【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 株式会社石本商店のウェブサイト(http://www.reizm.jp)にて、「質屋営業システム」を平成27年2月12日に公開
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来より、物品を質に取り、流質期限までに質物で担保される債権の弁済を受けないときは、その質物をもってその弁済に充てる約款を附して、金銭を貸し付ける営業、いわゆる質屋営業が知られている。
【0003】
この質屋営業を営む質屋は、質屋営業法の規定による許可を受け、質屋営業法に則って営業を行う必要がある。例えば質屋は物品を質に取ろうとするときは、質置主の住所、氏名、職業及び年令を確認しなければならない。また、質屋は帳簿を備え、質契約、質物返還及び流質物処分をしたときは、その都度、帳簿による管理を行わなければならない。さらに、質屋は、質契約をしたときは、質札を質置主に交付しなければならない。
【0004】
一方、質置主は、質札を返還することにより、流質期限前は、いつでも元利金を弁済してその質物を受戻すことができる。また、質置主は流質期限までの質料等を支払うことにより流質期限を延長できる場合がある。
【0005】
このような質屋営業を効率的に営む方法として、質屋営業システムが提案されている(再表WO02/011004号公報参照)。この従来の質屋営業システムは、質置主が有する通信端末から認証装置を用いて質置主IDを取得する。そして、この従来の質屋営業システムは、取得した質置主IDに基づいてカード端末により質札を出力すると共に、貸し付ける金銭を金融機関等に振り込む。
【0006】
カード端末により出力された上記質札は、上述のように質物の受戻しや流質期限の延長の際に必要となる。この時、質置主が複数の質物を質入している場合には、質札は複数となり得る。また、流質期限が延長された場合においても、期限が延長された有効な質札と、期限延長までに出力され無効となった質札とが存在し得る。このような複数の質札を適切に管理及び運用することは質屋にとっても質置主とっても煩わしいことであり、また質札を取り違える等のミスも発生し易く、効率的ではない。しかしながら、上記従来の質屋営業システムでは、質札を管理する構成については開示されていない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
<全体構成>
当該質屋営業システムは、
図1に示すようにロイコカード1、カード端末2、プリンタ3、スキャナ4、及び演算装置51とハードディスクドライブ52とキーボード53とディスプレイ54とを有するパーソナルコンピュータを主に備える。
【0020】
(ロイコカード)
ロイコカード1は、
図2に示すように基材1aと、この基材1aの表面に形成され書換え可能な印字部1bと、基材1aの裏面に形成され質置主の質置主IDを記憶する磁気ストライプ1cとを有する。また、ロイコカード1は、その表面及び裏面に積層される保護層1dを有する。
【0021】
基材1aは、フィルム状であり、印字部1b及び磁気ストライプ1cを支持する。基材1aの材質としては、特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、紙等が挙げられ、耐久性の観点からPETが好ましい。
【0022】
基材1aの形状としては、特に限定されないが、例えば平面視長方形状とできる。また、基材1aの大きさとしては、特に限定されないが、例えば長方形状の場合、短辺50mm以上60mm以下、長辺80mm以上90mm以下、平均厚さ0.2mm以上0.5mm以下とできる。
【0023】
