特許第6134352号(P6134352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134352
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】スクリーン用金具
(51)【国際特許分類】
   E02B 5/08 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   E02B5/08 101A
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-119729(P2015-119729)
(22)【出願日】2015年6月12日
(65)【公開番号】特開2017-2645(P2017-2645A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2016年10月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515161124
【氏名又は名称】株式会社三木鉄工
(74)【代理人】
【識別番号】100161285
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 正彦
(72)【発明者】
【氏名】三木 修治
【審査官】 竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−287292(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3114370(JP,U)
【文献】 実開平1−93227(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3044509(JP,U)
【文献】 特開2014−177801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 1/00−15/10
E03F 1/00−11/00
B01D 24/02−24/48、29/00−29/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路の水流を横切る方向に設置し、前記水路の壁面に突出させた複数のアンカーボルトの軸の側方から差し込む切欠きが設けられた複数のスクリーン取付部を有したスクリーンにあって、前記アンカーボルトの径よりも若干大きい孔またはU字切欠きを備え、前記複数のスクリーン取付部に向かう側に、前記複数のスクリーン取付部の形状に掛合して、前記アンカーボルトに前記複数のスクリーン取付部を差し込む方向とは逆の方向への移動を防止する突起部を備え、前記アンカーボルトに取り付ける複数のナットを用いて、前記水路の壁面に前記スクリーンの取付部を取り付けるために用いられるスクリーン用金具。
【請求項2】
前記スクリーン用金具には、前記スクリーン取付部前記アンカーボルトに差し込まれる側に、前記スクリーン用金具を移動させる導入面が設けられている請求項1記載のスクリーン用金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水路の途中に取り付けるクリーンに用いられるスクリーン用金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
田畑、宅地、工場用地等の周りには、灌水のためや、雨水や生活排水の排水を目的として、コンクリートで壁面を補強した水路が設けられている。水路には、地表面に露出して設置されている開放型水路や、地中に埋設され暗渠化された暗渠型水路がある。そして、開放型水路と暗渠型水路は適宜用途に応じて接続して用いられている。また、開放型水路や暗渠型水路については、下流に向かって合流して、最終的には河川や池、湖、海等(以下、単に河川等と略す。)に流れ込む様に構成されており、各々の水路の断面形状や断面積の異なるものを互いに接続して、一つの連続した水路となる様に構成して用いられることが一般的であった。
【0003】
これらの水路、特に開放型水路については、周囲からの木の葉や草等の自然ゴミや、廃棄物等の人工ゴミが、流れ込むことは避けられないものであった。そして、これらの自然ゴミや人工ゴミ(以下、単にゴミと略す。)が、開放型水路や暗渠型水路を通じて河川に流れ込むことを防ぐと共に、ゴミを回収し易くするために、開放型水路や暗渠型水路の途中にはスクリーンと言う、格子状の柵が設けられている。
