(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134007
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】燃料案内要素と燃料噴射弁と結合要素とを備えた燃料噴射装置
(51)【国際特許分類】
F02M 61/14 20060101AFI20170515BHJP
F02M 61/16 20060101ALI20170515BHJP
F02M 55/02 20060101ALI20170515BHJP
F16B 7/00 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
F02M61/14 320G
F02M61/14 320Z
F02M61/16 X
F02M55/02 330B
F02M55/02 350H
F16B7/00 A
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-552087(P2015-552087)
(86)(22)【出願日】2014年1月14日
(65)【公表番号】特表2016-504525(P2016-504525A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】EP2014050561
(87)【国際公開番号】WO2014111367
(87)【国際公開日】20140724
【審査請求日】2015年7月14日
(31)【優先権主張番号】102013200728.0
(32)【優先日】2013年1月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】クノルプ,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】リーマー,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ホルスト,ハンス・ゲオルグ
(72)【発明者】
【氏名】グレイザー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ログラー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】レーヴァルド,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】シェフ,フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】ラインハルト,ヴィルヘルム
【審査官】
安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−120516(JP,A)
【文献】
特開2006−161727(JP,A)
【文献】
特表2010−501055(JP,A)
【文献】
特開2001−241584(JP,A)
【文献】
実開昭61−164881(JP,U)
【文献】
米国特許第4537427(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0053409(US,A1)
【文献】
特表2008−531918(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01262652(EP,A1)
【文献】
特表2015−514903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 55/02
F02M 61/14
F02M 61/16
F16B 7/00
F16L 37/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料噴射弁を燃料案内要素と結合させるための燃料噴射装置(1)用結合要素(2)であって、前記燃料噴射弁の燃料用接続部材(3)を少なくとも部分的に挿入可能な受容空間(15)を備えた本体(4)が設けられ、前記受容空間(15)を取り囲んでいる前記本体(4)の壁(21)に、少なくとも1つの繰り抜き部(17〜20)が形成され、前記燃料用接続部材(3)を前記本体(4)に固定するために少なくとも部分的に前記繰り抜き部(17〜20)を通じて前記受容空間(15)に挿入可能な固定要素(5)が設けられている前記結合要素において、
少なくとも1つの弾性支持要素(27〜30;27’)が設けられていること、前記繰り抜き部(17〜20)を通じて前記受容空間(15)に部分的に挿入される前記固定要素(5)が、前記弾性支持要素(27〜30;27’)を介して前記本体(4)の前記壁(21)で支持されていることを特徴とする結合要素。
