特許第6134277号(P6134277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ユタカ技研の特許一覧

<>
  • 特許6134277-ブレーキディスク 図000002
  • 特許6134277-ブレーキディスク 図000003
  • 特許6134277-ブレーキディスク 図000004
  • 特許6134277-ブレーキディスク 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134277
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】ブレーキディスク
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/12 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   F16D65/12 S
   F16D65/12 U
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-44329(P2014-44329)
(22)【出願日】2014年3月6日
(65)【公開番号】特開2015-169264(P2015-169264A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2016年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000138521
【氏名又は名称】株式会社ユタカ技研
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】▲冨▼沢 直樹
(72)【発明者】
【氏名】寺野 拓也
【審査官】 長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−092928(JP,U)
【文献】 特開2013−053741(JP,A)
【文献】 実公昭08−006353(JP,Y1)
【文献】 米国特許第03289797(US,A)
【文献】 米国特許第06386340(US,B1)
【文献】 国際公開第2011/155478(WO,A1)
【文献】 特表2004−520543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 49/00−71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクブレーキ装置に用いられるブレーキディスクであって、車軸と一体に回転され、制動時にパッドが摺接するロータを備えるものにおいて、
前記ロータは、その内周側または外周側の少なくとも一方に、板厚方向に窪む窪み部が周方向に所定間隔で複数凹設され、当該ロータの板厚に相当する厚肉部と前記板厚より薄い薄肉部とが回転方向に交互に繰り返して前記厚肉部が前記薄肉部を介して互いに繋がった形状を有することを特徴とするブレーキディスク。
【請求項2】
ディスクブレーキ装置に用いられるブレーキディスクであって、車軸と一体に回転され、制動時にパッドが摺接するロータを備えるものにおいて、
ロータの内周側または外周側の少なくとも一方に、板厚方向に窪む窪み部が周方向に所定間隔で複数凹設され、前記ロータの外周側に凹設される窪み部を第1の窪み部とし、第1の窪み部の輪郭は、径方向の所定位置を第1起点とし、第1起点から回転方向後方で径方向外側に向けて線状に延びる第1ラインと、第1起点から回転方向前方で径方向外側に向けて線状に延びる第2ラインとを含み、第1ラインが第2ラインより長く設定されることを特徴とするブレーキディスク。
【請求項3】
前記ロータの内周側に凹設される窪み部を第2の窪み部とし、第1及び第2の各窪み部が、ロータの表裏両面に凹設されることを特徴とする請求項2記載のブレーキディスク。
【請求項4】
前記第1及び第2の両窪み部を除く前記ロータの表裏両面をパッドが連続して摺接するパッド摺接部とし、第2の窪み部の輪郭は、径方向の所定位置を第2起点とし、第2起点から第1ラインに平行に且つ回転方向前方で径方向内側に向けて線状に延びる第3ラインと、第2起点から第2ラインに平行に且つ回転方向後方で径方向内側に向けて線状に延びる第4ラインとを含み、第1ラインと第3ラインとの間のパッド摺接部の幅及び第2ラインと第4ラインとの間のパッド摺接部の幅が同等に設定されることを特徴とする請求項3記載のブレーキディスク。
【請求項5】
請求項3または請求項4記載のブレーキディスクであって、前記ロータ部の内周縁部の周方向複数箇所に、径方向内方に向けて突設される、車軸に固定のハブとの連結部を備えるものにおいて、