【0004】
特に、両端が開放型水路に接続されている暗渠型水路の両端には、暗渠型水路内のゴミの除去が難しいので、暗渠型水路内に堆積したゴミにより、水の流れを阻害しない様にするためや、暗渠型水路内に、子供や動物等が入らない様にするために、スクリーンを設けることが多かった。
【0005】
スクリーンを水路に取り付ける場合には、水路の壁面を形成しているコンクリートにアンカーボルトを埋め込み、埋め込んだアンカーボルトに、スクリーンを差し込んで、ナットを用いて取り付けることが一般的であった。特許文献1についても暗渠型水路の壁面に取り付ける支持プレートについてはアンカーボルトを埋め込み、ナットによって締着することで、取り付けられている。
【0006】
開放型水路や暗渠型水路に取り付けられたスクリーンは、取り付けた後についても、取り外しや、その後に再び取り付けることを考える必要があった。スクリーンを取り外す必要性については、スクリーン本体についての補修をする場合や、水路に溜まった汚泥やゴミ等の除去のためには必要となっていた。また、暗渠型水路においては、暗渠内に入るための通用口として、スクリーンの取り外しは必ず必要となるものであった。このため、取り付けや取り外しの作業は容易にできる必要性があり、特許文献1の様な考案が提案されている。
【0007】
また、開放型水路や暗渠型水路においては、天候によって変化する雨水が流入することから、水路を流れる水量は変化する。そのためや、スクリーンに付着したゴミの量により、スクリーンが強い力が加わる場合がある。そして、その強い力は、流れる方向だけではなく、草木や発泡スチロールなどの水に浮かぶゴミがスクリーンに付着した場合については、スクリーン自体を浮かび上がらせる方向に力が加わる場合がある。そして、スクリーンに働く力は、スクリーンの取付部やアンカーボルトに加わっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3114370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1記載のような従来の暗渠型水路部流入進入防止用スクリーン装置については、複数のスクリーンバーと支持プレートは分割出来る様になっており、一体に固定された状態のスクリーンとして組み立てられてないので、分割して取り付けや取り外しを行う必要があり、取り付けや取り外し時の作業性が悪いと言う問題があった。
【0010】
また、暗渠型水路の壁面に取り付けた支持プレートに上部だけが複数本のスクリーンバーが固定されているため、暗渠型水路に流れるゴミなどにより、スクリーンバーにおいて支持されて無い側の端(下側)が、変形し易くなると言う問題があった。
【0011】
さらに、暗渠型水路に取り付けた、支持プレートは、アンカーボルトに取り付けられているが、支持プレート自体の補修や交換をする際の取り付けや取り外し時の作業性が悪いと言う問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0013】
第1発明のスクリーン用金具は、水路の水流を横切る方向に設置し、前記水路の壁面に突出させた複数のアンカーボルトの軸の側方から差し込む切欠きが設けられた複数のスクリーンの取付部を有したスクリーンにあって、前記アンカーボルトの径よりも若干大きい孔またはU字切欠きを備え、前記複数のスクリーン取付部に向かう側に、前記複数のスクリーン取付部の形状に掛合して、前記アンカーボルトに前記複数のスクリーン取付部を差し込む方向とは逆の方向への移動を防止する突起部を備え、前記アンカーボルトに取り付ける複数のナットを用いて、前記水路の壁面に前記スクリーンの取付部を取り付けるために用いられる。
【0014】
第2発明のスクリーン用金具は、請求項1記載の発明において、前記スクリーン取付部前記アンカーボルトに差し込まれる側に、前記スクリーン用金具を移動させる導入面が設けられている。
【発明の効果】
【0015】
以上のような技術的手段を有することにより、以下の効果を有する。
【0016】
