特許第6133994号(P6133994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133994
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】風力発電装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
   F03D 17/00 20160101AFI20170515BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20170515BHJP
   F03D 7/04 20060101ALI20170515BHJP
   H02P 9/00 20060101ALI20170515BHJP
   H02P 101/15 20150101ALN20170515BHJP
【FI】
   F03D17/00
   F03D1/06 A
   F03D7/04 E
   F03D7/04 K
   F03D7/04 A
   H02P9/00 F
   H02P101:15
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-536050(P2015-536050)
(86)(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公表番号】特表2015-532386(P2015-532386A)
(43)【公表日】2015年11月9日
(86)【国際出願番号】EP2013070030
(87)【国際公開番号】WO2014056725
(87)【国際公開日】20140417
【審査請求日】2015年6月2日
(31)【優先権主張番号】102012218484.8
(32)【優先日】2012年10月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512197272
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】WOBBEN PROPERTIES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】デ ボエル、ヴォルフガング
【審査官】 新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/089136(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0204636(US,A1)
【文献】 特表2002−509222(JP,A)
【文献】 実公平07−023586(JP,Y2)
【文献】 特表2009−523208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 7/04
F03D 17/00
F03D 1/06
H02P 9/00
H02P 101/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1風力発電装置(31)の運転方法であって、以下の工程:
・タワー振動の検出、
・検出されるタワー振動が縦振動(40)であるか又は縦振動(40)を含み、該縦振動(40)の振幅が予め設定される閾値を上回る場合、振動低減措置の開始
を含み、
前記振動低減措置は
第1出力特性曲線に基づく第1運転モードから、第2出力特性曲線に基づく第2運転モードへの、前記第1風力発電装置(31)の運転の切り替え、但し、前記第1風力発電装置(31)がウインドパーク(34)において実際の風向に関し第2風力発電装置(32)の後方に配置されている場合において該第1風力発電装置(31)の運転を前記第1運転モードからの前記第2運転モードへの切り替えに際して、該第2風力発電装置(32)はその運転モードを切り替えない、
前記第1風力発電装置(31)がウインドパーク(34)において実際の風向に関し第2風力発電装置(32)の後方に配置されている場合、該第1風力発電装置(31)の回転数は、当該第1風力発電装置(31)の回転数が少なくとも予め設定される差回転数だけ該第2風力発電装置(32)の回転数と異なるよう、該第2風力発電装置(32)の回転数に対して調整されること
の少なくとも1つを含む方法。
【請求項2】
前記予め設定される差回転数は、少なくとも0.2回転/分であること
を特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1風力発電装置(31)は、ピッチ制御されるか及び/又は回転数可変であること
を特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1及び第2出力特性曲線はそれぞれ回転数に依存して見込供給出力を提供し、該第2出力特性曲線の出力値は、その都度同じ回転数値において、該第1出力特性曲線の出力値よりも小さいこと
を特徴とする請求項1〜の何れかに記載の方法。
【請求項5】
前記第2出力特性曲線は、部分負荷領域から全負荷領域に移行する領域においてシフトされること
を特徴とする請求項1〜の何れかに記載の方法。
【請求項6】
