特許第6134077号(P6134077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6134077-バッテリの温度を定める方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134077
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】バッテリの温度を定める方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20170515BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20170515BHJP
   G01R 31/36 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   H01M10/48 P
   H01M10/48 301
   H01M10/42 P
   G01R31/36 A
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-556887(P2016-556887)
(86)(22)【出願日】2015年4月13日
(65)【公表番号】特表2017-511566(P2017-511566A)
(43)【公表日】2017年4月20日
(86)【国際出願番号】EP2015057925
(87)【国際公開番号】WO2015172953
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2016年9月9日
(31)【優先権主張番号】102014208865.8
(32)【優先日】2014年5月12日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】ライツレ、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ホーレ、サーミマーラ
【審査官】 高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−083612(JP,A)
【文献】 特開2011−014395(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/084663(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/050073(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R31/36,
H01M10/42−10/48,
H02J7/00−7/12,
H02J7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの温度を定める方法であって、以下の処理工程、即ち、
a)少なくとも1つのバッテリセルの充電状態を定める工程と、
b)前記少なくとも1つのバッテリセルを通る電流(I、I)の流れが止められた直後に、当該少なくとも1つのバッテリセルの開放電圧(VL1、VL2)の変化量を定める工程と、
c)前記充電状態、及び、前記開放電圧(VL1、VL2)の前記変化量に基づいて、前記少なくとも1つのバッテリセルの前記温度を定める工程と、
を有する方法。
【請求項2】
前記処理工程c)は、前記開放電圧(VL1、VL2)の時間変化を利用して実行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理工程c)は、前記開放電圧(VL1、VL2)の前記変化量の全プロフィールを利用して実行されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法はバッテリ制御システムによって実行されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれ1項に記載の方法。
【請求項5】
