(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記側面幅拡張凹部が形成されている前記保持溝の部分の溝開口部は、前記溝開口部における前記保持溝の開口を広げるように前記溝底面に向かって窪んだ開口凹部を有する請求項1に記載の基板収納容器。
前記リップ部は、前記蓋体が前記容器本体開口部を閉塞しているときに、前記開口周縁部に当接する周縁部当接リップ部と、前記周縁部対向部に当接する対向部当接リップ部とを有し、前記周縁部当接リップ部の前記開口周縁部への当接と、前記対向部当接リップ部の前記周縁部対向部への当接とにより、前記シール部材は、前記蓋体と共に前記容器本体開口部を気密状態で閉塞する請求項1又は請求項2に記載の基板収納容器。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態による基板収納容器1について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る基板収納容器1を示す分解斜視図である。
図2は、本発明の実施形態に係る基板収納容器1に基板Wが収納された様子を示す分解斜視図である。
図3は、本発明の実施形態に係る基板収納容器1の蓋体3を示す斜視図である。
図4は、本発明の実施形態に係る基板収納容器1の蓋体3を示す背面図である。
【0017】
図5は、
図4のA−A線に沿った断面図である。
図6は、
図4のB−B線に沿った断面図である。
図7は、
図4のC−C線に沿った断面図である。
図8は、本発明の実施形態に係る基板収納容器1の蓋体3の蓋体本体30を示す斜視図である。
図9は、
図8に示す二点鎖線で囲まれた部分近傍を示す拡大斜視図である。
図10は、本発明の実施形態に係る基板収納容器1の蓋体3のシール部材4を示す斜視図である。
図11は、本発明の実施形態に係る基板収納容器1の蓋体3のシール部材4を示す拡大斜視図である。
【0018】
ここで、説明の便宜上、後述の容器本体2から蓋体3へ向かう方向(
図1における右上から左下へ向かう方向)を前方向D11と定義し、その反対の方向を後方向D12と定義し、これらを前後方向D1と定義する。また、後述の下壁24から上壁23へと向かう方向(
図1における上方向)を上方向D21と定義し、その反対の方向を下方向D22と定義し、これらを上下方向D2と定義する。また、後述する第2側壁26から第1側壁25へと向かう方向(
図1における右下から左上へ向かう方向)を左方向D31と定義し、その反対の方向を右方向D32と定義し、これらを左右方向D3と定義する。
【0019】
また、基板収納容器1に収納される基板W(
図2参照)は、円盤状のシリコンウェーハ、ガラスウェーハ、サファイアウェーハ等であり、産業に用いられる薄いものである。本実施形態における基板Wは、直径300mm〜450mmのシリコンウェーハである。
【0020】
図1〜
図2に示すように、基板収納容器1は、上述のようなシリコンウェーハからなる基板Wを収納するためのものであり、容器本体2と、蓋体3と、側方基板支持部としての基板支持板状部5と、奥側基板支持部(図示せず)と、蓋体側基板支持部としてのフロントリテーナ(図示せず)とを有している。
【0021】
図1に示すように、容器本体2は、一端部に容器本体開口部21が形成され、他端部が閉塞された筒状の壁部20を有する。容器本体2内には基板収納空間27が形成されている。基板収納空間27は、壁部20により取り囲まれて形成されている。壁部20の部分であって基板収納空間27を形成している部分には、基板支持板状部5が配置されている。基板収納空間27には、
図2に示すように、複数の基板Wを収納可能である。
【0022】
基板支持板状部5は、基板収納空間27内において対をなすように壁部20に設けられている。基板支持板状部5は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されていないときに、複数の基板Wの縁部に当接することにより、隣接する基板W同士を所定の間隔で離間させて並列させた状態で、複数の基板Wの縁部を支持可能である。基板支持板状部5の奥側には、奥側基板支持部(図示せず)が設けられている。
【0023】
