(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液化ストリームを加熱するための装置であって、伝熱流体を循環させるための閉回路を含み、前記閉回路は、第1の伝熱ゾーンと、第2の伝熱ゾーンと、下降管とを含み、前記第1の伝熱ゾーン、第2の伝熱ゾーン及び下降管のすべてが周囲環境中に配置されており、前記第1の伝熱ゾーンは、前記伝熱流体を収容するシェルの形態の第1の容器を含み、前記第1の容器は、主軸線に沿って長手方向に延びており、第1の伝熱表面は、前記第1の容器の内側に配置されており、前記第1の伝熱表面を横切って、第1の間接熱交換接触が、加熱されることになる液化ストリームと前記伝熱流体との間に確立されており、前記第2の伝熱ゾーンが、前記第1の伝熱ゾーンよりも重力方向に低く位置付けされており、前記第2の伝熱ゾーンは、第2の伝熱表面を含み、前記第2の伝熱表面を横切って、前記伝熱流体が、前記周囲環境と第2の間接熱交換接触をさせられ、前記下降管は、前記第1の伝熱ゾーンを前記第2の伝熱ゾーンに流体接続し、前記下降管は、接続エルボ部分を介して互いに流体接続されている第1の横方向部分および第1の下向き部分を含み、前記接続エルボ部分は、水平面上に垂直投影して見たときに、前記主軸線と比較して前記第1の容器の外部に位置付けされている、液化ストリームを加熱するための装置。
前記第2の伝熱表面が、少なくとも前記第2の伝熱表面の一部に関して、水平面上に投影して見たときに、前記接続エルボと前記第1の容器との間の空間内に配置されている、請求項1に記載の装置。
前記第1の伝熱ゾーンから前記第2の伝熱ゾーンへの、前記下降管の前記横方向部分の中の前記伝熱流体の第1の公称流れ方向が、前記第1の伝熱ゾーンから前記第2の伝熱ゾーンへの、前記下向き部分の中の前記伝熱流体の第2の公称流れ方向よりも、垂直方向でない方向に方向付けされている、請求項1または2に記載の装置。
前記第2の伝熱ゾーンが、前記第1の伝熱ゾーンに流体接続されている少なくとも1つの上昇管を含み、前記第2の伝熱表面が、前記少なくとも1つの上昇管の概して直線状の部分に位置付けされており、前記少なくとも1つの上昇管の中の前記伝熱流体の第3の公称流れ方向が、前記第1の公称流れ方向の垂直方向に対する偏位量よりも少なく、且つ、前記第2の公称流れ方向の垂直方向に対する偏位量よりも大きい傾斜角度だけ、垂直方向に対して偏位されている、請求項3に記載の装置。
前記第1の公称流れ方向が、前記下降管の前記横方向部分の中において、垂直方向に対して60°〜90°の範囲内に偏位されている、請求項3から6のいずれか一項に記載の装置。
前記第1の公称流れ方向が、前記下降管の前記横方向部分の中において、垂直方向に対して80°〜90°の範囲内に偏位されている、請求項3から6のいずれか一項に記載の装置。
前記第2の公称流れ方向が、前記下降管の前記下向き部分の中において、垂直方向に対して0°〜40°の範囲内に偏位されている、請求項3から8のいずれか一項に記載の装置。
前記第2の公称流れ方向が、前記下降管の前記下向き部分の中において、垂直方向に対して0°〜30°の範囲内に偏位されている、請求項3から8のいずれか一項に記載の装置。
前記下降管および前記第2の伝熱ゾーンが、分配ヘッダを介して互いに流体接続されており、前記第2の伝熱ゾーンが、前記分配ヘッダを前記第1の伝熱ゾーンに流体接続する複数の上昇管を含み、前記複数の上昇管の上昇管が、前記主軸線に平行な主方向に分配されるように、前記分配ヘッダに配置されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
前記主方向で見たときに、前記複数の上昇管のうちの少なくとも1つの上昇管から構成される第1のサブセットが、前記分配ヘッダを前記第1の伝熱ゾーンに接続する前記下降管の一方の側に配置されており、前記複数の上昇管の前記上昇管のうちの少なくとも1つから構成される第2のサブセットが、前記下降管の他方の側に配置されている、請求項11または12に記載の装置。
