(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)内側シースと外側シースとを含む二重シースカテーテルであって、前記カテーテル及び前記シースが、近位端と遠位端とを有し、前記シースの遠位端が互いに接続されて固定されており、それによりそれらのシースは互いに対して動くことができず、前記内側シースが流体送達ルーメンを画定し、前記外側シースが、圧潰位置と拡張位置との間で動くことができる組織ロックを含み、前記組織ロックが、前記拡張位置にある場合に、両方向対応可能な組織アンカーを形成する、二重シースカテーテルと、
(B)前記カテーテルの前記近位端に接続されており、かつ、前記外側シースを長手方向に前記内側シースに対してスライドさせることによって前記組織ロックを作動させるように構成されたアクチュエータと
を備える固定神経ブロックカテーテルシステムであって、
前記組織ロックがマレコットであり、
前記外側シースが、複数のマレコット拡張部を定める、複数の平行な長手方向のスリットを含み、
前記拡張部のそれぞれが、周囲の組織に対して、拡張部によって加えられる力を増大させるように機能する1つ以上の一体形成ヒンジを含み、
前記カテーテルが、エコー発生性をもたらすように構成されたコイルを備え、
前記コイルが、前記内側シースに組み込まれている、固定神経ブロックカテーテルシステム。
(A)内側シースと外側シースとを含む二重シースカテーテルであって、前記カテーテル及び前記シースが、近位端と遠位端とを有し、前記シースの遠位端が互いに接続されて固定されており、それによりそれらのシースは互いに対して動くことができず、前記内側シースが流体送達ルーメンを画定し、前記外側シースが、圧潰位置と拡張位置との間で動くことができる組織ロックを含み、前記組織ロックが、前記拡張位置にある場合に、両方向対応可能な組織アンカーを形成する、二重シースカテーテルと、
(B)前記カテーテルの前記近位端に接続されており、かつ、前記外側シースを長手方向に前記内側シースに対してスライドさせることによって前記組織ロックを作動させるように構成されたアクチュエータと
を備える固定神経ブロックカテーテルシステムであって、
前記組織ロックがマレコットであり、
前記外側シースが、複数のマレコット拡張部を定める、複数の平行な長手方向のスリットを含み、
前記拡張部のそれぞれが、周囲の組織に対して、拡張部によって加えられる力を増大させるように機能する1つ以上の一体形成ヒンジを含み、
前記カテーテルが、コイルを備え、
当該コイルが、電気エネルギーを神経に送達し、かつ、神経の電気的活動による内部の電気を伝達するように構成された双方向アンテナを備えるように構成される、固定神経ブロックカテーテルシステム。
(A)内側シースと外側シースとを含む二重シースカテーテルであって、前記カテーテル及び前記シースが、近位端と遠位端とを有し、前記シースの遠位端が互いに接続されて固定されており、それによりそれらのシースは互いに対して動くことができず、前記内側シースが流体送達ルーメンを画定し、前記外側シースが、圧潰位置と拡張位置との間で動くことができる組織ロックを含み、前記組織ロックが、前記拡張位置にある場合に、両方向対応可能な組織アンカーを形成する、二重シースカテーテルと、
(B)前記カテーテルの前記近位端に接続されており、かつ、前記外側シースを長手方向に前記内側シースに対してスライドさせることによって前記組織ロックを作動させるように構成されたアクチュエータと
を備える固定神経ブロックカテーテルシステムであって、
前記組織ロックがマレコットであり、
前記外側シースが、複数のマレコット拡張部を定める、複数の平行な長手方向のスリットを含み、
前記拡張部のそれぞれが、周囲の組織に対して、拡張部によって加えられる力を増大させるように機能する1つ以上の一体形成ヒンジを含み、
前記カテーテルが、コイルを備え、
当該コイルが、キンクしやすい場所で、前記カテーテルの耐キンク性を向上させるように構成され、当該コイルは、長さを有し、長手方向に、1インチ当たりの巻き数が変化するか、又は前記コイルの長さに沿って、厚さが変化する、固定神経ブロックカテーテルシステム。
前記カテーテルが、組織内で展開され、前記組織アンカーが作動した場合、半径方向の力を前記組織に加えることにより、地表重力で少なくとも200gの、軸方向の力による軸方向の動きに耐えるように構成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の固定神経ブロックカテーテルシステム。
(a)組織の内方成長を抑制するのに十分な、組織内方成長抑制剤物質による前記組織ロックのコーティング、又は(b)前記組織ロックの抗菌コーティングを更に含む、請求項1〜3のいずれかに記載の固定神経ブロックカテーテルシステム。
軸方向の力を超えた際又は前記組織ロックを解除していないにも関わらず前記カテーテルが不用意に外れてしまった際に、前記組織ロックの圧潰を進める、前記組織ロックにおけるもろい部分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の固定神経ブロックカテーテルシステム。
前記アクチュエータが、挿入後に圧搾された場合には解除することによって、解除していないにも関わらず外れてしまうことを防止するように構成された圧搾式双安定機構である、請求項1〜3のいずれかに記載の固定神経ブロックカテーテルシステム。
前記内側シースを通して挿入された針のリップまたは縁部を覆って形をなし、挿入中に、前記アンカーが展開することを避けるように機能する前記カテーテルの前記遠位端のリップまたは縁部を更に含む、請求項1〜3のいずれかに記載の固定神経ブロックカテーテルシステム。
確実に正しく配置するために、前記カテーテルを通って配置され、且つ、神経又はボーラスを、ブロック後に直接見ることができるように構成されているか、又は、前記神経を検出するように構成されている光ファイバーカメラ又はレンズを更に含む、請求項1〜3のいずれかに記載の固定神経ブロックカテーテルシステム。
前記遠位端又は組織ロックのエコー発生性を向上させるように構成された、前記カテーテルの遠位端又は組織ロックにおけるエコー発生コーティングを更に含む、請求項1〜3のいずれかに記載の固定神経ブロックカテーテルシステム。
ヒアラーゼ、グルココルチコイド、メトトレキサートまたはタマネギ抽出ゲルである、組織の内方成長を抑制するのに十分な、組織内方成長抑制剤物質による組織ロックのコーティングを更に含む、請求項1〜3のいずれかに記載の固定神経ブロックカテーテルシステム。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(A)内側シースと外側シースとを含む二重シースカテーテルであって、カテーテル及びシースが、近位端と遠位端とを有し、シースの遠位端が、互いに接続されており、内側シースが流体送達ルーメンを画定し、外側シースが、圧潰位置と拡張位置との間で動くことができる組織ロックを含み、組織ロックが、拡張位置にある場合に、両方向対応可能な組織アンカーを形成する二重シースカテーテルと、(B)カテーテルの近位端に接続されており、かつ、外側シースを長手方向に内側シースに対してスライドさせることによって組織ロックを作動させるように構成されたアクチュエータとを備える固定神経ブロックカテーテルシステムであって、(i)前記カテーテルが、組織内で展開され、前記組織アンカーが作動した場合、半径方向の力を前記組織に加えることにより、少なくとも200gの、軸方向の力による軸方向の動きに耐えるように構成されていること、(ii)(a)前記内側シースに組み込まれており、エコー発生性をもたらすように、(b)電気エネルギーを神経に送達し、かつ神経の電気的活動による内部の電気を伝達するように構成された双方向アンテナを備えるように、又は(c)キンクしやすい場所で、前記カテーテルの耐キンク性を向上させるように構成されたコイルであって、長手方向に、1インチ当たりの巻き数が変化するか、又は前記コイルの長さに沿って、厚さが変化するコイル、(iii)前記カテーテルの壁のデュロメータ又は厚さが、耐キンク性を向上させるために変化すること、(iv)(a)組織の内方成長を抑制するのに十分な、組織内方成長抑制剤物質による前記組織ロックのコーティング、(b)前記組織ロックの抗菌コーティング、又は(c)組織の内方成長を抑制し、かつ、前記組織と前記外側シースの外径との間の前記組織ロックを通って麻酔薬が逆流することを防止するように構成された、前記組織ロックの覆い、(v)前記内側シースが、前記拡張位置にある場合、流体が前記組織ロックを通って漏れることを減少させるか又は阻むように構成されていること、又は前記内側シースが、流体用の複数の出口地点とすることができるように、前記組織ロックの場所に1つ以上の出口ポートを有すること、(vi)麻酔薬の逆流漏れを防止するように構成された、前記外側シースに沿った、皮膚入り口地点における、1つ以上の突起、(vii)前記組織ロックが、前記拡張位置にある場合、前記組織ロックを強化する一体成形ヒンジを備えること、(viii)軸方向の力を超えた際又は前記組織ロックを解除していないにも関わらず前記カテーテルが不用意に外れてしまった際に、前記組織ロックの圧潰を進める、前記組織ロックにおけるもろい部分、(ix)前記アクチュエータが、挿入後に圧搾された場合には解除することによって、解除していないにも関わらず外れてしまうことを防止するように構成された圧搾式双安定機構であること、又は、前記カテーテルが、前記アクチュエータとは別に解除機構をさらに含むこと、(x)前記内側シースを通して挿入された針のリップまたは縁部を覆って形をなし、挿入中に、前記アンカーが展開することを避けるように機能する前記カテーテルの前記遠位端におけるリップまたは縁部、(xi)確実に正しく配置するために、神経又はボーラスを、ブロック後に直接見ることができるように構成されているか、又は、前記神経を検出するように構成されている、前記カテーテルを通って配置された光ファイバーカメラ又はレンズ、および(xii)前記遠位端又は組織ロックのエコー発生性を向上させるように構成された、前記カテーテルの遠位端又は組織ロックにおけるエコー発生処理から選択される、さらなる改善点を含む、固定神経ブロックカテーテルシステムは、一態様である。
【0008】
複数の実施形態では:
【0009】
カテーテルが、組織内(又は神経組織の周り)で展開され、組織アンカーが作動した場合、半径方向の力を組織に加えることにより、少なくとも200gの、軸方向の力による軸方向の動きに耐えるように構成されており、
【0010】
カテーテルシステムが、(a)内側シースに組み込まれており、エコー発生性をもたらすように、(b)電気エネルギーを神経に送達し、かつ神経の電気的活動による内部の電気を伝達するように構成された双方向アンテナを備えるように、又は(c)キンクしやすい場所で、カテーテルの耐キンク性を向上させるように構成されたコイルであって、長手方向に、1インチ当たりの巻き数が変化するか、又はコイルの長さに沿って、厚さが変化するコイルをさらに備え、
【0011】
カテーテルの壁のデュロメータ又は厚さが、耐キンク性を向上させるために変化し、
【0012】
(a)組織の内方成長を抑制するのに十分な、組織内方成長抑制剤物質による組織ロックのコーティング、(b)組織ロックの抗菌コーティング、又は(c)組織の内方成長を抑制し、かつ、組織と外側シースの外径との間の組織ロックを通って麻酔薬が逆流することを防止するように構成された、組織ロックの覆い、
【0013】
内側シースが、拡張位置にある場合、流体が組織ロックを通って漏れることを減少させるか又は阻むように構成されており、又は内側シースが、流体用の複数の出口地点とすることができるように、組織ロックの場所に1つ以上の出口ポートを有し、
【0014】
カテーテルシステムが、麻酔薬の逆流漏れを防止するように構成された、外側シースに沿った、皮膚入り口地点における、1つ以上の突起をさらに備え、
【0015】
組織ロックが、拡張位置にある場合、組織ロックを強化する一体成形ヒンジを備え、
【0016】
カテーテルシステムが、軸方向の力を超えた際又は組織ロックを解除していないにも関わらずカテーテルが不用意に外れてしまった際に、組織ロックの圧潰を進める、組織ロックにおけるもろい部分をさらに含み、
【0017】
アクチュエータが、挿入後に圧搾された場合には解除することによって、解除していないにも関わらず外れてしまうことを防止するように構成された圧搾式双安定機構であるか、又はカテーテルシステムが、アクチュエータとは別に解除機構をさらに含み、
【0018】
カテーテルシステムが、内側シースを通して挿入された針のリップまたは縁部を覆って形をなし、挿入中に、アンカーが展開することを避けるように機能するカテーテルの遠位端のリップまたは縁部をさらに含み、
【0019】
確実に正しく配置するために、神経又はボーラスを、ブロック後に直接見ることができるように構成されているか、又は、神経を検出するように構成されている、カテーテルを通って配置された光ファイバーカメラ又はレンズ、
【0020】
遠位端又は組織ロックのエコー発生性を向上させるように構成された、カテーテルの遠位端又は組織ロックにおけるエコー発生処理、
【0021】
組織ロックが、(a)複数のマレコット拡張部を定める、複数の平行な長手方向のスリット、又は(b)軸方向に圧縮された場合に外側に張り出す適合性材料を含む。
【0022】
上述の神経ブロックカテーテルシステムの使用方法であって、(1)カテーテルの遠位先端が、神経の薬理学的な近接部内に入るように、神経ブロックカテーテルシステムを誘導するステップと、(2)組織ロックを係合するステップと、(3)薬剤を流すステップと、(4)針を取り出すステップと、(5)ボーラスで、又は持続的に、医師の裁量で、持続的な疼痛管理治療を達成するために、薬剤を繰り返し流すステップと、(6)組織ロックを外すステップと、(7)カテーテルを取り外すステップとから選択される、1つ以上のステップを含む方法。
【0023】
複数の実施形態では:
【0024】
ステップ(1)は、神経刺激を利用して、又は利用しないで実行され、
【0025】
ステップ(1)は、超音波ガイドを利用して、又は利用しないで実行され、
【0026】
ステップ(3)は、薬剤を流した後に、結果として生じる治療効果を検出することをさらに含み、
【0027】
ステップ(3)の送達が、神経ブロックの開始になり、かつ本方法は、神経ブロックが開始することに失敗した場合、又は神経ブロックが切れた場合に、結果として生じる治療効果を検出することをさらに含む。
【0028】
使用医師が、挿入処置を、手術前に行うことを可能にする(及び、挿入が、手術の開始時又は手術後に行われることを可能にする)ことによって治療の流れを改善する、上述の神経ブロックカテーテルシステムの使用方法は、一態様である。
【0029】
カテーテルの遠位端の、神経に対する距離が、1mm未満に制限されており、カテーテルの遠位端が、断続的、一時的に、神経から遠ざかる動きをする場合もあるが、その範囲内に戻る、上述の神経ブロックカテーテルシステムを使用する方法は、一態様である。
【0030】
本明細書に実質的に開示され、かつ0g〜1000g、好ましくは0g〜750g、より好ましくは0g〜400gの軸方向の力を支えるように構成された、神経ブロックカテーテル又はカテーテルシステムは、一態様である。
【0031】
コイルを含み、(a)内側シースにコイルを組み込むことにより、エコー発生性カテーテルを作り出すように、(b)エコー発生性を高めるために、コイルに対して、小さな変形部/ディボット/くぼみ/空気溜まりを追加するように、(c)双方向アンテナとして、コイルを使用するように、かつ/又は(d)キンクしやすい場所で(近位で)、耐キンク性を向上させるために、長さに沿って、巻き数/インチを変化させるように構成された、本明細書に実質的に開示される、神経ブロックカテーテル、又はカテーテルシステムであって、例えば、i.皮膚の近位の部分が、50巻き数/インチ(WPI)のコイルを有し、かつ皮膚の下に組み込まれた部分が、100WPIのコイルを有し、コイルの厚さを、例えばコイルの厚さの減少、柔軟性の減少等のために、変化させることができ、かつ/又はii.カテーテルルーメンのデュロメータ、及び/又は壁の厚さが、皮膚に近い部分と、遠い部分との間における、異なる柔軟性要求に応じる目的で、柔軟性を変化させるために変化する神経ブロックカテーテル、又はカテーテルシステムは、一態様である。
【0032】
コイルを含み、(a)組織の内方成長を抑制するために、ヒアラーゼのような物質で、組織ロックを被覆することと、(b)内方成長を抑制するため、かつ/又は組織と、外側シースの外径との間の組織ロックを通って、麻酔薬/鎮痛薬が逆流することをさらに防止するために、シリコーンカバー、バルーン、さらなるシースで覆うこととにより、組織の内方成長を防止するように構成された、本明細書に実質的に開示される、神経ブロックカテーテル、又はカテーテルシステムは、一態様である。
【0033】
麻酔薬/鎮痛薬が、組織ロックを通って漏れることを、減少させるか、又は阻むように構成された内側シースを含み、かつ/又は麻酔薬/鎮痛薬用の、複数の出口地点とすることができるように、組織ロックの場所の、内側シースの表面に、1つ以上の出口ポートを有する、本明細書に実質的に開示される、神経ブロックカテーテル、又はカテーテルシステムは、一態様である。
【0034】
逆流漏れを防止するように構成された、皮膚入り口地点における、1つ以上の突起を備える、本明細書に実質的に開示される、神経ブロックカテーテル、又はカテーテルシステムは、一態様である。
【0035】