印字部1bは、基材1aの表面に配設され、ロイコ染料層を有する。表面にロイコ染料層を有するため、印字部1bの印字は感熱ヘッドにより容易に書換えができる。具体的には、ロイコ染料は、顕色剤と共に用いられ、発色に必要な温度170℃以上まで加熱することにより、溶け合って発色状態となる。この状態で急速に冷却すると、染料と顕色剤とが混ざり合ったまま固化して発色状態が保たれる。一方、印字状態のロイコ染料と顕色剤とは、消去に必要な温度120℃以上170℃以下で加熱した後、徐々に冷却することでロイコ染料と顕色剤とが分離して結晶化し、消色状態となる。また、ロイコ染料層を有する印字部1bは、ロイコ染料の種類を変えることで印字として青色及び黒色の表示が可能で視認性と意匠性に優れる。
【0024】
印字部1bの形状としては、特に限定されないが、例えば長方形状とできる。また、印字部1bの大きさとしては、特に限定されないが、例えば短辺50mm以上60mm以下、長辺70mm以上80mm以下、平均厚さ10μm以上20μm以下とできる。なお、基材1aの表面全面を印字部1bとすることも可能である。
【0025】
磁気ストライプ1cは、帯状で、基材1aの裏面に配設される。磁気ストライプ1cの材質、形状、配設位置等は特に限定されないが、例えばJIS−X−6301:2005に準拠したものとできる。
【0026】
保護層1dは、ロイコカード1の表面及び裏面に積層される透明な層であり、印字部1bや磁気ストライプ1cを擦傷等から保護する。保護層1dの材質としては、特に限定されないが、例えば樹脂を用いることができる。
【0027】
(カード端末)
カード端末2は、ロイコカード1の挿入口を有し、挿入口に挿入されたロイコカード1の印字部1bの書換え及び磁気ストライプ1cから質置主IDの読み取りを行う機器である。
【0028】
このようなカード端末2としては、市販のカード端末(例えばパナソニック株式会社の「JT−KP41U0000」等)を用いることができる。
【0029】
また、カード端末2は、接続ケーブルによりパーソナルコンピュータに接続され、パーソナルコンピュータから印字すべき質受情報を受信し、また読み取った質置主IDをパーソナルコンピュータへ送信することができる。
【0030】
(プリンタ及びスキャナ)
プリンタ3は、帳簿管理すべき情報を出力するための機器である。また、スキャナ4は、帳簿管理すべき情報を入力するための機器である。このようなプリンタ3及びスキャナ4としては、公知の市販の製品を用いることができる。プリンタ3及びスキャナ4は、接続ケーブルによりパーソナルコンピュータに接続される。
【0031】
(パーソナルコンピュータ)
パーソナルコンピュータは、主にCPUやメモリ等を含む演算装置51と、この演算装置51に接続されるハードディスクドライブ52、キーボード53及びディスプレイ54等の周辺機器とにより構成される。このようなパーソナルコンピュータとしては、公知の市販の製品を用いることができる。
【0032】
パーソナルコンピュータの演算装置51は、メモリ又はハードディスクドライブ52に格納されたプログラムにより、後述する質置主情報入力手段11、質置主ID付与手段12、カード発行手段13、カード読取手段14、質受情報入力手段15、質受情報印字手段16、流質期限書換手段17、質受情報消去手段18、及び帳簿管理手段19を制御する。また、パーソナルコンピュータのハードディスクドライブ52は、一般にパーソナルコンピュータに使用される記憶装置で、質置主ID記憶手段21、質置主情報記憶手段22及び質受情報記憶手段23を構成する。
【0033】
また、キーボード53は帳簿管理すべき情報等を入力する際に用いられ、ディスプレイ54は、スキャナ4やキーボード53から入力された情報やハードディスクドライブ52に記憶されている情報等を必要に応じて表示し、その内容を確認するための表示装置である。
【0034】
<制御手段の構成>
次に当該質屋営業システムの制御手段の構成について以下に説明する。
【0035】
当該質屋営業システムは、
図1に示すように質置主情報入力手段11、質置主ID付与手段12、カード発行手段13、カード読取手段14、質受情報入力手段15、質受情報印字手段16、流質期限書換手段17、質受情報消去手段18、帳簿管理手段19、質置主ID記憶手段21、質置主情報記憶手段22及び質受情報記憶手段23を主に備える。
