:実施例および比較例による光学フィルムを製造した後、その片面にハードコーティング処理(屈折率1.52)を施してから他の面を黒化処理して、肉眼でレインボーが発生したか否かを確認した。目視評価の際に暗室で3波長形ランプの下で評価した。
【0090】
評価基準は、次の通りである。
上:レインボーが現れず、均一な色感を示す
中:レインボー現象が弱く現れ、均一な色感を示す
下:レインボーが強く現れ、強い色感を示す
【0091】
4)レインボー現象の測定−2:実施例および比較例による光学フィルムを製造した後、その片面にハードコーティング処理(屈折率1.52)を施してから他の面を黒化処理して、UV−Visible(CARY5000)を用いて可視光領域の反射パターンを測定した。
【0092】
上:500〜600nmでリップル振幅が、他の波長帯のリップル振幅に比べて減少し、リップル振幅1%以下
中:500〜600nmでリップル振幅が、他の波長帯のリップル振幅に比べて減少し、リップル振幅3%以下
下:リップル振幅が減少する波長帯が500〜600nmでなく、または振幅が減少する波長が見えない時
【0093】
5)ハードコーティング層との接着力の測定(ASTM B905)
実施例および比較例による光学フィルムを製造した後、コーティング組成物がコーティングされた片面にハードコーティング処理を施した後、常温での接着力と、高温熱水処理(100℃、10min)を施してからハードコーティング層と易接着層との接着力を評価した。
【0094】
格子内に100%残っている場合を5点、95%残っている場合を4点、95〜85%残っている場合を3点、85〜65%残っている場合を2点、65%以下の場合を0点とした。
【0095】
6)乾燥塗布厚さの測定
フィルムの全幅を機械方向の垂直方向(TD)に1mの間隔で5ポイント(Point)を指定し、フィルムの断面をSEM(Hitachi S−4300)で測定し、5万倍拡大してその区間内で30ポイント測定した後、平均値を計算した。
【0096】
7)粒径(Particle Size)の測定
Nikkiso社製、UPA−UT151に液状試料を1%投入して測定し、平均値で表示した。
【0097】
[実施例1]
コーティング組成物1の製造
水性ポリエステルバインダー(屈折率1.54)20重量%、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径6nm、屈折率2.1のジルコニアゾル(Zirconia Sol、固形分含量30重量%、クエン酸ナトリウムを用いて表面処理)4重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、3時間攪拌して、全固形分含量5.5重量%のポリエステルコーティング組成物を製造した。前記組成物の屈折率は1.58であった。
【0098】
両面コーティングポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に投入して溶融押出した後、表面温度20℃のキャスティングドラムで急冷、固化させて厚さ2000μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80℃で機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温で冷却した。次に、前記コーティング組成物1をバーコーティング(bar coating)方法で両面にコーティングした後、110〜150℃まで1秒当たり1℃ずつ昇温して予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次に、5段式テンタで235℃で熱処理を施し、200℃で縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定し、
図2のように、両面にプライマーコーティング層が形成された188μmの2軸延伸フィルムを製造した。
【0099】
前記プライマーコーティング層の厚さは、第1コーティング層が90nm、第2コーティング層が90nmであり、これらの屈折率は1.58であった。
【0100】
このように得られた光学フィルムの物性を下記表1に示す。
【0101】
[実施例2]
コーティング組成物2の製造
水性ポリエステルバインダー(屈折率1.54)17重量%、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径6nm、屈折率2.1のジルコニアゾル(Zirconia Sol、固形分含量30重量%、クエン酸ナトリウムを用いて表面処理)4重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、3時間攪拌して、全固形分含量5重量%のポリエステルコーティング組成物を製造した。前記組成物の屈折率は1.59であった。
【0102】
前記の実施例1と同様にして、両面コーティングポリエステルフィルムを製造し、プライマーコーティング層の厚さは、第1コーティング層が80nm、第2コーティング層が80nmであり、これらの屈折率は1.59であった。
【0103】
このように得られた光学フィルムの物性を下記表1に示す。
【0104】
[実施例3]
コーティング組成物3の製造
水性ポリエステルバインダー(屈折率1.54)22重量%、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径6nm、屈折率2.1のジルコニアゾル(Zirconia Sol、固形分含量30重量%、クエン酸ナトリウムを用いて表面処理)4重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、3時間攪拌して、全固形分含量6重量%のポリエステルコーティング組成物を製造した。前記組成物の屈折率は1.57であった。
【0105】
前記の実施例1と同様にして、両面コーティングポリエステルフィルムを製造し、プライマーコーティング層の厚さは、第1コーティング層が104nm、第2コーティング層が104nmであり、これらの屈折率は1.57であった。このように得られた光学フィルムの物性を下記表1に示す。
【0106】
[実施例4]
コーティング組成物4の製造
水性ポリエステルバインダー(屈折率1.54)10重量%、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径6nm、屈折率2.1のジルコニアゾル(Zirconia Sol、固形分含量30重量%、クエン酸ナトリウムを用いて表面処理)2.6重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、3時間攪拌して、全固形分含量3重量%のポリエステルコーティング組成物を製造した。前記組成物の屈折率は1.6であった。
【0107】
前記の実施例1と同様にして、両面コーティングポリエステルフィルムを製造し、プライマーコーティング層の厚さは、第1コーティング層が62nm、第2コーティング層が62nmであり、これらの屈折率は1.6であった。このように得られた光学フィルムの物性を下記表1に示す。
【0108】
[実施例5]
片面コーティングポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に投入して溶融押出した後、表面温度20℃のキャスティングドラムで急冷、固化させて厚さ2000μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80℃で機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温で冷却した。次に、前記の実施例1で製造されたコーティング組成物1をバーコーティング(bar coating)方法で片面にコーティングした後、110〜150℃まで1秒当たり1℃ずつ昇温して予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次に、5段式テンタで235℃で熱処理を施し、200℃で縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定して、片面にコーティングされた188μmの2軸延伸フィルムを製造した。前記プライマーコーティング層の厚さは92nmであり、屈折率は1.58であった。
【0109】
このように得られた光学フィルムの物性を下記表1に示す。
【0110】
[実施例6]
片面コーティングポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に投入して溶融押出した後、表面温度20℃のキャスティングドラムで急冷、固化させて厚さ2000μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80℃で機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温で冷却した。次に、前記の実施例2で製造されたコーティング組成物2をバーコーティング(bar coating)方法で片面にコーティングした後、110〜150℃まで1秒当たり1℃ずつ昇温して予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次に、5段式テンタで235℃で熱処理を施し、200℃で縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定して、片面にコーティングされた188μmの2軸延伸フィルムを製造した。前記プライマーコーティング層の厚さは85nmであり、屈折率は1.59であった。
【0111】
このように得られた光学フィルムの物性を下記表1に示す。
【0112】
[実施例7]
コーティング組成物5の製造
水性ポリエステルバインダー(屈折率1.54)20重量%、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径65nm、屈折率2.1のジルコニアゾル(Zirconia Sol、CIK社製)、ZRW E−15)8重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、3時間攪拌して、全固形分含量5.5重量%のポリエステルコーティング組成物を製造した。前記組成物の屈折率は1.58であった。
【0113】
前記の実施例1と同様にして、両面コーティングポリエステルフィルムを製造し、プライマーコーティング層の厚さは、第1コーティング層が89nm、第2コーティング層が89nmであり、これらの屈折率は1.58であった。このように得られた光学フィルムの物性を下記表1に示す。
【0114】
[実施例8]
コーティング組成物6の製造
水性ポリエステルバインダー(屈折率1.54)20重量%、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径50nm、屈折率2.1のジルコニアゾル(Zirconia Sol、固形分含量30重量%、クエン酸ナトリウムを用いて表面処理)8重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、3時間攪拌して、全固形分含量5.5重量%のポリエステルコーティング組成物を製造した。前記組成物の屈折率は1.58であった。
【0115】
前記の実施例1と同様にして、両面コーティングポリエステルフィルムを製造し、プライマーコーティング層の厚さは、第1コーティング層が89nm、第2コーティング層が89nmであり、これらの屈折率は1.58であった。このように得られた光学フィルムの物性を下記表1に示す。
【0116】
[実施例9]
コーティング組成物6の製造
水性ポリエステルバインダー(屈折率1.54)22重量%、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径6nm、屈折率2.1のジルコニアゾル(Zirconia Sol、固形分含量30重量%、クエン酸ナトリウムを用いて表面処理)3重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、3時間攪拌して、全固形分含量6重量%のポリエステルコーティング組成物を製造した。前記組成物の屈折率は1.56であった。
【0117】
前記の実施例1と同様にして、両面コーティングポリエステルフィルムを製造し、プライマーコーティング層の厚さは、第1コーティング層が95nm、第2コーティング層が95nmであり、これらの屈折率は1.56であった。このように得られた光学フィルムの物性を下記表1に示す。
【0118】
[実施例10]
実施例1で製造されたコーティング組成物1を用いて、前記の実施例1と同様にして、両面コーティングポリエステルフィルムを製造し、プライマーコーティング層の厚さは、第1コーティング層が50nm、第2コーティング層が50nmであり、これらの屈折率は1.58であった。このように得られた光学フィルムの物性を下記表1に示す。
【0119】
[実施例11]
実施例1で製造されたコーティング組成物1を用いて、前記の実施例1と同様にして、両面コーティングポリエステルフィルムを製造し、プライマーコーティング層の厚さは、第1コーティング層が70nm、第2コーティング層が70nmであり、これらの屈折率は1.58であった。このように得られた光学フィルムの物性を下記表1に示す。
【0120】
[実施例12]
実施例1で製造されたコーティング組成物1を用いて、前記の実施例1と同様にして、両面コーティングポリエステルフィルムを製造し、プライマーコーティング層の厚さは、第1コーティング層が120nm、第2コーティング層が120nmであり、これらの屈折率は1.58であった。このように得られた光学フィルムの物性を下記表1に示す。
【0121】
[実施例13]
実施例1で製造されたコーティング組成物1を用いて、前記の実施例1と同様にして、両面コーティングポリエステルフィルムを製造し、プライマーコーティング層の厚さは、第1コーティング層が150nm、第2コーティング層が150nmであり、これらの屈折率は1.58であった。このように得られた光学フィルムの物性を下記表1に示す。
【0122】
[比較例1]
コーティング組成物7の製造
水性アクリル系バインダー(屈折率1.44)8重量%、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径6nm、屈折率2.1のジルコニアゾル(Zirconia Sol、固形分含量30重量%、クエン酸ナトリウムを用いて表面処理)5重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、3時間攪拌して、全固形分含量5重量%であるアクリル系コーティング組成物を製造した。前記組成物の屈折率は1.53であった。
【0123】
