(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134059
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】大サイズフィルタープレート
(51)【国際特許分類】
B01D 25/12 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
B01D25/12 101Z
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-512195(P2016-512195)
(86)(22)【出願日】2013年11月26日
(65)【公表番号】特表2016-516578(P2016-516578A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(86)【国際出願番号】CN2013087835
(87)【国際公開番号】WO2014190693
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2015年11月10日
(31)【優先権主張番号】201310203763.1
(32)【優先日】2013年5月28日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515309494
【氏名又は名称】佛山市金凱地過濾設備有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲ぱん▼ 仲達
【審査官】
中村 俊之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−167315(JP,A)
【文献】
特開昭59−073012(JP,A)
【文献】
特開2008−132429(JP,A)
【文献】
特開2000−157804(JP,A)
【文献】
特開昭60−255123(JP,A)
【文献】
実開昭61−019411(JP,U)
【文献】
実開平07−021104(JP,U)
【文献】
特開平09−164308(JP,A)
【文献】
特開平02−068103(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/097288(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 25/00−25/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタープレートであって、板体の両面の周縁部には、閉鎖状の凸リブをそれぞれ前記周縁部から突出するように設置し、
2個の前記フィルタープレートが密着すると、前記板体の両面の前記凸リブの間には、ギャップを形成し、
前記板体の両面は、前記凸リブの内側の領域に、柱状突起が均一にいっぱいに設置され、同一面におけるすべての前記柱状突起の頂面を相互に連結した場合に形成される面はフラットで、前記板体の前記柱状突起を突出して設置されるベース面は内側よりも外側のほうが厚さが厚く、前記柱状突起は内側よりも外側に位置するほうが高さが低い
ことを特徴とするフィルタープレート。
【請求項2】
前記板体の一面の前記凸リブの頂面は、平面状で、
前記板体の反対面の前記凸リブは尖頂或いは弧面頂であることを特徴とする請求項1に記載のフィルタープレート。
【請求項3】
2個の前記フィルタープレートが密着すると、隣り合う2個の前記フィルタープレートの平面状の頂面を有する前記凸リブと尖頂或いは弧面頂を有する前記凸リブとの間に形成された前記ギャップは、閉鎖状であることを特徴とする請求項2に記載のフィルタープレート。
【請求項4】
平面状の頂面を有する前記凸リブは、尖頂或いは弧面頂を有する前記凸リブよりも、内側に設置されることを特徴とする請求項3に記載のフィルタープレート。
【請求項5】
前記ギャップの幅は、3mm−5mmであることを特徴とする請求項1に記載のフィルタープレート。
【請求項6】
前記板体の両面には、円周上に均一に分布するようにサポート柱を設置し、
2個の前記フィルタープレートが密着すると、前記板体における対応する前記サポート柱が相互に緊密に接触することを特徴とする請求項5に記載のフィルタープレート。
【請求項7】
前記サポート柱は、二組に分かれて内側と外側の二つの円周上に分布するように設置され、
内側に位置する一組の前記サポート柱は4個で、各々の直径は、30mm−50mmで、
