(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一面において所定領域を囲んで凹部を形成するよう連続する突条が形成された、弾性を有するガス流路パターンシートと、当該ガス流路パターンシートを挟圧保持する一対の保持板とにより構成されており、
前記ガス流路パターンシートの凹部と当該ガス流路パターンシートの突条に対接する一方の保持板の内面とによってガスチャンネルが形成されており、
互いに面方向に独立した複数のガスチャンネルがユニット化されて構成されており、当該複数のガスチャンネルの一が、他のガスチャンネルにより相互に接続されるガス特性を測定するための複数のガス用機器に供給された測定対象ガスを外部に排出するガス排出用のガスチャンネルとされ、
前記ガス流路パターンシートにおいては、当該ガス排出用のガスチャンネルを画成する凹部を形成する突条が、他のガスチャンネルを画成する凹部を形成する突条の周囲を囲むよう形成されていることを特徴とするパネル型ガス流路機構。
前記ガス流路パターンシートの突条に対接される一方の保持板に形成された貫通孔、または、他方の保持板と当該ガス流路パターンシートの両者を貫通する貫通孔により、ガス流入部およびガス流出部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパネル型ガス流路機構。
前記ガス流路パターンシートには、前記突条の一部によって、前記筒状接続部に関連する座屈防止部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のパネル型ガス流路機構。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような可撓性チューブを利用したガス配管構造においては、可撓性チューブの接続作業自体が面倒であると共に配管が煩雑化することがあるといった問題がある。
【0005】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、複数のガス用機器を確実にかつ容易に接続することのできるパネル型ガス流路機構を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、所定のガス配管構造を容易に形成することのできるガス特性測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のパネル型ガス流路機構は、一面において所定領域を囲んで凹部を形成するよう連続する突条が形成された、弾性を有するガス流路パターンシートと、当該ガス流路パターンシートを挟圧保持する一対の保持板とにより構成されており、
前記ガス流路パターンシートの凹部と当該ガス流路パターンシートの突条に対接する一方の保持板の内面とによってガスチャンネルが形成されており、
互いに面方向に独立した複数のガスチャンネルがユニット化されて構成されて
おり、当該複数のガスチャンネルの一が、他のガスチャンネルにより相互に接続されるガス特性を測定するための複数のガス用機器に供給された測定対象ガスを外部に排出するガス排出用のガスチャンネルとされ、
前記ガス流路パターンシートにおいては、当該ガス排出用のガスチャンネルを画成する凹部を形成する突条が、他のガスチャンネルを画成する凹部を形成する突条の周囲を囲むよう形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のパネル型ガス流路機構においては、前記ガス流路パターンシートの突条に対接される一方の保持板に形成された貫通孔、または、他方の保持板と当該ガス流路パターンシートの両者を貫通する貫通孔により、ガス流入部およびガス流出部が形成された構成とすることができる。
【0008】
また、本発明のパネル型ガス流路機構
は、一面において所定領域を囲んで凹部を形成するよう連続する突条が形成された、弾性を有するガス流路パターンシートと、当該ガス流路パターンシートを挟圧保持する一対の保持板とにより構成されており、
前記ガス流路パターンシートの凹部と当該ガス流路パターンシートの突条に対接する一方の保持板の内面とによってガスチャンネルが形成されており、
互いに面方向に独立した複数のガスチャンネルがユニット化されて構成されており、
前記ガス流路パターンシートの他面に、他方の保持板を貫通してその外方に突出して延びる筒状接続部が一体に形成されており、当該筒状接続部によりガス流入部およびガス流出部が形成され
ていることを特徴とする。
このような構成のものにおいては、前記ガス流路パターンシートには、前記突条の一部によって、前記筒状接続部に関連する座屈防止部が形成された構成とされていることが好ましい。
また、前記筒状接続部は、先細りのテーパ状とされていることが好ましい。
【0009】
