特許第6133945号(P6133945)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6133945熱電装置、特に、自動車に電流を発生させるための熱電装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133945
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】熱電装置、特に、自動車に電流を発生させるための熱電装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 35/30 20060101AFI20170515BHJP
   H01L 35/32 20060101ALI20170515BHJP
   H02N 11/00 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   H01L35/30
   H01L35/32 A
   H02N11/00 A
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-169773(P2015-169773)
(22)【出願日】2015年8月28日
(62)【分割の表示】特願2013-530643(P2013-530643)の分割
【原出願日】2011年7月28日
(65)【公開番号】特開2016-6904(P2016-6904A)
(43)【公開日】2016年1月14日
【審査請求日】2015年9月1日
(31)【優先権主張番号】1057878
(32)【優先日】2010年9月29日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】ステファヌ、トンデッリ
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル、シモナン
【審査官】 梶尾 誠哉
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/156361(WO,A1)
【文献】 特開2009−194299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 35/30
H01L 35/32
H02N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体が流れうる高温回路と呼ばれる第1の回路(1)と、前記第1の流体の温度より低温で第2の流体が流れうる低温回路と呼ばれる第2の回路(2)と、温度勾配の存在下で電流を発生させるために使用されうる熱電素子と呼ばれる素子(3、3p、3n)とを備える熱電装置であって、
前記高温回路(1)および/または前記低温回路(2)と熱交換関係にあるフィン(5f、6f、6c)を備え、
前記熱電素子(3、3p、3n)が、少なくとも前記フィン(5f、6f、6c)と接触状態にあり、
前記フィン(5f、6c、6f)の少なくともいくつかが、対になって関連付けられ、同一の対のフィン(5f、6c、6f)の間に圧縮性材料(11)が設けられ、
前記熱電素子が、1つの部分(3p)に対して、前記熱電素子が所与の温度勾配にさらされると、正方向と呼ばれる一方向に電位差を確立することが可能である、P型と呼ばれる第1のタイプのものであり、もう1つの部分(3n)に対して、前記熱電素子が同じ温度勾配にさらされると、負方向と呼ばれる反対方向に電位差を生じることが可能である、N型と呼ばれる第2のタイプのものであり、
−前記高温回路が、高温流体を循環するための高温パイプと呼ばれるパイプ(17)を備え、
−前記低温回路が、低温流体を循環するための低温パイプと呼ばれるパイプ(18)を備え、
−1つの部分(6f)に対して、低温フィンと呼ばれる前記フィンが、前記低温パイプ(18)と熱交換関係にあり、
−もう1つの部分(6c)に対して、高温フィンと呼ばれる前記フィンが、前記高温パイプ(17)と熱交換関係にあり、
−前記熱電素子(3p、3n)が、一方で、前記低温フィン(6f)と熱交換関係に設けられ、他方で、前記高温フィン(6c)と熱交換関係に設けられ、
前記低温パイプ(17)および前記高温パイプ(18)が、Y方向と呼ばれる同一の方向に延伸し、
前記高温フィン(6c)および前記低温フィン(6f)が、Y方向に対して直交する平面に互いに平行に配設され、
前記高温フィン及び前記低温フィン(6f、6c)が、Z方向と呼ばれる第1の方向およびX方向と呼ばれる第2の方向に延伸し、
前記低温フィン(6f)および前記高温フィン(6c)が、低温対(19)、高温対(20)とそれぞれ呼ばれる対にグループ化され、
前記圧縮性材料(11)が、前記低温対(19)と前記高温対(20)の同一の対の前記高温フィン及び低温フィン(6f、6c)間に設けられ、
前記高温対(20)および前記低温対(19)が、少なくとも1つの前記低温対(19)が、1つの高温対の表面の前記X方向における一方の側の部分に対して前記Y方向に対面する位置にあるように、Y方向に交互に設けられ、前記高温対の高温フィン(6c−u)が、前記高温対(20)の前記Y方向における一方の側に位置する上流と呼ばれる1つまたは複数の低温対(19)の低温フィンと対面させて設けられ、前記同じ高温対(20)の他方の高温フィン(6c−d)が、前記高温対(20)の前記Y方向における他方の側に位置する下流と呼ばれる1つまたは複数の他方の対の低温フィンと対面し、
前記X方向にずれた位置に、互いから電気的に絶縁された少なくとも2つの低温対(19)が設けられ、X方向に低温フィンの列を形成し、