【0036】
質置主ID記憶手段21は、質置主IDを記憶する。ここで、質置主ID記憶手段21に記憶される質置主IDは、ロイコカード1の質置主を識別するための情報であり、ロイコカード1毎に異なる。質置主IDは、パーソナルコンピュータでの取扱いの容易性から、数字又は文字列とするとよい。数字又は文字列とする場合の質置主IDの文字数としては、特に限定されないが、例えば10文字以上15文字以下とできる。
【0037】
質置主情報記憶手段22は、質置主情報を記憶する。ここで、質置主情報記憶手段22に記憶される質置主情報は、上記質置主IDに対応する質置主に関する情報である。この質置主情報としては、少なくとも質置主の住所、氏名、職業、年令及び特徴と、これらの確認を行った方法とが含まれる。この確認を行う方法とは、例えば身分証明書、運転免許証、国民健康保険被保険者証等その質置主の住所、氏名、職業及び年齢を確かめるに足りる資料の提示を指す。
【0038】
質受情報記憶手段23は、質受情報を記憶する。ここで、質受情報記憶手段23に記憶される質受情報は、上記質置主が質屋に持ち込んだ質物、貸し付ける金銭及び質料に関する情報である。この質受情報としては、少なくとも質物番号、質契約の年月日、質物の品目及び数量、質物の特徴、貸し付ける金銭、及び流質期限が含まれる。
【0039】
質置主情報入力手段11は、質置主情報を入力する。具体的には、まず、質置主情報入力手段11は、スキャナ4又はキーボード53から入力された質置主情報をディスプレイ54に表示する。上記スキャナ4から入力される質置主情報としては、例えば質置主の住所、氏名、職業、年令等を確認した身分証明書の写しなどを挙げることができる。その他の質置主情報は、キーボード53から入力できる。次に、入力された質置主情報は、ディスプレイ54上で確認された後、質置主情報記憶手段22に登録される。
【0040】
なお、1人の質置主が複数の質物を持ち込んだ場合等、1人の質置主が複数のロイコカード1を所有する場合が考えられる。このような場合、2枚目以降のロイコカード1については、1枚目のロイコカード1に対応する質置主情報との同一性を確認し、既登録の1枚目の質置主情報を流用するとよい。このように2枚目以降の既登録の質置主情報を流用することにより、質置主情報を一元管理することができるので、管理が容易となる。
【0041】
質置主ID付与手段12は、上記質置主の質置主情報に対応する質置主IDを付与する。具体的には、質置主ID付与手段12は、質置主ID記憶手段21に登録されていない新規の質置主IDを探索し、上記質置主情報に対応する質置主IDとして設定する。また、質置主ID付与手段12は、上記質置主IDを質置主ID記憶手段21に登録する。
【0042】
カード発行手段13は、カード端末2を用いてこの付与された質置主IDをロイコカード1の磁気ストライプ1cに書き込む。また、カード発行手段13は、上記新規質置主IDを書き込んだロイコカード1を新規カードとして発行する。
【0043】
カード読取手段14は、カード端末2に挿入されたロイコカード1から質置主IDを読み取る。カード読取手段14は、この読み取った質置主IDが質置主ID記憶手段21に記憶された質置主IDの1つと一致することを確認した後、質置主情報記憶手段22及び質受情報記憶手段23を参照して、上記質置主IDと対応する質置主情報及び質受情報とを特定する。
【0044】
ここで、機器の不具合等により例えば読み取った質置主IDが質置主ID記憶手段21に記憶された質置主IDの1つと一致することが確認できないという不具合が生じ得る。このような場合は、例えばカード読取手段14は上記確認ができないこと等の不具合内容をディスプレイ54上に表示し、処理を中止するとよい。このようにディスプレイ54上に不具合内容を表示することで、質屋は生じた不具合に速やかに対応することができる。なお、他の手段においても同様の不具合が発生した場合、上述のカード読取手段14における不具合処理と同様に処理できるので、以降の各手段における不具合に対する説明は省略する。
