(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ベースフィルムの前記第1の表面とは反対の第2の表面上に配置されており、かつ熱を発生する化合物を含む熱発生材層を備える、請求項1又は2に記載のガス発生テープ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0020】
また、実施形態において参照する図面は、模式的に記載されており、図面に描画された物体の寸法の比率等は、現実の物体の寸法の比率等とは異なる場合がある。具体的な物体の寸法の比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るガス発生テープを示す断面図である。
図2(a)は
図1中のI−I線に沿う断面図であり、
図2(b)は
図1中のII−II線に沿う断面図である。
【0022】
図1に、ガス発生テープ1は、ベースフィルム11と、ガス発生材層12と、第1の剥離フィルム13と、熱発生材層14と、第2の剥離フィルム15とを備える。
【0023】
ベースフィルム11は、第1の凹部11aを第1の表面(一方の表面)側に有する。ベースフィルム11は、第2の凹部11bを上記第1の表面側とは反対の第2の表面(他方の表面)側に有する。
【0024】
第2の凹部11bは、第1の凹部11aに対応する位置に設けられている。第1の凹部11aと第2の凹部11bとは対向している。
【0025】
図3に、ベースフィルム11の分解斜視図を示すように、ベースフィルム11は、ベースフィルム本体11Aと、第1のベースフィルム部材11Bと、第2のベースフィルム部材11Cとを備える。第1のベースフィル部材11Bは、ベースフィルム11の上記第1の表面側において、ベースフィルム本体11Aに積層されている。第2のベースフィル部材11Cは、ベースフィルム11の上記第2の表面側において、ベースフィルム本体11Aに積層されている。従って、ベースフィルム11は、第1のベースフィルム部材11Bと、ベースフィルム本体11Aと、第2のベースフィルム部材11Cとがこの順で積層された構造を有する。
【0026】
ベースフィルム11は、第1のベースフィルム部材11Bと、ベースフィルム本体11Aと、第2のベースフィルム部材11Cとを用意し、互いに貼り合わせることで得ることができる。第1のベースフィルム部材11B及びベースフィルム本体11A、ベースフィルム本体11A及び第2のベースフィルム部材11Cは、ラミネート(溶融加工)又は超音波加工により貼り合わされていてもよく、粘着剤を用いて貼り合わされていてもよい。
【0027】
第1,第2のベースフィルム部材11B,11Cは、打ち抜き加工などで貫通孔11Ba,11Caを形成することで得ることができる。
【0028】
第1のベースフィルム部材11Bは、円形の複数の貫通孔11Baを有する。第1のベースフィルム部材11Bの複数の貫通孔11Baにより、円形の複数の第1の凹部11aが形成されている。第1の凹部11aの深さは、第1のベースフィルム部材11Bの厚みと同じである。ベースフィルム本体11Aと第1のベースフィルム部材11Bとを積層して用いることにより、第1の凹部11aの深さを高精度に制御できる。このため、第1の凹部11a部分のガス発生材層12から発生するガスの発生量を高精度に制御できる。
【0029】
第2のベースフィルム部材11Cは、円形の複数の貫通孔11Caを有する。第2のベースフィルム部材11Cの複数の貫通孔11Caにより、円形の複数の第2の凹部11bが形成されている。第2の凹部11bの深さは、第2のベースフィルム部材11Cの厚みと同じである。ベースフィルム本体11Aと第2のベースフィルム部材11Cとを積層して用いることにより、第2の凹部11bの深さを高精度に制御できる。このため、第2の凹部11b部分における熱発生材層14から発生する熱の発生量を高精度に制御できる。
【0030】
貫通孔11Caは、貫通孔11Baに対応する位置に設けられている。貫通孔11Baと貫通孔11Caとは、ベースフィルム本体11Aを介して対向している。
【0031】
ベースフィルム11の上記第1の表面上に、第1の凹部11a内を含むように、ガス発生材層12が配置されている。ガス発生材層12では、ガスを発生させることが可能である。ガス発生材層12は、第1の凹部11aが形成されている領域R1と、第1の凹部11aが形成されていない領域R2とにおいて、ベースフィルム11の上記第1の表面上に配置されている。第1の凹部11aが形成されていない領域R2において、ベースフィルム11の上記第1の表面上に配置されているガス発生材層12は、接着対象部材に接着させることができる。このため、第1の凹部11aが形成されていない領域R2において、ベースフィルム11の上記第1の表面上にガス発生材層12が無い場合と比べて、ガス発生テープ1の接着対象部材からの剥離を抑制できる。