このように得られた光学フィルムの物性を下記表1に示す。
【0124】
[比較例2]
コーティング組成物8の製造
水性ポリエステルバインダー(屈折率1.54)6重量%、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径6nm、屈折率2.1のジルコニアゾル(Zirconia Sol、固形分含量30重量%、クエン酸ナトリウムを用いて表面処理)1.6重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、3時間攪拌して、全固形分含量2重量%のポリエステルコーティング組成物を製造した。前記組成物の屈折率は1.57であった。
【0125】
このように得られた光学フィルムの物性を下記表1に示す。
【0126】
[比較例3]
コーティング組成物9の製造
水性ポリエステルバインダー(屈折率1.54)20重量%、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径6nm、屈折率2.1のジルコニアゾル(Zirconia Sol、固形分含量30重量%、クエン酸ナトリウムを用いて表面処理)8重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、3時間攪拌して、全固形分含量6.5重量%のポリエステルコーティング組成物を製造した。前記組成物の屈折率は1.62であった。
【0127】
【表1】
【0128】
前記表1を参照すると、本発明のプライマーコーティング組成物を塗布したポリエステルフィルムの全光線透過率(TT)が90.1〜91.7%であり、ヘイズが0.73〜1.74であることが分かった。実施例7のように、粒子の粒径が65nmのものを用いる場合、ヘイズが多少高くなることが分かった。
【0129】
[実施例14〜22]
前記の実施例1〜8で製造されたフィルムのプライマーコーティング層の上部にハードコーティング層を形成した。
【0130】
この際、ハードコーティング層は、アクリル系樹脂(AIKA社製、Z−711)を使用し、屈折率および厚さを下記表2のように調節した。
【0131】
このように得られた光学フィルムの物性を下記表2に示す。
【0132】
[比較例4〜6]
前記比較例1〜3で製造されたフィルムのプライマーコーティング層の上部にハードコーティング層を形成した。
【0133】
この際、ハードコーティング層は、アクリル系樹脂(AIKA社製、KY−11)を使用し、屈折率および厚さを下記表2のように調節した。
【0134】
このように得られた光学フィルムの物性を下記表2に示す。
【0135】
【表2】
【0136】
前記表2を参照すると、屈折率が本発明の範囲を逸脱する比較例4(比較例1)の場合には、リップル収斂が300nmで現れ、比較例6(比較例3)の場合には、リップル収斂が800nmで現れ、光学特性が低下することが分かり、レインボー現象が発生することが分かった。また、プライマーコーティング層の塗布厚さが本発明の範囲を逸脱する比較例5(比較例2)の場合には、リップル収斂が300nmで現れることが分かった。
【0137】
以下、本発明の第2様態について説明する。
【0138】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、プライマー層に末端基であるイソシアネート官能基が3個以上であり、末端がブロッキングされている水分散性ポリウレタン樹脂を用いてコーティング層を形成する場合、高温高湿の過酷な条件で耐湿性が向上して後加工の際にプリズムフィルムなどの光学用高分子基材フィルムとの接着性に優れることを見出し、本発明の第2様態を完成するに至った。
【0139】
本発明の第2様態は、末端基が2個である線状ポリマー10〜75重量%および末端基が3個以上である分岐状ポリマー25〜90重量%からなる水分散性ポリウレタン樹脂を含むポリウレタンコーティング組成物(以下、「第1水分散組成物」とする)に関する。
【0140】
また、本発明は、ポリエステル基材フィルムと、前記基材フィルムの片面または両面に末端基が2個である線状ポリマー10〜75重量%および末端基が3個以上である分岐状ポリマー25〜90重量%からなる水分散性ポリウレタン樹脂を含むポリウレタンコーティング組成物が塗布されて形成されたプライマー層と、を含む光学フィルムに関する。
【0141】
本発明の第2様態において、前記末端基は、一部または全部が無機酸塩基でブロッキングされているイソシアネート基を含み、水分散性に優れるため好ましい。
【0142】
本発明の第2様態において、前記水分散性ポリウレタン樹脂は、ポリオール39〜45重量%、トリメチロールプロパン0.3〜1.2重量%およびイソシアネート化合物50〜57重量%を反応させて、イソシアネートを末端基として有するプレポリマーを製造した後、無機酸塩3〜4重量%を反応させて、イソシアネート末端にイオン性基をブロッキングして製造したものを用いることが好ましい。
【0143】
前記水分散性ポリウレタン樹脂は、重量平均分子量が10,000〜20,000のものを用いることが好ましい。
【0144】
本発明の第2様態において、前記ポリウレタンコーティング組成物は、前記水分散性ポリウレタン樹脂と水を含み、固形分含量10〜30重量%の水分散性ポリウレタンバインダー5〜10重量%、シリコン系湿潤剤0.1〜0.5重量%、コロイドシリカ粒子0.1〜0.5重量%および残部の水からなる。
【0145】
本発明の第2様態において、前記コロイドシリカ粒子は、平均粒径50〜1000nmのものを用いる。
【0146】
本発明の第2様態において、前記プライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは50〜100nmであることが好ましい。
【0147】
本発明の第2様態による光学フィルムは、下記式1により測定された膨潤度(Swelling Ratio)が35〜100であり、下記式2により測定されたゲル分率(gel fraction)が75〜85であり、ガラス転移温度が60℃以上である物性をすべて満たす。前記物性を満たす範囲で膨潤(Swelling)されないため、基材フィルムとプライマーコーティング層との優れた接着力を有し、以降、機能成層を積層する後工程において接着力に優れた物性を示す。すなわち、高温高湿環境でも接着力に優れたプライマーコーティング層を形成することができる。
【0148】
[式1]
膨潤度=(放置後の重量−最初の重量)/最初の重量×100
(式中、放置後の重量は約1gの乾燥塗膜を蒸留水50gに浸漬した後、70℃で24時間放置してから測定した重量を意味する。)
【0149】
[式2]
ゲル分率(Gel fraction)=(乾燥後の重量/最初の重量)×100
(式中、乾燥後の重量は約1gの乾燥塗膜を蒸留水50gに浸漬した後、70℃で24時間放置し、前記放置した塗膜を120℃で3時間乾燥してから測定した重量を意味する。)
【0150】
以下、本発明の第2様態についてより具体的に説明する。
【0151】
本発明の第2様態で用いられる基材フィルムは、ポリエステルフィルム、より具体的には、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートフィルムを用いることが光透過度に優れるため好ましく、添加剤または粒子を含むことができる。かかるポリエチレンテレフタレートフィルムは、延伸したフィルムを用いることが好ましく、1軸または2軸延伸したフィルムを用いることができる。前記基材フィルムは、厚さ50〜250μmのものを用いることができ、これに制限されるものではない。
【0152】
本発明の第2様態において、前記プライマー層は光学用高分子基材フィルムの片面または両面に形成されるものであって、接着性に優れており、他の基材との接着を容易にする易接着性を示す。
【0153】
前記プライマー層は、水分散性ポリウレタン樹脂を含むポリウレタンコーティング組成物を用いることを特徴とする。前記水分散性ポリウレタン樹脂は、末端基であるイソシアネート官能基が3個以上であり、前記イソシアネート基の一部または全部が無機酸塩基でブロッキングされており、より具体的には、サルフェートのような無機塩でブロッキングされている分岐状ポリマーと、イソシアネート官能基が2個であり、前記イソシアネート基の一部または全部が無機酸塩基でブロッキングされており、より具体的には、サルフェートのような無機塩でブロッキングされている線状ポリマーと、を含む。
【0154】
前記水分散性ポリウレタン樹脂は、線状ポリマー10〜75重量%と分岐状ポリマー25〜90重量%からなるものを用いることが好ましい。分岐状ポリマーの含量が25重量%未満の場合には、本発明で目的とする膨潤度およびゲル分率を満たすことができず、高温高湿下での接着性に優れた塗膜を得ることが困難である。また、分岐状ポリマーの含量が90重量%を超える場合には、過剰なゲル化によって粘度が急激に上昇して水分散組成物を製造することが困難となり、フィルムの表面にコーティングする際に表面にクラックが発生するなど、表面外観に欠点が生じうる。本発明において、前記分岐状ポリマーは、イソシアネート官能基が3個または3個以上である樹脂を意味する。
【0155】
本発明の第2様態のポリウレタンコーティング組成物は、前記水分散性ポリウレタン樹脂と水を含み、固形分含量10〜30重量%の水分散性ポリウレタンバインダー5〜10重量%、シリコン系湿潤剤0.1〜0.5重量%、コロイドシリカ粒子0.1〜0.5重量%および残部の水からなる。
【0156】
本発明の第2様態において、前記水分散性ポリウレタンバインダーは、水分散性ポリウレタン樹脂と水を含み、固形分含量が10〜30重量%になるように用いることが、塗布厚さを調節するために好ましく、その含量は、ポリウレタンコーティング組成物の5〜10重量%を用いることが好ましい。5重量%未満の場合には、コーティング性は良好であるが、接着力の具現が困難であり、10重量%超える場合には、接着力に優れるが、コーティング外観および透明性の具現が困難となりうる。
【0157】
前記水分散性ポリウレタン樹脂の製造方法は、例えば、ポリオール39〜45重量%、トリメチロールプロパン0.3〜1.2重量%およびイソシアネート化合物50〜57重量%を反応させて、イソシアネートを末端基として有するプレポリマーを製造した後、無機酸塩3〜4重量%を反応させてイソシアネート末端に硫酸塩のイオン性基をブロッキングして製造したものを用いることが好ましく、これに制限されるものではない。
【0158】
また、重量平均分子量が10,000〜20,000の範囲でゲル化されず、水分散が可能で、高温高湿で物性に優れた塗膜を得ることができるため好ましい。
【0159】
前記重量平均分子量は、GPC−MALS(Multi Angle Light Scattering)システム(Wyatt社製)を用いて測定することができ、MALSシステムの構成は、以下の通りである。
【0160】
MALSシステム構成
−GPC:Water 1525 Binary HPLC Pump
−RI検出器:Optilab rex
−MALS:Wyatt Dawn 8+
−Column:PLgel 5μm Mixed−C(7.5mmΦ×300mm)×2(Polymer Laboratories)
−移動相:DMF(50mM LiCl)
−流速:0.5mL/min
−温度:50℃
−注入量(injection volume):0.5%、500μl
【0161】
前記ポリオールは、ポリエステル系ポリオールまたはポリエーテル系ポリオールを用いることができ、好ましくは、ポリエステル系ポリオールを用いる。ポリエステル系ポリオールとしては、カルボン酸、セバシン酸または酸無水物と多価アルコールの反応から製造されるポリオールである。かかるポリオールの種類は特に制限されず、重量平均分子量600〜3000のポリエステルポリオールを用いることが好ましい。ポリエステル系ポリオールとしては、カルボン酸、セバシン酸または酸無水物と多価アルコールの反応から製造されるポリオールなどが挙げられる。かかるポリオールの種類は特に制限されず、重量平均分子量600〜3000のポリエステルポリオールを用いることが好ましい。その含量は39〜45重量%を用いることが好ましい。39重量%未満の場合には、分子量が少なくなり、プライマー層が硬くなりすぎて、延伸が困難となってコーティング外観に優れず、45重量%を超える場合には、ILC層がソフト(Soft)になりすぎてブロッキング性が低下することがある。
【0162】
前記トリメチロールプロパンは、3官能基を有するプレポリマーを製造するために用いられるものであって、0.3〜1.2重量%を用いることが好ましい。0.3重量%未満の場合には、架橋密度が低下し、アンチブロッキング性(Anti−Blocking)が低下することがあり、1.2重量%を超える場合には、架橋密度が高くなりすぎて延伸性に劣りコーティング外観に優れず、接着力に劣る。
【0163】
前記イソシアネート化合物は、特に制限されないが、好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネートを用いることが好ましい。その含量は、50〜57重量%を用いる範囲で、3官能基を有するプレポリマーを製造することができる。
【0164】
前記無機酸塩は、硫酸水素ナトリウム(Sodium Hydrogen Sulfate)を用いることが好ましく、その含量は3〜4重量%を用いることが好ましい。
【0165】
本発明の第2様態のポリウレタンコーティング組成物は、光学用高分子基材フィルム上のコーティング性およびプライマー層上に耐熱性加工を容易にするために、シリコン系湿潤剤、コロイドシリカ粒子を添加剤としてさらに添加してもよい。
【0166】
シリコン系湿潤剤は、0.1〜0.5重量%を用いることが好ましく、コロイドシリカ粒子0.1〜0.5重量%を含むことが好ましい。また、前記コロイドシリカ粒子は、平均粒径50〜1000nmのものを用いることが好ましい。
【0167】
本発明の第2様態において、前記プライマー層の乾燥塗布厚さは50〜100nmであることが好ましい。塗布方法は、ポリエステルフィルムの延伸工程中に表面に塗布するインラインコーティング(in line coating)でコーティングしてもよく、フィルムを製造した後、オフラインコーティング(off line coating)を行ってもよい。両方を並行してもよい。好ましくは、インラインコーティングを行うことが、製膜と同時に塗布されるため製造コストが下がり、コーティング層の厚さを延長倍率に応じて変化させることができるため好ましい。
【0168】
以下、本発明の第2様態について具体的に説明するために一例を挙げて説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0169】
物性は、次の測定方法で測定した。
【0170】
