(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、遊技球が入賞することを契機に特別図柄抽選を行う始動口と、前記特別図柄抽選の抽選結果に基づいて大入賞口を開閉動作するアタッカー装置と、前記特別図柄抽選に関する遊技モードを第1遊技モードとこの第1遊技モードよりも遊技者にとって有利な第2遊技モードとのいずれかに設定する遊技モード設定手段と、を備え、
前記特別図柄抽選の抽選結果が特図当たりに当選すると前記大入賞口を開閉動作させて大当たり遊技を提供すると共に、前記大入賞口に遊技球が入賞すると所定個数の遊技球を賞球として払出すパチンコ機において、
前記始動口に入賞した遊技球を分岐位置まで流下させる第1通路と、前記大入賞口に入賞した遊技球を前記分岐位置まで流下させる第2通路と、前記分岐位置から別方向に分岐して延びる通常通路および特別通路と、前記分岐位置に設けられた振分装置と、を設け、
前記振分装置は、前記始動口または前記大入賞口から前記分岐位置まで流下してきた遊技球を前記第1遊技モードである場合に前記通常通路に振り分けると共に、前記第2遊技モードである場合に前記特別通路に振り分け、
前記通常通路および前記特別通路を流下する遊技球は遊技者から視認可能になっている
ことを特徴とするパチンコ機。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をパチンコ機に採用した場合の実施の形態例について、図面を用いて説明する。
図1と
図2に示すように、本発明の実施形態例に係るパチンコ機は、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた本体枠2と、本体枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられた前面扉3等を備えており、前面扉3にはガラスやプラスチック等からなる透明板4が取り付けられている。
【0019】
機枠1の左下隅部には大型のスピーカ5が配設されており、このスピーカ5は前面扉3の切り欠き内に位置して前方に露出している。本体枠2の上部内側には後述する遊技盤6が収納されており、この遊技盤6の盤面(前面)は透明板4を透して外部から目視可能となっている。また、本体枠2の右側枠部にはシリンダ錠7aを有する施錠装置7が設置されており、図示省略されているが、この施錠装置7は本体枠2の裏面に配置された後部施錠杆と本体枠2の前面に配置された前部施錠杆とを備えている。常態では、施錠装置7の後部施錠杆によって機枠1に対して本体枠2が施錠されると共に、前部施錠杆によって本体枠2に対して前面扉3が施錠されている。そして、シリンダ錠7aの鍵穴に図示せぬ鍵を差し込み、この鍵を一方向(例えば時計回り)へ回動すると、後部施錠杆が下動して本体枠2が開錠されるようになっている。また、シリンダ錠7aの鍵穴に差し込んだ鍵を他方向(反時計回り)へ回動すると、前部施錠杆が上動して前面扉3が開錠されるようになっている。
【0020】
前面扉3には遊技盤6の盤面に対向する大きな開口3aが開設されており、この開口3aは透明板4によって塞がれている。前面扉3の前面上部には比較的小型のスピーカ8が左右に1個ずつ配設されており、これらスピーカ8と前述した大型のスピーカ5とによって遊技に関する様々な効果音を発するようになっている。さらに、前面扉3の前面下部には、遊技盤6の裏面に配設された賞球払出装置18(後述する)から払い出された遊技球を収容する上段受皿9と、上段受皿9から排出された遊技球を収容する下段受皿10と、遊技者による押下操作が可能な演出釦ユニット11等が設けられており、上段受皿9の右側方には操作ハンドル12が配設されている。
【0021】
機枠1の左側枠部には上側軸受け体13と下側軸受け体14が固着されており、これら両軸受け体13,14に本体枠2の左側枠部の上下両端に設けた第1ピン(図示省略)を軸支することによって、本体枠2を機枠1に対して開閉自在に支持する第1ヒンジ機構が構成されている。一方、前面扉3の左側枠部の上下両端には第2ピン(図示省略)が設けられており、これら両第2ピンを本体枠2の左側枠部に突設した上下の支持板2aに軸支することによって、前面扉3を本体枠2に対して開閉自在に支持する第2ヒンジ機構が構成されている。また、本体枠2の上部内側は遊技盤6の収納スペースとなっており、この収納スペースの下方は前面扉3によって覆い隠される設置部2bとなっている。設置部2b内の下部中央には遊技球を遊技領域9に向けて発射する発射装置15が配設されており、前述した操作ハンドル12の回動操作量に応じて発射装置15の発射強度が調整されるようになっている。
【0022】
図3に示すように、遊技盤6の裏面側には、遊技に関する主要な処理を行う主制御処理部16と、主制御処理部16からの指令を受けて前述したスピーカ5,8や後述する可変表示装置や演出役物装置の各種装置を制御する副制御処理部17と、前述した賞球払出装置18と、主制御処理部16からの指令を受けて賞球払出装置18を制御する払出制御処理部19と、操作ハンドル12の回動操作量に応じて前記発射装置15の作動を制御する発射制御処理部20と、賞球数や特図当たり回数等の各種情報を遊技場のホールコンピュータに出力する外部端子基板21等が設けられている。主制御処理部16は、CPU(Central Processing Unit)と、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、生成された処理情報の一時記憶および記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等が実装された制御基板(メイン基板)とを備えており、このCPUがROMに格納された各種プログラムやデータを読み込んで実行することにより、遊技に関する主要な処理が行われる。
【0023】
図4に示すように、遊技盤6の前面はガイドレール22等によって略円形状に区画された遊技領域23となっており、遊技者が操作ハンドル12を任意角度まで回動操作すると、前記発射装置15が上段受皿9に保留された遊技球を遊技領域23に向けて連続的に打ち出すようになっている。遊技領域23の中央付近にはセンター役物24が配置されており、このセンター役物24は、中央部に矩形状の開口部25aを有する装飾枠25と、装飾枠25の上壁部に配設された演出役物装置26と、装飾枠25の裏面側に配置された可変表示装置27等を具備している。可変表示装置27は液晶パネル(LCD)からなり、その表示画面27aは装飾枠25の開口部25aから露出している。
【0024】
