特許第6134189号(P6134189)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アイ・ライティング・システムの特許一覧

<>
  • 特許6134189-LED点灯装置及び光源装置 図000002
  • 特許6134189-LED点灯装置及び光源装置 図000003
  • 特許6134189-LED点灯装置及び光源装置 図000004
  • 特許6134189-LED点灯装置及び光源装置 図000005
  • 特許6134189-LED点灯装置及び光源装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134189
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】LED点灯装置及び光源装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   H05B37/02 J
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-78173(P2013-78173)
(22)【出願日】2013年4月4日
(65)【公開番号】特開2014-203631(P2014-203631A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年1月19日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000126274
【氏名又は名称】株式会社アイ・ライティング・システム
(74)【代理人】
【識別番号】100160967
【弁理士】
【氏名又は名称】▲濱▼口 岳久
(72)【発明者】
【氏名】松本 稔
(72)【発明者】
【氏名】島村 昭弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 篤
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−018556(JP,A)
【文献】 特開2011−165363(JP,A)
【文献】 特開2004−127721(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0005861(US,A1)
【文献】 米国特許第04281365(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED点灯装置であって、
入力されるPWM調光信号で指定される入力オンデューティが、選択可能な第1の上限オンデューティ未満である場合には前記入力オンデューティに応じた調光点灯用の電流指令値を出力し、前記入力オンデューティが前記第1の上限オンデューティ以上でかつ該第1の上限オンデューティより大きい選択可能な所定の上限オンデューティ未満の場合には最深調光点灯用の電流指令値を出力し、前記入力オンデューティが前記所定の上限オンデューティ以上の場合には停止信号を出力するように構成された調光制御部と、
前記調光制御部から前記電流指令値が入力された場合には該電流指令値に応じた電流をLEDに供給し、前記停止信号が入力された場合には電流出力を停止するように構成された電源回路部と
を備え、前記第1の上限オンデューティ及び前記所定の上限オンデューティが、設置時に外部から操作可能な手段によって選択可能である、LED点灯装置。
【請求項2】
請求項1に記載のLED点灯装置において、前記入力オンデューティが0以上でかつ前記第1の上限オンデューティよりも小さい選択可能な下限オンデューティ未満の場合、前記調光制御部が全光点灯用の電流指令値を出力するように構成されたLED点灯装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のLED点灯装置と、前記LEDとを備えた光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はPWM調光器対応のLED点灯装置及びそれを用いた光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PWM調光器に対応したLED点灯装置が普及している。LED点灯装置では、PWM調光器からのPWM調光信号のデューティ比に応じてLEDの明るさが制御される。一般に、LED点灯装置は、PWM調光信号のオンデューティの増加に対してLEDへの出力電流が小さくなるように設計される。
【0003】
特許文献1は、LED等を用いた光源装置において、PWM調光信号のオンデューティ比に対する光出力の傾きをJIS規格に合わせるための構成を開示する。同文献では、PWM調光信号を直流化した電圧が複数の閾値と比較され、比較結果に応じて変換電圧が決定される。そして、その変換電圧がさらに所定の直流電圧に関して補正するよう演算処理され、その演算結果に基づいて光出力が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−165363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、市販されている汎用のPWM調光器のオンデューティ範囲は個々の仕様によって異なり、統一されているわけではない。例えば、調光器によって、出力可能なオンデューティ範囲の最小値は0%〜10%程度の範囲で区々であり、その最大値も90%〜100%程度の範囲で区々である。即ち、PWM調光器のオンデューティ範囲はその仕様によって異なる。しかし、特許文献1の構成によると、PWM調光器のオンデューティ範囲がその仕様によって異なることが考慮されていない。その結果として、狭いオンデューティ範囲の調光器が取り付けられた場合に、全光出力又は最深調光出力を行うことができない可能性がある。