風から電気的エネルギを生成するための風力発電装置(31)であって、請求項1〜の何れかに記載の方法によって運転される風力発電装置(31)。
【請求項7】
第1風力発電装置(31)は直流電流で励磁される同期発電機を使用し、該第1風力発電装置(31)の励磁電流は予め設定される値だけ変化されること
を特徴とする請求項に記載の風力発電装置(31)。
【請求項8】
請求項又はに記載の風力発電装置(31)を少なくとも1つ含むウインドパーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの風力発電装置の運転方法に関する。本発明は、更に、風力発電装置及びウインドパークに関する。本発明は、更に、ウインドパークの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電装置は一般的に知られている。風力発電装置は、とりわけ実質的に水平に配される軸の周りで回転するロータによって、風から機械的エネルギを電気的エネルギ変換するが、その際、更に、発電機が使用される。そのような風力発電機の一例を図1に模式的に示す。
【0003】
そのような風力発電装置は、当該風力発電装置の空気力学的ロータを支持するタワーにまで影響を及ぼす振動状態に陥ることが起こり得る。この場合、原理的に、2種類の振動、即ち縦振動と横振動とに分けられるが、これらの振動は原理的に互いに重ね合わされることもあり得る。
【0004】
横振動は、ロータ軸の配列(延伸)方向に対し実質的に横方向(横断方向)に生じる振動である。そのような横振動は、しばしばロータのアンバランス(状態)によって引き起こされ、ロータの回転数に応じて相応に振動する。このアンバランスは回転の際にこの振動を直接的に引き起こすため、強制振動といわれることもある。
【0005】
縦振動は、ロータの回転軸の実質的に縦(延伸)方向に生じる。この場合、風力発電装置はいわば(ロータ正面から見て)前後に揺れる。そのような縦振動は、大抵は風によって生成され、通常、風力発電装置の特性と相互作用する。とりわけ、そのような縦振動の振動周波数は、通常、固有周波数又は共鳴周波数‐これらは大抵極めて類似する‐又はそれらの倍数に従う。とりわけ風自体が不安定な場合、風はそのような縦振動を助長し得る。縦振動は、風力発電装置が突風を含む風速の増大に対し制御技術的に応答することによっても生成ないし増大されることがあり得、それにより風力発電装置の運動に影響を及ぼす。この場合、この制御作用に対する風力発電装置の応答は新たに更なる変化を引き起こすが、これにより、最悪の場合、強い(突発)振動(Aufschwingen)が発生し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】DE 10 2006 001 613 A1
【特許文献2】DE 10 2008 009 740 A1
【特許文献3】DE 10 2009 039 340 A1
【特許文献4】DE 699 01 876 T2
【特許文献5】US 2009/0200804 A1
【特許文献6】WO 2007/089136 A2
【特許文献7】WO 2012/125842 A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのような振動を引き起こしないし増大し得るあり得る制御作用の1つは、ロータブレードの仰角(Anstellwinkel)が相応の調整駆動装置によって変化される所謂ピッチ調整(ピッチング)である。この場合、例えば、増大された風圧は、ロータブレードの相応の調整によって減少されることができるが、それによって、風圧は再び過小になることがあり得、その結果、ロータブレードは、場合によって再び過大な風圧が生じるまで、再び元に戻され、その結果、ピッチ調整が再び作動され、かくして、振動挙動が生じ得る。
【0008】
制御技術的には、そのような問題は、勿論、例えば相応の制動(減衰)装置を設けること又は例えば擾乱(外乱)をより良好に考慮可能にするために擾乱(外乱)オブザーバ(監視装置)を含むより複雑な調整装置(複数)を使用することによって、考慮することができるであろう。しかしながら、この場合問題となるのは、調整構造のそのような変化は、通常、予測不能な結果を伴い得ることである。更に、個々の風力発電装置は独立でありかつ個別に応答するという問題もある。とりわけ、個々の風力発電装置は夫々異なる位置に建設され、それに応じて同じ条件にあることは決してないことも勿論問題である。
【0009】
本発明の技術的背景でもありかつ事によると技術水準において未だ認識されていない更なる問題は、相互に影響を及ぼし合う複数の風力発電装置の場合に現れ得る。この場合、とりわけ、第1の風力発電装置が所定の運転状態にある、とりわけ所定の風向の場合に第2の風力発電装置の後方(下流)で風陰の状態(風が当たらないないし弱められた状態)にあるという現象が観察される。風陰の状態にある風力発電装置の場合、既知のエネルギ不足に加えて、振動も、前方(上流)の即ち第2の風力発電装置から、後方(下流)の即ち第1の風力発電装置に伝達されることがあり得、ないしは、該後方の風力発電装置において初めて引き起こされ得る。
【0010】