装飾枠25の下壁部には左右方向へ延びるステージ28が設けられており、このステージ28の中央部には誘導溝28aが形成されている。また、装飾枠25の左側壁には中空構造のワープ通路29が形成されており、このワープ通路29の両端は遊技領域23とステージ28に向けてそれぞれ開口している。したがって、センター役物24の左側の遊技領域23を流下する遊技球がワープ通路29に入球すると、その遊技球はワープ通路29の内部を通ってステージ28に排出された後、ステージ28上を転動して誘導溝28aへと導かれる。
【0025】
ステージ28の誘導溝28aの真下位置には上面を開口した単純構造の第1始動入賞口30が配設されており、ステージ28上を転動して誘導溝28aから落下した遊技球が高い確率で第1始動入賞口30に入賞するようになっている。また、センター役物24の右側の遊技領域23には第2始動入賞口31が配設されており、この第2始動入賞口31は1つの可動片を有するベロ式電チュー構造の始動入賞口となっている。第1始動入賞口30に遊技球が入賞すると、それを契機として第1の特別図柄抽選が実行され、可変表示装置27の表示画面27a上で第1の特別図柄の変動表示と停止表示が行われる。同様に、第2始動入賞口31に遊技球が入賞すると、それを契機として第2の特別図柄抽選が実行され、可変表示装置27の表示画面27a上で第2の特別図柄の変動表示と停止表示が行われる。なお、第2始動入賞口31の下方には、第2始動入賞口31に入賞した遊技球の挙動を利用した演出を行う演出通路ユニット50(詳しくは後述)が配設されている。
【0026】
また、第2始動入賞口31の上方位置にスルーチャッカー(作動ゲート)32が配設されており、センター役物24の右側に打ち出された遊技球がこのスルーチャッカー32を通過すると、それを契機として普通図柄に係る電子抽選が行われ、その抽選結果が普図当たりの場合に第2始動入賞口31の可動片を一時的に開放して遊技球の入賞を許可するようになっている。
【0027】
なお、本実施形態では、発射装置15の発射強度を弱〜中にして遊技球を発射する(所謂、左打ちを行う)と、遊技球はセンター役物24の左側を流下することになるので、打ち出された遊技球が第1始動入賞口30に入賞する可能性はあるが、第2始動入賞口32に入賞する可能性はない。それに対して、発射装置15の発射強度を強にして遊技球を発射する(所謂、右打ちを行う)と、遊技球はセンター役物24の右側を流下することになるので、打ち出された遊技球がスルーチャッカー32を通過する可能性が高まり、これを通過した場合には普通図柄抽選が行われる。普通図柄の抽選結果が普図当たりに当選すると第2始動入賞口31の可動片が開放されるため、右打ちされた遊技球が第2始動入賞口31に入賞する可能性は高まるが、第1始動入賞口30に入賞する可能性はほとんどない。なお、後述する通常遊技モードの場合には左打ちで遊技が進められ、後述する時短遊技モード(第1遊技モード)および確変遊技モード(第2遊技モード)の場合には右打ちで遊技が進められる。
【0028】
さらに、第2始動入賞口31の下方位置にアタッカー装置33が配設されており、このアタッカー装置33は内部の大入賞口を開閉可能な可動弁を有している。アタッカー装置33は、第1の特別図柄抽選の結果または第2の特別図柄抽選の結果、特図当たりとなって大当たり遊技へ移行した場合に作動される装置である。具体的には、第1または第2の特別図柄の抽選結果が特図当たりの場合、アタッカー装置33の可動弁が複数回繰り返して開放動作することにより、大入賞口を露呈させて遊技球の入賞を許可するようになっている。アタッカー装置33の可動弁は1回の開放動作(1ラウンド)について例えば30秒経過するまで、あるいは遊技球が大入賞口に例えば10個入るまで開放状態を維持し、かかる開放動作を例えば15回繰り返した後に大当たり遊技が終了する。アタッカー装置33(大入賞口)に入賞した遊技球は、先述した演出通路ユニット50内を流下してパチンコ機の裏面側に排出されるようになっており、演出通路ユニット50では、第2始動入賞口31から入賞した遊技球と同様に、アタッカー装置33に入賞した遊技球の挙動を利用した演出が行われるようになっている。なお、本実施形態例における第2始動入賞口31が本発明の「始動口」に相当する。
【0029】
第1始動入賞口30、第2始動入賞口31、一般入賞口34、アタッカー装置33(大入賞口)の内部にはそれぞれ遊技球の通過を検知するための第1始動入賞検知センサ、第2始動入賞検知センサ、一般入賞検知センサ、アタッカー入賞検知センサが設けられており、各入賞口への入賞が検知されると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。
【0030】
前述した第1および第2の特別図柄抽選や普通図柄抽選等の遊技に関する主要な処理は主制御処理部16が行っている。この主制御処理部16は、第1または第2特別図柄抽選で特図当たりに当選すると特図当たりの種類を抽選により決定し、決定された特図当たりの種類に基づいて大当たり遊技後の遊技モードを所定の遊技モードに設定する処理を行っている。以下、特図当たりの種類と遊技モードについて説明する。
【0031】
本実施形態例では、特図当たりの種類として通常当たりと確変当たりの2種類が設けられており、遊技モードとして通常遊技モード、時短遊技モード(第1遊技モード)および確変遊技モード(第2遊技モード)の3種類が設けられている。主制御処理部16は、特図当たりに当選すると特図当たりの種類を通常当たりまたは確変当たりに決定し、決定した特図当たりの種類の情報を含む特図種類信号を副制御処理部17に送信する。主制御処理部16が特図当たりの種類を通常当たりに決定した場合には大当たり遊技後の遊技モードを時短遊技モードに設定し、確変当たりに決定した場合には大当たり遊技後の遊技モードを確変遊技モードに設定する。主制御処理部16は、遊技モードを設定すると、何れの遊技モードに設定したかの情報を含む遊技モード信号を副制御処理部17に送信する。なお、詳しく後述する演出通路ユニット50は、主制御処理部16から送信される特図種類信号および遊技モード信号に基づいて、遊技球の挙動を利用した演出を行う。
【0032】
ここで、3種類の遊技モードについて説明する。通常遊技モードとは、特図当たりの当選確率が1/300の確率で第1または第2の特別図柄抽選が行われると共に、普図当たりの当選確率が1/50の確率で普通図柄抽選が行われる遊技モードである。時短遊技モードとは、特図当たりの当選確率が1/300の確率で第1または第2の特別図柄抽選が行われると共に、普図当たりの当選確率が49/50の確率で普通図柄抽選が行われる遊技モードである。また、確変遊技モードとは、特図当たりの当選確率が1/30の確率で第1または第2の特別図柄抽選が行われると共に、普図当たりの当選確率が49/50の確率で普通図柄抽選が行われる遊技モードである。
