【実施例1】
【0011】
図1は実施例における画像形成システムの構成を示すブロック図である。
図1において、画像形成システム10は、画像形成装置としてのプリンタ100と、上位装置としてのPC(Personal Computer)101と、プリンタ100とPC101とを通信可能に接続する通信回線102とにより構成されている。
PC101には、印刷データ生成装置としてのプリンタドライバ(ソフトウェア)がインストールされており、PC101はプリンタ100に対して印刷データを送信する。この印刷データは、印刷対象となるドキュメントをプリンタ100の後述するデータ解析部111が解析可能な印刷設定情報および描画データとしてのPDL(Page Description Language)データとして含んでいる。
【0012】
プリンタ100は、プリンタドライバで生成された印刷データに基づいて画像を形成するものであり、データ受信部110と、データ解析部111と、印刷画像生成部112と、制御部113と、画像変倍処理部114と、画像形成部130と、パネル部170と、印刷画像格納部200と、特色印刷指定格納部201と、変倍率格納部202とを備えている。
データ受信部110は、通信回線102を介してPC101から送信されてきた印刷データを受信し、データ解析部111に転送する。
【0013】
データ解析部111は、データ受信部110から受け取った印刷データを解析し、印刷設定情報としての特色印刷指定および変倍率の情報をそれぞれ特色印刷指定格納部201および変倍率格納部202に格納し、またPDLデータは印刷画像生成部112へ渡す。
ここで、特色印刷指定の情報とは、白色や透明等の特色トナーによる特色の印刷画像の生成方法に関する情報であり、また変倍率の情報とは、媒体にトナーを定着したときの媒体の縮み率を示す情報であり、詳細は後述する。
【0014】
印刷画像生成部112は、印刷データに含まれるPDLデータと、特色印刷指定格納部201に格納された特色印刷指定の情報とから媒体に印刷するための印刷画像データを生成して印刷画像格納部200に格納し、制御部113に印刷画像データを生成したことを通知する。
本実施例では、印刷画像生成部112は、印刷データに含まれるPDLデータと、特色印刷指定格納部201に格納された特色印刷指定の情報とから第1の画像としての特色の印刷画像(以下、「特色画像」という。)と、第2の画像としてのカラーの印刷画像(以下、「CMYK画像」という。)とを生成する。
【0015】
制御部113は、印刷画像生成部112から印刷画像データを生成した旨の通知を受けて特色印刷指定格納部201から特色印刷指定の情報を読み出し、1ページの印刷に2回以上の画像の転写および定着が必要か否かと、特色画像の転写および定着が1回目に行われるか否かを判断する。
その判断の結果により、印刷画像の変倍処理が必要な場合は、制御部113は画像変倍処理部114へ変倍率格納部202に格納された情報に応じた一部の画像の変倍処理を指示し、必要な画像の変倍処理が終了すると画像形成部130に変倍処理を施した画像の印刷を指示する。
【0016】
このように制御部113は、特色画像に基づくトナー像(特色現像剤像)の転写および定着と、カラーの印刷画像に基づくトナー像(CMYK現像剤像)の転写および定着との順序に基づき、画像変倍部114に変倍率格納部202に格納された変倍率で特色画像またはカラーの印刷画像を変倍させ、必要な画像の変倍処理が終了すると画像形成部130に変倍処理を施した画像の印刷を指示する。
【0017】
画像変倍処理部114は、制御部113からの指示に従って、変倍率格納部202に格納された情報に応じて一部の画像を拡大または縮小した印刷画像データを生成し、印刷画像格納部200に格納する変倍処理を行い、その変倍処理が終了すると変倍処理が終了した旨を制御部113へ通知する。本実施例では、画像変倍処理部114は、印刷画像生成部112が生成した特色画像とカラーの印刷画像を変倍率格納部202に格納された変倍率の情報に基づいて拡大または縮小し、生成した印刷画像データを印刷画像格納部200に格納する。
【0018】
画像形成部130は、制御部113からの指示に従って、印刷画像格納部200から印刷画像データを読み出し、読み出した印刷画像データに基づくトナー像を印刷用紙等の媒体へ転写および定着させて印刷を実行する。
パネル部170は、液晶ディスプレイ(LCD)等の表示手段と操作ボタン等の入力手段を有し、ユーザのメニュー操作により変倍率を求めるためのテスト印刷を実行することができるようになっている。また、変倍率格納部202への変倍率の設定は、プリンタドライバからだけでなく、パネル部170からのユーザのメニュー操作によっても可能になっている。