【請求項2】
前記弾性支持要素(27〜30)が、前記本体(4)の前記壁(21)に設けられている前記繰り抜き部(17〜20)に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の結合要素。
【請求項3】
前記本体(4)の前記壁(21)に設けられている前記繰り抜き部(17〜20)が、前記壁(21)の外面(26)から前記受容空間(15)内へ延在している孔(17〜20)によって形成されていること、前記弾性支持要素(27〜30)がスリーブ状の弾性支持要素(27〜30)として構成されていること、前記スリーブ状の支持要素(27〜30)が少なくとも前記孔(17〜20)に沿って前記壁(21)を貫通して延在していることを特徴とする、請求項2に記載の結合要素。
【請求項4】
前記スリーブ状の支持要素(27〜30)が、前記孔(17〜20)に沿ってのみ前記壁(21)を貫通して延在していることを特徴とする、請求項3に記載の結合要素。
【請求項5】
前記固定要素(5)が少なくとも1つの棒状アーム(6)を有していること、前記本体(4)の前記壁(21)に第2の繰り抜き部(18)が設けられ、該第2の繰り抜き部が第2の孔(18)によって形成されていること、前記第2の孔(18)が前記壁(21)の外面(26)から前記受容空間(15)内へ延在していること、前記孔(17)と前記第2の孔(18)とが前記固定要素(5)の前記棒状アーム(6)のための共通の挿入軸線(22)上にあること、前記第2の孔(18)に沿って前記壁(21)を貫通して延在するスリーブ状の第2の弾性支持要素(28)が設けられていること、前記固定要素(5)の前記棒状アーム(6)が前記共通の挿入軸線(22)に沿って前記孔(17)と前記第2の孔(18)とを貫通して案内可能であること、前記孔(17)と前記第2の孔(18)とを貫通して案内される前記固定要素(5)の前記棒状アーム(6)が、前記弾性支持要素(27)と前記第2の弾性支持要素(28)とを介して前記本体(4)の前記壁(21)で支持されていることを特徴とする、請求項3または4に記載の結合要素。
【請求項6】
前記固定要素(5)が他の棒状アーム(7)を有していること、前記本体(4)の前記壁(21)に、第3の孔(19)によって形成される第3の繰り抜き部(19)と、第4の孔(20)によって形成される第4の繰り抜き部(20)とが設けられていること、前記第3の孔(19)と前記第4の孔(20)とが前記壁(21)の外面(26)から前記受容空間(15)内へ延在していること、前記第3の孔(19)と前記第4の孔(20)とが前記固定要素(5)の前記他の棒状アーム(7)のための共通の他の挿入軸線(23)上にあること、前記第3の孔(19)に沿って前記壁(21)を貫通して延在するスリーブ状の第3の弾性支持要素(29)と、前記第4の孔(20)に沿って前記壁(21)を貫通して延在するスリーブ状の第4の弾性支持要素(30)とが設けられていること、前記固定要素(5)の前記他の棒状アーム(7)が前記他の共通の挿入軸線(23)に沿って前記第3の孔(19)と前記第4の孔(20)とを貫通して案内可能であること、前記第3の孔(19)と前記第4の孔(20)とを貫通して案内される前記固定要素(5)が、前記第3の弾性支持要素(29)と前記第4の弾性支持要素(30)とを介して前記本体(4)の前記壁(21)で支持されていることを特徴とする、請求項5に記載の結合要素。
【請求項7】
前記固定要素(5)がU字状の固定要素(5)として構成されていること、および/または、前記挿入軸線(22)と前記他の挿入軸線(23)とが互いに少なくともほぼ平行に方向づけられていること、および/または、前記挿入軸線(22)が前記受容空間(15)の軸線(9)に対し少なくともほぼ垂直に方向づけられていること、および/または、前記他の挿入軸線(23)が前記受容空間(15)の軸線(9)に対し少なくともほぼ垂直に方向づけられていることを特徴とする、請求項6に記載の結合要素。
【請求項8】
前記固定要素(5)が少なくとも部分的に金属材料から形成され、少なくとも前記棒状アーム(6)と前記他の棒状アーム(7)とが金属材料から形成されていることを特徴とする、請求項6または7に記載の結合要素。
【請求項9】
前記弾性支持要素(27’)が前記本体(4)の前記壁(21)の内面(35)に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の結合要素。
【請求項10】