1.ポリウレタンコーティング組成物を用いた塗膜の物性測定
水分散性ポリウレタンバインダー15gを直径80mm、高さ15mmの丸い容器に投入して65℃で72時間、120℃で3時間乾燥する。1gの乾燥塗膜を蒸留水50gに浸漬した後、70℃で24時間放置し、放置した塗膜を取り出して膨潤率(Swelling Ratio)を測定する。放置した塗膜を120℃で3時間乾燥してから重量を記録して、ゲル分率(Gel Fraction)を測定する。
【0171】
1)膨潤率(Swelling Ratio):約1gの乾燥塗膜を蒸留水50gに浸漬した後、70℃で24時間放置し、放置した塗膜を取り出して重量を記録する。
膨潤率(Swelling Ratio)=(放置後の重量−最初の重量)/最初の重量*100
【0172】
2)ゲル分率(Gel Fraction):放置した塗膜を120℃で3時間乾燥してから重量を記録する。
ゲル分率(Gel Fraction)=(乾燥後の重量/最初の重量)*100
【0173】
3)T
g測定:DSC(PerkinElmer DSC7利用)機器を用いて、2nd Run modeで測定する。10〜11mgの乾燥塗膜をPerkinElmer DSC7を用いて測定する。
1st Run.=0〜200℃、200℃/min、Holding Time−3min //200℃〜−40℃、200℃/min、Holding Time−5min
2nd Run.=−40℃〜200℃、20℃/minの条件で測定する。
【0174】
2.両面コーティングポリエステルフィルムのブロッキング(Blocking)の評価方法
Heat Gradient(TOYOSEIKI社製)を用いて、0.4MPaの圧力条件で各5段階の温度を設定し、1分間押圧して1分後、押圧した板を除去してその程度を確認する。各程度の差は
図5を基準に評価した。
−常湿評価時:20〜25℃で40〜50RH%の恒温/恒湿室で行う。
−加湿評価時:フィルムに超音波加湿器を用いて100%RHの条件で行う。
【0175】
[製造例1]
水分散性ポリウレタンバインダー1の製造
理論上、分岐状ポリマーの含量が25重量%である水分散ポリウレタンを製造した。
【0176】
ポリオール(Polyethyleneadipate Diol)40重量%、トリメチロールプロパン(Trimethylol Propane)0.3重量%、ヘキサメチレンジイソシアネート(Hexamethylene Diisocyanate)56.7重量%を反応させてイソシアネート官能基を末端基として有するプレポリマー(Prepolymer)を製造した後、イオン性基として硫酸水素ナトリウム(Sodium Hydrogen Sulfate)3重量%をプレポリマーの末端官能基であるイソシアネートと反応させて、イオン性基を有し、重量平均分子量10,700のポリウレタン(Polyurethane)を製造した。このように製造されたポリウレタン20重量%を水80重量%に分散させて固形分20重量%の水分散性ポリウレタンバインダー1を製造した。
【0177】
[製造例2]
水分散性ポリウレタンバインダー2の製造
理論上、分岐状ポリマーの含量が50重量%である水分散ポリウレタンを製造した。
【0178】
ポリオール(Polyethyleneadipate Diol)40重量%、トリメチロールプロパン(Trimethylol Propane)0.6重量%、ヘキサメチレンジイソシアネート(Hexamethylene Diisocyanate)55.9重量%を反応させてイソシアネート官能基を末端基として有するプレポリマー(Prepolymer)を製造した後、イオン性基として硫酸水素ナトリウム(Sodium Hydrogen Sulfate)3.5重量%をプレポリマーの末端官能基であるイソシアネートと反応させて、イオン性基を有し、重量平均分子量14,400のポリウレタン(Polyurethane)を製造した。このように製造されたポリウレタン20重量%を水80重量%に分散させて固形分20重量%の水分散性ポリウレタンを製造した。
【0179】
[製造例3]
水分散性ポリウレタンバインダー3の製造
理論上、分岐状ポリマーの含量が90重量%である水分散ポリウレタンを製造した。
【0180】
ポリオール(Polyethyleneadipate Diol)40重量%、トリメチロールプロパン(Trimethylol Propane)1.2重量%、ヘキサメチレンジイソシアネート(Hexamethylene Diisocyanate)54.8重量%を反応させてイソシアネート官能基を末端基として有するプレポリマー(Prepolymer)を製造した後、イオン性基として硫酸水素ナトリウム(Sodium Hydrogen Sulfate)4.0重量%をプレポリマーの末端官能基であるイソシアネートと反応させて、イオン性基を有し、重量平均分子量19,000のポリウレタン(Polyurethane)を製造した。このように製造されたポリウレタン20重量%を水80重量%に分散させて固形分20重量%の水分散性ポリウレタンを製造した。
【0181】
[実施例23]
架橋密度に優れたポリウレタンコーティング組成物1の製造
前記製造例1で製造された水分散性ポリウレタンバインダー5重量%、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、2時間攪拌してポリウレタンコーティング組成物1を製造した。
【0182】
両面コーティングポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に投入して溶融押出した後、表面温度20℃のキャスティングドラムで急冷、固化させて厚さ2000μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80℃で機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温で冷却した。次に、前記ポリウレタンコーティング組成物1をバーコーティング(bar coating)方法で両面にコーティングして、110〜150℃まで1秒当たり1℃ずつ昇温して予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次に、5段式テンタで230℃で熱処理を施し、200℃で縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定して両面にコーティングされた188μmの2軸延伸フィルムを製造した。前記ポリウレタンコーティング層の乾燥塗布厚さは、第1コーティング層が80nm、第2コーティング層が80nmであった。
【0183】
[実施例24]
架橋密度に優れたポリウレタンコーティング組成物2の製造
前記製造例2で製造された水分散性ポリウレタンバインダー5重量%、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、2時間攪拌してポリウレタンコーティング組成物2を製造した。
【0184】
両面コーティングポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に投入して溶融押出した後、表面温度20℃のキャスティングドラムで急冷、固化させて厚さ2000μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80℃で機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温で冷却した。次に、前記ポリウレタンコーティング組成物2をバーコーティング(bar coating)方法で両面にコーティングして、110〜150℃まで1秒当たり1℃ずつ昇温して予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次に、5段式テンタで230℃で熱処理を施し、200℃で縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定して両面にコーティングされた188μmの2軸延伸フィルムを製造した。前記ポリウレタンコーティング層の乾燥塗布厚さは、第1コーティング層が80nm、第2コーティング層が80nmであった。
【0185】
[実施例25]
架橋密度に優れたポリウレタンコーティング組成物3の製造
前記製造例3で製造された水分散性ポリウレタンバインダー5重量%、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、2時間攪拌してポリウレタンコーティング組成物3を製造した。
【0186】
両面コーティングポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に投入して溶融押出した後、表面温度20℃のキャスティングドラムで急冷、固化させて厚さ2000μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80℃で機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温で冷却した。次に、前記ポリウレタンコーティング組成物3をバーコーティング(bar coating)方法で両面にコーティングして、110〜150℃まで1秒当たり1℃ずつ昇温して予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次に、5段式テンタで230℃で熱処理を施し、200℃で縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定して両面にコーティングされた188μmの2軸延伸フィルムを製造した。前記ポリウレタンコーティング層の乾燥塗布厚さは、第1コーティング層が80nm、第2コーティング層が80nmであった。
【0187】
[比較例7]
ポリウレタン組成物の製造
水性ポリウレタンバインダー(Dai−ichi kogyo seiyaku社製、UREKO H−3、固形分20重量%、官能基2個、重量平均分子量8,000の水性ポリウレタンバインダー)5重量%、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、2時間攪拌して比較例7を準備した。
【0188】
この組成物を用いて前記の実施例23と同様にして、両面コーティングポリエステルフィルムを製造した。
【0189】
前記製造例1〜3で製造された水分散性ポリウレタンバインダーおよび比較例7の水性ポリウレタンバインダーの物性を測定して、下記表3に示す。
【0190】
【表3】
【0191】
前記の実施例23〜25および比較例7による塗膜の物性を測定して、下記表4および表5に示す。
【0192】
【表4】
【0193】
【表5】
【0194】
前記表4および表5を参照すると、本発明に係る実施例23は、常湿条件で100℃以上でブロッキングが低下することが分かるが、実施例24および実施例25は、常湿条件で120℃までブロッキング性に優れることが分かった。
【0195】
加湿条件の場合、本発明に係る実施例23および24は、80℃までブロッキング性に優れたことが分かり、実施例25は、110℃までブロッキング性に優れることが分かった。
【0196】
かかる結果をまとめると、プライマー層に用いられた水分散性ポリウレタンバインダーの末端基の個数を調節することで、高温、高湿条件で物性に優れたフィルムを製造することができることが分かった。
【0197】
以下、本発明の第3様態について具体的に説明する。
【0198】
本発明の第3様態は、ポリエステルコーティング組成物およびこれを用いたポリエステルフィルムに関する。
【0199】
より具体的に、本発明の第3様態は、2,6−ナフタレンジカルボン酸20〜40モル%、芳香族ジカルボン酸1〜10モル%、スルホン酸塩を含む芳香族ジカルボン酸1〜10モル%、下記化学式1で表されるビス[4(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン10〜30モル%、ジオール化合物30〜60モル%、下記化学式2で表されるトリグリセリド化合物1〜10モル%を重縮合したポリエステル樹脂を含むポリエステルコーティング組成物(以下、「第2水分散組成物」とする)に関する。
【0200】
【化3】
【0201】
【化4】
(前記化学式2中、R
1〜R
3は、それぞれ独立して、水素、不飽和炭化水素を含むか含まない(C1〜C30)アルキルから選択される。)
【0202】
本発明者らは、ポリエステル基材フィルムとの接着力に優れ、干渉縞が制御されたプライマー層を導入するために鋭意研究を重ねた結果、基材フィルムであるポリエステルフィルムとの接着力を高めるために同じ系の樹脂であるポリエステル樹脂エマルジョンを使用し、この際、干渉縞を制御するために、屈折率1.58以上の、より好ましくは、屈折率1.58〜1.64のポリエステルエマルジョンを製造しようとした。
【0203】
前記屈折率を満たすために、ポリエステル樹脂を合成する際にカルボン酸成分およびグリコール成分として芳香族構造を有する化合物を用いることで屈折率を高めることができることを見出した。具体的に、前記化学式1のビス[4(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンを添加して合成する場合、屈折率が高くなることを確認した。しかし、前記の芳香族化合物は、屈折率は高めることができるが、これと同時に樹脂のガラス転移温度が上昇するため、水分散エマルジョンを製造してフィルム製膜の際に用いる場合、フィルムの延伸および熱処理温度で十分に熱処理することができず、フィルムの表面にクラックが発生するかドメインを形成して、白濁が発生することを見出した。
【0204】
そのため、かかる問題を改善するために鋭意研究を重ねた結果、前記化学式2で表されるトリグリセリド化合物を添加して合成する場合、分岐(branch)構造を形成してガラス転移温度を下げることができることを見出し、より好ましくは、1〜10モル%用いる範囲で屈折率1.58〜1.64と高く、ガラス転移温度が40〜60℃のポリエステル樹脂を合成することができることを見出し、かかるポリエステル樹脂を用いてプライマーコーティング層用水分散エマルジョンを製造し、これを用いてポリエステルフィルムを製造する際にプライマーコーティング層を形成することで光学的特性に優れたポリエステルフィルムを提供することができることを見出し、本発明の第3様態を完成するに至った。
【0205】
より具体的に、本発明の第3様態において、前記芳香族ジカルボン酸は、ジメチルテレフタレート、テレフタル酸、イソフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を用いることができる。
【0206】