−1つ以上のP型素子(3p)が、高温対の高温フィンの一方(6c−u)と、第1の上流低温対と呼ばれる前記上流低温対の一方の、前記高温フィンと対面した位置にある前記低温フィン(6f−u1)との間に設けられ、
−1つ以上のN型素子が、前記高温フィン(6c−u)の前記一方の高温フィン(6c−u)と、前記第1の上流低温対から前記X方向にずれた位置にあり、前記上流低温対の第2の上流低温対と呼ばれる別の、前記高温フィンと対面した位置にある前記低温フィン(6f−u2)との間に設けられ、
−N型素子(3n)が、前記高温対の他方の高温フィン(6c−d)と、第1の下流低温対と呼ばれる前記下流低温対の一方の、前記高温フィンと対面する位置にある前記低温フィン(6f−d1)との間に設けられ、
−P型素子(3p)が、前記高温対の前記他方の高温フィン(6c−d)と、前記第1の下流低温対から前記X方向にずれた位置にあり、前記下流低温対の第2の下流低温対と呼ばれる別の、前記高温フィンと対面する位置にある前記低温フィン(6f−d2)との間に設けられ、
−前記P型熱電素子(3p)が、前記高温対(20)の両側でN型熱電素子(3n)と対面する、
ことを特徴とする熱電装置。
【請求項2】
前記圧縮性材料(11)が、電気的に絶縁性である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記X方向にずれた位置に、互いから電気的に絶縁された複数の高温対(20)を備え、X方向に一連の高温対を形成する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記高温対(20)がまた、前記高温対がY方向に交互に続く列にも分布される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記低温対が、前記低温対がY方向に交互に続く列にも分布され、前記高温対および前記低温対が、互い違いの配置で設けられる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記高温パイプ(17)、前記低温パイプ(18)のそれぞれが、X方向に直交する平面に延伸する列にグループ化される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記高温パイプ(17)が、Y方向において、低温対(19)の2つの列の間に設けられ、および/または、前記低温パイプ(18)が、Y方向において、高温対(20)の2つの列の間に設けられる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記高温パイプ(17)が端部で開口する前記高温流体用の収集箱(23)を備える、請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
前記低温パイプ(18)が、Z方向に対して直交する平面において延伸する列にも分布され、Z方向に対して直交する同一の列の前記低温パイプ(18)が、Z方向に対して直交する前記列に低温流体の曲がりくねった循環を規定するように、屈曲ダクト(27)によって対になって連結される、請求項6または7に記載の装置。
【請求項10】
前記曲がりくねったパイプの端部が、前記パイプが開口する収集箱(28)に片側で連結される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
−前記第2の上流低温対の前記低温フィン(6f−u2)および前記第2の下流低温対の前記低温フィン(6f−d2)が、X方向に連続した前記低温対のX方向の一方の端に位置する前記低温対の前記低温フィンに対して、同じ電位に設定され、
−前記高温対の1つの前記第1の下流低温対の前記低温フィン(6f−d1)が、X方向に連続した前記低温対のX方向の他方の端に位置する前記低温対の前記低温フィンに対して、Y方向に並んでいる別の高温対の前記第1の上流低温対の前記低温フィン(6f−u1)と同じ電位に設定され、一つの高温対にY方向における他側から対面する低温フィンと、前記一つの高温対にY方向における他側に位置する他の高温対に、Y方向における一側から対面する低温フィンとが、一つの低温対を形成する、請求項5から10のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電装置に関し、特に、自動車に電流を発生させるための熱電装置に関する。
【0002】
ゼーベック効果として知られる現象によって対向する素子面の2面間の温度勾配の存在下において電流を発生させることが可能な、熱電素子と呼ばれる素子を使用する熱電装置がすでに提案されている。これらの装置は、エンジンから排気ガスを循環させる目的の第1のパイプのスタックおよび冷却回路の熱伝達流体を循環させる目的の第2のパイプを備える。熱電素子は、高温の排気ガスと低温の冷却材との間の温度差から生じる温度勾配にさらされるようにしてパイプ間に挟まれる。
【背景技術】
【0003】
このような装置は、エンジンの排気ガスから生じる熱の変換から電気を生成することができるため、特に注目されている。したがって、このような装置は、エンジンのクランクシャフトによってベルトから電気を発生させるように一般に自動車に設けられているオルタネータの代わりを少なくとも部分的に担うことによって、自動車の燃料消費量の削減を可能にする。
【0004】
公知の装置の1つの欠点は、熱電素子とパイプとの間に非常に良好な接触を確保することが要求されることである。このように、パイプは、装置の原価に影響を与える平坦性および表面仕上げを有する必要がある。