【0019】
印刷画像格納部200は、印刷画像生成部112により生成された印刷画像データおよび画像変倍処理部114により生成された印刷画像データを格納する記憶部である。
特色印刷指定格納部201は、印刷データの印刷設定情報としての特色印刷指定情報を格納する記憶部である。
変倍率格納部202は、印刷データの印刷設定情報としての変倍率情報、またはパネル部170で入力された変倍率情報を格納する記憶部である。
【0020】
図2は実施例における画像形成装置の構成を示す概略側面図である。
図2において、プリンタ100は、パネル部170と、媒体上にKCMYW(K:ブラック、C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー、W:ホワイト)の各色の現像剤像としてのトナー像を形成および転写するイメージドラム150、151、152、153、154と、媒体上に転写されたトナーを熱で定着させる定着器155と、図中矢印Aが示す媒体搬送方向に媒体を搬送する搬送ベルト156と、媒体158を格納するトレイユニット157と、トナーを定着した媒体を、排出ローラ163を通して装置外部へ排出するか、センサ161、162、159を経由して再度イメージドラム150、151、152、153、154へと搬送するかを切替える切替スイッチ160とにより構成されている。
【0021】
本実施例では、媒体の搬送方向における上流からイメージドラム(K)150、イメージドラム(C)151、イメージドラム(M)152、イメージドラム(Y)153、イメージドラム(W)154の順でイメージドラムが配設されているものとする。
図1に示す画像形成部130は、上述した各構成を制御して印刷画像データに基づいて形成したトナー像を媒体に転写および定着し、媒体への印刷を行う。
このように構成されたプリンタ100は、同一媒体上に複数回に分けて画像を転写および定着させて形成することができるようになっている。
【0022】
上述した構成の作用について説明する。
まず、
図1に示すPC101上で動作するプリンタドライバの設定画面例を
図4の実施例におけるプリンタドライバの設定画面の説明図に基づいて説明する。
特色を使用した印刷を行う場合、
図4(a)に示すプリンタドライバの設定画面41の特色の使用方法411で「使用しない」以外の「ページ全体」、「データ部分」、「特色トナーのみ」、「アプリケーション指定」のうちいずれかを選択するものとし、
図4(a)では「データ部分」(に特色を印刷する)を選択した状態を示している。
【0023】
また、特色がW(ホワイト)のようにCMYK(カラー)の上または下に印刷され得る色である場合は、
図4(a)に示すプリンタドライバの設定画面41の重ね合わせの順序412でCMYKと特色の重ね順を選択する。
図4(a)では、「カラーの上に特色を印刷」を選択した状態を示している。
図2に示すプリンタ100のように、媒体にKCMYWの順でトナーが転写される装置では、カラー(CMYK)の上に特色(W)を載せる印刷は、1回の転写および定着で行うことができ、特色(W)の上にカラー(CMYK)を載せる印刷は、2回の転写および定着(1回目は特色(W)、2回目はカラー(CMYK)の転写および定着)が必要となる。
【0024】
図4(a)に示すように、カラー(CMYK)の上に特色(W)を載せる印刷である「カラーの上に特色を印刷」を選択した場合、変倍率の指定は必要ないため、XおよびY方向の縮小率はグレーアウトして設定不要とする。
一方、
図4(b)に示すように、特色(W)の上にカラー(CMYK)を載せる印刷である「カラーの下に特色を印刷」を選択した場合、変倍率の指定を行なえるように、XおよびY方向の縮小率の設定を受付けるようにする。
【0025】
図1に示すPC101上において、例えば
図4(b)に示すプリンタドライバの設定画面41で設定を行なって印刷を実行すると、PC101のプリンタドライバは、特色の使用方法411で選択された「データ部分」に特色を描画する情報、および重ね合わせの順序412で指定された「カラーの下に特色を印刷」を表す情報(特色印刷指定の情報)と、変倍率(X方向縮小率:99.6%、Y方向縮小率:99.4%)の情報と、PDLデータとを印刷データとして通信回線102を介してプリンタ100に送信する。
【0026】
次に、上述したプリンタドライバの設定画面で設定する変倍率について
図5の実施例における変倍率決定の説明図に基づいて説明する。