前記第2の窪み部は連結部を含むように形成され、前記第1起点は、回転方向で連結部相互の間に位置することを特徴とするブレーキディスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車等のディスクブレーキ装置に用いられるブレーキディスクに関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車等のディスクブレーキ装置は、車軸と一体に回転され、制動時にパッドが摺接するロータを有するブレーキディスクを備える。そして、運転者によってブレーキレバーが操作されると、このときの操作量、即ち、マスタシリンダから吐出されるブレーキ液の液圧に応じてパッドがディスク側に進入して圧接し、パッドの摺接により制動力を発生する。この種のブレーキディスクとして、パッドのクリーニングによるブレーキ性能向上等のため、外周形状を径方向の凹凸が周方向に連続する形状に形成すると共に、その内周形状も径方向の凹凸が周方向に連続する形状にしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、ロータは、ブレーキ操作によって発熱による熱膨張と放熱による熱収縮とを繰り返す。上記従来例のように外周形状及び内周形状が周方向に凹凸を繰り返していると、そのロータの内外周間の距離の相違等に起因して、ロータの内周または外周のうち凸部に夫々対応する部分と凹部に夫々対応する部分とで熱膨張率または熱収縮率に差が生じ、主として熱収縮するときに凸部に対応する部分が板厚方向に折れ曲がるように撓む場合がある。そして、凸部に対応する部分が撓むと、バッドがロータに一様に接触せず、制動時のパッドの摺接により振動が発生する。その結果、耐ジャダー性に劣るものとなるという不具合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4155301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、パッドのクリーニングによるブレーキ性能向上といった機能を有しながら、耐ジャダー性が良好なブレーキディスクを提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、ディスクブレーキ装置に用いられる本発明のブレーキディスクは、車軸と一体に回転され、制動時にパッドが摺接するロータを備え、ロータは、その内周側または外周側の少なくとも一方に、板厚方向に窪む窪み部が周方向に所定間隔で複数凹設され、当該ロータの板厚に相当する厚肉部と前記板厚より薄い薄肉部とが回転方向に交互に繰り返して前記厚肉部が前記薄肉部を介して互いに繋がった形状を有することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、ロータの内周側及び外周側の少なくとも一方に窪み部を設けると、ロータの内周側または外周側は、その板厚が比較的薄い部分(薄肉部)と、ロータの板厚に相当する比較的厚い部分(厚肉部)とが回転方向に交互に繰り返す形状になり、厚肉部自体は薄肉部を介して互いに繋がっている。このため、制動時にパッドが厚肉部を摺接することになるものの、厚肉部と薄肉部とが連動して熱膨張または熱収縮するため、ロータが局所的に撓んだりすることはない。その結果、制動時に、窪み部とロータの表裏両面とのエッジでパッドが削られることでパッドのクリーニングによるブレーキ性能向上といった機能を有しながら、耐ジャダー性を良好にすることができ、しかも、軽量化や放熱性能の向上も図ることもできる。
【0008】
本発明において、前記ロータの内周側または外周側の少なくとも一方に、板厚方向に窪む窪み部が周方向に所定間隔で複数凹設され、前記ロータの外周側に凹設される窪み部を第1の窪み部とし、第1の窪み部の輪郭は、径方向の所定位置を第1起点とし、第1起点から回転方向後方で径方向外側に向けて線状に延びる第1ラインと、第1起点から回転方向前方で径方向外側に向けて線状に延びる第2ラインとを含み、第1ラインが第2ラインより長く設定されることが好ましい。これによれば、パッドがロータに圧接した状態で第1の窪み部を通過するときに、ロータに対するパッドの接触面が徐々に増加していくため、運転者がブレーキレバーを操作したときのブレーキフィーリングを良好にすることできる。この場合、第1ラインの長さは第2ラインの倍以上の長さを有することが望ましい。なお、ロータへの第1の窪み部の加工等を考慮すれば、第1の窪み部は、ロータの外周縁部に達するように形成することが好ましい。
【0009】
ここで、ブレーキ操作によりロータが発熱と放熱を繰り返したときに、ロータの回転方向や径方向のヒートマスが不均一になると、第1の窪み部とロータの表裏両面とのエッジを起点としてロータに板厚方向の歪が発生する虞があり、これでは耐ジャダ―性に劣るものになってしまう。そこで、本発明においては、前記ロータの内周側に凹設される窪み部を第2の窪み部とし、第1及び第2の各窪み部が、ロータの表裏両面に凹設されることが好ましい。これによれば、ロータの回転方向や径方向のヒートマスを揃えるように調整することが可能となり、ロータに大きな温度むらが発生することを抑制できてよい。
【0010】
この場合、前記第1及び第2の両窪み部を除く前記ロータの表裏両面をパッドが連続して摺接するパッド摺接部とし、第2の窪み部の輪郭は、径方向の所定位置を第2起点とし、第2起点から第1ラインに平行に且つ回転方向前方で径方向内側に向けて線状に延びる第3ラインと、第2起点から第2ラインに平行に且つ回転方向後方で径方向内側に向けて線状に延びる第4ラインとを含み、第1ラインと第3ラインとの間のパッド摺接部の幅及び第2ラインと第4ラインとの間のパッド摺接部の幅が同等に設定されることが好ましい。これによれば、ブレーキ操作を繰り返したときにロータの板厚方向の歪の発生を可及的に小さくでき、パッドのクリーニングによるブレーキ性能と耐ジャダ―性とを更に良好にしながら、ブレーキディスクの更なる軽量化と放熱性向上とを図ることができる。なお、第2の窪み部もロータの外周縁部に達するように形成することが好ましい。