【0032】
ガス発生材層12の第1の凹部11aが形成されている領域R1における厚みは、ガス発生材層12の第1の凹部11aが形成されていない領域R2における厚みよりも厚い。このため、ガス発生材層12の第1の凹部11aが形成されている領域において、ガス発生材層12の厚み方向におけるガス発生剤の存在量を多くすることができる。第1の凹部11aが形成されている領域R1を、光又は熱の刺激が付与される領域とするだけで、ガスを効率的に発生させることができる。光又は熱付与装置における光又は熱付与部を第1の凹部11aに対応する位置(第1の凹部11a部分におけるガス発生材層12に対応する位置)に配置して、ガス発生テープ1に光又は熱の刺激を付与することができる。
【0033】
ガス発生材層12は、光又は熱応答性ガス発生剤及びバインダー樹脂を含む。ガス発生材層12は、光又は熱応答性ガス発生剤及びバインダー樹脂を含むガス発生材を用いて形成されている。ガス発生材層12では、光又は熱の刺激によって、ガスを発生させることが可能である。上記光又は熱応答性ガス発生剤及びバインダー樹脂の詳細は後述する。
【0034】
ガス発生材層12が光応答性と熱応答性とを有するガス発生剤を含む場合には、ガス発生材層12おいて、多段階でガスを発生させることができる。すなわち、ガス発生材層12において、光の刺激によってガスを発生させた後、熱の刺激によってガスを発生させたり、熱の刺激によってガスを発生させた後、光の刺激によってガスを発生させたりすることができる。
【0035】
ベースフィルム11の上記第2の表面上に、第2の凹部11b内を含むように、熱発生材層14が配置されている。熱発生材層14では、熱を発生させることが可能である。熱発生材層14は、第2の凹部11bが形成されている領域R3と、第2の凹部11bが形成されていない領域R4とにおいて、ベースフィルム11の上記第2の表面上に配置されている。第2の凹部11bが形成されていない領域R4において、ベースフィルム11の上記第2の表面上に配置されている熱発生材層14は、接着対象部材に接着させることができる。このため、第2の凹部11bが形成されていない領域R4において、ベースフィルム11の上記第2の表面上に熱発生材層14が無い場合と比べて、ガス発生テープ1の接着対象部材からの剥離を抑制できる。
【0036】
熱発生材層14の第2の凹部11bが形成されている領域R3における厚みは、熱発生材層14の第2の凹部11bが形成されていない領域R4における厚みよりも厚い。このため、熱発生材層14の第2の凹部11bが形成されている領域R3において、熱発生材層14の厚み方向における熱を発生する化合物の存在量を多くすることができる。第2の凹部11bが形成されている領域R3における熱発生層14を、熱を発生させる刺激を付与する領域とすれば、熱を効率的に発生させることができる。ガス発生材層12が熱応答性を有するガス発生剤を含む場合に、熱発生材層14から発生した熱の刺激により、ガス発生材層12においてガスを発生させることができる。熱付与装置における熱付与部を第2の凹部11bに対応する位置(第2の凹部11b部分における熱発生材層14に対応する位置)に配置して、ガス発生テープ1に熱の刺激を付与することができる。
【0037】
熱発生材層14は、熱を発生する化合物を含む。熱発生材層14は、熱を発生する化合物を含む熱発生材を用いて形成されている。なお、熱発生材層14は用いなくてもよい。上記熱を発生する化合物の詳細は後述する。
【0038】
ガス発生材層12のベースフィルム11側とは反対の表面上に、第1の剥離フィルム13が配置されている。第1の剥離フィルム13により、ガス発生材層12の表面が保護されている。熱発生材層14のベースフィルム11側とは反対の表面上に、第2の剥離フィルム15が配置されている。第2の剥離フィルム15により、熱発生材層14の表面が保護されている。
【0039】
ガス発生テープ1では、第1の剥離フィルム13と第2の剥離フィルム14とが用いられているが、第1の剥離フィルム13は用いなくてもよく、第2の剥離フィルム14も用いなくてもよい。
【0040】
図4に、本発明の第2の実施形態に係るガス発生テープを断面図で示す。
【0041】
図4に示すガス発生テープ2は、第1の剥離フィルム13と、ガス発生材層12と、ベースフィルム21と、熱発生材層14と、第2の剥離フィルム15とがこの順で積層されている。ガス発生テープ1とガス発生テープ2とでは、用いられているベースフィルム11,21が異なる。
【0042】
図5(a)に、
図4に示すベースフィルム21を断面図で示す。
図5(b)は