本発明のガス特性測定装置は、上記のパネル型ガス流路機構を具えており、
ガス特性を測定するための複数のガス用機器が当該パネル型ガス流路機構におけるガスチャンネルにより相互に接続されてユニット化されていることを特徴とする。
ここに、「ガス特性」としては、例えばガス濃度、ガスの熱量、ガス圧力、ガスの密度等を挙げることができる。
【0010】
本発明のガス特性測定装置において
は、前記パネル型ガス流路機構におけるガス排出用のガスチャンネルには、逆流防止用の緩衝部が形成された構成とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のパネル型ガス流路機構によれば、基本的には、ガス流路パターンシートに形成される突条のデザインによって自由なガス流路を形成することができると共にガス流通口の位置を自由に選定することができるので、ガス流路についての設計の自由度が高いものとして構成することができる。しかも、各々複数のガス用機器を相互に接続するガス流路を構成する複数の
ガスチャンネルが互いに面方向に独立した状態でユニット化されて構成されているので、複数のガス用機器を当該パネル型ガス流路機構における所定の位置に接続することにより、当該ガス用機器の相互の接続を確実にかつ容易に達成することができる。
【0012】
本発明のガス特性測定装置によれば、上記のパネル型ガス流路機構を具えた構成とされることにより、複数のガス用機器とパネル型ガス流路機構とをユニット化して一の構造体として構成することができ、当該構造体を単にガス特性測定装置の筐体に装着するという簡単な作業により所定のガス配管構造を形成することができる。
また、ガス排出用のガスチャンネルを画成する凹部を形成する突条が、他のガスチャンネルを画成する凹部を形成する突条の周囲を囲むよう形成された構成とされていることにより、他のガスチャンネルよりガス用機器に供給される測定対象ガスに対する外部からの影響を排除することができて検出結果に高い信頼性を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明のパネル型ガス流路機構の一構成例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示すパネル型ガス流路機構におけるガスチャンネルの構成を概略的に示す拡大断面図である。
【0015】
この例におけるパネル型ガス流路機構50は、例えば後述する熱量測定装置における密度換算熱量測定機構および屈折率換算熱量測定機構を含むガス用機器が接続されると共に熱量測定装置の筐体に形成されたガス導入部およびガス排出部に接続されて用いられるものであって、互いに面方向に独立した複数のガスチャンネルがユニット化されて形成されてなる。
【0016】
このパネル型ガス流路機構50は、一面に所定領域を囲んで凹部55を形成するよう連続する面方向に延びる突条(リブ)52が形成された、弾性を有するガス流路パターンシート51と、ガス流路パターンシート51を挟圧保持する一対の保持板41,45とにより構成されており、ガス流路パターンシート51の一面に対接する一方の保持板41の他面と、ガス流路パターンシート51の突条52により形成される凹部55とによって、ガスチャンネルGcが形成されている。
【0017】
図3は、ガス流路パターンシートの一構成例を示す(A)正面図,(B)右側面である。
図4は、
図3に示すガス流路パターンシートの(A)平面図,(B)背面図,(C)左側面である。
この例におけるガス流路パターンシート51は、下方から上方に向かって拡がる平面形状が略台形状のものであって、幅方向の両側縁に上方に突出する側部突出部分を有すると共に幅方向の中央部に上方に突出する中央突出部分を有する。そして、一面(背面)において、突条52a〜52eによる5つの凹部55a〜55eが形成されていると共に、他面において、他方の保持板45を貫通してその外方に突出して延びる筒状接続部60a〜60e,61a〜61fが形成されており、これによりガス流入部およびガス排出部が形成されている。
【0018】
第1凹部55aは、ガス流路パターンシート51の上方部における一方の側部突出部分と中央突出部分の間の位置において開口するガス流通口53a(Gas2)を含む面領域を囲むよう突条52aが形成されて構成されている。具体的には、一方の側部突出部分に一端部が位置されて下方中央部に向かって突条が所定の間隔をあけて互いに平行に直線状に延びるガス流路区画部56およびガス流路区画部56の中途の位置より幅方向内方に向かって分岐してガス流通口53a(Gas2)の形成位置まで延びる分岐流路区画部が形成されるよう、突条52aが形成されている。そして、分岐流路区画部の端部において突条がガス流通口53a(Gas2)を内方する円周に沿って延びるよう形成された、ガス流通口53a(Gas2)に関連してガス流路パターンシート51の他面において一体形成された筒状接続部60aの座屈防止部57を有する。