前記本体(4)が開口部(16)を有し、該開口部を介して前記燃料用接続部材(3)を前記受容空間(15)内へ案内可能であること、前記本体(4)の前記壁(21)が、前記開口部(16)を取り囲むリング状端面(36)を有していること、前記弾性支持要素(27’)が前記壁(21)の外面(26)から前記壁(21)の前記端面(36)を経て前記壁(21)の前記内面(35)へ延在していることを特徴とする、請求項9に記載の結合要素。
【請求項11】
前記弾性支持要素(27’)が前記壁(21)の前記内面(35)を経て延在していることを特徴とする、請求項9または10に記載の結合要素。
【請求項12】
少なくとも1つの燃料案内要素と、少なくとも1つの燃料噴射弁と、請求項1から11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの結合要素(2)とを備えた、混合気圧縮型火花点火式内燃機関のための燃料噴射装置(1)において、前記燃料噴射弁の前記燃料用接続部材(3)が前記結合要素(2)を介して前記燃料案内要素と結合されている燃料噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料噴射弁を燃料案内要素と結合させるための燃料噴射装置用結合要素、および、このような結合要素を備えた燃料噴射装置に関するものである。特に本発明は、混合気圧縮型火花点火式内燃機関のための燃料噴射装置の分野に関わる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、遮音構成を特徴としている燃料噴射装置が知られている。この公知の燃料噴射装置は、燃料噴射弁と、シリンダヘッド内で燃料噴射弁を受容するための受容孔と、接続部材を備えた燃料分配管とを含み、接続部材には燃料噴射弁が部分的にオーバーラップして挿入されている。1つの可能な構成では、結合体が設けられ、結合体は、一方ではハウジング肩部の領域で燃料噴射弁の保持カラーと係合し、他方では非溶着結合部(たとえばスナップコネクタ)を介して接続部材と結合されている。結合体は管状に実施されており、燃料噴射弁の電気接続プラグを貫通させるために繰り抜き部を有している。この繰り抜き部の外側に結合体が360゜周回して延在するように実施されていてよい。ハウジング肩部において燃料噴射弁は結合体の保持カラーと係合し、その結果燃料噴射弁は、受容孔の、半径方向に延在している肩部に対し、間隔をもって自由に吊設されている。結合体は、その接続部材側端部に、周方向に見て対向しあっている2つのスリットを有し、これらのスリットはたとえばほぼ90゜の繰り抜き部を有している。これらのスリットに湾曲状の、U字状のスナップリングを貫通させる。さらにスナップリングは、結合体のスリットの周領域で、接続部材の周に設けた2つのスリット状の溝に係合して、結合体を燃料分配管で確実に固定させる。さらに押さえ部材が設けられている。
【0003】
前記特許文献1から公知の燃料噴射装置の構成には、結合体とスナップリングとを介して燃料噴射弁の振動が接続部材に伝わるという欠点がある。さらに構成が構造的に複雑であり、結合体のレバーアームが長いために比較的不安定である。このことは組立性に対しても好ましくない影響を及ぼす。
【0004】
特に、直噴式オットーエンジンで使用できる電磁高圧噴射弁の場合、エンジンの全騒音にかなりの悪影響を与えることがあり、これはバルブチッカーと呼ばれる。このようなバルブチッカーは、弁ニードルが大きな動特性でもってそれぞれのエンドストッパーへ調整されるような燃料噴射弁の高速開閉によって生じる。弁ニードルがエンドストッパーに衝突すると、短時間ながら非常に大きな接触力が発生し、燃料噴射弁のハウジングを介してシリンダヘッドおよび燃料ディストリビュータレールへ固体伝送音および振動として伝達される。このため、特に燃料ディストリビュータレールに大きな騒音が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102005020380A1号明細書
【発明の概要】
【0006】
請求項1の構成を備えた本発明による結合要素と、請求項12の構成を備えた本発明による燃料噴射装置には、燃料噴射弁と燃料案内要素との結合を改善でき、騒音低減が可能という利点がある。特に、燃料案内要素への燃料噴射弁の柔軟な結合を達成できる。
【0007】
従属請求項に記載された処置により、請求項1に記載した結合要素および請求項12に記載した燃料噴射装置の有利な更なる構成が可能である。
【0008】
特に、結合要素と燃料噴射装置とはガソリンの直噴に適している。この場合燃料案内要素は、好ましくは燃料分配器、特に燃料ディストリビュータレールとして形成されている。このような燃料分配器は一方では燃料を複数の燃料噴射弁、特に高圧噴射弁へ分配することに用いることができる。他方では、燃料分配器は複数の燃料噴射弁用の共通の燃料貯留器として用いることができる。この場合、燃料噴射弁は適当な結合要素を介して燃料分配器と結合されている。作動中に燃料噴射弁は燃焼過程に必要な燃料をこの場合には高圧でそれぞれの燃焼空間内へ噴射する。その際燃料は高圧ポンプを介して圧縮され且つ量を制御されて、高圧管を介して燃料分配器内へ搬送される。