図5(a)中のI−I線に沿う断面図であり、
図5(c)は
図5(a)中のII−II線に沿う断面図である。
図5(a)〜(c)に示すように、ベースフィルム21では、
図3に示す第1のベースフィルム部材11Bとベースフィルム本体11Aと第2のベースフィルム部材11Cとが一体化された構造を有し、両面に第1,第2の凹部21a,21bを有する。ベースフィルム21は、
図12(a)に示すように、賦形ロール61を用いて、フィルムA表面を賦形したり、
図12(b)に示すように、賦形金型62を用いて、フィルムA表面を金型プレスしたりすることで、容易に得られる。ベースフィルム11及び後述するベースフィルム22,23も同様にして得ることが可能である。なお、
図12(a),(b)では、片面のみを賦形しているが、一対の賦形ロール又は一対の賦形金型を用いて、両面を一度に賦形してもよい。
【0043】
図6に、本発明の第3の実施形態に係るガス発生テープを断面図で示す。
【0044】
図6に示すガス発生テープ3は、第1の剥離フィルム13と、ガス発生材層12と、ベースフィルム22と、熱発生材層31と、第2の剥離フィルム15とがこの順で積層されている。ガス発生テープ1とガス発生テープ3とでは、用いられているベースフィルム11,22が異なる。また、ガス発生テープ1とガス発生テープ3とでは、用いられているベースフィルム11,22が異なることから、熱発生材層14,31の形状が異なる。熱発生材層31は、ベースフィルム22の第2の表面側において、全面で均一な厚みを有する。
【0045】
図7(a)に、
図6に示すベースフィルム22を断面図で示す。
図7(b)は
図7(a)中のI−I線に沿う断面図である。
図7(a),(b)に示すように、ベースフィルム22では、
図3に示す第1のベースフィルム部材11Bとベースフィルム本体11Aとが一体化された構造を有し、かつ
図3に示す第2のベースフィルム部材11Cを用いていない構造を有し、片面のみに第1の凹部22aを有し、第2の凹部を有さない。ベースフィルム22を用いる場合には、熱発生材層を用いることが好ましいが、用いなくてもよい。
【0046】
図8に、本発明の第4の実施形態に係るガス発生テープを断面図で示す。
【0047】
図8に示すガス発生テープ4は、熱発生材層31と第2の剥離フィルム15とを備えていないことを除いては、
図6に示すガス発生テープ3と同様に構成されている。
【0048】
従って、ガス発生テープ4は、第1の剥離フィルム13と、ガス発生材層12と、ベースフィルム22とがこの順で積層されている。
【0049】
図9に、本発明の第5の実施形態に係るガス発生テープを断面図で示す。
【0050】
図9に示すガス発生テープ5は、第1の剥離フィルム13と、ガス発生材層41と、ベースフィルム23と、熱発生材層32と、第2の剥離フィルム15とがこの順で積層されている。ガス発生テープ1とガス発生テープ5とでは、用いられているベースフィルム11,23が異なる。また、ガス発生テープ1とガス発生テープ5とでは、用いられているベースフィルム11,23が異なることから、ガス発生材層12,41の形状が異なり、かつ熱発生材層14,32の形状が異なる。
【0051】
図10(a)に、
図9に示すベースフィルム23を断面図で示す。
図10(b)は
図10(a)中のI−I線に沿う断面図であり、
図10(c)は
図10(a)中のII−II線に沿う断面図である。
図10(a)〜(c)に示すように、ベースフィルム23は、2方向に延びる直線状の第1,第2の凹部23a,23bを有する。ベースフィルム23では、第1,第2の凹部23a,23bはそれぞれ、ベースフィルム23の厚み方向と直交する第1の方向と、ベースフィルム23の厚み方向及び第1の方向と直交する第2の方向とに延びている。複数の第1の凹部23aが、上記第1の方向に並んで等間隔に配置されている。複数の第2の凹部23bが、上記第2の方向にならんで等間隔に配置されている。但し、第1,第2の凹部23a,23bは、ベースフィルム23の端部に至っていない。
【0052】
ガス発生テープ5は、ベースフィルム23の第1の表面上に、2方向に延びる直線状の第1の凹部23a内を含むように、ガス発生材層41を有する。ガス発生テープ5は、ベースフィルム23の第2の表面上に、2方向に延びる直線状の第2の凹部23b内を含むように、熱発生材層32を有する。
【0053】
ガス発生テープ5では、例えば、2方向に延びる第1,第2の凹部23a,23bの交差点において、光又は熱の刺激を付与することで、ガス又は熱を効率的に発生させることができる。
【0054】
図11(a)及び(b)に、本発明の第6の実施形態に係るガス発生テープを断面図で示す。
図11(b)は、
図11(a)中のI−I線に沿うガス発生テープの断面図である。