【0005】
パイプスタックに力をかける連結棒によって接触を強化することからなる第1の解決策が検証されてきた。しかしながら、この解決策では、この力の影響下で押しつぶされてしまう危険のあるパイプを使用する必要があり、結果的に材料が過剰に消費されることになる。
【0006】
また、公知の熱電素子は、特に、せん断力に対して脆弱であり、パイプの熱膨張が熱電素子にダメージを与える可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、第1の流体が流れうる高温回路と呼ばれる第1の回路と、第1の流体の温度より低温で第2の流体が流れうる低温回路と呼ばれる第2の回路と、温度勾配の存在下で電流を発生させるために使用されうる熱電素子と呼ばれる素子とを備える熱電装置を提案することによってこの状況を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、熱電装置は、前記高温回路および/または前記低温回路と熱交換関係にあるフィンを備え、前記熱電素子は、少なくとも前記フィンと接触状態にある。
【0009】
熱電素子とフィンとを関連付けることによって、温度勾配にさらされるのに必要である熱電素子と熱電装置の高温および/または低温のコンポーネントとの間の接触の親密性が促される。実際、熱電素子とコンポーネントとの間に密接な連結を確立し、動作に必要な温度勾配を生じさせる必要性は、流体循環パイプによってではなく、特定のコンポーネントであるフィンが担い、したがって、少なくとも前記高温または低温回路の1つに対して選択が可能である。したがって、一方では、フィンとパイプの間、他方では、フィンと熱電素子との間の効果的な熱ブリッジを確立するために使用される技術的解決策は、別々に最適化できるようになる。
【0010】
前記フィンの少なくともいくつかは、対になって関連付けられ、同一の対のフィンの間に圧縮性材料が設けられる。フィン間に圧縮性材料を設けることによって、前記圧縮性材料で、パイプの熱膨張によって発生する機械的応力が吸収可能になる解決策が得られる。
これにより、熱電素子への熱膨張の伝播が防止される。
【0011】
前記圧縮性材料は、電気的に絶縁性でありうる。
【0012】
熱電素子は、1つの部分に対して、熱電素子が所与の温度勾配にさらされると、正と呼ばれる一方向に電位差を確立することが可能である、P型と呼ばれる第1のタイプのものであり、もう1つの部分に対して、熱電素子が同じ温度勾配にさらされると、負方向と呼ばれる反対方向に電位差を生じるように使用可能である、N型と呼ばれる第2のタイプのものでありうる。
【0013】
第1の実施形態によれば、
−高温回路は、高温流体を循環するための高温パイプと呼ばれるパイプを備え、
−前記低温回路は、低温流体を循環するための低温パイプと呼ばれるパイプを備え、
−前記フィンは、低温パイプと熱交換関係にあり、
−熱電素子は、一方で、高温パイプと熱交換関係にあり、他方で、低温フィンと熱交換関係にあり、
−前記低温フィンが、対になってグループ化され、前記圧縮性材料が、1つの健全な(one and the sane)対のフィンの間に設けられる。
【0014】
第2の実施形態によれば、
−前記高温回路は、高温流体を循環するための高温パイプと呼ばれるパイプを備え、
−前記低温回路は、低温流体を循環するための低温パイプと呼ばれるパイプを備え、
−1つの部分に対して、低温フィンと呼ばれる前記フィンは、前記低温パイプと熱交換関係にあり、
−もう1つの部分に対して、高温フィンと呼ばれる前記フィンは、前記高温パイプと熱交換関係にあり、
−前記熱電素子は、一方で、低温フィンと熱交換関係に設けられ、他方で、高温フィンと熱交換関係に設けられる。
【0015】
前記低温パイプおよび前記高温パイプは、例えば、Y方向と呼ばれる同一の方向に延伸し、高温フィンおよび低温フィンは、Y方向に対して直交する平面において互いに平行に配設され、フィンは、Z方向と呼ばれる第1の方向およびX方向と呼ばれる第2の方向に延伸する。
【0016】
この第2の実施形態の第1の例示的な実施例によれば、低温フィンのみが、低温対と呼ばれる対になってグループ化され、前記圧縮性材料が、低温対と同一の対のフィン間に設けられる。
【0017】
第1の例示的な実施例によれば、
−低温対は、少なくとも1つのいわゆる低温対が、1つのいわゆる高温フィンのいずれかの側の位置にあるように、Y方向に高温フィンと交互に設けられ、前記高温フィンは、前記高温フィンの一方側の位置にある上流と呼ばれる1つまたは複数の前記低温対の低温フィンと対面させて設けられるとともに、前記高温フィンの他方側の位置にある下流と呼ばれる1つまたは複数の他方の低温対の低温フィンと対面させて設けられ、
−X方向の互いの拡張部に、互いから電気的に絶縁された少なくとも2つの低温対が設けられ、
−以下の構成が採用され、すなわち、
−1つ以上のP型素子は、前記高温フィンと、第1の上流低温対と呼ばれる上流低温対の1つの、前記高温フィンと対面する位置にある低温フィンとの間に設けられ、
−1つ以上のN型素子は、前記高温フィンと、前記第1の上流低温対の拡張部に位置する上流低温対の第2の上流低温対と呼ばれる別の、前記高温フィンと対面する位置にある低温フィンとの間に設けられ、
−1つ以上のP型素子は、高温フィンと、第1の下流低温対と呼ばれる下流低温対の1つの、高温フィンと対面する位置にある低温フィンとの間に設けられ、
