特許第6133932号(P6133932)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6133932傾斜した一軸異方性が調整された装置およびセンサ、ならびに傾斜した一軸異方性を調整する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133932
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】傾斜した一軸異方性が調整された装置およびセンサ、ならびに傾斜した一軸異方性を調整する方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/39 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   G11B5/39
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-120959(P2015-120959)
(22)【出願日】2015年6月16日
(62)【分割の表示】特願2012-199437(P2012-199437)の分割
【原出願日】2012年9月11日
(65)【公開番号】特開2015-207337(P2015-207337A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2015年8月19日
(31)【優先権主張番号】13/231,451
(32)【優先日】2011年9月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500373758
【氏名又は名称】シーゲイト テクノロジー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Seagate Technology LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディミタール・ベリコフ・ディミトロフ
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ウィリアム・コビントン
(72)【発明者】
【氏名】チョン・ウォンジュン
【審査官】 斎藤 眞
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−032383(JP,A)
【文献】 米国特許第07035062(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0154025(US,A1)
【文献】 特開2008−112496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/39
H01L 43/00−43/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、空気ベアリング面(ABS)に位置付けられ、第1の磁化自由層と第2の磁化自由層とを有して構成される三層スタックを備え、
前記三層スタックはバイアス磁石と前記ABSとの間に配置され、前記バイアス磁石は前記三層スタックの近位かつ前記ABSの遠位にあり、
記三層スタックは、前記ABSに対して直交する軸に沿ったストライプ高さと、前記ABSに平行であるとともに前記三層スタックが積層される方向に直交するスタック幅とを有し、前記ストライプ高さは、前記ABSにおける前記スタック幅の2倍よりも小さ
前記ABSに対して平行であるとともに前記三層スタックが積層される方向に平行なABS軸に沿った前記三層スタックの第1の厚さは、前記ABS軸に沿った前記バイアス磁石の第2の厚さよりも大きい、装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の磁化自由層の各々は、前記ABSに対して傾斜した一軸異方性を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記一軸異方性は、600〜1000Oeの間の異方性強度を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の磁化自由層の各々は、前記ABSに対して10°〜15°の間の角度を有する前記傾斜した一軸異方性を有する、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の磁化自由層はそれぞれ、前記ABSに対して互いに異なる角度で傾斜した前記一軸異方性を有する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記ストライプ高さは、前記ABSにおける前記スタック幅よりも大きい、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記バイアス磁石は、前記ABSに対して直交する軸に沿ったバイアス長さを有して構成され、前記三層スタックの前記ストライプ高さは前記バイアス長さよりも小さい、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記バイアス磁石は、前記第1および第2の磁化自由層の間に配置された非磁気スペーサと整列する、請求項のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0001】
