(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
「吸収性物品」という用語には、生理用ナプキン、パンティーライナー、タンポン、陰唇間装置、創傷被覆材、おむつ、成人用失禁物品、拭き取り用品等の使い捨て物品が含まれる。また更に、本明細書に開示される方法及び装置によって生産される吸収性部材は、研磨パッド、ドライモップパッド(SWIFFER(登録商標)パッド等)等の他のウェブへの有用性を見出すことができる。かかる吸収性物品の少なくとも一部は、月経又は血液、膣分泌物、尿、及び便等の体液の吸収を目的とする。拭き取り用品は、体液を吸収するために使用されてもよく、又は表面を洗浄する等、他の目的で使用されてもよい。上記の種々の吸収性物品は、典型的には、液体透過性トップシート、トップシートに接合される液体不透過性バックシート、及びトップシートとバックシートとの間の吸収性コアを含む。
【0014】
本明細書で使用するとき、「開口部」という用語は、穴を指す。開口部の周囲の材料が、開口部の形成前にウェブと同一平面上にあるように、開口部がウェブを通してきれいに穿孔されてもよく(「二次元」開口部)、あるいは、開口部の周囲の材料の少なくとも一部がウェブの平面から押し出される穴が形成されてもよい。後者の場合、開口部は、その中に開口部を有する突出部又は陥凹に似ていてもよく、本明細書において開口部のサブセットである、「三次元」開口部と称されてもよい。
【0015】
本明細書で使用するとき、吸収性物品の「構成要素」という用語は、トップシート、捕捉層、液体処理層、吸収性コア又は吸収性コア層、バックシート、並びに障壁層及び障壁部等の障壁等の吸収性物品の個々の構成要素を指す。
【0016】
「機械横方向」、「横方向」(又は略語「CD」)という用語は、ウェブの平面内で機械方向に垂直な経路を意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、「変形可能な材料」という用語は、印加された応力又はひずみに反応して、その形状又は密度を変化させることが可能である材料である。
【0018】
本明細書で使用するとき、「分離した」という用語は、異なる、又は接続されていないことを意味する。「分離した」という用語が形成部材上の形成要素に対して使用されるとき、形成要素の遠位(又は放射状に最も外側の)端が、機械方向及び機械横方向を含む全方向で異なる、又は接続されていないことを意味する(例えば、形成要素の基部は、ロールの同一表面内に形成され得るにもかかわらず)。例えば、リングロール上の隆起部は、分離しているとは見なされない。
【0019】
「使い捨て」という用語は、洗濯するか、又は別の方法で吸収性物品として復元若しくは再使用することを意図しない、吸収性物品を説明するために本明細書で使用される(即ち、それらは、使用後に廃棄される、好ましくは、再利用されるか、堆肥化される、又はそうでなければ環境に適合する方式で処分されることを意図している)。
【0020】
本明細書で使用するとき、「形成要素」という用語は、ウェブを変形させることが可能である形成部材の表面上の任意の要素を指す。「形成要素」という用語は、リングロール上の隆起部及び溝等の連続的又は別個ではない形成要素、並びに分離した形成要素の両方を含む。「雄型」形成要素は、形成部材の表面から突起する。
【0021】
「接合した」という用語は、ある要素を他の要素に直接固着することによって、要素を別の要素に直接固定する構成;ある要素を中間部材(類)に固着し、次にその中間部材を他の要素に固着することによって、ある要素を他の要素に間接的に固定する構成;ある要素が別の要素と一体化する構成、即ち、ある要素が他の要素の本質的な一部分である構成を包含する。「接合した」という用語は、要素の1つの表面全体にわたり要素が完全に別の要素に固定されている構成に加え、要素が別の要素の選択された位置に固定されている構成を包含する。
【0022】
「層」という用語は、基本寸法がX−Yである、即ち、その長さ及び幅に沿っている、物品を指すために本明細書で使用される。「層」という用語が、必ずしも材料の単一層又はシートに限定されないことが理解されるべきである。したがって、層は、必要なタイプの材料の幾つかのシート若しくはウェブの積層体又は組み合わせを含むことができる。したがって、「層」という用語は、「層(複数を含む)」及び「層状(layered)」という用語を含む。
【0023】
「機械方向」(又は略語「MD」)は、ウェブ等の材料が製造プロセス中に通って進む経路を意味する。
【0024】
「機械的に衝撃を与える」又は「機械的に変形する」という用語は、本明細書で互換的に使用することができ、材料に機械的力を及ぼすプロセスを指す。
【0025】
「マイクロSELF」は、本明細書に定義されるSELFプロセスのものと装置及び方法が類似するプロセスである。マイクロSELF歯は、異なる寸法を有し、それらが先端及び後端に開口部を有する房の形成をより促進するようにする。ウェブ基板内に房を形成するためにマイクロSELFを使用するプロセスは、米国特許出願公開第US 2006/0286343A1号に開示されている。本開示の目的では、マイクロSELFは、SELF技術のサブセットと見なされる。
【0026】
形成部材に関連して本明細書で使用するとき、「パターン化」という用語は、その上に分離した要素を有する形成部材、並びにリングロール上の隆起部及び溝等の連続した特徴をその上に有するものを含む。
【0027】
本明細書で使用するとき、「永久的に変形した」という用語は、形状又は密度が、印加された応力又はひずみに反応して永久的に変化させられた、変形可能な材料の状態を指す。
【0028】
「領域(複数を含む)」という用語は、吸収性部材のX−Y平面にわたる部分又は区域を指す。
【0029】
「リングロール」又は「リングロール加工」という用語は、逆回転ロール、連続的隆起部及び溝を含有する相互噛合ベルト、又は相互噛合プレートを備える、変形部材を使用したプロセスを指し、変形部材の相互噛合隆起部及び溝が、それらの間に挿入されるウェブに係合し伸長させる。リングロール加工の場合、変形部材は、歯及び溝の配向に依存して、機械横方向又は機械方向にウェブを伸長させるように配置され得る。
【0030】