−1つ以上のN型素子は、高温フィンと、前記第1の下流低温対の拡張部に位置する下流低温対の第2の下流低温対と呼ばれる別の、高温フィンと対面する位置にある低温フィンとの間に設けられ、
−P型、N型のそれぞれ、熱電素子は、高温フィンの両側で互いに対面する。
【0018】
さらに詳しく言えば、
−同じ電位になるようにされる第2の上流低温対の低温フィンおよび第2の下流低温対の低温フィンと、
−同じ電位になるようにされる第1の上流低温対の低温フィンおよび第1の下流低温対の低温フィンと、を提供することが可能になる。
【0019】
Y方向に後続する高温フィンに関連したものと同じ電位に設定される前記高温フィンの1つの第1の上流および下流低温対のフィンを提供することも可能である。同じことが、第2の上流および下流低温対の低温フィンにも当てはまる。
【0020】
第2の実施例の第2の例示的な実施形態によれば、低温フィンおよび高温フィンは、それぞれ低温対/高温対と呼ばれる対にグループ化され、前記圧縮性材料が、低温対および高温対の同一の対のフィン間に設けられる。
【0021】
高温対および低温対は、例えば、少なくとも1つの前記低温対が、1つの前記高温対のいずれかの側の位置にあるように、Y方向に交互に設けられ、前記高温対の高温フィンが、前記高温対の一方側の位置にある上流と呼ばれる1つまたは複数の低温対の低温フィンと対面させて設けられ、同じ高温対の他方のフィンが、前記高温対の他方側の位置にある前記低温対の下流と呼ばれる1つまたは複数の他方の対の低温フィンと対面する。
【0022】
特に、X方向の互いの拡張部に、互いから電気的に絶縁された少なくとも2つの低温対を設けて、X方向に一連の低温フィンを形成することが可能になる。
【0023】
例えば、以下の構成が採用され、すなわち、
−1つ以上のP型素子は、いわゆる、高温対の高温フィンの1つと、第1の上流低温対と呼ばれる上流低温対の1つの、高温フィンと対面した位置にある低温フィンとの間に設けられ、
−1つ以上のN型素子は、高温フィンの前記第1の高温フィンと、前記第1の上流低温対の拡張部に位置する上流低温対の第2の上流低温対と呼ばれる別の、高温フィンと対面する位置にある低温フィンとの間に設けられ、
−1つ以上のN型素子は、前記高温対のもう1つの高温フィンと、第1の下流低温対と呼ばれる下流低温対の1つの、高温フィンと対面する位置にある低温フィンとの間に設けられ、
−1つ以上のP型素子は、前記高温対の前記高温フィンと、前記第1の下流低温対の拡張部に位置する下流低温対の第2の下流低温対と呼ばれる別の、高温フィンと対面する位置にある低温フィンとの間に設けられ、
−P型熱電素子は、高温対の両側でN型熱電素子と対面する。
【0024】
さらに詳しく言えば、X方向の互いの拡張部に、互いから電気的に絶縁された複数の高温対を設け、X方向に一連の高温対を形成することが可能になる。前記高温対は、高温対がY方向において交互に続く列にも分布されうる。
【0025】
低温対は、低温対がY方向において交互に続く列にも分布されうる。高温対および低温対を互い違いに分布させて配列することもできる。
【0026】
高温パイプ、低温パイプのそれぞれは、例えば、X方向に対して直交する平面に延伸する列にグループ化される。
【0027】
高温パイプは、低温対のY方向の2つの列の間に設けられ、および/または、低温パイプは、高温対のY方向の2つの列の間に設けられうる。
【0028】
さらに、例示的な実施形態によれば、
−第2の上流低温対の低温フィンおよび第2の下流低温対の低温フィンとは、一連の低温対の一方の端部に設置された低温対のフィンに対して、同じ電位に設定され、
−高温対の1つの第1の下流低温対の低温フィンは、一連の低温対の他方の端部に設置された低温対のフィンに対して、Y方向の後続する高温対の前記第1の上流低温対の低温フィンと同じ電位に設定され、前記低温フィンは、同一の低温フィン対の部分を形成する。
【0029】
低温対のフィンは、長手側面の一方および/または他方に沿って、対面する高温パイプからの熱放射からフィンの残りを熱的に絶縁可能にする折返し縁部を含みうる。
【0030】
本発明による装置はまた、特に、高温パイプが端部で開口する高温流体用の収集箱を備える。
【0031】
低温パイプおよび高温パイプは、Z方向に直交する平面において延伸する列に分布されることができ、Z方向に対して直交する同一の列の低温パイプは、Z方向に対して直交する前記列に低温流体の曲がりくねった循環を規定するように、屈曲ダクトによって対になって連結される。
【0032】
曲がりくねったパイプの端部は、パイプが開口する収集箱に片側で連結される。
【0033】
以下、本発明は、指示として単に与えられ、添付の図面を伴うことで、本発明に制限を課すことを意図したものではない以下の記載の点からより深く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】フィンの長手軸に直交する平面にある、本発明による装置の例示的な実施形態の部分断面図を概略的に示す。
図2】別の実施形態において図1を再現する。
図3】高温パイプおよび低温パイプが反転された図1の装置の簡易図を示す。
図4】別の実施形態において図3を再現する。
図5図1に示す装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1から図4に示すように、本発明は、第1の流体、特に、エンジンからの排気ガスが流れうる高温回路と呼ばれる第1の回路1と、第1の流体の温度より低温で第2の流体、特に、冷却回路の熱伝達流体が流れうる低温回路と呼ばれる第2の回路2とを備える熱電装置に関する。
【0036】