設定する変倍率は、予め特色の印刷に使用する媒体において、縮みを計測するための印刷を行って求める。例えば、
図5に示すように特色印刷を変倍率による拡大または縮小を行うことなく行うことにより、適正な変倍率を概算することができる。
図5に示す例では、1回目の印刷動作でX方向およびY方向の目盛の画像51を媒体に転写および定着させ、2回目の印刷動作で1回目に印刷した目盛で計測するべき1辺が5.0inch(インチ)の矩形の画像52を媒体に転写および定着させる。なお、参考値53は1回目または2回目の印刷動作のどちらで印刷しても良いが、読取りやすいトナーで印刷することが好ましい。
【0027】
目盛の画像51および矩形の画像52を印刷した後、矩形の画像52のXおよびY方向の幅を目盛の画像51で読取り、記載されている参考値53からXおよびY方向それぞれの変倍率として縮小率を決定する。
例えば、矩形の画像52のXおよびY方向の幅を目盛の画像51で読取った値が5.01inchの場合、縮小率は99.8%、5.02inchの場合、99.6%等である。
【0028】
なお、目盛の画像51が白色のような特色で印刷した場合など目盛が読取り難いときは媒体の縮みが戻ってからメジャー等の測定具で矩形の画像52のXおよびY方向の辺の長さを計測しても良い。
また、媒体の縮みを測定するための印刷は、
図1および
図2に示すパネル部170を操作することにより起動するテスト印刷機能としてプリンタ100に準備しておくようにしても良い。
【0029】
次に、プリンタドライバから印刷データを受けたプリンタが行う画像形成処理を
図3の実施例における画像形成処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップに従って
図1および
図2を参照しながら説明する。
S1:プリンタ100のデータ受信部110は、通信回線102を介してPC101から送信された印刷データを受信し、データ解析部111へ転送する。
S2:データ解析部111は、データ受信部110から受取った印刷データを解析し、印刷設定情報かPDLデータかを判定し、印刷設定情報であると判定すると処理をS3へ移行し、PDLデータであると判定すると処理をS4へ移行する。
【0030】
S3:印刷設定情報であると判定したデータ解析部111は、印刷設定情報としての特色印刷指定および変倍率をそれぞれ特色印刷指定格納部201および変倍率格納部202に格納して処理をS2へ移行し、PDLデータの受信を待機する。
S4:PDLデータであると判定したデータ解析部111は、印刷用の画像データを生成するため、PDLデータを印刷画像生成部112へ渡す。
印刷画像生成部112は、特色印刷指定格納部201および変倍率格納部202に格納された特色印刷指定および変倍率と、PDLデータとから1ページ分の印刷画像データを生成して印刷画像格納部200に格納する。
【0031】
ここで、印刷画像生成部112が生成する印刷画像データを説明する。
図6(a)および
図6(b)〜(f)は、S4において印刷画像生成部112が生成する印刷画像データの例である。
PDLデータは、
図6(a)に示すCMYKからなる画像を表現しており、この画像を印刷するためのシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの色毎の印刷画像が
図6(b)、(c)、(d)、(e)である。
また、特色印刷指定格納部201に格納された特色印刷指定は、「データ部分」に特色を描画、「カラーの下に特色を印刷」が設定されているものとする。
【0032】
この場合、設定されている特色の使用方法である「データ部分」、すなわち「カラー画像の部分に特色を描画」の指定に従って
図6(b)〜(e)に示す各色の印刷画像データおよび
図6(f)に示す特色(ホワイト)用の印刷画像データを生成する。
なお、特色印刷指定格納部201に格納された特色印刷指定の特色の使用方法が「(特色を)使用しない」である場合、特色(ホワイト)用の印刷画像データは生成しない。また、特色の使用方法が「特色トナーのみ」である場合はシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの色毎の印刷画像データは生成しない。
【0033】
S5:1ページ分の印刷画像データを生成して印刷画像格納部200に格納した印刷画像生成部112は、制御部113に対して1ページ分の印刷画像データが生成できたことを通知する。