「回転刃式孔開け」(RKA)という用語は、SELF又はマイクロSELFに関して、本明細書に定義されたものと同様の相互噛合変形部材を使用した、プロセス及び装置を指す。RKAプロセスは、SELF又はマイクロSELF変形部材の比較的平坦で細長い歯が、おおむね遠位端に向かって尖っているように変更されているという点で、SELF又はマイクロSELFとは異なる。歯は、米国特許出願公開第US 2005/0064136A1号、同第US 2006/0087053A1号、及び同第US 2005/021753号に開示されるように、有孔のウェブ、又は場合によっては、三次元的に有孔のウェブを生産するために、ウェブを切断し、並びに変形させるように研がれてもよい。RKA歯は、他の形状及び輪郭を有することができ、また、RKAプロセスは、繊維ウェブを、ウェブに開口を開けることなく機械的に変形させるために使用することもできる。歯の高さ、歯間隔、ピッチ、係合深さ、及び他の加工パラメータ等のその他の点について、RKA及びRKA装置は、SELF又はマイクロSELFに関して本明細書に記載されるものと同じであってもよい。
【0031】
「SELF」又は「SELF加工(SELF'ing)」という用語は、Procter & Gambleの技術を指し、SELFとは、Structural Elastic Like Filmの略である。そのプロセスは元来、有益な構造特性を有するようにポリマーフィルムを変形するために開発されたが、SELF加工プロセスは、繊維性材料等の他の材料において有益な構造を作り出すために使用され得ることが見出された。SELFによって作り出されるプロセス、装置、及びパターンは、米国特許第5,518,801号、同第5,691,035号、同第5,723,087号、同第5,891,544号、同第5,916,663号、同第6,027,483号、及び同第7,527,615 B2号に図示及び記載されている。
【0032】
本明細書で使用するとき、用語「房」は、不織布ウェブ中に形成されてもよい、特定の種類の突出部を指す。房は典型的には、トンネル状の構成を有し、場合によっては、それらの端部の一方又は両方において開いていてもよい。
【0033】
I.前駆体材料。
本発明は、材料を機械的に変形させる方法を目的とする。より具体的には、本発明は、変形されたウェブ材料を形成するように、相互噛合し、かつ異なる表面速度で移動する形成部材を使用して、材料を機械的に変形させる方法を目的とする。本明細書の関心方法は、繊維を単に押し出す、個々の繊維の櫛通しを伴うカーディングプロセスとは区別され、一体性を有する構造ではなく、本明細書に記載されるように機械的に変形させることができる。
【0034】
変形されたウェブ材料は、ウェブ又はシートの形態の「前駆体材料」から作製される。前駆体ウェブ材料は、それぞれが概して平面的である(即ち、平面を画定する)、第1の表面と、第2の表面と、を有する。変形させられる前駆体ウェブ材料(又は「前駆体ウェブ」)は、織布、不織布、フィルム、上記の材料のいずれかの組み合わせ、又は積層体等、任意の好適な変形可能な材料を含むことができる。本明細書で使用するとき、「不織布ウェブ」という用語は、間挿されるが、織布若しくは編地(典型的に、不規則に配向された繊維を有さない)のような繰り返しパターンではない、個々の繊維又は撚糸の構造を有するウェブを指す。これには、ティッシュ、ドライラップ、ライナーボード、濾紙、及びこれらの組み合わせ等の紙基材が挙げられる。不織布ウェブ又は不織布は、例えば、メルトブローイング、スパンボンディング、水流交絡、エアレイド、及びカード熱接着を含む接着カードウェブプロセス等の、多くのプロセスから形成されている。
【0035】
織布、不織布、フィルム、組み合わせ、又は積層体は、天然材料、合成材料、及びそれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない、任意の好適な変形可能な材料から作られてもよい。好適な天然材料としては、セルロース、コットンリンター、バガス、羊毛繊維、絹繊維等が挙げられるが、これらに限定されない。好適な材料は、弾性であってもよく、又は弾性ストランドを含んでもよい。好適な合成材料としては、レーヨン及びポリマー材料が挙げられるがこれらに限定されない。好適なポリマー材料としては、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリプロピレンが挙げられるがこれらに限定されない。上述される材料のいずれも、持続可能若しくは再生可能材料、及び/又は使用済み再利用材料を含んでよい。幾つかの実施形態では、前駆体材料は、紙等級材料であってもよい、少なくとも一部のセルロース系材料を含む。場合によっては、前駆体材料は、上述される材料のうちの1つで構成又は本質的に構成されてもよい。場合によっては、前駆体材料は、セルロースを実質的に含まなくてもよく、並びに/又は紙材料を含まなくてもよく、並びに/又はドライラップ、ライナーボード、板紙、濾紙、及びこれらの組み合わせ等の湿式載置材料を含まなくてもよい。
【0036】
前駆体材料に様々なポリマーを含むことができる。潜在的材料には、生物由来ポリエチレン(bio−PE)、生物由来ポリプロピレン(bio−PP)、生物由来ポリエチレンテレフタレート(bio−PET)、及び生物由来ポリ(エチレン−2,5−フランジカルボキシレート)(bio−PEF)等の非石油源から作製されるバイオポリマーが挙げられる。これらの材料は、少なくとも1つの再生可能資源に部分的又は完全に由来してもよく、再生可能資源とは、100年間の期間内に補充することができる天然資源を指す。再生可能資源には、植物、動物、魚類、細菌、菌類、及び林産物が挙げられ、自然発生、混成、又は遺伝子組み換えされた生命体であってもよい。形成するのに100年より長くかかる原油、石炭、及び泥炭等の天然資源は、再生可能資源とは見なされない。非石油源に由来する他のポリマーには、デンプンベースのポリマー及びセルロース誘導体が挙げられる。加えて、使用済みリグラインドr−HDPE、r−LLDPE、r−LDPE、r−PET、r−PEF、又はr−PP等の再利用樹脂を、100%で、又は様々な樹脂との混合で使用することができる。再生可能資源及び再利用樹脂に由来するポリマーを、そのままで、又は費用を制御するために石油ベースのポリマーに様々なレベルで混合して、使用することができる。源及び非石油源からポリマーを作製する方法は、参照することによって本明細書に組み込まれる米国特許第8,063,064 B1号及び米国特許出願公開第US 2011/0319849 A1号に見ることができる。
【0037】
II.材料を変形させるための方法。
変形されたウェブ材料の形成方法は、機械的変形プロセスを通じて少なくとも1サイクル又はパスに前駆体ウェブを供することを伴う。
【0038】