【0006】
また、PWM調光器のデューティ範囲にかかわらず、消灯機能が確保されることが望ましい。PWM調光器の操作によってLED光源を消灯できない場合、ユーザは主電源(商用電源)をオフにする以外に消灯を行うことができない。しかし、例えば、同室内に多数の光源装置が設置されている場合に、ユーザは自身が操作する主電源スイッチがどの光源装置に対応しているのかを把握できないことがある。そのため、いずれか1つの光源装置を消灯しようとするユーザは、誤って他の光源装置を消灯させてしまう可能性があり、更には次から次へと消灯対象でない光源装置を消灯及び再点灯させて消灯対象の光源装置をつきとめる必要が生じてしまう。このような無用な消灯動作は同室内の他のユーザに迷惑がかかる場合があり、好ましくない。PWM調光器でLED光源を消灯させることができれば、ユーザは自身の操作する調光器がどの光源装置に対応しているのかを、調光操作によって把握することができ、無用な消灯を回避することができる。従って、種々の仕様のPWM調光器に対して光源装置側で消灯機能が実現されることが望ましい。
【0007】
そこで、本発明は、種々の仕様のPWM調光器に対応して全光点灯、最深調光点灯及び消灯を実現するLED点灯装置及び光源装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のLED点灯装置は、入力されるPWM調光信号で指定される入力オンデューティが、選択可能な第1の上限オンデューティ未満である場合には入力オンデューティに応じた調光点灯用の電流指令値を出力し、入力オンデューティが第1の上限オンデューティ以上でかつ第1の上限オンデューティより大きい選択可能な所定の上限オンデューティ未満の場合には最深調光点灯用の電流指令値を出力し、入力オンデューティが所定の上限オンデューティ以上の場合には停止信号を出力するように構成された調光制御部と、調光制御部から電流指令値が入力された場合には電流指令値に応じた電流をLEDに供給し、停止信号が入力された場合には電流出力を停止するように構成された電源回路部を備える。
【0009】
本発明のLED点灯装置によると、入力オンデューティが、選択可能な第1の上限オンデューティ以上の場合には最深調光点灯が行われ、さらに選択可能な所定のオンデューティ以上の場合には消灯される。従って、異なるオンデューティ範囲を持つPWM調光器がLED点灯装置に接続される場合に対して上限オンデューティ及び所定のオンデューティがPWM調光器のオンデューティ範囲に含まれるので、最深調光点灯及び消灯を確実に実現することができる。
【0010】
上記のLED点灯装置において、所定の上限オンデューティがヒステリシス幅を有し、ヒステリシス幅が第2の上限オンデューティ及び第2の上限オンデューティより大きい第3の上限オンデューティで規定され、入力オンデューティが第2の上限オンデューティ以上でかつ第3の上限オンデューティ未満のヒステリシス区間にある場合に、入力オンデューティが、第2の上限オンデューティ未満のオンデューティから増加してヒステリシス区間に入った場合には、調光制御部が最深調光点灯用の電流指令値を出力し、入力オンデューティが、第3の上限オンデューティ以上のオンデューティから減少してヒステリシス区間に入った場合には、調光制御部が停止信号を出力するように構成される。
【0011】
上記構成によると、最深調光点灯と消灯との境界付近におけるオンデューティ範囲において、ヒステリシス区間を設けたことにより、PWM調光信号の変動に起因する不要な点滅動作が確実に回避される。
【0012】
上記のLED点灯装置において、入力オンデューティが0以上で、かつ第1の上限オンデューティよりも小さい選択可能な下限オンデューティ未満の場合、調光制御部が全光点灯用の電流指令値を出力するように構成される。この構成により、異なるオンデューティ範囲を持つPWM調光器がLED点灯装置に接続される場合に対して下限オンデューティがPWM調光器のオンデューティ範囲に含まれるので、全光点灯を確実に実現することができる。
【0013】
本発明の光源装置は、上記のLED点灯装置と、LED点灯装置からの出力電流が投入されるLEDとを備える。これにより、光源装置が対応できるPWM調光器が拡充され、光源装置の汎用性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態によるLED点灯装置及び光源装置を示す図である。
図2】本発明のLED点灯装置における入力オンデューティと電流指令値の関係を示す図である。
図3A】本発明のLED点灯装置の制御を示すフローチャートである。
図3B】本発明のLED点灯装置の制御を示すフローチャートである。
図4】本発明の他の実施形態によるLED点灯装置及び光源装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施形態1.