奥側基板支持部(図示せず)は、基板収納空間27内においてフロントリテーナ(図示せず)と対をなすように壁部20に設けられている。奥側基板支持部(図示せず)は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに、複数の基板Wの縁部に当接することにより、複数の基板Wの縁部の後部を支持可能である。
【0024】
蓋体3は、容器本体開口部21を形成する開口周縁部28(
図1等)に対して着脱可能であり、容器本体開口部21を閉塞可能である。フロントリテーナ(図示せず)は、蓋体3の部分であって蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに基板収納空間27に対向する部分に設けられている。フロントリテーナ(図示せず)は、基板収納空間27の内部において奥側基板支持部(図示せず)と対をなすように配置されている。
【0025】
フロントリテーナ(図示せず)は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに、複数の基板Wの縁部に当接することにより複数の基板Wの縁部の前部を支持可能である。フロントリテーナ(図示せず)は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに、奥側基板支持部(図示せず)と協働して複数の基板Wを支持することにより、隣接する基板W同士を所定の間隔で離間させて並列させた状態で、複数の基板Wを保持する。以下、各部について、詳細に説明する。
【0026】
図1等に示すように、容器本体2の壁部20は、奥壁22と上壁23と下壁24と第1側壁25と第2側壁26とを有する。奥壁22、上壁23、下壁24、第1側壁25、及び第2側壁26は、プラスチック材等により構成されており、本実施形態では、ポリカーボネートにより一体成形されて構成されている。
【0027】
第1側壁25と第2側壁26とは対向しており、上壁23と下壁24とは対向している。上壁23の後端、下壁24の後端、第1側壁25の後端、及び第2側壁26の後端は、全て奥壁22に接続されている。上壁23の前端、下壁24の前端、第1側壁25の前端、及び第2側壁26の前端は、奥壁22に対向する位置関係を有し、略長方形状をした容器本体開口部21を形成する開口周縁部28を構成する。
【0028】
開口周縁部28は、容器本体2の一端部に設けられており、奥壁22は、容器本体2の他端部に位置している。壁部20の外面により形成される容器本体2の外形は箱状である。壁部20の内面、即ち、奥壁22の内面、上壁23の内面、下壁24の内面、第1側壁25の内面、及び第2側壁26の内面は、これらによって取り囲まれた基板収納空間27を形成している。開口周縁部28に形成された容器本体開口部21は、壁部20により取り囲まれて容器本体2の内部に形成された基板収納空間27に連通している。基板収納空間27には、最大で25枚の基板Wを収納可能である。
【0029】
図1、
図2に示すように、上壁23及び下壁24の部分であって、開口周縁部28の近傍の部分には、基板収納空間27の外方へ向かって窪んだラッチ係合凹部231A、231B、241A、241Bが形成されている。ラッチ係合凹部231A、231B、241A、241Bは、上壁23及び下壁24の左右両端部近傍に1つずつ、計4つ形成されている。
【0030】
図1〜
図2に示すように、上壁23の外面においては、フランジ固定部(図示せず)及びリブ235A、235Bが、上壁23と一体成形されて設けられている。フランジ固定部(図示せず)は、上壁23の中央部に配置されている。フランジ固定部(図示せず)には、トップフランジ236が固定される。トップフランジ236は、上壁23の中央部に配置されている。トップフランジ236は、AMHS(自動ウェーハ搬送システム)、PGV(ウェーハ基板搬送台車)等において基板収納容器1を吊り下げる際に、基板収納容器1において掛けられて吊り下げられる部分となる部材である。
【0031】
リブ235Aは、トップフランジ236から左前方向、右前方向にそれぞれ複数本延びている。また、リブ235Bは、トップフランジ236から前方向D11に複数本延びており、また、トップフランジ236から後方向D12に複数本延びている。
【0032】