機械的変形プロセスは、任意の好適なタイプ(複数を含む)の形成部材を含み得る任意の好適な装置において実行することができる。好適なタイプの形成装置には、ニップをそれらの間に画定する一対のロール、複数対のプレート、ニップをそれらの間に画定するパック(又は小さいプレート)を伴うコンベヤー、ニップをそれらの間に画定するベルト、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本方法で使用するために修正することができるベルト及びロールの実施例は、Curroらの米国特許第8,021,591号に記載されている。プレートの場合、本明細書に記載されるロールと同様の動きを提供するために、プレートが前駆体ウェブと接触するように互いに近づく際、プレートの少なくとも一方を、他方のプレートに対して機械方向に移動させることができる。しかしながら、一対のプレート又はベルトを備えるプロセスに存在する減少した係合及び解除角度のため、一対のプレート又はベルトによって生成される、結果としてもたらされる構造は、ロールによって生成されるものとは異なる可能性があることが理解される。装置は、便宜のために、主としてロールの観点から本明細書に記載されるが、記載は、任意の他の構成を有する形成部材を採用する方法に適用可能であり、その場合、他の形成部材は、以下に記載される構成のいずれかの形成要素を有してもよいことを理解されたい。
【0039】
本明細書に記載される装置及び方法に使用されるロールは、典型的には、概して円筒形である。本明細書で使用するとき、「概して円筒形」という用語は、完全に円筒形であるロールだけではなく、それらの表面に要素を有する円筒形のロールも包含する。「概して円筒形」という用語はまた、ロール端部付近のロールの表面上等、直径の減少を有する可能性があるロール、及びクラウンロールも含む。ロールはまた、典型的には、実質的に非変形性である。本明細書で使用するとき、「実質的に非変形性」という用語は、本明細書に記載されるプロセスの実施で使用される条件下で、典型的には変形又は圧縮させない表面(及びその上の任意の要素)を有するロールを指す。ロールは、鋼又はアルミニウムが挙げられるが、これらに限定されない、任意の好適な材料から作製することができる。鋼は、ステンレス鋼等の耐食性及び耐摩耗性鋼から作られてもよい。ロールは、加熱されてもよく、又はされなくてもよい。加熱される場合、熱機械プロセスの当業者によく知られている慣習に従って、熱膨張効果の考慮が適応されなければならない。
【0040】
図1に示されるもの等の形成装置の構成要素(例えば、一対のロールのロール)の上に、互いに相互噛合することができる雄型形成要素が提供される。ロールは、それらの表面上に、任意の好適なタイプの雄型形成要素を有してもよい。所望の機械的変形のタイプによって、個々のロールの表面に、リングロール上の隆起部等の「連続」雄型要素、又は本明細書において歯とも称される「分離した」雄型要素が提供されてもよい。
【0041】
本明細書に記載されるすべての実施形態において、ロールは、非接触であり、かつ軸方向に駆動される。本明細書で使用するとき、「相互噛合している」又は「噛合している」という用語は、形成構造の構成要素(例えば、ロール)のうちの1つの形成要素が、他方の形成構造の表面に向かって延在し、形成要素が、他方の形成構造の表面の形成要素の先端を通って引かれる仮想平面の間及び下に延在する部分を有するときの配列を指す。したがって、異なる形成部材上の形成要素の上部分又は先端は、それらがニップ内で整合しないように、又は重なり合わないように、ニップ内で互いに対してオフセットされる。
【0042】
一対のロール内のロール(又は他の回転形成部材)は、典型的に、両方が反対方向に回転する(つまり、ロールは、逆回転している)。少なくとも一対のロール内のロールは、異なる表面速度で回転してもよい。ロールは、異なる軸方向速度でロールを回転させることによって、又は同一の軸方向速度で回転する異なる直径を有するロールを使用することによって、又は2つの組み合わせで、異なる表面速度で回転してもよい。ロールは、ウェブがロール間のニップに送り込まれる速度と実質的に同一の速度で回転してもよく、又はそれらは、ウェブがロール間のニップに送り込まれる速度よりも速い又は遅い速度で回転してもよい。ロールが異なる速度で回転する場合では、ロールの間に任意の好適な表面又は周辺速度差を存在させることができる。ロールの間の表面速度比は、約1.01超から最大で約3.0の範囲、あるいは約1.02〜約3.0であってもよい。
【0043】
図1は、ロール30及び32が本明細書において「リングロール」と称される、一実施形態を示す。ロール30及び32は、本明細書に示され、記載される他の装置におけるロールの場合のように、平行関係で配置されるそれらの回転軸Aを有する、それぞれの回転可能なシャフト上に担持される。本実施形態では、ロールの表面は、ロールの円周の周囲に延在する、複数の交互の隆起部34及び溝36を有する。他の実施形態では、隆起部及び溝は、ロールの軸Aに平行して延在してもよい。本明細書に記載される装置の様々な実施形態で、そのようなロールの1つ以上を使用することができる。
【0044】
図2は、一方のロール40が、その円周の周囲に延在する交互の隆起部34及び溝36を有するリングロールであり、他方のロール42が、Procter & Gamble CompanyのSELF技術ロールのうちの1つを備える、別の実施形態を示す。
図2に示されるもの等の形成装置の構成要素(例えば、一対のロールのロール)は、対合ロールの表面と相互噛合することができる分離した「雄型」形成要素をその上に備える、ロール42等の少なくとも1つのロールを備えてもよい。
図2に示されるように、それぞれのロール上の雄型要素は、それらが、ロールが回転する際に相互噛合することができ、機械方向(MD)に退却させなくてもよいように、列に配置されてもよい。
【0045】
ロール上の分離した雄型形成要素は、任意の好適な構成を有してもよい。所与の形成要素は、同一の平面長さ及び幅寸法を有することができる(円形又は正方形形状の平面を有する形成要素等)。あるいは、形成要素は、その幅よりも大きい長さを有してもよく(矩形平面を有する形成要素等)、その場合、形成要素は、その幅に対するその長さの任意の好適な縦横比を有し得る。形成要素に対する好適な構成としては、三角形形状の側面を有する歯;柱状形状を有する要素;円形、楕円形、砂時計形状、星形状、多角形等を含む、平面を有する要素、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。多角形形状としては、矩形、三角形、五角形、六角形、又は台形が挙げられるが、これらに限定されない。形成要素の側壁は、基部から先端にかけて一定の角度で先細になっていてもよく、又はそれらは、角度を変化させてもよい。形成要素は、平らな、若しくは丸められた先端を有することができ、又は先鋭な点を形成することができる。形成要素の好適な構成の幾つかの例には、SELF要素、RKA要素、サメの鰭又はピン形状の要素、及びこれらの変形が挙げられるが、これらに限定されない。これらは、