前記スルホン酸塩を含む芳香族ジカルボン酸は、ナトリウム2,5−ジカルボキシベンゼンスルホネート(soduim2,5dicarboxy benzene sulfonate)5−スルホンイソフタル酸(5−sulfoisophtalic acid)、2−スルホンイソフタル酸(2−sulfoisophtalic acid)、4−スルホンイソフタル酸(4−sulfoisophtalic acid)、4−スルホンナフタレン−2,6−ジカルボン酸(4−sulfo naphtalene−2,6−dicarboxylic acid)から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を用いることができる。
【0207】
前記ジオール化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、プロパンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールBなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を用いることができる。
【0208】
また、本発明の第3様態において、前記ポリエステル樹脂は、屈折率が1.58〜1.64であり、ガラス転移温度が40〜60℃である物性を満たすことができる。
【0209】
本発明の第3様態において、前記ポリエステルコーティング組成物は、前記ポリエステル樹脂および水を含み、固形分含量10〜40重量%の水分散性ポリエステルバインダーを含むことができる。
【0210】
より具体的に、本発明の第3様態において、前記ポリエステルコーティング組成物は、ポリエステル樹脂および水を含み、固形分含量10〜40重量%の水分散性ポリエステルバインダー10〜40重量%、湿潤剤0.1〜0.5重量%、平均粒径100〜200nmのシリカ0.1〜1.0重量%を含み、全固形分含量が2〜10重量%であることが好ましい。
【0211】
本発明の第3様態の水分散組成物は、必要に応じて、親水性有機溶媒、界面活性剤をさらに含んでもよい。
【0212】
また、本発明の第3様態は、前記水分散組成物を塗布したプライマーコーティング層を含むポリエステルフィルムも本発明の範囲に含まれ、より具体的には、ポリエステル基材フィルムと、前記ポリエステル基材フィルムの片面または両面に前記ポリエステルコーティング組成物を塗布したプライマーコーティング層と、を含むポリエステルフィルムである。
【0213】
以下、本発明の第3様態の各構成についてより具体的に説明する。
【0214】
本発明の第3様態において、前記水分散組成物は、屈折率が1.58〜1.64であり、ガラス転移温度が40〜60℃であることが好ましい。屈折率が1.58未満であるか1.64を超える場合には、基材フィルムであるポリエステルフィルムとの屈折率差が大きく、光干渉現象(Rainbow現象)が生じうるため光学用フィルムとして用いるには適しない。また、ガラス転移温度が60℃を超える場合には、ポリエステルフィルムを製造する際に、延伸および熱処理工程で十分に熱処理されず、フィルムに白濁が生じうる。
【0215】
前記屈折率およびガラス転移温度を満たすための本発明のポリエステルコーティング組成物は、2,6−ナフタレンジカルボン酸20〜40モル%、スルホン酸塩を含む芳香族ジカルボン酸1〜10モル%、芳香族ジカルボン酸1〜10モル%を含む酸成分と、下記化学式1で表されるビス[4(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン10〜30モル%、下記化学式2で表されるトリグリセリド化合物1〜10モル%、ジオール化合物30〜60モル%を含むグリコール成分を重縮合したポリエステル樹脂と、を含む。
【0216】
【化5】
【0217】
【化6】
(前記化学式2中、R
1〜R
3は、それぞれ独立して、水素、不飽和炭化水素を含むか含まない(C1〜C30)アルキルから選択される。)
【0218】
本発明の第3様態において、前記酸成分において、前記2,6−ナフタレンジカルボン酸は、ジカルボン酸成分として下記化学式3で示したように芳香族環を2個含有することで屈折率を上昇させることができるため好ましく用いられる。
【0219】
【化7】
【0220】
前記2,6−ナフタレンジカルボン酸は、20〜40モル%を用いることが好ましく、20モル%未満の場合には、ポリエステル樹脂に高い屈折率を付与することが困難となり、40モル%を超える場合には、水分散が困難となりうる。
【0221】
また、前記スルホン酸塩を含む芳香族ジカルボン酸は、水に対する分散性を確保するために用いられるものであって、特に制限されないが、好ましくは、ナトリウム2,5−ジカルボキシベンゼンスルホネート、5−スルホンイソフタル酸、スルホンテレフタル酸、4−スルホンナフタレン−2,6−ジカルボン酸などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を用いることができる。より好ましくは、下記化学式4で表されるナトリウム2,5−ジカルボキシベンゼンスルホネートを用いる。1〜10モル%を用いることが好ましく、1モル%未満の場合には、水分散性が低下することがあり、10モル%を超える場合には、親水性が強くなりすぎて取扱性が低下するかフィルムのブロッキング(Blocking)が生じうる。
【0222】
【化8】
【0223】
また、前記芳香族ジカルボン酸は、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびスルホン酸塩を含む芳香族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分を意味し、特に制限されないが、好ましくは、ジメチルテレフタレート、テレフタル酸、イソフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を用いることができる。1〜10モル%を用いることが好ましく、1モル%未満の場合には、屈折率上昇が困難となり、10モル%を超える場合には、水に対する分散が困難となり、芳香族成分が増加してフィルム製造の際にb値上昇と接着力低下が生じうる。
【0224】
本発明の第3様態において、前記グリコール成分において、下記化学式1で表されるビス[4(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンは、屈折率を高め、且つ高い透明性を示すために用いられるものであって、10〜30モル%を用いることが好ましく、10モル%未満の場合には、屈折率を高めることが困難となり、30モル%を超える場合には、水に対する分散が困難となる。
【0225】
【化9】
【0226】
また、下記化学式2で表されるトリグリセリド化合物は、屈折率の上昇によってガラス転移温度が上昇し、フィルムの表面にコーティングした後、延伸の際に表面にクラックが発生するか未溶融によりドメインが形成されることを改善し、均一なコーティング膜と屈折率を示し、ガラス転移温度を下げるために用いられるものであって、長鎖(long chain)の側鎖(side branch)を導入する機能を果たす。1〜10モル%を用いることが好ましく、1モル%未満の場合には、十分にT
gを下げることができず、10モル%を超える場合には、屈折率低下とフィルムのブロッキングが生じうる。
【0227】
【化10】
(前記化学式2中、R
1〜R
3は、それぞれ独立して、水素、不飽和炭化水素を含むか含まない(C1〜C30)アルキルから選択される。)
【0228】
また、前記ジオール化合物は、特に制限されるものではないが、具体例として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、プロパンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールBなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を用いることができる。30〜60モル%を用いることが好ましく、30モル%未満の場合には、エステル化反応が十分に行われず、60モル%を超える場合には、フィルムのブロッキングが発生し、耐熱性が低下し、屈折率が低下することがある。
【0229】
本発明の第3様態の前記成分を重縮合したポリエステル樹脂は、固有粘度が0.1〜1.0、より好ましくは、0.1〜1.6であることが好ましい。前記範囲でポリエステル樹脂を水または水性溶媒に溶解または分散させてポリエステルエマルジョンを製造することができる。
【0230】
本発明の第3様態のポリエステル樹脂を従来のポリエステル樹脂合成方法で製造することができ、例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸20〜40モル%、スルホン酸塩を含む芳香族ジカルボン酸1〜10モル%、芳香族ジカルボン酸1〜10モル%を含む酸成分と、ビス[4(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン10〜30モル%、トリグリセリド化合物1〜10モル%、ジオール化合物30〜60モル%を含むグリコール成分と、を無溶媒状態で混合して反応器に投入し、加熱して生成される副生成物である水またはメタノールを除去しながらエステル化反応を行う。次に、温度を上げるとともに反応器内の圧力を減圧して、副生成物であるジオール成分を回収しながら重縮合反応を行う。
【0231】
この際、重縮合反応を促進する触媒、例えば、エステル化触媒、エステル交換触媒、重縮合触媒などを用いることができ、また、様々な添加剤、例えば、安定剤、無機粒子などを添加することができる。
【0232】
本発明の第3様態において、プライマーコーティング層をなすための前記コーティング組成物は、ポリエステル樹脂、湿潤剤、平均粒径100〜200nmのシリカおよび固形分含量5〜40重量%の水分散された無機粒子を含む水分散性または水溶性の組成物であることが好ましい。
【0233】
より好ましくは、本発明の第3様態の前記ポリエステルコーティング組成物は、前記ポリエステル樹脂10〜40重量%、湿潤剤0.1〜0.5重量%、平均粒径100〜200nmのシリカ0.1〜1.0重量%を含み、全固形分含量が2〜10重量%になるように製造することが好ましい。固形分含量2〜10重量%の範囲で塗布厚さを調節することが好ましい。
【0234】
前記ポリエステルコーティング組成物は、必要に応じて、親水性有機溶媒、界面活性剤をさらに含んで分散安定性を高めることができる。
【0235】
親水性有機溶媒としては、ジオキサン、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトンなどを用いることができ、界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤または非イオン界面活性剤を用いて分散安定性を向上させることができる。好ましくは、0.1〜5重量%を用いる。
【0236】
前記プライマーコーティング層を形成するためのポリエステルコーティング組成物の塗布方法は、ポリエステルフィルムの延伸工程中に表面に塗布するインラインコーティング(in line coating)でコーティングしてもよく、フィルムを製造した後、オフラインコーティング(off line coating)を行ってもよい。両方を並行してもよい。
【0237】
好ましくは、インラインコーティングを行うことが、製膜と同時に塗布されるため製造コストが下がり、コーティング層の厚さを延長倍率に応じて変化させることができるため好ましい。
【0238】
本発明の第3様態は、前記ポリエステルコーティング組成物を基材フィルムの片面または両面に塗布してプライマーコーティング層を形成したポリエステルフィルムも本発明の範囲に含まれ、本発明の第3様態で用いられる基材フィルムは、ポリエステルフィルム、より具体的には、ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることが光透過度に優れるため好ましい。かかるポリエチレンテレフタレートフィルムは、延伸したフィルムを用いることが好ましく、1軸または2軸延伸したフィルムを用いることができる。
【0239】
前記基材フィルムの厚さは25〜188μmのものを用いることができ、これに制限されるものではない。
【0240】
以下、本発明の第3様態について具体的に説明するために一例を挙げて説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0241】
下記の実施例および比較例に示す物性を測定する方法は、次の通りである。
【0242】
1)全光線透過率の測定
全光線透過率測定器(Nippon Denshoku 300A)を用いて全体フィルムの全光線透過率を測定した。
【0243】
2)屈折率の測定:組成物をポリカーボネート(polycarbonate)フィルムに塗布してから乾燥し、屈折率測定器、アッベ屈折計(ATAGO社製、DR−M2、@550)を用いて常温で測定した。
【0244】
3)レインボー現象測定−1:実施例および比較例による光学フィルムを製造した後、その片面にハードコーティング処理(屈折率1.52)を施してから他の面を黒化処理して、肉眼でレインボーが発生したか否かを確認した。目視評価の際に暗室で3波長形ランプの下で評価した。
【0245】
評価基準は、次の通りである。
上:レインボーが見えず、均一な色感を示す
中:レインボー現象が弱く現れ、均一な色感を示す
下:レインボーが強く現れ、強い色感を示す
【0246】
4)レインボー現象測定−2:実施例および比較例による光学フィルムを製造した後、その片面にハードコーティング処理(屈折率1.52)を施してから他の面を黒化処理して、UV−Visible(CARY5000)を用いて可視光領域の反射パターンを測定した。
【0247】
上:500〜600nmでリップル振幅が、他の波長帯のリップル振幅に比べて減少し、リップル振幅1%以下
中:500〜600nmでリップル振幅が、他の波長帯のリップル振幅に比べて減少し、リップル振幅3%以下
下:リップル振幅が減少する波長帯が500〜600nmでなく、または振幅が減少する波長が見えない時
【0248】
5)コーティング外観
コーティングされたフィルムを3波長形ランプの下で透過して見た時
透過された光が透明に見えたときには◎、不透明に見えたときには白濁現象と判断する。
【0249】
6)ガラス転移温度
DSC(PerkinElmer DSC7利用)機器を用いて、2nd Run modeで測定する。
【0250】
10mgの乾燥塗膜をPerkinElmer DSC7を用いて測定する。
1st Run.=0〜200℃、200℃/min、Holding Time3min、200℃〜−40℃、200℃/min、Holding Time5min
2nd Run.=−40℃〜200℃、20℃/min.