【0009】
燃料噴射弁、特に燃料用接続部材は、本発明による結合要素の構成部材ではない。さらに、燃料案内要素は本発明による結合要素の必須構成部材ではない。しかしながら、使用例によっては、結合要素は燃料案内要素の構成部材であってよく、場合によってはこれに組み込まれていてよい。本発明による結合要素は、燃料噴射弁とは別個に、および、場合によっては燃料案内要素とは別個に製造され、作動させることもできる。
【0010】
有利な態様では、弾性支持要素は、本体の壁に設けられている繰り抜き部に配置されている。しかし、この場合、弾性支持要素は壁の外側に、特に受容空間の領域に設けられていてもよい。しかしながら、弾性支持要素が少なくとも実質的に、本体の壁に設けられている繰り抜き部だけに配置されているのが有利である。
【0011】
この場合、本体の壁に設けられている繰り抜き部が、壁の外面から受容空間内へ延在している孔によって形成されていること、弾性支持要素がスリーブ状の弾性支持要素として構成されていること、スリーブ状の支持要素が少なくとも孔に沿って壁を貫通して延在していることも有利である。この場合、好ましくは、スリーブ状の支持要素は、少なくとも実質的に、孔に沿ってのみ壁を貫通して延在し、その結果スリーブ状の支持要素は実質的に孔の領域にのみ設けられている。これにより、本体内での固定要素の弾性支持が可能になる。これによって燃料噴射弁の柔軟な懸架が実現される。この場合、支持要素に対しては、材料の選択によって所望の弾性を予め設定することができる。このようにして、1つまたは複数の弾性支持要素により、本体での固定要素の支持を実現することができる。弾性支持要素は特にプラスチックから形成されていてよい。
【0012】
固定要素が少なくとも1つの棒状アームを有していること、本体の壁に第2の繰り抜き部が設けられ、該第2の繰り抜き部が第2の孔によって形成されていること、第2の孔が壁の外面から受容空間内へ延在していること、孔と第2の孔とが固定要素の棒状アームのための共通の挿入軸線上にあること、第2の孔に沿って壁を貫通して延在するスリーブ状の第2の弾性支持要素が設けられていること、固定要素の棒状アームが共通の挿入軸線に沿って孔と第2の孔とを貫通して案内可能であること、第1の孔と第2の孔とを貫通して案内される固定要素の棒状アームが、弾性支持要素と第2の弾性支持要素とを介して本体の壁で支持されていることが有利である。組立の際には、まず燃料用接続部材を本体の受容空間内に挿入することができる。次に、固定要素をその棒状アームでもって共通の挿入軸線に沿って本体内へ挿入することができる。このようにして、燃料噴射弁の柔軟な懸架を簡単に得ることができる。
【0013】
この場合、さらに、固定要素が他の棒状アームを有していること、本体の壁に、第3の孔によって形成される第3の繰り抜き部と、第4の孔によって形成される第4の繰り抜き部とが設けられていること、第3の孔と第4の孔とが壁の外面から受容空間内へ延在していること、第3の孔と第4の孔とが固定要素の他の棒状アームのための共通の他の挿入軸線上にあること、第3の孔に沿って壁を貫通して延在するスリーブ状の第3の弾性支持要素と、第4の孔に沿って壁を貫通して延在するスリーブ状の第4の弾性支持要素とが設けられていること、固定要素の他の棒状アームが前記他の共通の挿入軸線に沿って第3の孔と第4の孔とを貫通して案内可能であること、第3の孔と第4の孔とを貫通して案内される固定要素が、第3の弾性支持要素と第4の弾性支持要素とを介して本体の壁で支持されていることが有利である。この場合、固定要素は特にU字状の固定要素として構成されていてよい。その際、固定要素は金属材料から形成されていてよい。好ましくは、少なくとも固定要素の棒状のアームはこのような金属材料から形成されている。固定要素の挿入を容易にするため、挿入軸線と他の挿入軸線とが互いに少なくともほぼ平行に方向づけられているのが有利である。しかしながらこの場合、両アームを開くように曲げること或いは一緒に曲げることによってU字状の固定要素をある程度緊張させることも必要な場合がある。このとき組立状態である程度の緊張が得られ、たとえば紛失阻止機能を保証する。
【0014】
挿入軸線と他の挿入軸線とは好ましくは受容空間の軸線に対し垂直に方向づけられている。これにより、燃料噴射弁を本体で固定する場合、横力の発生を回避することができる。
【0015】