加熱されることになる前記液化ストリームが、液化天然ガスを含み、前記液化天然ガスを加熱し、加熱によって前記液化天然ガスを気化させることによって、再度気化された天然ガスストリームが生成される、請求項14に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この説明の目的のために、単一の参照数字が、ライン、および、そのラインの中で運ばれるストリームに割り当てられることになる。同じ参照数字は、同様の構成要素を参照している。本発明は、特徴および対策の1つまたは複数の特定の組み合わせを参照して図示されているが、それらの特徴および対策の多くが、他の特徴および対策から機能的に独立しており、それらは、他の実施形態または組み合わせの中に、同等にまたは同様に独立して適用され得ることを、当業者は容易に理解することになる。
【0012】
以下に説明されているのは、液化ストリームを加熱するための装置である。装置の中において、第1の伝熱ゾーンは、伝熱流体を収容するシェルの形態の第1のボックス(換言すれば、容器)を含み、第1のボックスは、主軸線に沿って長手方向に延びており、第1の伝熱表面は、第1のボックスの内側に配置されている。第2の伝熱ゾーンは、第1の伝熱ゾーンよりも重力方向に低く位置付けされている。下降管は、第1の伝熱ゾーンを第2の伝熱ゾーンに流体接続する。
【0013】
第2の伝熱ゾーンは、第2の伝熱表面を含み、第2の伝熱表面を横切って、伝熱流体が、周囲環境と第2の間接熱交換接触をさせられる。第2の伝熱ゾーンにおいて周囲環境から伝熱流体へ熱を効果的に伝達させる能力は、閉回路を通る伝熱流体の循環によって、および/または、第2の伝熱ゾーンの中の周囲空気の循環によって、影響を受け得ると現在考えられている。これらの循環のいずれかの欠点は、周囲空気から伝熱流体へ熱を伝達させる有効性にマイナスの影響を与える可能性がある。第2の伝熱ゾーンにおいて、周囲空気から伝熱流体への熱の伝達をさらに改善させることが有益になることになる。
【0014】
現在提案されている液体を加熱するための装置において、下降管は、第1の横方向部分および第1の下向き部分を含むように構成されている。第1の横方向部分および第1の下向き部分は、接続エルボ部分を介して互いに流体接続されている。接続エルボ部分は、水平面上に垂直投影して見たときに、第1のボックスの外部に位置付けされており、一方、この投影面において、主軸線は、第1のボックスの中に位置付けされ得る。そのような構成によって、下降管の下向き部分が、(説明されている投影面で見たときに)第1のボックスから(水平方向に)変位されることが達成される。結果的に、垂直方向の周囲空気の循環が、第1の伝熱ゾーンがその中に収容されている第1のボックスによってほとんど妨害されないことが可能であり、その理由は、周囲空気が、接続エルボと第1のボックスとの間で垂直方向に循環することが可能であるからである。
【0015】
そのうえ、下降管を横方向部分および下向き部分に区分化することに起因して、下降管の長さのかなりの部分にわたって、下降管の中の公称流れ方向(換言すれば、名目流れ方向)の傾斜の角度があまり望ましくないものとなることを回避することが可能である。これは、下降管を通る伝熱流体の流れの検討から独立して、支持ベースの、所望のスパンを選択することを可能にする。
【0016】
第2の伝熱表面は、少なくとも第2の伝熱表面の一部に関して、水平面上に投影して見たときに、接続エルボと第1のボックスとの間の空間内に配置させることが可能である。
【0017】
提案されている加熱器の修正によって、閉回路は、支持フレームとして機能するためにより適切になるが、閉回路が支持フレームとして用いられない場合にも本発明の利点が適用されることが明確に述べられている。したがって、そのような実施形態は好適な実施形態であるが、本発明は、閉回路が支持フレームとして使用される実施形態に限定されない。
【0018】
液化ストリームを加熱するための装置の1つの非限定的な例が、液化天然ガスの加熱器の形態で、
図1および
図3に示されている。また、この加熱器は、液化天然ガスの気化装置として使用することが可能である。
図1は、横断面を示しており、
図3は、装置の長手方向断面を示している。
【0019】
装置は、第1の伝熱ゾーン10と、第2の伝熱ゾーン20と、下降管30と、伝熱流体9を循環させるための閉回路(換言すれば、閉流路)5(矢印5a、5b、5cによって示されている)とを含み、そのすべてが、周囲環境(ambient)100の中に配置されている。典型的に、周囲環境100は、空気から構成されている。第1の伝熱ゾーン10、第2の伝熱ゾーン20、および下降管30は、すべて、閉回路5の一部を形成している。第2の伝熱ゾーン20は、少なくとも1つのライザ管(換言すれば、上昇管)22を含むことが可能であり、その場合には、伝熱流体9が、少なくとも1つのライザ管22の中を搬送され得るが、一方、周囲環境は、少なくとも1つのライザ管22の外側に接触している。