マレコット拡張部の端部のそれぞれ、及び中間に、マレコット拡張部を強化するように機能する、一体成形ヒンジを備える、本明細書に実質的に開示される、神経ブロックカテーテル、又はカテーテルシステムは、一態様である。
【0036】
(a)解除していないにも関わらず、カテーテルが不用意に外れてしまった際に圧潰するように、ある軸方向の力を超えた(超越した)際、組織ロックの圧潰を進めるための、組織ロックのもろい部分/ノッチ/より薄い部分と、(b)挿入後に圧搾されると、常に解除し、これにより、解除していないのに外れてしまうことを防止する目的で、作動/解除を行うために圧搾する双安定機構と、(c)使用医師が、作動のために、スライダ/ボタン等を依然として使用できるように、解除のためのみに使用される機構とを含む、1つ以上のフェイルセーフモードを備える、本明細書に実質的に開示される、神経ブロックカテーテル、又はカテーテルシステムは、一態様である。
【0037】
カテーテルの先端が、針のリップ/縁部を覆って形をなし、かつ挿入中に、アンカーが展開することを避けるように機能する、リップ、即ち縁部を含む、本明細書に実質的に開示される、神経ブロックカテーテル、又はカテーテルシステムは、一態様である。
【0038】
確実に正しく配置するために、神経を、ブロック後に直接見ることができるように、カテーテルを通る(流体送達ルーメン、第2のルーメン、又は壁に組み込まれたを通る)、薄い、光ファイバーカメラ、又はレンズを備え、光ファイバーカメラ、又はレンズが、最初の挿入中、又は追従するブロックのために、使用されていてもよく、それが同じ場所に依然として留まっているか否かを確認するため、例えば、最初のスナップショットとの比較を提供し、かつ/又は赤外線カメラ、又は他の波長のカメラが、神経を検出するために使用される、本明細書に実質的に開示される、神経ブロックカテーテル又はカテーテルシステムは、一態様である。
【0039】
先端、及び/又は組織ロックのエコー発生性を向上させるため、さらに、いかなる部分であれ、組織内で折れて外れた場合に探す際に、これらの部分を探すことが、より容易にされていてもよいように、例えば、カテーテル先端、及び/又は組織ロックを、ECHO−COAT(商標)(即ち、高効率超音波反射体を生じさせる、微細な気泡を捕らえる表面処理)等のエコー発生処理で被覆することにより、改善されたエコー発生性、及び破損の修復を含む、本明細書に実質的に開示される、神経ブロックカテーテル、又はカテーテルシステムは、一態様である。本明細書で使用される場合、「エコー発生処理」という用語は、低エコー性か、高エコー性かのどちらかを強める、エコー発生性コーティングを含む。
【0040】
神経を電極で突き止めるステップと、カテーテルを配置するステップと、ロックを係合させるステップと、薬剤を流すステップと、結果として生じる治療効果を検出するステップと、ロックを外すステップと、かつ/又はカテーテルを取り外すステップとを含む、本明細書に実質的に開示される、神経ブロックカテーテル、又はカテーテルシステムを使用する方法は、一態様である。
【0041】
使用医師が、挿入処置を、手術前か、それに対して手術中かに行うことを可能にすることにより、改善された治療の流れを提供する、本明細書に実質的に開示される、神経ブロックカテーテル又はカテーテルシステムを使用する方法は、一態様である。
【0042】
カテーテルの先端の、神経に対する距離が、1mm又は0.5mmに制限されており、神経から遠ざかる、断続的、一時的動きがある場合もあるが、その範囲内に戻る(安全性が肝要であり、大きな動きが可能になり、かつアンカーは、同じ局所的な組織に固定されたままである。そのため、その局所的な組織が、基準の場所に戻る場合、カテーテル先端も戻る)、本明細書に実質的に開示される、神経ブロックカテーテル又はカテーテルシステムを使用する方法は、一態様である。
【0043】
1つ以上の部品から、カテーテル、又はシステムを組み立てることを含む、本明細書に実質的に開示される、神経ブロックカテーテル、又はカテーテルシステムを作製する方法は、一態様である。
【0044】
(A)内側シースと外側シースとを含む二重シースカテーテルであって、カテーテル及びシースが、近位端と遠位端とを有し、シースの遠位端が互いに接続されており、内側シースが流体送達ルーメンを画定し、外側シースが、圧潰位置と拡張位置との間で動くことができる組織ロックを含み、組織ロックが、拡張位置にある場合に、両方向対応可能な組織アンカーを形成する二重シースカテーテルと、(B)カテーテルの近位端に接続されており、かつ、外側シースを長手方向に内側シースに対してスライドさせることによって組織ロックを作動させるように構成されたアクチュエータとを備える固定神経ブロックカテーテルシステムは、一態様である。患者の血管外に挿入される場合、組織ロックは、カテーテルの遠位端が、目標とする神経の隣の最初の位置にあり、目標とする神経から所定の距離にあるが、血管からは離れており、かつカテーテルの遠位端が、ずれた後でさえ、最初の位置に戻るように、カテーテルの遠位端を、周囲の組織に固定するように構成されている。また、組織ロックは、所定の軸方向の力が加えられた場合、圧潰するように構成されている。さらに、カテーテルは、カテーテル内に配置された針を受けるように構成されており、針の遠位端は、カテーテルの遠位端から固定された距離にあり、カテーテルシステムは、針/カテーテルを患者に挿入する間、針の遠位端と、カテーテルの遠位端との間の、固定された距離を維持するように構成されており、カテーテルシステムは、組織ロックの展開中、針の遠位端と、カテーテルの遠位端との間の、固定された距離を維持するように構成されている。
【0045】
本明細書に説明されるいかなるカテーテルシステムも、内側シース内に配置された針と、さらに組み合わされてもよい。したがって、内側シース内に配置された針と組み合わせた、本明細書に説明されるカテーテルシステムを含む一式は、一態様である。
【0046】
これら、及び他の態様は、本明細書に提供される本開示に基づき、当業者にとって明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の技術分野は、医療機器に関し、詳細には、カテーテル医療機器に関する。
【0051】
(A)内側シースと外側シースとを含む二重シースカテーテルであって、カテーテル及びシースが、近位端と遠位端とを有し、シースの遠位端が互いに接続されており、内側シースが流体送達ルーメンを画定し、外側シースが、圧潰位置と拡張位置との間で動くことができる組織ロックを含み、組織ロックが、拡張位置にある場合に、両方向対応可能な組織アンカーを形成する二重シースカテーテルと、(B)カテーテルの近位端に接続されており、かつ、外側シースを長手方向に内側シースに対してスライドさせることによって組織ロックを作動させるように構成されたアクチュエータとを備える固定神経ブロックカテーテルシステムは、一態様である。
【0052】
固定神経ブロックカテーテルシステムは、以下の12点から選択される、さらなる改善点を含む。(i)カテーテルが、組織内で展開され、組織アンカーが作動した場合、少なくとも200gの、軸方向の力による軸方向の動きに耐えるように、半径方向の力を、組織に加えるように構成されていること、(ii)(a)内側シースに組み込まれており、エコー発生性をもたらすように、(b)電気エネルギーを神経に送達し、かつ神経の電気的活動による内部の電気を伝達するように構成された双方向アンテナを備えるように、又は(c)キンクしやすい場所で、カテーテルの耐キンク性を向上させるように構成されたコイルであって、長手方向に、1インチ当たりの巻き数が変化するか、又はコイルの長さに沿って、厚さが変化するコイル、(iii)カテーテルの壁のデュロメータ又は厚さが、耐キンク性を向上させるために変化すること、(iv)(a)組織の内方成長を抑制するのに十分な、組織内方成長抑制剤物質による組織ロックのコーティング、(b)組織ロックの抗菌コーティング、又は(c)組織の内方成長を抑制し、かつ、組織と外側シースの外径との間の組織ロックを通って麻酔薬が逆流することを防止するように構成された、組織ロックの覆い、(v)内側シースが、拡張位置にある場合、流体が組織ロックを通って漏れることを減少させるか又は阻むように構成されていること、又は内側シースが、流体用の複数の出口地点とすることができるように、組織ロックの場所に1つ以上の出口ポートを有すること、