図1等に示すように、蓋体3は、容器本体2の開口周縁部28の形状と略一致する略長方形状を有している。蓋体3は容器本体2の開口周縁部28に対して着脱可能であり、開口周縁部28に蓋体3が装着されることにより、蓋体3は、容器本体開口部21を閉塞可能である。蓋体3の内面(
図1に示す蓋体3の裏側の面)であって、蓋体3が容器本体開口部21を閉塞しているときの開口周縁部28の開口縁のすぐ後方向D12の位置に形成された段差の部分の面(シール面281)に対向する面には、環状のシール部材4が取り付けられている。
【0033】
蓋体3が開口周縁部28に装着されたときに、シール部材4の後述するリップ部42は、シール面281と蓋体3の内面を構成する周縁部対向部331とにより挟まれて弾性変形し、蓋体3は、容器本体開口部21を密閉した状態で閉塞する。開口周縁部28から蓋体3が取り外されることにより、容器本体2内の基板収納空間27に対して、基板Wを出し入れ可能となる。
【0034】
より詳細には、蓋体3は、蓋体本体30を有している。蓋体本体30は、略長方形をした蓋体3の外郭を形成している。このため、蓋体本体30は略長方形状を有する。蓋体本体30は、内面301(
図3等参照)と、外面302とを有している。内面301は、後述のように、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに基板収納空間27に対向する。外面302は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに、基板収納容器1の外部に露出する。蓋体本体30は、プラスチック材等により構成されており、本実施形態では、ポリカーボネートにより成形されて構成されている。
【0035】
蓋体本体30の周縁の部分であって容器本体2の開口周縁部28を構成するシール面281に対向する部分は、
図5等に示すように、シール部材取付部311と周縁部対向部331とを有している。シール部材取付部311には、保持溝321が形成されている。シール部材取付部311は、蓋体本体30の周縁の部分を一周するように存在して形成されており、保持溝321もシール部材取付部311に沿って、蓋体本体30の周縁の部分を一周するように存在している。開口周縁部28を構成するシール面281に対向する蓋体本体30の周縁の部分であって、保持溝321よりも蓋体3の外方の部分により、周縁部対向部331は構成されている。周縁部対向部331は、蓋体本体30の周縁の部分であって、左右方向D3及び上下方向D2に平行な板状の部分により構成されている。
【0036】
保持溝321は、溝底面322及び一対の溝側面323を有している。
図7に示すように、保持溝321の延びる方向に直交する方向で切った保持溝321の断面の形状は、矩形である。当該断面において、保持溝321の開口から保持溝321の深さ方向に延びる面は、一対の溝側面323を構成する。溝底面322は、保持溝321の底を構成する。保持溝321には、シール部材4の後述する基部41が挿入される。これにより、シール部材4は、蓋体3のシール部材取付部311に取り付けられており、シール部材4のリップ部42は、開口周縁部28及び周縁部対向部331に当接可能である。
【0037】
保持溝321に挿入された基部41の一対の側面412と一対の溝側面323との間には、それぞれ保持溝321の開口に連通する空間である側面幅拡張凹部324により構成される側面空間が形成される。シール部材取付部311は、側面幅拡張凹部324を形成する側面凹部形成部312を有している。側面幅拡張凹部324は、シール部材取付部311の保持溝321において一対の溝側面323の間の幅を広げるように一対の溝側面323からそれぞれ窪んで形成されている。従って、側面幅拡張凹部324が形成されているため、保持溝321の一対の溝側面323の一部は、
図9に示すように、互いに対向する位置関係で、略直方体形状で削り取られたような形状を有している。
【0038】
図3、
図8、
図9に示すように、左右方向D3におけるシール部材取付部311の中央部分であって、側面幅拡張凹部324が形成されている保持溝321の部分の溝開口部は、空間である開口凹部313を有している。開口凹部313は、容器本体2の中央寄りの側面幅拡張凹部324を形成する側面凹部形成部312の部分に形成されている。開口凹部313は、溝開口部における保持溝321の開口を略U字状に広げるように溝底面322に向かって窪んだ凹部により構成されている。