【0020】
第1の伝熱ゾーン10は、シェルの形態の第1のボックス(換言すれば、容器)13を含み、第1のボックス13は、伝熱流体9を収容する。第1の伝熱ゾーン10は、第1の伝熱表面11を含み、第1の伝熱表面11は、第1のボックス13の中に配置することが可能である。第1のボックス13のシェルは、細長い本体部(例えば、本質的に円筒形状のドラムの形態である)とすることが可能であり、それには、前方端部および後方端部に適切なカバーが設けられている。外向きに湾曲したシェルカバーが、適切な選択肢となることが可能である。シェルは、主軸線Aに沿って、長手方向に延びている。
【0021】
第1の伝熱表面11は、加熱されることになる液化ストリームを、伝熱流体9と第1の間接熱交換接触させるように機能し、伝熱流体9は、第1の熱交換表面11の反対側に位置付けされている。第1の熱交換表面11の反対側とは、加熱されることになる液化ストリームから離れた方向に面する第1の熱交換表面の側である。
【0022】
第2の伝熱ゾーン20は、第1の伝熱ゾーン10よりも重力方向に低く位置付けされている。第2の伝熱ゾーン20は、第2の伝熱表面21を含み、第2の伝熱表面21を横切って、伝熱流体9が、周囲環境100と第2の間接熱交換接触をさせられる。
【0023】
下降管30は、第1の伝熱ゾーン10を第2の伝熱ゾーン20に流体接続する。下降管30は、第1の伝熱ゾーン10から下降管30の中への伝熱流体の通過を可能にするための上流端部と、下降管30から第2の伝熱ゾーン20に向けての伝熱流体9の通過を可能にするための下流端部とを有している。
【0024】
より詳細には、下降管30は、横方向部分34および下向き部分36を有しており、それらは、接続エルボ部分38を介して、互いに流体接続されている。接続エルボ部分38は、水平面の上に垂直投影して見たときに、主軸線Aと比較して第1のボックス13の外部に位置付けされている。下降管30の下向き部分36は、第1のボックス13から、(投影面において)水平方向に変位させることが可能である。従って、周囲環境は、接続エルボ38と第1のボックス13との間で垂直方向に循環することが可能であるので、垂直方向の周囲空気の循環(52)は、第1の伝熱ゾーン10が収容されている第1のボックス13によって妨害される必要が少なくなる。
【0025】
第2の伝熱表面21は、好ましくは、少なくとも第2の伝熱表面21の一部に関して、水平面の上に投影して見たときに、接続エルボ38と第1のボックス13との間の空間内に配置されている。
【0026】
下降管30は、様々な形態をとることが可能である。例えば、非限定的な例として、下降管は、共通のセクション31を含むことが可能であり、共通のセクション31は、第1の伝熱ゾーン10をT字接合部分23に流体接続し、T字接合部分23において、伝熱流体9が、2つの分岐流32に分割される。
【0027】
弁33(例えば、バタフライ弁の形態である)は、任意選択で、下降管30の中に、および/または、下降管30の分岐流32のそれぞれの中に設けられ得る。これは、手動操作弁とすることが可能である。この弁によって、閉じたサイクルを通した伝熱流体の循環を調整することが可能である。下降管30の中に大きな垂直方向の差がある場合には、バブルポイント(沸点)に対して液体静水頭のかなりの影響が存在することが可能であり、その影響は、弁33を通して摩擦的な圧力降下を作り出すことによって弱められ得る。
【0028】
図1に図示されているような実施形態のグループでは、下降管30は、下向き部分36にわたって、ライザ管22に対しておおよそ平行に延びている。
【0029】
しかし、代替的な実施形態のグループでは、少なくとも下降管30の(または、下降管30のそれぞれの分岐流32の)下向き部分36は、より垂直方向の流れ方向に位置付けされており、例えば、30°未満の角度だけ垂直方向から偏位している。ここで
図2を参照すると、そのような代替的な実施形態の例の、
図1と同様の断面が概略的に示されている。代替的な実施形態は、上記に説明されているものと同じ特徴の多くを有している。強調されるべき1つの相違点は、それぞれの分岐流32の下向き部分36の中の伝熱流体9の矢印5bに沿う流れ方向が、ライザ管22の概して直線部分の中の伝熱流体9の矢印5cに沿う流れ方向よりも、垂直方向からの偏位が少ないことである。好ましくは、それぞれの分岐流32の下向き部分36の中の矢印5bに沿う流れ方向は、垂直方向から約10°内に延びている。