【0019】
第2凹部55bは、第1凹部55aに係るガス流通口(Gas2)53aと幅方向に並んだ位置(中央突出部分の左端部が位置される幅方向位置)において開口するガス流通口(Ref2)53b、および、ガス流路パターンシート51の下方部中央位置において開口するガス流通口(Ref3)53cを含む面領域を囲むよう突条52bが形成されて構成されている。具体的には、中央突出部分に一端部が位置されてガス流通口53c(Ref3)の形成位置まで略「く」の字型に屈曲して延びるガス流路区画部56が形成されるよう、突条52bが形成されている。そして、ガス流路区画部56の屈曲部には、ガス流通口(Ref2)53bが位置されており、突条が当該ガス流通口53b(Ref2)を内方する円周に沿って延びるよう形成された、ガス流通口53b(Gas2)に関連してガス流路パターンシート51の他面において一体形成された筒状接続部60cの座屈防止部57を有する。また、ガス流通口53c(Ref3)に関連してガス流路パターンシート51の他面において一体形成された筒状接続部61bの座屈防止部57を有する。
【0020】
第3凹部55cは、第2凹部55bに係るガス流通口53c(Ref3)の上方に並んだ位置に形成されたガス流通口53d(Gas5)を含む面領域を囲むよう突条52cが形成されて構成されている。具体的には、他方の側部突出部分の下方内方側の位置に一端部が位置されてガス流通口53d(Gas5)の形成位置まで例えば弧状に湾曲して延びるガス流路区画部56が形成されるよう、突条52cが形成されている。そして、突条がガス流通口53d(Gas5)を内方する円周に沿って延びるよう形成された、ガス流通口53d(Gas5)に関連してガス流路パターンシート51の他面において一体形成された筒状接続部61aの座屈防止部57を有する。
【0021】
第4凹部55dは、第2凹部55bに係るガス流通口53c(Ref3)の幅方向に並んだ位置に形成されたガス流通口54a(Ref4)およびこのガス流通口54a(Ref4)の下方に並んだ位置に形成されたガス流通口53e(Ref5)を含む面領域を囲むよう突条52dが形成されて構成されている。具体的には、ガス流通口54a(Ref4)の形成位置よりガス流出口53e(Rfe5)の形成位置まで直線状に延びるガス流路区画部が形成されると共に、ガス流通口54a(Ref4)およびガス流出口53e(Rfe5)に関連して、ガス流路パターンシート51の他面において一体に形成された筒状接続部61eおよび61fの座屈防止部57,57が形成されるよう、突条52dが形成されている。
【0022】
第5凹部55eは、〔A〕第4凹部55dに係るガス流通口54a(Rfe4)の上方に並んだ位置に形成されたガス流通口54b(Out1)、〔B〕第2凹部55bに係るガス流出口53c(Ref3)の下方に並んだ位置に形成されたガス流入口54c(Out2)、〔C〕第1凹部55aに係るガス流通口53a(Gas2)の幅方向内方側に近接して並んだ位置に形成されたガス流通口54d(Out3)、〔D〕第2凹部55bに係るガス流通口53b(Ref2)の幅方向外方側に近接して並んだ位置に形成されたガス流通口54e(Out4)、および、〔E〕ガス流通口54e(Out4)の幅方向外方側に近接して並んだ位置に形成されたガス流通口53f(Out5)を含む面領域を囲むよう突条
52eが形成されて構成されている。
【0023】
具体的には、下記(イ)〜(ヘ)の形態のガス排出流路区画部、逆流防止用の幅広の緩衝部(バッファ部)58、および、各ガス流通口54b(Out1)、ガス流入口54c(Out2)、54d(Out3)、54e(Out4)、53f(Out5)に関連してガス流路パターンシート51の他面において一体に形成された筒状接続部61d、61c、60b、60d、60eの座屈防止部57が形成されるよう突条
52eが形成されている。
(イ)ガス流通口54b(Out1)の形成位置より側方外方に向かって延びると共にガス流路パターンシート51の他方の側部突出部分の先端位置まで、他方の側縁に沿って上方に向かって湾曲して延びる第1のガス排出流路区画部56a、
(ロ)ガス流通口54c(Out2)の形成位置より第2凹部55bを区画する突条52bに沿って上方に延びる第2のガス排出流路区画部56b、
(ハ)ガス流通口54d(Out3)の形成位置より下方に延びる、第2のガス排出流路区画部56bに合流する第3ガス排出流路区画部56c、
(ニ)第2のガス排出流路区画部56bと第3のガス排出流路区画部56cの合流部よりガス流路パターンシート51の一方の側縁および下縁に沿って延びる第4のガス排出流路区画部56d、
(ホ)第4のガス排出流路区画部56dよりガス流路パターンシート51の他方の側縁部の下方位置に形成された緩衝部58を介して第1のガス排出流路区画部56aに合流するよう蛇行して延びる第5のガス排出流路区画部56e、