【0055】
図11(a)及び(b)に示すガス発生テープ6のように、ガス発生材層41に熱を付与してガスを発生させるために、電熱線51を用いてもよい。電熱線51は、第1の凹部22a内に配置されており、かつ第1の凹部22a内から外部に延びている。このような電熱線51に接するように、ガス発生材層41を配置してもよい。電熱線51は、例えばパターン印刷により、ベースフィルム22の表面上に配置することができる。
【0056】
第1,第2の凹部の形状は特に限定されない。光が照射される領域に、第1,第2の凹部を任意の形状で形成することができる。第1,第2の凹部11a,11b,21a,21b,22a及び貫通孔11Ba,11Caそれぞれは円形であるが、上記第1,第2の凹部及び上記貫通孔はそれぞれ、多角形などの他の形状であってもよい。さらに、第1,第2の凹部11a,11b,21a,21b,22a及び貫通孔11Ba,11Caは、点状に複数設けられているが、上記第1,第2の凹部及び上記貫通孔はそれぞれ、直線状に設けられていてもよい。ガス発生剤の使用率を高めることができることから、上記第1,第2の凹部及び上記貫通孔はそれぞれ、点状に設けられていることが好ましく、複数設けられていることが好ましい。ベースフィルムは、複数の第1の凹部を有することが好ましく、複数の第2の凹部を有することが好ましい。
【0057】
上記ベースフィルムの材質は特に限定されず、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂や、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂等のポリオレフィン樹脂や、ポリ塩化ビニル樹脂及びポリイミド樹脂等が挙げられる。上記ベースフィルムは、ガスバリア性を有することが好ましい。このため、上記ベースフィルムの材質として、ガスバリア性に優れた材質を適宜選択することが望ましい。
【0058】
上記第1,第2の剥離フィルムの材質は特に限定されず、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂や、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂等のポリオレフィン樹脂や、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、及び離型紙等が挙げられる。上記第1,第2の剥離フィルムの表面は、離型処理されていてもよい。さらに、上記第1,第2の剥離フィルムの表面には、剥離性を高めるためにシリコーンなどの離型剤が塗布されていてもよい。
【0059】
上記ガス発生テープの厚みは特に限定されない。上記ガス発生テープの厚みは好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは500μm以下である。
【0060】
上記ベースフィルムの厚みは特に限定されない。上記ベースフィルムの厚みは好ましくは10μm以上、より好ましくは25μm以上、好ましくは1000μm以下、より好ましくは100μm以下である。
【0061】
ベースフィルムの第1の凹部が無い部分の表面上に位置するガス発生材層の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは25μm以上、好ましくは1000μm以下、より好ましくは100μm以下である。この厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、ガス発生剤の使用率と、ガス発生材層側のガス発生テープの粘着力とをバランスよく高めることができる。
【0062】
ベースフィルムの第2の凹部が無い部分の表面上に位置する熱発生材層の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは25μm以上、好ましくは1000μm以下、より好ましくは100μm以下である。この厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、熱を発生する化合物の使用率と、ガス発生テープの熱発生材層側の粘着力とをバランスよく高めることができる。
【0063】