図2〜
図10を参照して以下により詳細に記載される。
【0046】
SELFロール上の形成要素を、機械方向(MD)又は機械横方向(CD)のいずれかに配向させることができる(ロール上の形成要素が互いに接触しないように構成されなければならない、他方のロールの構成によって)。
図2に示されるように、ロール42等のSELFロールは、ロールの円周の周囲に、複数の交互の円周隆起部44及び溝46を備えてもよい。隆起部44は、ロールの軸に平行に配向される、その中に形成される離間したチャネル48を有する。チャネル48は、SELFロール上に形成要素又は歯50を作り出す、隆起部44中の破断部を形成する。かかる実施形態では、歯50は、機械方向(MD)に配向される、それらのより長い寸法を有する。これらのロール構成は、通常のSELFプロセスにおいて、そのようなロールによって形成されたニップに送り込まれる材料が、機械横方向(又は「CD」)に伸長されるため、本明細書では、「CD SELF」ロールと称される。本明細書で使用されるプロセスは、ロールが速度差で動作し、典型的なSELFプロセスで生成されるものとは異なる特性を伴う構造を生成するという点において、Procter & GambleのSELFプロセスとは異なることを理解されたい。
【0047】
他の実施形態(
図3に示されるもの等)では、SELFロール60は、機械方向、又は「MD SELF」ロールを備えることができる。そのようなロールは、それらの長手寸法がロールの軸Aに対して平行(つまり、機械横方向(CD))に配向されている、交互の隆起部及び溝を有する。そのようなロールにおける隆起部は、ロールの円周の周囲に配向される、そこに形成された離間したチャネル68を有する。チャネル68は、MD SELFロール上に形成要素又は歯62を形成するために、隆起部中に破断部を形成する。
図3に示される特定のMD SELFロールは、歯が互い違いパターンで配置されているため、「互い違い」MD SELFロールと称される。つまり、隣接する列内の歯は、互いに対してオフセットされるか、又は互い違いにされる。そのようなロールは、例えば、同様のロール又はロールの軸に対して平行に延在する隆起部及び溝を有するリングロールと噛み合わせることができる。
【0048】
図4は、
図2に示される装置のもの等の相互噛合ロール40及び42の一部分の断面を示す。
図4は、上側リングロールの隆起部34、及び隆起部の間の溝36を示す。下側SELFロールの表面は、歯50と、歯50の間の溝46とを有する。それぞれの隆起部34及び歯50は、断面で見た際に三角形又は逆V字の形状を有することができる。隆起部及び歯の頂点は、ロールの表面に対して最も外側にある。示されるように、形成要素は、隆起部の高さ(又は、形成要素が歯の場合、歯の高さ)TH、先端半径TR、ピッチPと称される歯と歯とのCD間隔(又は隆起部と隆起部とのCD間隔)、並びに
図5に示されるように、前縁LE、後縁TE、歯の長さTL、及び歯と歯とのMD間隔TDを有する。かかる実施形態における歯の長さTLは、円周測定である。隆起部又は歯の最も外側の先端は、前駆体材料における切断又は裂けを回避するために、好ましくは丸められた側面を有する。
図4に示されるように、一方のロールの隆起部34等の形成要素は、ロール40と42との相互噛合のレベルの尺度である「係合深さ」(DOE)を画定するように、対向ロールの溝46内に部分的に延在する。
【0049】
一実施形態では、歯50は、約0.5mm(0.020インチ)以下〜約10mm(0.400インチ)の範囲に及ぶ長さTL、並びに約0.5mm(0.020インチ)〜約20mm(0.800インチ)のMD間隔TD、約0.5mm(0.020インチ)〜約10mm(0.400インチ)の範囲に及ぶ歯の高さTH、約0.05mm(0.002インチ)〜約2.0mm(0.080インチ)の範囲に及ぶ歯の先端半径TR、及び約0.3mm(0.012インチ)〜10mm(0.400インチ)のピッチPを有してもよい。係合深さDOEは、約0.02mm(0.001インチ)〜約10mm(0.400インチ)(歯の高さTHに近づく最大限まで)にすることができる。もちろん、DOE、P、TH、TD、TL、及びTRは、前駆体ウェブ10の特性及び吸収部材20の所望の性質によって、それぞれを相互から独立して変化させることができる。加えて、第1のロール上の歯の形状及び幾何学的形状を、第2の噛み合うロール上の歯と同一の、又はそれらとは異なる形状及び幾何学的形状にすることができる。
【0050】
図5は、本明細書において「互い違いCD SELF」ロールと称される、ロールの一実施形態を示す。
図5に示されるように、ロールの表面は、複数の離間した歯72を有する。歯72は、互い違いパターンで配置される。より具体的には、歯72は、ロール周囲に74及び76等の複数の円周方向に延在する、軸方向に離間配置された列に配置される。ここでも、各列の歯の間の間隔TDがなければ、各ロールにおける歯は、複数の円周方向に延在する、軸方向に離間した交互の隆起部及び溝付き領域を形成する。しかしながら、この場合では、隣接する列内の歯は、互いに対してオフセットされるか、又は互い違いにされる。歯の長さTL及び機械方向(MD)の間隔TDは、ロールがそれらの端部のうちの1つから見られるとき、隣接した列74及び76中の歯が重なり合っているか、又は重なり合って見えないように、画定され得る。示される実施形態では、隣接した列内の歯72は、0.5xの距離、円周方向にオフセットされる(ここで「x」は、歯の長さ+所与の列中の歯の間のMDの間隔TDに等しい)。換言すれば、隣接した列中の隣接した歯の前縁LEは、MDで0.5xオフセットされる。
図5に示されるロールは、任意の好適な様式で、例えば、最初にロールに隆起部及び溝を研削し、次いで、ロールの表面に歯72を螺旋状に研削し、各研削が連続的であることによって作製されてもよい。所望に応じて、歯のプロファイル(特に、前縁及び後縁)は、プランジ研削を用いることによって修正され得る。
【0051】
図6は、本方法で使用することができる、別の構成の雄型要素を有する、ロールの表面の一部分を示す。
図6に示されるロールは、本明細書において回転刃式孔開け(Rotary Knife Aperturing)(又は「RKA」)ロールと称される。