そのような影響の場合に問題となるのは、とりわけ、当該影響は稀にしか起こらず、従って調査研究(ないし試験)することが困難ないし不可能なことである。要するに、そのような上述の現象は、第1風力発電装置が第2風力発電装置の後方(下流)に位置するように風向が形成されている場合にのみ起こり得る。尤も、この場合も、そのような現象は原理的に生じないのではなく、寧ろ、例えば支配的(優勢)な風速又は場合によっては支配的(優勢)な風速の突風性のような更なる条件に依存する。
【0011】
なお、ドイツ特許商標庁は、本願の優先権の基礎出願において、以下の先行技術文献をサーチした:DE 10 2006 001 613 A1、DE 10 2008 009 740 A1、DE 10 2009 039 340 A1、DE 699 01 876 T2、US 2009/0200804 A1、WO 2007/089136 A2及びWO 2012/125842 A2。
【0012】
それゆえ、本発明の課題は、上記の問題の少なくとも1つに取り組むことである。とりわけ、可及的に単純かつ複雑でない方法態様で及び可及的に既に存在する調整装置(Regler)に影響を与えることなく上述の縦振動に対抗作用する方策の提案が望まれる。少なくとも、代替的な方策の提案が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に応じ、請求項1に記載の方法が提案される。
(形態1)上記の課題を解決するために、本発明の一視点により、
少なくとも1つの第1風力発電装置の運転方法が提供される。該運転方法は、以下の工程:
・タワー振動の検出、
・検出されるタワー振動が縦振動であるか又は縦振動を含み、該縦振動の振幅が予め設定される閾値を上回る場合、振動低減措置の開始
を含み、
前記振動低減措置は、
・第1出力特性曲線に基づく第1運転モードから、第2出力特性曲線に基づく第2運転モードへの、前記第1風力発電装置の運転の切り替え、但し、前記第1風力発電装置がウインドパークにおいて実際の風向に関し第2風力発電装置の後方に配置されている場合において該第1風力発電装置の運転を前記第1運転モードからの前記第2運転モードへの切り替えに際して、該第2風力発電装置はその運転モードを切り替えない、及び
・前記第1風力発電装置がウインドパークにおいて実際の風向に関し第2風力発電装置の後方に配置されている場合、該第1風力発電装置の回転数は、当該第1風力発電装置の回転数が少なくとも予め設定される差回転数だけ該第2風力発電装置の回転数と異なるよう、該第2風力発電装置の回転数に対して調整されること
の少なくとも1つを含む。
(形態2)上記の方法において、前記予め設定される差回転数は、少なくとも0.2回転/分であることが好ましい。
(形態3)上記の方法において、前記少なくとも1つの第1風力発電装置は、ピッチ制御されるか及び/又は回転数可変であることが好ましい。
(形態4)上記の方法において、前記第1及び第2出力特性曲線はそれぞれ回転数に依存して見込供給出力を提供し、該第2出力特性曲線の出力値は、その都度同じ回転数値において、該第1出力特性曲線の出力値よりも小さいことが好ましい。
(形態5)上記の方法において、前記第2出力特性曲線は、部分負荷領域から全負荷領域に移行する領域においてシフトされることが好ましい。
(形態6)風から電気的エネルギを生成するための風力発電装置であって、上記形態1〜5の何れかの方法によって運転される風力発電装置も有利に提供される。
(形態7)上記の風力発電装置において、第1風力発電装置は直流電流で励磁される同期発電機を使用し、該第1風力発電装置の励磁電流は予め設定される値だけ変化されることが好ましい。
(形態8)上記形態6又は7の風力発電装置を少なくとも1つ含むウインドパークも有利に提供される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
そのような方法は、少なくとも1つの第1風力発電装置の運転に少なくとも関する。第2風力発電装置又は更に追加の風力発電装置を考慮することは、有意(重要)であり得るが、更には具体的に発生する振動次第では、第2風力発電装置への依存は不可避ではない。更には、本発明の方法は、たとえ対処されるべき問題が場合によっては更なる風力発電装置によって初めて引き起こされる又は増大される場合であっても、少なくとも一実施形態に応じ、個別の風力発電装置においても実施することが可能である。有利には、提案に係る方法は、除去されることが必要な振動の具体的原因を確認しなくても、実施することができる。
【0015】
本発明の方法は、従って、まず、タワー振動を検出する。このタワー振動が縦振動であるか又は縦振動を含む場合において、該縦振動の振幅が予め設定される閾値を上回る(超過する)場合、振動低減措置が開始(起動)される。1つの可能性に応じ、縦振動の振幅のみが検査され、それに応じて1つの措置が開始される。この場合、検出された縦振動振幅を有するこの縦振動に横振動が更に重畳されているか否かについては、考慮に入れないでおく(無視する)ことができる。尤も、補充的に又は代替的に、横振動を考慮することも可能であるが、これは、場合によっては、(措置を)起動すべき閾値に影響を与える。閾値は、有利には、風力発電装置が振動によって過負荷されないように、設定される。
【0016】
振動低減措置としては、原理的に組み合わせることが可能な複数のバリエーションが提案される。振動低減措置については、単純化して、単に、「振動低減」と称されることもある。相応の措置にとって決定的に重要であるのは、当該措置が開始されることである。振動低減がその後実際に達成されたか及びどの程度達成されたかについての検査は、個々の場合において風力発電装置の運転時に現場で具体的に行わないことも可能である。その限りにおいて、措置は、有利には、尤もそれに限定されないが、制御(Steuerung、即ち、開ループ制御)措置に関する。
【0017】
振動低減措置の1つに応じ、予め設定される凍結(固定)期間の間、実際のピッチ角が実際の値に凍結(固定)される。従って、これはピッチ調整される風力発電装置が存在することを前提とする。そのような風力発電装置は、全く異なる(複数の)設定(値)に依存してピッチ角を調整する調整アルゴリズム(Regelungアルゴリズム、即ち閉ループ制御ないしフィードバック制御アルゴリズム)を備える。この調整アルゴリズムは、基本的に、風力発電装置の運転時には常時的に一緒に実行され、ピッチ角の常時的な追従制御を行うことができるが、それは所望されていることでもあり得る。例えば、(純然たる)調整アルゴリズムは常時的に目標値を設定するが、この目標値は個別のロータブレードのための又は場合によってはすべてのロータブレードのための1又は複数のピッチ駆動装置によって利用される。とりわけ、この目標値は、実際のピッチ角の凍結の際、一定値で設定される。この場合、ピッチング(ピッチ調整)のための調整アルゴリズムは、変化(変更)されることなく更に実行され、場合によっては常時的に新たなピッチ角目標値を計算する(求める)。尤も、この凍結期間中に調整アルゴリズムによって新たに計算される(求められる)このピッチ目標値は転送されない。勿論、内部の具体的手段は異なる態様で実行されることも可能である。
【0018】
場合によっては、ピッチ運動の短時間の停止が達成される。かくして、場合によってあり得る一旦生じた振動の周期(Aufschwingrhythmus)を遮断(阻止)することができる。大抵は、そのような短時間の遮断で十分であり、ピッチ角のための調整アルゴリズムは、その後、再び正常に実行されることができる。かくして、振動は終結され、ピッチ調整アルゴリズムそれ自体は‐及び風力発電装置の他の調整アルゴリズムも‐変化(変更)ないし適合化される必要はない。かくして、とりわけ、総合的調整コンセプトの安定性に持続的な影響も及ぼされない。
【0019】
この提案に係る措置は、そのような縦振動は比較的稀にしか発生せず、その発生についても大抵は非常に多くの条件が同時に生じる必要があるという知見にも基づいており、少なくともそのような知見を出発点としている。この場合、予め設定される凍結期間の経過後には、縦振動のそのような振動が発生する又は助長される状況は既に最早存在しない。この場合、短時間の凍結というこの措置は、大抵、一回限りの措置に止まることが可能であるが、場合によっては、直ちには(次の機会には)繰り返えされる必要はない。場合によっては、当該措置は、風力発電装置の耐用年数(寿命)中における一回限りの措置でさえもある。
【0020】
凍結期間は、比較的に短時間として選択されることができ、有利には、5秒〜1分の範囲、とりわけ10秒〜20秒の範囲、である。ピッチ角(調整)の凍結によるこの振動低減措置は、振動を一旦遮断すること、それによって、縦振動が通常最早振動せず、従って最早予め設定される閾値を上回らない新たな条件を生成することを目標とする。
【0021】
また、予め設定される閾値は、例えばタワー頂部における、タワーの振動の変位(行程)振幅であることが可能であり、或いは、最大の加速度であることも可能である。
【0022】
使用されるピッチ調整アルゴリズムを変更することが追加的に又は代替的に提案される。とりわけ、ピッチ調整は、原理的に、基本ピッチ調整アルゴリズム又は標準ピッチ調整アルゴリズムで実行される。縦振動が発生しかつ振幅が予め設定される閾値を上回る場合にのみ、ピッチ調整アルゴリズムは変更される。これのために、第2の代替的ピッチ調整アルゴリズムを記録させておくことも可能であり、或いは、調整アルゴリズムの時間パラメータのみが変化される。何れの場合でも、ピッチ調整アルゴリズムの変更は、調整速度が減少されるように実行することができる。例えば、調整時定数を10%だけ又は20%だけ増大することができる。そして、縦振動の振幅(の増大)が収まったとき及び/又は予め設定される時間の経過後、再び、当初のピッチ調整アルゴリズムに戻される。
【0023】
アジマス位置を予め設定されるアジマス角だけ調節することが代替的に又は補充的に提案される。そのような振動低減措置は、とりわけ、尤もそれに限定されないが、ウインドパーク内の風力発電装置のために提案される。この場合、風に関して第1風力発電装置の前方に(上流に)位置する第2風力発電装置は、風が後方に(下流に)位置する第1風力発電装置に振動を引き起こすよう、当該風に影響を与え得る。アジマス角即ちロータ軸の方向を僅かに(軽く)調節することにより、そのような第1発電装置の前方に位置する第2発電装置の影響を少なくとも変化させることができる。
【0024】
個別の(孤立の)風力発電装置の場合でも、アジマス位置を小さい値だけ変化することにより、引き起こされた大きな縦振動を再び低減することができる。なぜなら、例えば、風力発電装置の領域内のある種の障害物は、これは数百メートル離れていることもあり得るが、風のある種の不都合な流れを引き起こすところ、これは既に最小のアジマス位置調節によって緩和されるからである。