発明の詳細な説明
概要
三層スタックは、空気ベアリング面(ABS)に位置付けられ得る。三層スタックは、ABSに対して直交する軸に沿ったストライプ高さを有し、第1の磁化自由層と第2の磁化自由層とを有して構成することができる。第1および第2の磁化自由層の各々は、ABSに対して傾斜した一軸異方性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1】例示的なデータ記憶装置の斜視図である。
図2】様々な実施形態において使用することができる例示的な磁気センサの断面図および上面図である。
図3】本発明の様々な実施形態に係る構成を有して動作する磁気センサの例示的な動作のプロット図である。
図4A】様々な実施形態に係る磁気センサにおいて使用することができる磁化自由層の例示的なヒステリシスループを概して示す図である。
図4B】様々な実施形態に係る磁気センサにおいて使用することができる磁化自由層の例示的なヒステリシスループを概して示す図である。
図4C】様々な実施形態に係る磁気センサにおいて使用することができる磁化自由層の例示的なヒステリシスループを概して示す図である。
図5A】様々な実施形態に係る磁気センサにおいて使用することができる例示的な磁気スタックを示す図である。
図5B】様々な実施形態に係る磁気センサにおいて使用することができる例示的な磁気スタックを示す図である。
図5C】様々な実施形態に係る磁気センサにおいて使用することができる例示的な磁気スタックを示す図である。
図6A】様々な実施形態において使用することができる例示的な磁化自由層の実施形態の動作特性を示すグラフ図である。
図6B】様々な実施形態において使用することができる例示的な磁化自由層の実施形態の動作特性を示すグラフ図である。
図7A】本発明の様々な実施形態に係る例示的な磁気センサの構成を示す図である。
図7B】本発明の様々な実施形態に係る例示的な磁気センサの構成を示す図である。
図7C】本発明の様々な実施形態に係る例示的な磁気センサの構成を示す図である。
図7D】本発明の様々な実施形態に係る例示的な磁気センサの構成を示す図である。
図8】本発明の様々な実施形態において行なわれる磁気センサの製造手順のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
詳細な説明
異方性を調整することによって性能が高められた磁気センサがここに概して示される。産業においてデータ記憶装置のフォームファクタの縮小化が進むにつれ、データの大容量
化およびデータ転送率の高速化に対する需要が高まり、磁気シールドやデータ検知層などの磁気センサの部品が小型化されている。磁性部品の大きさを縮小すると、磁気不安定性が高まる一方、検知されたデータビットの正確性が低下し、データ記憶装置の性能が劣化し得る。産業においては、正確な遮蔽特性と高いデータ転送率を保ちながらもフォームファクタを縮小した磁気センサの構成に対する需要が高まっている。
【0004】
磁気センサは、ストライプ高さを有し、空気ベアリング面(ABS)に設置される磁気反応性三層スタックを有して構成することができる。三層スタックは、2つ以上の磁化自由層を有し得て、磁化自由層の各々は、ABSに対して傾斜した一軸異方性を有する。このような傾斜した一軸異方性によって、信号振幅が増大してセンサの正確性が高まり、プロセス感度および設計感度の影響を受け難くすることができる。傾斜した異方性を有する層をさらに調整して、様々な環境特性および動作特性に順応するように異方性の角度を最適化することによって、センサの厚さの増大を最小限にとどめながらデータ読み取り性能を高めることができる。
【0005】
三層スタックの層の異方性および配向を設定することによって、特にフォームファクタを縮小したデータ記憶装置において、磁気センサの磁気安定性を高めることができる。傾斜した異方性によって、磁気の出力が上昇し、読み取り性能が向上する。これにより、三層読み取り要素の動作特性がさらに高まり、感知される磁界および信号振幅が増大し得る。
【0006】
図面を参照すると、図1は、本発明の様々な実施形態を実施することができる限定されない環境下にある、データ記憶装置100の実施形態を示す。装置100は、ベースデッキ104と上部カバー106とから形成される、実質的に封止されたハウジング102を含む。内部に配置されるスピンドルモータ108は、複数の磁気記憶媒体110を回転させるように構成されている。媒体110は、データトランスデューサ(読み取り/書き込みヘッド)の対応する配列によってアクセスされる。データトランスデューサの各々は、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)112によって支持される。
【0007】
各HGA112は、柔軟なサスペンション116を含むヘッドスタックアセンブリ114(アクチュエータ)によって支持され、硬いアクチュエータアーム118によってさらに支持される。アクチュエータ114は、音声コイルモータ(VCM)122に対して磁流を印加することによって、カートリッジベアリングアセンブリ120を中心に枢動し得る。この方法により、VCM122を制御して動作させることで、トランスデューサ(124の符号が付されている)を媒体の表面に規定されるトラック(図示せず)に対して整合させ、データを記憶または検索する。
【0008】