図1に、本発明の第1の実施形態による光源装置を示す。光源装置3はLED点灯装置1及びLED2からなる。LED点灯装置1は電源回路部10及び調光制御部20を備え、電源回路部10の入力端には交流電源AC(例えば、商用電源)が接続され、調光制御部20の入力端にはPWM(Pulse Width Modulation)調光器30が接続される。LED2は電源回路部10の出力端に直列接続された複数のLEDからなる。
【0016】
電源回路部10は、入力回路11、AC−DC変換回路12、電流制御回路13及び電流検出回路14を備え、交流電源ACからの入力交流電力を、調光制御部20からの電流指令値に応じた直流電流に変換してLED2に供給する。また、電源回路部10は調光制御部20から停止信号が入力された場合には、その出力動作を停止する。
【0017】
入力回路11は電流ヒューズ及びノイズフィルタを備える。AC−DC変換回路12は、交流電源ACからの入力交流電圧を整流及び平滑し、又は整流、昇圧及び平滑し、直流電圧を定電流回路13に出力する。電流制御回路13は、フライバックコンバータ回路、降圧チョッパ回路等のDC−DC降圧コンバータ回路からなり、電流検出回路14は抵抗からなる。電流制御回路13は調光制御部20から入力される電流指令値と電流検出回路14から入力される電流検出値とが一致するように、出力電流をフィードバック制御する。
【0018】
調光制御部20は、調光信号入力回路21、積分回路22、A/Dコンバータ23、マイクロコンピュータ24(以下、「マイコン24」という)及びD/Aコンバータ25を備え、PWM調光器30から入力されるPWM調光信号を電流指令値に変換する。また、調光制御部20は、PWM調光信号に応じて電源回路部10の動作を停止させるための停止信号を出力する。なお、PWM調光信号は一般に、100Hz〜1kHz、振幅10VのPWM信号である。
【0019】
調光信号入力回路21は、抵抗R1、抵抗R2及びフォトカプラPCを備え、フォトカプラPCは入力側の逆並列された2つのフォトダイオード並びに出力側のフォトトランジスタを含む。PWM調光器30からのPWM調光信号が入力されると、抵抗R1によって電流制限されたPWM調光信号がフォトカプラPCのフォトダイオードに入力される。フォトダイオードが逆並列に接続されているので、PWM調光器30の接続極性にかかわらず、PWM調光信号のオン期間にフォトダイオードのいずれか一方が発光し、それに応じてフォトトランジスタがオンする。フォトトランジスタのコレクタ端子は抵抗R2を介して制御電源VDDに接続される。従って、フォトトランジスタがオンのときには積分回路22にローレベル出力が入力され、フォトトランジスタがオフのときには積分回路22にハイレベル出力が入力される。これにより、積分回路22には、反転されたPWM調光信号が、制御電源VDDの振幅で入力される。このように、PWM調光信号入力回路21によって、PWM調光信号が減衰されて入力される場合であっても、PWM調光信号が成形されるとともに所望のレベルの振幅の信号に変換される。
【0020】
積分回路22は、入力された反転PWM調光信号を積分して、PWM調光信号のオンデューティ幅に対して単調減少するアナログ電圧を出力する。A/Dコンバータ23は積分回路22から入力されるアナログ電圧をデジタルデータに変換する。マイコン24はA/Dコンバータ23から入力されるデジタルデータを所定の電流指令値(デジタル値)に変換する。また、マイコン24はA/Dコンバータ23から入力されるデジタルデータが所定の条件にあるときは停止信号を出力する。このマイコン24における電流指令値への変換及び停止信号の出力の詳細については後述する。D/Aコンバータ25はマイコン24からのデジタルの電流指令値をアナログの電流指令値に変換する。このD/Aコンバータ25からの電流指令値が電源回路部10の電流制御回路13に入力される。なお、D/Aコンバータ25は、PWM信号発生器によって生成されるPWMパルス列を積分回路により平滑する回路で代替されてもよい。
【0021】