図6に示されるように、ロール80は、歯82及び溝の円周方向に延在する交互の列を備える。歯82は、角錘歯形状を有し、それぞれの側面の形状が概して三角形である、最大で6つの側面を有することができる。歯82は、それらの基部で底部ロールに接合される。歯の基部は、断面幅寸法より大きい断面長さ寸法を有する。歯82は、それらの基部からそれらの先端にかけて一定の角度で先細にすることができ、又は
図6に示される歯のように、先細の角度を変化させることができる。
図6は、歯がそれらの先端に向かって先細になり始める前に、基部に隣接する歯の側面の一部分が実質的に垂直であるように、基部が面取りされる、歯の例を示す。RKAロールは、米国特許出願公開第US 2006/0087053 A1号においてより詳細に記載される。
【0052】
図7は、本方法で使用することができる、別の構成の雄型要素92を有する、ロール90の表面の一部分を示す。本実施形態では、前縁LE及び後縁TEは、ロールの表面と異なる角度を形成し、サメの鰭の形状と類似する(これは、「サメの鰭状歯」と称される場合がある)。前縁LEは、ロールの表面と後縁TEより大きい角度を形成してもよい。場合によっては、後縁TEは、ロールの表面に対して概して垂直な角度を形成してもよい。
図7に示されるサメの鰭状歯のバージョンでは、サメの鰭状歯92は、6つの側面94(そのうちの3つが、描写される歯の半分に示されている)を伴う、概して尖頭角錘形状を有し、それぞれの側面の形状は、概して三角形である。2つの側面の頂点は前縁LEを作り、2つの側面の頂点は歯92の後縁TEを作る。前縁又は後縁の頂点を、比較的先鋭にすることができ、又は他の場合では、それらを、丸められた曲率半径を有するように機械加工することができる。
図7に示されるように、歯は、それらの基部からそれらの先端にかけて一定の角度で先細にすることができ、又は角度を変化させることができる。また、歯は、例えば、LE及びTEが、頂点を形成する代わりに四角形にされる場合、6つより少ない側面を有することもできる。
【0053】
図8は、本方法で使用することができる、別の構成の雄型要素102を有する、ロール100の表面の一部分を示す。
図8に示されるロール100は、本明細書において「ピン」ロールと称される。前述の歯の幾何学的形状とは異なり、ピンロールの歯102は、切子面カットされておらず、それらが平らな面を備えないことを意味する。ピン歯は、円形又は楕円形等の様々な断面形状を有することができる。歯の先端106を、先鋭な点にすることができ、丸めることができ、又は平らな表面を有するように切頭することができる。また、歯102を、ある角度で屈曲させることもできる。側壁104は、基部から先端106にかけて一定の角度で先細にすることができ、又は側壁は、角度を変化させることができる。例えば、歯102の頂部は、歯の軸と側壁104との間に30度の角度を伴う、円錐のような形状を有することができ、歯の基部は、歯の軸に対して平行に走る垂直側壁を伴う、円筒形状を有することができる。
【0054】
図9は、本方法で使用することができる、別の構成の雄型要素を有する、ロール110の表面の一部分を示す。
図9に示されるロールは、本明細書において「凸状隆起部付きRKA」ロールと称される。
図9に示されるように、このロール110は、ロールの軸に対して垂直に配向される、複数の円周方向に延在する隆起部112と、溝114とをその表面に備える。隆起部112は、上面116を有し、溝114は、底面を有する。ロール110は、隆起部112の上面116から外向きに延在する、複数の離間した歯120を更に備える。歯120は、基部122と、先端124とを有し、隆起部112の上面116は、歯120の先端124と溝の底面との間にロールの軸に対して一方向に配置される。示されるバージョンでは、歯120の基部122は、断面幅寸法より大きい断面長さ寸法を有する。
【0055】
本明細書に記載される様々な構成を有するロールを、それらの間にニップを形成するように、任意の好適な組み合わせで共に噛み合わせることができる。
図2に示されるように、分離した雄型形成要素を備えるロールは、リングロールに噛み合わせられてもよい。あるいは、
図10に示されるように、分離した雄型形成要素を備えるロールは、分離した雄型形成要素を備える別のロールに噛み合わせられてもよい。ロールを、同一の、又は異なるパターンを備える別のロールと相互噛合させることができるが、歯が互いに接触しないように行われなければならない。2つの噛み合うロールを、第1のロール上の歯の列が第2のロール上の歯の列からCDにオフセットされる(又は間に定置される)ように整合させることができる。また、2つの噛み合うロールを、それらが互いに接触しないように、第1のロール上の歯の列が第2のロール上の歯の列とCDに整合され、ロールがMDに退却されるように整合させることもできる。
【0056】
ロールの幾つかの組み合わせで、ウェブがニップを通過した後に、一方又は両方のロールからウェブを取り外すために、様々な処理助剤が必要である。例えば、シリコーン又はフッ化炭素のようなくっつき防止処理を加えることができる。ウェブをローラーから取り外すのを助ける他の方法としては、エアナイフ又はブラッシングが挙げられる。一実施形態では、ロールのうちの少なくとも1つは、内部チャンバと、ウェブ取り外し点で正空気圧を提供する手段とを有することができる。更に他の実施形態では、ロールの溝に侵入し、ウェブを溝から能動的に持ち上げることができる、櫛又は巻きワイヤの形態のウェブ取り外しシステムを装置に設けることができる。
【0057】
図10は、好適なロール組み合わせの非限定的な一実施形態を示す。
図10は、CD SELFロール(上方に示される)及び下方のサメの鰭状ロールによって形成される、噛み合うロール組み合わせを示す。もちろん、他の実施形態では、2つのロールの位置を逆にすることができる。サメの鰭状ロールは、ロールからウェブを取り外す力を減少させるのを助長し、そのロール上へのウェブ取り外し助剤の必要性を排除することが見出された。同じことが、ロールの表面から90度より大きい角度が付けられた前縁を伴ういずれの歯形状にも言えると考えられる。言及される角度は、歯の外側のロールの表面の部分と前縁との間で測定される。典型的に、1つのロールの速度は、ウェブの速度に近く、噛み合うロールの速度は、ウェブの速度より遅い。SELFロール(又は他のタイプのロール)に噛み合わせられるサメの鰭状ロールでは、サメの鰭状ロールは、典型的に、より速く回転するロールである。2つのロールの表面速度比は、1.01、1.05、1.1、1.5、2.0、又は3.0以上、最大で、ウェブが望ましくない、大きいスリット若しくは連続したスリットを含有し始める最大値までの、任意の好適な値であることができる。