(vi)麻酔薬の逆流漏れを防止するように構成された、外側シースに沿った、皮膚入り口地点における、1つ以上の突起、(vii)組織ロックが、拡張位置にある場合、組織ロックを強化する一体成形ヒンジを備えること、(viii)軸方向の力を超えた際又は組織ロックを解除していないにも関わらずカテーテルが不用意に外れてしまった際に、組織ロックの圧潰を進める、組織ロックにおけるもろい部分、(ix)アクチュエータが、挿入後に圧搾された場合には解除することによって、解除していないにも関わらず外れてしまうことを防止するように構成された圧搾式双安定機構であること、又は、カテーテルが、アクチュエータとは別に解除機構をさらに含むこと、(x)内側シースを通して挿入された針のリップまたは縁部を覆って形をなし、挿入中に、アンカーが展開することを避けるように機能するカテーテルの遠位端のリップまたは縁部、(xi)確実に正しく配置するために、神経又はボーラスを、ブロック後に直接見ることができるように構成されているか、又は、神経を検出するように構成されている、カテーテルを通って配置された光ファイバーカメラ又はレンズ、及び(xii)遠位端又は組織ロックのエコー発生性を向上させるように構成された、カテーテルの遠位端又は組織ロックにおけるエコー発生処理。固定神経ブロックカテーテルシステムは、2点、3点、4点、5点、6点、7点、8点、9点、10点、又は11点の改善点等の、1つより多いこのような改善点を、任意の組み合わせで含んでもよい。(すべての可能性のある組み合わせが、本発明の範囲内にあることが意図されている。)固定神経ブロックカテーテルシステムは、これらの改善点12点すべてを含んでもよい。また、カテーテルシステムのこれらの改善点、及び他の態様の詳細は、以下に提供されている。本明細書で使用される場合、「神経ブロック」という用語は、中枢神経軸神経ブロックと末梢神経ブロックとの両方を含むことが意図されている。
【0053】
システムの部品−カテーテル
カテーテルは、内側シース及び共形の外側シースを含む。(本明細書で使用される場合、「カテーテル」という用語は、内側シース及び外側シースを含む装置の一部分を指す。一方、「カテーテルシステム」という用語は、カテーテル部分及びアクチュエータ部分を指す。)カテーテル、内側シース及び外側シースは、近位端及び遠位端を有し、内側シースの近位端及び外側シースの近位端は、アクチュエータにそれぞれ接続されている。本明細書を通して、「遠位端」及び「先端」という用語は、同じ意味で使用される。
【0054】
内側シースの遠位端及び外側シースの遠位端は、固定して接続されている。(即ち、両遠位端は、互いに対して動くことはできない。)内側シース及び外側シースの、近位端及び遠位端の間では、内側シースと外側シースとは、互いに接続されておらず、したがって互いに対して動くことができる。外側シースは、内側シースに対してスライドすることができ(即ち、内側シースは、外側シース内にスライド可能に配置されている)、それらの遠位端は、接続されたままである。
【0055】
内側シースは、流体送達ルーメンを画定する。内側シースの内径は、流体送達ルーメンの幅を定め、この幅は、(部分的に)カテーテルシステムにより流すことができる流体の容量を決定する。内径は、いかなる適切な値であってもよい。内側シースの例示的な内径は、範囲0.5mm〜3.5mm、0.5mm〜3mm、もしくは0.5mm〜2mmの範囲にあるか、又は未満3.5mm未満、3mm未満、2.5mm未満、2mm未満、もしくは1.5mm未満か、又は0.5mm超、1mm超、1.5mm超、2mm超、2.5mm超、もしくは3mm超である。内側シースは、完全に均質であってもよく、又は、複数の実施形態においては、孔形式の、1つ以上の出口ポートを有してもよい。例えば、内側シースは、流体送達ルーメンを通って流れる流体用の、1つ以上の出口地点とすることができるように、組織ロックの場所に、1つ以上の出口ポートを有する。例えば、内側シースは、2列〜30列、2列〜15列、もしくは2列〜5列の出口ポート、又は2列超、5列超、10列超、もしくは15列超の出口ポート、又は30列未満、20列未満、もしくは15列未満の出口ポートを有し、列のそれぞれが、2個〜50個、2個〜30個、もしくは2個〜15個のポート、又は2個超、5個超、10個超、もしくは20個超のポート、又は50個未満、30個未満、20個未満のポートを有する。列は、投与された流体をすべての方向に等しく投入するために、内側シースの外周の周りに、対称的に配置され得る。又は、列は、非対称の様式で流体を投入するために、非対称に配置され得る。
【0056】
患者に挿入される際、外側シースは、患者の組織に直接接触するのに対して、内側シースは、(内側シースの先端の断面を除いて)患者の組織に直接接触しない。また、患者に挿入される際、外側シースの少なくとも一部は、システムを使用する医師に直接見えるのに対して、内側シース全体は、視界から隠されたままである。外側シースの見える部分とは、カテーテルの使用中、患者の体の外側に留まっている、カテーテルの長さのことである。
【0057】
複数の実施形態では、外側シースは、逆流漏れ(即ち、皮膚からの流体の漏れ)を防止するために、皮膚入り口地点に(外側シースの長さに沿って)、突起を有する。例えば、システムは、外側シースの長さに沿って調整され得るリングを含んでもよい。リングは、外側シースを圧縮し、様々な侵入深さに調整するために、近位突起の場所を決定する。リングは、カラーとして機能し、例としてはOリングが挙げられ、リングの位置は、外側シースの長さに沿って調整され得る。使用医師は、リングが皮膚入り口地点に配置され、これにより、皮膚入り口地点での流体の漏れを阻むことができるように、リングを位置付けることができる。
【0058】
外側シースは、圧潰位置と拡張位置との間で動くことができる組織ロックを含む。組織ロックは、両方向対応可能である。−即ち、組織ロックは、無数に繰り返して、圧潰位置から拡張位置に動き、圧潰位置に戻ることができる。組織ロックは、カテーテルにより、患者の体内の制御された場所に薬剤を流すことができるように、カテーテルの遠位端を固定する。
【0059】
圧潰位置と拡張位置との間の動きは、外側シースを、内側シースに対してスライドさせることによって引き起こされ(一方で、内側シースの遠位端及び外側シースの遠位端は、接続されたままであり、かつ固定されたままである)、このようなスライドは、アクチュエータを作動させることによって引き起こされる。アクチュエータは、本明細書により詳細に説明されるように、外側シースに直接的に接続されている。
【0060】
組織ロックは、拡張位置にある場合に、両方向対応可能な組織アンカーを形成する。組織アンカーは、組織ロックにより、周囲の組織に加えられた力の結果である。本明細書に説明されるように、この力は、カテーテルの操作を個別に設定するために、調整され得る。組織ロックによって加えられる力の量は、(例えば、拡張位置において、組織ロックの直径を、より大きくする、又はより小さくする)特定の物理的寸法、又は(例えば、幾分固い材料等を用いることによる)特定の材料特性を有する組織ロックの製造等の製造時に、選択することができる。
【0061】
複数の実施形態では、組織ロックは、マレコットであり、外側シースは、複数のマレコット拡張部を定める、複数の平行な長手方向のスリットを有する。スリットの数は、変わってもよく、数、又はマレコット拡張部を決定する。−例えば、4本のスリットにより、4つのマレコット拡張部が生じる。複数の実施形態では、外側シースは、2本〜20本のスリット、又は3本〜10本のスリット、又は厳密に3本、4本、5本、6本、7本、8本、9本、もしくは10本のスリットを有する。マレコット拡張部のそれぞれは、1つ以上の一体成形ヒンジ、もしくは1つ以上の機械的ヒンジ、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。このようなヒンジは、周囲の組織に対して、拡張部によって加えられる力を増大させるように機能する。例えば、一体成形ヒンジ/機械的ヒンジは、各マレコット拡張部の中心線に配置されてもよく、並びに、各拡張部の近位端及び/又は遠位端に配置されていてもよい(例えば、
図1参照)。組織ロックがマレコットである場合、各マレコット拡張部によって加えられる力、拡張部の数、任意の一体成形ヒンジ/機械的ヒンジの場所(単数又は複数)、使用される材料及び他の要因が、カテーテルが耐えることができる軸方向の力の量を決定し、さらに、拡張位置にある場合に、マレコット拡張部が周囲の組織に加える力の量を決定する。
【0062】
複数の実施形態では、組織ロックは、張り出し組織ロックであり、組織ロックは、軸方向に圧縮された場合に外側に張り出す適合性材料を含む。適合性材料は、剛性が小さくなる材料組成物等の、外側シースの他の部分とは組成的に異なる材料を含んでもよい。代わりに、適合性材料は、外側シースの他の部分と組成的に同一であるが、機械的特性が異なってもよい。−例えば、適合性材料は、より薄くてもよい(例えば、厚さが等しいか、又は10%、20%、30%、40%、もしくは50%薄い)。組織ロックが張り出し組織ロックである場合、拡張位置にある際に、張り出された組織ロックにより、周囲の組織に加えられる力は主に、適合性材料の剛性及び張り出し部の寸法(例えば、圧潰位置から拡張位置に動いた場合の、組織ロックの直径の変化)によって決定される。張り出し組織ロックは、上述のような、マレコット型組織ロック用の、1つ以上の一体成形ヒンジ、又は機械的ヒンジを備えてもよい。