以上により、交流電源ACが投入された状態でユーザがPWM調光器30を操作すると、その操作に応じて調光制御回路20において電流指令値又は停止信号を生成され、それに応じて電源回路部10によってLED2の調光率及び点灯状態が制御される。
【0022】
次に、上述したマイコン24における電流指令値への変換及び停止信号の出力の詳細について説明する。図2に、PWM調光器30から入力されるPWM調光信号で指定されるオンデューティ(以下、「入力オンデューティ」という)と、マイコン24が決定する電流指令値との関係を示す。図2において、横軸は入力オンデューティSを示し、縦軸は電流指令値Tを示す。なお、一般の照明器具においては、入力オンデューティSの増加に対して調光率(明るさ)は減少するように設定されるので、本実施形態もその原則に従うものとする。
【0023】
マイコン24は、下限オンデューティL1並びに上限オンデューティU1、U2及びU3が記憶される。なお、0<L1<U1<U2<U3<100であり、これらの値はユーザ等によって選択可能である。下限オンデューティL1並びに上限オンデューティU1、U2及びU3は、LED点灯装置1の製造時にマイコン24にこれらの値を記憶させるときに選択されてもよいし、LED点灯装置1の設置時に、外部から操作可能なボリューム抵抗又はディップスイッチ等が操作されることにより選択されてもよい。電流指令値Tは調光率(又は調光度)に略比例し、電流指令値Tが大きいほど調光率が高くLED2は明るく点灯し、電流指令値Tが小さいほど調光率は低くLED2は暗く点灯する。なお、以降の説明において、電流指令値Tについて、全光点灯用の最大値(調光率100%に対応)をTmax、最深調光点灯用の最小値(調光率5%程度に対応)をTminとする。なお、最深調光率は5〜10%程度であればよい。
【0024】
入力オンデューティSが0%以上でかつ下限オンデューティL1未満の場合、調光制御部20のマイコン24は最大電流指令値Tmaxを出力する。入力オンデューティSが下限オンデューティL1以上でかつ上限オンデューティU1未満である場合、マイコン24は入力オンデューティSに応じた調光点灯用の電流指令値Tを出力する。本実施形態では、電流指令値Tは入力オンデューティSの一次関数となり、具体的には、T=Tmax−(Tmax−Tmin)/(U1−L1)×(S−L1)となる。
【0025】
入力オンデューティSが上限オンデューティU1以上で上限オンデューティU2未満の場合、マイコン24は最小電流指令値Tminを出力し、入力オンデューティSが上限オンデューティU2又はU3以上100%以下の場合には、マイコン24は停止信号を出力する。ここで、上限オンデューティU2以上でかつ上限オンデューティU3未満の区間はヒステリシス区間であり、上限オンデューティU2及びU3によってヒステリシス幅が規定される。
【0026】
入力オンデューティSが、上限オンデューティU2未満のオンデューティから増加してヒステリシス区間に入った場合には、入力オンデューティSがヒステリシス区間にある限り、マイコン24は最小電流指令値Tminを出力する。その後、入力オンデューティSが上限オンデューティU3以上となると、マイコン24が停止信号を出力してLED2が消灯される。
【0027】
一方、入力オンデューティSが、上限オンデューティU3以上のオンデューティから減少してヒステリシス区間に入った場合には、入力オンデューティSがヒステリシス区間にある限り、マイコン24は停止信号の出力を継続してLED2の消灯を維持する。その後、入力オンデューティSが上限オンデューティU2未満となると、マイコン24は停止信号を解除してLED2が最深調光度で点灯される。
【0028】
このように、最深調光点灯と消灯との境界点において、ヒステリシス区間U2〜U3を設けたことにより、PWM調光信号の変動に起因して消灯と点灯が繰り返される不安定な状態を回避することができる。
【0029】