【0058】
様々な好適なロール組み合わせには、以下の噛み合うロール構成、リングロール/リングロール、SELF/SELF、SELF/リングロール、RKA/サメの鰭状、RKA/リングロール、SELF/サメの鰭状(
図10)、サメの鰭状/サメの鰭状、SELF/ピン、ピン/サメの鰭状、ピン/リングロール、及びピン/ピンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
両方のロール上に分離した雄型要素又は歯を伴う2つのロールを備える実施形態では、プロセスは、第1のロール上のニップ内の歯を、第2のロール上のニップ内の歯で退却させることができるように設計されてもよい。結果として、第1のロール上のニップ内の歯は、常に、第2の噛み合うロール上のニップ内の歯に対して同一の相対位置を有し、ウェブ上に、一貫した変形の繰り返しパターンをもたらしてもよい(ロールが異なる速度で回転しているにも関わらず)。
図11は、2つの噛み合うロール(この場合、2つの互い違いCD SELFロール)上の歯が、ニップ内でどのように整合して、ウェブ上に一貫した繰り返しパターンを作り出すことができるかの例を示す、ウェブ10上の域の概略平面図である。
図11は、ウェブ上の、第1のロール上の歯によって衝撃が与えられた域130Aと、第2のロール上の歯によって衝撃が与えられた域130Bとを示す。第1のロールによる変形のそれぞれは、第2のロールによってなされる隣接する変形に対して、常に同一の相対位置にある。本文脈において使用するとき、「隣接する」という用語は、変形はウェブの反対面に形成され得るが、他方のロールによってなされる最も近い変形を指す。これを達成するように、以下を含む複数の方法で、プロセスを設計することができる。
【0060】
一実施形態では、2つの噛み合うロールの直径を同一にすることができ、ロールを、異なる軸方向速度又は1分間当たりの回転数(rpm)で進ませることができ、少なくとも一方のロール上の歯の繰り返しMD長さを、第1のロールと第2のロールとのrmpの比が第1のロールと第2のロールとの歯の繰り返しMD長さの比と等しくなるように変化させることができる。本明細書で使用するとき、「歯の繰り返しMD長さ」という用語は、歯の長さTLと、歯の間の歯と歯とのMD間隔TDとの合計を指す。
【0061】
別の実施形態では、ロールを、同一の軸方向速度又はrpmで進ませることができ、第1のロールと第2のロールとの直径の比が第1のロールと第2のロールとの歯の繰り返しMD長さの比と等しくなるように、ロールの直径及び歯の繰り返しMD長さを変化させることができる。
【0062】
あるいは、第1のロール上のニップ内の歯が第2の噛み合うロール上のニップ内の歯に対して退却されず、したがって、第1のロール上の歯が、1つの歯列と隣の歯列で、第2のロール上の歯に対する一貫したMD位置を維持しないように、プロセスを設計することができる。
図11Aは、2つの噛み合うロール(2つの互い違いCD SELFロール)上の歯が、依然としてある距離間隔で繰り返す可変パターンをどのように作り出すことができるかの例を示す、ウェブ10上の域の概略平面図である。
図11Aは、ウェブ上の、第1のロール上の歯によって衝撃を与えられた域130Aと、第2のロール上の歯によって衝撃を与えられた域130Bとを示す。「可変」によって、第1のロールによって形成される変形が、1つの歯列と隣の歯列で、第2のロールによって形成される変形に対して常に同一の相対位置ではないことが意味される。しかしながら、パターンは繰り返す。
図11Aに示される例では、パターンは、第1のロール上では7番目の歯列毎に繰り返し、第2のロール上では5番目の歯列毎に繰り返す。繰り返し長さは、2つの噛み合うロールの表面速度比、直径、及び歯の繰り返しMD長さに依存する。
【0063】
上記の方法によって形成される、変形された材料20の表面(単数又は複数)は、その中に複数の変形を有する。変形は、前駆体ウェブの第1及び第2の表面の少なくとも1つ上の平面から押し出される前駆体材料の部分(ウェブを貫通しない)、陥凹、突出部、開口、又はこれらの組み合わせを含む、任意の好適な形態であることができる。「陥凹」という用語は、ウェブの厚さに部分的に延在する変形を指す。開口は、ウェブの厚さを完全に通過する。ウェブの一方の側上に作り出される陥凹又は開口は、ウェブの反対側上で可視であり、それぞれ突出部又は開口として現れてもよい。変形は、連続(2つのリングロールが使用される場合等)しているか、分離しているか、又はこれらの組み合わせであることができる。変形は、規則的なパターン又は不規則パターンを含む、任意の好適なパターンで配置され得る。変形のパターンは、前駆体材料を変形させるために使用されるプロセス及び装置の生成物である。場合によっては、陥凹又は開口は、機械方向に細長く、第1の端部と、第2の端部とを有してもよい。
【0064】
形成部材が分離した形成要素(歯等)をその上に有するロールを備える場合では、変形又は開口を形成するロール上の歯が、ウェブの表面速度に対して異なる表面速度で進行しているため、歯は、変形又は開口が細長く、MDに広げられるように、また、場合によっては、CDにも広げられるように、材料を「筋付け」してもよい。加えて、また、材料の「筋付け」は、陥凹又は開口の一方の端部に材料を集積させ、多くの場合、
図18に示されるように折り重ならせる。これらの集積領域26は、水上を進行するボートによって作り出される船首波に類似する、曲線状の平面図構成を有してもよい。この筋付け効果は、変形されたウェブを形成するために使用されるプロセス及び使用される装置内の形成部材の構成によって、ウェブの片側又は両側上に生じてもよい。したがって、場合によっては、変形されたウェブのそれぞれの表面は、その中に、同様の変形パターンを有してもよい。しかしながら、そのような変形された不織布ウェブの第1の表面上に形成される集積領域は、幾つかの実施形態では、陥凹の第1の端部分に隣接してもよく、変形されたウェブの第2の表面上に形成される集積領域は、陥凹の第2の端部分に隣接してもよい。そのような実施形態では、反対面上の船首波は、反対方向を向いている。
【0065】
III.代替の実施形態。
材料に様々な異なる特性を提供するために使用することができる、本明細書に記載される方法の数多くの代替の実施形態が存在する。
【0066】
代替の実施形態では、本方法は、前駆体ウェブ10を
図12に示されるような複数の変形ニップを伴う装置に供給して通す工程を含むことができる。