また、熱電装置は、温度勾配の存在下において電流を発生させることが可能な熱電素子と呼ばれる素子3、3p、3nを備える。
【0037】
これらの素子は、例えば、活性面と呼ばれる2つの対向面4a、4b間にある前記温度勾配にさらされると、ゼーベック効果によって、電流を発生させる実質的に平行六面体の形の素子である。このような素子により、前記活性面4a、4bの間に接続された負荷に電流を生じることができる。当業者に知られているように、このような素子は、例えば、テルル化ビスマス(BiTe)からなる。
【0038】
熱電素子は、1つの部分に対して、熱電素子が所与の温度勾配にさらされると、正と呼ばれる一方向に電位差を確立することが可能である、P型と呼ばれる第1のタイプの素子3pであり、もう1つの部分に対して、同じ温度勾配にさらされると、負と呼ばれる反対方向に電位差を生じることが可能である、N型と呼ばれる第2のタイプの素子3nである。
【0039】
また、熱電装置は、前記高温回路および/または前記低温回路と熱交換関係にあるフィン5f、6c、6fを備える。このようにして、前記フィンの間、または前記回路の一方および他方の回路と熱交換関係にあるフィンの間に温度勾配が確保される。また、前記フィン5f、6c、6fも、特に、熱電素子の活性面4a、4bで熱電素子3p、3nと接触状態にある。言い換えれば、熱電素子は、2つのフィンの間か、または回路の一方および他方の回路と熱交換関係にあるフィンのそれぞれの間のいずれかに配設される。このようにして、熱電素子3、3p、3nによる電流発生が確保される。
【0040】
したがって、本発明によれば、少なくとも回路の1つに対して、熱電素子と熱的接触を確立する機能を果たすのは、フィン5f、6c、6fである。
【0041】
フィンは、幅および長さに比べて非常に薄い厚さを有する2つの大きな平坦な対向面7a、7bを有する素子であり、例えば、前記大きな表面7aの1つと、電流を発生させるために温度勾配にさらされる面4a、4bの対向面上にある熱電素子3p、3nとの間に表面接触を確立できることを理解されたい。フィン5f、6c、6fは、熱伝導材料、特に、銅またはアルミニウムなどの金属材料で形成される。
【0042】
前記フィン5f、6c、6fの少なくともいくつかは、対になって関連付けられ、同一の対のフィンの間に圧縮性材料11が設けられる。このようにして、前記材料のレベルで高温および/または低温回路の熱膨張により発生した機械応力の吸収を確保することが可能になる。
【0043】
各対において、フィン5f、6c、6fは、例えば、同一の寸法を有し、互いに対して平行に配設され、フィン5の一方の大きな面7bの1つが、対のフィンの他方の大きな面7bの1つと対面するように配設される。
【0044】
第1の実施形態において、フィンには電気絶縁性材料が被覆され、熱電素子に対面した位置にある面に、熱伝導性素子を直列および/または並列につなげる図示されていない1つ以上の導電性トラックが設けられる。
【0045】
別の実施形態によれば、フィン5f、6c、6fは、熱電素子3、3p、3nによって生成された電気の伝導に寄与する。
【0046】
前記圧縮性材料11は、特に、前段落に記載した実施形態において、導電性のものでありうる。
【0047】
以下、図2の実施形態をさらに詳細に参照すると、高温回路が、高温流体を循環するための高温パイプと呼ばれるパイプ8を備えることが観察される。低温回路に関して、低温回路は、低温流体を循環するための低温パイプと呼ばれるパイプ9を備える。低温フィンと呼ばれるフィン5fは、低温パイプ9と熱交換関係にある。また、熱電素子3p、3nは、一方で、高温パイプ8と熱交換関係にあり、他方で、低温フィン5fと熱交換関係にある。前記低温フィン5fは、対になってグループ化され、同一の対のフィンの間に前記圧縮性材料11が設けられる。
【0048】
前記高温パイプ8は、例えば、2つの大きな平行対向面10a、10bを備える実質的に平坦なパイプであり、これらの対向面上に、活性面4a、4bの1つによって熱電素子3p、3nが配設される。高温パイプは、排気ガスを循環できるように構成され、特に、ステンレス鋼製のものである。高温パイプは、例えば、プロファイル加工、溶接および/またはろう付けによって形成される。高温パイプは、第1の流体を通過させるための複数のチャネルを有することができ、複数のチャネルは、パイプの対向する平坦な面を連結する仕切りによって分離される。
【0049】
高温パイプ8には、前記大きな面10a、10b上に電気絶縁材料層が被覆され、高温パイプ8に配設された熱伝導素子の全てまたは一部を直列および/または並列に連結する導電性トラックが設けられる。
【0050】
低温フィン5fは、例えば、低温パイプ9を通すためのオリフィス12を有する。前記低温パイプは、例えば、アルミニウム製または銅製であり、円形および/または楕円形の断面を有する。
【0051】
パイプ9と低温フィン5fとの間の接触は、例えば、自動車の熱交換器の分野において機械的交換器として知られている熱交換器のように、パイプの材料の膨張によって生じる。フィンによって電気の伝導が生じる実施形態において、低温パイプ9と低温フィン5fとの間に電気絶縁体が設けられる。
【0052】
例示した実施形態によれば、高温パイプ8の各平坦な面10a、10bは、隣接低温フィンと呼ばれる少なくとも2つの、いわゆる、低温フィン5f−p、5fーnに関連付けられ、低温フィンは、前記平坦な面と対面して設けられ、互いに電気的に絶縁される。前記2つの隣接フィン5f−p、5f−nの間に電位差を生じるように、P型フィンと呼ばれる前記隣接フィンの一方のフィン5f−pと、前記平坦な面の1つとの間に設けられた熱電素子はP型のものであり、N型フィンと呼ばれる前記2つのフィンの他方のフィン5f−nと前記平坦な面との間に設けられる熱電素子はN型のものである。