下限オンデューティL1並びに上限オンデューティU1及びU2は、市販されているPWM調光器30の仕様に応じて決定されるようにすればよい。例えば、下限オンデューティL1は、市販のPWM調光器30の中で最大の下限オンデューティを持つPWM調光器の下限オンデューティ以上とすればよい。同様に、上限オンデューティU1は、市販のPWM調光器30の中で最小の上限オンデューティを持つPWM調光器の上限オンデューティ以下とすればよい。これにより、LED点灯装置1において、あらゆるPWM調光器に対して、そのオンデューティ範囲に下限オンデューティL1〜上限オンデューティU1が含まれることになり、全光点灯から最深調光点灯が実現される。またさらに、上限オンデューティU3は市販のPWM調光器30の中で最小の下限オンデューティを持つPWM調光器の上限オンデューティ以下とすることが望ましい。これにより、LED点灯装置1において、あらゆるPWM調光器に対して、オンデューティ範囲に下限オンデューティL1〜上限オンデューティU3が含まれることになり、消灯機能が実現される。
【0030】
なお、下限オンデューティL1が10〜15%程度であれば、ほとんどの市販のPWM調光器のオンデューティ範囲が下限オンデューティL1以上に含まれ、全光点灯が確実に実現される。また、上限オンデューティU1が85〜90%程度であれば、ほとんどの市販のPWM調光器のオンデューティ範囲が上限オンデューティU1以下に含まれることになり、最深調光点灯が確実に実現される。またさらに、上限オンデューティU3が85〜90%程度であれば、ほとんどの市販のPWM調光器のオンデューティ範囲が上限オンデューティU3以下に含まれることになり、消灯機能が確実に実現される。また、ヒステリシス幅(U2〜U3)は1〜3%程度であればよく、上限オンデューティU2と上限オンデューティU1の差は0〜5%程度であればよい。一例として、本実施形態においては、L1=15%、U1=85%、U2=88%、U3=90%であるものとするが、本発明はこれに限定されない。
【0031】
なお、上限オンデューティU1、U2及びU3は個別に選択可能であってもよいし、連動的に選択可能であってもよい。連動的に選択可能な場合とは、U1、U2及びU3のいずれか1つの特定オンデューティを設定可能として、残りの上限オンデューティがその特定上限オンデューティに対して等差的若しくは等比的に、又は所定のテーブルに従って自動的に決定される態様という。
【0032】
図3A及び図3Bに、LED点灯装置1の制御のフローチャートを示す。
図3Aにおいて、交流電源ACが投入されることにより処理が開始される。
ステップS1において、マイコン24は電流出力状態をSW=0として停止信号を出力する。従って、電源回路部10が起動してもLED2に電流が出力されることはない。なお、以降の説明において、電流出力状態がSW=0で停止信号がアクティブとなり、電流出力状態がSW=1で停止信号が解除されるものとする。
ステップS2において、マイコン24は、選択された下限オンデューティL1並びに上限オンデューティU1、U2及びU3をそれぞれセットする。
【0033】
ステップS10において、マイコン24はA/Dコンバータ23からのデジタルデータを取り込んで入力オンデューティSを読み込む。
【0034】
ステップS11において、マイコン24は入力オンデューティSが上限オンデューティU3以上か否かを判断する。入力オンデューティSが上限オンデューティU3以上である場合(ステップS11、Yes)、ステップS12において、マイコン24は、LED2を点灯させないために電流出力状態をSW=0に維持する。入力オンデューティSが上限オンデューティU3未満である場合(ステップS11、No)、処理はステップS13に進む。
【0035】
ステップS13において、マイコン24は入力オンデューティSが上限オンデューティU2以上かつ上限オンデューティU3未満か否かを判断する。入力オンデューティSが上限オンデューティU2以上かつ上限オンデューティU3未満である場合(ステップS13、Yes)、処理はステップS14に進む。ステップS14において、マイコン24は、LED2を点灯させないためにSW=0としてもよいし、LED2を最深調光点灯させるためにSW=1及びT=Tminとしてもよい。なお、ステップS14の動作については、初期設定によって上記のいずれかが設定されているものとする。入力オンデューティSが上限オンデューティU2未満である場合(ステップS13、No)、処理はステップS15に進む。
