特許第6134265号(P6134265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134265
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】フケ止めシャンプー
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/58 20060101AFI20170515BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20170515BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20170515BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   A61K8/58
   A61K8/44
   A61K8/46
   A61Q5/02
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-524393(P2013-524393)
(86)(22)【出願日】2011年7月14日
(65)【公表番号】特表2013-534232(P2013-534232A)
(43)【公表日】2013年9月2日
(86)【国際出願番号】EP2011062043
(87)【国際公開番号】WO2012022553
(87)【国際公開日】20120223
【審査請求日】2014年5月14日
(31)【優先権主張番号】10173221.2
(32)【優先日】2010年8月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590003065
【氏名又は名称】ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】230105223
【弁護士】
【氏名又は名称】城山 康文
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アナンタパドマナバン,カブセリー・パラメスワラン
(72)【発明者】
【氏名】ホール,キヤロライン・アレクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ポスト,アルバート・ジヨセフ
(72)【発明者】
【氏名】シエイフアー,ジヨージア
(72)【発明者】
【氏名】ターナー,グラハム・アンドリユー
(72)【発明者】
【氏名】ズドラブコバ,アネリア・ニコロバ
【審査官】 田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−524690(JP,A)
【文献】 特開昭64−013012(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/034721(WO,A2)
【文献】 特表2007−509183(JP,A)
【文献】 特表2009−540072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00−8/99
A61Q1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ジンクピリチオン(ZnPTO)、硫酸亜鉛およびその水和物ならびにそれらの組合せから選択される、0.1から5重量%のフケ止め亜鉛塩と、
(b)1から8重量%のアルキルグリシネートおよび/またはアルキルカルボキシグリシネートと、
(c)2から16重量%のアルキルスルフェートおよび/またはエトキシル化アルキルスルフェートアニオン性界面活性剤と、
(d)40から80重量%の脂肪アシルイセチオネートと15から50重量%の遊離脂肪酸および/または脂肪酸塩とを含む1から10重量%のアシルシセチオネート製品と、
を含むフケ止めシャンプー。
【請求項2】
フケ止め亜鉛塩がジンクピリチオン(ZnPTO)である、請求項1に記載のシャンプー。
【請求項3】
フケ止め亜鉛塩が0.25から2.5重量%の配合量で存在する、請求項1または2に記載のシャンプー。
【請求項4】
アルキルスルフェートおよび/またはエトキシル化アルキルスルフェートアニオン性界面活性剤が、0.5から3の平均エトキシル化度を有しているラウリルエーテル硫酸ナトリウムを3から12重量%含む請求項1から3のいずれか一項に記載のシャンプー。
【請求項5】
アルキルグリシネートおよび/またはアルキルカルボキシグリシネートが、1から8重量%の配合量で存在し、C8−22炭素原子のアルキル基を有しており、グリシネートが可溶化カチオンとの塩の形態である、請求項1から4のいずれか一項に記載のシャンプー。
【請求項6】
グリシネートがC8−22炭素原子のアルキル基を有しているナトリウムアルキルカルボキシグリシネートである、請求項1から5のいずれか一項に記載のシャンプー。
【請求項7】
0.1から10重量%のベタイン界面活性剤をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のシャンプー。
【請求項8】
0.1から5重量%のカチオン性ポリマーをさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のシャンプー。
【請求項9】
(a)0.25から2.5重量%のジンクピリチオンと、
(b)C8−22炭素原子のアルキル基を有している2から6重量%のナトリウムアルキルカルボキシグリシネートと、