上記ベースフィルムの第1,第2の凹部の深さは特に限定されない。上記第1の凹部及び上記第2の凹部がある場合に、上記第1の凹部及び上記第2の凹部の深さはそれぞれ、凹部が無い部分のベースフィルムの厚みをTとしたときに、好ましくは0.05T以上、より好ましくは0.1T以上、更に好ましくは0.2T以上、好ましくは0.5T未満、より好ましくは0.4T以下である。また、上記第1の凹部のみがあり、上記第2の凹部が無い場合に、上記第1の凹部の深さは、凹部が無い部分のベースフィルムの厚みをTとしたときに、好ましくは0.05T以上、より好ましくは0.1T以上、更に好ましくは0.2T以上、特に好ましくは0.4T以上、好ましくは0.95T以下、より好ましくは0.9T以下、更に好ましくは0.8T以下、特に好ましくは0.6T以下である。上記第1の凹部及び上記第2の凹部の深さが上記下限以上及び上記上限以下であると、ガス発生剤の使用率及び熱を発生する化合物の使用率と、ガス発生テープの粘着力とをバランスよく高めることができる。
【0064】
図13は、
図1に示すガス発生テープを用いたマイクロポンプの一例を略図的に示す断面図である。
【0065】
図13に示すマイクロポンプ81は、板状の基材82を備える。基材82を構成する材料としては、樹脂、ガラス及びセラミックス等が挙げられる。基材82を構成する樹脂としては、有機シロキサン化合物、ポリメタクリレート樹脂及びポリオレフィン樹脂等が挙げられる。上記ポリオレフィン樹脂としては、環状ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。上記有機シロキサン化合物の具体例としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)及びポリメチル水素シロキサン等が挙げられる。
【0066】
基材82には、主面82aに開口しているマイクロ流路82bが形成されている。「マイクロ流路」とは、マイクロ流路を流れる液体に所謂マイクロ効果が発現する形状寸法に形成されている流路をいう。具体的には、「マイクロ流路」とは、マイクロ流路を流れる液体が、表面張力と毛細管現象との影響を強く受け、通常の寸法の流路を流れる液体とは異なる挙動を示す形状寸法に形成されている流路をいう。
【0067】
主面82a上に、ガス発生テープ1が貼り付けられている。
図13では、図示の便宜上ガス発生テープ1は略図で示されている。マイクロ流路82bの開口は、ガス発生テープ1により覆われている。このため、ガス発生テープ1に光又は熱の外部刺激が加わることにより、ガス発生テープ1から発生したガスは、マイクロ流路82bに導かれる。
【0068】
ガス発生テープ1に、光又は熱を付与するために、光又は熱付与装置84が用いられている。光又は熱付与装置84から光又は熱を付与することで、ガス発性テープ1に含まれるガス発生剤からガスを発生させることができる。
【0069】
光又は熱付与装置84における光又は熱付与部を第1の凹部11aに対応する位置(第1の凹部11a部分におけるガス発生材層12に対応する位置)に複数配置して、ガス発生テープ1に光又は熱の刺激を付与すれば、ガス発生テープ1からガスを効率的に発生させることができる。
【0070】
図14(a)に示すように、ガス発生テープにおけるガス発生材層12がLEDの照射により、ガスを発生する場合には、光付与装置として、LED照射装置84Aを用いてもよい。複数のLED照射装置を用いてもよく、複数のLED照射部を有するLED照射装置を用いてもよい。LED照射装置又はLED照射部は、第1の凹部22aに対応する位置に複数配置してもよい。この場合には、LED照射装置84Aから矢印Y1で示す方向にLEDを照射することで、ガス発生材層12から発生したガスを矢印Z1で示す方向に配置されたマイクロ流路に効率的に導くことができる。
【0071】
図14(b)に示すように、ガス発生テープにおけるガス発生材層12がレーザーによる熱分解でガスを発生する層であるか、又はガス発生テープが熱発生材層14を有する場合には、光又は熱付与装置として、レーザー照射装置84Bを用いてもよい。複数のレーザー照射装置を用いてもよく、複数のレーザー照射部を有するレーザー照射装置を用いてもよい。レーザー照射装置又はレーザー照射部は、第1の凹部11aに対応する位置に複数配置してもよい。この場合には、レーザー照射装置84Bから矢印Y2で示す方向にレーザーを照射することで、ガス発生材層12から発生したガスを矢印Z2で示す方向に配置されたマイクロ流路に効率的に導くことができる。上記熱発生材層は、金属粒子やカーボンナノチューブなどの後述する熱を発生する化合物を含むことが好ましい。
【0072】
図14(c)に示すように、ガス発生テープが、水との接触により熱を発生させる熱発生材層14を有する場合には、水導入口から矢印Y3で示す方向に流れた水が熱発生材層14に至るように、水が通る細管を有する細管構造部91を、熱発生材層14のベースフィルム11側とは反対の表面に配置してもよい。
【0073】
ガス発生テープにおけるガス発生材層が熱の付与によりガスを発生する場合には、光又は熱付与装置として、熱付与照射装置を用いてもよい。熱付与装置における熱付与部は、第1の凹部11aに対応する位置に複数配置してもよい。