【0030】
図2に示されているような例では、第2の伝熱表面21は、(水平面の上に投影して見たときに)接続エルボ38と第1のボックス13との間の空間内にほとんどが配置されている。
【0031】
横方向部分34の中の第1の伝熱ゾーン10から第2の伝熱ゾーン20への伝熱流体9の第1の公称流れ方向(矢印5aによって示されている)は、下向き部分36の中の第1の伝熱ゾーン10から第2の伝熱ゾーン20への伝熱流体9の第2の公称流れ方向(後者の公称流れ方向は、5bによって示されている)よりも、垂直方向でない方向(換言すれば、垂直方向から偏位された方向)に適切に方向付けすることが可能である。好ましくは、第1の公称流れ方向(5a)は、垂直方向から60°〜90°の範囲内に、より好ましくは、垂直方向から80°〜90°の範囲内に偏位されている。好ましくは、第2の公称流れ方向(5b)は、垂直方向から0°〜40°の範囲内に、より好ましくは、垂直方向から0°〜30°の範囲内に、および、最も好ましくは、垂直方向から0°〜10°の範囲内に偏位されている。理論に限定されることを意図しないが、このように配向されている下降管部分(すなわち、垂直方向またはほぼ垂直方向の下降流れ)の中の圧力勾配は、それが垂直方向から10°〜60°の傾斜の角度で配向されているときよりも、蒸気発生に対して感度が高くはないことが見出された。下降管の中の圧力勾配は、この傾斜範囲内で、蒸気の存在に対してとりわけ感度が高く、それによって、二層流の領域(regime)が波状に層化されることが、現在理解されている。閉回路を通した熱交換流体9の循環の、下降管の中の蒸気の存在に対する感度は、30°〜60°の範囲の中の傾斜の角度で、驚くほど感度が高い。
【0032】
第1の公称流れ方向(5a)が、垂直方向から60°〜90°の範囲内に、好ましくは、垂直方向から80°〜90°の範囲内に偏位されるように、横方向部分34を配置することによって、および、第2の公称流れ方向(5b)が、0°〜40°の範囲内に、好ましくは、垂直方向から0°〜30°の範囲内に、より好ましくは、垂直方向から0°〜10°の範囲内に偏位されるように、下向き部分36を配置することによって、30°〜60°の傾斜範囲内の下降管30のすべての部分を通る平均的な流れ方向を、接続エルボ部分38の中での比較的小さい期間を除いて伝熱流体9がこの傾斜範囲内の角度で下降管30を通って流れることを必要とせずに達成することが可能である。そのような実施形態では、接続エルボ部分38は横方向部分34と下向き部分36との間の下降管の一部として画定され、ここで、流れ方向は、30°〜60°の傾斜である。
【0033】
第2の伝熱表面21は、少なくとも1つのライザ管22の概して直線状の部分に位置付けさせることが可能である。伝熱流体9は、ライザ管22の概して直線状の部分の中を、第3の公称流れ方向に沿って(矢印5cに沿って)循環させられる。概して直線部分の内側の伝熱流体9の第3の公称流れ方向(矢印5cで示されている)は、第1の公称流れ方向(5a)の垂直方向からの偏位の量よりも少ない傾斜角度だけ、および、第2の公称流れ方向(5b)の垂直方向からの偏位の量よりも多い傾斜角度だけ、垂直方向から偏位させることが可能である。例えば、第3の公称流れ方向(5c)は、20°〜70°の傾斜角度だけ、好ましくは、30°〜60°の傾斜角度だけ、垂直方向から偏位させることが可能である。
【0034】
少なくとも1つのライザ管22の概して直線状の部分は、上記に特定されているような第3の公称流れ方向(5c)に対応する角度を含む、任意の所望の角度とすることが可能である。1つの例では、伝熱流体9は、垂直方向から約30°の角度だけ偏位しているライザ管22の概して直線部分の中を、矢印5cに沿う方向に循環させられている。
【0035】
任意選択で、すべての実施形態および
図1〜
図3に図示されている実施形態では、閉回路5は、下降管30および第2の伝熱ゾーン20を互いに流体接続するために、分配ヘッダ40を含むことが可能である。そのような分配ヘッダ40は、第2の伝熱ゾーン20が複数のライザ管22を含む場合に有用である可能性がある。少なくとも1つのライザ管22、または複数のライザ管22が、第1の伝熱ゾーン10に流体接続されている。随意的な分配ヘッダ40は、好ましくは、第2の伝熱ゾーン40よりも重力方向に低く配置されている。