【0053】
低温フィン5f−p、1つ以上のP型熱電素子、高温パイプ8の面10aまたは10b、1つ以上のN型熱電素子および低温フィン5f−nからなるこのサブアセンブリは、再現可能である基本構成要素を規定し、この基本構成要素は、所望の強度および/または電位差を呈する電流を発生できるように異なる方法で並列および/または直列に電気的に組み立てられる。
【0054】
この基本構成要素において、1つの変形例として、P型熱電素子に関係する低温フィン5f−pおよびN型熱電素子に関係する低温フィン5f−nは、P型熱電素子に関係する低温フィンの部分と、N型熱電素子に関係する低温フィンの部分との間での短絡を回避するために電流を通すためのトラックを担持する同一の低温フィンからなるものでありうることに留意されたい。
【0055】
以下、上述した基本構成要素の第1のアセンブリをもたらす、所与の高温パイプ8と対面する熱電素子3p、3nと、対応するように設けられた低温フィン5fとの配列の例示的な実施形態について記載する。
【0056】
P型フィン5f−p、N型5f−nは、例えば、同一の高温パイプ9の両側にそれぞれ設置され、特に、高温パイプ9の両側に設置された熱電素子を並列に関連付けるようにして電気的に接続される。
【0057】
前記高温パイプは、1つ以上の列16にフィン5fに対して直交する第1の方向Yに重ね合わされ、列の前記高温パイプ8は、2つの低温パイプ9の間に配設される。前記冷温パイプ9は、高温パイプ8の積層方向Yに配向される。
【0058】
各列16の高温パイプ8は、例えば、一方の列16から他方へ互いの拡張部に設けられる。互いの拡張部に設置された高温パイプ8の熱電素子は、例えば、一方の列16から他方へ直列に接続される。言い換えれば、前記パイプの一方側にある同一の高温パイプ8の両側に設置されたフィン5f−p、5f−n、および隣接する高温パイプ8の列の最初の拡張部に設置される高温パイプ8のフィン5f−p、5f−nは同じ電位に設定される。
【0059】
再度、図1を参照すると、例示した実施形態によれば、前記高温回路は、高温流体を循環するための高温パイプと呼ばれるパイプ17と、前記低温回路は、冷温流体を循環するための低温パイプと呼ばれるパイプ18を備える。これらは、特に、例えば、高温パイプ17に対してはステンレス鋼製であり、低温パイプ18に対してはアルミニウム製または銅製である円形および/または楕円形のパイプである。
【0060】
1つの部分に対して、低温フィンと呼ばれる前記フィン6fは、前記低温パイプ18と熱交換関係にあり、もう1つの部分に対して、高温フィンと呼ばれる前記フィン6cは、前記高温パイプ17と熱交換関係にある。
【0061】
前記熱電素子3は、一方で、低温フィン6fと熱交換関係にあり、他方で、高温フィン6cと熱交換関係に構成される。
【0062】
先行する実施形態の低温フィン5fのように、高温フィン6c、低温フィン6fのそれぞれにおいて、高温パイプ17、低温パイプ18のそれぞれに対して、貫通オリフィス13、14が設けられる。パイプ/フィン接触は、上述したように、特に、機械タイプのものである。フィンによって電気の伝導が生じる実施形態において、パイプ17、18とフィン6f、6cとの間に電気絶縁体が設けられる。
【0063】
例示した実施形態によれば、前記低温パイプ18および前記高温パイプ17は、Y方向と呼ばれる同一の方向に延伸し、高温フィンおよび低温フィンは、Y方向に対して直交する平面に互いに平行に配設され、フィンは、Z方向と呼ばれる第1の方向およびX方向と呼ばれる第2の方向に延伸する。
【0064】
図1図3および図5に対応する第1の例示的な実施例によれば、低温フィン6fおよび高温フィン6cは、対になってグループ化され、それぞれ、低温対19/高温対20と呼ばれ、前記圧縮性材料11が、低温対および高温対に対して同一の対のフィン6f、6cの間に設けられる。
【0065】
高温対および低温対は、少なくとも1つのいわゆる低温対が、1つのいわゆる高温対のいずれかの側の位置にあるように、Y方向に交互に設けられる。
【0066】
少なくとも2つの低温対が、X方向の互いの拡張部に設けられ、互いから電気的に絶縁されて、X方向に低温フィンの列を形成する。
【0067】
前の実施形態のように、この場合も、圧縮性材料11によって分離された、または分離されていない低温フィン6fおよび高温フィン6cと、のアセンブリによって形成され、熱電要素3p、3nのアセンブリによって形成されたパターンがある。以下、このパターンの可能な異なる構成およびパターンを組み立てる可能な異なる方法は、特に、電気的な観点から記載される。
【0068】
図3に詳細に示すように、前記パターンの第1の例示的な実施形態によれば、前記高温対20の高温フィン6c−uの一方が、前記高温対20の一方側で、互いの拡張部の位置にある第1および第2の上流低温対と呼ばれる別個の低温対の2つの低温フィン6f−u1、6f−u2と対面させて設けられ、同一の高温対20の他方のフィン6c−dが、前記高温対20の他方側で、互いの拡張部の位置にある第1および第2の下流低温対と呼ばれる別個の低温対の2つの低温対6f−d1、6f−d2と対面させて設けられる。
【0069】
1つ以上のP型素子が、高温フィンの第1のフィン6c−uと、第1の上流低温対のフィン6f−u1との間に設けられる。1つ以上のN型素子が、高温フィン6c−uの前記第1のフィンと、第2の上流低温対の低温フィン6f−u2との間に設けられる。