他の構成では、弾性支持要素は本体の壁の内面に設けられていることが考えられる。この場合、好ましくは、本体は開口部を有し、該開口部を介して燃料用接続部材を受容空間内へ案内可能であり、本体の壁は、開口部を取り囲むリング状端面を有し、弾性支持要素は壁の外面から壁の端面を経て壁の内面へ延在している。たとえば、弾性支持要素をリング状端面の領域で本体にクリップ留めしてよい。これは、コスト上好ましい構成と簡単な組立性とを可能にする。この場合、弾性支持要素は好ましくは壁の内面を経て広範囲に延在している。これにより、各面にわたる柔軟な支持が可能となる。
【0016】
本発明の有利な実施形態を、対応する要素に同一の参照符号を付した添付の図面を参照して以下の説明で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態に対応する、結合要素と燃料噴射弁の燃料用接続部材とを備えた燃料噴射装置の部分立体図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に対応する、
図1に図示した燃料噴射装置の結合要素の部分断面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に対応する、燃料噴射弁の燃料用接続部材と結合要素とを備えた燃料噴射装置の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、第1実施形態に対応する、結合要素2と燃料噴射弁の燃料用接続部材3とを備えた燃料噴射装置1の部分立体図である。燃料噴射装置1は特に内燃機関において高圧噴射のために用いることができる。とりわけ、燃料噴射装置1は混合気圧縮型火花点火式内燃機関において使用できる。結合要素2は特にこの種の燃料噴射装置1に適している。
【0019】
燃料噴射装置1は、適当数量の燃料噴射弁の複数の燃料用接続部材3を結合させるために、好ましくは複数のこのような結合要素2を有している。これにより、燃料噴射装置1は内燃機関において高圧噴射用の燃料噴射装置1として構成されていてよく、高圧にある燃料を複数の燃料噴射弁に配分させることができる。
【0020】
この実施形態では、燃料用接続部材3は接続スリーブ3として構成されている。結合要素2は本体4と固定要素5とを有している。燃料用接続部材3は固定要素5を介して本体4と結合されている。この場合、燃料用接続部材3と本体4との間のダイレクトな接触は回避されている。
【0021】
固定要素5は、棒状アーム6と他の棒状アーム7とを有している。固定要素5はさらに湾曲部分8を有し、この湾曲部分を介して棒状アーム6,7が互いに結合されている。固定要素5はたとえば金属材料から形成されていてよい。
【0022】
次に、燃料噴射装置1および結合要素2の構成を
図2も参照してさらに説明する。
【0023】
図2は、第1の実施形態に対応する、
図1に図示した燃料噴射装置1の結合要素2の部分断面図である。なお、図示を簡単にするために燃料用接続部材3は示していない。断面は、燃料噴射弁の燃料用接続部材3の軸線9に対し垂直に選定したものである。
【0024】
本体4は受容空間15を有している。組立の際、燃料用接続部材3は本体4の開口部16を介して少なくとも部分的に受容空間15内へ挿入される。本体は第1の繰り抜き部17と、第2の繰り抜き部18と、第3の繰り抜き部19と、第4の繰り抜き部20とを有している。これらの繰り抜き部17ないし20は本体4の壁21に形成されている。この実施形態では、第1の繰り抜き部17は第1の孔17によって形成されている。第2の繰り抜き部18は第2の孔18によって形成されている。第3の繰り抜き部19は第3の孔19によって形成されている。第4の繰り抜き部20は第4の孔20によって形成されている。第1の孔17と第2の孔18とは共通の軸線22上にある。第3の孔19と第4の孔20とは他の共通の軸線23上にある。
【0025】
固定要素5の組立の際、固定要素5はその棒状アーム6,7でもって繰り抜き部17ないし20を貫通するように案内されて、棒状アーム6の端部24と他の棒状アーム7の端部25とは本体4からいくぶん突出する。このとき棒状アーム6,7は受容空間15を貫通して延在する。
【0026】
この実施形態では、軸線22,23は互いに平行に方向づけられている。さらに、軸線22,23は燃料用接続部材3の軸線9に対し垂直に方向づけられている。なお、軸線9は本体4の受容空間15の軸線9と一致している。
【0027】
繰り抜き部17ないし20または孔17ないし20は本体4の壁21の外面26から受容空間15内へ延在している。従って穴17ないし20は貫通孔17ないし20として構成されている。
【0028】