【0025】
有利には、アジマス角は、2°〜8°の範囲、とりわけ4°〜5°の範囲、で調節される。そのような小さい値によって、既にそのような振動を阻止することが可能であり、同時に、最早完全には最適に調節されていないアジマス角による場合によりその結果として生じる収益(発電量)の損失は僅かである。最適でないアジマス角に基づき減少される収益は、最適アジマス角からずれたこのアジマス角のコサイン(余弦)だけ減少されることに由来することができる。0の範囲、従って更には8°までの範囲のコサインは殆ど変化しないので、収益(発電量)減少も殆ど生じない。場合によっては、収益(発電量)減少は検出(認識)できない程度である。
【0026】
アジマス角は、縦振動が収まりかつその振幅が予め設定される閾値を大きく下回ると、最適な値に戻されることが可能であり、或いは、アジマス位置が再び元に戻されるまで、例えば1分間又は5分間の予め設定される待機時間を追加的又は代替的基準として考慮することができる。補充的に又は代替的に、アジマス位置は、風向が変わったとき、少なくとも少々変わったとき、公称値に調節されることができる。というのは、この場合、風向に依存する振動の原因も最早存在しないことが期待できるからであり、風力発電装置はそのアジマス角に関して再び正常に運転されることができる。この場合、この新たな公称アジマス角は、何れにせよ最早、風力発電装置が振動低減のために調節されたアジマス角ではない。アジマス角のそのような調整は、とりわけ、第1風力発電装置が正確に他の風力発電装置の風陰に位置する場合に提案される。
【0027】
第1風力発電装置の運転が第1運転モードから第2運転モードに切り替えられることが追加的に又は代替的に提案される。この場合、第1運転モードは第1出力特性曲線に基づき、第2運転モードは相応に第2出力特性曲線に基づく。この場合、出力特性曲線は出力と回転数の間の関係を規定するが、とりわけ、出力は回転数に依存して調整される。従って、出力は、回転数がそこでその値を維持するまで、特性曲線のその都度関連する値に調整される。運転モードの変更によるそのような変化(調整)は僅かなものであり得るが、最終的に縦振動に至ったはずの出発(初期)位置が変化されるよう、風力発電装置のパラメータを変化する。予め設定される時間の経過後、第1出力特性曲線に、とりわけ標準出力特性曲線に戻されることができる。出力特性曲線の変更により、例えば、回転数が何れにせよ僅かに変化して以前の値になることがあり得る。これは、縦振動の遮断のために十分であり得る。
【0028】
更なる又は代替的一実施形態に応じ、相互に、詳しくは風を介して、影響を及ぼし合う2つの風力発電装置を互いに対し調整することが提案される。この場合、第1風力発電装置即ち第2風力発電装置の風陰(風下)に位置する風力発電装置の回転数を第2風力発電装置の回転数に調整することが提案される。とりわけ、第1風力発電装置の回転数が少なくとも予め設定される差回転数だけ第2風力発電装置の回転数からずれるように調整することが提案される。
【0029】
この場合、第1風力発電装置の回転数は、有利には少なくとも0.2回転/分(rpm)だけ第2風力発電装置の回転数を上回るか又は下回る。更に有利には、第1風力発電装置の回転数は、少なくとも0.5回転/分だけ第2風力発電装置の回転数を上回るか又は下回る。かくして、とりわけ、これら2つの風力発電装置の非同期化が行われる。この場合、第1風力発電機と第2風力発電機の2つのロータは少なくとも僅かに異なる回転数で回転し、かくして、第2の即ち前方(上流)にある風力発電装置によって引き起こされるないし助長される第1風力発電装置の振動を回避ないし遮断することができる。
【0030】
両者の回転数を互いに対し具体的に調整するこの措置では、基本的には同一構造の2つの風力発電装置を前提とし得るが、そのような非同期化は複数の異なる(同一でない)風力発電装置に対しても提案され得る。尤も、より多くの場合、そのような措置は2つの同一の風力発電装置の場合に期待され得るであろう。なぜなら、異なる(同一でない)風力発電装置(複数)は、大抵、システム上の制約(条件)によりそれらの回転数も異なる(同一でない)からである。
【0031】
相応に、何れにせよこの措置に対して、有利には他の措置に対しても、回転数可変(可変速)の風力発電装置を使用することが提案される。そのような回転数可変(可変速)の風力発電装置は、とりわけ、交流を生成する同期発電機を使用することができる(なお、該交流は整流されたのち、インバータによってネット(電力系統)に供給される)。換言すれば、いわゆるフルインバータコンセプトを伴う回転数可変(可変速)の風力発電装置の使用は有利な一実施形態である。
【0032】
有利には、運転モードの切り替え即ち2つの出力特性曲線間での切り替えを提案する振動低減措置を使用する場合、隣接する風力発電装置が、とりわけ同一構造の場合、その出力特性曲線について切り替えが行われないようにする。かくして、2つの風力発電装置が相互に影響を与える場合、縦振動の低減のための提案に係る措置が両者に対して同じに実行され、振動低減措置が全く又は十分には効果を奏しないという結果に至ることが、目的通りに回避される。有利には、後方の(下流の)即ち第1の風力発電装置がより小さい、とりわけ低下された回転数(rpm)で運転されることが提案される。その限りにおいて、この場合、問題のある縦振動をも有する風力発電装置は、その出力特性曲線が変化されるないしはその回転数が変化されるであろう。