【0074】
光又は熱照射装置として、上述した電熱線等を用いてもよく、電熱線をガス発生テープ内に組み込んでもよい。
【0075】
ガス発生テープ1は、ガスバリア層83により覆われている。ガスバリア層83により、ガス発生テープ1において発生したガスが、主面82aとは反対側に流出することが抑えられ、マイクロ流路82bに効率的に供給される。このため、ガスバリア層83は、ガス発生テープ1において発生したガスの透過性が低い層であることが好ましい。なお、ベースフィルムがガスバリア性を有する場合などに、ガスバリア層83は用いなくてもよい。
【0076】
上記ガスバリア層を構成する材料としては、ポリアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ナイロン樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及びガラス等が挙げられる。
【0077】
上記ガスバリア層の厚みは、上記ガスバリア層の材質等によって適宜変更でき、特に限定されない。上記ガスバリア層の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは25μm以上、好ましくは1mm以下、より好ましくは100μm以下である。光を透過させる場合に、上記ガスバリア層は、紫外線領域の光の減衰が起きにくい層であることが好ましい。
【0078】
以下、上記ガス発生材層に用いられるガス発生剤及びバインダー樹脂の詳細を説明する。また、上記熱発生材層に用いられる熱を発生する化合物の詳細を説明する。
【0079】
(ガス発生剤)
本発明で用いられるガス発生剤は、光応答性又は熱応答性を有し、光又は熱応答性ガス発生剤である。上記ガス発生剤は、光応答性を有していてもよく、熱応答性を有していてもよく、光応答性ガス発生剤を含んでいてもよく、熱応答性ガス発生剤を含んでいてもよい。上記ガス発生剤は、アゾ化合物又はアジド化合物を含むことが好ましい。上記ガス発生剤は、アゾ化合物であってもよく、アジド化合物であってもよい。上記ガス発生剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0080】
上記ガス発生剤として用いられる上記アゾ化合物の具体例としては、例えば、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルプロピル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルエチル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−プロピル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−エチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾイリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾイリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾイリン−2−イル)プロパン]ジサルフェイトジハイドロレート、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラハイドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾイリン−2−イル]プロパン}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾイリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミダイン)ハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−アミノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシアシル)−2−メチル−プロピオンアミダイン]、2,2’−アゾビス{2−[N−(2−カルボキシエチル)アミダイン]プロパン}、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアンカルボニックアシッド)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノイックアシッド)、及び2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。これらのアゾ化合物は、特定の波長域の光又は熱等の外部刺激を受けることにより窒素ガスを発生させる。