【0251】
7)ヘイズ
Nippon Denshoku社製、NDH−5000で測定
縦横5cmのサンプルをフィルム全幅で0.5mの間隔で10個サンプリングして測定した後、平均値を示す。
【0252】
8)乾燥塗布厚さの測定:ポリウレタンコーティング組成物がコーティングされた基材フィルムの全幅を機械方向の垂直方向(TD)に1mの間隔で5ポイント(Point)を指定し、フィルムの断面をSEM(Hitachi S−4300)で測定し、5万倍拡大してその区間内で30ポイント測定した後、平均値を計算した。
【0253】
[実施例26]
1)ポリエステルコーティング組成物1の製造
2,6−ナフタレンジカルボン酸(2,6−Naphtalene dicarboxly acid)40モル(26モル%)、ナトリウム2,5−ジカルボキシベンゼンスルホネート(sodium2,5−dicarboxylbenzene sulfonate)5モル(3.3モル%)、ジメチルテレフタル酸5モル(3.3モル%)とビス[4(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(Bis[4(2−hydroxyethoxy)phenyl]fluorene)20モル(13.3モル%)、トリグリセリド(Triglyceride、KAO CORPORATION社製(商品名85P))10モル(6.6モル%)、エチレングリコール70モル(46.6モル%)を無溶媒状態で混合してこれを反応器に投入し、170℃から250℃まで1分当たり1℃ずつ昇温しながら反応させて、副生成物である水またはメタノールを除去しながらエステル化反応を行い、260℃まで昇温するとともに反応器内の圧力を1mmHgに減圧して副生成物であるジオールを回収しながら重縮合反応を行って、固有粘度0.5のポリエステル樹脂を製造した。
【0254】
前記製造されたポリエステル樹脂25重量%に水75重量%を加え、乳化させて25重量%の水性ポリエステルバインダーを製造した。製造した水性ポリエステルバインダーの屈折率は1.60であった。
【0255】
前記水性ポリエステルバインダー20重量%にシリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、3時間攪拌して、全固形分含量5.5重量%のプライマーコーティング組成物1を製造した。
【0256】
2)両面コーティングポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に投入して溶融押出した後、表面温度20℃のキャスティングドラムで急冷、固化させて厚さ2000μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80℃で機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温で冷却した。次に、製造したプライマーコーティング組成物1をバーコーティング(bar coating)方法で両面にコーティングした後、110〜150℃まで1秒当たり1℃ずつ昇温して予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次に、5段式テンタで235℃で熱処理を施し、200℃で縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定して両面にコーティングされた188μmの2軸延伸フィルムを製造した。前記ポリエステルプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは、第1コーティング層が100nm、第2コーティング層が100nmであった。このように得られた光学フィルムの物性を下記表6に示す。
【0257】
[実施例27]
1)ポリエステルコーティング組成物2の製造
2,6−ナフタレンジカルボン酸(2,6−Naphtalene dicarboxly acid)40モル(26モル%)、ナトリウム2,5−ジカルボキシベンゼンスルホネート(sodium2,5−dicarboxylbenzene sulfonate)5モル(3.3モル%)、ジメチルテレフタル酸5モル(3.3モル%)とビス[4(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(Bis[4(2−hydroxyethoxy)phenyl]fluorene)30モル(20モル%)、トリグリセリド(Triglyceride、KAO CORPORATION社製(商品名85P))10モル(6.6モル%)、エチレングリコール60モル(40モル%)を無溶媒状態で混合してこれを反応器に投入し、170℃から250℃まで1分当たり1℃ずつ昇温しながら反応させて、副生成物である水またはメタノールを除去しながらエステル化反応を行い、260℃まで昇温するとともに反応器内の圧力を1mmHgに減圧して副生成物であるジオールを回収しながら重縮合反応を行って、固有粘度0.6のポリエステル樹脂を製造した。
【0258】
前記製造されたポリエステル樹脂25重量%に水75重量%を加え、乳化させて25重量%の水性ポリエステルバインダーを製造した。製造した水性ポリエステルバインダーの屈折率は1.62であった。
【0259】
前記水性ポリエステルバインダー20重量%にシリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、3時間攪拌して、全固形分含量5.5重量%のプライマーコーティング組成物2を製造した。
【0260】
2)両面コーティングポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に投入して溶融押出した後、表面温度20℃のキャスティングドラムで急冷、固化させて厚さ2000μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80℃で機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温で冷却した。次に、製造したプライマーコーティング組成物2をバーコーティング(bar coating)方法で両面にコーティングした後、110〜150℃まで1秒当たり1℃ずつ昇温して予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次に、5段式テンタで235℃で熱処理を施し、200℃で縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定して両面にコーティングされた188μmの2軸延伸フィルムを製造した。前記ポリエステルプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは、第1コーティング層が100nm、第2コーティング層が100nmであった。このように得られた光学フィルムの物性を下記表6に示す。
【0261】
[実施例28]
1)ポリエステルコーティング組成物3の製造
2,6−ナフタレンジカルボン酸(2,6−Naphtalene dicarboxly acid)40モル(26モル%)、ナトリウム2,5−ジカルボキシベンゼンスルホネート(sodium2,5−dicarboxylbenzene sulfonate)5モル(3.3モル%)、ジメチルテレフタル酸5モル(3.3モル%)とビス[4(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(Bis[4(2−hydroxyethoxy)phenyl]fluorene)10モル(6.66モル%)、トリグリセリド(Triglyceride、KAO CORPORATION社製(商品名85P))10モル(6.6モル%)、エチレングリコール80モル(53.33モル%)を無溶媒状態で混合してこれを反応器に投入し、170℃から250℃まで1分当たり1℃ずつ昇温しながら反応させて、副生成物である水またはメタノールを除去しながらエステル化反応を行い、260℃まで昇温するとともに反応器内の圧力を1mmHgに減圧して副生成物であるジオールを回収しながら重縮合反応を行って、固有粘度0.5のポリエステル樹脂を製造した。
【0262】
前記製造されたポリエステル樹脂25重量%に水75重量%を加え、乳化させて25重量%の水性ポリエステルバインダーを製造した。製造した水性ポリエステルバインダーの屈折率は1.58であった。
【0263】
前記水性ポリエステルバインダー20重量%にシリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、3時間攪拌して、全固形分含量5.5重量%のプライマーコーティング組成物3を製造した。
【0264】
2)両面コーティングポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に投入して溶融押出した後、表面温度20℃のキャスティングドラムで急冷、固化させて厚さ2000μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80℃で機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温で冷却した。次に、製造したプライマーコーティング組成物3をバーコーティング(bar coating)方法で両面にコーティングした後、110〜150℃まで1秒当たり1℃ずつ昇温して予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次に、5段式テンタで235℃で熱処理を施し、200℃で縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定して両面にコーティングされた188μmの2軸延伸フィルムを製造した。前記ポリエステルプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは、第1コーティング層が100nm、第2コーティング層が100nmであった。このように得られた光学フィルムの物性を下記表6に示す。
【0265】
[実施例29]
2)片面コーティングポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に投入して溶融押出した後、表面温度20℃のキャスティングドラムで急冷、固化させて厚さ2000μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80℃で機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温で冷却した。次に、前記コーティング組成物1をバーコーティング(bar coating)方法で片面にコーティングした後、110〜150℃まで1秒当たり1℃ずつ昇温して予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次に、5段式テンタで235℃で熱処理を施し、200℃で縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定して、片面にコーティングされた188μmの2軸延伸フィルムを製造した。前記ポリエステルプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは100nmであった。このように得られた光学フィルムの物性を下記表6に示す。
【0266】
[実施例30]
2)片面コーティングポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に投入して溶融押出した後、表面温度20℃のキャスティングドラムで急冷、固化させて厚さ2000μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80℃で機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温で冷却した。次に、前記コーティング組成物2をバーコーティング(bar coating)方法で片面にコーティングした後、110〜150℃まで1秒当たり1℃ずつ昇温して予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次に、5段式テンタで235℃で熱処理を施し、200℃で縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定して、片面にコーティングされた188μmの2軸延伸フィルムを製造した。前記ポリエステルプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは100nmであった。このように得られた光学フィルムの物性を下記表6に示す。
【0267】
[実施例31]
2)片面コーティングポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に投入して溶融押出した後、表面温度20℃のキャスティングドラムで急冷、固化させて厚さ2000μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80℃で機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温で冷却した。次に、前記コーティング組成物3をバーコーティング(bar coating)方法で片面にコーティングした後、110〜150℃まで1秒当たり1℃ずつ昇温して予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次に、5段式テンタで235℃で熱処理を施し、200℃で縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定して、片面にコーティングされた188μmの2軸延伸フィルムを製造した。前記ポリエステルプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは100nmであった。このように得られた光学フィルムの物性を下記表6に示す。
【0268】
[比較例8]
1)ポリエステルコーティング組成物4の製造
2,6−ナフタレンジカルボン酸(2,6−Naphtalene dicarboxly acid)40モル(26モル%)、ナトリウム2,5−ジカルボキシベンゼンスルホネート(sodium2,5−dicarboxylbenzene sulfonate)5モル(3.3モル%)、ジメチルテレフタル酸5モル(3.3モル%)とビス[4(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(Bis[4(2−hydroxyethoxy)phenyl]fluorene)30モル(20モル%)、エチレングリコール70モル(46.66モル%)を無溶媒状態で混合してこれを反応器に投入し、170℃から250℃まで1分当たり1℃ずつ昇温しながら反応させて、副生成物である水またはメタノールを除去しながらエステル化反応を行い、260℃まで昇温するとともに反応器内の圧力を1mmHgに減圧して副生成物であるジオールを回収しながら重縮合反応を行って、固有粘度0.5のポリエステル樹脂を製造した。
【0269】
前記製造されたポリエステル樹脂25重量%に水75重量%を加え、乳化させて25重量%の水性ポリエステルバインダーを製造した。製造した水性ポリエステルバインダーの屈折率は1.62であった。
【0270】
前記水性ポリエステルバインダー20重量%にシリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、3時間攪拌して、全固形分含量5.5重量%のプライマーコーティング組成物4を製造した。
【0271】
2)両面コーティングポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に投入して溶融押出した後、表面温度20℃のキャスティングドラムで急冷、固化させて厚さ2000μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80℃で機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温で冷却した。次に、製造したプライマーコーティング組成物4をバーコーティング(bar coating)方法で両面にコーティングした後、110〜150℃まで1秒当たり1℃ずつ昇温して予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次に、5段式テンタで235℃で熱処理を施し、200℃で縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定して両面にコーティングされた188μmの2軸延伸フィルムを製造した。前記ポリエステルプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは、第1コーティング層が100nm、第2コーティング層が100nmであった。このように得られた光学フィルムの物性を下記表6に示す。
【0272】
[比較例9]
1)ポリエステルコーティング組成物5の製造