【0033】
有利には、全負荷運転時には、実際のピッチ角の凍結(固定)及び/又は使用されるピッチ調整アルゴリズムの変更が実行される。この場合、全負荷運転は、支配的な(優勢な)風速が定格風速である、生成出力(電力)が定格出力である及び/又は回転数がほぼ定格回転数である状況を表す。この全負荷運転においては、回転数を一定に維持するために、ピッチ角が、通常、利用される。従って、実際の回転数が目標回転数即ち大抵は定格回転数から僅かにずれている場合、ピッチ角の調整によって対抗制御ないし対抗調整(補償)することが試みられる。まさにこれによって発生する縦振動は、ピッチ角の凍結(固定)及び/又は変化されるピッチアルゴリズムの変更(切り替え)によって低減ないし除去されることになっており、従って、全負荷運転時にはこの措置が提案される。
【0034】
追加的に又は代替的に、部分負荷運転時には、アジマス位置の調節、第1風力発電装置の運転の切り替え及び/又は第1風力発電装置の回転数の変化が実行される。部分負荷運転は、支配的な(優勢な)風速が定格風速未満であるときに存在する。そのような部分負荷運転においては、ピッチ角は一定の値に設定されることができる。従って、ピッチ角の凍結(固定)ないしピッチアルゴリズム(この場合効果を奏しない)の変更(切り替え)は殆ど意味をなさないが、他方では、他の回転数に調整可能であり及び/又は他の出力特性曲線を選択可能である。この部分負荷運転においては、具体的回転数及び具体的出力は夫々支配的(優勢な)風(風速)に依存し、当該風(風速)と共に常時的に変化する。この場合、この常時的回転数及び/又は出力変化が考慮され、従って、運転の切替え及び/又は回転数の変化が提案される。
【0035】
この場合、アジマス位置の調節は、風がより弱い場合にはなおさら、重要でもあり得る。尤も、アジマス位置の調節は、全負荷運転時にも実行することができる。
【0036】
有利には、出力特性曲線のシフト、とりわけ部分負荷領域から全負荷領域に移行する領域における第2出力特性曲線のシフトが提案される。かくして、まさに移行領域においても、提案に係る措置の幾つかが全く又は良好には効果を奏しないとき、この領域における特性曲線のこのシフトによって、改善されたないし付加的な介入措置(Eingriff)の可能性を提供することができる。
【0037】
更に、風から電気的エネルギを生成するための風力発電装置であって、上記の実施形態の少なくとも1つに応じた方法を使用する風力発電装置が提案される。
【0038】
有利には、そのような風力発電装置は、振動低減のために予め設定される値即ち予め設定される励磁電流値だけ変化される直流電流で励磁される同期発電機を有する。励磁電流の変化従って同期発電機の励磁の変化によって、同期発電機は、同じ回転数で、対応してより大きい又はより小さい出力(電力)を生成することができる。尤も、これによって、ロータの回転に対し対抗作用するトルクの増大も現れる。かくして、ロータの回転数は減少されることができ、或いは、励磁が低減される場合は、回転数は増加されることができる。励磁を介したこの介入措置(Eingriff)は、他のタイプの装置ではそのようには又はそれほど良好には代替されることができない有利な一実施形態である。かくして、直流電流励磁を伴う同期発電機を有するそのような風力発電装置が有利に提案される。
【0039】
更に、少なくとも1つの風力発電装置を有する、とりわけ上記の実施形態の何れか1つに応じて構成される及び/又は上記の実施形態の少なくとも1つに応じた方法によって運転される少なくとも1つの有利には少なくとも2つの風力発電装置を有するウインドパークが提案される。
【0040】
以下の態様も可能である。
(態様1)少なくとも1つの第1風力発電装置の運転方法であって、以下の工程:
・タワー振動の検出、
・検出されるタワー振動が縦振動であるか又は縦振動を含み、該縦振動の振幅が予め設定される閾値を上回る場合、振動低減措置の開始
を含み、
前記振動低減措置は、
・予め設定される凍結期間の間における、実際のピッチ角の実際の値への凍結、
・とりわけ調整速度が減少されるよう、使用されるピッチ調整アルゴリズムの変更、
・予め設定されるアジマス角だけの、アジマス位置の調節、
・第1出力特性曲線に基づく第1運転モードから、第2出力特性曲線に基づく第2運転モードへの、前記第1風力発電装置の運転の切り替え、及び/又は
・前記第1風力発電装置がウインドパークにおいて実際の風向に関し第2風力発電装置の後方に配置されている場合、該第1風力発電装置の回転数は、当該第1風力発電装置の回転数が少なくとも予め設定される差回転数だけ該第2風力発電装置の回転数と異なるよう、該第2風力発電装置の回転数に対して調整されることを含む。
(態様2)上記の方法において、前記予め設定される凍結期間は、5秒〜1分の範囲、とりわけ10秒〜20秒の範囲、であることが好ましい。
(態様3)上記の方法において、前記予め設定されるアジマス角は、2°〜8°の範囲、とりわけ4°〜5°の範囲、にあることが好ましい。