図2は、図1のデータ記憶装置において使用することができる磁気センサ130の様々な実施形態をブロックで概して示す断面図および上面図である。図2Aに示されるように、センサ130は、空気ベアリング面(ABS)に設置され、ABSと後部バイアス磁石134との間に配置される磁気スタック132を備えて構成することができる。構造的構成および動作的構成はいずれも限定されず、スタック132は、非磁性スペーサ138によって分離された一対の磁化自由層136を有し得る。3つの動作層を有し、スタック132自体に固着磁気層が含まれていないことから、スタック132は、三層読み取り要素として特徴付けられる。
【0009】
三層読み取り要素の構成を使用することによって、特に高い線形密度のデータ記憶装置において、シールド間の間隔140を縮小することができる。なぜなら、後部バイアス磁石134は所定の磁化を自由層136に付与し、スタックの大きさを増大させることなくデータビットを感知可能にするからである。後部バイアス磁石134を設けることによっ
て、さらに大きさおよび位置を調整することができ、スタック132の性能を最適化することができる。たとえば、バイアス磁石134は、スタック132からバイアス距離142をおいて設けられ、あるバイアス厚さ144を有する。このバイアス厚さ144により、磁気センサ130に含まれる任意の磁気シールドからの分離距離146がもたらされる。この分離距離146は、絶縁材料で満たされる。
【0010】
磁気センサ130に含まれる磁気シールド(図示せず)は、キャップ層およびシード層などの1つ以上の分離層148によって磁気スタック132から分離することができ、スタック132と任意のシールドとの間の磁化の伝達を絶縁することができる任意の数の層および材料により調整することができる。センサ130は、図2Bの上面図に示されるように、スタック132およびバイアス磁石134の寸法および磁化を調節することによって、最適な性能を得るように調整することができる。
【0011】
スペーサ層138に対してバイアス磁石の厚さ144を集中させることにより、スタック132に対する磁気の影響が高まる一方、Z軸に沿ってABSに対して平行となるように設定されたスタック幅150およびバイアス磁石幅152は、それぞれスタックのストライプ高さ154およびバイアス磁石のストライプ高さ156に対応するように類似または非類似の態様で調整することができる。スタック132およびバイアス磁石134の幅およびストライプ高さは微細に調整することができる。これにより、所定の強度および角度方向を有するMPM磁化がもたらされ、スタック132の磁化自由層136には所定の設定磁化MFL1およびMFL2が与えられる。
【0012】
このように、スタック132およびバイアス磁石134の様々な寸法、厚さ、および磁気配向によって、縮小したフォームファクタを保ちながら、任意の数の所定の動作条件および環境条件に順応するように正確な調整を行うことができる。しかし、プロセスおよび設計の変動によって、正確なデータ検知を脅かすほどに磁気感度が高まり得る。
【0013】
図3は、磁気スタックのストライプ高さに対する例示的な磁気センサの例示的な動作特性を示す図である。実線160は、ストライプ高さの増大に伴って信号振幅が頂点に達するまで増大し、その後迅速に低下する状態を示すグラフである。点線162は、同様でありながらも独特の挙動を示している。これは、磁気スタックの非対称性に相当しており、中間ストライプ高さまで増大し、その後に低下している。
【0014】
特に三層読み取り要素スタックなどのセンサスタックの寸法は、図2Bの高さ154などのスタックのストライプ高さを単に調整するだけで、多様な動作特性に調整することができる。特定の状況下において最適なデータ検知をもたらすためには、比較的大きなストライプ高さを利用することができる一方、線162は、非対称性がこのような磁気センサに対して潜在的にどのような影響を与えるかについて示している。したがって、ここに記載の様々な実施形態においては、ストライプ高さが縮小されたスタックを含む磁気センサを調整する。これにより、プロセスの複雑性およびプロセスパラメータに対する磁気感度を下げ、その一方でデータ読み出し信号振幅が高められる。
【0015】
一部の実施形態において、比較的短いスタックのストライプ高さは、データ検知性能を高めるために配向および強度が調整された様々な一軸異方性を有して構成される。このような様々な一軸異方性は、斜め堆積させるなどの様々な限定されない態様で構成され、異方性の角度を正確に設定して保持することができる。
【0016】
図4A図4Cは、それぞれ、様々な角度で斜め堆積により形成された、異なる磁気異方性を有する磁化自由層の例示的なヒステリシスループを示すグラフ図である。図4Aは、少なくとも部分的に、60°の斜め堆積によって形成された磁化自由層に対応するルー
プ170を示し、異方性の強度は、約100Oeとなる。比較として、図4Bのループ172は、70°の角度で堆積された場合を示し、自由層の磁気飽和時において移行領域が増大することに伴い、約300Oeの異方性強度を有する。
【0017】
図4Cのループ174に示されるように、75°の堆積角度の場合、異方性強度は1000Oeに増大し、移行領域の特性は、両側の磁気飽和時の間で2000Oeの強度が変化する。スタック幅(図2Bの150)の2倍よりも小さい高さなど、比較的短い磁気スタックのストライプ高さの構造は、75°に近い角度において少なくとも1つの自由層を堆積させることによって約600〜1000Oeの間の異方性強度を得た場合に、最適な性能を示す。