【0063】
複数の実施形態では、組織ロックは、カテーテルを隣の組織にさらに固定する、バーブ又は他の突起を有する。バーブは、組織ロック又はカテーテルの主要部分の、一部又は表面全体に配置されてもよい。バーブは、カテーテルが耐えることができる、軸方向の力の量を増大させるように構成されてもよく、かつカテーテルの組織ロックが両方向対応可能なままで、特定の予め定められた力を超えると、着脱することができるように(例えば、機能しなくなるように)、さらに構成されてもよい。一実施形態では、バーブは、組織ロックが係合した場合、周囲の組織をひどく損傷しない位に、十分に小さい。バーブは、硬質であっても、又は可撓性であってもどちらでもよく、複数の実施形態では、吸収性材料から作製されてもよい。マイクロバーブは、0.25mm〜1mm又は0.25〜0.5mmと同じくらい小さい可能性がある。複数の実施形態では、マイクロバーブは、肉眼で見ることが難しく、組織がマイクロバーブの周りにめり込んだ場合に、固定を行うことができる。マイクロバーブはまた、本明細書に説明されるマレコットアンカーに関連付けて使用され得る。
【0064】
複数の実施形態では、カテーテルは、組織ロックが拡張位置にある場合、少なくとも200g、250g、300g、350g又は400gの、軸方向に加えられた力による軸方向の動きに耐えることができる。また、複数の実施形態では、カテーテルは、組織ロックが拡張位置にある場合、半径方向に加えられた力による半径方向の動きに耐えることができる。「軸方向の動きに耐える」ということは、カテーテルが固定されている周囲の組織に対して、そのカテーテル(特に、カテーテル先端)が、2mm未満、1.5mm未満、1mm未満、又は0.5mm未満しか動かないことを意味する。「半径方向の動きに耐える」ということは、カテーテルが固定されている周囲の組織に対して、そのカテーテル(特に、カテーテル先端)が、20度未満、15度未満、10度未満、5度未満、又は1度未満しか回転しないことを意味する。
【0065】
複数の実施形態では、組織ロックは、既定より大きい軸方向の力がかかると、組織ロックの圧潰が進むように、もろい部分(例えば、組織ロックの遠位端、又は組織ロックの長さに沿った中間地点における、ノッチ又は薄い部分)を含む。例えば、組織ロックは、組織ロックを解除しなくても、カテーテルが不用意に外れた場合は圧潰する。このような安全機能のために、本明細書に説明されるカテーテルには、カテーテルが患者の体内で展開した場合に、耐えられ得る軸方向の力の量に関して上限がある。このような上限は、例えば、1000g、900g、800g、700g、600g、500g、400g又は300gであってもよい。同様に、組織ロックは、既定より大きい半径方向の力がかかると、組織ロックの圧潰が進むように、もろい部分を含んでもよい。組織ロックは、これらの値を超える力により、周囲の組織に損傷が生じないように、いかなる力であれ、これらの軸方向の力を受ければ圧潰するように構成されている。もろい部分には、組織ロックに沿った様々な場所で、組織ロック(マレコット、張り出し部等)に切り込まれるか、そうでなければ配置される、ノッチ、孔、スリット等が含まれる。もろい部分はまた、様々な場所で、材料を弱くするために、熱又はエネルギーを加えることによって、作り出され得る。
【0066】
カテーテルのキンクを避けることが望ましく、カテーテルの長さに沿った様々な地点で、(特に、患者の体内に入る部分と比較して、患者の体外に留まるカテーテルの部分では)柔軟性が変化することが必要である場合がある。したがって、本明細書に説明されるカテーテルシステムは、キンクを減少させるか、もしくは解消する、かつ/又はカテーテルの柔軟性を変化させる、1つ以上の改善点を含むことがある。そのような改善点の例には、カテーテルのデュロメータを変化させること及びカテーテル壁の厚さを変化させることが含まれる。一般的に、材料のデュロメータ又は柔軟性の変化は、(外側シースに対して)内側シースに適用された場合、特に、内側シースが、外側シースよりも強い及び/又は厚い実施形態において、最も効果的である。
【0067】
例えば、カテーテル材料(単数又は複数)のデュロメータ(即ち、硬度)を、柔軟性を変化させるため、かつ、耐キンク性を変化させるために、変化させてもよい。一般的に、高いデュロメータは、よりキンクしやすい材料を示す。一実施形態では、カテーテルにおける患者の外側に留まることが意図されている部分(例えば、カテーテルの長さの近位部)は、患者の体内に入り、内部に留まることが意図されている部分(例えば、カテーテルの長さの遠位部)と比較して、低いデュロメータで作製されてもよい。ポリマー材料のデュロメータを、例えば、異なるデュロメータペレットを混ぜて押し出すことにより、又はポリマーの特性を変化させるため、UV照射等で、ポリマーを別々に処理することにより、押出し工程中、カテーテルの長さにわたり、変化させることができる。例示的なデュロメータの測定値は、ショア20A〜ショア100Aの範囲にある。
【0068】
さらに例を挙げれば、柔軟性を変化させるため、かつ、耐キンク性を変化させるために、カテーテルの厚さを変化させてもよい。カテーテルの「壁」に対する言及は、内側シースと外側シースとのと組み合わせを指す。−したがって、壁の厚さとは、2つのシースの厚さを組み合わせたものである。一般的に、壁が厚いと、よりキンクしやすい。複数の実施形態では、カテーテルの遠位端におけるカテーテル壁の厚さは、0.01インチ〜0.075インチの範囲にあり、カテーテルの近位端におけるカテーテル壁の厚さは、0.025インチ〜0.10インチの範囲にある。これらの値内で、外側シース壁及び内側シース壁の、それぞれの厚さは、所望の特性(剛性、強度等)を得るために、いかなる適切な値をとることもできる。複数の実施形態では、内側シース壁は、5%、10%、25%、50%又は100%厚い等、外側シース壁より厚いことがある。複数の実施形態では、内側シース壁の厚さ及び外側シース壁の厚さは、同じであり、他の実施形態では、外側シース壁の厚さは、内側シース壁の厚さより大きい(例えば、5%、10%、25%、50%又は100%厚い)。近位端と遠位端との間の厚さは、絶え間なくかつ直線的に変化してもよく、又はカテーテルの長さにおける皮膚入り口地点(もしくは、皮膚入り口地点と予測される地点)の近くで、より急激に変化してもよい。
【0069】
複数の実施形態では、カテーテルは、使用医師に、(例えば、患者の皮膚の下で)カテーテルが挿入された深さを示すための深さゲージを含む。例えば、ストライプ又は他のマークが、先端を含めて、カテーテルの長さに沿って存在し、外側シースの外側に配置されてもよく、組織ロックの表面が含まれていてもよい。ストライプ/マークは、深さを示すために、色分けされていてもよく、そうでなければ印が付けられていてもよい。複数の実施形態では、このようなマークはまた、カテーテルのすべての部分が、挿入中、確実に無傷なままであるように使用されてもよい。ストライプ/マークは、好ましい深さ、特に、カテーテルが幾分キンクしやすい部分を含む場所を示すことができる。例えば、カテーテルが耐キンク性の高い部分を含む場所では、深さゲージが、そのような部分は患者の体外に留まるべきということを示してもよい。
【0070】
複数の実施形態では、カテーテルは、内側シースを通して挿入された針のリップ、即ち縁部を覆って形をなす、カテーテルの遠位端の、リップ、即ち縁部を含む。例えば、カテーテルのリップ/縁部は、カテーテルと針との組み合わせが患者の体内に挿入される際、針が押圧し得る停止部を形成する。挿入中、カテーテルは、軸方向の力を受け、軸方向の力により、摩擦で外側シースが圧縮され、組織ロックが、意図せず拡張する結果になる可能性がある。カテーテルリップは、内側シースの一部、他のシースの一部、又は内側シースと外側シースとの両方の一部であってもよい。したがって、カテーテルリップ、即ち縁部は、挿入中に、アンカーが展開することを避けるように機能する。リップは、意図しないアンカーの展開に潜在的につながる、意図しないカテーテルの圧縮、特に外側シースの圧縮を防止する。本明細書により詳細に記載されている、例えば
図3を参照されたい。
【0071】
複数の実施形態において、カテーテルはコイルを含む。コイルは、(a)エコー発生性をもたらすように、(b)電気エネルギーを神経に送達し、かつ神経の電気的活動による内部の電気を伝達するように構成された、双方向アンテナを備えるように、又は(c)キンクしやすい場所で、カテーテルの耐キンク性を向上させるように構成されてもよく、コイルは、長手方向に、1インチ当たりの巻き数が変化するか、又はコイルの長さに沿って、厚さが変化する。