(態様4)上記の方法において、前記予め設定される差回転数は、少なくとも0.2回転/分、とりわけ少なくとも0.5回転/分、であることが好ましい。
(態様5)上記の方法において、前記少なくとも1つの第1風力発電装置は、ピッチ制御されるか及び/又は回転数可変であることが好ましい。
(態様6)上記の方法において、前記第1及び第2出力特性曲線はそれぞれ回転数に依存して見込供給出力を提供し、該第2出力特性曲線の出力値は、その都度同じ回転数値で、該第1出力特性曲線の出力値よりも小さいことが好ましい。
(態様7)上記の方法において、前記第1風力発電装置がウインドパークにおいて実際の風向に関し第2風力発電装置の後方に配置されている場合において該第1風力発電装置の運転を前記第1運転モードからの前記第2運転モードへの切り替えに際して、該第2風力発電装置はその運転モードを切り替えないこと、とりわけ前記第1風力発電装置の第1出力特性曲線は公称出力特性曲線及び/又は最適出力特性曲線に相応し、第2風力発電装置は公称及び/又は最適出力特性曲線を有する運転モードで運転されることが好ましい。
(態様8)上記の方法において、
・前記実際のピッチ角の凍結及び/又は前記使用されるピッチ制御アルゴリズムの変更は、全負荷運転時に、即ち支配的な風速が定格風速であるか又はそれを越えているときに、実行されること
及び/又は
・前記アジマス位置の調節、前記第1風力発電装置の運転の切り替え及び/又は前記第1風力発電装置の回転数の変更は、部分負荷運転時に、即ち、支配的な風速が定格風速未満であるときに、実行されることが好ましい。
(態様9)上記の方法において、前記第2出力特性曲線は、部分負荷領域から全負荷領域に移行する領域においてシフトされることが好ましい。
(態様10)風から電気的エネルギを生成するための風力発電装置であって、上記態様1〜9の何れかの方法によって運転される風力発電装置も有利に提供される。
(態様11)上記態様10の風力発電装置において、第1風力発電装置は直流電流で励磁される同期発電機を使用し、該第1風力発電装置の励磁電流は予め設定される値だけ変化されること、有利には2〜8%だけ増加または減少されること、とりわけ4〜5%だけ増加または減少されることが好ましい。
(態様12)上記態様10又は11の風力発電装置を少なくとも1つ含むウインドパークも有利に提供される。
以下に、本発明の実施例を例示的に添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、特許請求の範囲に付した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものであり、本発明を図示の態様に限定することは意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】風力発電装置の一例の斜視図。
図2】本発明による振動低減を説明するための単純化したフローチャートの一例。
図3】影響の一例を説明するための2つの風力発電装置の模式的平面図。
【実施例】
【0042】
図1は、タワー102とナセル(ゴンドラ)104とを有する風力発電装置100の一例を示す。ナセル104には、3つのロータブレード108とスピナ110とを有するロータ106が配されている。ロータ106は、運転時、風によって回転運動を行い、それによって、ナセル104内の発電機を駆動する。
【0043】
図2は、測定ブロック4からスタートする単純化したフローチャート2の一例を示す。測定ブロック4では、縦振動が、例えばタワー頂部の相応の加速度センサ(複数)によって測定可能な加速度振幅から、検出される。検出された縦振動は、測定ブロック4において、文字Sで表される。
【0044】
この検出されたSの値は、継続的に、超過検査ブロック6と称することも可能な第1検査ブロック6において、この例ではSmaxと称される予め設定される閾値と比較される。場合によってあり得る横振動の検出は、図2の実施例では考慮されない。
【0045】
第1検査ブロック6において、検出された縦振動Sが予め設定される閾値Smaxより大きくないこと(N)が確認されると、それ以上は何も行われず、方法は、論理的に、測定ブロック4の縦振動測定Sに戻る。
【0046】
他方、第1検査ブロック6において、縦振動Sがあらかじめ設定される閾値Smaxを上回ること(Y)が確認されると、振動低減ブロック8において、図2ではS−Redとして象徴的に示されている振動低減が実行される。図2に示されたこの振動低減措置は、1又は複数の措置に関係し得る。当該措置は、ピッチ角の凍結(固定)、ピッチ調整アルゴリズムの変更、アジマス位置の調節、第1風力発電装置の運転の第1運転モードから第2運転モードへの切り替え及び/又は隣接する第2風力発電装置の回転数の調整に関係し得る。
【0047】