【0045】
質受情報入力手段15は、質物情報を入力する。具体的には、まず質受情報入力手段15はキーボード53から入力された質受情報をディスプレイ54に表示する。次に、入力された質受情報は、ディスプレイ54上で確認された後、質受情報記憶手段23に登録される。この時、上記質受情報は、カード読取手段14で読み取った質置主IDと対応づけられて登録される。
【0046】
質受情報印字手段16は、質受情報入力手段15で入力された上記質物に対する質受情報をロイコカード1の印字部1bに印字する。この印字は、カード端末2を用いて行うことができる。
【0047】
流質期限書換手段17は、ロイコカード1の流質期限を延長後の期限に書換える。具体的には、まず流質期限書換手段17は、カード読取手段14で読み取った質置主IDに対応する質受情報を質受情報記憶手段23から読み出しディスプレイ54上に表示する。次に、この表示を確認しながら、延長後の流質期限がキーボード53から入力され、ディスプレイ54上に表示される。上記流質期限を確認した後、流質期限書換手段17は、ロイコカード1の印字部1bに印字された流質期限をカード端末2を用いて書き換える。また、流質期限書換手段17は、質受情報記憶手段23の質受情報の流質期限を更新する。
【0048】
質受情報消去手段18は、上記ロイコカード1の印字部1bに印字された上記質受情報を消去する。具体的には、質受情報消去手段18は、キーボード53より消去指示を入力することで、カード端末2を用いて、ロイコカード1の印字部1bの情報を消去する。また、質受情報消去手段18は、質受情報記憶手段23の質受情報を消去する。
【0049】
帳簿管理手段19は、上記質置主の質置主情報と質受情報とを管理する。また、帳簿管理手段19は、流質期限の書換履歴を上記帳簿管理されている情報に追加する手段及び上記質受情報の消去履歴を上記帳簿管理されている情報に追加する手段を兼ねる。この帳簿管理手段19は、質受情報印字手段16、流質期限書換手段17及び質受情報消去手段18がロイコカード1の印字部1bの印字、書換又は消去を行う都度、その情報を取得し、プリンタ3に質受情報の履歴として出力する。質屋は、この出力を帳簿として管理し、流質期限の書換え又は質受情報の消去が行われた際は、それぞれの情報をこの帳簿に追加して管理を行う。
【0050】
<当該質屋営業システムの利用手順>
次に、当該質屋営業システムを利用する際の手順についてフロー図を用いて説明する。
【0051】
(新規質置主来店時のフロー)
新規質置主来店時のフロー図を
図3に示す。
【0052】
質置主が新規に来店する時には、まず会員登録申込ステップ(S1)を行う。この会員登録申込ステップ(S1)では、質置主に質置主情報を記入させると共に身分証明書を提出させる。
【0053】
次に、本人確認ステップ(S2)を行う。本人確認ステップ(S2)では、記入された質置主情報と提出された身分証明書とに相違がないか確認する。これらに相違があれば本人確認できないため、カードを発行せず終了する。一方、これらに相違がなければ、質物査定ステップ(S3)に進む。
【0054】
質物査定ステップ(S3)では、質屋は、上記質置主が質屋に持ち込んだ質物を査定し、貸し付けられる金額、利率等の査定結果を提示する。
【0055】
上記質置主が提示された質契約ステップ(S4)で査定結果を了承しない場合、契約が成立しないため、カードを発行せず終了する。一方、上記質置主が提示された査定結果を了承する場合、カード発行ステップ(S5)に進む。
【0056】
カード発行ステップ(S5)では、質置主情報入力手段11を用いて上記質置主情報のキーボード53による入力及び身分証明書のスキャナ4での取り込みにより質置主情報を入力する。質屋は質置主情報入力手段11により質置主情報を質置主情報記憶手段22に登録した後、カード発行手段13によりロイコカード1を発行する。
【0057】
次に、質受情報出力ステップ(S6)で、質受情報入力手段15により質受情報を入力し、質受情報印字手段16により質受情報をロイコカード1の印字部1bに印字する。