【0033】
本実施形態例では、主制御処理部16が特図当たりの種類を通常当たりに決定すると、大当たり遊技後に特別図柄抽選が100回行われるまで遊技モードを時短遊技モードに設定し、大当たり遊技後の特別図柄抽選回数が100回に到達すると遊技モードを通常遊技モードに設定する。また、主制御処理部16が特図当たりの種類を確変当たりに決定すると、大当たり遊技後に特別図柄抽選が30回行われるまで遊技モードを確変遊技モードに設定し、大当たり遊技後の特別図柄抽選回数が30回に到達すると遊技モードを時短遊技モードに設定する。そして、通常当たりの場合と同様に、大当たり遊技後の特別図柄抽選回数が100回に到達すると遊技モードを通常遊技モードに設定する。
【0034】
ここで、通常遊技モードと時短遊技モードを比較すると、特図当たりの当選確率は何れも1/300であるため違いは無いが、通常遊技モードの普図当たりの当選確率は1/50、時短遊技モードの普図当たりの当選確率は49/50であるので、普図当たりの当選確率は時短遊技モードの方が高い。このため、時短遊技モードで遊技が進行している状態では、普通図柄抽選による第2始動入賞口31の開放確率が高まり、遊技球を第2始動入賞口31に入賞させることが容易となる。よって、時短遊技モードは、通常遊技モードよりも第2の特別図柄抽選をより多く行わせることが可能となり、特図当たりの当選確率を高めることができる遊技モードであると言える。
【0035】
また、時短遊技モードと確変遊技モードを比較すると、普図当たりの当選確率は何れも49/50で行われるため違いは無いが、時短遊技モードの特図当たりの当選確率は1/300、確変遊技モードの特図当たりの当選確率は1/30であるので、特図当たりの当選確率は確変遊技モードの方が高い。このため、確変遊技モードで遊技が進行している状態では、特別図柄抽選によるアタッカー装置33の開放確率が高い。よって、確変遊技モードは、時短遊技モードよりもアタッカー装置33に遊技球を数多く入賞させることが可能となり、賞球を多く獲得することができる遊技モードであると言える。
【0036】
したがって、3種類の遊技モードのうち確変遊技モードが特別図柄の抽選に関して最も遊技者に有利な遊技モードであると言え、時短遊技モードが確変遊技モードに続いて遊技者に有利な遊技モードであると言える。そして、通常遊技モードが特別図柄の抽選に関して最も遊技者に不利な遊技モードであると言える。なお、本実施形態例のパチンコ機は、第2始動入賞口31に入賞した遊技球の挙動により、現在の遊技モードが時短遊技モードまたは確変遊技モードの何れに設定されているかを遊技者に報知し、アタッカー装置33に入賞した遊技球の挙動により、特図当たり当選時に決定された特図当たりの種類を遊技者に報知している。
【0037】
その他、遊技領域23には、遊技球の払い出しのみを行う複数の一般入賞口34や、遊技球の流下経路を担う風車35と複数本の遊技釘36等が配設されており、いずれの始動入賞口30,31や一般入賞口34にも入賞しなかった遊技球は、遊技領域23の最下端部とアタッカー装置33の下方位置に設けられたアウト口37から遊技盤6の裏面側に排出されるようになっている。
【0038】
演出役物装置26は前述した特別図柄に係る電子抽選の結果を装飾体41の可動態様や発光灯の照光態様によって遊技者に示唆することができる装置であり、この演出役物装置26による演出は主制御処理部16が動作を決定し、決定した動作に基づいて副制御処理部17に制御信号を送ることにより実行される。演出役物装置26は、回転灯ユニット39と、回転灯ユニット39の外表面に沿って移動可能に配置された装飾体41等によって主に構成されている。副制御処理部17は、主制御処理部16から送られた制御信号に基づいて回転灯ユニット39に内包される発光灯の光源を点灯等させ、装飾体41を回転灯ユニット39の外表面に沿って移動させる。
【0039】
次に、遊技球の挙動を利用した演出を行う演出通路ユニット50について
図5〜
図13を用いて詳しく説明する。演出通路ユニット50は、
図5に示すように、第2始動入賞口31に入賞した遊技球を分岐位置53まで流下させる第1通路51と、アタッカー装置33に入賞した遊技球を分岐位置53まで流下させる第2通路52と、分岐位置53から下方向に分岐して延びる通常通路54と、分岐位置53から左方向に分岐して延びる貯留通路55と、この貯留通路55からさらに左方向に延設されている誘導通路56と、この誘導通路56から下方に延びる特別通路57と、分岐位置53の右方位置に設けられた振分装置60と、貯留通路55の下方に設けられた貯留演出装置140と、を備えて構成されている。
【0040】
振分装置60は、分岐位置53まで流下してきた遊技球を遊技モードに応じて通常通路54または特別通路57に振り分ける装置である。前述のように、主制御処理部16は、遊技モードを設定すると、何れの遊技モードに設定したかの情報を含む遊技モード信号を副制御処理部17に送信する。副制御処理部17は受信した遊技モード信号に基づいて振分装置60の動作を制御している。具体的には、受信した遊技モード信号に含まれている遊技モードの情報が時短遊技モード(第1遊技モード)である場合には、分岐位置53まで流下してきた遊技球を通常通路54に振り分けるように振分装置60の動作を制御し、受信した遊技モード信号に含まれている遊技モードの情報が確変遊技モード(第2遊技モード)である場合には、分岐位置53まで流下してきた遊技球を特別通路57に振り分けるように振分装置60の動作を制御する。なお、振分装置60は、分岐位置53まで流下してきた遊技球を、特図当たり当選時に決定された特図当たりの種類に応じても、通常通路54または特別通路57に振り分けている。以下、この振分装置60の構造と動作について
図6〜
図9を用いて説明する。
【0041】
振分装置60は、
図8に示すように、スライド可能な振分弁80と、振分弁80に係合する回転可能な回転アーム90と、回転アーム90に係合するスライド可能な駆動体100と、駆動体100をスライド動作するソレノイド110と、これらを収容する横長箱型形状の本体ケース130と、で構成されており、本体ケース130は通常通路54の右方位置で遊技盤6にネジ止め固定されている。本体ケース130は、カバー部材70とベース部材120とが一体化されることにより形成され、カバー部材70が前側となるように遊技盤6の盤面に対して平行に配置されている。
【0042】