(ヘ)ガス流通口54e(Out4)の形成位置より側方外方に向かって延び、ガス流通口53f(out5)の形成位置を介して、第1のガス排出流路区画部56aに合流する第6のガス排出流路区画部56f、
【0024】
このように、第5凹部55eを区画する突条52eは、ガス流路パターンシート51の周縁部において、第1凹部55a〜第4凹部55dを区画する突条52a〜52dの周囲を囲むよう形成されている。そして、第5凹部55eに係る
ガスチャンネルGcが、パネル型ガス流路機構50よりの排出用ガス流路として用いられることにより、第1凹部55a〜第4凹部55dに係るガスチャンネルGc内を流通される測定ガスおよび参照ガスに対する外部からの影響を排除することができて、当該パネル型ガス流路機構50に接続されたガスセンサ等のガス用機器による検出結果に高い信頼性を得ることができる。
【0025】
以上において、ガス流路パターンシート51を構成する材料としては、例えばクロロプレンゴムなどのゴム材を用いることができる。
【0026】
ガス流路パターンシート51における突条52a〜52eは、いずれも、先端に向かうに従って小径となる断面形状を有し、互いに同一の突出高さで形成されている。突条52a〜52eの突出高さ(ガス流路パターンシート51のシート基材の厚みを除く。)は、例えば0.5〜1.0mmとされていることが好ましい。これにより、
ガスチャンネルGcを所期のシール性が確保された状態において確実に形成することができる。
【0027】
ガス流路パターンシート51の他面に形成された筒状接続部60a〜筒状接続部60eは、いずれも、先細りのテーパ状とされていることが好ましい。このような構成とされていることにより、例えば成型によってガス流路パターンシート51を製造するに際して所期の形状のものを容易に得ることができる。
【0028】
ここに、ガス流路パターンシート51の一構成例を示すと、ガス流路パターンシート51を流通されるガス流量が例えば100〜500mm
3/minである場合には、突条52の突出高さが例えば1mm(シート基材の厚みが1mm、背面側保持板41における凹所41aの深さが1.5mm)、筒状接続部60a〜60eの高さが例えば32mm、筒状接続部61a〜61fの高さが例えば14mm、各ガス流通口の開口径がφ1.5mm、ガス流路区画部56を形成する突条間の離間距離は例えば1〜25mmの範囲、緩衝部58の容積は例えば700mm
3程度である。
【0029】
ガス流路パターンシート51の突条52に対接される一方の保持板(以下、「背面側保持板」という。)41には、
図5に示すように、他面にガス流路パターンシート51をその一部が開口縁より正面方向に突出する状態で受容する凹所41aが形成されている。凹所41aは、ガス流路パターンシート51の外形輪郭形状に適合する開口形状を有し、底面は高い平面性を有する。
【0030】
凹所41aの底面における所定位置には、各々厚み方向に貫通して延びる貫通孔により形成された、ガスチャンネルGcに対するガス流入部およびガスチャンネルGcからのガス流出部が形成されている。具体的には、第1凹部55aにおけるガス流路区画部56の一端部に対応する位置に、凹所41a内にガス流通口42a(Gas1)が開口する貫通孔が形成されていると共に、第2凹部55bにおけるガス流路区画部56の一端部に対応する位置に、ガス流通口42b(Ref1)が開口する貫通孔が形成されている。また、第5凹部55eにおける第1のガス排出流路区画部56aの一端部(他方の側部突出部分の先端位置)に対応する位置に、凹所41a内にガス流通口43(Out6)が開口する貫通孔が形成されている。さらに、第1凹部55aにおけるガス流路区画部56の他端部に対応する位置に、凹所41a内にガス流通口44a(Gas3)が開口する貫通孔が形成されていると共に、第3凹部55cにおけるガス流路区画部56の一端部に対応する位置に、凹所41a内にガス流通口44b(Gas4)が開口する貫通孔が形成されている。
図5における符号41bは固定用ネジ孔である。
【0031】
背面側保持板41を構成する材料としては、例えばステンレス鋼(SUS303)を用いることができる。
【0032】
他方の保持板(以下、「正面側保持板」という。)45は、略平板状であって、
図6に示すように、ガス流路パターンシート51の他面に形成された筒状接続部60a〜60e,61a〜61fの各々に対応する位置に貫通孔45aが形成されている。
図6における符号45bは固定用ネジ孔である。なお、
図6における二点鎖線は、ガス流路パターンシート51の位置を示す。
正面側保持板45を構成する材料としては、例えばアルミニウム(A2017)を用いることができる。
【0033】