【0058】
さらに、帳簿管理情報出力ステップ(S7)で、上記ロイコカード1に印字されたものと同じ情報をプリンタ3により出力する。質屋はこの出力された帳簿管理情報に質置主のサインを受領し、帳簿情報として保管する。
【0059】
最後に、金銭貸し付けステップ(S8)で質契約に則った金銭を渡すと共に、カード受渡ステップ(S9)で新たに発行されたロイコカード1を質置主に渡す。
【0060】
(流質期限延長時のフロー)
流質期限延長時のフローを
図4に示す。
【0061】
まず、カード提出ステップ(S10)で、来店した質置主は、質契約を行った際に印字したロイコカード1を質屋に提出する。
【0062】
次に、本人確認ステップ(S11)を行う。本人確認ステップ(S11)では、質置主から身分証明書の提示を受け、ロイコカード1の質置主IDに対応する質置主情報と提出された身分証明書とに相違がないか確認する。これらに相違があれば本人確認できないため、カード返却ステップ(S14)に進み、カードを返却して終了する。一方、これらに相違がなければ、流質期限書換ステップ(S12)に進む。
【0063】
流質期限書換ステップ(S12)では、流質期限書換手段17によりロイコカード1に記載された流質期限を更新する。また、帳簿管理情報出力ステップ(S13)で上記ロイコカード1に印字されたものと同じ情報を上記流質期限の書換履歴としてプリンタ3により出力する。質屋はこの出力された帳簿管理情報を帳簿情報として保管する。
【0064】
最後に、カード返却ステップ(S14)でロイコカード1を質置主に返却する。
【0065】
(受戻し時のフロー)
受戻し時のフローを
図5に示す。
【0066】
まず、カード提出ステップ(S15)で、来店した質置主は、質契約を行った際に印字したロイコカード1を質屋に提出する。
【0067】
次に、本人確認ステップ(S16)を行う。本人確認ステップ(S16)では、質置主から身分証明書の提示を受け、ロイコカード1の質置主IDに対応する質置主情報と提出された身分証明書とに相違がないか確認する。これらに相違があれば本人確認できないため、手続きを終了する。一方、これらに相違がなければ、受戻金額確認ステップ(S17)に進む。
【0068】
受戻金額確認ステップ(S17)では、受戻しに必要な金額が支払われたか否かを質屋が確認する。支払い金額が不足している場合は、受戻しができないため、手続きを終了する。一方、支払い金額が満たされている場合は、受戻金を受領し、質受情報消去ステップ(S17)に進む。
【0069】
次に、質受情報消去ステップ(S18)で、質受情報消去手段18によりロイコカード1に記載された質受情報を消去する。また、帳簿管理情報出力ステップ(S19)で消去した内容と同じ情報を質受情報の消去履歴としてプリンタ3により出力する。質屋はこの出力された帳簿管理情報に質置主のサインを受領し、帳簿情報として保管する。
【0070】
最後に、質物返却ステップ(S20)で質物を返却すると共に、カード返却ステップ(S21)でロイコカード1を質置主に返却する。
【0071】
(再質入時のフロー)
再質入時のフローを
図6に示す。
【0072】
まず、カード提出ステップ(S22)で、来店した質置主は、以前の質契約時に使用したロイコカード1を質屋に提出する。
【0073】
次に、本人確認ステップ(S23)を行う。本人確認ステップ(S23)では、質置主から身分証明書の提示を受け、ロイコカード1の質置主IDに対応する質置主情報と提出された身分証明書とに相違がないか確認する。これらに相違があれば本人確認できないため、カード返却ステップ(S29)に進み、カードを返却して終了する。一方、これらに相違がなければ、質物査定ステップ(S24)に進む。
【0074】
質物査定ステップ(S24)では、質屋は、上記質置主が質屋に持ち込んだ質物を査定し、貸し付けられる金額、利率等の査定結果を提示する。
【0075】