【0072】
複数の実施形態では、コイルは、エコー発生性をもたらすように構成されている。例えば、コイルは、内側シースに組み込まれ、エコー発生性材料から準備される。適切な材料には、ステンレス鋼等の金属が含まれる。複数の実施形態では、小さな変形部、及び/又はディボット、及び/又はくぼみが、コイルのエコー発生性を高めるために、コイルに存在する。エコー発生性コイルにより、カテーテルに対してエコー発生性を付与することにより、カテーテル先端の場所の可視化が進む。このように可視化が進むことは、カテーテルの配置と、配置後のカテーテルの監視とを助ける。
【0073】
複数の実施形態では、コイルは、電気エネルギーを神経に送達し、かつ神経の電気的活動による内部の電気を伝達するように構成された、双方向アンテナを備えるように構成されている。そのようにして、コイルは、外部の電気を送達することができ、したがって刺激カテーテルとして機能する。また、コイルは、元々生じていたか、又は誘発された神経の電気的活動等による、内部の電気を伝達することができる。このような双方向の伝達は、例えば、誘導又は神経検知操作中に、神経ブロックの場所を三角形に分けるために使用され得る。
【0074】
複数の実施形態では、コイルは、キンクしやすい場所で、カテーテルの耐キンク性を向上させるように構成されている。内側シース及び外側シースに対する耐キンク性の測定が、本明細書に説明されており、耐キンク性の向上は、(代替的に、又は付加的に)例えば、内側シースに組み込まれたコイルを使用することによって達成できる。そのようなコイルを組み込むことによる耐キンク性は、様々な方法で得ることができる。例えば、コイルは、コイルの長さに沿って、長手方向に変化する、1インチ当たりの巻き数(即ち、ピッチ)を有してもよい。一般的に、1インチ当たりの巻き数が少なければ(即ち、ピッチが長ければ)、より柔らかい/曲がりやすいコイルになり、したがって耐キンク性が高くなる。そのような状況は、患者の体外に留まることが意図されている部分である、カテーテルの近位部に対して、特に適している。逆に、カテーテルの遠位部は、より短いピッチ、したがって曲がりにくく、かつ耐キンク性が低いコイルから、利益を受ける。代替的又は付加的に、コイルは、コイルの長さに沿って、厚さが変化してもよい。この文脈では、「厚さ」とは、コイルを形成する素線の直径を指す。一般的に、厚さが大きいと、結果として耐キンク性が大きくなる。ピッチが変化するように、厚さを、場所により、カテーテルの長さに沿って、変化させることができる。−例えば、外側部分/近位部では、厚さを大きくし、内側部分/遠位部では、厚さを小さくする。複数の実施形態では、皮膚入り口地点に最も近いカテーテルの部分(この部分は、本明細書に説明されているような深さゲージを使用して示される場合がある)は、例えば、厚さを最大にするか、又はピッチを最長にすることにより、耐キンク性が最大になるように構成され得る。
【0075】
複数の実施形態では、コイルは、上述の機能のうち2つ以上の機能のために、構成され得る。また、複数の実施形態ではコイルは、MRI走査との親和性を高めるために、非鉄材料(例えば、アルミニウム、亜鉛、チタン等)から準備されてもよい。
【0076】
1種類以上のコーティングが、カテーテルに沿って存在してもよい。そのようなコーティングは、カテーテルのエコー発生性、組織の内方成長の抑制、又は抗菌性を高めるために適していてもよい。
【0077】
複数の実施形態では、カテーテルには、エコー発生処理が施される。例示的なエコー発生処理には、ECHO−COAT(登録商標)がある。エコー発生処理は、カテーテルの遠位端(即ち、先端)、又は組織ロック、又は遠位部、又はカテーテルの長さ全体等の、カテーテルのいかなる部分に対しても適用され得る。エコー発生処理は、先端及び/又は組織ロックのエコー発生性を向上させるために使用されてもよい。エコー発生処理はまた、患者の体内(例えば、患者の組織内)で折れて外れる可能性がある、カテーテルの任意の部分を探すのを助けるために使用されてもよい。複数の実施形態では、エコー発生処理は、先端及び/又は組織ロックで利用され、そのようなコーティングは、カテーテルの残りの部分で利用されるエコー発生処理とは異なっている。この相違は、より容易に、先端又は組織ロックを識別する目的で(例えば、下流における不十分な神経ブロックの診断、又は鑑別診断のために)、型か、強度かのどちらかに、存在することがある。
【0078】
複数の実施形態では、カテーテルは、組織の内方成長(及び/又は線維症)を抑制するコーティングを含む。例示的な内方成長抑制コーティングには、化合物であるヒアラーゼがある。さらなる例には、グルココルチコイド(線維芽細胞を抑制し、かつ瘢痕形成を抑制するとして知られているステロイド)、メトトレキサート(細胞増殖を抑制する化学療法)、MEDERMA(登録商標)(皮膚線条、又は瘢痕組織を治療するために使用されるタマネギ抽出ゲル)等が含まれる。内方成長抑制剤は、長期の挿入時間にわたり(「長期」とは、少なくとも5日、又は5日、7日、9日、11日、14日、21日もしくは28日より長いか、又は等しいことを意味する)、カテーテルの組織ロック、又は他の部品における組織の望ましくない内方成長を、確実に最小限にするか、又は防止するために存在する。内方成長抑制コーティングの代わりに、又はこれに加えて、内方成長抑制剤化合物は、カテーテルが挿入されている間、カテーテルのルーメンを通して、流され得る。内方成長抑制コーティングは、カテーテル長さ全体、又はカテーテルの組織ロック、遠位端、もしくは遠位部等の選択部分にわたって、存在することができる。
【0079】
複数の実施形態では、カテーテルは、抗菌コーティングを含む。例示的な抗菌コーティングには、銀粒子、又は銅粒子、キトサン等が含まれる。抗菌コーティングは、本明細書に説明されるような、長期の挿入時間が意図されているカテーテルに、特に適している。抗菌コーティングは、カテーテルの長さ全体にわたり、又はカテーテルの組織ロック、遠位端、もしくは遠位部等の選択部分にわたって、存在することができる。
【0080】
エコー発生性、抗菌性及び内方成長抑制コーティングのいかなる組み合わせも、存在し得る。複数の実施形態では、抗菌コーティング、及び内方成長抑制コーティング(このような組み合わせは、長期の挿入時間が意図されているカテーテルに、特に適している)等の、2つ以上のそのようなコーティングが存在する。複数の実施形態では、3つのすべてのコーティングが存在する。また、カテーテルの別々の部分を、別々に被覆してもよい。例えば、遠位端は、エコー発生処理で被覆されてもよく、一方、カテーテルの組織ロック、及び(遠位端を含む、又は含まない)遠位部は、抗菌コーティングで被覆されてもよい。他の組み合わせ、及び配置も可能であり、本開示の範囲内にある。
【0081】
カテーテルは、いかなる適切な長さであってもよく、意図される用途により、通常、所望の長さは影響を受ける。例えば、カテーテルの長さは、5cm〜30cmの範囲にあってもよい。複数の実施形態では、カテーテルは、カテーテルの長さの約10%〜約50%が、患者の体外に留まることが意図される(かつ本明細書では、「近位部」と呼ばれる)ように、かつ一方では、カテーテルの長さの約50%〜約90%が、患者の体内に挿入されることが意図される(かつ本明細書では、「遠位部」と呼ばれる)ように、構成されている。
【0082】
システムの部品−カテーテルシステム
カテーテルシステムは、カテーテル、及びアクチュエータを含む。様々なアクチュエータが適している。アクチュエータは、カテーテルの近位端に配置され、かつ外側シースの近位端に直接的に接続されている機構である。アクチュエータは、第1の動作で、外側シースを、内側シースに対して、両方向対応可能に、及び軸方向にスライドするように機能し、これにより、外側シースを軸方向に圧縮する。この軸方向の圧縮により、組織ロックが、圧潰位置から拡張位置に動く。アクチュエータはまた、部分動作(例えば、第1の動作の逆による)で、外側シースを圧縮解除するように機能し、これにより、組織ロックを、拡張位置から圧潰位置に動かす。
【0083】
アクチュエータはさらに、外側シースの位置(したがって、組織ロックの状態)が微動しないこと、そうでなければ、望ましくなく変化しないことを確実にするために、ロックを含んでもよい。
【0084】
複数の実施形態では、アクチュエータは、ハブを圧搾することによって作動し、かつ解除される、双安定機構である。例えば、双安定機構は、挿入後に機構が圧搾される際はいつでも、組織ロックを常に解除し(即ち、デフォルト位置は、組織ロックが拡張した位置である)、これにより、解除していないのに不用意に外れてしまうことを防止するように構成されている。
【0085】
複数の実施形態では、アクチュエータは、組織ロックを作動させるボタンである。