背面側保持板41および正面側保持板45は、互いに複数の固定用ネジによって連結固定されている。固定用ネジによる締結位置は、ガス流路パターンシート51の周縁に沿って形成されていると共に、一の締結位置は、ガス流路パターンシート51の配置領域内に形成されている。このような構成とされていることにより、ガス流路パターンシート51を均一に押圧することができるため、面方向において互いに独立した複数のガスチャンネルGcを確実に形成することができる。
【0034】
以上のパネル型ガス流路機構50は、例えばガス配管の途中に接続されて用いられるガス特性測定装置におけるガス配管構造を形成する場合に好適に用いることができる。
【0035】
図7は、本発明のガス特性測定装置に係る熱量測定装置の一構成例を示す分解斜視図である。
図8は、
図7に示す熱量測定装置の一部を示す拡大正面図である。
図9は、
図8におけるA−A線断面図である。
図10は、
図9の一部を示す拡大断面図である。
図11は、
図8におけるB−B線断面図である。
この熱量測定装置は、例えば背面が壁面に取り付けられて固定される筐体10の内部に、ガスセンサを含む複数のガス用機器と当該ガス用機器が接続された上記のパネル型ガス流路機構50とを具えたセンサユニット40が収容されて構成されており、例えばガスパイプライン(図示せず)に配管接続されて当該ガスパイプライン内を流通するガスの熱量を測定するために用いられるものである。ここに、熱量測定対象ガスは、パラフィン系炭化水素ガスおよび水素ガスの少なくも1種のみを含有するガス、およびパラフィン系炭化水素ガスおよび水素ガスの少なくも1種よりなる主成分と共に、他の成分として、二酸化炭素ガス、一酸化炭素ガス、窒素ガスおよび酸素ガスのうちの少なくとも一種を雑ガスとして含有してなるものである。
【0036】
筐体10は、正面に開口する略直方体状の筐体本体11と、筐体本体11の開口を塞ぐパネル状の筐体蓋体15とが、筐体蓋体15がその背面における周縁部が筐体本体11の開口端面に矩形枠状のパッキング(図示せず)を介して対接された状態で、複数の固定用ネジ18によって連結固定されてなる耐圧防爆容器により構成されている。
筐体本体11および筐体蓋体15を構成する材料としては、いずれも、例えばアルミニウムまたはその合金を用いることができる。
【0037】
筐体本体11には、各々略円柱状の内部空間を形成する複数(この例では3つの)円筒状のガス配管接続部材装着部12a〜12cが上壁の背面側における幅方向に並んだ位置において、上方に突出するよう形成されている。各々のガス配管接続部材装着部12a〜12cの内部空間は、上壁に形成されたガス流通口を介して筐体本体11内部に連通している。
また、筐体本体11の下壁には、複数のケーブル引き込み口が形成されており、各々のケーブル引き込み口には、ケーブルグランド13が筐体本体11に螺合されて着脱可能に装着されている。
筐体蓋体15には、表示部16および操作部17が上下方向に並んだ位置に形成されている。
【0038】
筐体10におけるガス配管接続部材装着部12a〜12cの各々には、ガス配管接続部材20a〜20cがガス配管接続部材装着部12a〜12cに螺合されて着脱可能に装着されている。この例においては、
図8における右側に位置されるガス配管接続部材20aが熱量測定対象ガス導入用のもの、中央に位置されるガス配管接続部材20bが、後述する光波干渉計(光学センサ)47による測定を行うに際しての参照ガス導入用のもの、左側に位置されるガス配管接続部材20cがガス排出用のものとされている。
【0039】
ガス配管接続部材20a〜20cは、内部に円柱状空間を形成する本体21と、この本体21の内部空間に対して遊嵌状態で挿入配置された狭隙棒25とにより構成されている。
本体21は、一端にフランジ部22aを有する有底円筒状の本体胴部22と、この本体胴部22の底壁に連続して軸方向に延びる小径円筒状の本体先端部23とを有する。
狭隙棒25は、本体胴部22内に遊嵌状態で挿入配置される円柱状の軸部26と、軸部26の一端に形成されたフランジ部26aとを有し、フランジ部26aの内面が本体胴部22のフランジ部22aの外面に対接状態で本体に螺合装着される。狭隙棒25の内部には、狭隙棒25の一端面および外周面にガス流通口が開口するガス流路R1が、軸方向に延びると共に径方向に屈曲して延びるよう形成されている。
【0040】
これらのガス配管接続部材20a〜20cは、本体胴部22におけるフランジ部22aの内面がガス配管接続部材装着部12a〜12cの開口端面に対接されると共に本体先端部23が筐体本体11におけるガス流通口内に挿通されて筐体本体11の内部に突出する状態で筐体本体11に螺合装着される。
【0041】
筐体本体11の後壁の内面には、上壁に形成されたガス流通口の各々に対応する位置に、正面方向に開口する凹所よりなるガス流路部材装着部14が形成されている。各々のガス流路部材装着部14の内部空間は対応するガス流通口を介してガス配管接続部材装着部12a〜12cの内部空間と連通している。