【0036】
ステップS15において、マイコン24は入力オンデューティSが上限オンデューティU1以上かつ上限オンデューティU2未満か否かを判断する。入力オンデューティSが上限オンデューティU1以上かつ上限オンデューティU2未満である場合(ステップS15、Yes)、ステップS16において、マイコン24は、LED2を最深調光点灯させるためにSW=1及びT=Tminとする。入力オンデューティSが上限オンデューティU1未満である場合(ステップS15、No)、処理はステップS17に進む。
【0037】
ステップS17において、マイコン24は入力オンデューティSが下限オンデューティL1未満か否かを判断する。入力オンデューティSが下限オンデューティL1未満である場合(ステップS17、Yes)、ステップS18において、マイコン24は、LED2を全光点灯させるためにSW=1及びT=Tmaxとする。入力オンデューティSが下限オンデューティL1以上である場合(ステップS17、No)、即ち、入力オンデューティSが下限オンデューティL1以上かつ上限オンデューティU1未満である場合、処理はステップS19に進む。
【0038】
ステップS19において、マイコン24は入力オンデューティSに応じた調光点灯を行うために、SW=1とするとともに電流指令値T=Tmax−(Tmax−Tmin)/(U1−L1)×(S−L1)を演算する。
【0039】
ステップS20では、電流制御回路13において停止信号の有無が検出される。SW=1の場合には(ステップS20、Yes)、処理はステップS21に進み、SW=0の場合には(ステップS20、No)、処理はステップS22に進み、電流制御回路13の停止状態が維持される。
【0040】
ステップS21では、電流制御回路13において、マイコン24から入力される電流指令値Tと電流検出回路14によって検出される電流検出値が一致するように出力電流がフィードバック制御される。
【0041】
図3Aを参照して、LED点灯装置1の起動時の動作を説明した。次に、図3B(一部図3A)を参照して、LED点灯装置1の起動後の動作を説明する。
【0042】
LED2が点灯状態となったステップS21の後のステップS30において、マイコン24はA/Dコンバータ23からのデジタルデータを取り込んで入力オンデューティSを読み込む。
【0043】
ステップS31において、マイコン24は入力オンデューティSが上限オンデューティU3以上か否かを判断する。入力オンデューティSが上限オンデューティU3以上である場合(ステップS31、Yes)、処理はステップS32に進み、入力オンデューティSが上限オンデューティU3未満である場合(ステップS31、No)、処理はステップS35に進む。
【0044】
ステップS32において、マイコン24はLED2を消灯させるために電流出力状態をSW=0とし、処理はステップS20に戻る。
【0045】
ステップS35において、マイコン24は入力オンデューティSが上限オンデューティU1以上かつ上限オンデューティU3未満か否かを判断する。入力オンデューティSが上限オンデューティU1以上かつ上限オンデューティU3未満である場合(ステップS35、Yes)処理はステップS36に進む。入力オンデューティSが上限オンデューティU1未満である場合(ステップS35、No)、処理はステップS37に進む。
【0046】
ステップS36において、マイコン24はLED2を最深調光点灯させるためにT=Tminとする。なお、電流出力状態はSW=1に維持される。ステップS36の後、処理はステップS20に戻る。
【0047】
ステップS37において、マイコン24は入力オンデューティSが下限オンデューティL1未満か否かを判断する。入力オンデューティSが下限オンデューティL1未満である場合(ステップS37、Yes)処理はステップS38に進む。入力オンデューティSが下限オンデューティL1以上である場合(ステップS37、No)、即ち、入力オンデューティSが下限オンデューティL1以上かつ上限オンデューティU1未満である場合処理はステップS39に進む。
【0048】