前記処理工程c)は、データセットに基づいて実行されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記処理工程c)は、前記バッテリ制御システムに格納されたデータセットに基づいて実行されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記定められた温度は、温度センサの利用によって検証されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記開放電圧(VL1、VL2)の前記変化量は、周期的に定められることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記開放電圧(VL1、VL2)の前記変化量は、前記バッテリの回復段階の間に定められることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記バッテリは、リチウムイオンバッテリであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つのバッテリセルを含むバッテリを有するバッテリシステムであって、
前記バッテリセルの充電状態を定める手段と、
前記少なくとも1つのバッテリセルを通る電流(I、I)の流れが止められた直後に、当該少なくとも1つのバッテリセルの開放電圧(VL1、VL2)の変化量を定める手段と、
前記充電状態、及び、前記開放電圧(VL1、VL2の時間変化に基づいて温度を定める手段と、
がさらに設けられることを特徴とする、バッテリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリの温度を定める方法に関する。本発明は、特に、セル温度を正確に定めることにより精度が改善された、温度を定める方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばリチウムイオンバッテリのような電気化学的な貯蔵器は、日々の多くの適用において広く普及している。電気化学的な貯蔵器は、例えば、ラップトップ、携帯電話、スマートフォンのようなコンピュータ、及び、他の適用において使用されている。現在非常に進められている、例えば自動車等の車両の電化においても、このようなバッテリは、利点をもたらす。
【0003】
バッテリ又はバッテリセルの駆動温度は、重要な駆動パラメータであることが多い。例えば、温度は、バッテリの効率及び耐久年数に大きな影響を与えうる。なぜならば、温度が上昇した際にはバッテリの効率が下がり、さらに耐久年数も短くなりうるからである。従って、リチウムイオン蓄電池のようなバッテリの駆動温度の測定は、バッテリの駆動にとって重要である。
【0004】
米国特許第6902319号明細書には、熱源とバッテリとの間の熱移動に基づいて車両バッテリの内部温度を推定する方法が記載されている。
【0005】
米国特許出願公開第2012/0109554号明細書には、バッテリ内のセルの深部の温度を推定する方法が開示されている。このような方法では、2つの推定が実行され、重み係数が適用され、続いて、重み付けられた第1の推定及び第2の推定の関数によって、深部の温度が推定される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主題は、バッテリの温度を定める方法であって、以下の処理工程、即ち、
a)少なくとも1つのバッテリセルの充電状態を定める工程と、
b)少なくとも1つのバッテリセルを通る電流の流れが止められた直後に、当該少なくとも1つのバッテリセルの開放電圧の変化量を定める工程と、
c)充電状態、及び、開放電圧の変化量に基づいて、少なくとも1つのバッテリセルの温度を定める工程と、を有する方法である。
【0007】
上記方法によって、特に厳密で最も安価なやり方で、バッテリの温度を定めることが可能となる。本方法では、バッテリの温度を定める際に、詳細には、1つのバッテリセル又は複数のバッテリセルの温度が定められる。
【0008】
これにより、上記方法は、バッテリセル、従ってバッテリの温度を定めるために寄与する。バッテリの温度は、バッテリの駆動時には非常に重要な役割を果たす。その根拠としては、例えば、バッテリが加熱された際にはバッテリが所謂熱暴走を起こしうることが挙げられる。過熱は、例えば、内部でのセルの故障によって、又は、外部からの温度の影響によっても起こりうる。
【0009】
その際に、基本的には公知であるように、このような故障は、特にバッテリセルの内部で起こり、複数の段階を経て進行する可能性があり、その際に、各進行段階で、比較的大きな損傷が引き起こされる可能性がある。過熱された際には、例えば、アノード等に配置された電解質層、又は、電解質とアノードとの間に配置された保護層が損傷又は分解されることになる可能性があり、これにより、電解質の構成材料が、例えば炭素のようなアノード物質と発熱反応を起こす可能性があり、これにより、セルの温度がさらに上がる可能性がある。その際に、このような発熱過程は、例えば、アノードで進行する過程をさらに加速させる可能性があり、その際に、このように生成された熱が、例えば電解質中に存在しうる有機溶剤を分解する可能性がある。これによりさらに、例えばエタン、メタン、又は他の炭化水素のような可燃性ガスが放出される可能性がある。例えば、電解質の分解によるこのようなガスの形成によってさらに、セルの内部で圧力上昇が引き起こされ、更なる損傷がもたらされる可能性がある。