各々のガス流路部材装着部14には、鉛直方向から水平方向に屈曲して延びる略L字型のガス流路を具えたガス流路部材(ジョイント)30a〜30cが筐体本体11に対して正面方向から着脱可能に装着されている。
【0042】
ガス流路部材30a(30b,30c)は、
図12に示すように、小径円柱状部31とこの小径円柱状部31に連続して軸方向に延びる大径円柱状部32とを有し、上方面領域が平坦面(位置規制面)33とされた、全体がロッド状のものである。そして、大径円柱状部32における平坦面部分において、一方のガス流通口34aが開口し、小径円柱状部31の一端面において他方のガス流通口34bが開口する屈曲ガス流路R2を有する。
ガス流路部材30(30b,30c)は、一方のガス流通口34aが上方を向くと共に他方のガス流通口34bが正面方向を向く姿勢で、大径円柱状部32の他端部が筐体本体11のガス流路部材装着部14内に挿入されて小径円柱状部31が突出する状態で配置されている。そして、ガス配管接続部材20a(20b,20c)における本体先端部23の一端面がガス流路部材30a(30b,30c)の平坦面33に対接されてガス流路部材30a(30b,30c)における一方のガス流通口34aがガス配管接続部材20a(20b,20c)における本体先端部23に開口する一方のガス流通口にシール部材36を介して気密に接続されている。
図10および
図11における符号38は、複数のガス流路部材30a〜30cを、それぞれ一方のガス流通口34aがガス配管接続用部材20a〜20cにおける一方のガス流通口に対して位置決めされた状態で、装着するための共通の位置規制用固定板であって、筐体本体11に対してネジ止め固定されている。
ガス流路部材30a〜30cを構成する材料としては、例えばステンレス鋼などの金属材料を用いることができる。
【0043】
上述したように、この熱量測定装置においては、筐体10の内部においてセンサユニット40が筐体本体11に対して着脱可能に装着されている。
センサユニット40は、上記のパネル型ガス流路機構50と、パネル型ガス流路機構50の一面(背面)側に配設された、熱量測定対象ガスの密度換算熱量を測定するための密度換算熱量測定機構を構成する密度計(音速センサ)46と、パネル型ガス流路機構50の他面(正面)側に配設された、熱量測定対象ガスの屈折率換算熱量を測定するための屈折率換算熱量測定機構を構成する光波干渉計(光学センサ)47と、光波干渉計(光学センサ)47の前方位置に配設された動作制御基板48と、パネル型ガス流路機構50と互いにネジ止めされて固定された端子台49とが一の構造体としてユニット化されて構成されており、筐体本体11にネジ止めされて固定されている。
【0044】
この例においては、パネル型ガス流路機構50における第1凹部55aに係るガスチャンネルGcは、熱量測定対象ガス導入用のガス流路を構成し、第2凹部55bに係るガスチャンネルGcは、参照ガス導入用のガス流路を構成する。また、第3凹部55cに係るガスチャンネルGcは、熱量測定対象ガスについての音速センサ46と光学センサ47との接続用のガス流路を構成し、第4凹部55dに係るガスチャネルGcは、参照ガスについての音速センサ46と光学センサ47との接続用のガス流路を構成する。さらに、第5凹部55eに係るガスチャンネルGcは、測定ガスおよび参照ガス排出用のガス流路を構成する。そして、背面側保持板41におけるガス流通口42a(Gas1)が熱量測定対象ガスを第1凹部55aに係るガスチャンネルGcに導入するためのガス入口、ガス流通口42b(Ref1)が参照ガスを第2凹部55bに係るガスチャンネルGcに導入するためのガス入口、ガス流通口43(Out6)が第5凹部55eに係るガスチャンネルGcから熱量測定対象ガスおよび参照ガスを排出するためのガス出口とされている。また、背面側保持板41におけるガス流通口44a(Gas3)が音速センサ46に熱量測定対象ガスを供給するためのガス流出口とされていると共に、ガス流通口44b(Gas4)が音速センサ46からの熱量測定対象ガスをガスチャンネルGcに導入するためのガス流入口とされている。さらに、ガス流路パターンシート51におけるガス流通口53a(Gas2),53b(Ref2),53c(Ref3),53d(Gas5),53e(Ref5),53f(Out5)が各ガスチャンネルGcからのガス流出口、ガス流通口54a(Ref4),54b(Out1),54c(Out2),54d(Out3),54e(Out4)が各ガスチャンネルGcに対するガス流入口とされている。
【0045】
そして、上記のパネル型ガス流路機構50における筒状接続部61a〜61fは、正面側保持板45の他面(正面)に対接されて設けられた光学センサ47に接続されている。また、