2,6−ナフタレンジカルボン酸(2,6−Naphtalene dicarboxly acid)40モル(26モル%)、ナトリウム2,5−ジカルボキシベンゼンスルホネート(sodium2,5−dicarboxylbenzene sulfonate)5モル(3.3モル%)、ジメチルテレフタル酸5モル(3.3モル%)とビス[4(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(Bis[4(2−hydroxyethoxy)phenyl]fluorene)20モル(13.33モル%)、エチレングリコール80モル(53.33モル%)を無溶媒状態で混合してこれを反応器に投入し、170℃から250℃まで1分当たり1℃ずつ昇温しながら反応させて、副生成物である水またはメタノールを除去しながらエステル化反応を行い、260℃まで昇温するとともに反応器内の圧力を1mmHgに減圧して副生成物であるジオールを回収しながら重縮合反応を行って、固有粘度0.4のポリエステル樹脂を製造した。
【0273】
前記製造されたポリエステル樹脂25重量%に水75重量%を加え、乳化させて25重量%の水性ポリエステルバインダーを製造した。製造した水性ポリエステルバインダーの屈折率は1.60であった。
【0274】
前記水性ポリエステルバインダー20重量%にシリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、3時間攪拌して、全固形分含量5.5重量%のプライマーコーティング組成物5を製造した。
【0275】
2)両面コーティングポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に投入して溶融押出した後、表面温度20℃のキャスティングドラムで急冷、固化させて厚さ2000μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80℃で機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温で冷却した。次に、製造したプライマーコーティング組成物5をバーコーティング(bar coating)方法で両面にコーティングした後、110〜150℃まで1秒当たり1℃ずつ昇温して予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次に、5段式テンタで235℃で熱処理を施し、200℃で縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定して両面にコーティングされた188μmの2軸延伸フィルムを製造した。前記ポリエステルプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは、第1コーティング層が100nm、第2コーティング層が100nmであった。このように得られた光学フィルムの物性を下記表6に示す。
【0276】
[比較例10]
1)ポリエステルコーティング組成物6の製造
2,6−ナフタレンジカルボン酸(2,6−Naphtalene dicarboxly acid)40モル(26モル%)、ナトリウム2,5−ジカルボキシベンゼンスルホネート(sodium2,5−dicarboxylbenzene sulfonate)5モル(3.3モル%)、ジメチルテレフタル酸5モル(3.3モル%)とエチレングリコールと1,4ブチレングリコールを1:1で混合して100モル(66.66モル%)を無溶媒状態で混合し、これを反応器に投入して、170℃から250℃まで1分当たり1℃ずつ昇温しながら反応させて、副生成物である水またはメタノールを除去しながらエステル化反応を行い、260℃まで昇温するとともに反応器内の圧力を1mmHgに減圧して副生成物であるジオールを回収しながら重縮合反応を行って、固有粘度0.4のポリエステル樹脂を製造した。
【0277】
前記製造されたポリエステル樹脂25重量%に水75重量%を加え、乳化させて25重量%の水性ポリエステルバインダーを製造した。製造した水性ポリエステルバインダーの屈折率は1.54であった。
【0278】
前記水性ポリエステルバインダー20重量%にシリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、3時間攪拌して、全固形分含量5.5重量%のプライマーコーティング組成物6を製造した。
【0279】
2)両面コーティングポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に投入して溶融押出した後、表面温度20℃のキャスティングドラムで急冷、固化させて厚さ2000μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80℃で機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温で冷却した。次に、製造したプライマーコーティング組成物6をバーコーティング(bar coating)方法で両面にコーティングした後、110〜150℃まで1秒当たり1℃ずつ昇温して予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次に、5段式テンタで235℃で熱処理を施し、200℃で縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定して両面にコーティングされた188μmの2軸延伸フィルムを製造した。前記ポリエステルプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは、第1コーティング層が100nm、第2コーティング層が100nmであった。このように得られた光学フィルムの物性を下記表6に示す。
【0280】
製造されたフィルムの物性を測定して、下記表6に示す。
【0281】
【表6】
【0282】
前記表6を参照すると、本発明に係るポリエステルバインダー樹脂は、屈折率1.58〜1.62と高いことが分かり、ガラス転移温度は43〜55℃と低いことが分かった。
【0283】
これにより製造されるフィルムの透過率が高く、ヘイズが低いことが分かり、フィルムの製膜の際に白濁などが発生せず外観に優れ、レインボー現象が発生せず光学フィルムとしての使用に適することが分かった。
【0284】
次に、本発明の第4様態について具体的に説明する。
【0285】
本発明の第4様態は、第1水分散組成物と、第2水分散組成物との混合物を含む水分散組成物であって、前記第1水分散組成物は、末端基が2個である線状ポリマー10〜75重量%および末端基が3個以上である分岐状ポリマー25〜90重量%からなる水分散性ポリウレタン樹脂を含み、前記第2水分散組成物は、2,6−ナフタレンジカルボン酸20〜40モル%、スルホン酸塩を含む芳香族ジカルボン酸1〜10モル%、芳香族ジカルボン酸1〜10モル%、下記化学式1で表されるビス[4(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン10〜30モル%、下記化学式2で表されるトリグリセリド化合物1〜10モル%およびジオール化合物30〜60モル%を重縮合したポリエステル樹脂を含む。
【0286】
【化11】
【0287】
【化12】
(前記化学式2中、R
1〜R
3は、それぞれ独立して、水素、不飽和炭化水素を含むか含まない(C1〜C30)アルキルから選択される。)
【0288】
また、本発明の第4様態の水分散組成物において、前記水分散組成物は、前記第1水分散組成物と第2水分散組成物との混合物5〜10重量%、シリコン系湿潤剤0.1〜0.5重量%、コロイドシリカ粒子0.1〜0.5重量%および残部の水からなることができる。
【0289】
また、本発明の第4様態の水分散組成物において、前記第1水分散組成物と第2水分散組成物との混合物は、第1水分散組成物:第2水分散組成物が1:9〜5:5重量比で混合したものであってもよい。
【0290】
また、本発明の第4様態の水分散組成物において、前記第1水分散組成物は、前記水分散性ポリウレタン樹脂と水を含み、固形分含量10〜30重量%のものであってもよい。
【0291】
また、本発明の第4様態の水分散組成物において、前記第1水分散組成物の線状ポリマーは、末端基の一部または全部が無機酸塩基でブロッキングされていてもよい。
【0292】
また、本発明の第4様態の水分散組成物において、前記第1水分散組成物の水分散性ポリウレタン樹脂は、ポリオール39〜45重量%、トリメチロールプロパン0.3〜1.2重量%およびイソシアネート化合物50〜57重量%を反応させて、イソシアネートを末端基として有するプレポリマーを製造した後、無機酸塩3〜4重量%を反応させて、イソシアネート末端にイオン性基をブロッキングして製造したものであってもよい。
【0293】
また、本発明の第4様態の水分散組成物において、前記水分散性ポリウレタン樹脂は、重量平均分子量が10,000〜20,000であることができる。
【0294】
また、本発明の第4様態の水分散組成物において、前記第2水分散組成物は、前記ポリエステル樹脂および水を含み、固形分含量が10〜40重量%であることができる。
【0295】
また、本発明の第4様態の水分散組成物において、前記芳香族ジカルボン酸は、ジメチルテレフタレート、テレフタル酸、イソフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物であり、前記スルホン酸塩を含む芳香族ジカルボン酸は、ナトリウム2,5−ジカルボキシベンゼンスルホネート、5−スルホンイソフタル酸、2−スルホンイソフタル酸、4−スルホンイソフタル酸、4−スルホンナフタレン−2,6−ジカルボン酸から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物であり、前記ジオール化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、プロパンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールBから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物であることができる。
【0296】
また、本発明の第4様態の水分散組成物において、前記第2水分散組成物のポリエステル樹脂は、屈折率が1.58〜1.64であり、ガラス転移温度が40〜60℃であることができる。
【0297】
また、本発明の第4様態の水分散組成物において、前記コロイドシリカ粒子は、平均粒径が50〜1000nmであることができる。
【0298】
また、本発明の第4様態の水分散組成物において、前記水分散組成物は、屈折率が1.57〜1.62であることができる。
【0299】
また、本発明の第4様態において、前記水分散組成物を塗布して形成されたプライマーコーティング層を含む光学フィルムも本発明の範囲に含まれる。
【0300】
本発明の第4様態に係る光学フィルムにおいて、前記光学フィルムは、ポリエステル基材フィルムと、前記ポリエステル基材フィルムの片面または両面に前記水分散組成物を塗布して形成したプライマーコーティング層と、を含むことができる。
【0301】
また、本発明の第4様態に係る光学フィルムにおいて、前記プライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは50〜100nmであることがある。
【0302】
以下、本発明の第4様態についてより具体的に説明する。
【0303】
本発明者らは、ポリエステル基材フィルムとの接着力に優れ、干渉縞が制御されたプライマー層を導入するために鋭意研究を重ねた結果、基材フィルムであるポリエステルフィルムとの接着力を高めるために、同じ系の樹脂であるポリエステル樹脂エマルジョンを使用し、この際、干渉縞を制御するために、屈折率1.57〜1.62のポリエステルエマルジョンを製造しようとした。
【0304】
この組成物の接着力を高めるためにプライマー層に末端基であるイソシアネート官能基が3個以上であり、末端が金属イオンにブロッキングされている水分散性ポリウレタン樹脂を用いて組成物を形成する場合、レインボー現象が改善され、高温高湿の過酷な条件で耐湿性が向上して、後加工の際にハードコーティングフィルムなど光学用高分子基材フィルムとの接着性に優れることを見出し、本発明の第4様態を完成するに至った。
【0305】
以下、本発明の第4様態の各構成についてより具体的に説明する。
【0306】
本発明の第4様態は、屈折率を調節するための第1水分散組成物と、高温高湿の過酷な条件で耐湿性を向上させて接着性に優れるようにする第2水分散組成物との混合物を含む水分散組成物に関する。
【0307】
より具体的に、本発明の第4様態の一様態は、第1水分散組成物と、第2水分散組成物との混合物を含む水分散組成物であって、前記第1水分散組成物は、末端基が2個である線状ポリマー10〜75重量%および末端基が3個以上である分岐状ポリマー25〜90重量%からなる水分散性ポリウレタン樹脂を含み、前記第2水分散組成物は、2,6−ナフタレンジカルボン酸20〜40モル%、スルホン酸塩を含む芳香族ジカルボン酸1〜10モル%、芳香族ジカルボン酸1〜10モル%、下記化学式1で表されるビス[4(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン10〜30モル%、下記化学式2で表されるトリグリセリド化合物1〜10モル%およびジオール化合物30〜60モル%を重縮合したポリエステル樹脂を含む。
【0308】
【化13】
【0309】
【化14】
(前記化学式2中、R
1〜R
3は、それぞれ独立して、水素、不飽和炭化水素を含むか含まない(C1〜C30)アルキルから選択される。)
【0310】
より具体的に、本発明の第4様態の一様態において、前記水分散組成物は、光学用高分子基材フィルム上のコーティング性およびプライマー層上に耐熱性加工を容易にするために、シリコン系湿潤剤、コロイドシリカ粒子を添加剤としてさらに添加してもよい。
【0311】
より具体的に、本発明の第4様態の一様態において、前記水分散組成物は、前記第1水分散組成物と第2水分散組成物との混合物5〜10重量%、シリコン系湿潤剤0.1〜0.5重量%、コロイドシリカ粒子0.1〜0.5重量%および残部の水からなることができる。
【0312】
本発明の第4様態の一様態において、前記水分散組成物は、必要に応じて、親水性有機溶媒、界面活性剤をさらに含んで分散安定性を高めることができる。
【0313】
親水性有機溶媒としては、ジオキサン、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトンなどを用いることができ、界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤または非イオン界面活性剤を用いて分散安定性を向上させることができる。好ましくは、0.1〜5重量%を用いる。
【0314】
また、本発明の第4様態の一様態において、前記第1水分散組成物と第2水分散組成物との混合物は、第1水分散組成物:第2水分散組成物を1:9〜5:5重量比で混合することが好ましい。これらを混合して用いる場合、前記第1水分散組成物と第2水分散組成物をそれぞれ用いる場合に比べて、接着性および屈折率を容易に調節することができ、レインボー現象および光学的特性を改善する効果がある。第1水分散組成物の混合割合が1重量比未満の場合には、接着力向上の効果が十分でなく、5重量比を超える場合には、レインボー現象を改善する効果が低下しうる。
【0315】
前記第1水分散組成物と第2水分散組成物との混合物は、全体水分散組成物に対して5〜10重量%用いることが好ましい。5重量%未満の場合には、コーティング性は良好であるが、接着力の具現が困難となり、10重量%超える場合には、接着力に優れるが、コーティング外観および透明性の具現が困難となりうる。
【0316】
前記シリコン系湿潤剤は0.1〜0.5重量%を用いることが好ましく、前記コロイドシリカ粒子は0.1〜0.5重量%を含むことが好ましい。また、前記コロイドシリカ粒子は、平均粒径50〜1000nmのものを用いることが好ましい。50nm未満の場合には、アンチブロッキング剤としての役割を期待することができず、1000nmを超える場合には、ヘイズ上昇などにより光学的特性が低下することがある。
【0317】
本発明の第4様態の一様態において、前記第1水分散組成物は、末端基が2個である線状ポリマー10〜75重量%および末端基が3個以上である分岐状ポリマー25〜90重量%からなる水分散性ポリウレタン樹脂と水を含み、固形分含量10〜30重量%のものであってもよい。前記線状ポリマーは線状ポリウレタン樹脂であり、分岐状ポリマーは分岐状ポリウレタン樹脂を意味する。
【0318】
前記水分散性ポリウレタン樹脂は、末端基であるイソシアネート官能基が3個以上であり、前記イソシアネート基の一部または全部が無機酸塩基でブロッキングされており、より具体的には、サルフェートのような無機塩でブロッキングされている分岐状ポリマーと、イソシアネート官能基が2個であり、前記イソシアネート基の一部または全部が無機酸塩基でブロッキングされており、より具体的には、サルフェートのような無機塩でブロッキングされている線状ポリマーと、を含む。
【0319】