カバー部材70の前面上部には左右方向に延びる第1溝71が設けられ、カバー部材70の前面下部には、第1溝71と平行となるように第2溝72が設けられている。第1溝71は振分弁80を左右方向にスライド可能とするためのものであり、第2溝72は駆動体100を左右方向にスライド可能とするためのものである。また、カバー部材70の上面左部には切欠き73が設けられており、カバー部材70とベース部材120とが一体化されることにより、切欠き73は分岐位置53まで流下してきた遊技球を導入する球導入口61と成る(
図6参照)。さらに、カバー部材70の前面左部には略四角形状の球排出口74が設けられており、球導入口61から導入された遊技球は球排出口74から通常通路54に排出されるようになっている(
図5参照)。
【0043】
振分弁80は、横長の直方体状の基体81と、基体81の前面中央から前方向に垂直に突出した横長突起82と、を具備する。そして、横長突起82をカバー部材70の第1溝71に挿入することにより、振分弁80は第1溝71に沿って左右方向にスライド可能となっている。また、基体81の上面略中央部には開口部83が設けられており、開口部83は後述する回転アーム90の当接部93と係合するようになっている。
【0044】
回転アーム90は、回転中心となる軸部91と、軸部91から一方向へ突出する腕部92と、腕部92の先端に設けられた前記当接部93と、軸部91から他方向へ突出する連結部94と、を具備する。軸部91の前面中央には凹部95が設けられており、この凹部95がカバー部材70の後面略中央に設けられた図示せぬ凸部に嵌まることにより、回転アーム90は軸部91を中心としてカバー部材70に回転可能に支持される。また、連結部94の後面には凸部96が設けられており、この凸部96は後述する駆動体100の係止部105に係合するようになっている。
【0045】
駆動体100は、右側面から見た形状がコ字状の基部101と、基部101の上面から上方向に垂直に立設された第1柱部102および第2柱部103と、を具備する。基部101の前面には前方向に突出する横長突起104が設けられており、この横長突起104がカバー部材70の第2溝72に挿入されることにより、駆動体100は第2溝72に沿って左右方向にスライド可能となっている。第1柱部102は左右方向に延びる板状体であり、この第1柱部102には前後方向に開口する孔105が設けられている。また、第2柱部103は上下方向に延びる板状体であり、この第2柱部103の上部には前後方向に開口する四角孔106が設けられている。そして、この四角孔106に回転アーム90の凸部96が係合することにより、回転アーム90は四角孔106に沿って上下方向にスライド可能となる。
【0046】
ソレノイド110は、左右方向へ駆動可能なプランジャー111(
図7参照)と、プランジャー111の先端部に設けられた略円柱状の係止部112と、プランジャー111の一部を内包するソレノイドケース113と、を主として具備する。係止部112は、スリット状の開口部112cを介して対向する半割形状の第1部材112aと第2部材112bとを有しており、これら第1部材112aと第2部材112bには前後方向に開口する孔114がそれぞれ設けられている。そして、係止部112の開口部112cに駆動体100の第1柱部102を挿入し、第1および第2部材112a,112bに設けられた孔114と第1柱部102に設けられた孔105にピン115を挿通することにより、駆動体100がソレノイド110に連結される。
【0047】
ここで、
図7に示す振分装置60はソレノイド110に通電されていない非通電状態を示しており、かかる非通電状態において、振分弁80は球導入口61を開放する第1位置に位置している。また、プランジャー111はソレノイドケース113から左側へ最も突出した状態にあり、回転アーム90の当接部93は振分弁80の開口部83の下端側で係合している。
【0048】
振分弁80が第1位置に位置する状態でソレノイド110に通電されると、プランジャー111が右方向に引き込まれるため、ソレノイド110に連結された駆動体100が第2溝72にガイドされながら右方向に移動する。駆動体100の右方向への移動に伴い回転アーム90の連結部94が右方向へ移動すると、回転アーム90の腕部92が軸部91を中心に反時計方向へ回転する。その結果、回転アーム90の当接部93が開口部83内を上下方向に移動して、回転アーム90の回転運動が振分弁80の直線運動に変換されるため、振分弁80が第1溝71にガイドされながら第2位置に移動する(
図9)。
【0049】
図9に示す振分装置60はソレノイド110に通電されている通電状態を示しており、かかる通電状態において、振分弁80は球導入口61を閉鎖する第2位置に位置している。また、プランジャー111はソレノイドケース113内に最も引き込まれた右側に位置しており、回転アーム90の当接部93は再び振分弁80の開口部83の下端側で係合している。
【0050】
なお、図示はしないが、振分装置60の内部にはスプリング等の復帰機構が設けられており、ソレノイド110への通電が停止すると、右方向に引き込まれていたプランジャー111が復帰機構によって元の位置まで復帰し、振分弁80が第2位置から第1位置に移動する構成になっている。
【0051】
副制御処理部17は、確変遊技モードの情報が含まれた遊技モード信号を受信すると、ソレノイド110への通電を許可する許可信号を振分装置60に送信する。振分装置60は許可信号を受信するとソレノイド110に通電して球導入口61を開放する。一方、副制御処理部17は、時短遊技モードの情報が含まれた遊技モード信号を受信すると、ソレノイド110への通電を禁止する禁止信号を振分装置60に送信する。振分装置60は禁止信号を受信するとソレノイド110への通電を停止して球導入口61を閉鎖する。これにより、振分装置60は、遊技モードが時短遊技モードの場合に分岐位置53まで流下してきた遊技球を通常通路54に振り分けると共に、遊技モードが確変遊技モードの場合に分岐位置53まで流下してきた遊技球を特別通路57側に振り分けている。なお、通常遊技モードの場合には、副制御処理部17が球導入口61を開放するように振分装置60を制御している。
【0052】
また、副制御処理部17は、遊技モード信号を受信した場合と同様に、確変当たりの情報が含まれた特図種類信号を受信すると、ソレノイド110への通電を許可する許可信号を振分装置60に送信する。振分装置60は許可信号を受信するとソレノイド110に通電して球導入口61を開放する。一方、副制御処理部17は、通常当たりの情報が含まれた特図種類信号を受信すると、ソレノイド110への通電を禁止する禁止信号を振分装置60に送信する。
【0053】
次に、演出通路ユニット50に設けられた貯留演出装置140について
図5、