図13に示すように、筒状接続部60aおよび筒状接続部60bは、動作制御基板48の一面(背面)に配設された測定ガス用圧力センサ65に接続されていると共に、筒状接続部60cおよび筒状接続部60dは、動作制御基板48の一面(背面)に配設された参照ガス用圧力センサ66に接続されている。さらにまた、筒状接続部60eは、動作制御基板48の一面に配設された絶対圧センサ67に接続されている。
一方、パネル型ガス流路機構50における背面側保持板45の一面(背面)に形成されたガス流出口44a(Gas3)およびガス流入口44b(Gas4)は、背面側保持板45の一面に対接された音速センサ46における箱型状のセンサケース46aの他面(正面)に形成されたガス導入口(図示せず)およびガス排出口(図示せず)に気密に接続されている。
【0046】
このセンサユニット40は筐体本体11に正面方向から装着されることにより、背面側保持板41におけるガス入口42a(Gas1),ガス入口42b(RFE1),ガス出口43(Out6)が、それぞれ、シール部材37を介して対応するガス流路部材30a〜30cの小径円柱状部31の一端面に開口する他方のガス流通口34bに気密に接続され(
図10参照)、この状態で、ネジ止めされて固定される。
【0047】
而して、上記の熱量測定装置においては、次のようにして音速センサ46および光学センサ47に熱量測定対象ガスおよび参照ガスが供給される。すなわち、熱量測定対象ガス導入部に係るガス配管接続部材20aより導入される熱量測定対象ガスは、
図14に示すように、ガス流路部材30aを介してパネル型ガス流路機構50における背面側保持板41のガス入口42a(Gas1)より第1凹部55aに係るガスチャンネルGcに導入される。
ガスチャンネルGcに流入した熱量測定対象ガスの一部は、ガス流出口53a(Gas2)より筒状接続部60aを介して測定ガス用圧力センサ65に供給されると共に、残りの全部が背面側保持板41におけるガス流出口44a(Gas3)より音速センサ46に供給される。測定ガス用圧力センサ65に供給された熱量測定対象ガスは、筒状接続部60bを介してガス流入口54d(Out3)より第5凹部55eに係るガスチャンネルGcに導入され、緩衝部(バッファ部)58を介して、一部の熱量測定対象ガスがガス流出口53f(Out5)より筒状接続部60eを介して絶対圧センサ67に供給されると共に、他の全部が背面側保持板41におけるガス出口43(Out6)よりパネル型ガス流路機構50より排出される。一方、音速センサ46に供給された熱量測定対象ガスは、背面側保持板41におけるガス流入口44b(Gas4)より第3凹部55cに係るガスチャンネルGcに導入され、ガス流出口53f(Gas5)より筒状接続部61aを介して光学センサ47に供給される。その後、筒状接続部61dを介してガス流入口54b(Out1)より第5凹部55eに係るガスチャンネルGcに導入され、背面側保持板41におけるガス出口43(Out6)よりパネル型ガス流路機構50より排出される。
【0048】
また、参照ガス導入部に係るガス配管接続部材20bより導入される参照ガスは、ガス流路部材30bを介してパネル型ガス流路機構50に背面側保持板41のガス入口42b(Ref1)より第2凹部55bに係るガスチャンネルGcに導入される。
当該ガスチャンネルGcに流入した参照ガスの一部は、ガス流出口53b(Ref2)より筒状接続部60cを介して参照ガス用圧力センサ66に供給されると共に、残りの全部がガス流出口53c(Ref3)より筒状接続部61bを介して光学センサ47に供給される。参照ガス用圧力センサ66に供給された参照ガスは、筒状接続部60dを介してガス流入口54e(Out4)より第5凹部55eに係るガスチャンネルGcに導入され、一部がガス流出口53f(Out5)より筒状接続部60eを介して絶対圧センサ67に供給されると共に、他の全部が背面側保持板41におけるガス出口43(Out6)よりパネル型ガス流路機構50より排出される。
一方、光学センサ47に供給された参照ガスは、筒状接続部61eを介してガス流入口54a(Ref4)より第4凹部55dに係るガスチャンネルGcに導入された後、再び、ガス流出口53e(Ref5)より筒状接続部61fを介して光学センサ47に供給される。そして、筒状接続部61cを介してガス流入口54c(Out2)より第5凹部55eに係るガスチャンネルGcに導入され、緩衝部58を介して背面側保持板41におけるガス出口43(Out6)よりパネル型ガス流路機構50より排出される。
【0049】
ガス出口43(Out6)より排出されたガス(測定ガス,参照ガス)は、ガス排出部に係るガス流路部材30cおよびガス配管接続部材12cを介して装置外部に排出される。
【0050】