【0010】
以上のことから、正確な温度測定が、バッテリの安全な駆動にとって、さらにはバッテリの十分に長い耐用年数にとって、非常に注目すべきことであることが明らかになる。
【0011】
これらのことを実現するために、上記方法は、処理工程a)によれば、少なくとも1つのバッテリセルの充電状態を定める工程を含む。本処理工程は、それ自体は公知のやり方で、当業者には基本的に知られているように、バッテリ制御システムによって行われうる。バッテリの充電状態は、SOC(State Of Charge)とも呼ばれ、非限定的なやり方で、例えば、バッテリ電圧の監視によって定めることが可能である。なぜならば、バッテリ電圧は充電状態と相関しているからである。さらに、例えば、流れる電流を時間で積分することが可能であり、又は、カルマンフィルタ(Kalman−Filter)を利用することが可能である。しかしながら、少なくとも1つのバッテリセルの温度を定める工程は、上記方法には限定されない。その際に、全てのバッテリセルの充電状態が定められてもよく、又は、例えば直列に接続された複数のバッテリセルの各バッテリセル又は個別バッテリセルの充電状態が、処理工程a)に従って定められてもよい。1つのバッテリセル又は複数のバッテリセルの充電状態を利用することは、本方法にとって、以下の理由から有利であり、即ち、バッテリの駆動時に、充電状態はいずれにせよ測定されていることが多く、従って、そのための技術的前提条件が、既にバッテリ制御システムで整っているため有利でありうる。さらに、充電状態は、以下で解説するように、少なくとも1つのバッテリセルの温度を決定するための可能なパラメータを提供する。
【0012】
処理工程b)によれば、本発明は、少なくとも1つのバッテリセルを通る電流の流れが止められた直後に、当該少なくとも1つのバッテリセルの開放電圧の変化量を定める工程をさらに含む。従って、本処理工程では、電流の流れが止められた後で(例えば電気的接続の遮断によるバッテリセルの切断、又は全消費機器の停止により実現可能)、バッテリセルの開放電圧(Voc)がどのように変化するのかが定められる。詳細には、流れる電流が遮断された場合には、ほぼ全ての充電状態における開放電圧の変化量が決定可能であることが確認されうる。例えば、放電電流が或る一定の期間利用され、その際に、開放電圧が、放電によって、時間が経つにつれて下がる場合には、例えばセルが停止された際に放電電流が止められた際には、電流が止められた直後に、開放電圧のドリフト(Drift)が観察されうる。この場合詳細には、開放電圧の電圧上昇が観察されうる。他方では、或る一定の期間のバッテリ又はセルの充電電流において、従って、例えばセルの切断により、充電電流が止められた直後の経時的な電圧上昇において、開放電圧のドリフトが定められ、その際に、開放電圧は、充電電流が止められた後に降下する。
【0013】
その際に、それ自体は公知のやり方で、例えば1つのセル又は複数のセルで、当該セルを通る電流の流れが止められ、その際に、対応する開放されている極で電圧が測定されることで、開放電圧が定められうる。その際に、電圧の変化又は電圧ドリフトを定めるために、電圧は、特に比較的長い期間に渡って測定される。
【0014】
さらに、本方法は、処理工程c)によれば、充電状態、及び、開放電圧の変化量に基づいて、少なくとも1つのバッテリセルの温度を定め、これによりバッテリの温度を定める工程を含む。本処理工程は、特に、流れる電流が止められた後の開放電圧の上記のドリフトが、流れている電流が放電電流又は充電電流であるかには依存せずに、特に、少なくとも1つのバッテリセルの充電状態及び温度に依存することに基づいている。これにより、本発明に係る方法は、既知の又は一定の充電状態において温度が変化した際には、電流の流れが止められた後の開放電圧の変化量も同様に、温度の変化に従って変化することに基づいている。従って、開放電圧の上昇又は降下は、バッテリセルの温度を定めるための示唆として機能しうる。
【0015】
その際に、1つ以上のバッテリセルの開放電圧が個別に定められた場合については、当該1つ以上のバッテリセルの温度を別々に定めることが可能であり、又は、特に直列に接続された1つ以上のバッテリセルの開放電圧が一緒に定められた場合には、複数のバッテリセルの平均温度を定めることが可能である。