図10〜
図13を用いて説明する。貯留演出装置140は、分岐位置53で特別通路57側に振り分けられた遊技球を貯留通路55内に貯留し、貯留した遊技球を所定の条件が満たされると特別通路57に開放する装置である。この貯留演出装置140の動作は副制御処理部17により制御されている。具体的には、貯留通路55内に貯留された遊技球をカウントする貯留球検知センサ(図示せず)が貯留通路55の近傍に設けられ、この貯留球検知センサが所定個数(例えば10個)をカウントすると、副制御処理部17は貯留通路55内に貯留された遊技球を特別通路57に開放するように貯留演出装置140の動作を制御している。なお、第2始動入賞口31への入賞を検知する第2始動入賞検知センサまたはアタッカー装置33への入賞を検知するアタッカー入賞検知センサを、貯留球検知センサとする構成であっても良いし、第2始動入賞検知センサおよびアタッカー入賞検知センサを貯留球検知センサとする構成であっても良い。
【0054】
貯留演出装置140は、
図12に示すように、スライド可能な貯留弁160と、貯留弁160に係合する回転可能な回転アーム170と、回転アーム170に係合するスライド可能な駆動体180と、駆動体180をスライド動作するソレノイド190と、これらを収容する横長箱型形状の本体ケース210と、で構成されている。本体ケース210は、遊技盤6とステージ28との間に設けられ、誘導溝28aの後方位置で遊技盤6にネジ止め固定されている。本体ケース210は、カバー部材150とベース部材200とが一体化されることにより形成され、カバー部材150が前側となるように遊技盤6の盤面に対して平行に配置されている。
【0055】
カバー部材150は、後面側が開口する横直方体状の第1部材151と、第1部材151の上面左部から左方向に延設された第2部材152とで構成されており、これら第1部材151と第2部材152は一体成形されている。第1部材151の前面左部には上下方向に延びる第3溝153が設けられ、第1部材151の前面中央部には左右方向に延びる第4溝154が設けられている。第3溝153は貯留弁160を上下方向にスライド可能とするためのものであり、第4溝154は駆動体180を左右方向にスライド可能とするためのものである。
【0056】
第2部材152は正面視した形状が逆L字状を成しており、その右側部と後部にはそれぞれ開口部155と開口部156が設けられている。そして、本体ケース210が遊技盤6に固定されると、第2部材152の後部が遊技盤6と密接して開口部156が閉じられた空間となり、当該空間によって前述した誘導通路56が形成される。また、本体ケース210が遊技盤6に固定されると、第2部材152の開口部155が貯留通路55の左端部に連結されることにより、この開口部155が貯留通路55内に貯留された遊技球を誘導通路56に導くための球誘導口141と成る(
図13参照)。さらに、第2部材152の前面左部には略四角形状の球排出口157が設けられており、球導入口141から導入された遊技球は球排出口157から特別通路57に排出されるようになっている(
図5参照)。
【0057】
貯留弁160は、縦長の直方体状の基体161と、基体161の前面下部から前方向に垂直に突出した縦長突起162と、を具備する。縦長突起162をカバー部材150の第3溝153に挿入することにより、貯留弁160は第3溝153に沿って上下方向にスライド可能となっている。また、基体161の右面下部には開口部163が設けられており、開口部163は後述する回転アーム170の当接部173と係合するようになっている。
【0058】
回転アーム170は、回転中心となる軸部171と、軸部171から一方向へ突出する腕部172と、腕部172の先端に設けられた前記当接部173と、軸部171から他方向へ突出する連結部174と、連結部174の後面側から後方向へ突出する凸部175と、を具備する。軸部171の前面中央には凹部176が設けられており、この凹部176がカバー部材150の後面略中央に設けられた図示せぬ凸部に嵌まることにより、回転アーム170は軸部171を中心としてカバー部材150に回転可能に支持される。また、凸部175は後述する駆動体180の四角孔186に係合するようになっている。
【0059】
駆動体180は、略立方体状の土台181と、土台181の上面から上方向に垂直に立設された第1柱部182および第2柱部183と、を具備する。土台181の前面には前方向に突出する横長突起184が設けられており、この横長突起184がカバー部材150の第4溝154に挿入されることにより、駆動体180は第4溝154に沿って左右方向にスライド可能となっている。第1柱部182は左右方向に延びる板状体であり、この第1柱部182には前後方向に開口する孔185が設けられている。また、第2柱部183は前後方向に延びる板状体であり、この第2柱部183の左面前端には前後方向に開口する前記四角孔186が設けられている。そして、この四角孔186に回転アーム170の凸部175が係合することにより、回転アーム170は四角孔186に沿って上下方向にスライド可能となる。
【0060】
ソレノイド190は、左右方向へ駆動可能なプランジャー191(
図11参照)と、プランジャー191の先端部に設けられた略円柱状の係止部192と、プランジャー191の一部を内包するソレノイドケース193と、を主として具備する。係止部192は、スリット状の開口部192cを介して対向する半割形状の第1部材192aと第2部材192bとを有しており、これら第1部材192aと第2部材192bには前後方向に開口する孔194がそれぞれ設けられている。そして、係止部192の開口部192cに駆動体180の第1柱部182を挿入し、第1および第2部材192a,192bに設けられた孔194と第1柱部182に設けられた孔185にピン195を挿通することにより、駆動体180がソレノイド190に連結される。
【0061】
ここで、
図11に示す貯留演出装置140はソレノイド190に通電されていない非通電状態を示しており、かかる非通電状態において、貯留弁160は球導入口141を閉鎖する第3位置に位置している。また、プランジャー191はソレノイドケース193から左側へ最も突出した状態にあり、回転アーム170の当接部173は貯留弁160の開口部163の右端側で係合している。
【0062】
貯留弁160が第3位置に位置する状態でソレノイド190に通電されると、プランジャー191が右方向に引き込まれるため、ソレノイド190に連結された駆動体180が第4溝154にガイドされながら右方向に移動する。駆動体180の右方向への移動に伴い回転アーム170の連結部174が右方向へ移動すると、回転アーム170の腕部172が軸部171を中心に反時計方向へ回転する。その結果、回転アーム170の当接部173が開口部163内を左右方向に移動して、回転アーム170の回転運動が貯留弁160の直線運動に変換されるため、貯留弁160が第3溝153にガイドされながら第4位置に移動する(