【0070】
1つ以上のP型素子が、前記高温対20の他方の高温フィン6c−dと、第2の下流対の低温フィン6f−d2との間に設けられる。1つ以上のN型素子が、前記高温対20の前記他方の高温フィン6c−dと、第1の下流対の低温フィン6f−d1との間に設けられる。高温対20のいずれかの側で、上流P型素子が下流N型素子と対面し、上流N型素子が下流P型素子と対面する。
【0071】
図3と比較して高温パイプ17および低温パイプ18が反転されている図1を再度参照すると、本発明による装置が、この例示的な実施例によれば、X方向に連続した高温対を形成するように、X方向に互いの拡張部の位置にあり、互いから電気的に絶縁された複数の高温対20を備えうることが観察される。
【0072】
また、前記高温対は、高温対がY方向に交互に続く列に分布される。
【0073】
言い換えれば、高温対の前記直列および前記列は、X方向およびY方向に互いに続く。
【0074】
また、低温対19は、低温対がY方向に交互に続く列に分布され、および/または、X方向に連続して分布される。高温対20および低温対19は、例えば、互い違いの配置で設けられる。
【0075】
高温パイプ17は、例えば、Y方向において、低温対19の2つの列の間に設けられ、および/または、低温パイプ18は、Y方向において、高温対20の2つの列の間に設けられる。
【0076】
Y方向における一連の高温対20および/または低温対19は、対ではなく、単独で与えられたいずれかの側、特に、高温フィン6c−tで終端しうる。
【0077】
フィン6c、6fは、Z方向において長手方向に延伸し、X方向において横方向に延伸し、高温パイプ、低温パイプのそれぞれは、X方向に直交する平面に延伸する列21、22にグループ化される。
【0078】
また、図5に示すように、装置は、高温パイプが端部で開口する高温流体用の収集箱23を備える。
【0079】
低温パイプおよび/または高温パイプは、Z方向に対して直交する平面において延伸する列にも分布される。Z方向に直交する同一の列の低温パイプ18は、Z方向に直交する前記列にある低温流体の曲がりくねった循環を規定するように、低温パイプの端部で連結された屈曲ダクト27によって対になって連結される。
【0080】
曲がりくねったパイプの端部は、パイプが開口する収集箱28に片側で連結される。
【0081】
電気的観点から、フィン間の接続は、図1の高温フィンによってもたらされる。また、低温フィンによって接続をもたらすことも可能であり、図3に、上述したパターンが以下のように組み立てられることが観察される。パターンの第2の上流対の低温フィン6f−u2は、X方向において、隣接パターンの第1の上流対の低温フィン6f−u1に接続される。同じことが、下流低温フィン6f−d2、6f−d1に当てはまる。
【0082】
加えて、装置が1つ以上の高温対を備えるかどうかにかかわらず、
−第2の上流低温対の低温フィン6f−u2および第2の下流低温対の低温フィン6f−d2は、一連の低温対の一方の端部に設置された低温対のフィンに対して、同じ電位に設定され、
−高温対の1つの第1の下流低温対の低温フィン6f−d1は、一連の低温対の他方の端部に設置された低温対のフィンに対して、Y方向の後続する高温対の前記第1の上流低温対の低温フィン6f−u1と同じ電位に設定され、前記低温フィン6f−d2、6f−u1は、同一の低温フィン対の部分を形成する。
【0083】
図1に示すような高温フィン6c−tの端子、またはY方向において一連のフィンの端部に設置された図3に示すような低温フィンの端子には、高温フィン、低温フィン6fのそれぞれの連続した列の端子に生じた電位差の和に相当する電位差が存在する。
【0084】
特定の例示的な実施形態によれば、低温対6fのフィンは、長手方向の側面の一方および/または他方に沿って、対面する高温パイプ17からの熱放射からフィンの残りを熱的に絶縁可能にする折返し縁部29を有する。
【0085】
図4に示す異なるパターンに対応する別の例示的な実施例によれば、低温フィン6fのみが、低温対30と呼ばれる対にグループ化され、前記圧縮性材料11は、低温対の同一の対のフィン間に設けられる。
【0086】
この例示的な実施例において、低温対30は、少なくとも1つのいわゆる低温対が、1つのいわゆる高温フィン6cのいずれかの側の位置にあるように、Y方向に高温フィンと交互に設けられる。
【0087】
X方向の互いの拡張部に、互いから電気的に絶縁された少なくとも2つの低温対を設けることが可能である。
【0088】
図4に示すパターンによれば、前記高温フィン6cは、例えば、前記高温フィンの一方側に設けられた、互いの拡張部の位置にある第1および第2の上流低温対と呼ばれる別個の低温対の2つの低温フィン6f−u1、6f−u2と対面し、また、前記高温フィン6cの他方側に、互いの延長部の位置にある第1および第2の下流低温対と呼ばれる別個の低温対の2つの低温フィン6f−d1、6f−d2と対面させて設けられる。
【0089】
前記高温フィン6cと第1の上流低温対の低温フィン6f−u1との間に、1つ以上のP型素子が設けられる。前記高温フィン6cと第2の上流低温対の低温フィン6f−u2との間に、1つ以上のN型素子が設けられる。
【0090】
高温フィン6cと第2の下流低温対の低温フィン6f−d2との間に、1つ以上のN型素子が設けられる。高温フィン6cと第1の下流低温対の低温フィン6f−u1との間に、1つ以上のP型素子が設けられる。上流および下流P型素子は、高温フィン6cの両側に互いと対面させた位置にある。同じことが、N型素子にも当てはまる。