上記質置主が提示された質契約ステップ(S25)で査定結果を了承しない場合、契約が成立しないため、カード返却ステップ(S29)に進み、カードを返却して終了する。一方、上記質置主が提示された査定結果を了承する場合、質受情報出力ステップ(S26)に進む。
【0076】
質受情報出力ステップ(S26)、帳簿管理情報出力ステップ(S27)、及び金銭貸し付けステップ(S28)は、新規来店時のフローと同様であるので説明を省略する。最後に、カード返却ステップ(S29)でロイコカード1を質置主に返却する。
【0077】
<利点>
当該質屋営業システムは、上記ロイコカード1の印字部1bに質受情報を印字する手段を備えるので、質受情報を印字後の上記ロイコカード1を質札として利用できる。また、上記ロイコカード1は書換え可能な印字部1bを有するので、質受情報等が更新された場合、その更新情報に印字されている情報を容易に書き換えることができる。さらに、上記ロイコカード1は上記質置主の質置主IDを記憶しているので、質札に記載すべきこの質置主IDに対応する質置主の質置主情報と質受情報とを容易に帳簿管理できる。従って、当該質屋営業システムは、効率的に質札を管理することができる。
【0078】
[その他の実施形態]
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【0079】
上記実施形態では、書換え可能な印字部を有するカードとしてロイコカードを用いたが、書換え可能な印字部を有する限り、他のカードであってもよい。このような他のカードとしては、例えば白濁式リライトカードを挙げることができる。
【0080】
上記実施形態では書換え可能な印字部を表面側に、質置主の質置主IDを記憶する磁気ストライプを裏面側に有する場合を説明したが、印字部及び磁気ストライプは、共に表面側にあってもよい。
【0081】
上記実施形態では、質置主の質置主IDを磁気ストライプに記憶する場合を説明したが、他の記憶手段を用いてもよい。このような他の記憶手段としては、例えばカード裏面全面に磁性材料を塗布した磁気層、質置主IDを光学的に読み取るバーコード、カードに内蔵され質置主IDをメモリに記憶するICを挙げることができる。質置主IDをバーコードに記憶する場合、このバーコードを書換え可能な印字部に書き込んでもよい。
【0082】
上記実施形態では、帳簿管理すべき情報をプリンタにより出力し、保管する方法を説明したが、これらの記録が必要に応じパーソナルコンピュータを用いて直ちに表示されることができるようにして帳簿管理すべき情報を保存してもよい。
【0083】
上記実施形態では、当該質屋営業システムがパーソナルコンピュータにより制御される場合を説明したが、例えば専用のレジスタを用いる等、他の制御方法であってもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、パーソナルコンピュータの記憶手段に質置主ID、質置主情報及び質受情報を記憶する場合を説明したが、これらの一部又は全てを他の記憶手段してもよい。例えば上記情報をセンターサーバー等を用いて記憶し、ネットワークを介してパーソナルコンピュータからアクセスすることもできる。
【0085】
上記実施形態では、流質期限書換手段、質置主情報入力手段及び質受情報消去手段を備える場合を説明したが、この一部又は全ての手段を備えていなくともよい。例えばこれらの手段をセンターサーバー等の別のシステムで管理することもできる。
【0086】
さらに、上記実施形態では1枚のロイコカードに1枚の質札を対応させる場合を説明したが、1枚のロイコカードに複数の質札を対応させることもできる。このように1枚のロイコカードに複数の質札を対応させることにより、多数の質契約を行っている質置主が所有すべきロイコカードの枚数を減らすことができ、質札の管理がより容易となる。複数の質札を対応させる場合、1枚のロイコカードに対応させる質札の数の上限としては、4が好ましい。1枚のロイコカードに対応させる質札の数が上記上限を超える場合、ロイコカードの印字部に印字すべき文字数が多くなり過ぎ、視認性に劣るおそれがある。