【0036】
上記に説明されているように下降管30が2つの分岐流32を含む実施形態では、2つの分岐流32は、1つの分配ヘッダ40にそれぞれ接続することが可能であり、それによって、これらの分配ヘッダのうちの一方の内部の伝熱流体9が、T字接合部分23を介することを除いては、または、第1の伝熱ゾーン10を介することを除いては、他方へ流れることができないという意味において、これらの分配ヘッダのそれぞれは分離されている。T字接合部分23は、第1のボックス13の重力方向に下方に位置付けさせることが可能である。
【0037】
第1のボックス13が、主軸線Aに沿って延びる細長いハル(hull)の形態で提供される場合には、分岐流32は、主軸線Aの方向に対して横断方向に適切に延在することが可能である。複数のライザ管のライザ管22は、主軸線Aに平行な主方向に分配されるように、分配ヘッダ40にわたって配置させることが可能である。また、この場合には、それぞれの分配ヘッダ40は、適切には、主軸線Aと本質的に同じ方向に細長い形状を有しており、その場合には、ライザ管22は、主軸線Aに平行な平面の中に適切に構成することが可能である。とりわけ有利な実施形態では、ライザ管は、主方向、および、主方向に対して横断方向に延在する横方向の両方に、二次元のパターンにわたって配置されている。また、本発明は、下降管30のそれぞれの分岐流の下向き部分36がライザ管22と同じ平面の中に配置されている実施形態を包含する。
【0038】
選択された分配ヘッダ40を第1の伝熱ゾーン10に流体接続するライザ管22の数は、第1の伝熱ゾーン10を同じ分配ヘッダ40に流体接続する下降管の数(および/または、単一の下降管の分岐流の数)よりも大きい。例えば、1つの例では、第1の伝熱ゾーン10と単一の分配ヘッダ40との間に配置されている84本のライザ管22が存在しており、単一の分配ヘッダ40には、単一の下降管30の単一の分岐流32だけによって、伝熱流体9が供給される。複数のライザ管22は、2つのサブセットに分割されるように適切に配置させることが可能であり、第1のサブセットは、分配ヘッダ40を第1の伝熱ゾーン10に接続する下降管30(または、分岐流32)の一方の側に配置されており、一方、その第2のサブセットは、下降管30(または、分岐流32)のもう一方の側に配置されている。空気シール57が、下降管30(または、分岐流32)とライザ管22のサブセットのそれぞれとの間に、下降管30の両側に位置付けされており、空気が下降管30とライザ管22のサブセットのそれぞれとの間のギャップを通って第2の伝熱ゾーンをバイパスすることを回避することが可能である。
【0039】
第2の伝熱表面21が1つまたは複数のライザ管22を含む場合には、伝熱流体9は、1つまたは複数のライザ管22の中を搬送させられ得るが、一方、周囲環境は、1つまたは複数のライザ管22の外側に接触している。1つまたは複数のライザ管22の外側の表面には、面積拡大装置などのような伝熱向上装置を、都合よく設けることが可能である。これらは、フィン29、溝部(図示せず)、または、他の適切な手段の形態とすることが可能である。フィン29は、ライザ管22のすべての上に存在することが可能であるが、明確化の理由のために、フィンは、
図3のライザ管22のうちの1つの上にだけ描かれていることに留意されたい。
【0040】
第2の伝熱ゾーン20および/またはライザ管22がどのように構成されているかにかかわらず、ファン50(1つまたは複数)が、第2の伝熱ゾーン20に対して位置付けされ、
図1において矢印52によって示されているように、第2の伝熱ゾーン20に沿って、周囲空気の循環を増加させることが可能である。これによって、第2の間接熱交換接触の伝熱率を増加させることが可能である。好ましくは、ファンが、空気ダクト55の中に収容されており、空気ダクト55は、ファン50から第2の伝熱ゾーン20へ(または、その逆も同様)周囲空気を案内するように配置されている。好適な実施形態では、周囲空気は、第2の伝熱ゾーン20から、空気ダクト55の中へ、および、ファン50へ、概して下向きに循環する。
【0041】
第1のボックス13は、液相である伝熱流体9の液体層6と、液体層6の上方の蒸気ゾーン8とを含むことが可能である。公称液体レベル7は、加熱器の通常動作の間の、液体層6と蒸気ゾーン8との間の境界面のレベルとして定義される。第1の熱交換表面11は、好ましくは、公称液体レベル7の上方において、第1の伝熱ゾーン10の中の蒸気ゾーン8の中に配置されている。これによって、加熱されることになる液化ストリームと伝熱流体9との間の第1の熱交換接触の伝熱は、蒸気ゾーン8の中で利用可能な伝熱流体9の凝縮の熱から、最も効果的に利益を得ることが可能である。