これらの振動低減措置の少なくとも1つが実行又は開始されたのち、待機ブロックと称することも可能な停止ブロック10において、予め設定される待機時間Tの経過を待つ。その後、正常化検査ブロック12と称することも可能な第2検査ブロック12において、検出された縦振動Sが現在予め設定される閾値Smax未満であるか否かが検査される。この場合、第1検査ブロック6の基礎(基本的要素)にもなっている予め設定される閾値Smaxの代わりに、より小さい他の値、例えば正常化閾値S、を使用することも可能である。フローチャート2では、測定ブロック4は図示のフローの出発点に位置するものとして示されてはいるが、振動の振幅は常時的に検出されるのであり、従って、象徴的に示された待機ブロック10に応じた待機時間の間においても、引き続き検出される。従って、第2検査ブロック12における検査の際には、縦振動Sの実際の値が存在する(与えられる)。これについては、測定ブロック4から第2検査ブロック12に至る矢印付きの破線で示されている。
【0048】
縦振動Sがその振幅に関し正常化閾値S未満に低下していないこと(N)を第2検査ブロック12が確認すると、ブロック8に応じた振動低減措置は差し当たり維持される。これに応じて、フローは第2検査ブロック12から振動低減ブロック8に戻る。
【0049】
他方、振動の振幅が正常化閾値Sより小さい場合(Y)、フローは正常化ブロック14に進む。そして、正常化ブロック14は、図では具体的な理解のためにNormという記号で象徴的に示されているが、振動低減ブロック8で開始された措置(単数)ないし当該ブロックで開始された複数の措置を終了させる。そして、フローは、測定ブロック4によって象徴的に示されているその出発点に戻る。
【0050】
図3は、第1風力発電装置31及び第2風力発電装置32の一例の模式的平面図である。この限りでは、これら2つの風力発電装置は、ウインドパーク34を構成しているということができるが、ウインドパーク34の多数の風力発電装置の少なくとも2つを表しているということもできる。
【0051】
図3は、風36ないし風向36が、この方向36から見て第1風力発電装置31が第2風力発電装置32の真後ろで運転されるよう、第2風力発電装置32に向けられている極めて具体的な(特殊な)状況の一例を示している。
【0052】
具体的理解のために極めて模式的に、破線で描かれた2つの渦巻線38が概略的に示されているが、これらは、第2風力発電装置32に流入する風36が当該第2風力発電装置32によって変化され、第1風力発電装置31に向かう更なる進路を進む様子を説明するものである。尤も、現実的には、非常に多くの渦が発生するであろう。従って、これらの渦巻線38は、本質的に、第1風力発電装置31が第2風力発電装置32の風陰(風下)にあることだけではなく、風の流れの質ないし態様が第2風力発電装置32によって変化され、そして、相応に変化されて第1風力発電装置31に到達することを分かりやすく説明するものである。
【0053】
このようにして、振動が第1風力発電装置31において引き起こされること又は増大されることがあり得る。縦振動40は、第1風力発電装置31の近くの両方向矢印によって表されている。
【0054】
第1風力発電装置31は、図3では、旋回された第1風力発電装置41として追加的に破線で示されている。この旋回も、即ちアジマス位置ないしアジマス方向についての旋回ないし調節も、具体的理解のためにのみ利用されている。実際に図示されている角度は比較的大きいが、実用上は、大抵、より小さく調整されるであろう。とりわけ理解の容易化のために記載された渦巻線38を考慮すると、第2風力発電装置32によって変化された風がアジマス位置に関して変化された風力発電装置41に全く異なる態様で到達することが、破線で示された旋回された風力発電装置41によって明確に示されているというべきである。とりわけ、場合によって生じる渦(複数)が風力発電装置に種々異なる時点で到達する。このことは、一方の渦巻線が破線で示された第1のロータブレード42により早く到達し、他方、破線で示された第2のロータブレード44は変化された風によってより遅くに到達されること(これについては対応する渦巻線38までの距離によって明確に理解されるべきものである)によって具体的に理解されるべきものである。念のために指摘しておくが、図3は、第1風力発電装置31及び第2風力発電装置32の各々に対しそれぞれ2つのロータブレードしか記載していないが、図1にも示されているように、好ましい一実施例では、風力発電装置は3つのロータブレードを有する。
【0055】
かくして本発明に応じて、風力発電装置の非常に大きな縦振動の低減、回避又は遮断又は停止のための措置が提案されるが、これは、本質的に、風力発電装置の運転挙動の短時間の変化(変更)を提案するという解決策(アプローチ)に基づいており、この場合、そのような措置が首尾よく終了した後、関連する風力発電装置は再びその以前の運転モードに復帰することが可能であり、ないしは、正常に更なる運転がなされる。これは、例えばスチール製タワーのタワー頂部における400〜500mmの振動変位(行程)の範囲にあり得る及びコンクリート製タワーのタワー頂部における40〜50mmの振動変位(行程)の範囲にあり得る縦振動の閾値(複数)に基づいて行うことができる。支配的(優勢)な風速に関し、複数の風力発電装置が正確に相前後して(一列に)配置されている場合に、特殊な問題が認識されていた。1つの可能性(解決策)は、風力発電装置に使用される同期発電機の励磁を増大することである。これは、励磁電流の増加によって実行することができ、或いは、発電機に無効電力成分を供給することによっても(これも励磁増大の効果を有することができる)実行することができる。
図1
図2
図3