そして、音速センサ46より得られる検出出力に基づいて熱量測定対象ガスについての密度換算熱量が算出されると共に、光学センサ47より得られる検出出力に基づいて当該熱量測定対象ガスについての屈折率換算熱量が算出され、当該密度換算熱量および当該屈折率換算熱量に基づいて、熱量測定対象ガスの熱量が算出される。
【0051】
而して、上記構成のパネル型ガス流路機構50によれば、基本的には、ガス流路パターンシート51に形成される突条52a〜52eのデザインによって自由なガス流路を形成することができると共にガス流通口(ガス流出口53a(Gas2),53b(Ref2),53c(Ref3),53d(Gas5),53e(Ref5),53f(Out5)、および、ガス流入口54a(Ref4),54b(Out1),54c(Out2),54d(Out3),54e(Out4))の位置を自由に選定することができるので、ガス流路についての設計の自由度が高いものとして構成することができる。しかも、ガス流路を構成する複数の
ガスチャンネルGcが互いに面方向に独立した状態でユニット化されて構成されているので、複数のガス用機器、具体的には音速センサ46、光学センサ47、圧力センサ65,66、絶対圧センサ67を当該パネル型ガス流路機構50における所定の位置に接続することにより、これらのガス用機器の相互の接続を確実にかつ容易に達成することができる。
また、筒状接続部60a〜60e,61a〜61fに関連して座屈防止部57が形成されていることによりパネル型ガス流路機構50とガス用機器との接続を確実に達成することができると共にガス用機器の接続に際してガスチャンネルGcが閉塞されることを回避することができる。
【0052】
従って、上記のパネル型ガス流路機構50を具えた上記構成の熱量測定装置によれば、複数のガス用機器とパネル型ガス流路機構50とをユニット化して一の構造体として構成することができ、当該構造体を単に筐体本体11に装着することにより所定のガス配管構造を形成することができる。
また、ガス排出用のガスチャンネルGcを画成する第5凹部55eを形成する突条52eが、他のガスチャンネルを画成する第1凹部55a〜第4凹部55dを形成する突条52a〜52dの周囲を囲むよう形成された構成とされていることにより、熱量測定対象ガスおよび参照ガスに対する外部からの影響を排除することができて検出結果に高い信頼性を得ることができる。
さらに、パネル型ガス流路機構50におけるガス排出用のガスチャンネルGcに、逆流防止用の緩衝部58が形成された構成とされていることにより、複数のガス用機器の各々に対して熱量測定対象ガスおよび参照ガスを確実に供給することができる。
【0053】
また、上記構成の熱量測定装置によれば、次のような効果が得られる。すなわち、上記構成の熱量測定装置によれば、熱量測定対象ガスについてのガス導入部、参照ガスについてのガス導入部およびガス排出部が、ガス配管接続部材20a〜20c、ガス流路部材30a〜30c、複数のガス用機器が接続されたパネル型ガス流路機構50が筐体10に装着されて各々の構成部材のガス流通路が相互に接続されることによって構成されているため、例えばチューブ等の配管部材を用いることなく、所定のガス配管構造を容易に形成することができ、しかも、これらの構成部材を正面方向から容易に着脱することができるので、高いメンテナンス性を得ることができる。
また、この熱量測定装置において形成されるガス配管構造においては、熱量測定装置に導入される熱量測定対象ガスが筐体10に接触することがないので、筐体10の構成材料それ自体の耐食性によって導入可能なガスの種類が制限されるといった問題が生ずることがなく、高い利便性を得ることができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、パネル型ガス流路機構におけるガス流路パターンシートに形成される突条のデザインは上記実施例に係るものに限定されず、突条のデザインによって自由なガス流路を形成することができる。従って、ガスチャンネルの数、配置位置およびその他の具体的な構成は、接続されるガス用機器の種類、数など目的に応じて適宜変更することができる。
また、上記実施例においては、ガス流路パターンシートの他面に一体に形成された、他方の保持板を貫通してその外方に突出して延びる筒状接続部により光学センサに対するガス流出部および光学センサからのガス流入部が形成された構成とされているが、正面側保持板とガス流路パターンシートの両者を貫通する貫通孔によりガス流入部およびガス流出部が形成された構成とされていてもよい。
さらにまた、ガス流路パターンシートの両面に突条が形成された構成とされていてもよい。
【0055】
また、本発明のパネル型ガス流路機構は、可燃性ガスや有害ガス等が発生したり漏洩したりする可能性のある環境雰囲気(監視対象空間)に設置されて用いられるガス検出装置あるいはガス濃度測定装置に適用することができる。