【0081】
上記アゾ化合物は、衝撃によっては気体を発生しないことから、取り扱いが極めて容易である。上記アゾ化合物は、連鎖反応を起こして爆発的に気体を発生させることもない。上記アゾ化合物を用いれば、光の照射を中断することで気体の発生を中断させることもできる。このため、上記アゾ化合物を上記ガス発生剤として用いることによりガス発生量の制御が容易である。
【0082】
上記ガス発生剤として用いられる上記アジド化合物としては、例えば、アジ化ナトリウム、グリシジルアジドポリマー、スルフォニルアジド基又はアジドメチル基を有するアジド化合物が挙げられる。上記アジド化合物は、スルフォニルアジド基又はアジドメチル基を有することが好ましい。上記アジド化合物は、スルフォニルアジド基を有することが好ましく、アジドメチル基を有することも好ましい。
【0083】
また、アゾ化合物及びアジド化合物以外のガス発生剤としては、炭酸水素ナトリウム、テトラゾール類、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ヒドラゾジカルボンアミド等が挙げられる。これらは、熱応答性ガス発生剤である。
【0084】
上記ガス発生材層において、上記ガス発生剤の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、好ましくは90質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
【0085】
(バインダー樹脂)
上記ガス発生材層にバインダー樹脂が含まれていることにより、上記ガス発生剤を含むガス発生材を用いてガス発生材層を形成することが容易になる。また、上記ガス発生材層を接着対象部材に接着させることができる。また、上記ガス発生剤を上記ガス発生材層中に強固に保持することができる。上記熱発生材層も、バインダー樹脂を含んでいてもよい。上記バインダー樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0086】
上記バインター樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、上記ガス発生剤を上記ガス発生材層中に保持することが可能である適宜のバインダー樹脂が用いられる。上記バインター樹脂として、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド及びポリイミド等の高分子材料を用いることができる。これらの高分子材料を構成するモノマーの共重合体を用いてもよく、これらの高分子材料を併用してもよい。なかでも、ガスの発生効率がより一層高くなるため、上記バインダー樹脂は、上記ポリ(メタ)アクリレートであることが好ましい。すなわち、上記バインダー樹脂は、(メタ)アクリル重合体であることが好ましい。なお、上記(メタ)アクリル重合体には、(メタ)アクリル共重合体が含まれる。
【0087】
上記バインダー樹脂は、粘接着性を有することが好ましい。上記バインダー樹脂が粘接着性を有する場合には、上記ガス発生材層に粘接着性を付与することができる。このため、上記マイクロポンプに上記ガス発生材層を容易に配置することができる。例えば、粘接着性を有するガス発生材層は、上記マイクロポンプの基板面又は基板内部の壁面に容易に貼り付けることができる。上記ガス発生材層及び上記熱発生材層の外側の表面はそれぞれ、接着対象部材にガス発生テープを張り付けることができるように、粘接着性を有することが好ましい。
【0088】
上記ガス発生剤100質量部に対して、上記バインダー樹脂の含有量は、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上、好ましくは300質量部以下、より好ましくは200質量部以下、更に好ましくは150質量部以下である。
【0089】
(熱を発生する化合物)
上記熱を発生する化合物としては、酸化カルシウム、鉄、金属粒子、カーボンナノチューブや、フラーレン等の炭素化合物等が挙げられる。酸化カルシウムに水を加えると発熱反応が起こる。鉄は酸化により発熱する。上記熱を発生する化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。金属微粒子やカーボンナノチューブ等は、ガス発生層に含ませてレーザー等で発熱させてもよい。
【0090】
上記熱発生材層において、上記熱を発生する化合物の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、100質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。