(c)0.5から3の平均エトキシル化度を有している4から10重量%のラウリルエーテル硫酸ナトリウムと、
(d)40から80重量%の脂肪アシルイセチオネートと15から50重量%の遊離脂肪酸および/または脂肪酸塩とを含む1から10重量%の脂肪アシルイセチオネート製品と、
e)0.1から5重量%のコカミドプロピルベタインと、
を含む請求項1に記載のシャンプー
【請求項10】
皮膚の角質層バリアーの状態を改善するための、(i)40から80重量%の脂肪アシルイセチオネートと15から50重量%の遊離脂肪酸および/または脂肪酸塩とを含む脂肪アシルイセチオネート製品と、(ii)1から8重量%のアルキルグリシネートおよび/またはアルキルカルボキシグリシネートと、(iii)2から16重量%のアルキルスルフェートおよび/またはエトキシル化アルキルスルフェートアニオン性界面活性剤とを含む界面活性剤系の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚の角質層バリアーの状態改善を提供するフケ止めシャンプー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フケは世界中の多くの人々にかかわる問題である。この状態は死んだ皮膚細胞の塊が頭皮から剥落することによって現れる。これらの細胞凝集塊は白色であり、美的に不快な外見を与える。Malassezia属イーストのいくつかの菌類がフケの形成要因である。フケ止め製品はこれらに対処するために抗真菌活性を有しているある種の亜鉛塩、たとえばジンクピリチオン(ZnPTO)を含有している。このような製品はフケの原因を軽減すると同時に洗髪用シャンプーとして機能しなければならない。既知のフケ止めシャンプーの一例は、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(エトキシル化アニオン性界面活性剤)をジンクピリチオンと組合せて含有している。
【0003】
代替的なフケ原因の軽減方法は、皮膚の角質層バリアーの状態を改善することであり、この方法はフケの原因に対し頭皮の抵抗力を高めることになる。
【0004】
WO2004/035015A1は、フケ止め亜鉛塩、ラウレト硫酸ナトリウムおよび共役リノール酸を含むシャンプーを開示している。
【0005】
本発明の目的は、皮膚の角質層バリアーの状態を改善するフケ止めシャンプー組成物を提供することである。
【0006】
(i)40から80重量%の脂肪アシルイセチオネートと15から50重量%の遊離脂肪酸および/または脂肪酸塩とを含む脂肪アシルイセチオネート製品と、(ii)アルキルグリシネートおよび/またはアルキルカルボキシグリシネートと、(iii)アルキルスルフェートおよび/またはエトキシル化アルキルスルフェートアニオン性界面活性剤とを含む界面活性剤系が皮膚の角質層バリアーの状態を改善することを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2004/035015号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明は第一態様において、
(a)0.1から5重量%のフケ止め亜鉛塩と、
(b)1から8重量%のアルキルグリシネートおよび/またはアルキルカルボキシグリシネートと、
(c)2から16重量%のアルキルスルフェートおよび/またはエトキシル化アルキルスルフェートアニオン性界面活性剤と、
(d)40から80重量%の脂肪アシルイセチオネートと15から50重量%の遊離脂肪酸および/または脂肪酸塩とを含む1から10重量%のアシルシセチオネート製品と、
を含むフケ止めシャンプーを提供する。
【0009】
本発明の第二態様は、皮膚の角質層バリアーの状態を改善するための、(i)40から80重量%の脂肪アシルイセチオネートと15から50重量%の遊離脂肪酸および/または脂肪酸塩とを含む脂肪アシルイセチオネート製品と、(ii)アルキルグリシネートおよび/またはアルキルカルボキシグリシネートと、(iii)アルキルスルフェートおよび/またはエトキシル化アルキルスルフェートアニオン性界面活性剤とを含む界面活性剤系の使用に関する。
【0010】
フケ止めシャンプーはフケ止め亜鉛塩を含む。フケ止め亜鉛塩は好ましくは、ジンクピリチオン、硫酸亜鉛およびその水和物(たとえば、硫酸亜鉛6水和物)ならびにそれらの組合せから選択される。亜鉛−1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオンの略名であるジンクピリチオン(ZnPTO)が最も好ましい。
【0011】
フケ止め亜鉛塩は、シャンプー組成物を基準として0.1から5重量%、好ましくは0.2から3重量%、より好ましくは0.25から2.5重量%の配合量で存在する。
【0012】
フケ止めシャンプーは、1から8重量%、好ましくは2から6重量%のアルキルグリシネートおよび/またはアルキルカルボキシグリシネートを含む。
【0013】
好ましくは、アルキルグリシネートおよび/またはアルキルカルボキシグリシネートは、C8−22炭素原子のアルキル基を有し、ナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウムのような可溶化カチオンとの塩の形態をとっている。好ましいグリシネートはナトリウムココグリシネートおよびナトリウムココイルグリシネートである。
【0014】
フケ止めシャンプーはアルキルスルフェートおよび/またはエトキシル化アルキルスルフェートアニオン性界面活性剤を2から16重量%、好ましくは3から12重量%、より好ましくは4から10重量%の配合量で含む。