【0091】
このパターンの場合、以下の電気的接続を使用することができる。第2の上流低温対の低温フィン6f−u2および第2の下流低温対6f−d2の低温フィンは、同じ電位になるように電気的に接続される。同じことが、第1の上流低温対の低温フィン6f−u1および第1の下流低温対の低温フィン6f−d1にも当てはまる。
【0092】
また、以下のようにパターンを組み立てることもできる。前記高温フィン6cの1つの第1の上流および下流低温対のフィン6f−d1、6f−u1は、Y方向に後続する高温フィンに関連したものと同じ電位に設定される。Y方向の2つの連続する高温フィン6cに関連した第1の下流低温対の低温フィンおよび第1の上流低温対の低温フィンは、同一の低温フィン対の部分を形成する。同じことが、第2の上流および下流低温対のフィン6f−d2、6f−u2にも当てはまる。
【0093】
図示していないが、Y方向に配向された2つの低温パイプ18の間に挿入されるたびに、Y方向に配向された複数列の高温パイプ17を有する図4のパターンを用いたバンドルを提供することもでき、高温および低温フィンは、パイプに対して直交方向に配向される。電気的接続に関して、前記列は、例えば、直列に取り付けられる。
【0094】
図3および図4の2つの実施例の1つの利点は、高温パイプおよび高温フィンのサブアセンブリと、低温パイプおよび低温フィンのサブアセンブリとが、差し込まれたとしても分離されて作られ、これらのサブアセンブリ間の接触が、熱電素子を介してのみ起こるようにすることで、高温コンポーネントと低温コンポーネントとの間の熱的ブリッジを回避可能にすることである。言い換えれば、X方向のP型およびN型の熱電素子の間に1つおきの配列が存在する。
【0095】
図示していない別の異なる例示的な実施例によれば、高温パイプおよび低温パイプは、互いの間に挿入されるのに対して、高温フィンおよび低温フィンは、パイプに直角な平面において、互いの間に挿入され、低温フィンおよび/または高温フィンは対になって分布され、同一の対のフィンは、前記圧縮性材料によって本発明に従って分離される。
【0096】
図1および図3から図5の例示的な実施例のように、各低温フィン、高温フィンのそれぞれには、低温パイプ、高温パイプのそれぞれの通路用および熱的接触用のオリフィスが設けられる。
【0097】
また、これらのフィンには、高温パイプ、低温パイプのそれぞれと非接触であるか、または熱的および電気的に絶縁性の接触子を有する貫通オリフィスが設けられる。
【0098】
互いに対面させて配置された低温フィンと高温フィンとの間には、同じタイプの熱電素子が設けられる。同一の対のフィンは、同じ電位に設定される。低温フィンは、連続して直列に接続される。変形例として、2つの隣接する高温フィンおよび低温フィンの間の位置にある熱電素子は交流タイプのものであり、フィンには、熱電素子間での短絡を回避するために電流循環用のトラックが設けられる。
【0099】
上記において、「電気的に接続」または「同じ電位に設定」という表現は、電気を通すものである場合に、フィンが互いに接続されているということ、またはフィンに設けられたトラックが、例えば接続端子および従来の電気導体を用いて伝導性トラックが設けられる場合、一方のフィンから他方のフィンへと接続されていることを意味することを理解されたい。
【0100】
この点に関して、高温フィンではなく低温フィンによって電気的接続をもたらすことは、高温に耐性の定格温度の電気コンポーネントを使用する必要がないため有益である。
【0101】
本発明による装置を獲得する1つの方法は、最初に熱電素子が高温コンポーネント、すなわち、高温パイプ8または高温フィン6cを用いて組み立てられた後、低温フィン5f、6fを用いて組み立てられるステップを含む。この順序で連続して行う利点は、熱電素子/高温コンポーネントリンクを実行することによって、熱電素子/低温フィンリンクがダメージを受ける危険性を伴うことなく、熱電素子/高温コンポーネントリンクの実行には比較的厳しい使用条件を用い、熱電素子/低温フィンリンクに対してはあまり厳しくない条件を用いることができることである。
【0102】
フィンは積層され、後続するステップにおいて、低温パイプ9、18は、低温フィン5f、6fに組み立てられる。同じことが、高温フィンを有する実施形態における高温フィン6cの高温パイプ17にも当てはまる。
【0103】
パイプ/フィンリンクを確保するために、上述したように、フィンと接触状態にあるパイプ9、17、18は、例えば、膨張にさらされる。すなわち、特に、パイプ内での膨張オリーブ(expansion olive)の通過により得られる半径方向の膨張であり、この膨張により、フィン5f、6f、6cがパイプに圧着される。
【0104】
このようにして、圧着連結棒を使用することなく、フィンがパイプに圧着されると、高温パイプ8、17および低温パイプ9、18が、フィンによってかけられる応力によってフレームワークを形成するバンドルが得られる。次に、パイプは、収集箱に連結される。
フィンは、上述した異なる手法により電気的に連結される。
【0105】
1つの実施形態によれば、圧縮性材料は圧縮されたまま保たれる。これに関して、例えば、膨張後に除去可能な外部手段によって、低温および/または高温パイプが膨張する前に圧縮した状態を保つことが可能である。フィンによってかけられる応力によって、前記圧縮性材料はプレストレスがかけられた状態を維持する。
図1
図2
図3
図4
図5