ステップS38において、マイコン24は、LED2を全光点灯させるためにT=Tmaxとする。なお、電流出力状態はSW=1に維持される。ステップS38の後、処理はステップS20に戻る。
【0049】
ステップS39において、マイコン24は入力オンデューティSに応じた調光点灯を行うために、電流指令値T=Tmax−(Tmax−Tmin)/(U1−L1)×(S−L1)を演算する。なお、電流出力状態はSW=1に維持される。ステップS39の後、処理はステップS20に戻る。
【0050】
LED2が消灯状態となっているステップS22の後のステップS40において、マイコン24はA/Dコンバータ23からのデジタルデータを取り込んで入力オンデューティSを読み込む。
【0051】
ステップS41において、マイコン24は入力オンデューティSが上限オンデューティU2以上か否かを判断する。入力オンデューティSが上限オンデューティU2以上である場合(ステップS41、Yes)、処理はステップS40に戻る。即ち、入力オンデューティSが上限オンデューティU2未満となるまで消灯状態が維持される。入力オンデューティSが上限オンデューティU2未満となった場合(ステップS41、No)、処理はステップS42に進む。
【0052】
ステップS42において、マイコン24は、LED2を最深調光点灯させるために電流出力状態をSW=1とするとともにT=Tminとして、処理はステップS20に戻る。
【0053】
実施形態2.
図4に、本発明の第2の実施形態による光源装置を示す。本実施形態の光源装置3も、第1の実施形態と同様に、LED点灯装置1及びLED2からなる。本実施形態のLED点灯装置1は、第1の実施形態の積分回路22及びA/Dコンバータ23が周波数カウンタ26によって置換えられた点を除いて第1の実施形態のものと同様である。周波数カウンタ26は、PWM調光器30からのPWM調光信号のオンデューティ・パーセントを直接読み取り、読み取った値をマイコン24に出力する。この構成によって、第1の実施形態と同様の動作が得られる。
【0054】
以上の各実施形態のLED点灯装置1によると、異なるオンデューティ範囲を持つPWM調光器30がLED点灯装置1に接続される場合に対して、確実に全光点灯〜最深調光点灯及び消灯を実現することができる。従って、光源装置3が対応できるPWM調光器が拡充され、光源装置3の汎用性が高まる。また、最深調光点灯と消灯との境界付近におけるオンデューティ範囲において、ヒステリシス区間U2〜U3を設けたことにより、PWM調光信号の変動に起因する不要な点滅動作が確実に回避される。
【0055】
以上に、本発明の好適な実施形態を記載したが、本発明は以下に示すような種々の変形が可能である。
例えば、上記各実施形態では、下限オンデューティL1から上限オンデューティU1の範囲において、入力オンデューティSと電流指令値Tの関係が一次関数となるものを示したが、ユーザの使い勝手等を考慮してその関係が他の関数となるようにしてもよい。
【0056】
また、上記各実施形態においては、停止信号によって電流制御回路13の動作が停止される構成を示したが、停止信号によってAC−DC変換回路12の動作が停止されてLED2が消灯される構成としてもよい。
【0057】
また、第1の実施形態では、マイコン24に対してA/Dコンバータ23及びD/Aコンバータ25を別途設ける構成を示したが、A/Dコンバータ23及びD/Aコンバータ25の少なくとも一方がマイコン24に内蔵される構成としてもよい。同様に、第2の実施形態において、D/Aコンバータ25がマイコン24に内蔵される構成としてもよい。
【0058】
また、上記各実施形態においては、LED点灯装置1に有線接続されたPWM調光器30からPWM調光信号が入力される構成を示したが、リモコン調光器から無線信号(例えば、赤外線信号)によりLED点灯装置1にPWM調光信号が入力される構成としてもよい。この場合、LED点灯装置1のPWM調光信号入力回路21はPWM調光信号の受信部(受光部)と受信信号を電気信号に変換する変換回路が必要になる。
【符号の説明】
【0059】
1 LED点灯装置
2 LED
3 光源装置
10 電源回路部
20 調光制御部
図1
図2
図3A
図3B
図4