【0015】
好ましいアルキルスルフェートはC8−18アルキルスルフェート、より好ましくはC12−18アルキルスルフェートであり、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウムのような可溶化カチオンとの塩の形態である。典型例は、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)またはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。
【0016】
好ましいアルキルエーテルスルフェートは、式RO(CHCHO)SOMを有しており、式中のRは8から18(好ましくは12から18)個の炭素原子を有しているアルキルまたはアルケニルであり、nは少なくとも0.5よりも大きい平均値、好ましくは1から3の範囲、より好ましくは2から3の範囲の平均値を有する数であり、Mはナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウムのような可溶化カチオンである。一例はラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)である。
【0017】
好ましいエトキシル化アルキルスルフェートアニオン性界面活性剤は、0.5から3、好ましくは1から3の平均エトキシル化度を有しているラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)である。
【0018】
脂肪アシルイセチオネート製品は、1から10重量%、好ましくは2から8重量%、より好ましくは2.5から7.5重量%の配合量で存在する。好ましい脂肪アシルイセチオネート製品は、脂肪アシルイセチオネート界面活性剤を製品の40から80重量%の配合量で含み、同時に遊離脂肪酸および/または脂肪酸塩を15から50%の配合量で含む。
【0019】
好ましくは、脂肪アシルイセチオネートの20重量%超で45重量%未満、より好ましくは25重量%超で45重量%未満がC16以上の鎖長を有しており、遊離脂肪酸/セッケンの50重量%超、好ましくは60重量%超がC16からC20の鎖長を有している。
【0020】
好ましい実施態様においてフケ止めシャンプーは、0.1から10重量%、好ましくは0.5から8重量%、より好ましくは1から5重量%のベタイン界面活性剤、好ましくはアルキルアミドプロピルベタイン、たとえばコカミドプロピルベタインを含む。
【0021】
別の好ましい実施態様においてフケ止めシャンプーは、0.1から5重量%のカチオン性ポリマー、好ましくはカチオン性多糖ポリマーを含む。
【0022】
本発明の特に好ましい実施態様は、
(a)0.25から2.5重量%のジンクピリチオンと、
(b)C8−22炭素原子のアルキル基を有している2から6重量%のナトリウムアルキルカルボキシグリシネートと、
(c)0.5から3の平均エトキシル化度を有している4から10重量%のラウリルエーテル硫酸ナトリウムと、
(d)40から80重量%の脂肪アシルイセチオネートと15から50重量%の遊離脂肪酸および/または脂肪酸塩とを含む1から10重量%の脂肪アシルイセチオネート製品と、
(e)0.1から5重量%のコカミドプロピルベタインと、
を含むフケ止めシャンプーである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
脂肪アシルイセチオネート製品
脂肪アシルイセチオネート製品は、1から10重量%、好ましくは2から8重量%、より好ましくは2.5から7.5重量%の配合量で存在する。
【0024】
好ましい脂肪アシルイセチオネート製品は、製品の40から80重量%の配合量の脂肪アシルイセチオネート界面活性剤を含み、同時に遊離脂肪酸および/または脂肪酸塩を15から50%の配合量で含む。
【0025】
好ましくは、脂肪アシルイセチオネートの20重量%超で45重量%未満、より好ましくは25重量%超で45重量%未満がC16以上の鎖長を有しており、遊離脂肪酸/セッケンの50重量%超、好ましくは60重量%超がC16からC20の鎖長を有している。
【0026】
脂肪アシルイセチオネート界面活性剤成分は典型的には、アルカリ金属イセチオネートのようなイセチオネート塩と8から20個の炭素原子を有しておりヨウ素価(不飽和度の測定値)20g未満である脂肪族脂肪酸とから、たとえば以下の反応:
【0027】
【化1】
によって製造される。式中のRは2から4個の炭素を含有する脂肪族炭化水素基であり、Mはアルカリ金属カチオンまたは金属イオン(たとえばナトリウム、マグネシウム、カリウム、リチウム)、アンモニウムまたは置換アンモニウムカチオンまたは他の対イオンであり、Rは7から24個の、好ましくは8から22個の炭素を有している脂肪族炭化水素基である。
【0028】
使用される工程条件次第では、得られる脂肪アシルイセチオネート製品は40から80重量%の脂肪アシルイセチオネート(反応から形成されたもの)と50から約15重量%、典型的には40から20重量%の遊離脂肪酸との混合物になる。さらに、製品は典型的には5重量%未満の配合量で存在するイセチオネート塩と微量(2重量%未満)の他の不純物とを含む場合もある。商業用脂肪アシルイセチオネート界面活性剤を製造するために脂肪族脂肪酸の混合物が好ましく使用されている。得られる脂肪アシルイセチオネート製品に優れた起泡性と低刺激性との双方を獲得させるためには、得られる(たとえばアルカリ金属イセチオネートと脂肪族脂肪酸との反応から得られる)脂肪アシルイセチオネート界面活性剤が16個以上の炭素原子をもつ脂肪アシル基を(脂肪アシルイセチオネート反応生成物を基準として)20重量%超、好ましくは25重量%超および45重量%以下好ましくは30重量%以下の配合量で含むべきである。これらの長鎖脂肪アシルイセチオネート界面活性剤および脂肪酸、すなわち16個以上の炭素をもつ脂肪アシル基および脂肪酸は、典型的には周囲温度の水中で不溶性の界面活性剤/脂肪酸結晶を形成できる。
