【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0011】
手段1.外周側に突出し槽体又はこの近傍の構造物である取付対象物の表面上に配置される鍔部を一端部に有し、自身の一部が前記取付対象物の貫通孔に挿通される筒状のガイド部材と、
前記ガイド部材の内周に配置される操作ボタンと、
前記操作ボタンを前記ガイド部材の中心軸に沿って移動可能な状態で支持する支持軸を有してなる操作機構と、
前記操作機構に接続され、前記操作ボタンの変位を前記槽体の排水口に設けられた栓蓋側へと伝達する伝達部材と、
前記ガイド部材の外周に設けられた雄ねじ部を螺合可能な雌ねじ部を内周に有する筒状の取付部材とを備える操作装置であって、
前記ガイド部材は、
自身の一端部に前記鍔部を有するとともに、自身の他端部に径方向内側に突出する環状の環状突部を有し、かつ、高剛性の材料からなり、内周に前記操作ボタンが配置される筒状のフランジ部と、
径方向外側に突出し前記フランジ部の内周において前記環状突部に係止される鍔状の係止部、及び、前記フランジ部の外部に配置される前記雄ねじ部を有するとともに、自身の中心軸を回転軸として前記フランジ部に対して相対回転可能であり、かつ、自身の内周に前記操作機構の少なくとも一部を挿通可能な筒状の締付部とを具備し、
前記雌ねじ部に対して前記雄ねじ部を螺合し、前記鍔部及び前記取付部材により前記取付対象物を挟み込むことで、前記ガイド部材が前記取付対象物に取付けられることを特徴とする操作装置。
【0012】
尚、「高剛性の材料」としては、ステンレスや真鍮などの金属、PPSなどの樹脂材料、及び、セラミック材料等を挙げることができる。
【0013】
上記手段1によれば、フランジ部は高剛性の材料により形成されているため、鍔部を薄肉とすることができる。従って、外観品質や清掃性の向上を図ることができる。
【0014】
また、上記手段1によれば、締付部の雄ねじ部を取付部材の雌ねじ部に螺合することで、ガイド部材が取付対象物に取付けられるように構成されており、締付部は、自身の鍔状の係止部がフランジ部に設けられた環状の環状突部に係止された状態となっている。従って、フランジ部に対する締付部の係止力を極めて大きなものとすることができる。その結果、取付部材に対するガイド部材(締付部)の螺合に伴い、フランジ部から締付部が外れてしまうといった事態が生じにくくなり、ガイド部材の破損をより確実に防止することができる。
【0015】
さらに、上記手段1によれば、締付部はフランジ部に係止されているに過ぎないため、両者を固定するための構造や、両者を固定するための工程が不要となる。そのため、製造コストの低減や生産性の向上を図ることができる。
【0016】
加えて、上記手段1によれば、フランジ部に対して締付部が相対回転可能であり、締付部を回転させ、雌ねじ部に雄ねじ部を螺合することにより、ガイド部材が取付対象物に取付けられるように構成されている。従って、雌ねじ部に対して雄ねじ部を螺合する際に、鍔部が取付対象物の表面を擦れ動くことはなく、取付対象物の表面に疵が付いてしまうことを防止できる。その結果、外観品質の一層の向上を図ることができる。
【0017】
手段2.前記取付部材の内周には、前記操作機構を保持する保持部が設けられることを特徴とする手段1に記載の操作装置。
【0018】
上記従来技術(特開2012−172512号に記載の技術)のように、操作機構を保持するための保持部をガイド部材(フランジ部や締付部)に設けることが考えられる。ここで、フランジ部の内周は、操作ボタンの移動空間を設ける必要がある等、スペース上の観点から、保持部を設けることは難しい。そこで、締付部に保持部を設けることが考えられるが、締付部に保持部を設ける場合において、保持部により操作機構を保持した状態で取付部材に締付部を螺合してしまうと、伝達部材がねじれてしまうこととなり、操作ボタンの変位の伝達に支障が生じてしまうおそれがある。そこで、保持部を締付部に設ける場合には、貫通孔を通して取付対象物の外側へと操作機構及び伝達部材を一旦引き出した上で、取付部材に対して締付部の螺合し、その後、操作機構を保持部にて保持させる必要が生じる。しかしながら、このような手法を採った場合には、取付作業者に多大な負担を強いることになり、取付作業性が低下してしまうおそれがある。また、操作機構及び伝達部材の引き出し時に、伝達部材が切れたり折れ曲がったりしてしまう等、伝達部材等の部材に破損が生じてしまうおそれがある。
【0019】
この点、上記手段2によれば、操作機構を保持する保持部が取付部材に設けられている。従って、保持部により操作機構を保持した状態で取付部材に締付部を螺合しても、伝達部材にねじれが生じてしまうことがない。さらに、取付部材に締付部を螺合する際に、操作機構及び伝達部材を一旦引き出すといった作業は不要となり、保持部により操作機構を保持した状態で取付部材に締付部を螺合することができる。その結果、良好な取付作業性を実現しつつ、伝達部材等の破損をより確実に防止することができる。