【0039】
シール部材取付部311は、一対の側面相対突出部314を有している。前述のように、
図9に示すように、側面幅拡張凹部324が形成されていることにより、側面幅拡張凹部324が形成されていない部分は、側面幅拡張凹部324の底部を形成する側面凹部形成部312の部分から相対的に突出している。この突出している部分により、保持溝321内において対向する一対の側面相対突出部314が構成されている。側面相対突出部314は、略直方体形状を有して突出している。側面相対突出部314、及び、側面幅拡張凹部324により構成される側面空間は、蓋体3の周縁部分に沿って保持溝321を一周するように交互に複数形成されている。側面幅拡張凹部324が形成されている部分の保持溝321の幅は、6mm〜8mm程度であり、側面相対突出部314の部分の保持溝321の幅は、2mm程度である。保持溝321の延びる方向における側面相対突出部314の長さは、3mm程度である。また、溝底面322に向かう開口凹部313の窪み量は、3mm程度である。隣接する側面相対突出部314同士は、40mmの間隔で配置されている。
【0040】
シール部材4は、弾性変形可能なポリエステル系、ポリオレフィン系など各種熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム製、シリコンゴム製等により構成されている。
図10に示すように、シール部材4は、長方形状の環状を有しており、蓋体3の外周縁部を一周するように配置されている。
【0041】
シール部材4は、基部41とリップ部42とを有している。
図5等に示すように、シール部材4の環状の周方向に直交する基部41の断面形状は、矩形である。基部41は、先端面411と、先端面411から延びる一対の側面412と、側面412の延びた先に位置する基端410とを有している。基部41において、先端面411と一対の側面412とが保持溝321に挿入される。保持溝321に挿入された基部41の一対の側面412と一対の溝側面323とは、対向する位置関係を有している。
【0042】
基部41の先端面411から側面412の延びた先に位置する基端410には、リップ部42が一体成形されて設けられている。リップ部42は、基部41の先端面411から側面412の延びる方向に直交する方向へ、即ち、
図5の左方向へ、基部41の基端410から延びている。リップ部42は、
図5等に示すように、途中から2枚に分岐して周縁部当接リップ部421と対向部当接リップ部422とを構成する。蓋体3が容器本体開口部21を閉塞しているときに、周縁部当接リップ部421は、開口周縁部28に当接し、対向部当接リップ部422は、周縁部対向部331に当接する。周縁部当接リップ部421の開口周縁部28への当接と、対向部当接リップ部422の周縁部対向部331への当接とにより、シール部材4のリップ部42は、開口周縁部28と周縁部対向部331との間に介在して開口周縁部28及び周縁部対向部331に密着して、蓋体3と共に容器本体開口部21を気密状態で閉塞する。
【0043】
基部41には、底部空間を構成する基部凹部413が形成されている。空間である基部凹部413は、
図5に示すように、基部41の先端面411の一部が略直方体形状に削り取られたような形状を有しており、保持溝321に挿入された基部41と溝底面322と間に存在している。
【0044】
即ち、底部空間は、基部41において基部41の外郭から窪んだ空間である基部凹部413を有している。基部凹部413を形成している基部41の部分は、基部凹部形成部414を構成する。また、基部41は、基部相対突出部415を有する。基部相対突出部415は、基部41に基部凹部413が形成されていることにより基部凹部形成部414の部分から相対的に突出する部分により構成されている。基部相対突出部415、及び、底部空間構成する基部凹部413は、蓋体3の周縁部分に沿って保持溝321を一周するように交互に複数形成されている。
【0045】
シール部材4の基部41の一対の側面412を結ぶ方向における厚さは、2mm程度である。基部相対突出部415の突出量は、1.5mm程度である。シール部材4の延びる方向に直交する方向から見た側方視では、