【0042】
第1の伝熱表面11は、適切には、1つまたは複数のチューブ12から形成されることが可能であり、任意選択で、チューブの束14にして配置されている。そのような場合には、加熱されることになる液化ストリームは、1つまたは複数のチューブ12の中を搬送させることが可能であり、一方、伝熱流体は、1つまたは複数のチューブ12の外側と接触している。シェルアンドチューブ式熱交換器と同様に、チューブ12は、シングルパスまたはマルチパスに配置させることが可能であり、必要に応じて、前方端部および/または後方端部に任意の適切な固定式ヘッドを備えている。
【0043】
1つの例として、ここで、
図3を主に参照すると、U字形チューブの束の形態の2パスのチューブの束14が示されている。しかし、本発明は、このタイプの束に限定されない。この特定のシェルの前方端部15にあるシェルカバーには、ヘッドフランジ17を含むカバーノズル16が設けられており、ヘッドフランジ17には、任意のタイプの適切な(好ましくは、固定式の)ヘッドおよびチューブシートを装着することが可能である。1つまたは複数のパスのパーティションを、マルチパスのチューブの束のためのヘッドの中に設けることが可能である。典型的には、2パスのチューブの束に対してはシングルパスのパーティションで十分である。本発明は、カバーノズル16のこの特定のタイプに限定されない。例えば、その代わりに、固定されたチューブシートを備えるカバーノズルを選択することが可能である。適切なヘッドは、一体式ボンネットヘッド、または、取り外し可能なカバーを備えるヘッドである。チューブは、1つまたは複数の横断方向バッフルまたは支持プレートによって、互いに対して相対的な位置に固定することが可能である。第1のボックス13の内側の機械的な構造物を、例えば、チューブの束の下方に位置付けされている構造の形態で、チューブの束を支持するように設けることが可能である。チューブ端部は、チューブシートの中に固定することが可能である。
【0044】
また、任意選択で、後方端部に、カバーノズルを設けることが可能であり、U字形チューブの代わりに、チューブシートが後方端部にも設けられ得るようになっている。
【0045】
第1の伝熱ゾーン10と下降管30との間のインターフェースは、第1のボックス13のシェルの中の貫通開口部によって形成されることが可能である。インターフェースは、好ましくは、第1のボックス13の中の伝熱流体9の公称液体レベル7よりも重力方向に低く位置付けされている。
【0046】
第2の伝熱ゾーン20は、好ましくは、公称液体レベル7の重力方向に上方にある場所において、第1の伝熱ゾーン10の中へ開口する。このように、伝熱流体9は、第1のボックス13の中に蓄積された熱交換流体9の液相の層をバイパスしながら、第2の伝熱ゾーン20から第1の伝熱ゾーン10へ戻って循環させられ得る。これは、ライザ端部ピース24によって、
図1および
図2に図示されているように達成することが可能であり、ライザ端部ピース24は、ライザ管に流体接続されており、および、ライザ管22と蒸気ゾーン8との間で、第1の伝熱ゾーン10の内側で、公称液体レベル7の上方に延在しており、ライザ端部ピース24は、液体層6を横切っている。
【0047】
ライザ端部ピース24の開放端部は、第1の熱交換表面11よりも重力方向に高く、または、第1の熱交換表面11よりも重力方向に低く、位置付けさせることが可能である。任意選択で、特に後者の場合には、作動中に第1の熱交換表面11から落ちる凝縮した熱交換流体9からライザ端部ピース24をシールドするために、1つまたは複数の液体分流(diversion)手段を設けることが可能である。そのような液体分流手段は、多くの方式で具現化することが可能であり、そのうちの1つが、第1の熱交換表面11(例えば、チューブ12に設けられている)とライザピース24の開放端部との間に配置されている堰(weir)プレート25の形態で、
図1および