【0020】
手段3.前記締付部は、
前記係止部を有する筒状の内側構成部と、
外周に前記雄ねじ部を有し、前記内側構成部に取付けられる筒状の外側構成部とを具備し、
前記雄ねじ部は、前記内側構成部よりも外周側に位置することを特徴とする手段2に記載の操作装置。
【0021】
締付部を1の部材により構成する場合、フランジ部の内周において環状突部に係止部を係止しつつ、雄ねじ部をフランジ部の外部に配置するためには、雄ねじ部の外径を環状突部の内周を通過可能な大きさとする(具体的には、雄ねじ部の外径を環状突部の内径よりも小さくする)必要が生じる。そして、この場合には、雄ねじ部の外径に対応して、取付部材に設けられる雌ねじ部の内径を小さくする必要が生じ、ひいては取付部材の内部空間も比較的小さなものとされる。そのため、上記手段2のように、取付部材の内周に保持部を設けようとした際に、保持部を設けるためのスペースを十分に確保することができないおそれがある。特に、操作ボタンが小径である場合には、フランジ部や締付部(雄ねじ部)ひいては雌ねじ部がより小径とされ、取付部材の内部空間が非常に小さなものとなる。従って、取付部材の内周に保持部を設けることがより一層難しいものとなる。
【0022】
この点、上記手段3によれば、締付部が、内側構成部及びこれに取付けられる外側構成部により構成されている。そのため、内側構成部の係止部を環状突部に係止させた上で、外側構成部を内側構成部に取付けることにより、雄ねじ部をフランジ部の外部に配置することができ、雄ねじ部をフランジ部の外部に配置させるために、外側構成部を環状突部の内周を通過させる必要がない。従って、環状突部の内径とは無関係に、外側構成部に設けられる雄ねじ部の外径の大きさを設定することができる。
【0023】
そして、上記手段3によれば、雄ねじ部は、内側構成部よりも外周側に位置するように構成されており、雄ねじ部の外径が比較的大きなものとされている。従って、雌ねじ部の内径ひいては取付部材の内部空間を十分に大きなものとすることができる。その結果、取付部材の内周に保持部を設けること、つまり、上記手段2の構成を極めて容易に実現することができる。
【0024】
手段4.前記保持部の少なくとも一部は、前記内側構成部の内周に配置されることを特徴とする手段3に記載の操作装置。
【0025】
上記手段4によれば、支持軸の軸方向に沿った操作ボタンから保持部までの距離を小さくすることができる。そのため、操作ボタンの操作時において、操作ボタンにぐらつきが生じにくくなり、操作ボタンをスムーズに移動させることができる。その結果、良好な操作性を得ることができる。
【0026】
手段5.前記取付部材の一端部及び前記取付対象物間には、環状のシール部材が設けられ、
前記取付対象物の貫通孔から前記取付部材にかけての内周側に形成された、前記操作機構の配置される内部空間が水密に保持されることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の操作装置。
【0027】
ガイド部材(フランジ部)と取付対象物との間を通って、ガイド部材の外周側へと水が浸入した際に、浸入した水が、取付部材の外部に漏れ出してしまうおそれがある。水の漏出を防止するためには、例えば、ガイド部材(フランジ部)の鍔部と取付対象物の表面との間に環状のパッキンを設けることが考えられるが、この場合には、取付対象物の表面側からパッキンが視認可能となってしまったり、パッキンの厚みの影響で鍔部が取付対象物の表面から突出してしまったりする。そのため、外観品質の低下を招いてしまうおそれがある。
【0028】
この点、上記手段5によれば、取付部材の一端部及び取付対象物間には、環状のシール部材が設けられ、取付対象物の貫通孔から取付部材にかけての内周側に形成された、操作機構の配置される内部空間が水密に保持されている。従って、貫通孔とガイド部材(フランジ部)との間を通って浸入した水は、水密に保持された前記内部空間へと入り込むこととなり、取付部材の外部へと漏出しなくなる。その結果、取付対象物の表面側にパッキンを設ける場合などに懸念される外観品質の低下を招くことなく、外部への水の漏出を防止することができる。
【0029】
手段6.前記雌ねじ部に対する前記雄ねじ部の螺合時において、前記ガイド部材と接触することにより、前記雌ねじ部に対する前記雄ねじ部の過度の螺合を防止する過締付防止部を備えることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の操作装置。
【0030】
上記手段6によれば、雌ねじ部に対する雄ねじ部の螺合時において、過締付防止部に対してガイド部材が接触することで、雌ねじ部に対する雄ねじ部の過度の螺合を防止することができる。従って、過度の螺合に伴い、フランジ部の環状突部が破損してしまうことをより確実に防止できる。