図12に示される装置は、2対のロール140及び142を備え、「対合ロール」装置と称される場合がある。各ロール対は、それぞれ、単一のニップNをそれらの間に形成する2つのロール、140A及び140B、並びに142A及び142Bを備える。
図12に示される実施形態では、4つのロールが示されている。しかしながら、装置は、任意の好適な数のロールを備えることができる。複数のロールは、前駆体ウェブ10を複数のニップを通して進ませることが望ましい場合に有用である。ウェブ上の同一の場所で、又は異なる場所でウェブを変形させるように、装置を構成することができる。
【0067】
他の代替の実施形態では、本方法は、表面にわたる1つ以上の選択領域でウェブを変形させる工程を含むことができる。
【0068】
本明細書に記載される任意の実施形態では、ウェブは、1つ以上の層を備えることができる。
図12に示されるような複数の変形ニップを備える装置では、異なる任意のニップにウェブ12等の追加のウェブが導入されてもよい。追加の層は、異なる化学組成物、製剤、審美性、導電特性、芳香特性、及び機械的特性を有するウェブを追加するために使用されてもよい。そのような追加のウェブは、それらが、そのような追加のウェブ(単数又は複数)の上流に導入されたウェブ(単数又は複数)が幅全体に及ぶように、又は及ばないように、選択されてもよい。これは、積層体の一部の領域が他の領域とは異なる数の層を含有する、積層体を作製するために使用されてもよい。他の積層体構造では、領域は、同数の層を含有してもよいが、幾つかの変形特徴は、それらの厚さにわたって異なる数の層を有し得る。
【実施例】
【0069】
以下の実施例は、以下の表にまとめられる様々なフィルム及び不織布材料を記載する。実施例1、3、5、及び7は、本発明の本方法に従って作製されていない対照実施例である。実施例2、4、6、及び8は、本発明の本方法に従って作製されたものである。
【0070】
【表1】
【0071】
実施例1〜4は、
図5に示されるようなリングロールと噛み合わせられた互い違いSELFロールを備える装置を使用して、約15m/分(1分間当たり約50フィート)で処理された。実施例1及び2のフィルムは、25グラム/m
2(グラム毎平方メートル)のポリエチレンフィルムである。実施例3及び4の不織布は、60グラム毎平方メートルのスパンボンドポリエステルである。SELFロール及びリングロールは、両方とも直径が14.4cm(5.69インチ)であり、1.5mm(0.060インチ)のCDピッチPを有する。SELFロール上の歯は、互い違いパターンで配置され、長手方向がMDに走るように配向される。歯は、一般的に前縁LEから後縁TEで測定される、約1.3mm(0.050インチ)の均一な円周長さ寸法TLを有し、約0.13mm(0.005インチ)の歯の先端での歯の先端半径TRは、約1.5mm(0.060インチ)の距離TDだけ互いから円周方向に均一に離間され、約3.7mm(0.145インチ)の歯の高さTHを有する。歯の長手側は、約9.1度の夾角を有し(即ち、それぞれの側壁が、垂直から4.55度の角度になっている)、歯の前縁及び後縁は、垂直側壁を有する。リングロールの隆起部は、SELF歯と同様の輪郭を有し、約3.7mm(0.145インチ)の隆起部の高さTH、約0.13mm(0.005インチ)の歯の先端半径TR、及び約9.1度の夾角を伴う。SELFロール及びリングロールは、歯のいずれかの側上の間隙がほぼ等しくなるように、互いに対してCDにオフセットされる。ロールは、2.0mm(0.080インチ)の係合深さ(DOE)まで互いに噛み合わせられる。リングロールは、ウェブがリングロール上で滑らないように、事前に180度巻かれ、ニップの上流のウェブに張力が印加される。実施例1及び3では、SELFロール及びリングロールは、両方とも22歯ギア上を進み、1.0の表面速度比(即ち、等しい表面速度)をもたらす。実施例2及び4では、SELFロールは、16歯ギア上を進み、一方、リングロールは、22歯ギア上を進み、SELFロールがリングロールより速く回転する1.4の表面速度比をもたらす。
【0072】
実施例1〜4のプロセスによって生成される変形されたウェブは、それぞれ、
図13〜
図16に示されている。
【0073】
図13は、フィルムに同一の表面速度で移動する2つのロールの間のニップを通過させることによって作製された対照実施例材料を示す。
図13に示されるように、伸長の大部分は、SELF歯によって作り出される陥凹内及びその周囲に局限される。具体的には、伸長の大部分は、ウェブの平面に直交する。
【0074】
これは、そのようなフィルムに、本発明による異なる表面速度で移動する2つのロールを通過させることによって形成される変形されたウェブ20と対比することができる。この後者のフィルムは、
図14に示されている。
図14に示されるように、このフィルムでは、フィルムの伸長部分は、陥凹22の域をはるかに越えて延在し、場合によっては、ウェブの大部分に広がることができる。そのようなウェブは、依然として、陥凹22の領域内でウェブの平面に直交する方向に伸長されるが、また、ウェブの平面内でMD及びCDにも伸長される。本実施例は、本発明が、ウェブの寸法及び伸長されるウェブの場所を増加させる能力を有することを実証する。したがって、本方法は、単一のニップ内での複数の方向への伸長を提供することができる。
【0075】
図15は、不織布に同一の表面速度で移動する2つのロールの間のニップを通過させることによって作製された対照実施例材料を示す。
図15に示されるように、ウェブは、機械方向に細長い陥凹を備える。
【0076】
これは、そのような不織布に、本発明による異なる表面速度で移動する2つのロールを通過させることによって形成される変形されたウェブ20と対比することができる。この後者の不織布20は、
図16に示されている。
図16に示されるように、ウェブ内に形成される陥凹22は、
図15に示されるウェブと比較して大幅に幅が広い。これは、吸収構造の流体獲得を改善するのに、及び陥凹を消費者により明白にするのに有益である。また、
図16のウェブ内の陥凹22は、
図15に示されるウェブと比較して低い、長さと幅とのアスペクト比も有する。
【0077】
実施例5〜8は、
図9に示されるような凸状隆起部付きRKAロールと噛み合わせられた、