図11に示すように、基部相対突出部415は略台形状を有しており、シール部材4の延びる方向における基部相対突出部415の長さは、基部相対突出部415の先端部において3mm程度であり、基部相対突出部415の基端部において5mm程度である。隣接する基部相対突出部415同士は、40mmの間隔で配置されている。
【0046】
基部41は、以下のような位置関係で、保持溝321に挿入される。
図5に示すように、基部41は、保持溝321において、環状のシール部材4の周方向に延びる基部凹部形成部414の一部分が、一対の側面凹部形成部312の間に配置される位置関係を有して、保持溝321に挿入される。これにより、
図5に示す基部凹部413の部分を有する底部空間と、
図5に示す側面幅拡張凹部324の部分を有する側面空間とは、連通している。
【0047】
また、
図7に示すように、基部41は、保持溝321において、環状のシール部材4の周方向に延びる基部凹部形成部414の一部分以外の他の部分が、一対の側面相対突出部314の間に配置される位置関係を有して、保持溝321に挿入される。これにより、
図7に示す基部凹部413の部分を有する底部空間と、
図5に示す側面幅拡張凹部324を有する側面空間とは、連通している。
【0048】
また、
図5に示すように、基部41は、保持溝321において、環状のシール部材4の周方向に延びる一対の側面凹部形成部312の一部分の間に、基部凹部形成部414が配置される位置関係を有して、保持溝321に挿入される。これにより、前述のように、
図5に示す基部凹部413の部分を有する底部空間と、
図5に示す側面幅拡張凹部324の部分を有する側面空間とは、連通している。
【0049】
また、
図6に示すように、基部41は、保持溝321において、環状のシール部材4の周方向に延びる一対の側面凹部形成部312の一部分以外の他の部分の間に、基部相対突出部415が配置される位置関係を有して、保持溝321に挿入される、これにより、前述のように、
図5に示す基部凹部413の部分を有する底部空間と、
図6に示す側面幅拡張凹部324の部分を有する側面空間とは、連通している。保持溝321が延びる方向において、
図5に示す断面の部分、
図6に示す断面の部分、
図5に示す断面の部分、
図7に示す断面の部分、
図5に示す断面の部分、
図6に示す断面の部分、・・・、と繰り返す位置関係で、基部41は、保持溝321に挿入されている。
【0050】
蓋体3においては、ラッチ機構が設けられている。ラッチ機構は、蓋体3の左右両端部近傍に設けられており、
図1に示すように、蓋体3の上辺から上方向D21へ突出可能な2つの上側ラッチ部32Aと、蓋体3の下辺から下方向D22へ突出可能な2つの下側ラッチ部(図示せず)と、を備えている。2つの上側ラッチ部32Aは、蓋体3の上辺の左右両端近傍に配置されており、2つの下側ラッチ部は、蓋体3の下辺の左右両端近傍に配置されている。
【0051】
蓋体3の外面においては操作部33が設けられている。操作部33を蓋体3の前側から操作することにより、上側ラッチ部32A、下側ラッチ部(図示せず)を蓋体3の上辺、下辺から突出させることができ、また、上辺、下辺から突出させない状態とすることができる。上側ラッチ部32Aが蓋体3の上辺から上方向D21へ突出して、容器本体2のラッチ係合凹部231A、231Bに係合し、且つ、下側ラッチ部(図示せず)が蓋体3の下辺から下方向D22へ突出して、容器本体2のラッチ係合凹部241A、241Bに係合することにより、蓋体3は、容器本体2の開口周縁部28に固定される。
【0052】
蓋体3の蓋体本体30の内側には、フロントリテーナ(図示せず)が固定されて設けられている。フロントリテーナ(図示せず)は、フロントリテーナ基板受け部(図示せず)を有している。フロントリテーナ基板受け部(図示せず)は、左右方向D3に所定の間隔で離間して対をなすようにして2つずつ配置されている。このように対をなすようにして2つずつ配置されたフロントリテーナ基板受け部(図示せず)は、上下方向D2に25対並列した状態で設けられている。基板収納空間27内に基板Wが収納され、蓋体3が閉じられることにより、フロントリテーナ基板受け部(図示せず)は、基板Wの縁部の端縁を挟持して支持する。
【0053】