第1発明によれば、水路の水流を横切る方向に設置し、前記水路の壁面に突出させた複数のアンカーボルトの軸の側方から差し込む切欠きが設けられた複数のスクリーン取付部を有したスクリーンにあって、前記アンカーボルトの径よりも若干大きい孔またはU字切欠きを備え、前記複数のスクリーン取付部に向かう側に、前記複数のスクリーン取付部の形状に掛合して、前記アンカーボルトに前記複数のスクリーン取付部を差し込む方向とは逆の方向への移動を防止する突起部を備え、前記アンカーボルトに取り付ける複数のナットを用いて、前記水路の壁面に前記スクリーン取付部を取り付けるために用いられることで、スクリーンの取り付け取り外しが容易な状態を維持しつつ、水路のゴミや増水等の水路の外的な要因で発生する前記スクリーンに加わる力により前記スクリーンが水路から脱落を防止することができる。
【0017】
第2発明によれば、第1発明の効果に加えて、前記スクリーン取付部前記アンカーボルトに差し込まれる側に、前記スクリーン用金具を移動させる導入面が設けられているので、スクリーン用金具が取り付けられたアンカーボルトに対して、前記スクリーン取付部を差し込むことが簡単に出来ることになり、スクリーンを取り付ける作業がさらに簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る実施例1のスクリーン用金具を用いて、開放型水路にスクリーンを取り付ける場合の説明図である。
図2】本発明に係る実施例1のスクリーン用金具を用いた取り付け方法の説明図である。
図3】本発明に係る実施例1のスクリーン用金具を用いて、開放型水路にスクリーンを取り付けた状態を示す説明図である。
図4】本発明に係る実施例2のスクリーン用金具を用いた取り付け方法の説明図である。
図5】本発明に係る実施例3のスクリーン用金具を用いた取り付け方法の説明図である。
図6】本発明に係る実施例4のスクリーン用金具を用いて、暗渠型水路にスクリーンを取り付ける場合の説明図である。
図7】本発明に係る実施例4のスクリーン用金具を用いた取り付け方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明を実施する形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0020】
本発明のスクリーン用金具1について、図1の開放型水路20にスクリーン40を取り付ける場合の説明図を用いて説明する。図1の開放型水路20は、コンクリート製の両側の側壁21がやや上方に向かって広がる断面U字状の形状となっている。両側の側壁21には、アンカーボルト61が後述するスクリーン40のスクリーン取付部41の位置に合わせて、簡単には脱落しない状態で埋め込まれている。また、両側の側壁21に取り付けられたアンカーボルト61は、スクリーン40が、開放型水路20の水路を直角に横切る様な位置に取り付けられる様にして、開放型水路20の対向する位置に取り付けられている。
【0021】
スクリーン40は、ステンレス鋼や防錆表面処理をした鉄等の金属材料を、溶接やネジ・リベット等により、接合して組み立てられている。スクリーン40は、開放型水路20の開口形状に合わせたスクリーン格子部42と、スクリーン格子部42の両側の側面には、4個のスクリーン取付部41が均等な間隔で取り付けられている。
【0022】
同時に、スクリーン取付部41の取り付け位置に関しては、スクリーン格子部42が開放型水路20内において、安定した状態で、かつ堅固になる様に考慮して設けられている。
なお、スクリーン40の大きさによっては、スクリーン取付部41とアンカーボルト61との組み合わせについては、3組や、5組、6組等としても良い。
【0023】
開放型水路20にスクリーン40を取り付ける場合には、開放型水路20の上方の開口部22から、落とし込む(差し込む)様に取り付けることが最も容易な取り付け方法となる。よって、開放型水路20の側壁21に取り付けられたアンカーボルト61の軸の側方から差し込んで取り付けられる様に、4個のスクリーン取付部41には、下側に向かって開口したU字切欠き43が設けられている。
【0024】
4個のスクリーン取付部41にU字切欠き43が設けられていることで、スクリーン40を開放型水路20の内部で、アンカーボルト61の軸の側方から掛合することができるので、スクリーン40が開放型水路20の内部で仮止めされて、スクリーン40自体が垂直に自立した状態が維持できることになる。そのため、スクリーン40の取り付け状態の確認や、後でのナット62を取り付け等の作業が容易になると言う作業性が向上する。
【0025】
4箇所のアンカーボルト61に4個のスクリーン取付部41が掛合した状態で、各々のアンカーボルト61に4個のスクリーン用金具1を夫々取り付け、その後、各々のアンカーボルト61に、4個のナット62を夫々取り付ける。