外側に位置する一組の前記サポート柱は6個で、各々の直径は、50mm−70mmであることを特徴とする請求項6に記載のフィルタープレート。
【請求項8】
前記フィルタープレートは円形で、
外側に位置する前記サポート柱は、直径が前記フィルタープレートの直径の40%-60%である円周上に分布するように設置され、
内側に位置する前記サポート柱は、直径が前記フィルタープレートの直径の20%-30%である円周上に分布するように設置されることを特徴とする請求項7に記載のフィルタープレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧搾機技術に関し、特に大サイズフィルタープレートに関する。
【背景技術】
【0002】
プレッシャーフィルターは、環境保護技術領域においてしばしば用いられる工業設備である。
汚泥が混じった汚水は、プレッシャーフィルターを経た後、比較的乾燥したマテリアルと比較的きれいな水に分離される。
これにより、マテリアルの体積は大幅に縮小し、埋め立て或いは焼却等形式による処理に便利である。
水は各種固態成分を分離され、或いは直接回收利用され、或いはさらに処理を行った後、回收利用され、及び直接放出される。
【0003】
常用されるプレッシャーフィルターは、シャーシ、フィルタープレート、フィルタープレートの駆動設備とフィルター等構成部材を有する。
使用時には、フィルタープレートは、圧迫され、相互に密集し、フィルターはフィルタープレート表面に取り付けられ、隣り合うフィルタープレートのフィルターの間には、封鎖空間を形成する。
汚水は、フィルタープレートの中心孔を経由し、各フィルタープレートの間の封鎖空間内に入る。
汚水の強大な圧力により、水はフィルターを通過しフィルタープレート内部に開設される透水孔に入り、プレッシャーフィルターから排出される。
けれども、汚泥はフィルターを通過できないため、隣り合うフィルタープレートのフィルターの間の封鎖空間に累積する。
汚泥が一定量まで沈積すると、フィルタープレートを開き、塊状になった汚泥を一個ずつフィルタープレートのフィルターの間から落下させる。
現在、省エネや環境保護は社会全体が注目するホットな話題である。
プレッシャーフィルターは体積が巨大な汚水を体積が小さな汚泥の塊に変えられ、企業の汚水処理コストを大幅に圧縮できるため、極めて高い経済効益と社会効益を備える。
上記した全過程から分かるように、プレッシャーフィルターの作動効率と作動効果は、最も重要な二つの要素である。
前者は、一定時間内にどれだけの汚水をろ過できるかであり、後者は、最終的にろ過された汚泥の含水率がどれだけ低いかである。
つまり、プレッシャーフィルターの改良は上記した問題の集合なのである。
【0004】
既存の技術中のプレッシャーフィルターのフィルタープレート直径はすべて0.6m以下である。
仮により大きなサイズのフィルタープレートを製造すれば、一回により多くの汚泥をろ過することができ、作動効率を向上させることができる。
しかし、フィルタープレート直径が大きくなるに従い、二つ問題が現れてくる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記先行技術には、以下のような二つの欠点があり、それを主因として、フィルタープレートをこれ以上大きく製造することができない。
一つ目は、直径が大きくなれば、フィルタープレートの円周もそれに従い長くなり、圧迫ろ過の状態時、隣り合うフィルタープレートの間の密封はより困難になる点である。
特に汚泥の塊が脱落する時、隣り合うフィルタープレートの密封位置に落下してしまう汚泥の塊もやはりある。
各プレッシャーフィルターは、十数個のフィルタープレートを有し、サイズも非常に大きいため、人手により汚泥の塊を一回一回清掃することは不可能である。
次に圧迫ろ過する時、隣り合うフィルタープレートをしっかりと密封することは恐らく無理である。
これにより、汚水は汚泥を含んだままで、非密封位置から流れ出るため、フィルターにろ過されることはない。
【0006】
二つ目は、フィルタープレートが受ける圧力は、汚水の圧力にフィルタープレートの面積を掛けたものであるため、フィルタープレートの直径が大きくなれば、フィルタープレートが受ける汚水圧力も大きくなる点である。
よって、圧迫ろ過の過程において、フィルタープレートは隣り合う両側の汚水の衝撃により左右に揺れ動き、フィルタープレートの強度が不十分なら、容易に破損し、フィルタープレートの使用寿命を短くしてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はより大きいサイズのフィルタープレートを製造でき、プレッシャーフィルターの汚水圧迫ろ過の作動効率を向上させられるフィルタープレートに関する。