【0016】
従って、温度を定めるための上記方法によって、少なくとも1つのバッテリセルの充電状態及び開放電圧の変化量を利用して、間接的なやり方で温度を定めることが可能となる。その際に、上記方法には、先行技術で公知の測定方法と比較して重要な利点がある。
【0017】
上記方法によって、バッテリの温度が特に正確に測定することが可能である。なぜならば、特に、1つのバッテリセル又は複数のバッテリセルの内部で形成される温度を推定出来るからである。このことは、例えばバッテリの温度がバッテリハウジングの外で定められる場合、バッテリの内部の値と常に対応するわけではないため、特に重要でありうる。さらに、特に、温度の上昇によるエラーの場合には、より大きな損傷を回避するために、非常に迅速な応答が必要となる可能性がある。その際には、セル内部の温度が直接的に定められることにより、特に動的に応答することが可能である。なぜならば、セルの内部の温度上昇は、ハウジングの外側に配置されたセンサでは、時間的に遅れてようやく定められることが多いからである。
【0018】
さらに、上記方法は、温度センサの数を減らしても可能となり、又は、温度センサを完全に無くすことも可能である。これにより、上記方法によって、著しいコスト削減が可能となる。なぜならば、1つには、センサのためのコストを節約出来るからである。さらに、ほぼ、コストが掛けて更に組み込むことなく、上記方法は実行可能である。コストが掛かる組込みとは反対に、上記方法は、簡単なやり方で、問題無く定められる測定データを用いて、特にバッテリ制御システムにより実行することが可能であり、従って、本方法は、簡単なやり方で、最小コストで、既存のシステムで実現可能である。
【0019】
さらに、温度センサの数を減らすことにより重量を減らすことが出来るという更なる別の利点がある。このことは、特に、例えば電気で駆動する車両のような移動型の適用において重要となりうる。
【0020】
さらに、追加的なアクティブな構成要素が無いことでメンテナンス費用が常に下がり、さらに、損傷への潜在的可能性が下げられるため、バッテリの耐用年数がさらに延びる。
【0021】
以上、バッテリの温度を定めるための上記方法によって、バッテリの特に安価で完全な駆動と、さらに、バッテリの特に長い耐用年数が可能となる。
【0022】
一構成の枠組みにおいて、処理工程c)は、開放電圧の時間変化を利用して若しくは開放電圧の変化の時定数を利用して、又は、開放電圧の変化量の全プロフィールを利用して実行されうる。本構成では、特に、ドリフトの時定数(τ)が定められて本方法のために利用される場合に、開放電圧の変化量が特に時間の関数として定められ、評価されうる。本構成において、既に厳密な温度検出が可能となりうる。なぜならば、時定数は既に、そのときの温度に依存することが多く、これにより既に、温度の厳密な測定結果が可能となるからである。ここでは時定数とは、特に、開放電圧の変化の特徴的な値であって、開放電圧が一定になるまでの変化の純粋な時間に関する上記値として理解され、又は、指数関数的に上がり又は下がることが多い過程としての充電電圧の変化が要する時間t=T1/eであって、その初期値の1/eまで下がり又は初期値の1/e分だけ上がるのに要する上記時間t=T1/eとして理解されうる。但し、Tは温度を表す。
【0023】
さらに、開放電圧の純粋な時間変化の他に、開放電圧の変化量の全プロフィールを監視することが可能である。全プロフィールを監視する際には、時間的成分の他に、少なくとも、開放電圧の変化の大きさも考慮することが可能である。特に、本構成によって、1つのバッテリセル又は複数のバッテリセルの温度の特に厳密な検出が可能となる。
【0024】
他の構成の枠組みにおいて、本方法は、バッテリ制御システムによって実行されうる。バッテリ管理システムとも呼ばれるこのようなシステムは、バッテリを駆動するために既に存在していることが多い。その際にバッテリ制御システムは、本方法を実行しうるために、コストが掛かる構成又は改良を必要としない。なぜならば、開放電圧及び充電状態等の、本方法で利用されるパラメータは、バッテリの駆動の枠組みにおいて大抵は問題無く測定出来るからである。これにより、上記パラメータに基づき温度がそれにより検出可能な適切な命令のみ、制御システムに導入されればよい。
【0025】