S6:印刷画像生成部112から印刷画像データが生成できたことの通知を受けた制御部113は、S6〜S8において特色画像の変倍が必要か否かを判断する。
【0034】
まず、制御部113は、特色印刷指定格納部201に格納された特色印刷指定の特色の使用方法が「(特色を)使用しない」または「特色トナーのみ」である場合、特色とCMYKの両方の画像を印刷しないため、転写および定着が1回で済むことから印刷画像の変倍は不要であると判断して処理をS11へ移行し、一方、特色印刷指定格納部201に格納された特色印刷指定の特色の使用方法が「(特色を)使用しない」または「特色トナーのみ」でない場合、特色とCMYKの両方の画像を印刷すると判断し、処理をS7へ移行する。
【0035】
S7:特色とCMYKの両方の画像を印刷すると判断した制御部113は、各色のトナーに対応したイメージドラムの媒体搬送方向における搭載(配設)順序と、特色印刷指定格納部201に格納された特色印刷指定の特色の重ね合わせ順序に基づいて、特色画像の転写および定着と、CMYK画像の転写および定着とを2回に分けて行う必要があるか否かを判断し、転写および定着を2回に分けて行う必要があると判断すると処理をS8へ移行し、転写および定着とを2回に分けて行う必要がないと判断すると処理をS11へ移行する。
【0036】
本実施例では、
図2に示すように、特色画像と媒体との間に、CMYK画像が転写されるようなイメージドラムの搭載順序のプリンタ100では、特色の重ね合わせの順序が「カラーの上に特色を印刷」である場合、制御部113は特色画像とCMYK画像を1回の転写および定着で印刷することができると判断する。
一方、特色の重ね合わせの順序が「カラーの下に特色を印刷」である場合、制御部113は特色画像とCMYK画像とを分けて2回の転写および定着で印刷する必要があると判断する。この場合は、特色画像をCMYK画像よりも先に転写および定着して印刷する必要がある。
【0037】
なお、
図2に示すプリンタ100とは異なり、CMYK画像と媒体との間に、特色画像が転写されるようなイメージドラムの搭載順序(イメージドラム(W)154が媒体搬送方向における最上流に配設)のプリンタ100では、特色の重ね合わせの順序が「カラーの下に特色を印刷」である場合、制御部113は特色画像とCMYK画像を1回の転写および定着で印刷することができると判断する。
一方、特色の重ね合わせの順序が「カラーの上に特色を印刷」である場合、制御部113は特色画像とCMYK画像とを分けて2回の転写および定着で印刷する必要があると判断する。この場合は、特色画像をCMYK画像の後に転写および定着して印刷する必要がある。
【0038】
S8:特色画像の転写および定着と、CMYK画像の転写および定着とを2回に分けて行う必要があると判断した制御部113は、特色画像をCMYK画像よりも先に転写および定着して印刷する必要があるか否かを判断し、特色画像をCMYK画像よりも先に転写および定着して印刷する必要があると判断すると処理をS9へ移行し、特色画像をCMYK画像の後に転写および定着して印刷する必要があると判断すると処理をS10へ移行する。
【0039】
S9:特色画像をCMYK画像よりも先に転写および定着して印刷する必要があると判断した制御部113は、画像変倍処理部114に対し、変倍率格納部202に格納された変倍率に応じて印刷画像格納部200に格納された特色画像の拡大を指示する。
例えば、変倍率格納部202に格納された変倍率が、X方向縮小率が99.6%、Y方向縮小率が99.4%である場合、画像変倍処理部114は、
図7(a)に示す特色(ホワイト)画像を、
図7(b)に示すX方向が100.4%、Y方向が100.6%となるように拡大した特色画像に置き換える。
【0040】
このように、制御部113は、CMYK画像に基づくトナー像が媒体に転写および定着される前に、特色画像に基づくトナー像が媒体に転写および定着されると判断した場合、画像変倍部114に変倍率格納部202に格納された変倍率で特色画像を拡大させる。
制御部113は、画像変倍処理部114に対して指示した変倍処理が終了すると処理をS11へ移行する。
S10:特色画像をCMYK画像の後に転写および定着して印刷する必要があると判断した制御部113は、画像変倍処理部114に対し、変倍率格納部202に格納された変倍率に応じて印刷画像格納部200に格納された特色画像の縮小を指示する。
【0041】
例えば、変倍率格納部202に格納された変倍率が、X方向縮小率が99.6%、Y方向縮小率が99.4%である場合、画像変倍処理部114は、特色(ホワイト)画像をX方向に99.6%、Y方向に99.4%となるように縮小した特色画像に置き換える。