【0008】
本発明によるフィルタープレートは、板体の両面の外圈位置には、封鎖された凸リブをそれぞれ設置する。
該2個のフィルタープレートが密着すると、該板体の両面の凸リブの間には、ギャップを形成する。
該板体の一面の凸リブの頂面は平面で、該板体の反対面の凸リブは尖頂或いは弧面頂である。
該2個のフィルタープレートが密着すると、隣り合う2個のフィルタープレートの該頂面と尖頂或いは弧面頂との間に形成されたギャップは、封鎖状である。
該頂面は、内圈に設置され、該尖頂或いは該弧面頂は、外圈に設置される。
該ギャップの幅は3-5mmである。
該板体の両面は、凸リブ内の範圍に、柱状突起が均一にいっぱいに充填される。
該すべての柱状突起の頂面は相互にフラットで、該板体の出っ張る柱状突起のベース面は外圈で比較的厚く、内圈で比較的薄い。外圈に位置する該柱状突起は比較的低く、内圈に位置する該柱状突起は比較的高い。
該板体の両面には、円周に均一に分布するサポート柱を設置する。
該2個のフィルタープレートが密着すると、該板体が対応するサポート柱は相互に緊密に接触する。
該サポート柱は、円周に従い、内圈か外圈かに位置し、二組に分かれ、内圈に位置する一組は4個で、各サポート柱の直径は、30-50mmで、外圈に位置する一組は6個で、各サポート柱の直径は50-70mmである。
外圈に位置する該サポート柱の分布円周の直径は該フィルタープレートの直径の40-60%で、内圈に位置する該サポート柱の分布円周の直径は該フィルタープレートの直径の20-30%である。
該フィルタープレートは円形で、直径は0.6m-1.2mで、フィルタープレートのベース面の厚さは30-40mmで、フィルタープレートの最大厚さは50-70mmである。
【0009】
本発明は板体の正面と裏面に封鎖された凸リブの構造をそれぞれ設置し、且つ隣り合うフィルタープレートがプレッシングすると、正面と裏面の凸リブの間には、一定サイズのギャップを形成する。
よって、マテリアルがフィルタープレートの密封位置に残留しており、フィルタープレートが相互にプレッシングする時、ギャップは一定の残留マテリアルを収容でき、こうして残留マテリアルのフィルタープレート密封への影響を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態によるフィルタープレートが多数集まっている時の構造模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるフィルタープレートのギャップ付近の構造を示す
図1のa位置の局部拡大構造模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるフィルタープレートのベース面と柱状突起の構造を示す
図1のb位置の局部拡大構造模式図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるフィルタープレートの正面の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(一実施形態)
以下に図及び具体的実施形態を用いて、本発明の技術について説明する。
図1〜
図3に示す本実施形態のフィルタープレートは、その板体1の両面の外圈位置には、封鎖された凸リブをそれぞれ設置する。
2個のフィルタープレートが密着すると、板体1の両面の凸リブの間には、ギャップ2を形成する。
板体1は、円形、或いは方形で、円形であれば、凸リブは円環状の凸台で、方板であれば、凸リブは方形の凸台である。
凸リブの封鎖とは、凸リブは、両側の先端どうしが接続し、フィルタープレートの板体1の外圈を一周する環台を取り囲む。
【0012】
既存の技術中では、隣り合うフィルタープレートは両面の外圈位置に、密封に用いるエプロンを設置し、或いは正面が環状突起で、裏面は位置が対応する環状凹ピットの構造を採用する。
これら構造は、緊密に密封されるようであるが、実際の作動状況には適していない。
なぜなら、ろ過後の汚泥塊が脱落する時、一部のマテリアルはフィルタープレートの密封位置に残留し、これによりフィルタープレートが次にプレッシングする時、残留していたマテリアルも2個のフィルタープレートの間をプレッシングするため、密封が失効してしまうからである。
【0013】
よって、本発明は、板体1の正面と裏面に、それぞれ1個の封鎖した凸リブを設置する構造を設計した。
且つ隣り合うフィルタープレートがプレッシングすると、正面と裏面の凸リブの間には、一定サイズのギャップ2を形成する(