【0086】
複数の実施形態では、アクチュエータは、ばね搭載式ボタン作動部である。この構成は、シースに対する同心円状のばねと共に動作する。ボタンは、外側シースを押圧/引き寄せするために、ばねを解放し、かつ引き戻す。
【0087】
複数の実施形態では、アクチュエータは、クランクホイール機構である。このような機構は、シースの転がり運動を直線運動に変換し、これによりアンカーを作動させる。
【0088】
複数の実施形態では、アクチュエータは、スコッチヨーク機構の変形である。このような機構は、シースの転がり運動を直線運動に変換し、これによりアンカーを作動させる。
【0089】
複数の実施形態では、アクチュエータは、捻転遠位ハブである。このような実施形態の利点は、捻転運動は、カテーテルの長い軸線にとって常態的なものであり、したがって、医師が、作動中に、カテーテルを、不注意に前進、又は後退させてしまうことがないことである。
【0090】
複数の実施形態では、アクチュエータは、ロールホイールである。このような実施形態の利点は、ロールホイールは、全体の長さが短く、片手で作動させることができることである。
【0091】
複数の実施形態では、アクチュエータは、押圧/引き寄せリニアスライダである。このような実施形態の利点は、押圧/引き寄せリニアスライダは、全体の長さが短く、片手で作動させることができ、ロールホイールよりも可動部が少ないことである。
【0092】
複数の実施形態では、カテーテルシステムは、解除機構−即ち、アクチュエータから離れており、解除のためのみに使用される機構を含む。このような実施形態では、医師は、作動のために、スライダ/ボタン/ノブ等を、依然として使用することができる。
【0093】
複数の実施形態では、アクチュエータは、使用医師用に、適切なグリップをもたらすハブの一部である。カテーテル用のハブは、いかなる適切な形状、例えば、円形、四角形、三角形、又は楕円形をとってもよい。任意のそのような形状はまた、グリップを向上させるために、リッジ、突起、ディボット、ディンプル、表面仕上げにおける変形、主要部分寸法における変形等を含んでもよい。
【0094】
複数の実施形態では、カテーテルシステムはまた、カテーテルを通って配置された光ファイバーカメラ、又はレンズを含む。光ファイバーカメラ、又はレンズは、確実に正しく配置するために、神経(及び/又はボーラス)を、ブロック後に直接見ることができるように構成されているか、又は神経を検出するように構成されている。複数の実施形態では、カメラ/レンズは、流体送達ルーメン、もしくは第2のルーメン、又はカテーテル壁を通って配置されている。複数の実施形態では、カメラ/レンズは、内側シースと、外側シースとの間に配置されており、又は流体送達ルーメンから離れていて、かつ流体送達ルーメンに平行なルーメン内に配置されていてもよく、又は内側シース内、もしくは外側シース内に組み込まれていてもよい。複数の実施形態では、システムは、使用医師に、カメラから、直接画像を送信するように構成されており、又は、カメラからの神経/ボーラスの画像の処理に基づき近接度を計算するアルゴリズムが、使用される。カテーテルの近接度を、理想的な近接度の提案(即ち、「十分に近くない」、「近すぎる」、又は「ちょうどよい」)と共に、医師に中継することができる。カメラ/レンズは、カテーテルの最初の挿入中、及び/又は追従するブロックのために、使用され得る。追従するブロックのために、最初の画像との比較が、カテーテル先端が最初の場所に留まっているか否かを確認するため、又はカテーテル先端が動いた度合いを確認するために使用され得る。複数の実施形態では、カメラ/レンズを、発生したいかなるずれであれ、補正することを助けるために、使用することができる。複数の実施形態では、赤外線カメラ、又は他の波長のカメラを、神経を検出するために使用することができる。
【0095】
複数の実施形態では、カテーテルシステムは、針先端の斜角が、挿入中、一貫しており、かつ予測可能な角度に設定されるように、針を、設定された向きにロックするように構成された針ロックをさらに含む。
【0096】
複数の実施形態では、カテーテルシステムは、外側シースカラーを含む。外側シースカラーは、アクチュエータが、外側シースを引き寄せ/押圧するための手段(例えば、リップ、縁部等)を備える。外側シースカラーを、外側シースの押圧/引き寄せを助けるために、任意のアクチュエータと共に使用することができる。例えば、
図2を参照されたい。
【0097】
本明細書に説明されるカテーテルシステムは、カテーテル内を針が通る設計に、特に適している。しかしながら、システムは、針内をカテーテルが通る設計にも使用され得る。また、硬質な、幾分鋭利なカテーテルを、針の必要性と、完全に置き換えることができる。そのような設計は、例えば、硬質な、幾分鋭利な、外側シース、及び/又は内側シースを含む可能性がある。
【0098】
複数の実施形態では、本明細書に説明されるカテーテルシステムは、流体の逆流を防止するのに効果的である。例えば、カテーテル内を針が通る設計においては、カテーテルの孔は、針の孔より大きく、そのため、カテーテルの孔が、プラグの役割を果たす。さらに例を挙げれば、組織ロックがマレコットである場合、マレコットは、カテーテルから突出し、より大きなプラグ効果を生み出す。また、本明細書に説明されるカテーテルは、外壁に沿った流体の流れを最小限にするように、設計されている/構成されている。例えば、血管外カテーテルでは、外壁に沿って、流体が流れることができなければならない。しかし、本明細書に説明されるカテーテルの場合、本発明者らは、どちらかの方向(逆流、又は順流)での、カテーテルの外面における、いかなる流体の流れも最小限にしている。
【0099】
材料、及び準備
カテーテルシステムは、本明細書に説明される材料等の、適切な材料から準備される。複数の実施形態では、カテーテルは、ナイロン、HTPE、ポリウレタン、ポリエチレン、PEEK等の、ポリマー材料から準備される。例えば、内側シース、及び外側シースは、どちらもポリマー材料であり、ポリマーの選択は、所望の特性(殺菌可能性、可撓性、非多孔性等)に従って行われる。内側シース、及び外側シースは、異なる材料から作製されてもよく、又は同じ材料から作製されてもよい。
【0100】
接着剤を、カテーテルシステムの組立中、適切な場所に、使用することができる。例えば、接着剤を、内側シースの遠位端と、外側シースの遠位端とを合わせて接着するために、又はハブの部分を合わせて接着するために、もしくは、ハブの部分を、内側シース、又は外側シースに対して接着するために、使用することができる。
【0101】
いかなる適切な殺菌方法も、カテーテルシステムの製造において、使用することができる。例としては、エチレンオキシド、オートクレーブ、UV照射、超音波処理等を用いた/による処理が挙げられる。
【0102】
使用方法
説明されるカテーテルシステムは、留置神経ブロックの用途に適している。複数の実施形態では、カテーテルは、目標とする神経から適切な距離で、血管外に挿入される。例えば、適切な距離(カテーテル先端から神経までを測定する)とは、1mm、0.8mm又は0.5mmより小さいか、これと等しい。一般的に、説明された方法は、針/カテーテルの先端を、ある距離内に誘導することと、その後、組織ロックを展開することとを含む。針/カテーテルの先端を誘導することには、(本明細書に説明されるように、カテーテル内にあるか、又はカテーテルを包むかのどちらかである)針の存在が必要である。針は、組織ロックが係合した(即ち、拡張位置に動いた)後、取り出される。カテーテル先端の最初の配置が失敗した場合は、カテーテルが患者から取り出され、針がカテーテル内に再び挿入されてもよく、カテーテル/針の組み合わせの配置を、再度試みることができる。針は、刺激針であってもよく、又は無刺激針であってもよい。
【0103】
挿入後、患者が大きな組織を動かす際等に、神経から遠ざかる、カテーテルの断続的、一時的動きがある可能性がある。しかしながら、カテーテル先端は、適切な距離内の位置に戻る。理論に縛られることを望むものではないが、組織ロックは、同じ局所的な組織に固定されたままである。したがって、局所的な組織で大きな動き(例えば、患者による筋肉の動き)があったとしても、カテーテルは、組織が元の場所に戻る際に、元の場所に戻る。
【0104】
上述の神経ブロックカテーテルシステムを使用する方法であって、(1)カテーテルの遠位先端が、神経の薬理学的な近接部内に入るように、神経ブロックカテーテルシステムを誘導するステップと、(2)組織ロックを係合するステップと、(3)薬剤を流すステップと、(4)針を取り出すステップと、(5)ボーラスで、又は持続的に、医師の裁量で、持続的な疼痛管理治療を達成するために、薬剤を繰り返し流すステップと、(6)組織ロックを外すステップと、(7)カテーテルを取り外すステップとから選択される、1つ以上のステップを含む方法は、一態様である。