【0011】
ところで、ブレーキディスクには所謂フローティングタイプのものがあり、このものは、ロータ部の内周縁部の周方向複数箇所に、径方向内方に向けて突設される、車軸に固定のハブとの連結部を備える。そして、ブレーキ操作を繰り返したときのロータの熱は、連結部を介して積極的にハブへと熱引きを生じる。このため、ロータのヒートマスが不均一にならないようにする必要がある。そこで、本発明においては、第2の窪み部は連結部を含むように形成され、第1起点は、回転方向で連結部相互の間に位置することが好ましい。これによれば、連結部からハブへの伝熱量が少なくなり、ブレーキディスクの回転方向でのヒートマスを揃えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態のブレーキディスクの斜視図。
図2】(a)は、図1に示すブレーキディスクを一部の連結ピンを取り外した状態で示す正面図、(b)は、その側面図。
図3】(a)は、図1に示すブレーキディスクのロータの正面図、(b)は、(a)中のIIIb−IIIbに沿う断面図。
図4】本発明の変形例に係る実施形態のブレーキディスクの部分正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、自動二輪車等のディスクブレーキ装置に用いられる本発明のブレーキディスクを所謂フローティングタイプのものとし、その実施形態を説明する。
【0014】
図1及び図2を参照して、BDは、本実施形態のブレーキディスクであり、ブレーキディスクBDは、制動時にディスクブレーキ装置のパッドPが摺接する環状のロータ1と、ロータ1の内側に配置され、図外の車軸に連結されるハブ2と、ロータ1とハブ2とを周方向複数箇所で連結する連結ピン3とを備える。
【0015】
ハブ2には、中央の軸穴4と、軽量化のための大小複数の孔5とが形成されている。ハブ2の外周には、連結ピン3の外周略半分を囲うようにして受け入れる第1のピン受け部61が周方向の間隔を存して形成されている。他方、ロータ1の内周縁部には、径方向内方に延び、連結ピン3の外周略半分を囲うようにして受け入れる舌片状のピン受け部62が周方向の間隔を存して形成され、各ピン受け部61,62が本実施形態の連結部6を構成する。
【0016】
連結ピン3は、外径が第1及び第2の両ピン受け部61,62に内接する円の径より僅かに小径の中空ピンで構成され、連結ピン3の一端には、第1及び第2の各ピン受け部61,62の軸方向一方の側面に当接するフランジ部3aを有する。そして、特に図示して説明しないが、連結ピン3の他端側には、皿ばねとワッシャとを外挿して連結ピン3の他端をかしめることにより、ワッシャを介して皿ばねを第1及び第2の両ピン受け部61,62の軸方向他方の側面に圧接させることでロータ1とハブ2とがフローティング状態で連結される。尚、ロータ1とハブとの連結方法は上記のものに限定されるものではなく、他の公知の方法を用いることができる。
【0017】
ここで、パッドPのクリーニングによるブレーキ性能向上等のため、従来例の如く、ロータの外周形状や内周形状を径方向の凹凸が周方向に連続する形状に形成することが考えられるが、凹凸の内周または外周のうち凸部に対応する部分と凹部に対応する部分との熱膨張率または熱収縮率の差により、凸部に対応する部分が撓み、制動時のパッドPの摺接により振動が発生して耐ジャダー性に劣るものとなってしまう。このため、パッドPのクリーニングによるブレーキ性能向上といった機能を有しながら、耐ジャダー性が良好なるように構成する必要がある。
【0018】
図3も参照して、本実施形態では、ロータ1の外周側の表裏両面に、板厚方向に窪む第1の窪み部11を周方向に所定間隔で複数凹設すると共に、ロータ1の内周側の表裏両面に、板厚方向に窪む第2の窪み部12を周方向に所定間隔で複数凹設し、第1及び第2の両窪み部11,12を除くロータ1の表裏両面をパッドPが連続して摺接するパッド摺接部13としている。パッド摺動部13には、ブレーキディスクBDの軽量化やパッドのクリーニングによるブレーキ性能向上ため、板厚方向に貫通する軽量孔14が複数開設されている。
【0019】
第1及び第2の両窪み部11,12の各々は同一の輪郭を持ち、ロータ1の表裏両面の回転方向で同じ位置に夫々設けられている。第1の窪み部11の輪郭は、径方向の所定位置を第1起点11aとし、第1起点11aから回転方向後方で径方向外側に向けて線状に延びる第1ライン11bと、第1起点11aから回転方向前方で径方向外側に向けて線状に延びる第2ライン11cとを含み、第1ライン11bが第2ライン11cより長く、具体的には倍以上の長さとなるように設定されている。また、ロータ1への第1の窪み部11の加工等を考慮して、第1の窪み部11は、ロータ1の外周縁部に達するように形成されている。
【0020】