図13)。
【0063】
図13に示す貯留演出装置140はソレノイド190に通電されている通電状態を示しており、かかる通電状態において、貯留弁160は球導入口141を開放する第4位置に位置している。また、プランジャー191はソレノイドケース193内に最も引き込まれた右側に位置しており、回転アーム170の当接部173は再び貯留弁160の開口部163の右端側で係合している。
【0064】
なお、図示はしないが、貯留演出装置140の内部にはスプリング等の復帰機構が設けられており、ソレノイド190への通電が停止すると、右方向に引き込まれていたプランジャー191が復帰機構によって元の位置まで復帰し、貯留弁160が第4位置から第3位置に移動する構成になっている。
【0065】
副制御処理部17は、貯留通路55内に貯留された遊技球の数が所定個数(例えば10個)に到達すると、ソレノイド190への通電を許可する許可信号を貯留装置140に送信する。貯留装置140は許可信号を受信するとソレノイド190に通電して球導入口141を開放する(
図13)。一方、副制御処理部17は、許可信号を送信してから所定時間(例えば7秒)経過すると、ソレノイド190への通電を禁止する禁止信号を貯留演出装置140に送信する。貯留演出装置140は禁止信号を受信するとソレノイド190への通電を停止して球導入口141を閉鎖する(
図11)。これにより、貯留演出装置140は、分岐位置53から特別通路57側に流下してきた遊技球を貯留通路55内に貯留し、貯留通路55内に所定個数の遊技球が貯留されると球導入口141を開放して貯留された遊技球を誘導通路56に排出する。排出された遊技球は誘導通路56を通過して球排出口157から特別通路57に開放される。
【0066】
なお、遊技モードが確変遊技モードから時短遊技モードに変更されたタイミングで貯留通路55内に遊技球が貯留されている場合において、貯留通路55内に貯留された遊技球が所定個数に満たない場合であっても、副制御処理部17は貯留通路55内に貯留された遊技球を誘導通路56に排出するように貯留演出装置140を制御する。また、大当たり遊技が終了したタイミングで貯留通路55内に遊技球が貯留されている場合において、貯留通路55内に貯留された遊技球が所定個数に満たない場合であっても、副制御処理部17は貯留通路55内に貯留された遊技球を誘導通路56に排出するように貯留演出装置140を制御する。
【0067】
次に、演出通路ユニット50に設けられた貯留通路55、通常通路54および特別通路57について説明する。貯留通路55は、透明材料から成り、ステージ28と遊技盤6の間に設けられている(
図4、
図5参照)。ここで、貯留通路55の前方に設けられたステージ28は貯留通路55と同様に透明材料から成るため、貯留通路55内に貯留された遊技球は遊技者によって視認可能である。また、通常通路54および特別通路57は、透光性材料から成り、螺旋状に形成されている。このため、通常通路54または特別通路57を通過する遊技球の挙動は遊技者によって視認可能である。さらに、特別通路57の下方には特別通路57を照らすためのランプ(光源)58が設けられており、このランプ58の点灯および消灯は副制御処理部17によって制御されている。具体的には、副制御処理部17は、貯留通路55に貯留されている遊技球が誘導通路56に排出されるタイミングでランプ58を点灯するように制御し、貯留通路55に貯留されている遊技球が誘導通路56に排出されてから所定時間(例えば10秒程度)経過するとランプ58を消灯するように制御する。このため、特別通路57を流下する遊技球はランプ58によって照らされるようになっている。なお、通常通路54および特別通路57を流下した遊技球は排出口59から遊技盤6の裏面側に排出されるようになっている。
【0068】
次に、第2始動入賞口31またはアタッカー装置33から入賞した遊技球の挙動を用いた演出の具体例を
図4、
図5、
図14および
図15を用いて説明する。なお、下記の具体例は、通常遊技モードに設定されている状態で特図当たりに当選し、特図当たりの種類が確変当たりに決定された場合の例である。
【0069】
通常遊技モードでは、普図当たり確率が1/50という低確率で行われるため、右打ちを行ってスルーチャッカー32に遊技球を通過させて普通図柄抽選を行わせても普図当たりになかなか当選しない。このため、通常遊技モードでは、第1始動入賞口30に遊技球を入賞させるために左打ちで遊技が進められる(
図4)。
【0070】
第1始動入賞口30に遊技球が入賞し特図当たりに当選すると、特図当たりの種類が決定されて大当たり遊技に移行する。なお、大当たり遊技に移行する際には、可変表示装置27の表示画面27aに右打ちを行うことを指示する画像が表示される。特図当たりの種類が決定されると、主制御処理部16は特図種類信号を副制御処理部17に送信する。特図当たりの種類が確変当たりである旨の情報を含む特図種類信号を副制御処理部17が受信すると、振分装置60の副制御処理部17が振分装置60に許可信号を送信し振分装置60のソレノイド110に通電が行われる。これにより振分装置60の振分弁80が第2位置にスライド移動し球導入口61が閉鎖される。
【0071】
大当たり遊技では、アタッカー装置33が規定ラウンド終了まで開閉動作を繰り返す(
図14)。アタッカー装置33から入賞した遊技球は、第2通路52を通り分岐位置53まで流下する(
図5)。このとき、球導入口61は閉鎖されているので、分岐位置53まで流下してきた遊技球は貯留通路55(特別通路57側)に振り分けられる。その際、貯留演出装置140の貯留弁160は球導入口141を閉鎖しているので、貯留通路55に振り分けられた遊技球は貯留通路55内に貯留される。そして、貯留通路55内に遊技球が所定個数(例えば10個)貯留されると、貯留演出装置140に許可信号が送信されて貯留演出装置140のソレノイド190に通電が行われる。これにより貯留弁160が第4位置にスライド移動して球導入口141を開放し、貯留通路55内に貯留されていた遊技球は一斉に誘導通路56に排出される。排出された遊技球は、誘導通路56を通過した後に特別通路57に流入し、螺旋軌道を描きながら次々に流下する。この時、特別通路57の下方に設けられたランプ58が点灯するため、特別通路57を遊技球が流下するという演出を遊技者に注目させることができる。遊技者は当該演出が行われることにより、決定された特図当たりの種類が確変当たりであることを知ることができる。