上述のような基板収納容器1において、洗浄液により蓋体3の洗浄を行う際の洗浄液及び空気の流れは、以下のとおりである。先ず、洗浄液により蓋体3の洗浄が行われる。この際、洗浄液は、保持溝321の開口から保持溝321内へ流入する。特に略U字形状の開口凹部313が形成されているため、この部分から多くの洗浄液が側面幅拡張凹部324により構成される側面空間に流入する。側面幅拡張凹部324に流入した洗浄液は、側面幅拡張凹部324に連通する基部凹部413により構成される底部空間に流入する。このように、洗浄液は、連通する側面幅拡張凹部324と基部凹部413とを流れて、保持溝321を洗浄し、側面幅拡張凹部324を通して保持溝321から排出される。
【0054】
洗浄後、蓋体3に吹き付けられたエアは、洗浄液と同様に、保持溝321の開口から保持溝321内へ流入する。特に略U字形状の開口凹部313が形成されているため、この部分からより多くのエアが、側面幅拡張凹部324により構成される側面空間に流入する。側面幅拡張凹部324に流入したエアは、側面幅拡張凹部324に連通する基部凹部413により構成される底部空間に流入する。このように、エアは、連通する側面幅拡張凹部324と基部凹部413とを流れて、保持溝321に残留している洗浄液を吹き飛ばし、側面幅拡張凹部324を通して保持溝321から排出する。この際、対向部当接リップ部422が周縁部対向部331に当接していても、基部41に関してリップ部42とは反対の側に位置している側面幅拡張凹部324に流入したエアは、
図5において矢印で示すように、基部凹部413を通り、基部41に関してリップ部42の側に位置している側面幅拡張凹部324に流れる。そして、エアは、対向部当接リップ部422を周縁部対向部331から離間させ、残留していた洗浄液と共に、保持溝321から流出する。
【0055】
次に、本実施形態による基板収納容器1の効果を試す試験を行った。試験では、本実施形態による基板収納容器1を本発明品1〜3として用意した。また、開口凹部313が形成されておらず、これ以外の構成は本発明品と同一である蓋体を、本発明品4〜6として用意した。また、側面幅拡張凹部324が一対形成されておらず、一方の側面幅拡張凹部324のみ、具体的には、保持溝321の中央寄りの内側の側面幅拡張凹部324のみ形成されている蓋体を、比較品1とし、保持溝321の中央寄りの外側の側面幅拡張凹部324のみ形成されている蓋体を、比較品2〜4として用意した。また、一対の側面幅拡張凹部324が形成されていない蓋体を、比較品5として用意した。また、一対の側面幅拡張凹部324が形成されておらず、保持溝321の中央寄りの内側の側面幅拡張凹部324のみ形成され、且つ、シール部材4に基部凹部413が形成されていない蓋体を比較品6として用意した。比較品1〜6は、上述した構成の違い以外は、本発明品1と同一の構成を有している。また、一対の側面幅拡張凹部324及び基部凹部413が形成されていない、従来の蓋体を比較品7として用意した。
【0056】
そして、試験では、蓋体本体にシール部材4を取り付けた状態で、洗浄液として超純水を用いて超純水洗浄を行った。その後、熱風を吹き付けることにより乾燥させた。この工程を本発明品、比較品全てについて、3回を1セットとして複数セット行い、保持溝における洗浄液の残留状況についての結果を得た。熱風の温度は、75℃〜80℃程度であり、熱風を吹き付けて乾燥を行った時間は、20分程度である。熱風の吹きつけは、長方形状を有する蓋体本体の長辺の中央に向けて行った。結果は表1、表2に示すとおりである。○は、試験を行った全ての回数において、保持溝に洗浄液が残留することは無かったことを意味する。○or△は、複数セット試験を行った内の少数セットのみにおいて、1セット中の3回中1回のみ保持溝に洗浄液がわずかに残留していたことを意味し、他のセットにおいては、保持溝に洗浄液が残留することは無かったことを意味する。△は、全てのセットにおいて、試験を行った3回のうちの、1回において保持溝に洗浄液が少量残留し、他の2回においては、洗浄液が残留していないことを意味する。×は、試験を行った全ての回数において、保持溝に洗浄液が多量に残留していたことを意味する。
【0058】