他方、第2の窪み部12の輪郭は、第1起点11aより径方向内方の所定位置を第2起点12aとし、第2起点12aから第1ライン11bに平行に且つ回転方向前方で径方向内側に向けて線状に延びる第3ライン12bと、第2起点12aから第2ライン11cに平行に且つ回転方向後方で径方向内側に向けて線状に延びる第4ライン12cとを含み、ロータ1の内周縁部に達するように形成されている。そして、第1ライン11aと第3ライン12aとの間のパッド摺接部13の幅Wび第2ライン11cと第4ライン12cとの間のパッド摺接部13の幅Wが同等になるようにしている。また、第2の窪み部12は、第2のピン受け部62を含むように形成され、第1起点11aは、回転方向で第2のピン受け部62相互の間に位置するようにしている。
【0021】
第1及び第2の各起点11a,11bの位置や第1〜第4の各ライン11b,11c、12b,12cの長さは、例えば、ブレーキ操作を繰り返したときのロータ1のヒートマスを考慮して適宜設定される。この場合、第1及び第2の各窪み部11,12にも、ヒートマスを考慮して板厚方向に貫通する軽量孔15を開設するようにしてもよい。また、特に図示して説明しないが、第1及び第2の各窪み部11,12からロータ1の表裏両面に達する板厚方向に沿う壁面は、ロータ1の表裏両面に垂直であっても、傾斜してもよく、更に、第1及び第2の各起点11a,12aにおいては、第1ライン11bと第2ライン11c並びに第3ライン12bと第4ライン12cが円弧状に繋がっていてもよい。
【0022】
以上の実施形態によれば、ロータ1のパッドPが摺接する表裏両面は、第1及び第2の各窪み部11,12を設けることで板厚が比較的薄い部分(薄肉部)と、ロータ1の板厚に相当する比較的厚い部分(厚肉部)とが回転方向に交互に繰り返す形状であり、厚肉部としてのパッド摺動部13自体は、薄肉部を介して互いに繋がっている。従って、ブレーキ操作を繰り返したとき、パッド摺動部13と薄肉部とが連動して熱膨張または熱収縮するため、ロータ1が局所的に撓んだりすることはなく、しかも、ロータ1の内周側及び外周側の表裏両面に、第1及び第2の各窪み部11,12を設けると共に、連結部62からハブ3への伝熱量が少なくなるため、ロータ1の回転方向や径方向のヒートマスを揃えてロータ1に大きな温度むらが発生することを抑制できる。その結果、第1及び第2の各窪み部11,12とロータ1の表裏両面とのエッジでパッドPが削られることでパッドPのクリーニングによるブレーキ性能向上といった機能を有しながら、ブレーキ操作を繰り返したときのロータ1に板厚方向の歪の発生を可及的に小さくできることと相俟って、耐ジャダー性を良好にすることができ、しかも、軽量化や放熱性能の向上も図ることもできる。
【0023】
また、比較的回転速度の速いロータ1の外周側の表裏両面に設けた第1の窪み部11の輪郭をなす第1ライン11bを第2ライン11cより長く設定したため、パッドPがロータ1に圧接した状態で第1の窪み部11を通過するときに、ロータ1に対するパッドの接触面が徐々に増加していくため、運転者がブレーキレバーを操作したときのブレーキフィーリングを良好にすることできる。この場合、第3ライン12bは第4ライン12cより長くなるが、第2の窪み部12が設けられているロータ1の径方向内周側は、第1の窪み部11が設けられているロータ1の径方向外周側と比較して回転速度が遅いため、ブレーキフィーリングに与える影響は小さい。
【0024】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではない。上記実施形態では、ディスクブレーキとしてフローティングタイプのものを例に説明したが、これに限られるものではなく、一体もののディスクブレーキに本発明を適用することもできる。また、上記実施形態では、加工性等を考慮して、第1及び第2の各窪み部11,12が、ロータ1の外周側及び内周側に達するように形成しているが、これに限定されるものではない。例えば、第1の窪み部11の輪郭を第1ライン11bと、第2ライン11cと、第1ライン及び第2ラインの終点をロータの回転中心を中心とする円弧で結んだ形状でロータ1の表裏両面の所定位置に形成することもできる。また、図4に示す、変形例に係るブレーキディスクBDのように、更なる軽量化を図るためにパッド摺動部13の外周縁部が第1の窪み部11より僅かに径方向外側に突出するように形成することもできる。
【0025】
また、上記実施形態では、第1及び第2の両窪み部11,12の各々は、ロータ1の表裏両面の回転方向で同じ位置に夫々設けられているが、これに限定されるものではなく、ロータ1の回転方向や径方向のヒートマスを考慮しつつ、第1及び第2の両窪み部11,12の形成位置を周方向に互い違いにずらしたり、ロータ1の表裏両面の少なくとも一方にだけ形成したり、第1及び第2の両窪み部11,12の一方を省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0026】
BD,BD…ブレーキディスク、1…ロータ、11…第1の窪み部(窪み部)、11a…第1起点、11b…第1ライン、11c…第2ライン、12…第2の窪み部(窪み部)、12a…第2起点、12b…第3ライン、12c…第4ライン、13…パッド摺動部、6…連結部、62…舌片(連結部)、P…パッド。


図1
図2
図3
図4