【0105】
例えば、本方法は、ステップ(1)、及びステップ(2)を含んでもよい。例えば、本方法は、ステップ(1)、ステップ(2)、及びステップ(3)を含んでもよい。例えば、本方法は、ステップ(1)、ステップ(2)、ステップ(3)、及びステップ(4)を含んでもよい。例えば、本方法は、ステップ(1)、ステップ(2)、ステップ(3)、ステップ(4)、及びステップ(5)を含んでもよい。例えば、本方法は、ステップ(1)、ステップ(2)、ステップ(3)、ステップ(4)、ステップ(5)、ステップ(6)、及びステップ(7)を含んでもよい。
【0106】
ステップ(1)は、神経刺激を利用して、又は利用しないで実行されてもよく、かつ、超音波ガイドを利用して、又は利用しないで実行されてもよい。ステップ(3)は、薬剤を流した後に、結果として生じる治療効果を検出することをさらに含んでもよい。ステップ(6)、及びステップ(7)は、疼痛管理治療の完了後に実行される。ステップ(5)は、カテーテルが挿入されたままである限り、実行される可能性がある。
【0107】
複数の実施形態では、ステップ(3)の送達が、神経ブロックの開始になる。いくつかのそのような実施形態では、ステップ(3)が実行されたが失敗した場合、及び神経ブロックが開始することに失敗した場合、又は神経ブロックが切れた場合に、本方法は、結果として生じる治療効果を検出することをさらに含んでもよい。
【0108】
複数の実施形態では、ステップ(1)〜ステップ(4)は、合わせて、カテーテルの最初の挿入の一部である。ステップ(3)は、任意のステップであり、最初の挿入から省略してもよい。ステップ(5)は、カテーテルが挿入されたままである限り実行され、繰り返される送達は、スケジュールに従ったものであってもよいし、又は必要に応じてであってもよい。ステップ(6)〜ステップ(7)は、疼痛管理治療の完了時か、そうでなければカテーテルの使用の完了時に実行される。
【0109】
カテーテル先端の配置は、受動的であるか、能動的であるかのどちらかである。例えば、カテーテル先端を最初に配置することは、複数の実施形態では、カメラ、又は他の画像技術を用いた可視化を含んでもよく、このような配置は、能動的な、目的主導型の作業である。対照的に、(例えば、患者による大きな組織の動きにより)少しでもずれた後に、最初の位置に戻るために、カテーテル先端が帰ることは、組織ロックによる固定の結果である受動的な作業である。
【0110】
本明細書に説明されるカテーテルシステムは、様々な流体を流すのに適している。例としては、鎮痛薬、及び麻酔薬が挙げられる。長期間の疼痛管理に適している流体等の他の流体(例えば、アルコール等)も、流すのに適している。
【0111】
カテーテルシステムは、様々な理由又は医療処置のために、使用/挿入され得る。システムを、手術前、手術中又は手術後に、所望の際に挿入することができる。カテーテルを、例えば疼痛管理のために、排出後に使用することもできる。したがって、カテーテルシステムにより、挿入することを、使用することから分離することができる。−挿入のステップを、使用医師及び/又は患者の都合のよいときに行うことができ、かつ挿入されたカテーテルシステムを、必要な場合には使用することができる。
【0112】
いくつかの特定の適切な用途には、麻酔に関する処置(例えば、持続硬膜外麻酔、持続脊椎麻酔、持続末梢神経ブロック)、疼痛管理処置(例えば、経皮的高周波椎間板減圧術等のカテーテルに基づく椎間板内手術、IDET、及びバイアクプラスティ等の熱環状処置、従来の、かつ機能的な椎間板造影、パルス水冷式高周波、脊髄刺激装置、末梢神経刺激装置、髄腔内ポンプ等の持続的な髄腔内の薬物送達システム)、外科的用途(例えば、外科用ドレーン、腎瘻ドレーン、フォーリーカテーテル)、硬膜外麻酔等が含まれる。
【0113】
本カテーテル装置は、血管外での使用のみが意図されており、血管外での使用のみに適している。本カテーテル装置は、血管内カテーテルとして使用するには適しておらず、血管内カテーテルとして使用することを意図されていない。
【0114】
本カテーテル装置は、医師が使用するのに適している。本明細書で使用される場合、「使用医師」には、例えば、カテーテル装置に適した本明細書に説明される医療処置(例えば、疼痛管理、手術等)に関わる麻酔科医、及び他の医師が含まれる。
【0115】
ここで
図1を参照すると、カテーテル100が示されており、内側シース10を囲む外側シース20を含んでいる。外側シース20は、複数のマレコット拡張部30を定める、複数の長手方向のスリット(番号は付けられていない)を含む。マレコット拡張部30は、一体成形ヒンジ35を備える。
【0116】
ここで
図2を参照すると、カテーテルシステム200が示されており、内側シース10を囲む外側シース20を含んでいる。アクチュエータ40は、雄ねじ50及び外側シースカラー60を含む。外側シースカラー60は、雄ねじ50と、外側シース20との間にインタフェースを提供する。アクチュエータ40は、円形ハブ70a及び四角形ハブ70bを含むハブの一部である。
【0117】
ここで
図3を参照すると、カテーテルシステム300が示されており、カテーテル90内に配置された針80を含んでいる。カテーテル90は、リップ95を含み、リップ95は、針80が押圧し得るブロック部を提供する。カテーテルの配置中、カテーテルが患者の体内に挿入される際、カテーテルは、
図3に示される黒一色の矢印の方向に、軸方向の力を受ける。リップ95は、カテーテルの遠位部分が、挿入中、針の先端より先にスライドしてしまうことを防止する。このようなスライドは、組織ロックの意図しない拡張(不図示)を引き起こす恐れがある。したがって、リップ95は、組織ロックの早すぎる展開を防止する助けになる。
【0118】
複数の実施形態では、本明細書に説明される技術は、カテーテルのずれを減少/解消し、これにより使用医師は、手術前に確信を持って、カテーテルを配置することができるようになる。挿入されたカテーテルは、手術前、手術中、及びより長期間の疼痛管理のために、断続的に手術後に、ボーラス注射を投与するために使用される。これにより、治療の流れが改善される。カテーテルは、絶えず麻酔を点滴注入して手術後の疼痛管理を行うために、バルーンポンプに取り付けることができ、又は断続的なボーラス注射を行うポンプと共に、使用することができる。説明された方法は、カテーテルの配置に費やされる手術室(OR)での時間を減少させ、手術後の疼痛管理のための麻酔剤の使用を減少させる。複数の実施形態では、本方法及び本装置により、針挿入処置をやり直す必要なく、単発ボーラスの送達及び/又は持続的な麻酔の送達を、手術前に開始することができる。カテーテルシステムを、ボーラス注入か持続注入かのどちらか、又は両方の組み合わせのために使用してもよい。また、ボーラス注入又は持続注入(どちらか、又は両方)を、手術前、手術中又は手術後に使用してもよい。
【0119】
本発明を、本発明における特定の実施形態の例を用いて説明してきたが、前述の説明及び後述の例は、説明目的であることが意図されており、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。様々な変更がなされてもよく、均等物が、本発明の範囲から逸脱することなく、置き換えられてもよく、さらに、他の態様、利点、及び修正は、本発明が属する分野の当業者にとって明らかであることが当業者に理解されるであろう。本明細書に説明される実施形態のいかなる組み合わせも、すべてのそのような組み合わせが、本開示に入念に説明されたように、本発明の一部であることが意図されている。
[実施例]
【0120】
通常の使用例:ACL修復従来の方法、即ち、単発末梢神経ブロックを用いると、患者は、吐き気、及び嘔吐を生じさせ、患者の満足度を下げる処方麻酔剤を受ける。代替的に、術中神経ブロック(NB)が麻酔剤に置き換わる。しかしながらこれらの選択肢は、使用医師の必要性には対処しておらず、過度に手術室での時間が必要であり、かつ、コストがかかる。また、持続末梢神経ブロックを含む現在の方法は、患者が、故障率の高い処方バルーンポンプを使用することが必要である場合が多い。対照的に、本明細書に説明されるカテーテルシステムは、バルーンポンプの使用を減少させ、治療の流れを改善することができる。
【0121】
本開示による、組織ロックとしてのマレコット拡張部を有する装置が、準備され、挿入され、組織ロックが作動した。筋肉組織からカテーテルを取り外すのに必要とされた力は、予測されたものより、かなり大きかった。試験管内実験でも生体内実験でもどちらでも、アンカーが展開した状態では、カテーテルを外して取り出すのに、500グラムまでの力が必要であろうことを示すために、引張試験機が使用された。平均値は、200グラムから350グラムの間であった。