この実施形態では、第1の孔17にスリーブ状の第1の弾性支持要素27が配置されている。第2の孔18にはスリーブ状の第2の弾性支持要素28が配置されている。第3の孔19にはスリーブ状の第3の弾性支持要素29が配置されている。第4の孔20にはスリーブ状の第4の弾性支持要素30が配置されている。この場合、第1の支持要素27と第2の支持要素28とは共通の軸線22上に配置されている。第3の支持要素29と第4の支持要素30とは共通の軸線23上に配置されている。この実施形態では、スリーブ状の第1の支持要素27とスリーブ状の第2の支持要素28とは、第1の孔17の領域または第2の孔18の領域でのみ共通の軸線22に沿って延在している。さらに、スリーブ状の第3の支持要素29とスリーブ状の第4の支持要素30とは、第3の孔19の領域または第4の孔20の領域でのみ共通の軸線23に沿って延在している。それ故、支持要素27ないし30は一方では受容空間115内へ少なくとも著しく突出しておらず、他方では外面26を越えて少なくとも著しく突出していない。
【0029】
組立にとっては、共通の軸線22は第1の棒状アーム6のための共通の挿入軸線22である。組立の際、他の共通の軸線23は他の棒状アーム7のための他の共通の挿入軸線23である。従って、挿入によって固定要素5を本体4に簡単に取り付けることができる。
【0030】
このように、本体4に燃料用接続部材3を固定するための固定要素5は、繰り抜き部17ないし20を通じて受容空間15内へ挿入可能である。組立状態では、繰り抜き部17ないし20を通じて受容空間15内へ部分的に挿入される固定要素は、弾性支持要素27ないし30を介して、本体4での燃料用接続部材3の弾性的な柔軟な支持を保証する。この場合、固定要素5自体は弾性支持要素27ないし30を介して本体4の壁21で弾性支持される。
【0031】
この実施形態では、固定要素5はU字状の固定要素5として構成されている。組立状態では、固定要素5の湾曲部分8は好ましくは本体4の外面26に当接する。これによって組立のためのストッパーがある程度形成されている。
【0032】
支持要素27ないし30に対する材料の選択により、燃料噴射弁を本体4で懸架するための所望のばね剛性を予め設定できる。特に、50kN/mm以下のばね剛性を予め設定できる。
【0033】
図3は、第2実施形態に対応する、燃料噴射弁の燃料用接続部材3と結合要素2とを備えた燃料噴射装置1の部分断面図である。この実施形態では、弾性支持要素27’は本体4の壁21の内面35に設けられている。本体4は端面36を有している。この実施形態では、端面36は円環状の端面36として構成されている。この場合、壁21に設けた円環状の端面36は受容空間15のための開口部16を取り囲んでいる。支持要素27’は外面26から壁21の端面36を経て壁21の内面35へ延在している。さらに、支持要素27’は壁21の内面35を経て広範囲に延在している。組立状態では、固定要素5の棒状アーム6は一方では支持要素27’に、他方では燃料用接続部材3に当接する。この場合、固定要素5のアーム6は燃料用接続部材3の凹部37に差し込まれている。これによって弾性支持が保証されている。
【0034】
さらに、この実施形態では、本体4の壁21と燃料用接続部材3との間での密封部を形成するO状のパッキンリング38が設けられている。支持要素27’は所望の材料から形成されていてよい。この場合、支持要素27’によって軸線方向の支持も保証することができる。その際、支持要素27’によってアンダーカットをも形成することができる。
【0035】
このように、所望の連結解除抵抗性と所要の強度とを備えた連結解除を実現でき、システム圧が高い場合でも寿命に関する要求を満たすことができる。この場合、特に、燃料ディストリビュータレールまたは他の燃料案内要素への燃料噴射弁の柔軟な結合が可能である。従って騒音低減を得ることができる。さらに、この処置は他の騒音低減処置に加えて使用することができる。特に、弁吸入部に液圧絞りを付加的に実現することができる。燃料噴射装置1の対応する構成では、柔軟なレール螺合部等も設けられていてよい。
【0036】
このように、他の騒音低減処置との組み合わせを有利に行うことができる。
【0037】
本発明は説明した実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0038】
1 燃料噴射装置
2 結合要素
3 燃料用接続部材
4 本体
6 棒状アーム
7 他の棒状アーム
9 受容空間の軸線
15 受容空間
16 開口部
17〜20 繰り抜き部または孔
21 本体の壁
22 挿入軸線
23 他の挿入軸線
26 壁の外面
27〜30;27’ 弾性支持要素
35 壁の内面
36 壁のリング状端面