このように、制御部113は、CMYK画像に基づくトナー像が媒体に転写および定着された後に、特色画像に基づくトナー像が媒体に転写および定着されると判断した場合、画像変倍部114に変倍率格納部202に格納された変倍率で特色画像を縮小させる。
【0042】
制御部113は、画像変倍処理部114に対して指示した変倍処理が終了すると処理をS11へ移行する。
S11:制御部113は、画像形成部130に印刷画像格納部200に格納された印刷画像の印刷を指示し、画像形成部130は、制御部113の指示に従って印刷画像格納部200から印刷画像データを読出し、特色画像とCMYK画像とを印刷する場合は、特色画像とCMYK画像との位置を合わせて媒体に印刷する。
【0043】
ここで、特色画像とCMYK画像との位置合わせについて
図8を用いて説明する。
図8は実施例における印刷画像位置調整の説明図であり、
図4(b)に示す特色の使用方法が「ページ全体」、重ね合わせの順序が「カラーの下に特色を印刷」、X方向縮小率99.6%、Y方向縮小率99.4%の設定において、特色画像とCMYK画像とを2回の転写および定着を行って印刷する場合に、特色画像とCMYK画像とを常に媒体の中央に配置するように印刷画像の転写位置の調整を行う例を示したものである。
【0044】
図8(a)および
図8(b)は、1回目の転写で媒体81aのX方向およびY方向のそれぞれ中央に拡大した特色画像81bを載せる例を示している。このとき、媒体81aの左上の位置と、拡大した特色画像81bの左上の位置とを合わせた場合、媒体81aの特色画像81bに対するXおよびY方向のそれぞれの余白が半分になるように位置を調整する。なお、
図8(a)の81cは拡大前の特色画像を示している。
【0045】
図8(b)に示すように、媒体81aのX方向およびY方向のそれぞれ中央に拡大した特色画像81bを転写し、その媒体81aを
図2に示す定着器155に通し、特色画像81bを媒体81aに定着させると、媒体81aおよび特色画像81bは
図8(c)に示す媒体82aおよび特色画像82bのように縮む。なお、
図8(c)において、破線は縮む前の媒体81aを表している。
このように、1回目の転写および定着による媒体の縮み率をプリンタドライバの設定画面で設定する変倍率としている。
【0046】
次に、
図9(a)(b)に示すように、拡大していないCMYK画像81cを縮んだ状態の媒体82aのXおよびY方向の中央に配置されるように位置を調整して転写することにより、定着で縮んだ特色画像82bとCMYK画像81cの画像サイズが一致して重なる。
特色画像82bとCMYK画像81cとが一致して重なる媒体82aを
図2に示す定着器155に通し、CMYK画像81cを媒体82aに定着させ、装置外へ排出し、暫くすると、縮んでいた媒体82aは、
図9(c)に示す媒体81aのように元の大きさに戻り、媒体81aの中央に、特色画像とCMYK画像とが一致した印刷結果を得ることができる。
【0047】
この全体的な画像の拡大は、例えばプリンタドライバからPDLデータを予めプリンタドライバにおいて設定された変倍率で縮小しておくことで相殺可能である。
このとき、PC101のプリンタドライバは、特色トナー像を媒体に転写および定着した後に、特色トナーとは異なるトナーで形成されるCMYKトナー像が媒体に転写および定着されるとき、CMYKトナー像に対応し、入力された変倍率で縮小したPDLデータと、その変倍率を表す情報とを含む印刷データを生成するものとする。
また、PC101のプリンタドライバは、特色トナー像を媒体に転写および定着する前に、特色トナーとは異なるトナーで形成されるCMYKトナー像が媒体に転写および定着されるとき、CMYKトナー像に対応するPDLデータと、入力された変倍率を表す情報とを含む印刷データを生成するものとする。
【0048】
図1に示す画像形成部130によるプリンタの印刷制御を
図2に基づいて説明する。
1回の転写および定着で印刷可能な場合、画像形成部130は、トレイユニット157から媒体158を搬送ベルト156上に引き込み、イメージドラム150〜154により必要な色のトナーを媒体上に転写し、定着器155においてトナーを媒体に定着させた後、その媒体を装置外部へ排出するように切替スイッチ160を切り替え、排出ローラ163を経由して装置外部へ排出して印刷を完了する。
【0049】