【0072】
大当たり遊技が終了すると、遊技モードが確変遊技モードに設定されるので、確変遊技モードの情報を含む遊技モード信号が副制御処理部17に送信される。この送信された遊技モード信号に基づいて、振分装置60はソレノイド110に通電を行った状態を維持することにより振分弁80を第2位置に位置させて球導入口61を閉鎖する。確変遊技モードでは、普図当たり確率が49/50という高確率であるため、スルーチャッカー32に遊技球を通過させるために右打ちで遊技が進められる。スルーチャッカー32を遊技球が通過すると普通図柄抽選が行われ、普通図柄抽選が行われると殆ど普図当たりに当選し、第2始動入賞口31の可動片が開放される(
図15)。また、確変遊技モードでは、特図当たり確率が1/30という高確率で第2の特別図柄抽選が行われるので、第2始動入賞口31に遊技球が入賞すると高い確率で特図当たりに当選する。
【0073】
このため、確変遊技モードで遊技が進行する特定遊技中は、通常遊技モードで遊技が進行する通常遊技中と比較すると、第2始動入賞口31の可動片の開放確率が高まるので、第2始動入賞口31に遊技球を入賞させやすくなる。また、この特定遊技中では、通常遊技中よりもアタッカー装置33の開放確率が高まるので、アタッカー装置33に数多くの遊技球を入賞させることが可能となる。これにより、本実施形態例のパチンコ機は、第2始動入賞口31とアタッカー装置33から入賞した遊技球が演出通路ユニット50内をよどみなく流れる演出を確変遊技モードの特定遊技中で行うことが可能となり、遊技球の挙動を利用した演出の興趣性をより高めることが出来る。
【0074】
大当たり遊技後の第2の特別図柄抽選の回数が30回に到達するまでに特図当たりに当選しないと、主制御処理部16は遊技モードを時短遊技モードに変更設定する。時短遊技モードでは、普図当たり確率が49/50という高確率であるため、引き続き右打ちで遊技が進められる。遊技モードが時短遊技モードに変更されると、主制御処理部16は時短遊技モードの情報を含む遊技モード信号を副制御処理部17に送信する。この信号を副制御処理部17が受信すると、振分装置60に禁止信号が送信されて、振分装置60はソレノイド110への通電を停止する。これにより、振分弁80が第1位置にスライド移動して球導入口61を開放する。第2始動入賞口31から入賞した遊技球は、第1通路51を通り分岐位置53まで流下するが(
図5)、球導入口61は開放されているので通常通路54に振り分けられ、螺旋軌道を描きながら通常通路54を流下する。遊技者は遊技球が通常通路54を流下する演出を見て確変遊技モードから時短遊技モードに変更されたことを知ることになる。
【0075】
このように、時短遊技モードで遊技が進行する特定遊技中では、通常遊技時よりも第2始動入賞口31に遊技球を入賞させることが容易となるので第2の特別図柄抽選をより多く行わせることが可能となり、第2の特別図柄抽選の当選確率を高めることが出来る。このため、この特定遊技中では、通常遊技中よりも第2始動入賞口31の可動片の開放確率が高まるのみならず、アタッカー装置33の開放確率も高まるので、第2始動入賞口31とアタッカー装置33から入賞する遊技球の数を増やすことが可能となる。よって、本実施形態例のパチンコ機は、時短遊技モードで遊技が進行する特定遊技中に遊技球の挙動を利用した演出の興趣性をより高めることが出来る。
【0076】
なお、確変遊技モードや時短遊技モードでは、第2始動入賞口31の可動片が頻繁に開放されるので(所謂、電チューサポート)、遊技者は手持ちの遊技球をほとんど減らすことなく第2の特別図柄抽選を実行できる。
【0077】
大当たり遊技後の特別図柄抽選の回数が100回に到達するまでに特図当たりに当選しないと、主制御処理部16は遊技モードを通常遊技モードに変更設定する。通常遊技モードでは、普図当たり確率が1/50という低確率であるため、遊技者は発射装置9の発射強度を弱〜中にして左打ちで遊技を進めることになる。このため、通常遊技中では、遊技領域23に打ち出された遊技球が第2始動入賞口31に入賞しないので、演出通路ユニット50内を遊技球が流下しない。なお、遊技モードが時短遊技モードから通常遊技モードに変更されると、可変表示装置27の表示画面27aに左打ちを行うことを指示する画像が表示される。
【0078】
以上説明したように、本実施形態例に係るパチンコ機は、第2始動入賞口31から入賞した遊技球とアタッカー装置33から入賞した遊技球が、第1通路51と第2通路52という異なる経路を通って分岐位置53で合流した後、この分岐位置53で遊技モードに応じて通常通路54と特別通路57に振り分けられる。ここで、時短遊技モードの場合には通常通路54に振り分けられ、確変遊技モードの場合には特別通路57に振り分けられるが、時短遊技モードは確変遊技モードよりも遊技者にとって有利な遊技モードであり、通常通路54または特別通路57を流下する遊技球は遊技者から視認可能である。このため、遊技球が通常通路54と特別通路57の何れを通過するかという演出を、第2始動入賞口31に入賞した遊技球とアタッカー装置33に入賞した遊技球の双方を用いて行うことが可能となり、特別通路57を流下する遊技球により遊技者は確変遊技モードであることを知得できる。よって、本実施形態例のパチンコ機は、遊技球の挙動を利用した演出の興趣性を高めることが出来る。
【0079】
また、特別図柄抽選により特図当たりに当選した場合に決定される特図当たりの種類に応じて、分岐位置53まで流下してきた遊技球を通常通路54または特別通路57の何れかに振り分けるので、遊技球の挙動を利用した演出の興趣性を高めることが出来る。
【0080】
なお、本実施形態例では、第1始動入賞口30と第2始動入賞口31とは左右方向に間隔を空けて設けられており、第1始動入賞口30から入賞した遊技球は演出通路ユニット50内を流下することはないように構成されているが、このような構成に限られず、第1始動入賞口30から入賞した遊技球が演出通路ユニット50内を流下するような構成であっても良い。具体的には、第1始動入賞口30と第2始動入賞口31とを上下方向に間隔を空けて設け、第1始動入賞口30、第2始動入賞口31およびアタッカー装置33から入賞した遊技球が全て分岐位置53で合流するような構成とする。そうすると、第2始動入賞口31およびアタッカー装置33から入賞した遊技球に加えて、第1始動入賞口30から入賞した遊技球をも利用して遊技球の挙動による演出を行うことが出来るので、遊技球の挙動を利用した演出の興趣性をより高めることが出来る。
【0081】