他の構成の枠組みにおいて、処理工程c)は、特にバッテリ制御システムに格納されたデータセットに基づいて実行されうる。本構成では、本方法が特に簡単に、バッテリ制御システムで実現されうる。簡単なやり方で、所定の充電状態における開放電圧のドリフトに関するパラメータと温度とを対応付けるデータを、バッテリ制御システムのメモリに入力し、そこに格納するだけでよい。このようなデータセットは、簡単なやり方で作成することが可能である。なぜならば、対応するパラメータが、既知の依存性に基づき、単に試みるだけで問題無く獲得されるからである。バッテリ制御システムは、所与のセル又は複数のセルの充電状態が定められた際に、簡単なやり方で温度に対応付けることが可能である。
【0026】
他の構成の枠組みにおいて、定められた温度が、温度センサの利用によって検証されうる。本構成では、特に信頼性の高い温度の決定が可能となる。なぜならば、例えば、充電状態に対する温度の依存性がセルの内部での損傷又は劣化の影響によって変化したことが十分に推測されるからである。例えば、温度センサは、バッテリの目立たぬ位置に存在してもよく、その際に、温度センサを介して定められた温度と、上記方法によって定められた温度と、の照合を可能とする。その際に、2つの温度値の対応する相関が同一の状態にあるか、又は当該相関が変化しているかを定めることが可能である。このようにして、バッテリの長い動作時間の後に正しい温度検出が保証されうる。
【0027】
他の構成の枠組みにおいて、開放電圧の変化量が周期的に定められる。本構成では、バッテリの長期間の駆動も監視するために、開放電圧の変化量が定められうる。このために、例えば周期的に、複数のセルの個々のセルを消費機器から分離し、このようにしてセルを通って電流が流れることが防止され、これにより、必要なパラメータの決定が可能となる。その際にさらに、開放電圧の変化に基づいて、バッテリの温度を対応して周期的に定めることが可能であり、その際に、1つのバッテリセル又は複数のバッテリセルの充電状態が推定され、又は、1つのバッテリセル又は複数のバッテリセルの充電状態も同様に対応して周期的に定められる。
【0028】
これにより、本構成では、バッテリの温度は、全バッテリが停止されている際又は静止状態にある際にのみ得られるのではなく、特に複数のバッテリセルを有するモジュールで配電器に引き続きエネルギーが供給される場合にも得られる。例えば電気で駆動する車両の場合には、このことは例えば、車両が引き続き駆動される場合にもバッテリの温度が定められることを意味しうる。これにより、本構成において、電気的に供給される構成要素の駆動が、特に確実に行われる。
【0029】
他の構成の枠組みにおいて、開放電圧の変化量は、バッテリの回復段階の間に定められうる。本構成では、回復段階の間に、電流の回収によって電流が一時的に例えば抵抗を介して誘導され、この時間の間に開放電圧が決定されうる。ここでは車両で、例えば、理論的には、加速されていない全ての時点に、1つのセル又は複数のセルの開放電圧の推移から温度を決定することが可能である。実際には、この形態による開放電圧の決定は、どの機会でも可能なわけではなく、例えば、所定の時間間隔の後で、又は、例えば比較的長い期間に渡る充電負荷又は放電負荷等の、特定の電流負荷が掛かった後に行われうる。
【0030】
他の構成の枠組みにおいて、バッテリは、リチウムイオンバッテリでありうる。本構成では、上記の温度測定方法は、特に明らかに、効率良く可能でありうる。詳細には、例えば、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マグネシウム(Mg){NiCoMg}を含む複合材料、又は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al){NiMnAl}を含む複合材料、コバルト酸化物、又は、マンガン酸化物によるリチウムイオンバッテリの場合、開放電圧のドリフトは、様々な電極材料において拡散係数が不均一であることの1つの帰結でありうる。ドリフトはさらに、カソード又はアノードの組成が変化したことの1つの帰結でありうる。例えば、リチウムイオンバッテリの場合、アノードは、当該アノードが、例えばグラファイトの形態による炭素、又は、シリコン・スズ・炭素複合材料、又は、純粋なシリコンを有する場合、様々な充電状態において、様々な相によるLiCを形成し、但し、xは、挿入されるリチウムの数を意味する。その際に、様々な相による上記構成は、炭素に分解されず、他の材料でも、例えばチタンを有する電極で発生しうる。電流の流れが止められた場合には、リチウムイオン(Li)の拡散の固有の変化が、リチウムイオン(Li)の拡散係数の変化の1つの結果として、電極材料の組成が不均一であることの1つの帰結として起きる。