表1に示すように、本発明品1〜6のいずれにおいても、結果は良好であった。即ち、本発明品1〜5については、保持溝321内に洗浄液が残留することは無かった。本発明品6については、複数セット繰り返して上記洗浄及び乾燥を行ったもののほとんどは、保持溝321内に洗浄液が残留することは無かった。少数セットのうちのそれぞれ1回のみ、保持溝321内に洗浄液がわずかに残留していた。これに対して、表2に示すように、結果が最もよいと考えられる比較品2、比較品5であっても、部分的に洗浄液が保持溝に少量残留していた。他の比較品1、3、4、6、7においては、洗浄液が多量に残留していた。
【0059】
この結果から、本発明品では、いずれも良好な結果を得られることが分かる。特に、一対の側面幅拡張凹部324や、基部凹部413が形成され,更に、開口凹部313が形成されていることにより、良好な結果を、より確実に得られることが分かる。これに対して、一対の側面幅拡張凹部324や、基部凹部413が形成されていない蓋体の場合には、良好な結果を得られることできないことが分かる。例えば、側面幅拡張凹部324については、一対形成されていることにより結果が良好になることが分り、一方の側面幅拡張凹部324だけでは、良好な結果を得ることができないことが分かった。同様に、一対の側面幅拡張凹部324を形成せずに、基部凹部413のみ形成した場合も、良好な結果を得ることができないことが分かった。
【0060】
上記構成の実施形態に係る基板収納容器1によれば、以下のような効果を得ることができる。
基板収納容器1は、複数の基板Wを収納可能な基板収納空間27が内部に形成され、一端部に基板収納空間27に連通する容器本体開口部21が形成された開口周縁部28を有する容器本体2と、容器本体開口部21に対して着脱可能であり、シール部材取付部311と開口周縁部28に対向する周縁部対向部331とを有し、容器本体開口部21を閉塞可能な蓋体3と、蓋体3のシール部材取付部311に取り付けられ、開口周縁部28及び周縁部対向部331に当接可能であり、開口周縁部28と周縁部対向部331との間に介在して開口周縁部28及び周縁部対向部331に密着して当接することにより、蓋体3と共に容器本体開口部21を気密状態で閉塞するシール部材4と、を備えている。
【0061】
シール部材取付部311は、溝底面322及び一対の溝側面323を有する保持溝321を有している。シール部材4は、先端面411と先端面411から延びる一対の側面412とを有して先端面411と一対の側面412とが保持溝321に挿入される基部41と、基部41から延びて開口周縁部28及び周縁部対向部331に当接するリップ部42とを有している。保持溝321に挿入された基部41の先端面411と溝底面322とは、対向する位置関係を有し、保持溝321に挿入された基部41と溝底面322と間には、底部空間が形成されている。また、保持溝321に挿入された基部41の一対の側面412と一対の溝側面323とは、対向する位置関係を有し、保持溝321に挿入された基部41の一対の側面412と一対の溝側面323との間には、それぞれ保持溝321の開口に連通する側面空間が形成されている。そして、底部空間と側面空間とは、連通している。
【0062】
この構成により、シール部材4が蓋体本体30に取り付けられた状態で洗浄を行い、保持溝321内に洗浄液が残留した場合に、側面空間を通してエアを保持溝321内に流入させることができる。更に、底部空間と側面空間とは、連通しているため、一の側面空間を通して流入したエアを底部空間に流すことができる。その後、他の側面空間を通して底部空間を流れたエアを保持溝321内に残留していた洗浄液と共に、保持溝321の外へ,容易に排出することができる。
【0063】
また、側面空間は、シール部材取付部311の保持溝321において一対の溝側面323の間の幅を広げるように一対の溝側面323からそれぞれ窪んだ側面幅拡張凹部324を有している。シール部材取付部311は、側面幅拡張凹部324を形成する側面凹部形成部312と、側面幅拡張凹部324が形成されていることにより側面幅拡張凹部324の底部を形成する側面凹部形成部312の部分から相対的に突出する一対の側面相対突出部314とを有している。底部空間は、基部41において基部41の外郭から窪んだ基部凹部413を有している。基部41は、基部凹部413を形成する基部凹部形成部414と、基部凹部413が形成されていることにより基部凹部413の底部を形成する基部凹部形成部414の部分から相対的に突出する基部相対突出部415とを有している。