また、遊技盤面内に第2始動入賞口31を設けないような構成であっても良い。即ち、遊技盤面内に第1始動入賞口30のみを設け、この第1始動入賞口30に入賞した遊技球が第1通路51を流下して分岐位置53でアタッカー装置33に入賞した遊技球と合流するような構成であっても良い。なお、このような構成とした場合における第1始動入賞口30は本発明における「始動口」に相当する。
【0082】
近年、より高い演出効果を得るために遊技盤6の盤面内に演出に関する構造物を数多く配置する傾向にあるため、この盤面スペース内を有効に活用するための工夫が必要となっている。本実施形態例に係るパチンコ機では、通常通路54および特別通路57は螺旋状に形成されているので、通常通路54および特別通路57が配置されるスペースを狭くしても、通常通路54の距離または特別通路57の距離を長く確保することができる。このため、通常通路54および特別通路57を螺旋状にすることにより、遊技盤6の盤面スペースを有効活用することが可能となり、限られたスペース内であっても、これらの通路を流下する遊技球を比較的長い距離で遊技者に視認可能とさせることができる。また、通常通路54または特別通路57が直線状であるよりも螺旋状である方が、これらの通路を流下する遊技球の流下態様を、よりダイナミックに表現することができるので演出効果を高めることができる。
【0083】
本実施形態例では、特別通路57の下方に設けられたランプ58が、特別通路57を流下する遊技球を照らすような構成となっている。このため、特別通路57を流下する遊技球の態様をよりはっきりと遊技者に認識させることが可能となるので、より演出効果を高めることができる。また、特別通路57が照らされることにより、遊技者または遊技場にいるその他の遊技者に確変遊技モードであることを強くアピールすることができるので、遊技者に優越感を与えて、遊技者の遊技意欲を向上させることができる。勿論、特別通路57を照らすためのランプ58は特別通路57の下方以外に設けられていても良いし、特別通路57そのものが所定の色に発光するような構成であっても良い。また、本実施形態例では、特別通路57を遊技球が流下するタイミングでランプ58が点灯するような構成と成っているが、これに限られず、遊技モードが通常遊技モードまたは時短遊技モードに設定されている間ではランプ58が消灯し、遊技モードが確変遊技モードに設定されている間ではランプ58が点灯するような構成であって良い。なお、通常通路54を照らすランプが設けられていても良い。
【0084】
また、本実施形態例では、貯留通路55に貯留された遊技球は遊技者によって視認可能となっており、貯留通路55に所定個数の遊技球が貯まると、球導入口141が開放されて特別通路57を遊技球が流下するという演出が行われるので、貯留通路55に遊技球が貯まる楽しみを遊技者に与えることができる。なお、このような構成に限られず、貯留通路55内に貯留された遊技球を遊技者が視認できないような構成であっても良い。このようにすると、遊技者は、貯留通路55内に貯留されている遊技球の数を容易に認識できないため、遊技球が特別通路57を流下するという演出の行われるタイミングを予測し難くなるため、特別通路57に遊技者の注目をより集めることができる。また、演出通路ユニット50が貯留通路55および貯留演出装置140を具備しない構成、即ち、第2始動入賞口31またはアタッカー装置33から入賞した遊技球が演出通路ユニット50内で貯留されないような構成であっても良い。
【0085】
なお、本実施形態例の振分装置60は、分岐位置53まで流下してきた遊技球を時短遊技モードの場合に通常通路54に振り分け、確変遊技モードの場合に特別通路57に振り分けているが、これに限られず、本実施形態例の変形例として下記のような構成であっても良い。
【0086】
本実施形態例の変形例では、遊技モードとして、通常遊技モード、時短遊技モード(第1遊技モード)、第1確変遊技モード(第1遊技モード)および第2確変遊技モード(第2遊技モード)の合計4種類が設けられており、振分装置60は、分岐位置53まで流下してきた遊技球を、時短遊技モードおよび第1確変遊技モードの場合に通常通路54に振り分け、第2確変遊技モードの場合に特別通路57に振り分ける。以下、本実施形態例を第1実施例、当該変形例を第2実施例と称して、第1実施例と第2実施例の異なる点についてのみ説明を行う。
【0087】
第2実施例における第1確変遊技モードおよび第2確変遊技モードは、特図当たりの当選確率が1/30で第1または第2の特別図柄抽選が行われ、普図当たりの当選確率が49/50で普通図柄抽選が行われる遊技モードである。つまり、第1確変遊技モードおよび第2確変遊技モードは、第1実施例の確変遊技モードと同じ当選確率で特別図柄抽選および普通図柄抽選が行われる遊技モードである。ただし、第1確変遊技モードと第2確変遊技モードでは特別図柄の変動時間が異なり、第2確変遊技モードにおける第2の特別図柄の変動時間は、第1確変遊技モードにおける第2の特別図柄の変動時間よりも短い変動時間となっている。このため、第2確変遊技モードに設定された状態で特別図柄抽選を所定回数(例えば30回)行うのに要する時間は、第1確変遊技モードに設定された状態で特別図柄抽選を所定回数(30回)行うのに要する時間よりも短くなる。よって、第2確変遊技モードでは、第1確変遊技モードよりも単位時間あたりに特別図柄抽選を数多く行わせることが可能となり、特図当たりの当選確率を高めることができる。以上のことから、第2確変遊技モードは第1確変遊技モードよりも遊技者に有利な遊技モードであると言える。
【0088】
このように、第2実施例では、第1実施例と同様に、遊技者にとって最も有利な遊技モードに設定されている場合に、第2始動入賞口31およびアタッカー装置33から入賞した遊技球が特別通路57を流下するという演出を行う。このため、第2実施例のパチンコ機は遊技球の挙動を利用した演出を行うことにより現在設定されている遊技モードを報知して遊技者の遊技意欲を向上させることができる。なお、第2実施例における時短遊技モードおよび第1確変遊技モードが本発明における「第1遊技モード」に相当し、第2実施例における第2確変遊技モードが本発明における「第2遊技モード」に相当する。
【0089】
なお、第2実施例において、遊技モードが第2確変遊技モードに移行する条件として、例えば、特図当たりの種類として「小当たり」を更に用意しておき、第1確変遊技モードに設定された状態で小当たりに当選すると第2確変遊技モードに移行するような構成とすると好適である。なお、小当たりとは、通常当たりや確変当たりと異なり、小当たりに当選したことを契機として特別図柄抽選の当選確率および普通図柄抽選の当選確率に変更を生じさせない特図当たりの種類のことを言う。