また、2回の転写および定着が必要な印刷の場合、画像形成部130は、トレイユニット157から媒体158を搬送ベルト156上に引き込み、例えばイメージドラム154により特色(ホワイト)のトナーを媒体上に転写し、定着器155においてトナーを媒体に定着させた後、切替スイッチ160を切り替え、センサ161、162、159を経由して媒体を再度イメージドラムへ搬送する。イメージドラム150〜154によりCMYKのトナーを媒体に定着された特色(ホワイト)のトナーの上に転写し、定着器155においてトナーを媒体に定着させた後、その媒体を装置外部へ排出するように切替スイッチ160を切り替え、排出ローラ163を経由して装置外部へ排出して印刷を完了する。
【0050】
なお、本実施例では、媒体の変倍率(縮小率)をプリンタドライバの設定画面で設定するようにしたが、プリンタ100に備えるパネル部170において表示されるメニューに従って入力操作を行い、設定するようにしても良い。
このように、媒体の同一面に複数回のトナー画像の転写および定着を行って印刷するプリンタにおいて、設定された変倍率で1回目の特色トナー画像を変倍して媒体に転写および定着させた後、2回目のCMYKトナー画像を1回目に転写および定着させたトナー画像の上に転写および定着させて印刷するようにしたことにより、媒体に複数回のトナー画像の転写および定着を行って印刷する場合の画像品質の低下を抑制することができる。
【0051】
また、2回目以降に転写および定着して印刷するCMYKトナー画像を変倍するのでなく、1回目に転写および定着して印刷する特色のトナー画像は比較的高い濃度で描画され、その特色トナー画像を変倍するようにしているため、ディザ周期等のずれが目立ち難く、画像品質の低下を抑制することができる。
さらに、CMYKトナー画像の画像品質を保ったまま、特色トナー画像とCMYKトナー画像とを同一の大きさで媒体上に印刷することができる。
【0052】
なお、本実施例では、特色(ホワイト)トナー画像とCMYKトナー画像をそれぞれ1回ずつ2回の転写および定着を行う場合について、CMYKトナー画像を変倍することなく、特色トナー画像を変倍して転写および定着を行い、印刷するものとして説明したが、それ以外にも、例えば透明トナーのような特色トナーでは、その特色トナーを複数回重ねて転写および定着することにより、光沢の出方を調整したり、エンボス効果を出したりする使い方がある。
【0053】
このように、CMYKトナー画像および特色(透明)トナー画像を1回目に転写および定着した後に、さらに複数回の特色(透明)トナー画像を転写および定着し、重ねる場合は、1回目のCMYKトナー画像および特色(透明)トナー画像は変倍することなく、2回目以降の特色(透明)トナー画像を変倍するようにしても良い。
例えば、1回目にCMYKトナー画像および特色(透明)トナー画像、2回目に特色(透明)トナー画像、3回目に特色(透明)トナー画像を転写および定着する場合、1回目のCMYKトナー画像および特色(透明)トナー画像は変倍せず、2回目および3回目の特色(透明)トナー画像を縮小して転写および定着を行い、印刷する。
【0054】
また、1回目に特色(金色)トナー画像、2回目に特色(金色)トナー画像、3回目にCMYKトナー画像を転写および定着し、背景に特色を重ねた上にCMYKトナー画像を重ねる場合、1回目の特色(金色)トナー画像だけ拡大し、2回目に特色(金色)トナー画像および3回目にCMYKトナー画像は変倍することなく転写および定着を行い、印刷する。
また、変倍率確認用のテスト印刷では、白色(ホワイト)やクリア(透明)のような特色の画像を、シアン等の色に置き換えて印刷することにより、変倍率の読取りを容易にすることができ、またコストを抑えることもできる。
【0055】
以上説明したように、本実施例では、設定された変倍率で1回目のトナー画像を変倍して媒体に転写および定着させた後、2回目のトナー画像を1回目に転写および定着させたトナー画像の上に転写および定着させて印刷するようにしたことにより、媒体に複数回の現像剤画像の転写および定着を行って印刷する場合の画像品質の低下を抑制することができるという効果が得られる。
【0056】
また、1回目の特色トナー画像を変倍して媒体に転写および定着させた後、2回目のCMYKトナー画像を1回目に転写および定着させたトナー画像の上に転写および定着させて印刷するようにしたことにより、CMYKトナー画像の画像品質を保ったまま、特色トナー画像とCMYKトナー画像とを同一の大きさで媒体上に印刷することができるという効果が得られる。
なお、本実施例では、画像形成装置をプリンタとして説明したが、それに限られることなく、トナー画像を印刷する装置であれば複写機、ファクシミリ装置、複合機(MFP)等であっても良い。