【0018】
限定されるものではないが、このような堆積角度は、入射制御スパッタリング(CIS)によって形成することができる。CISにおいては、磁束がシャッタ窓を通過し、回転するサンプルに達し、その一方でシャッタおよびサンプルの両方が平行な面において横方向に動く。CISは、所定の一軸異方性を形成することができる平均入射角度で粒子を正確に堆積させるために使用することができる。
【0019】
斜め堆積を用いて少なくとも1つの自由層を形成することによって様々な一軸異方性の強度を得る場合、ABSに対して1つ以上の一軸異方性の角度を傾けることによって、さらなる調整および最適化を行なうことができる。図5A図5Cは、様々な実施形態に係る、様々な一軸異方性を用いて調整された様々な例示的な磁気スタックの上面図を概して示す。図5Aは、実質的にABSに対して平行な磁化異方性HK FL1およびHK FL2とバイアス磁石(図示せず)によって所定の角度に設定されたデフォルト磁化MFL1およびMFL2とを有する磁気スタック180を示す。
【0020】
スタック180の自由層の一軸異方性の角度は、39nmなどの所定のストライプ高さ182に対して調整され、データ信号振幅を高めながらスタック180のプロセス感度および設計感度を最適化することができる。一軸異方性およびスタックのストライプ高さ182は、大きさおよび傾斜角度をさらに調整することができ、これにより、縮小したフォームファクタを維持しながら正確にスタック180の性能を制御することができる。
【0021】
図5Bは、磁気スタック184を示し、図5Aと類似の磁化を有しているが、ABSに対するそれぞれの角度θ1およびθ2で一軸異方性の各々を傾斜させる。スタック184における一軸異方性の角度配向は、必要でなく限定もされないが、任意で変更して性能を最適化することができる。たとえば、異方性角度は、余角とすることができる、または10°などの所定の類似の角度に設定することができる。
【0022】
図5Cは、θ3を10°とし、θ4を15°とするなどの特有の角度が設定された一軸異方性を有する他の例示的な磁気スタック186を示す。一軸異方性の角度を選択することによって磁気スタック186の性能を調節および調整できることにより、スタック186の磁化自由層の間の動作非対称性を小さくすることができる。一軸異方性の角度の選択は、さらに図2Aの磁石134などの後部バイアス磁石の厚さに対して選択および調整することができる。つまりは、一軸異方性の角度および強度は、読み出し信号振幅および設計感度を最大限に高めるように異方性を設定することができる、縮小されたバイアス磁石の厚さに対応するように選択してもよい。
【0023】
図6Aおよび図6Bは、様々に調整された磁気スタックの構成に係る磁化非対称性および信号振幅を示すプロット図である。このような構成の1つは、点線190により示され、300Oeの強度を有する一軸異方性を有し、ABSに対して傾斜していない状態の磁化自由層を示している。このような異方性の構成により、様々なストライプ高さにおいて
磁化非対称性および信号振幅が高まり、その一方で、他のストライプ高さにおいては信号振幅を低減させる。
【0024】
点線192で示される、より保守的な磁化自由層の構成は、600Oeの強度を有し、傾斜がなく、異方性強度は、図2Aに示されるような厚さ144のように9nmの厚さを有するバイアス磁石(PM)に対応する。示されるように、磁化非対称性および信号振幅は、線192の低減された異方性強度と比して低減される。
【0025】
実線194は、1000Oeの異方性強度および15°の傾斜がストライプ高さの大部分においてどのように磁化非対称性および信号振幅の両方に関する性能を高めることができるかを示す。非対称性および信号振幅の不安定さを低減することにより、データ検知を改善することができ、その一方で設計およびプロセスの変化に対する高い抵抗性を付与することができる。様々な動作特性によって、異方性強度および傾斜角度などの異なる一軸異方性の特性を有する自由層を含む磁気スタックを調整および最適化することができる。
【0026】
図7A図7Dは、データ検知性能を調整して最適化するために様々な磁気センサにおいて使用することができる様々な構造的な構成のための例示的な製造についての等角図を示す。図7Aは、RuおよびTaなどのシード層材料をZ軸に対して第1の角度θ1で堆
積させる斜め堆積プロセスによって第1の厚さ204および第1のストライプ高さ206を有して形成される分離シード層202を有する磁気センサ200を示す。
【0027】
図7Bに示されるように、分離シード層202は、次に、第1の磁化自由層208を直接的に結合するための基板として使用することができる。自由層208は、第2の厚さ210と限定されないストライプ高さとを有する。ストライプ高さは、Z軸に対して第2の角度θ2で斜め堆積することにより形成された場合に、ストライプ高さ206と合致して
もよく、合致しなくてもよい。図7Cは、非磁気スペーサ層212が次に所定の厚さ214、MgOなどの材料、およびストライプ高さを有する第1の磁化自由層208の上に形成することができることを示す。スペーサ層212の非磁気的な特徴は、物理的蒸着、化学蒸着、およびスパッタリングなどの堆積技術に対応する。
【0028】
図7Dは、どのようにして第2の磁化自由層216を第3の角度θ3で斜め堆積によっ