【0029】
主題発明において特に有用な商業用脂肪アシルイセチオネート製品の例は、Unileverによって製造されているDEFIフレークおよびDove(登録商標)クレンジングバーヌードルである。DEFI(脂肪イセチオネートの直接エステル化)フレークは典型的には、約68から80重量%の脂肪アシルイセチオン酸ナトリウムと15から30重量%の遊離脂肪酸とを含有する。得られる脂肪アシルイセチオネートの脂肪アシル基の25重量%超で35重量%以下が16から18個の炭素原子を有している。Dove(登録商標)クレンジングバーヌードルは、上述のDEFIフレークと長鎖(主としてC16およびC18)脂肪酸および脂肪セッケンとの混合物であり、約40から55重量%の脂肪アシルイセチオネートと30から40重量%の脂肪酸および脂肪セッケンとを含有している。
【0030】
亜鉛活性物質
フケ止めシャンプーはフケ止め亜鉛塩を含む。フケ止め亜鉛塩は、ジンクピリチオン、硫酸亜鉛およびその水和物(たとえば、硫酸亜鉛6水和物)ならびにそれらの組合せから選択される。亜鉛−1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオンの別名であるジンクピリチオン(ZnPTO)が好ましい。
【0031】
フケ止め亜鉛塩は、フケ止めシャンプー組成物を基準として0.1から5重量%、好ましくは0.2から3重量%、より好ましくは0.25から2.5重量%の配合量で存在する。
【0032】
他のAD(フケ止め)活性物質
別のフケ止め活性物質を組成物に含有させることができる。代表的な物質は、オクトピロクス(ピロクトンオラミン)、アゾール抗菌剤(たとえばクリンバゾール)、硫化セレンおよびそれらの組合せである。これらの材料の量は、組成物の約0.01から約5重量%、好ましくは0.1から3重量%、最適には約0.3から約4重量%の範囲でよい。
【0033】
グリシネート
フケ止めシャンプーは、1から8重量%、好ましくは2から6重量%のアルキルグリシネートおよび/またはアルキルカルボキシグリシネートを含む。
【0034】
好ましくはアルキルグリシネートおよび/またはアルキルカルボキシグリシネートがC8−22炭素原子のアルキル基を、ナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウムのような可溶化カチオンとの塩の形態をとっている。好ましいグリシネートは、ナトリウムココグリシネートおよびナトリウムココイルグリシネートである。
【0035】
アニオン性洗浄用界面活性剤
フケ止めシャンプーはアルキルスルフェートおよび/またはエトキシル化アルキルスルフェートアニオン性界面活性剤を2から16重量%、好ましくは3から14重量%、より好ましくは4から10重量%の配合量で含む。
【0036】
好ましいアルキルスルフェートは、C8−18アルキルスルフェート、より好ましくはC12−18アルキルスルフェートであり、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウムのような可溶化カチオンとの塩の形態をとっている。典型例はラウリル硫酸ナトリウム(SLS)またはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。
【0037】
好ましいアルキルエーテルスルフェートは、式RO(CHCHO)SOMを有しており、式中のRは8から18(好ましくは12から18)個の炭素原子を有しているアルキルまたはアルケニルであり、nは少なくとも0.5よりも大きい平均値、好ましくは1から3の間の平均値を有する数であり、Mはナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウムのような可溶化カチオンである。一例はラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)である。
【0038】
好ましいエトキシル化アルキルスルフェートアニオン性界面活性剤は、0.5から3、好ましくは1から3の平均エトキシル化度を有しているラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)である。
【0039】
本発明のシャンプー組成物は、化粧品に許容され毛髪への局所適用に適した1種以上の別のアニオン性洗浄用界面活性剤を含んでもよい。
【0040】
別のアニオン性洗浄用界面活性剤の適例は、アルカリールスルホネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、アルキルエーテルスルホスクシネート、N−アルキルサルコシネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、および、アルキルエーテルカルボン酸とそれらの塩、特にそれらのナトリウム、マグネシウム、アンモニウムならびにモノ−、ジ−およびトリエタノールアミン塩である。アルキル基およびアシル基は一般に8から18個の、好ましくは10から16個の炭素原子を有しており、不飽和でもよい。アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルエーテルホスフェートおよびアルキルエーテルカルボン酸とそれらの塩は一分子あたり1から20個のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位を含んでいてもよい。