前記水分散性ポリウレタン樹脂は、線状ポリマー10〜75重量%と分岐状ポリマー25〜90重量%からなるものを用いることが好ましい。分岐状ポリマーの含量が25重量%未満の場合には、膨潤度およびゲル分率を満たすことができず、高温高湿下での接着性に優れた塗膜を得ることが困難である。また、分岐状ポリマーの含量が90重量%を超える場合には、過剰なゲル化によって粘度が急激に上昇して水分散組成物を製造することが困難となり、フィルムの表面にコーティングの際に表面にクラックが発生するなどの表面外観に欠点が生じうる。本発明において、前記分岐状ポリマーは、イソシアネート官能基が3個または3個以上である樹脂を意味する。
【0320】
本発明の第4様態において、前記水分散性ポリウレタンバインダーは、水分散性ポリウレタン樹脂と水を含み、固形分含量が10〜30重量%になるように用いることが、混合が容易となり、基材フィルムに塗布する際に乾燥塗膜の厚さを容易に調節することができる。
【0321】
前記水分散性ポリウレタン樹脂の製造方法は、例えば、ポリオール39〜45重量%、トリメチロールプロパン0.3〜1.2重量%およびイソシアネート化合物50〜57重量%を反応させて、イソシアネートを末端基として有するプレポリマーを製造した後、無機酸塩3〜4重量%を反応させてイソシアネート末端に硫酸塩のイオン性基をブロッキングして製造することができ、これに制限されるものではない。前記製造方法で製造する場合、線状ポリウレタン樹脂と分岐状ポリウレタン樹脂が混合した水分散性ポリウレタン樹脂を製造することができ、線状ポリマー10〜75重量%と分岐状ポリマー25〜90重量%からなる水分散性ポリウレタン樹脂を製造することができる。
【0322】
前記水分散性ポリウレタン樹脂は、重量平均分子量が10,000〜20,000の範囲でゲル化されず、水分散が可能で、高温高湿で物性に優れた塗膜を得ることができるため好ましい。
【0323】
前記重量平均分子量は、GPC−MALS(Multi Angle Light Scattering)システム(Wyatt社製)を用いて測定することができ、MALSシステムの構成は、以下の通りである。
MALSシステム構成
−GPC:Water 1525 Binary HPLC Pump
−RI検出器:Optilab rex
−MALS:Wyatt Dawn 8+
−Column:PLgel 5μm Mixed−C(7.5mmΦ×300mm)×2(Polymer Laboratories)
−移動相:DMF(50mM LiCl)
−流速:0.5mL/min
−温度:50℃
−注入量:0.5%、500μl
【0324】
前記ポリオールは、ポリエステル系ポリオールまたはポリエーテル系ポリオールを用いることができ、好ましくは、ポリエステル系ポリオールを用いる。ポリエステル系ポリオールとしては、カルボン酸、セバシン酸または酸無水物と多価アルコールの反応から製造されるポリオールなどが挙げられる。かかるポリオールの種類は特に制限されず、重量平均分子量600〜3000のポリエステルポリオールを用いることが好ましい。その含量は、39〜45重量%を用いることが好ましい。39重量%未満の場合には、分子量が少なくなり、プライマー層が硬くなりすぎて、延伸が困難となり、コーティング外観に優れず、45重量%を超える場合には、ILC層がソフト(Soft)になりすぎてブロッキング性が低下することがある。
【0325】
前記トリメチロールプロパンは、3官能基を有するプレポリマーを製造するために用いられるものであり、0.3〜1.2重量%を用いることが好ましい。0.3重量%未満の場合には、架橋密度が低下し、アンチブロッキング性(Anti−Blocking)が低下することがあり、1.2重量%を超える場合には、架橋密度が高くなりすぎて延伸性に劣りコーティング外観に優れず、接着力が低下することがある。
【0326】
前記イソシアネート化合物は特に制限されないが、好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネートを用いることが好ましい。その含量は、50〜57重量%を用いる範囲で、3官能基を有するプレポリマーを製造することができる。
【0327】
前記無機酸塩は、硫酸水素ナトリウム(Sodium Hydrogen Sulfate)を用いることが好ましく、その含量は3〜4重量%を用いることが好ましい。
【0328】
本発明の第4様態の一様態において、前記第2水分散組成物は屈折率が高く、且つガラス転移温度が低くて、フィルムを製造した後、延伸の際にフィルムの表面にクラック、ドメインが発生せず、特に、レインボー現象および光学的特性を改善するために用いられるものであって、基材フィルムとしてポリエステルフィルムを用いる場合、屈折率が1.58〜1.64であり、ガラス転移温度が40〜60℃であることが好ましい。屈折率が前記範囲の場合、基材フィルムであるポリエステルフィルムとの屈折率差が少なくて光干渉現象(Rainbow現象)が発生しなくなることができる。また、ガラス転移温度が40〜60℃の範囲でインライン工程でポリエステルフィルムを製造する際に、延伸前に水分散組成物を塗布し、延伸および熱処理工程を経る際に十分に熱処理してフィルムに白濁が発生しないようにすることができる。
【0329】
前記屈折率およびガラス転移温度を満たすために、第2水分散組成物は、2,6−ナフタレンジカルボン酸20〜40モル%、スルホン酸塩を含む芳香族ジカルボン酸1〜10モル%、芳香族ジカルボン酸1〜10モル%を含む酸成分と、下記化学式1で表されるビス[4(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン10〜30モル%、下記化学式2で表されるトリグリセリド化合物1〜10モル%、ジオール化合物30〜60モル%を含むグリコール成分を重縮合したポリエステル樹脂と、を含む。
【0330】
【化15】
【0331】
【化16】
(前記化学式2中、R
1〜R
3は、それぞれ独立して、水素、不飽和炭化水素を含むか含まない(C1〜C30)アルキルから選択される。)
【0332】
前記芳香族ジカルボン酸は、ジメチルテレフタレート、テレフタル酸、イソフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を用いることができる。
【0333】
前記スルホン酸塩を含む芳香族ジカルボン酸は、ナトリウム2,5−ジカルボキシベンゼンスルホネート(soduim2,5dicarboxy benzene sulfonate)5−スルホンイソフタル酸(5−sulfoisophtalic acid)、2−スルホンイソフタル酸(2−sulfoisophtalic acid)、4−スルホンイソフタル酸(4−sulfoisophtalic acid)、4−スルホンナフタレン−2,6−ジカルボン酸(4−sulfo naphtalene−2,6−dicarboxylic acid)から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を用いることができる。
【0334】
前記ジオール化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、プロパンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールBなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を用いることができる。
【0335】
また、本発明の第4様態において、前記ポリエステル樹脂は、屈折率が1.58〜1.64であり、ガラス転移温度が40〜60℃である物性を満たすことができる。
【0336】
本発明の第4様態において、前記第2水分散組成物は、前記ポリエステル樹脂および水を含み、固形分含量10〜40重量%の水分散性ポリエステルバインダーを含むことができる。
【0337】
本発明の第4様態において、前記酸成分において、前記2,6−ナフタレンジカルボン酸は、ジカルボン酸成分として下記化学式3で示すように芳香族環を2個含むことで屈折率を上昇させることができるため好ましく用いられる。
【0338】
【化17】
【0339】
前記2,6−ナフタレンジカルボン酸は、20〜40モル%を用いることが好ましく、20モル%未満の場合には、ポリエステル樹脂に高い屈折率を付与することが困難となり、40モル%を超える場合には、水分散が困難となりうる。
【0340】
また、前記スルホン酸塩を含む芳香族ジカルボン酸は、水に対する分散性を確保するために用いられるものであって、特に制限されないが、好ましくは、ナトリウム2,5−ジカルボキシベンゼンスルホネート、5−スルホンイソフタル酸、スルホンテレフタル酸、4−スルホンナフタレン−2,6−ジカルボン酸などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を用いることができる。より好ましくは、下記化学式4で表されるナトリウム2,5−ジカルボキシベンゼンスルホネートを用いる。1〜10モル%を用いることが好ましく、1モル%未満の場合には、水分散性が低下することがあり、10モル%を超える場合には、親水性が強くなりすぎて取扱性が低下するかフィルムのブロッキング(Blocking)が生じうる。
【0341】
【化18】
【0342】
また、前記芳香族ジカルボン酸は、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびスルホン酸塩を含む芳香族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分を意味し、特に制限されないが、好ましくは、ジメチルテレフタレート、テレフタル酸、イソフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を用いることができる。1〜10モル%を用いることが好ましく、1モル%未満の場合には、屈折率の上昇が困難となり、10モル%を超える場合には、水に対する分散が困難となり、芳香族成分が増加してフィルム製造の際にb値上昇と接着力低下が生じうる。
【0343】
本発明の第4様態において、前記グリコール成分において、下記化学式1で表されるビス[4(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンは、屈折率を高め、且つ高い透明性を示すために用いられるものであり、10〜30モル%を用いることが好ましく、10モル%未満の場合には、屈折率を高めることが困難となり、30モル%を超える場合には、水に対する分散が困難となる。
【0344】
【化19】
【0345】
また、下記化学式2で表されるトリグリセリド化合物は、屈折率の上昇によってガラス転移温度が上昇し、フィルムの表面にコーティングした後、延伸の際に表面にクラックが発生するか未溶融によりドメインが形成されることを改善し、均一なコーティング膜と屈折率を示し、ガラス転移温度を下げるために用いられるものであって、長鎖(long chain)の側鎖(side branch)を導入する機能を果たす。1〜10モル%を用いることが好ましく、1モル%未満の場合には、十分にT
gを下げることができず、10モル%を超える場合には、屈折率低下とフィルムのブロッキングが生じうる。
【0346】
【化20】
(前記化学式2中、R
1〜R
3は、それぞれ独立して、水素、不飽和炭化水素を含むか含まない(C1〜C30)アルキルから選択される。)
【0347】
また、前記ジオール化合物は特に制限されるものではないが、具体例として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、プロパンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールBなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物を用いることができる。30〜60モル%を用いることが好ましく、30モル%未満の場合には、エステル化反応が十分に行われず、60モル%を超える場合には、フィルムのブロッキングを発生し、耐熱性が低下し、屈折率が低下することがある。
【0348】
本発明の第4様態の前記成分を重縮合したポリエステル樹脂は、固有粘度が0.1〜1.0、より好ましくは、0.1〜1.6であることが好ましい。前記範囲でポリエステル樹脂を水または水性溶媒に溶解または分散させてポリエステルエマルジョンを製造することができる。
【0349】
本発明の第4様態のポリエステル樹脂を従来のポリエステル樹脂合成方法によって製造することができ、例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸20〜40モル%、スルホン酸塩を含む芳香族ジカルボン酸1〜10モル%、芳香族ジカルボン酸1〜10モル%を含む酸成分と、ビス[4(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン10〜30モル%、トリグリセリド化合物1〜10モル%、ジオール化合物30〜60モル%を含むグリコール成分と、を無溶媒状態で混合して反応器に投入し、加熱して生成される副生成物である水またはメタノールを除去しながらエステル化反応を行う。次に、温度を上げるとともに反応器内の圧力を減圧して副生成物であるジオール成分を回収しながら重縮合反応を行う。
【0350】
この際、重縮合反応を促進する触媒、例えば、エステル化触媒、エステル交換触媒、重縮合触媒などを用いることができ、また、様々な添加剤、例えば、安定剤、無機粒子などを添加することができる。
【0351】
本発明の第4様態の一様態において、前記水分散組成物は、第1水分散組成物と第2水分散組成物とを混合した混合物の屈折率が1.57〜1.62であることができる。屈折率が前記範囲内でポリエステル基材フィルムに塗布する際にレインボー改善効果および光学的特性を向上させることができる。
【0352】
また、本発明の第4様態の他の様態は、前記水分散組成物を塗布して形成されたプライマーコーティング層を含む光学フィルムに関する。
【0353】
本発明の第4様態の一様態による光学フィルムは、ポリエステル基材フィルムと、前記ポリエステル基材フィルムの片面または両面に前記水分散組成物を塗布して形成したプライマーコーティング層と、を含むことができる。前記プライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは50〜100nmであることができる。
【0354】
本発明の第4様態の一様態による光学フィルムにおいて、基材フィルムは、ポリエステルフィルム、より具体的には、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートフィルムを用いることが光透過度に優れるため好ましく、添加剤または粒子を含むことができる。かかるポリエチレンテレフタレートフィルムは、延伸したフィルムを用いることが好ましく、1軸または2軸延伸したフィルムを用いることができる。前記基材フィルムは、厚さ50〜250μmのものを用いることができ、これに制限されるものではない。
【0355】
本発明の第4様態の一様態による光学フィルムにおいて、前記プライマー層は、光学用高分子基材フィルムの片面または両面に形成されるものであって、接着性に優れており他の基材との接着を容易にする易接着性を示す。
【0356】
本発明の第4様態の一様態による光学フィルムにおいて、前記プライマー層の乾燥塗布厚さは50〜100nmであることが好ましい。塗布方法は、ポリエステルフィルムの延伸工程中に表面に塗布するインラインコーティング(in line coating)でコーティングしてもよく、フィルムを製造した後、オフラインコーティング(off line coating)を行ってもよい。両方を並行してもよい。好ましくは、インラインコーティングを行うことが、製膜と同時に塗布されるため製造コストダウンを図り、コーティング層の厚さを延長倍率に応じて変化させることができるため好ましい。
【0357】
本発明の第4様態の一様態による光学フィルムにおいて、プライマーコーティング層は、下記式1により測定された膨潤度が35〜100であり、下記式2により測定されたゲル分率(gel fraction)が75〜85であり、屈折率が1.54〜1.62である物性をすべて満たすことができる。
【0358】
[式1]
膨潤度=(放置後の重量−最初の重量)/最初の重量×100
(式中、放置後の重量は、約1gの乾燥塗膜を蒸留水50gに浸漬した後、70℃で24時間放置してから測定した重量を意味する。)
【0359】
[式2]
ゲル分率(Gel fraction)=(乾燥後の重量/最初の重量)×100
(式中、乾燥後の重量は、約1gの乾燥塗膜を蒸留水50gに浸漬した後、70℃で24時間放置し、前記放置した塗膜を120℃で3時間乾燥してから測定した重量を意味する。)
【0360】
以下、本発明の第4様態について具体的に説明するために一例を挙げて説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0361】
物性は、次の測定方法で測定した。
【0362】
1.塗膜の物性測定