図2参照)。
よって、マテリアルがフィルタープレートの密封位置に残留しており、フィルタープレートが相互にプレッシングする時、ギャップ2は一定の残留マテリアルを収容でき、こうして残留マテリアルのフィルタープレート密封への影響を回避することができる。
【0014】
さらに、板体1の一面の凸リブの頂面111は平面で、板体1の反対面の凸リブは尖頂或いは弧面頂121である。
頂面111は平面で、より強力な封鎖作用を備え、向かい側のフィルタープレートの板面との接触は面接触である。
尖頂或いは弧面頂121の構造は、マテリアルを、隣り合う板体1の接触位置から押して離れさせ、マテリアルを挟んで漏れが起きることを防止可能である。
【0015】
2個のフィルタープレートが密着すると、隣り合う2個のフィルタープレートの頂面111と尖頂或いは弧面頂121との間に形成されたギャップ2は、封鎖状である。
本構造は実際には、二重密封構造を形成し、密封性能を増強する。
正面の凸リブと裏面の凸リブとは、内圈と外圈の2本の密封のディフェンスを形成し、2本のディフェンスの間は、残留マテリアルを収容するギャップ2である。
【0016】
頂面111は、内圈に設置され、尖頂或いは弧面頂121は、外圈に設置される。
頂面111と隣り合う板面1の接触は、面接触で、封鎖能力が強いため、内圈において、先ず汚水の圧力を受ける。
尖頂或いは弧面頂121は、外圈に位置し、さらに密封の作用を備え、受ける汚水の圧力は比較的小さく、二次的な密封作用を担当する。
【0017】
ギャップ2の幅yは3-5mmである。
この幅は大き過ぎると強度が不足し、密封性能が低下するため、この幅は大き過ぎてはならない。
一方、小さ過ぎると、マテリアルがすぐにたまって詰まってしまい、密封性能を低下させてしまう。
ギャップ2の幅yとは、ギャップ2の最内半径と最外半径の差である(
図2参照)。
【0018】
板体1の両面は、凸リブ内の範圍に、柱状突起13が均一にいっぱいに充填される(見易くするため、
図4では柱状突起13をいっぱいに描いていない)。
図3に示すように、すべての柱状突起13の頂面は相互にフラットで、板体1の出っ張る柱状突起13のベース面14は外圈で比較的厚く、内圈で比較的薄い。
外圈に位置する柱状突起13は比較的低く、内圈に位置する柱状突起13は比較的高い。
柱状突起13の頂面は相互にフラットであるため、フィルタープレートの間のマテリアルを、相同の厚さの乾燥マテリアルに圧搾でき、且つこのような構造は、圧搾後のマテリアルの脱落を容易とする。
【0019】
板体1の両面には、円周に均一に分布するサポート柱15を設置する。
2個のフィルタープレートが密着すると、板体1が対応するサポート柱15は相互に緊密に接触する。
サポート柱15は、汚水の強大な圧力を受けた時、大サイズのフィルタープレートを保護することができ、これによりフィルタープレートは左右に揺れ動かない。
【0020】
サポート柱15は、円周に従い、内圈か外圈かに位置し、二組に分かれる。
内圈に位置する一組は4個で、各サポート柱15の直径は、30-50mmである。
外圈に位置する一組は6個で、各サポート柱15の直径は、50-70mmである。
【0021】
外圈に位置するサポート柱15の分布円周の直径は、フィルタープレートの直径の40-60%で、内圈に位置するサポート柱15の分布円周の直径は、フィルタープレートの直径の20-30%である。
サポート柱15は、マテリアルの圧力が過大な時、フィルタープレートの振動も過大にならないよう防止する作用を備える。
最も容易に振動する位置は、フィルタープレートの中部位置であるため、内圈と外圈に各一組のサポート柱15をそれぞれ設置し、フィルタープレートの圧迫ろ過過程における振動を、これにより効果的に減らすことができる。
【0022】
フィルタープレートは円形で、直径mは0.6m-1.2mで、フィルタープレートのベース面の厚さnは30-40mmで、フィルタープレートの最大厚さxは50-70mmである。
板体1の最大厚さxとは、板体1の正面と裏面の凸リブの頂面の最大距離である。
【0023】
前述した本発明の実施形態は本発明を限定するものではなく、よって、本発明により保護される範囲は後述される特許請求の範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0024】
1 板体、
111 頂面、
121 尖頂或いは弧面頂、
2 ギャップ、
13 柱状突起、
14 ベース面、
15 サポート柱、
m フィルタープレートの直径、
n フィルタープレートのベース面の厚さ、
x フィルタープレートの最大厚さ、
y ギャップの幅。