【0031】
本発明に係る方法の更なる別の技術的特徴及び利点に関しては、本発明に係るバッテリシステム、図面、及び図面についての記載に関連する解説が明示的に参照される。
【0032】
本発明の主題は、さらに、上記のように構成された方法を実行するよう構成されたバッテリシステムに関する。対応して、このようなバッテリシステムは、消費機器に電力を供給するための少なくとも1つのバッテリセルを有するバッテリを備える。例えば、バッテリは、リチウムイオンバッテリでありうる。上記方法を実行しうるために、バッテリシステム又はバッテリは、まず、少なくとも1つのバッテリセルの充電状態を定める手段を備える。これは、例えば、当業者には基本的に公知であるように、定められたパラメータに基づいて充電状態を定めることが可能なバッテリ制御システムでありうる。
【0033】
さらに、バッテリシステムは、少なくとも1つのバッテリセルを通る電流の流れが止められた直後に、当該少なくとも1つのバッテリセルの開放電圧の変化量を定める手段を備える。これは、それ自体は公知の形態による、例えばバッテリセルの2つの極の電圧を測定することが可能な電圧計でありうる。
【0034】
最後に、バッテリシステムは、充電状態、及び、開放電圧の変化量に基づいて、少なくとも1つのバッテリセルの温度を定める手段を備える。この手段は、定められたデータと、メモリに格納されたデータセットと、を用いて少なくとも1つのバッテリセル又はバッテリの温度を定めるバッテリ制御システムでありうる。
【0035】
上記手段の具体的な構成に関しては、さらに、バッテリの温度を定める方法についての先の記載を参照されたい。
【0036】
上記のバッテリシステムによって、バッテリセル又はバッテリの温度の特に簡単で安価で、さらに特に正確な決定と、これに伴い、特に安価で安全な駆動と、さらに、特に長い耐用年数と、が可能となる。
【0037】
本発明に係るバッテリシステムの更なる別の技術的特徴及び利点に関しては、本発明に係る方法、図面、及び図面についての記載に関連する解説が明示的に参照される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明に係る主題の更なる利点及び有利な構成が、図面によって具体的に示され、以下の明細書の記載において解説される。図面は単に解説するためのものであり、本発明を何らかの形で限定することは意図されていないことに注意されたい。
図1】本発明に係る方法を解説する概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1には、所与の温度及び所与の充電状態にある例えばリチウムイオンバッテリのようなバッテリでの、電流I、I(上の範囲)の流れが止められた後の開放電圧VL1、VL2の変化(下の範囲)を示すグラフが示されている。
【0040】
詳細には、図1のグラフは、時間tに対する電圧V及び電流Iの推移を示している。その際に、充電過程(充電電流I)が例えば時点t2に終了し、又は、放電過程(放電電流I)が例えばt1に終了する場合に、開放電圧VL1、VL2の変化量が、充電状態の全ての値で、時間の関数として定められることが分かる。図1に関して、放電電流Iは、時点t1までの期間の間利用され、その際に、電圧Vの降下が起き、即ち、最大電圧Vmaxから最小電圧Vminまでの電圧Vの降下が起きる。セルが切断され、これにより、時点t1に放電電流Iの流れが止められた結果、開放電圧VL1の電圧ドリフトが生じ、図1では、結果的に、値Vへと(V−Vmin)の値の分だけ開放電圧VL1が上昇している。他方では、充電電流Iを利用してバッテリが充電される場合に、電圧が、電圧Vから最大電圧Vmaxに上昇する。時点t2にセルが切断された場合には、開放電圧VL2が値Vminに下がる。
【0041】
示される開放電圧VL1、VL2のドリフトは、ここでは、温度のための示唆として機能し、その際に、開放電圧VL1、VL2の変化の時定数、又は、開放電圧VL1、VL2の変化量の全プロフィールが利用されうる。
【0042】
このようにして、例えば、バッテリ制御システムによって、例えば、特にバッテリ制御システムに格納されたデータセットに基づいて、少なくとも1つのバッテリセルの充電状態が定められ、少なくとも1つのバッテリセルを通る電流I、Iの流れが止められた後で、当該少なくとも1つのバッテリセルの開放電圧VL1、VL2の変化量が定められた際に、少なくとも1つのバッテリセルの温度が、充電状態、及び、開放電圧VL1、VL2の変化量に基づいて定められうる。
図1