【0026】
この、アンカーボルト61と、スクリーン取付部41、スクリーン用金具1とナット62との取り付け状態の詳細について、図2を用いて説明する。図2においては、4個のスクリーン取付部41における1か所の取り付け状態を代表例として説明している。その他の取り付け状態については、スクリーン40の左右における違いはあるが、線対称としての違いであることから他の箇所における違いについては説明を省略する。また、スクリーン格子部42に関しては、全部を図示せず、断面に斜線を付して破断された状態として図示している。アンカーボルト61については、側壁21に埋め込まれた状態であり、アンカーボルト61の埋め込まれた周囲が側壁21であるとして、側壁21については図示を省略している。
【0027】
図2(a)において、アンカーボルト61の側壁21に埋め込まれている根元の近傍において、アンカーボルト61の側面を覆う様に、上方から(矢印で示している方向から)スクリーン取付部41が差し込まれている。スクリーン用金具1は、スクリーン用金具の略中央付近にアンカーボルト61の径よりも若干大きい孔11が開けられている。また、スクリーン用金具1はテンレス鋼や防錆表面処理をした鉄等の金属製で、略方形の平板であり、四辺の内の一辺(図2(a)においては上側の辺)には、スクリーン取付部41に向かう側に掛合部として突起部15が設けられている。
【0028】
突起部15は、スクリーン用金具1と同じ幅で、金属板を折り曲げる又は、別の金属板を溶接する等で、平板のスクリーン用金具1から張り出させている。突起部15の張り出し寸法については、スクリーン取付部41の板厚と同じか、若しくはスクリーン取付部41の板厚よりもやや薄い長さとして張り出している。また、突起部15と孔11との関係に関しては、孔11にアンカーボルト61が差し込まれた状態で、突起部15が、スクリーン取付部41の上面44に接するか、若干の隙間が出来る状態に調整されている。
【0029】
アンカーボルト61にスクリーン用金具1を取り付けた状態で、ナット62をアンカーボルト61に螺合させて回転させながら、締め込み、スクリーン取付部41をアンカーボルト61に取り付ける。この取り付けられた状態が、図2(b)である。ナット62がアンカーボルト61に締め込まれことにより、スクリーン取付部41は、開放型水路20の側壁21(アンカーボルト61の周囲にあるものとして図示は省略されている。)とスクリーン用金具1に挟み込まれた状態で密着して取り付けられる。
【0030】
同時に、スクリーン用金具1の突起部15は、スクリーン取付部41の上面44を覆う様に取り付けられているので、スクリーン40に、上方向への力が加わった場合についても、スクリーン取付部41の上面44に突起部15が掛合することで、U字切欠き43がアンカーボルト61から脱落することを防止することになる。
【0031】
図3は、スクリーン40の全体が、開放型水路20に取り付けられた状態を示すもので、図2で説明した、スクリーン用金具1による取り付けが、4個のスクリーン取付部41において同様に行われている。
【0032】
なお、スクリーン40に対して上方向へ力が加わり、スクリーン取付部41のU字切欠き43がアンカーボルト61から脱落する可能性がある場合とは、開放型水路20の水量が増加し、スクリーン40のスクリーン格子部42に水に浮かぶゴミが付着や絡みつく等して、浮力を有したゴミによりスクリーン格子部42が押し上げられる場合である。
【0033】
また、ナット62については、アンカーボルト61に締着されてはいるが、ナット62はスクリーン40の補修等のために取り外せる必要があることや、スクリーン格子部42に加わる開放型水路20の水量は増減して、スクリーン格子部42を揺さぶる力が加わり、スクリーン格子部42が揺さぶられれば、スクリーン取付部41もアンカーボルト61の周りで揺さぶられることになり、ナット62に緩みが発生する場合もあるからである。
【実施例2】
【0034】
図4は、実施例1の図2(a)と同様に一か所のスクリーン取付部41をアンカーボルト61にスクリーン用金具2で取り付ける場合の説明図である。スクリーン用金具2は実施例1のスクリーン用金具1とは異なり、孔11ではなく、U字切欠き12が設けられている。U字切欠き12がスクリーン用金具2に設けられていることで、突起部15につていても、分割された2つの突起部16となっている。
【0035】