図6に示されるような互い違いRKAロールを備える装置を使用して、約15m/分(1分間当たり約50フィート)で処理された。実施例5及び6のフィルムは、25グラム毎平方メートルのポリエチレンフィルムである。実施例7及び8の不織布は、60グラム毎平方メートルのスパンボンドポリエステルである。RKAロール及び凸状隆起部付きRKAロールは、両方とも直径が14.4cm(5.69インチ)であり、1.5mm(0.060インチ)のCDピッチPを有する。RKAロール上の歯は、互い違いパターンで配置され、長手方向がMDに走るように配向される。歯は、4.3mm(0.170インチ)の均一な先端と先端とのMD間隔を有する。RKA歯の基部は、六角形のような形状であり、5.3mm(0.210インチ)の歯の高さTHを有する。歯の2つの側壁は、13.6度の夾角を有する(即ち、それぞれの側壁は、垂直から6.8度の角度になっている)。歯は、尖頭先端を有し、歯の側壁は、歯の先端から歯の基部にかけて一定の角度で先細になっている。歯の前縁LE及び後縁TEは、50度の夾角を有する(即ち、それぞれの縁部は、垂直から25度の角度になっている)。歯の前縁及び後縁を作り出す頂点を形成する壁は、歯の先端から歯の先端の3.8mm(0.150インチ)下方の歯上の点にかけて一定の角度で先細になっている。次いで、壁は、歯の底部1.5mm(0.060インチ)で、それらの角度を垂直(即ち、ロールの基部に対して90度の角度)に変化させる。凸状隆起部付きRKAロールは、同様に長手方向がMDに走るように配向される、分離した形成要素を有する。歯は、標準的なパターンで配置され、隣接する歯がCDに整列されることを意味する。RKAロール上の歯は、角錘形状を有し、隆起部から0.13mm(0.005インチ)の直径を伴う鈍頭先端にかけて先細になっている、4つの側面を有する。歯の高さTHは、1.0mm(0.040インチ)であり、隆起部の高さは、2.7mm(0.105インチ)である。歯の側壁は、約9.1度の夾角を有し(即ち、それぞれの側壁が、垂直から約4.55度の角度になっている)、歯の前縁及び後縁は、約27.1度の夾角を有する。凸状隆起部付きRKAロール上の歯は、MDに均等に離間しており、1.5mm(0.060インチ)の先端と先端との間隔を伴う。RKAロール及び凸状隆起部付きRKAロールは、歯のいずれかの側上の間隙がほぼ等しくなるように、互いに対してCDにオフセットされる。RKAロール及び凸状隆起部付きRKAロール上の歯の位置は、MDにいずれかの特定の様式で位置付けられてはいない。ロールは、2.0mm(0.080インチ)のDOEまで互いに噛み合わせられる。実施例5及び7では、RKAロール及び凸状隆起部付きRKAロールは、両方とも22歯ギア上を進み、1.0の表面速度比(即ち、等しい表面速度)をもたらす。実施例6及び8では、RKAロールは、16歯ギア上を進み、一方、凸状隆起部付きRKAロールは、22歯ギア上を進み、RKAロールが凸状隆起部付きRKAロールより速く回転する1.4の表面速度比をもたらす。
【0078】
実施例5〜8のプロセスによって生成された変形されたウェブは、それぞれ
図17〜
図20に示されている。
【0079】
図17は、フィルムに同一の表面速度で移動する2つのロールの間のニップを通過させることによって作製された対照実施例材料を示す。
図17に示されるように、フィルム内に形成される開口は、狭く、かつスリットのようである。
【0080】
これは、そのようなフィルムに、本発明による異なる表面速度で移動する2つのロールを通過させることによって形成される変形されたウェブ20と対比することができる。この後者のフィルム20は、
図18に示されている。
図18に示されるように、ウェブ内に形成される開口24は、
図15に示されるウェブと比較して、大幅に長く、かつ幅が広く、この場合も同様に、吸収構造の増加した流体獲得及び開口の改善された可視性の利益を提供する。また、
図18は、差動速度プロセスが、材料が26等の開口の一方の端部に集積し、折り重ねられるように、材料をどのように「筋付け」するかも示す。また、凸状隆起部付きRKAロールによって作り出される突出部は、ウェブの上面側でも可視である。「筋付け」の大部分は、第1のRKAロール上の歯の周囲に生じるが、また、ウェブは、第2の凸状隆起部付きRKAロール上の歯によっても、第1のRKAロール上の歯によって形成される開口の反対方向にではあるが、「筋付け」される。
【0081】
図19は、不織布に同一の表面速度で移動する2つのロールの間のニップを通過させることによって作製された対照実施例材料を示す。
図19に示されるように、ウェブは、機械方向に細長い、狭い、スリットのような開口を備える。
【0082】
これは、そのような不織布に、本発明による異なる表面速度で移動する2つのロールを通過させることによって形成される
図20に示される変形された不織布ウェブ20と対比することができる。
図20に示されるように、異なる表面速度を有するロールを用いて処理されたウェブ20は、より長く、かつより幅が広い開口24を有し、それらをより可視かつ機能的にする。
【0083】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40グラム」として開示された寸法は、「約40グラム」を意味することを意図する。
【0084】
本明細書の全体を通じて与えられるすべての最大の数値限定は、それよりも小さいすべての数値限定を、そうしたより小さい数値限定が恰も本明細書に明確に記載されているものと同様にして包含するものと理解すべきである。本明細書の全体を通じて与えられるすべての最小数値限定は、それよりも大きいすべての数値限定を、あたかもそれらの大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているものと同様にして含むものである。本明細書の全体を通じて与えられるすべての数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に含まれるそれよりも狭いすべての数値範囲を、あたかもそれらのより狭い数値範囲がすべて本明細書に明確に記載されているものと同様にして含むものである。
【0085】
本発明の「発明を実施するための形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に援用するが、いずれの文献の引用もそうした文献が本発明に対する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照することにより組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と矛盾する範囲については、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0086】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。