てスペーサ層212に形成し、所定の一軸異方性、層厚さ218、および限定されないストライプ高さ距離を得るかを示す。分離キャップ層などの追加の層は、磁気センサ200にさらに含むことができる一方で、図7A図7Dは、所定のデータ検知性能を付与するために個別または集合的に調整することができる様々な材料、堆積技術、ストライプ高さ、および厚さを示す。
【0029】
図7A図7Dの様々な磁気センサの構成は、単に例示であり、限定または制限されるものではない。様々な磁化自由層208および216の構成は、縮小されたストライプ高さ、薄い後部バイアス磁石、および傾斜した異方性など、上記のように、対応する任意の一軸異方性の数に独特に調整することができ、フォームファクタが縮小されてデータ転送率が高められたデータ記憶装置などの動作環境に適応することができる。
【0030】
図8は、本発明の様々な実施形態に係るセンサの製造手順250の例示的なフローチャートを示す。最初に、手順250では、判定252において、異方層が磁気センサの底層となるかについて判断する。必要でなく限定もされないが、磁気シールドまたは図7Aのシード層202などの分離層は、磁気センサの所定の動作に応じて、磁化異方性を有する状態、または有さない状態で形成される。
【0031】
異方層が形成される場合、判定252から判定254に進み、斜め堆積の角度が評価さ
れる。図4A図4Cに関連して記載したように、斜め堆積の角度は、結果として得られる層の一軸異方性に直接的に対応し得る。しかし、斜め堆積は、一軸異方性を構築するための唯一の方法ではないことが理解される。堆積角度が確立されると、判定256において、層のストライプ高さが判断され、これにより、図6Aおよび図6Bに示されるように、対応する一軸異方性の強度および動作特性に対して影響を与えることができる。
【0032】
判定254および256で一軸磁化異方性が判断された場合、または、判定252で異方性が選択されない場合、次にブロック258において所定の仕様に適合するように層が堆積される。一軸異方性はさらに、空気ベアリング面(ABS)に対する異方性角度が変えられることにより、さらなる調整および変更がなされる。これは、判定260で評価される。必要でなく限定もされないが、一部の実施形態においては、異方性はブロック262において異方層をアニーリングすることにより傾斜される。
【0033】
このようなアニーリングによって、層の異方性強度が高まり、その一方で異方性に対するアニーリングの方向に応じて異方性の軸が回転する。つまり、異方性に対して平行な容易軸に対して平行な層または直交する層にアニーリングを施すことによって、回転が最小化され、その一方でおよそ45度でアニーリングして容易軸が異方性を回転させることができる。これは限定されない回数で繰り返すことができ、判定260で判定された角度に異方性が傾斜する。
【0034】
ブロック258またはブロック262のいずれかで層を形成した後、判定264に進み、他の層が磁気センサに形成されるかが評価される。形成される場合、手順250は、判定252に戻り、一軸異方性を有する、または有さない他の層が形成される。判定264において、磁気スタックに他の層が含まれないと判定した場合、判定266では、センサにバイアス磁石を設置するかどうかが評価され、判定268では、ブロック270で形成されるバイアス磁石の厚さが判定される。
【0035】
磁化自由層の間の短いストライプ高さおよび様々な一軸異方性などの様々な構造的および動作的特性を示す手順250から、幅広い様々な磁気センサを構築することができる。しかし、手順250は、図8に示されるブロックや判定のみに限定されるものではなく、任意の数のブロックおよび判定を追加、省略および変更することができ、これにより、設計およびプロセスの変化に対する感度が低下した状態で改良された磁気検知を行うために一軸異方性を利用する、正確に調整された磁気センサの製造に順応させることができる。
【0036】
本開示に記載された磁気センサの様々な構成および材料特性により、データ読み取り性能が高められ、その一方で、各磁化自由層の一軸異方性を使用することにより、フォームファクタを縮小して維持することができる。各自由層は、互いに調整および最適化することができ、これにより、増大した磁気安定性に対応し得る異なる強度および配向の一軸異方性を付与することができ、設計およびプロセスの変化に対する感度が低下する。さらに、調整された一軸磁化異方性が低い磁化非対称性を示す小さいストライプ高さのスタックにおいて動作することができることから、データ信号振幅を増大させることができる。さらに、実施形態は磁気センシングについて記載したが、請求項に記載の発明は、データ記憶装置の用途など他の如何なる数の用途にも容易に適用することができる。
【0037】
上述の記載においては、本発明の様々な実施形態の数多くの特徴や利点が、本発明の様々な実施形態の構造や機能の詳細と共に記載されたが、詳細な記載は例示のみであり、細部についての変更は可能である。特に、添付の請求項に記載の用語の広い一般的な意味によって最大限に示される本発明の要旨内における部品の構造や配置についての変更が可能である。たとえば、特定の構成要素は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく特定の用途に応じて変更することが可能である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8