スクリーン用金具2にU字切欠き12が設けられていることにより、アンカーボルト61にナット62を仮止めした場合でも、スクリーン用金具2のアンカーボルト61への取り付け取り外しが可能となり、スクリーン40の取り付け作業がより簡単になる。他の部分については、実施例1と同様であるので、同一の符号を附して説明を省略する。
【実施例3】
【0036】
図5は、実施例1の図2(a)と同様に一か所のスクリーン取付部41をアンカーボルト61にスクリーン用金具3で取り付ける場合の説明図である。スクリーン用金具3は実施例1のスクリーン用金具1とは異なり、突起部18の上側(スクリーン用金具3の天面)に導入面17が設けられている。実施例1のスクリーン用金具1の天面は、スクリーン用金具1の平面に対して直角に張り出しているが、スクリーン用金具3の天面である導入面17はスクリーン用金具3の平面に対して鋭角に張り出している。
【0037】
スクリーン用金具3に導入面17が設けられていることにより、アンカーボルト61にスクリーン用金具3を取り付けてナット62を仮止めした場合でも、スクリーン取付部41をアンカーボルト61の軸の側方から差し込めば、スクリーン用金具3を移動させて、アンカーボルト61の周囲にある側壁(図示は省略されている。)との間に、隙間を作ることができるので、容易にスクリーン取付部41を取り付けることができる。この導入面17を設けたことにより、スクリーン40の取り付け作業がさらに簡単になる。他の部分については、実施例1と同様であるので、同一の符号を附して説明を省略する。
【実施例4】
【0038】
本発明のスクリーン用金具4について、図6の暗渠型水路30にスクリーン50を取り付ける場合の説明図を用いて説明する。図6の暗渠型水路30は、コンクリート製や金属等の円筒形の内壁31を備えており、暗渠型水路30の端部は、円形の開口端32が、開口有しており、開放型水路の側壁や、貯水池等の護岸の側壁に開口している。なお、暗渠型水路に用いられるコンクリート製の円筒は土管とも呼ばれている。
【0039】
暗渠型水路30の内壁31には、アンカーボルト61が後述するスクリーン50のスクリーン取付部51の位置に合わせて、簡単には脱落しない状態で埋め込まれている。
また、内壁31に取り付けられたアンカーボルト61は、内壁31の中心に向かう様に取り付けられており、スクリーン50を均等に支える様に実施例の場合は、内壁31を4分割する様に4本のアンカーボルト61が設けられている。なお、スクリーン50の大きさによっては、アンカーボルト61を3本や、5本、6本等としても良い。
【0040】
スクリーン50は、ステンレス鋼や防錆表面処理をした鉄等の金属材料を、溶接やネジ・リベット等により、接合して組み立てられている。スクリーン50は、暗渠型水路30の開口形状に合わせたスクリーン格子部52と、スクリーン格子部52の周囲には、4個のアンカーボルト61に合わせた、4箇所のスクリーン取付部51が取り付けられている。
【0041】
暗渠型水路30にスクリーン50を取り付ける場合には、暗渠型水路30の側方の開口端32の外側に取り付けることになる。暗渠型水路30の内壁31に取り付けられたアンカーボルト61の軸の側方から差し込んで取り付けられる様に、4個のスクリーン取付部51には、横方向に向かって開口したL字切欠き53が設けられている。
【0042】
4個のスクリーン取付部51にL字切欠き53が設けられていることで、スクリーン50を暗渠型水路30の内部で、アンカーボルト61に、暗渠型水路30の内部方向にスクリーン50を差し込み、その後、時計回りにスクリーン50を回転させると、アンカーボルト61にスクリーン50が仮止めさせた状態となる。
【0043】
スクリーン50が暗渠型水路30の開口端32に仮止めされていることで、スクリーン50自体が垂直に自立した状態が維持できることになる。そのため、スクリーン50の取り付け状態の確認が容易に行えることや、後述するスクリーン用金具やナットの取り付け作業が容易に行えることになるので、スクリーン50の取り付け取り外しの作業性が向上する。
【0044】
スクリーン50が暗渠型水路30の開口端32に仮止めされた状態で、スクリーン用金具とナットの取り付けの詳細について、図7を用いて説明する。図7においては、4個のスクリーン取付部51における1か所の取り付け状態を代表例として説明しているが、その他の箇所においては、取り付け方向の違いはあるが、点対称としての違いであることから他の箇所における違いについては説明を省略する。また、スクリーン格子部52に関しては、全部を図示せず、断面に斜線を付して破断された状態として図示している。アンカーボルト61については、内壁31に埋め込まれた状態であり、アンカーボルト61の埋め込まれた周囲が内壁31であるとして、内壁31については図示を省略している。