第1水分散組成物と第2水分散組成物との混合物15gを直径80mm、高さ15mmの丸い容器に投入して65℃で72時間、120℃で3時間乾燥する。1gの乾燥塗膜を蒸留水50gに浸漬した後、70℃で24時間放置し、放置した塗膜を取り出して、膨潤率(Swelling Ratio)を測定する。放置した塗膜を120℃で3時間乾燥してから重量を記録し、ゲル分率(Gel Fraction)を測定する。
【0363】
1)膨潤率(Swelling Ratio):約1gの乾燥塗膜を蒸留水50gに浸漬した後、70℃で24時間放置し、放置した塗膜を取り出して重量を記録する。
膨潤率(Swelling Ratio)=(放置後の重量−最初の重量)/最初の重量*100
【0364】
2)ゲル分率(Gel Fraction):放置した塗膜を120℃で3時間乾燥してから重量を記録する。
ゲル分率(Gel Fraction)=(乾燥後の重量/最初の重量)*100
【0365】
3)T
g測定:DSC(PerkinElmer DSC7利用)機器を用いて、2nd Run modeで測定する。10〜11mgの乾燥塗膜をPerkinElmer DSC7を用いて測定する。
1st Run.=0〜200℃、200℃/min、Holding Time−3min //200℃〜−40℃、200℃/min、Holding Time−5min
2nd Run.=−40℃〜200℃、20℃/minの条件で測定する。
【0366】
2.屈折率の測定
第1水分散組成物と第2水分散組成物との混合物をポリカーボネート(polycarbonate)フィルムに塗布してから乾燥し、屈折率測定器、アッベ屈折計(ATAGO社製、DR−M2、@550)を用いて常温で測定した。
【0367】
3.全光線透過率の測定
全光線透過率測定器(Nippon Denshoku社製、NDH−5000)を用いて全体フィルムの全光線透過率を測定した。
【0368】
縦横5cmのサンプルをフィルム全幅で0.5mの間隔で10個サンプリングして測定した後、平均値を示す。
【0369】
4.レインボー現象測定−1
実施例および比較例による水分散組成物をポリエステル基材フィルム(188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)の片面に200nmの厚さで塗布して光学フィルムを製造した後、その片面にハードコーティング処理(屈折率1.52)を施してから他の面を黒化処理して、肉眼でレインボーが発生したか否かを確認した。目視評価の際に暗室で3波長形ランプの下で評価した。
【0370】
評価基準は、次の通りである。
上:レインボーが見えず、均一な色感を示す
中:レインボー現象が弱く現れ、均一な色感を示す
下:レインボーが強く現れ、強い色感を示す
【0371】
5.レインボー現象測定−2
実施例および比較例による水分散組成物をポリエステル基材フィルム(188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)の片面に200nmの厚さで塗布して光学フィルムを製造した後、その片面にハードコーティング処理(屈折率1.52)を施してから他の面を黒化処理してUV−Visible(CARY5000)を用いて可視光領域の反射パターンを測定した。
【0372】
上:500〜600nmでリップル振幅が、他の波長帯のリップル振幅に比べて減少し、リップル振幅1%以下
中:500〜600nmでリップル振幅が、他の波長帯のリップル振幅に比べて減少し、リップル振幅3%以下
下:リップル振幅が減少する波長帯が500〜600nmでなく、または振幅が減少する波長が見えない時
【0373】
6.コーティング外観
実施例および比較例による水分散組成物がコーティングされたフィルムを3波長形ランプの下で透過して見たとき、透過された光が透明に見えると◎、不透明に見えると白濁現象と判断する。
【0374】
7.接着力の評価(ASTM B905)
実施例および比較例による光学フィルムを製造した後、コーティング組成物がコーティングされた片面にハードコーティング組成物を塗布した後、常温での接着力を、クロスハッチカッター(Cross Hatch Cutter)(YCC−230/1)を用いて1cm×1cmの正方形の枠内を100個のブロックに区切り接着力評価Tape(nichban No.405)を用いて3回取り除く評価を行う。高温高湿評価の際には、高温熱水処理(100℃、10min)を施してから上述の方法でハードコーティング層と易接着層との接着力を評価した。
【0375】
8.乾燥塗布厚さの測定
実施例および比較例による水分散組成物がコーティングされた基材フィルムの全幅を機械方向の垂直方向(TD)に1mの間隔で5ポイント(Point)を指定し、フィルムの断面をSEM(Hitachi S−4300)で測定し、5万倍拡大してその区間内で30ポイント測定した後、平均値を計算した。
【0376】
9.ヘイズ
Nippon Denshoku社製、NDH−5000で測定
縦横5cmのサンプルをフィルム全幅で0.5mの間隔で10個サンプリングして測定した後、平均値を示す。
【0377】
[製造例4]
第1水分散組成物の製造
理論上、分岐状ポリマーの含量が50重量%である水分散ポリウレタンを製造した。
【0378】
ポリオール(Polyethyleneadipate Diol)40重量%、トリメチロールプロパン(Trimethylol Propane)0.6重量%、ヘキサメチレンジイソシアネート(Hexamethylene Diisocyanate)55.9重量%を反応させてイソシアネート官能基を末端基として有するプレポリマー(Prepolymer)を製造した後、イオン性基として硫酸水素ナトリウム(Sodium Hydrogen Sulfate)3.5重量%をプレポリマーの末端官能基であるイソシアネートと反応させて、イオン性基を有し、重量平均分子量14,400のポリウレタン(Polyurethane)を製造した。
【0379】
前記製造されたポリウレタン20重量%を水80重量%に分散させて、固形分20重量%の第1水分散組成物を製造した。
【0380】
[製造例5]
第2水分散組成物の製造
2,6−ナフタレンジカルボン酸(2,6−Naphtalene dicarboxly acid)40モル(26モル%)、ナトリウム2,5−ジカルボキシベンゼンスルホネート(sodium2,5−dicarboxylbenzene sulfonate)5モル(3.3モル%)、ジメチルテレフタル酸5モル(3.3モル%)とビス[4(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(Bis[4(2−hydroxyethoxy)phenyl]fluorene)20モル(13.3モル%)、トリグリセリド(Triglyceride、KAO CORPORATION社製(商品名85P))10モル(6.6モル%)、エチレングリコール70モル(46.6モル%)を無溶媒状態で混合してこれを反応器に投入し、170℃から250℃まで1分当たり1℃ずつ昇温しながら反応させて、副生成物である水またはメタノールを除去しながらエステル化反応を行い、260℃まで昇温することとともに反応器内の圧力を1mmHgに減圧して副生成物であるジオールを回収しながら重縮合反応を行って、固有粘度1.0のポリエステル樹脂を製造した。
【0381】
前記製造されたポリエステル樹脂20重量%に水80重量%を加えて分散させて、固形分含量20重量%の第2水分散組成物を製造した。
【0382】
[実施例32]
1)水分散組成物1の製造:第1水分散組成物と第2水分散組成物とが1:9の重量比で混合
【0383】
前記製造例4で製造された第1水分散組成物0.6重量%、製造例5で製造された第2水分散組成物5.4重量%、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、2時間攪拌して水分散組成物1を製造した。
【0384】
この際、前記第1水分散組成物と第2水分散組成物とを1:9の重量比で混合して塗膜の物性を測定し、その結果は下記表7に示す。
【0385】
2)両面コーティングポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に投入して溶融押出した後、表面温度20℃のキャスティングドラムで急冷、固化させて厚さ2000μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80℃で機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温で冷却した。次に、前記水分散組成物1をバーコーティング(bar coating)方法で両面にコーティングして、110〜150℃まで1秒当たり1℃ずつ昇温して予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次に、5段式テンタで230℃で熱処理を施し、200℃で縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定して両面にコーティングされた188μmの2軸延伸フィルムを製造した。前記水分散組成物1によるプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは100nmであった。
【0386】
製造された光学フィルムの物性を測定して、下記表8に示す。
【0387】
[実施例33]
1)水分散組成物2の製造:第1水分散組成物と第2水分散組成物とを2:8の重量比で混合
【0388】
前記製造例4で製造された第1水分散組成物1.2重量%、製造例5で製造された第2水分散組成物4.8重量%、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、2時間攪拌して水分散組成物2を製造した。
【0389】
この際、前記第1水分散組成物と第2水分散組成物とを2:8の重量比で混合して塗膜の物性を測定し、その結果は下記表7に示す。
【0390】
2)両面コーティングポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に投入して溶融押出した後、表面温度20℃のキャスティングドラムで急冷、固化させて厚さ2000μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80℃で機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温で冷却した。次に、前記水分散組成物2をバーコーティング(bar coating)方法で両面にコーティングして、110〜150℃まで1秒当たり1℃ずつ昇温して予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次に、5段式テンタで230℃で熱処理を施し、200℃で縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定して両面にコーティングされた188μmの2軸延伸フィルムを製造した。前記水分散組成物2によるプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは100nmであった。
【0391】
製造された光学フィルムの物性を測定して、下記表8に示す。
【0392】
[実施例34]
1)水分散組成物3の製造:第1水分散組成物と第2水分散組成物とを3:7の重量比で混合
【0393】
前記製造例4で製造された第1水分散組成物1.8重量%、製造例5で製造された第2水分散組成物4.2重量%、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、2時間攪拌して水分散組成物3を製造した。
【0394】
この際、前記第1水分散組成物と第2水分散組成物とを3:7の重量比で混合して塗膜の物性を測定し、その結果は下記表7に示す。
【0395】
2)両面コーティングポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に投入して溶融押出した後、表面温度20℃のキャスティングドラムで急冷、固化させて厚さ2000μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80℃で機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温で冷却した。次に、前記水分散組成物3をバーコーティング(bar coating)方法で両面にコーティングして、110〜150℃まで1秒当たり1℃ずつ昇温して予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次に、5段式テンタで230℃で熱処理を施し、200℃で縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定して両面にコーティングされた188μmの2軸延伸フィルムを製造した。前記水分散組成物3によるプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは100nmであった。
【0396】
製造された光学フィルムの物性を測定して、下記表8に示す。
【0397】
[実施例35]
1)水分散組成物4の製造:第1水分散組成物と第2水分散組成物とを4:6の重量比で混合
【0398】
前記製造例4で製造された第1水分散組成物2.4重量%、製造例5で製造された第2水分散組成物3.6重量%、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、2時間攪拌して水分散組成物4を製造した。
【0399】
この際、前記第1水分散組成物と第2水分散組成物とを4:6の重量比で混合して塗膜の物性を測定し、その結果は下記表7に示す。
【0400】
2)両面コーティングポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に投入して溶融押出した後、表面温度20℃のキャスティングドラムで急冷、固化させて厚さ2000μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80℃で機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温で冷却した。次に、前記水分散組成物4をバーコーティング(bar coating)方法で両面にコーティングして、110〜150℃まで1秒当たり1℃ずつ昇温して予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次に、5段式テンタで230℃で熱処理を施し、200℃で縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定して両面にコーティングされた188μmの2軸延伸フィルムを製造した。前記水分散組成物4によるプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは100nmであった。
【0401】
製造された光学フィルムの物性を測定して、下記表8に示す。
【0402】
[実施例36]
1)水分散組成物5の製造:第1水分散組成物と第2水分散組成物とを5:5の重量比で混合
【0403】
前記製造例4で製造された第1水分散組成物3.0重量%、製造例5で製造された第2水分散組成物3.0重量%、シリコン系湿潤剤(Dow Corning社製、ポリエステルシロキサン共重合体)0.3重量%、平均粒径140nmのコロイドシリカ粒子0.3重量%を水に添加した後、2時間攪拌して水分散組成物5を製造した。
【0404】
この際、前記第1水分散組成物と第2水分散組成物とを5:5の重量比で混合して塗膜の物性を測定し、その結果は下記表7に示す。
【0405】
2)両面コーティングポリエステルフィルムの製造
水分が除去されたポリエチレンテレフタレートチップを押出機に投入して溶融押出した後、表面温度20℃のキャスティングドラムで急冷、固化させて厚さ2000μmのポリエチレンテレフタレートシートを製造した。製造されたポリエチレンテレフタレートシートを80℃で機械方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温で冷却した。次に、前記水分散組成物5をバーコーティング(bar coating)方法で両面にコーティングして、110〜150℃まで1秒当たり1℃ずつ昇温して予熱、乾燥を経て横方向(TD)に3.5倍延伸した。次に、5段式テンタで230℃で熱処理を施し、200℃で縦方向および横方向に10%弛緩させて熱固定して両面にコーティングされた188μmの2軸延伸フィルムを製造した。前記水分散組成物5によるプライマーコーティング層の乾燥塗布厚さは100nmであった。
【0406】
製造された光学フィルムの物性を測定して、下記表8に示す。
【0407】
【表7】
【0408】
前記表を参照すると、本発明の実施例による水分散組成物を用いて塗膜を形成する場合、屈折率が1.57以上と高く、ガラス転移温度が48℃以下と低く、耐湿性に優れることが分かった。
【0409】
【表8】
【0410】
前記表を参照すると、本発明の実施例による水分散組成物を用いてポリエステルフィルムの両面にコーティング層を形成した場合、全光線透過率が93%以上と優れ、ヘイズが低く、コーティング外観に優れ、レインボー現象が改善され、接着力に優れることを確認することができる。