【0041】
本発明のシャンプー組成物に使用するための典型的なアニオン性洗浄用界面活性剤は、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホネート、ラウリルエーテルカルボン酸およびN−ラウリルサルコシン酸ナトリウムを含む。
【0042】
別のアニオン性洗浄用界面活性剤の好適例は、ラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム(n)EO(ここで、nは1から3である。)、ラウリルエーテルカルボン酸(n)EO(ここで、nは10から20である。)である。
【0043】
上記のアニオン性洗浄用界面活性剤のいずれかの混合物も適当であろう。
【0044】
追加される場合、本発明のシャンプー組成物中の別のアニオン性洗浄用界面活性剤の全量は、組成物の全重量を基準として計算したアニオン性洗浄用界面活性剤の全重量が一般に0.5から45重量%、好ましくは1.5から35重量%、より好ましくは5から20重量%となる範囲であってもよい。
【0045】
組成物は、組成物の美的特性、物理的特性または洗浄特性に役立つ補助界面活性剤を含むことができる。
【0046】
補助界面活性剤の一例は非イオン性界面活性剤であり、組成物の全重量を基準として0.5から8重量%、好ましくは2から5重量%の範囲の量を含有させることができる。
【0047】
たとえば、発明のシャンプー組成物に含有させることができる代表的な非イオン性界面活性剤は、脂肪族(C−C18)第一級または第二級、直鎖状または分枝状アルコールまたはフェノールとアルキレンオキシド、通常はエチレンオキシドとの一般に6から30個のエチレンオキシド基を有している縮合生成物を含む。
【0048】
他の代表的な非イオン性界面活性剤は、モノ−またはジ−アルキルアルカノールアミドを含む。例として、ココモノ−またはジ−エタノールアミドおよびココモノ−イソプロパノールアミドを含む。
【0049】
本発明のシャンプー組成物に含有させることができる別の非イオン性界面活性剤は、アルキルポリグリコシド(APG)類である。典型的にはAPGは、1つ以上のグリコシル基のブロックに(場合により架橋基を介して)連結されたアルキル基を含むものである。好ましいAPG類は次式:
RO−(G)n
によって定義され、式中のRは飽和または不飽和の分枝状または直鎖状のアルキル基であり、Gは糖基である。
【0050】
Rは約Cから約C20の平均アルキル鎖長を表し得る。好ましくはRが約Cから約C12までの平均アルキル鎖長を表す。最も好ましくはRの値が約9.5から約10.5の範囲に存在する。GはCまたはCの単糖残基から選択され、好ましくはグルコシドである。Gは、グルコース、キシロース、ラクトース、フルクトース、マンノースおよびそれらの誘導体を含む群から選択することができる。好ましくは、Gがグルコースである。
【0051】
重合度nは約1から約10までのまたはそれ以上の値を有し得る。好ましくは、nの値が約1.1から約2までの範囲に存在し、最も好ましくはnの値が約1.3から約1.5までの範囲に存在する。
【0052】
本発明に使用するための適当なアルキルポリグリコシドは市販されており、たとえばSeppic社のOramix NS10、Henkel社のPlantaren 1200およびPlantaren 2000などと命名された材料を含む。
【0053】
本発明の組成物に含有させることができる他の糖由来非イオン性界面活性剤は、たとえばWO92/06154およびUS5,194,639に記載されているC12−C18−N−メチルグルカミドのようなC10−C18N−アルキル(C−C6)ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、ならびに、C10−C18N−(3−メトキシプロピル)グルカミドのようなN−アルコキシポリヒドロキシ脂肪酸アミドを含む。
【0054】
補助界面活性剤の好ましい例は両性または双イオン性界面活性剤であり、これらは組成物の全重量を基準として0.1から約10重量%、好ましくは0.5から8重量%、より好ましくは1から5重量%の範囲の量を含有させることができる。
【0055】
両性または双イオン性界面活性剤の例は、アルキルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン(スルタイン)、アルキルアンホアセテート、アルキルアンホプロピオネート、アルキルアンホグリシネート、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタイン、アシルタウレートおよびアシルグルタメートを含み、それらのアルキル基およびアシル基は8から19個の炭素原子を有している。本発明のシャンプーに使用するための典型的な両性および双イオン性界面活性剤は、ラウリルアミンオキシド、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタインおよびココアンホ酢酸ナトリウムを含む。
【0056】
特に好ましい両性または双イオン性界面活性剤はコカミドプロピルベタインである。
【0057】
上記の両性または双イオン性界面活性剤のいずれかの混合物も適当であろう。好ましい混合物は、コカミドプロピルベタインと別の上述のような両性または双イオン性界面活性剤との混合物である。好ましい別の両性または双イオン性界面活性剤はココアンホ酢酸ナトリウムである。