【0045】
図7(a)において、アンカーボルト61の内壁31に埋め込まれている根元の近傍において、スクリーン取付部51のL字切欠き53の最も奥にまで、スクリーン取付部51が差し込まれている。この状態において、アンカーボルト61にスクリーン用金具4を取り付ける。
【0046】
スクリーン用金具4は、スクリーン用金具4の略中央付近にアンカーボルト61の径よりも若干大きい孔11が開けられている。また、スクリーン用金具4はテンレス鋼や防錆表面処理をした鉄等の金属製で、略方形の平板であり、四辺の内の一辺(図7(a)においては手前右側の辺)には、スクリーン取付部51に向かう側に掛合部として突起部15が設けられている。
【0047】
突起部15は、スクリーン用金具4と同じ幅で、金属板を折り曲げる又は、別の金属板を溶接する等で、平板のスクリーン用金具4から張り出させている。突起15の張り出し寸法については、スクリーン取付部51の板厚と同じか、若しくはスクリーン取付部51の板厚よりもやや薄い長さとしている。
【0048】
また、突起部15と孔11との関係に関しては、スクリーン取付部51のL字切欠き53の最も奥にまでアンカーボルト61がある状態で、スクリーン用金具4の孔11にアンカーボルト61が差し込まれると、突起部15が、スクリーン取付部51の側面54に接するか、側面54から若干の隙間が出来る状態に調整されている。
【0049】
アンカーボルト61にスクリーン用金具4を取り付けた状態で、ナット62をアンカーボルト61に螺合させて回転させながら、締め込み、スクリーン取付部51をアンカーボルト61に取り付ける。この取り付けられた状態が、図7(b)である。
【0050】
ナット62がアンカーボルト61に締め込まれことにより、スクリーン取付部51は、暗渠型水路30の内壁31とスクリーン用金具4に挟み込まれた状態で密着して取り付けられる。同時に、スクリーン用金具4の突起部15は、スクリーン取付部51の側面54を覆う様に取り付けられているので、スクリーン54に、逆時計回り方向の力が加わった場合についても、スクリーン取付部51のL字切欠き53がアンカーボルト61から脱落することを防止することになる。
【0051】
なお、スクリーン50に対して逆時計回り方向へ力が加わり、スクリーン取付部51のL字切欠き53がアンカーボルト61から脱落する可能性がある場合とは、暗渠型水路30の水量が増加し、スクリーン50のスクリーン格子部52に水に浮かぶゴミが付着や絡みつく等して、浮力を有したゴミによりスクリーン格子部52に回転させる力が加わる場合である。
【0052】
また、ナット62については、アンカーボルト61に締着されてはいるが、ナット62はスクリーン50の補修等のために取り外せる必要があることや、スクリーン格子部52に加わる暗渠型水路30の水量は増減して、スクリーン格子部52を揺さぶる力が加わり、スクリーン格子部52が揺さぶられれば、スクリーン取付部51もアンカーボルト61の周りで揺さぶられることになり、ナット62に緩みが発生する場合もあるからである。
【0053】
以上、本発明について、実施例に基づき説明してきたが、本発明は何らこれらの実施例の構成に限定するものではない。例えば、スクリーン50にスクリーン用金具2やスクリーン用金具3を組み合わせて実施すれば、さらに作業性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明のスクリーン用金具は、水路に使用されるスクリーンに使用されるものであり、金属加工の分野において産業上の利用性を有している。
【符号の説明】
【0055】
1、2、3、4:スクリーン用金具
11:孔
12:U字切欠き
15、16、18:突起部
17:導入面
20:開放型水路
21:側壁
22:開口部
30:暗渠型水路
31:内壁
32:開口端
40、50:スクリーン
41、51:スクリーン取付部
42、52:スクリーン格子部
44:上面
43:U字切欠き
53:L字切欠き
54:側面
61:アンカーボルト
62:ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7