図2に図示されている。図示されている堰プレート25は、主軸線Aに平行に配置されており、水平方向軸線から約30°傾いており、凝縮した伝熱流体9をボックス13の長手方向中央に向かって案内する。堰プレートの垂直方向の配置(それによって、第1の熱交換表面が、堰プレートが配置されている垂直方向の平面の一方の側にあり、ライザ端部ピースが、垂直方向の平面のもう一方の側にある)、および/または、蒸留トレイにおいて使用されるものと同様の、ライザ端部ピースの上のバブルキャップなどのような、他の配置が可能である。また、これらの方式および/または他の方式の組み合わせを用いることも可能である。
【0048】
上記に説明されているような、垂直方向に対する流れ方向の角度の特定の範囲は、下降管30を通して二層流が(時々)存在し得る場合に、とりわけ有益である。しかし、上記に説明されているような閉回路を通る流れ方向の好適な範囲に加えて、他の対策が、任意選択で実施され、下記に提案するように、下降管30が二層流を支持しなければならないことになる可能性を低減することが可能である。
【0049】
第1に、下降管30は、周囲環境100から熱的に絶縁させることが可能である。これは、下降管30の外部表面に適用されている断熱層35によって、
図1に概略的に示されている。断熱層35は、任意の適切なパイプもしくはダクト断熱材料から形成されることが可能であり、および/または、任意の適切なパイプもしくはダクト断熱材料を含むことが可能であり、それは、任意選択で、断熱材下腐食に対する保護を提供することが可能である。適切には、断熱層は、フォーム材料、好ましくは、独立気泡フォーム材料を含み、パーコレーション凝縮(percolation condense)を回避する。1つの例は、任意選択でArmachek−R(商標)クラッディングが設けられたArmaflex(商標)パイプ断熱材であり、両方とも、Armacell UK Ltd.から商業的に入手可能である。Armachek−R(商標)は、高密度のゴムベースのカバーライニングである。
【0050】
第2に、好ましくは、装置が、第1の伝熱ゾーン10の中に蓄積された液相の伝熱流体9の液体層6を含む状態で、装置は動作させられる。液体層6からの液体だけが、下降管30を通して第2の伝熱ゾーン20へ液相で渡される。
【0051】
第3に、ボルテックスブレーカ60を、下降管30の上流端部に、例えば、第1の伝熱ゾーン10と下降管30との間のインターフェースに、または、インターフェースの近くに、設けることが可能である。
図1から
図3の実施形態では、ボルテックスブレーカ60は、適切には、第1の伝熱ゾーン10と下降管30の共通のセクション31との間のインターフェースの近くにある。ボルテックスブレーカは、液体層6の中の旋回渦の発生を回避するために適用される公知のデバイスである(これは、下降管30の中へ流れる液体の中に蒸気を取り込む可能性があるためである)。
【0052】
図1から
図3にはそのように示されていないが、例えば、下降管30と同じ方式で、随意的な分配ヘッダ40を、周囲環境から熱的に絶縁させることが可能である。分配ヘッダ40の断熱材は、分配ヘッダ40の上に断熱材料の層(好ましくは、下降管30に関して使用されているものと同じ断熱材料)を含むことが可能である。
【0053】
動作時には、上記に説明されているような実施形態のいずれかによる装置は、液化ストリームを加熱する方法の中で使用するのに適切である。加熱されることになる液化ストリームの主要な例は、LNGストリームである。結果として生じる加熱ストリームは、(液化天然ガスを加熱および気化させることによって生成される)再気化された天然ガスストリームとなることが可能であり、天然ガス網のパイプネットワークを介して分配することが可能である。
【0054】
LNGは、通常、主としてメタンの混合物であり、比較的少量(例えば、25mol%未満の)のエタン、プロパン、ブタン(C
2−C
4)、ならびに、ペンタンを含む微量のより重い炭化水素(C
5+)、および、場合により、例えば、窒素、水、二酸化炭素、および/または二硫化水素を含むいくらかの非炭化水素成分(典型的に2mol%未満)を伴う。LNGの温度は、2バール(絶対圧)未満の圧力において液相でそれを維持するために十分に低い。そのような混合物は、天然ガスに由来することが可能である。
【0055】
LNGの加熱を達成するために適切な伝熱流体は、CO
2である。伝熱流体9は、閉回路5の中を循環させられる。前記循環の間に、伝熱流体9は、第1の伝熱ゾーン10において、気相から液相への第1の相転移を経験し、第2の伝熱ゾーン20において、液相から気相への第2の相転移を経験する。
【0056】
とりわけ好適な実施形態によれば、伝熱流体は、少なくとも90mol%のCO