【0058】
本発明のシャンプー組成物中の界面活性剤の全量(任意の補助界面活性剤および/または任意の乳化剤を含めて)は、組成物の全重量を基準として界面活性剤の全重量が一般に1から50重量%、好ましくは2から40重量%、より好ましくは10から25重量%となる量である。
【0059】
シリコーン
本明細書に記載の組成物は、1種以上のシリコーンを含むのが有利であろう。シリコーンは分散または懸濁した微粒子形態で見出されるコンディショニング剤である。シリコーンは毛髪に付着させ、毛髪を水ですすいだ後に残留させるためである。適当なシリコーンオイルは、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマーおよびそれらの混合物を含む場合がある。シャンプー組成物にはしばしばアミノシリコーンが配合される。アミノシリコーンは、少なくとも1つの第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンまたは第四級アンモニウム基を含有するシリコーンである。高分子量シリコーンガムも利用することができる。別の有用な種類のシリコーンは、ジメチコーン/ビニル/ジメチコーンクロスポリマー(たとえばDow Corning 9040および9041)のような架橋シリコーンエラストマーである。
【0060】
シリコーンの数平均粒径は約0.01ミクロンから約50ミクロンの、最も好ましくは約0.01から約0.5ミクロンの範囲であろう。
【0061】
本発明の組成物はシリコーンマイクロエマルジョンというプレミックスを含むのが有利であろう。マイクロエマルジョンは、約10から約1,000nmまでの、好ましくは約100から約500nmの範囲の数平均粒径を有しているシリコーン粒子の水性界面活性剤の安定化エマルジョンである。
【0062】
適当な予成形されたシリコーンエマルジョンの例は、エマルジョンDC2−1766、DC2−1784、DC−1785、DC−1786、DC−1788およびマイクロエマルジョンDC2−1865およびDC2−1870を含み、いずれもDow Corningから入手可能である。これらはすべてジメチコノールのエマルジョンまたはマイクロエマルジョンである。DC939(Dow Corning製)およびSME253(GE Silicones製)のようなアモジメチコーンエマルジョンも適当である。シリコーンが存在するとき、組成物中のシリコーンの量はシャンプー組成物の約0.01から約10重量%、好ましくは約0.1から約8重量%、より好ましくは約0.3から約5重量%の範囲であろう。
【0063】
カチオン性ポリマー
カチオン性ポリマーは、本発明に記載のシャンプー組成物中でシャンプーのコンディショニング効果を高めるために任意ではあるが好ましい成分である。
【0064】
カチオン性ポリマーはホモポリマーでもよく、または2種以上のモノマーから形成されてもよい。ポリマーの分子量は一般に5,000から10,000,000の範囲、典型的には少なくとも10,000、好ましくは100,000から約2,000,000の範囲であろう。ポリマーは、第四級アンモニウムまたはプロトン化アミノ基のようなカチオン性窒素含有基またはそれらの混合物を含むであろう。
【0065】
カチオン性窒素含有基は、一般にカチオン性ポリマーの全モノマー単位の一部に置換基として存在するであろう。したがって、ポリマーがホモポリマーでないときは非カチオン性モノマー単位をスペーサーとして含有できる。このようなポリマーはCTFA Cosmetic Ingredient Directory,3rd editionに記載されている。カチオン性モノマー単位対非カチオン性モノマー単位の比は必要な範囲のカチオン電荷密度を有するポリマーが得られるように選択される。
【0066】
適当なカチオン性コンディショニングポリマーはたとえば、カチオン性アミン官能基または第四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーと(メタ)アクリルアミド、アルキルおよびジアルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクトンおよびビニルピロリジンのような水溶性スペーサーモノマーとのコポリマーを含む。アルキルおよびジアルキル置換モノマーは、好ましくはC1−C7アルキル基、より好ましくはC1−3アルキル基を有している。他の適当なスペーサーはビニルエステル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、プロピレングリコールおよびエチレングリコールを含む。
【0067】
カチオン性アミンは、個々の種および組成物のpH次第で第一級、第二級または第三級アミンとなる。一般的に第二級および第三級アミン、特に第三級が好ましい。
【0068】
アミン置換ビニルモノマーおよびアミンは、アミンの形で重合し、その後四級化によってアンモニウムに変換される。
【0069】
カチオン性コンディショニングポリマーは、アミン−および/または第四級アンモニウム−置換モノマーおよび/または相溶性のあるスペーサーモノマーに由来のモノマー単位の混合物を含むことができる。
【0070】
適当なカチオン性コンディショニングポリマーは、たとえば、
− Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association,(CTFA)によって業界でポリクアテルニウム−16と呼ばれている1−ビニル−2−ピロリジンと1−ビニル−3−メチル−イミダゾリウム塩(たとえば、塩化物)とのコポリマー。この材料はBASF Wyandotte Corp.(Parsippany,NJ,USA)から商品名LUVIQUATで市販されている(たとえばLUVIQUAT FC370)、
− 業界(CTFA)でポリクアテルニウム−11と呼ばれている1−ビニル−2−ピロリジンとジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー。この材料はGaf Corporation(Wayne,NJ,USA)から商品名GAFQUATで市販されている(たとえばGAFQUAT 755N)、
− カチオン性ジアリル第四級アンモニウム含有ポリマー、たとえば、業界(CTFA)でそれぞれポリクアテルニウム6およびポリクアテルニウム7と呼ばれているジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマー、および、アクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロリドとのコポリマー、
− 3から5個の炭素原子を有している不飽和カルボン酸のホモ−およびコ−ポリマーのアミノアルキルエステルの無機酸塩(たとえば米国特許4,009,256に記載)、
− カチオン性ポリアクリルアミド(WO95/22311に記載)、
を含む。
【0071】
使用できる他のカチオン性コンディショニングポリマーは、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン誘導体およびカチオン性グアーガム誘導体のようなカチオン性多糖ポリマーを含む。このようなカチオン性多糖ポリマーは適正には0.1から4meq/gの範囲の電荷密度を有している。
【0072】
本発明の組成物に使用するための適当なカチオン性多糖ポリマーは式:
【0073】
【化2】
のものを含み、式中のAはデンプンまたはセルロースの無水グルコース残基のような無水グルコース残基である。Rはアルキレン、オキシアルキレン、ポリオキシアルキレンまたはヒドロキシアルキレン基またはそれらの組合せである。R、RおよびRは独立に、各々が約18個以下の炭素原子を含むアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシアリール基を表す。各カチオン性部分の炭素原子の総数(すなわち、R、RおよびRの炭素原子の総和)は、好ましくは約20以下であり、Xはアニオン性対イオンである。
【0074】
カチオン性セルロースは、Amerchol Corp.(Edison,NJ,USA)からPolymer JR(商標)およびLR(商標)のポリマーシリーズでトリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの塩として入手可能であり、これは業界(CTFA)でポリクアテルニウム10と呼ばれている。別の種類のカチオン性セルロースは、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの重合第四級アンモニウム塩を含み、これは業界(CTFA)でポリクアテルニウム24と呼ばれている。これらの材料はAmerchol Corp.(Edison,NJ,USA)から商品名Polymer LM−200として入手可能である。
【0075】
他の適当なカチオン性多糖ポリマーは、第四級窒素含有セルロースエーテル(たとえば米国特許3,962,418に記載)およびエーテル化セルロースとデンプンとのコポリマー(たとえば米国特許3,958,581に記載)を含む。
【0076】
使用できる特に適当な種類のカチオン性多糖ポリマーは、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドのようなカチオン性グアーガム誘導体である(Rhone−PoulencからJAGUAR商標シリーズで市販されている)。
【0077】
典型例は、低置換度のカチオン基および高粘度を有しているJAGUAR C13Sである。適度な置換度および低粘度を有しているJAGUAR C15、JAGUAR C17(高置換度、高粘度)、低配合量の置換基とカチオン性第四級アンモニウム基とを含有しているヒドロキシプロピル化カチオン性グアー誘導体であるJAGUAR C16、低置換度を有する高透明度、中程度の粘度のグアーであるJAGUAR 162である。
【0078】
好ましくは、カチオン性コンディショニングポリマーがカチオン性セルロースおよびカチオン性グアー誘導体から選択される。特に好ましいカチオン性ポリマーは、JAGUAR C13S、JAGUAR C15、JAGUAR C17およびJAGUAR C16およびJAGUAR C162である。
【0079】
カチオン性コンディショニングポリマーは、一般に組成物の0.01から5重量%、好ましくは0.05から1重量%、より好ましくは0.08から0.5重量%の配合量で本発明の組成物中に存在するであろう。
【0080】
カチオン性コンディショニングポリマーが、本発明に記載のシャンプー組成物中に存在するとき、コポリマーは2マイクロメートル以下の平均直径(Malvern粒度計を使用する光散乱によって測定したD3,2)をもつ乳濁粒子として存在するのが好ましい。
【0081】
本発明のシャンプー組成物は好ましくは水性である。すなわち、組成物はそれらの主成分として水または水溶液またはリオトロピック液晶相を有している。組成物が組成物の全重量を基準として50から98重量%、好ましくは60から90重量%の水を含むのが適正であろう。