【0064】
そして、基部41は、保持溝321において基部凹部形成部414の一部分が一対の側面凹部形成部312の間に配置される位置関係を有すると共に、基部凹部形成部414の一部分以外の他の部分が一対の側面相対突出部314の間に配置される位置関係を有して、保持溝321に挿入されるか、又は、保持溝321において一対の側面凹部形成部312の一部分の間に基部凹部形成部414が配置される位置関係を有すると共に、一対の側面凹部形成部312の一部分以外の他の部分の間に基部相対突出部415が配置される位置関係を有して、保持溝321に挿入される。
【0065】
この構成により、シール部材4に形成され底部空間を構成する基部凹部413と、シール部材取付部311に形成され側面空間を構成する側面幅拡張凹部324とを通して、保持溝321に残留した洗浄液を容易に側面幅拡張凹部324から排出させることができる。
【0066】
また、側面幅拡張凹部324が形成されている保持溝321の部分の溝開口部は、溝開口部における保持溝321の開口を広げるように溝底面322に向かって窪んだ開口凹部313を有する。
【0067】
この構成により、開口凹部313を通して、エアを側面幅拡張凹部324に流入しやすくすることができ、より多くのエアで、保持溝321に残留している洗浄液を、保持溝321から排出させることができる。
【0068】
また、リップ部42は、蓋体3が容器本体開口部21を閉塞しているときに、開口周縁部28に当接する周縁部当接リップ部421と、周縁部対向部331に当接する対向部当接リップ部422とを有する。周縁部当接リップ部421の開口周縁部28への当接と、対向部当接リップ部422の周縁部対向部331への当接とにより、シール部材4は、蓋体3と共に容器本体開口部21を気密状態で閉塞する。
【0069】
この構成により、底部空間の存在によって基部41による保持溝321におけるシールを確保できない場合であっても、周縁部当接リップ部421と対向部当接リップ部422とにより、容器本体開口部21と蓋体3との間をシールすることができる。
【0070】
また、保持溝321は、蓋体3の周縁部分を一周するように形成され、底部空間及び側面空間は、蓋体3の周縁部分に沿って保持溝321を一周するように形成されている。この構成により、保持溝321においてどの位置に洗浄水が残留した場合であっても、いずれかの側面空間から流入したエアによって、残留した洗浄水を保持溝321の外へ排出させることができる。
【0071】
本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的範囲において変形が可能である。
【0072】
例えば、底部空間は、基部凹部413により構成され、側面空間は、側面幅拡張凹部324によって構成されたが、これらの構成に限定されない。例えば、シール部材4の基部41には、基部凹部413が形成されておらず、保持溝321の溝底面322が窪んで形成された凹部により構成されてもよい。また、例えば、側面空間は、シール部材4の基部41の一対の側面412が窪んで形成された側面凹部により構成されてもよい。
【0073】
また、本実施形態においては、保持溝321が延びる方向において、
図5に示す断面の部分、
図6に示す断面の部分、
図5に示す断面の部分、
図7に示す断面の部分、
図5に示す断面の部分、
図6に示す断面の部分、・・・、と繰り返す位置関係で、基部41は、保持溝321に挿入されていたが、これに限定されない。保持溝321が延びる方向において、
図5に示す断面の部分と、
図6に示す断面の部分又は
図7に示す断面の部分とが、交互に位置して、基部41が保持溝321に挿入されていればよい。
【0074】
また、底部空間及び側面空間は、蓋体3の周縁部分に沿って保持溝321を一周するように形成されていたが、この構成に限定されない。また、蓋体3の洗浄液として超純水を用いたが、これに限定されない。また、容器本体2及び蓋体3の形状や、容器本体2に収納可能な基板Wの枚数、寸法は、本実施形態における容器本体2及び蓋体3の形状や、容器本体2に収納可能な基板Wの枚数、寸法に限定されない。