2を含み、より好ましくは、それは、100mol%または約100mol%のCO
2からなる。LNGを加熱するために使用されるときのCO
2の重要な利点は、伝熱流体9に関する閉回路5の中でリークが起こる場合に、CO
2は、漏出点において凝固することになり、それによって、漏出点を低減するか、または、さらには漏出点を閉鎖することである。そのうえ、CO
2は、閉回路から漏出したとしても、結果として可燃性の混合物にはならない。CO
2の沸点は、30〜35バールの範囲の圧力において、−5.8〜−0.1℃の範囲にある。
【0057】
液化ストリームを加熱する方法において、加熱されることになる液化ストリームは、伝熱流体9と間接熱交換接触をして、第1の伝熱ゾーン10を通過させられ、それによって、伝熱流体9から、第1の伝熱ゾーン10を通過する液化ストリームへ、熱が伝達される。それによって、伝熱流体9の少なくとも一部が凝縮させられ、凝縮部分を形成する。好ましくは、間接熱交換は、加熱されることになる液化ストリームと、蒸気ゾーン8の中の伝熱流体9の蒸気との間で起こる。
【0058】
適切には、加熱されることになる液化ストリームが、随意的なチューブの束14の1つまたは複数のチューブ12の中へ給送される。液化ストリームが高い圧力である場合には、それは、超臨界状態の状態にある可能性があり、超臨界状態では、加熱をしても相転移が起こらない。臨界圧力以下では、液化ストリームは、第1の伝熱ゾーン10を通過するときに、そのバブルポイントより低い状態のままでいることが可能であるか、または、1つまたは複数のチューブ12の中で、部分的にもしくは完全に気化することが可能である。第1の熱交換表面11は、好ましくは、第1の伝熱ゾーン10の中の蒸気ゾーン8の中で、公称液体レベル7の上方に配置されている。
【0059】
好ましくは、伝熱流体9の凝縮部分は、第1の伝熱ゾーン10の中に蓄積し、液相の伝熱流体9の液体層6を形成することが可能となる。凝縮部分は、第1の伝熱表面11(好ましくは、公称液体レベル7の上方にある)から液体層6の中へ、場合によっては、堰プレート25のうちの1つなどの液体分流手段を介して落ちることが可能である。
【0060】
同時に、液体層6の中に存在する液体熱交換流体9の一部が、下降管30の中へ流入する。これは、閉回路5の中の伝熱流体9の循環の一部を形成する。液相は、下降管30を通って下向きに流れ、好ましくは、周囲環境から熱的に絶縁され、第1の伝熱ゾーン10から下降管30を介して第2の伝熱ゾーン20へ流れ、第1の伝熱ゾーン20へ戻る。下降管30を通る伝熱流体の流量、または、好ましくは、下降管30のそれぞれの分岐流32を通る相対流量は、弁33によって調整される。
【0061】
第2の伝熱ゾーン20では、伝熱流体9は、周囲環境と間接的に熱交換し、それによって、周囲環境から伝熱流体9へ熱が渡され、伝熱流体9が気化させられる。随意的なファン50が利用され、第2の伝熱ゾーン20に沿って周囲空気の循環を増加させることが可能である。周囲空気は、
図1において、矢印52によって示されているように、第2の伝熱ゾーン20を下向き方向に横切ることが可能である。
【0062】
伝熱流体9は、好ましくは、第2の伝熱ゾーン20の中での伝熱流体9の前記気化の間に、上向きに上昇する。この上向きに上昇することは、少なくとも1つのライザ管22の中で、好ましくは複数のライザ管22の中で起こり得る。後者の場合には、下降管30を離れる凝縮部分は、好ましくは、複数のライザ管22にわたって分配される。
【0063】
下降管30の中の任意の蒸気は、閉回路5の内側の伝熱流体9の流れの挙動に悪影響を及ぼす可能性があるので、下降管30の内側では、蒸気が発生させられず、および/または、蒸気が存在しないことが好ましい。特に、閉回路5を通した伝熱流体9の循環が、もっぱら重力だけによって駆動されるときには、下降管30の中の任意の蒸気を回避することが有利である。閉回路5を通した伝熱流体9の前記循環のそれぞれのシングルパスの間に、液相の凝縮部分は、好ましくは、第1の伝熱ゾーン10から下降管30へ、ボルテックスブレーカ60を介して渡され、それは、下降管30の中への蒸気のアクセスを回避することをさらに助ける。
【0064】
本発明は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、多くの様々な方式で実施することが可能であることを、当業者は理解することになる。