【0082】
懸濁化剤
好ましくは、本発明のシャンプー組成物はさらに懸濁化剤を含む。適当な懸濁化剤は、ポリアクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸と疎水性モノマーとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリルエステルとのコポリマー、アクリル酸とアクリレートエステルとの架橋コポリマー、ヘテロ多糖ガムおよび結晶質長鎖アシル誘導体から選択される。長鎖アシル誘導体は望ましくは、エチレングリコールステアレート、16から22個の炭素原子を有している脂肪酸のアルカノールアミドおよびそれらの混合物から選択される。エチレングリコールジステアレートおよびポリエチレングリコール3ジステアレートは組成物に真珠光沢を付与するので好ましい長鎖アシル誘導体である。ポリアクリル酸は、Carbopol 420、Carbopol 488またはCarbopol 493として市販されている。多官能剤で架橋されたアクリル酸のポリマーを使用してもよい。それらはCarbopol 910、Carbopol 934、Carbopol 941およびCarbopol 980として市販されている。カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルとの適当なコポリマーの一例はCarbopol 1342である。すべてのCarbopol(商標)材料はGoodrichから入手可能である。
【0083】
アクリル酸とアクリレートエステルとの適当な架橋ポリマーはPemulen TR1またはPemulen TR2である。適当なヘテロ多糖ガムはキサンタンガムであり、たとえばKelzan muとして入手可能である。
【0084】
上記懸濁化剤のいずれかの混合物を使用してもよい。アクリル酸の架橋ポリマーと結晶質長鎖アシル誘導体との混合物が好ましい。
【0085】
懸濁化剤が含有される場合、懸濁化剤は組成物の全重量を基準として懸濁化剤の全重量が一般に0.1から10重量%、好ましくは0.5から6重量%、より好ましくは0.9から4重量%となる配合量で本発明のシャンプー組成物中に存在するであろう。
【0086】
本発明の組成物は性能および/または消費者受容性を高めるための他の成分を含有することができる。このような成分は、香料、着色料および顔料、pH調整剤、真珠光沢剤または乳白剤、粘度調整剤、保存剤、ならびに、薬草類、果実エキス、糖誘導体およびアミノ酸のような天然の毛髪栄養素を含む。
【0087】
次に、以下の非限定実施例に基づいて実施例を説明する。本発明の実施例を数字で表し、比較例を文字で表す。
【実施例】
【0088】
本発明の利点を以下の実施例によって証明する。皮膚の角質層バリアーの改善に関する本発明の処方物の効果は、塗布前(基線とする)および最終テスト後に採取した以下の測定値、すなわち、
(a)目視による乾燥評価、
(b)経表皮水分喪失量(TEWL)、および、
(c)角質計測定値、
を比較する前腕管理塗布テスト(forearm controlled application test,FCAT)によって示される。
【0089】
FCATテストには16名が参加し、パラメーター(a)、(b)および(c)に関する基線測定値を採取した。対照製品(処方物‘A’)および本発明製品(処方物1)を使用し、最低2時間の間隔をあけて製品を2回塗布する処理を1日に3回繰り返す洗浄手順(合計で1日に6回の製品塗布)を2日間行った。被験部位を10秒間洗い、泡を90秒間維持し、15秒間すすいだ。3日目、最後の製品塗布のほぼ19時間後に最終測定値を採取した。
【0090】
被験処方物
試験手順に使用した処方物を処方物の表の実施例1として示し、標準SLES/ZnPTOフケ止めシャンプーに比較する。これらの主要成分を以下の表に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
皮膚の角質層バリアーの測定値、すなわち、
(a)目視乾燥評価、
(b)経表皮水分喪失量(TEWL)、および、
(c)角質計測定値、
に関して処方物1と対照処方物‘A’とを直接ブラインド比較によって比較した。
【0093】
目視乾燥評価は、熟練の鑑定人が行った。値が小さいほど好成績、すなわち乾燥が少ないことを示す。
【0094】
経表皮水分喪失量はInstrumental ServoMedで測定した。TEWLの値が小さいほど皮膚バリアーを通って失われる水分が少ないので皮膚角質層バリアーが改善されている(バリアーが強力である)ことを示す。
【0095】
角質計は、皮膚水和の尺度を表すキャパシタンスを測定する。配合量が高いほど皮膚水和が改善されており、皮膚の角質層バリアーが改善された状態(または皮膚バリアーの損傷が少ない状態)を表す。この値はCourage + Khazaka electronic GmbHによって供給された角質計CM825で測定した。
【0096】
【表2】
【0097】
いずれの場合にも実施例1の処方物のほうが良好な値であり、皮膚角質層バリアーの状態が改善することを示す。3回のテスト全部で対照の処方物‘A’と実施例1の処方物とのスコアには有意差が存在した(p<0.05,Fischers LSD)。
【0098】
これらのテストは、脂肪アシルイセチオネート製品とアルキルグリシネートおよび/またはアルキルカルボキシグリシネートとの組合せを含む界面活性剤系が皮膚の角質層バリアーの状態を改善することを示している。これはフケ止めシャンプーを改良するものである。
【0099】
【表3】